(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。なお、本発明は下記実施形態に限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
[1.分岐路認識装置1の構成の説明]
分岐路認識装置1は、
図1に示すように、車両周囲の画像を取得する車載カメラ10と、車載カメラ10で取得した車両周囲の画像を画像処理する画像処理装置20と、を備えている。
【0010】
[1.1.車載カメラ10の構成の説明]
車載カメラ10はCCDカメラで構成され、
図2に示すように、車両の中央前部に設置されてその前方を連続して撮影する。
【0011】
[1.2.画像処理装置20の構成の説明]
画像処理装置20は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等を備えた周知のマイクロコンピュータ上で実行される処理として実現され、
図3に示すように、各DSPが、白線候補算出部21、白線特徴算出部22、白線特徴統合部23、制御目標白線選択処理部24、分岐路判定部25、として機能する。
【0012】
白線候補算出部21は、車載カメラ10で取得した画像から画像処理により道路上の白線候補を算出する機能を有する。具体的には、車載カメラ10で取得した画像から、公知の画像処理であるパターンマッチング、直線抽出ハフ変換処理における投票数(実線・破線判定結果)などにより、道路上の白線らしきもの(白線候補)を算出する。なお、白線候補は、1フレームの画像において複数抽出される場合もある。
【0013】
なお、白線候補算出部21は、白線候補抽出手段に該当する。
白線特徴算出部22は、白線候補算出部21で抽出した白線候補について、白線らしさの確信度を算出する機能を有する。なお、確信度は、0.01〜1の範囲内で設定される数値(尤度)であって、(1)線種(複合線)パターン判定処理、(2)実線(投票数)判定処理、(3)直進性判定処理、(4)コントラスト強度判定処理、(5)コントラスト顕著判定処理、(6)白線内部の模様のなさ判定処理、(7)横断歩道からの遠さ判定処理、(8)路面からの輝度の高さ判定処理、(9)物標からの遠さ判定処理、の各処理ごとに設定する。よって、1つの白線候補について、複数の確信度が設定される。
【0014】
白線特徴統合部23は、上記(1)〜(9)の各処理においてそれぞれ算出されて出力される確信度を乗算して統合することにより白線らしさを示す尤度を出力する機能を有する。この白線特徴統合部23における統合処理は、ベイズ推定のフレームワークに基づき、確信度の乗算による統合から判定する。
【0015】
なお、白線特徴算出部22および白線特徴統合部23は、確信度算出手段に該当する。
制御目標白線選択処理部24は、白線特徴統合部23が出力する尤度のうち最大の尤度を有する白線候補を道路上の白線として選択する機能を有する。この制御目標白線選択処理部24では、特徴として、自車にとって最内側の実線であること、分岐路判定時の外側線でないこと、左右白線のペアの車線らしさが高いこと、などを用いる。白線特徴統合部23では、白線候補に対して「白線らしさ」が統合された尤度として出力されるので、制御目標白線選択処理部24では、その統合された尤度が最大となっている白線を道路上の白線として選択するのである。
【0016】
なお、制御目標白線選択処理部24は、白線選択手段に該当する。
分岐路判定部25は、後述する分岐路認識処理を実行することにより、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線に関する特徴から分岐路の確信度を算出し、その算出した確信度に基づき分岐路の有無を判定する機能を有するDSPである。この分岐路判定部25では、特徴として、(1)車線が複合線ではないこと、(2)車線が実線であること、(3)車線が急カーブではないこと、(4)左右の車線の平行度の変動が設定値よりも大きいこと、(5)車線の曲率の変動量が設定値よりも大きいこと、を用い、上記(1)〜(5)の特徴のうちの何れか一つの特徴による尤度または二つ以上の特徴による尤度を統合した尤度(統合尤度)を算出し、その算出した尤度に基づき、分岐路の有無を判定する。
【0017】
なお、分岐路判定部25は、分岐路判定手段に該当する。
[2.分岐路認識処理の説明]
次に、画像処理装置20の分岐路判定部25が実行する分岐路認識処理を、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0018】
本処理は、自車両の走行中、所定時間ごとに繰り返し実行される。
まず、最初のステップS110では、平行度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線の平行度を算出する。その後、S120に移行する。
【0019】
S120では、曲率を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線の曲率を算出する。その後、S130に移行する。
S130では、平行度変動の尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、S110で算出した左右の車線の平行度についてその変動を算出し、算出した平行度の変動についてその尤度を算出する。より具体的には、
図5(a)に示すテーブルを参照して平行度の変動の尤度を算出する。ここでは、左右の車線の平行度の変動が小さい場合には尤度を0.5とし、左右の車線の平行度の変動が大きい場合には尤度を0.1とする。なお、この0.5という値は、平行度の変動が小さい場合に分岐判定を抑制する機能を発揮するために設定される値であり、0.1という値は、他の複数のIPが強い確信で分岐と判定した場合にのみ、分岐抑制を覆すために設定される値である。その後、S140に移行する。
