特許第5977282号(P5977282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977282
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】マルチレベルインバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/483 20070101AFI20160817BHJP
   H02M 7/487 20070101ALI20160817BHJP
   H02M 5/45 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   H02M7/483
   H02M7/487
   H02M5/45 A
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-79928(P2014-79928)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2014-207853(P2014-207853A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0038940
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ユ アンノ
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−050636(JP,A)
【文献】 特開2004−229493(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0145337(US,A1)
【文献】 特開2008−193779(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0073970(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0014384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/483
H02M 5/45
H02M 7/487
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相入力電圧の入力を受けて1次結線と2次結線によって位相偏移された第1位相電圧を供給する第1モジュールと、前記3相入力電圧の入力を受けて、前記第1モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第2位相電圧を供給する第2モジュールと、前記3相入力電圧の入力を受けて、前記第1モジュール及び第2モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第3位相電圧を供給する第3モジュールと、位相偏移された位相電圧を供給するように構成された複数のモジュールを含むモジュール型位相偏移変圧器と、
前記複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、複数の第1グループ単位電力セルと、
前記複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、複数の第2グループ単位電力セルと、
前記複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、複数の第3グループ単位電力セルと、を備え、
前記第1グループ単位電力セルのうち一つと、前記第2グループ単位電力セルのうち一つと、前記第3グループ単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成され、
前記モジュール型位相偏移変圧器において、前記第2モジュールの第1次結線は3相Y結線であり、前記第2モジュールの第2次結線は予定された三つの位相を有するように結線され、前記第1モジュール及び前記第3モジュールの第1次結線は、絶対値が同じ位相値を有し、各々正及び負の位相を有するように結線され
前記複数の第1グループ単位電力セルは、各々前記第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第1単位電力セル乃至第3単位電力セルを含み
前記複数の第2グループ単位電力セルは、各々前記第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第4単位電力セル乃至第6単位電力セルを含み
前記複数の第3グループ単位電力セルは、各々前記第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電力を供給する、第7単位電極セル乃至第9単位電力セルを含み
前記第1単位電力セル乃至前記第3単位電力セルのうち一つと、前記第4単位電極セル乃至第6単位電力セルのうち一つと、第7単位電力セル乃至第9単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給し
前記第1単位電力セルは
前記第1位相電圧の第1相の入力を受けて整流した第1整流電圧を供給する整流部と、
前記整流部で整流された第1整流電圧の入力を受けて、互いに異なる第1ノード乃至第3ノードに各々異なるレベルの電圧で供給するための平滑部と
前記平滑部で供給される三つのレベルの電圧を伝達するために複数のスイッチ部を備えてインバータ部と、を含み
前記インバータ部は
前記第1ノードと第1出力端との間に備えられる第1スイッチ部と、前記第2ノードと前記第1出力端との間に備えられる第2スイッチ部と、前記第3ノードと前記第1出力端との間に備えられる第3スイッチ部と
前記第1ノードと第2出力端との間に備えられる第4スイッチ部と、前記第2ノードと前記第2出力端との間に備えられる第5スイッチ部と、前記第3ノードと前記第2出力端との間に備えられる第6スイッチ部と、を含むことを特徴とするマルチレベルインバータ。
【請求項2】
前記第1モジュール乃至前記第3モジュールは対称になるように構成されることを特徴とする、請求項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項3】
前記第1スイッチ部乃至前記第6スイッチ部は、電力用半導体及びダイオードを備えることを特徴とする、請求項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項4】
前記第2スイッチ部は、
前記第2ノードから前記第1出力端に電流方向性を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードと直列接続された第2ダイオードと、
前記第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、前記第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項又はに記載のマルチレベルインバータ。
【請求項5】
前記第1スイッチ部は
前記第1出力端から前記第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項乃至のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項6】
前記第3スイッチ部は、
前記第3ノードから前記第1出力端に電流方向性を有する第2ダイオードと、
前記第2ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項乃至のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項7】
前記第5スイッチ部は、
前記第2ノードから前記第2出力端に電流方向性を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードと直列接続された第2ダイオードと、
前記第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、前記第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項乃至のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項8】
前記第4スイッチ部は、