【0020】
S140では、曲率変動の尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、S120で算出した白線の曲率についてその変動を算出し、算出した曲率の変動についてその尤度を算出する。より具体的には、
図5(b)に示すテーブルを参照して白線の曲率変動の尤度を算出する。ここでは、白線の曲率変動が設定値よりも小さい場合には尤度を0.5とし、白線の曲率変動が設定値よりも大きい場合には尤度を0.1とする。なお、この0.5という値は、白線の曲率変動が小さい場合に分岐判定を抑制する機能を発揮するために設定される値であり、0.1という値は、他の複数のIPが強い確信で分岐と判定した場合にのみ、分岐抑制を覆すために設定される値である。その後、S150に移行する。
【0021】
S150では、複合線の尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線について複合線らしさの尤度を算出する。より具体的には、
図5(c)に示すテーブルを参照して複合線らしさの尤度を算出する。ここでは、複合線らしさが設定値よりも小さい場合には尤度を0.5とし、複合線らしさが設定値よりも大きい場合には尤度を0.1とする。なお、この0.5という値は、複合線らしさが小さい場合に分岐判定を抑制する機能を発揮するために設定される値であり、0.1という値は、他の複数のIPが強い確信で分岐と判定した場合にのみ、分岐抑制を覆すために設定される値である。その後、S160に移行する。
【0022】
S160では、実線・破線の尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線について実線・破線であることの尤度を算出する。より具体的には、
図5(d)に示すテーブルを参照して破線らしさの尤度を算出する。ここでは、破線らしさが設定値よりも小さい場合には尤度を0.5とし、破線らしさが設定値よりも大きい場合には尤度を0.1とする。なお、この0.5という値は、破線らしさが小さい場合に分岐判定を抑制する機能を発揮するために設定される値であり、0.1という値は、他の複数のIPが強い確信で分岐と判定した場合にのみ、分岐抑制を覆すために設定される値である。その後、S170に移行する。
【0023】
S170では、道路形状情報(カーブ)の尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線について急カーブであることの尤度を算出する。より具体的には、
図5(e)に示すテーブルを参照して急カーブらしさの尤度を算出する。ここでは、急カーブらしさが設定値よりも小さい場合には尤度を0.5とし、急カーブらしさが設定値よりも大きい場合には尤度を0.1とする。なお、この0.5という値は、急カーブらしさが小さい場合に分岐判定を抑制する機能を発揮するために設定される値であり、0.1という値は、他の複数のIPが強い確信で分岐と判定した場合にのみ、分岐抑制を覆すために設定される値である。その後、S180に移行する。
【0024】
S180では、統合尤度を算出する。具体的には、分岐路判定部25が、S130で算出した平行度変動の尤度、S140で算出した曲率変動の尤度、S150で算出した複合線の尤度、S160で算出した実線・破線の尤度、S170で算出した急カーブの尤度を乗算して統合することで統合尤度を算出する。その後、S190に移行する。
【0025】
S190では、分岐統合尤度が所定値以上であるか否かを判断する。具体的には、分岐路判定部25が、S180で算出した統合尤度が所定値としての50%以上であるか否かを判断する。統合尤度が50%以上であると判断された場合には(S190:YES)、S210に移行する。一方、統合尤度が50%未満であると判断された場合には(S190:NO)、S200に移行する。
【0026】
S200では、通常検出を行う。具体的には、S190で統合尤度が50%未満であると判断されたことを受けて、分岐路判定部25が、この白線候補を白線として検出する通常検出を行う。その後、S220に移行する。
【0027】
S210では、白線候補を除外する。具体的には、S190で統合尤度が50%以上であると判断されたことを受けて、分岐路判定部25が、この白線候補を除外する。つまり、分岐路であると判定する。その後、S220に移行する。
【0028】
S220では、検出結果を出力する。具体的には、分岐路判定部25が、S200からS220に移行した場合には、当該白線候補を白線として検出した旨を検出結果として出力し、一方、S210からS220に移行した場合には、当該白線候補を除外して分岐路と判定した旨を検出結果として出力する。なお、この処理により、分岐路判定部25は判定結果出力手段に該当する。その後、本処理を終了する。
【0029】
[3.実施形態の効果]
本実施形態の分岐路認識装置1によれば、分岐路判定部25が、制御目標白線選択処理部24によって選択された白線に関する特徴であり、(1)車線が複合線ではないこと、(2)車線が実線であること、(3)車線が急カーブではないこと、(4)左右の車線の平行度の変動が設定値よりも大きいこと、(5)車線の曲率の変動量が設定値よりも大きいこと、を用い、上記(1)〜(5)の特徴のうちの何れか一つの特徴による尤度または二つ以上の特徴による尤度を統合した尤度(統合尤度)を算出し、その算出した尤度に基づき、分岐路の有無を判定するので、分岐路を精度良く認識することができる。