前記第2出力端から前記第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項乃至のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項9】
前記第6スイッチ部は、
前記第3ノードから前記第2出力端に電流方向性を有する第2ダイオードと、
前記第2ダイオードとは逆の電流方向性を有し、前記第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体と、を含むことを特徴とする、請求項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項10】
前記平滑部は、
直列接続された第1コンデンサ及び第2コンデンサを備え、
前記第1コンデンサ及び第2コンデンサは、一端と他端とを介して前記第1整流電圧の印加を受け、前記第1コンデンサ及び第2コンデンサの一端と共通ノード及び他端ノードが、各々前記第1ノード乃至第3ノードであることを特徴とする、請求項乃至のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項11】
前記整流部は、
前記第1コンデンサ及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに前記第1位相電圧の第1相電圧の供給を受ける第1ダイオード及び第2ダイオードと、
前記第1コンデンサ及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに前記第1位相電圧の第2相電圧の供給を受ける第3ダイオード及び第4ダイオードと、
前記第1コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに前記第1位相電圧の第3相電圧の供給を受ける第5ダイオード及び第6ダイオードと、を備えることを特徴とする、請求項10に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項12】
前記インバータ部は、単相T型中性点クランプ(NPC)インバータを含むことを特徴とする、請求項乃至11のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項13】
前記モジュール型位相偏移変圧器は、
前記3相入力電圧の入力を受けて、前記第1モジュール乃至第3モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備え、位相偏移された第4位相電圧を供給する第4モジュールと、
前記第4モジュールから前記第4位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、複数の第4グループ単位電力セルと、を更に含み、
前記第1グループ単位電力セルのうち一つと、前記第2グループ単位電力セルのうち一つと、前記第3グループ単位電力セルのうち一つと、前記第4グループ単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成されたことを特徴とする、請求項乃至12のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【請求項14】
前記モジュール型位相偏移変圧器は、
前記3相入力電圧の入力を受けて、前記第1モジュール乃至第4モジュールとは異なるように予定されただけ位相を偏移させるための1次結線及び2次結線を備え、位相偏移された第5位相電圧を供給する第5モジュールと、
前記第5モジュールから前記第5位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、複数の第5グループ単位電力セルと、を更に含み、
前記第1グループ単位電力セルのうち一つと、前記第2グループ単位電力セルのうち一つと、前記第3グループ単位電力セルのうち一つと、前記第4グループ単位電力セルと、
前記第5グループ単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成されたことを特徴とする、請求項乃至13のうちいずれか一項に記載のマルチレベルインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータに関し、より詳しくは単位電力セルを利用する高圧マルチレベルインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチレベル高圧インバータ(multi−level medium−voltage inverter)は、線間電圧実効値が600V以上の入力電源を有するインバータであり、出力相電圧は多くのレベルを有する。高圧インバータは、一般に数百kW〜数十MWの容量を有する大容量の電動機を駆動するために用いられ、ファン、ポンプ、圧縮機、牽引機、ホイスト、コンベヤのような分野で主に用いられる。
【0003】
通常の電圧型高圧インバータは、縦続接続型Hブリッジインバータ(Cascaded H−bridge inverter)を利用したり、これを変形した縦続接続型中性点クランプ(NPC)インバータを利用したりする。最近使用され始めた縦続接続型NPCインバータは、従来の縦続接続型Hブリッジインバータと比較して、その体積が小さいという点が大きく注目されている。
【0004】
種々の分野で適用されるマルチレベル高圧インバータの場合、より小さい素子で構成され、より高い効率を有することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より効率的な構造を有するマルチレベル高圧インバータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、3相入力電圧の入力を受けて位相偏移された位相電圧を供給するように構成された複数のモジュールを含むモジュール型位相偏移変圧器と、複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する複数の第1グループ単位電力セルと、複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する複数の第2グループ単位電力セルと、複数のモジュールのうちいずれか一つのモジュールから第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する複数の第3グループ単位電力セルとを含み、第1グループ単位電力セルのうち一つと、第2グループ単位電力セルのうち一つと、第3グループ単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成されたマルチレベルインバータが提供される。
【0007】
モジュール型位相偏移変圧器は、3相入力電圧の入力を受けて1次結線及び2次結線によって位相偏移された第1位相電圧を供給する第1モジュールと、3相入力電圧の入力を受けて第1モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第2位相電圧を供給する第2モジュールと、3相入力電圧の入力を受けて第1及び第2モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第3位相電圧を供給する第3モジュールとを含んでもよい。
【0008】
第2モジュールの第1次結線は3相Y結線であり、第2モジュールの第2次結線は予定された三つの位相を有するように結線されていて、第1及び第3モジュールの第1次結線は絶対値が同じ位相値を有し、各々正及び負の位相を有するように結線されてもよい。
【0009】
また、第1モジュール乃至第3モジュールは対称になるように構成されてもよい。
【0010】
また、各単位電力セルは、第1位相電圧の第1相の入力を受けて整流した第1整流電圧を供給する整流部と、整流部で整流された第1整流電圧の入力を受けて互いに異なる第1乃至第3ノードに各々異なるレベルの電圧で供給するための平滑部と、平滑部で供給される三つのレベルの電圧を伝達するために複数のスイッチ部を備えたインバータ部とを含み、インバータ部は、第1ノードと第1出力端との間に備えられる第1スイッチ部と、第2ノードと第1出力端との間に備えられる第2スイッチ部と、第3ノードと第1出力端との間に備えられる第3スイッチ部と、第1ノードと第2出力端との間に備えられる第4スイッチ部と、第2ノードと第2出力端との間に備えられる第5スイッチ部と、第3ノードと第2出力端との間に備えられる第6スイッチ部とを含んでもよい。
【0011】
また、第1乃至第6スイッチ部は、電力用半導体及びダイオードを含んでもよい。
【0012】
また、第2スイッチ部は、第2ノードから第1出力端に電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードと直列接続された第2ダイオードと、第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを含んでもよい。
【0013】
また、第1スイッチ部は、第1出力端から第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体とを含んでもよい。
【0014】
また、第3スイッチ部は、第3ノードから第1出力端に電流方向性を有する第2ダイオードと、第2ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを含んでもよい。
【0015】
また、第5スイッチ部は、第2ノードから第2出力端に電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体と、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードと直列接続された第2ダイオードと、第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを含んでもよい。
【0016】
また、第4スイッチ部は、第2出力端から第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体とを含んでもよい。
【0017】
また、第6スイッチ部は、第3ノードから第2出力端に電流方向性を有する第2ダイオードと、第2ダイオードとは逆の電流方向性を有して、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを含んでもよい。
【0018】
また、平滑部は、直列接続された第1及び第2コンデンサを含み、第1及び第2コンデンサは、一端及び他端を介して第1整流電圧の印加を受けて、第1及び第2コンデンサの一端ノード、共通ノード及び他端ノードが各々第1乃至第3ノードであってもよい。
【0019】
また、整流部は、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第1相電圧の供給を受ける第1及び第2ダイオードと、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第2相電圧の供給を受ける第3及び第4ダイオードと、第1コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第3相電圧の供給を受ける第5及び第6ダイオードとを含んでもよい。
【0020】
また、本発明の他の態様によると、3相入力電圧の入力を受けて、1次結線及び2次結線によって位相偏移された第1位相電圧を供給する第1モジュールと、3相入力電圧の入力を受けて第1モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第2位相電圧を供給する第2モジュールと、3相入力電圧の入力を受けて第1及び第2モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第3位相電圧を供給する第3モジュールと、3相入力電圧の入力を受けて、第1乃至第3モジュールとは異なるように予定されただけ位相をシフトするための1次結線及び2次結線を備えて位相偏移された第4位相電圧を供給する第4モジュールとを含むモジュール型位相偏移変圧器と、各々第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する第1乃至第3単位電力セルと、各々第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する第4乃至第6単位電力セルと、各々第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する第7乃至第9単位電力セルと、各々第4位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて、予定された変換動作を行って、予定された相の出力電圧を供給する第10乃至第12単位電力セルとを含み、第1乃至第3単位電力セルのうち一つと、第4乃至第6単位電力セルのうち一つと、第7乃至第9単位電力セルのうち一つと、第10乃至第12単位電力セルのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するマルチレベル高電圧インバータが提供される。
【0021】
また、第1単位電力セルは、3相の第1位相電圧の入力を受けて各々整流した第1整流電圧を供給する整流部と、整流部で整流された第1整流電圧の入力を受けて、互いに異なる第1乃至第3ノードに各々異なるレベルの電圧で供給するための平滑部と、平滑部で供給される三つのレベルの電圧を伝達するために複数のスイッチ部を備えたインバータ部とを含み、インバータ部は、第1ノードと第1出力端との間に備えられる第1スイッチ部と、第2ノードと第1出力端との間に備えられる第2スイッチ部と、第3ノードと第1出力端との間に備えられる第3スイッチ部と、第1ノードと第2出力端との間に備えられる第4スイッチ部と、第2ノードと第2出力端との間に備えられる第5スイッチ部と、第3ノードと第2出力端との間に備えられる第6スイッチ部とを含んでもよい。
【0022】
また、平滑部は、直列接続された第1乃至第4コンデンサを含み、第1及び第2コンデンサの一端と他端とが、各々第1及び第2ノードであり、第4コンデンサの他端が、第3ノードであり、第1乃至第4コンデンサの一端と他端とを介して、第1乃至第4整流電圧の供給を受けてもよい。
【0023】
また、整流部は、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第1相電圧の供給を受ける第1及び第2ダイオードと、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第2相電圧の供給を受ける第3及び第4ダイオードと、第1コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第3相電圧の供給を受ける第5及び第6ダイオードとを含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のマルチレベルインバータは、システム設計時の自由度を増加させ、システム全体の体積及び重さを減少させることができる。これは、マルチレベル高圧インバータの入力端に用いられる位相偏移変圧器の構造のモジュール化と、単位電力セルの入力端を6パルスのダイオードで構成することとによって達成される。
【0025】
また、本発明のマルチレベルインバータは、モジュール化された位相偏移変圧器を用いることによって、システム全体の冗長性を増大させることができる。
【0026】
また、本発明のマルチレベルインバータは動作効率も増加させるが、これは変更されたインバータ部の構造によって平均的に導通する電力半導体素子の数を減らすことによって達成される。マルチレベルインバータの導通損失が低下すると、放熱設計が容易になり、システム全体の体積及びコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を説明するための、マルチレベルインバータを含むインバータシステムを示したブロック図である。
図2図1に示された各単位電力セルの構造を示した回路図である。
図3】他のインバータを含むインバータシステムを示したブロック図である。
図4図2に示された各単位電力セルの構造を示したブロック図である。
図5図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図6図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図7図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図8図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図9図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図10図2に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図11】本発明の第1実施形態のインバータシステムを示した回路図である。
図12図11の単位電力セルを示した回路図である。
図13】本発明の第2実施形態及び第3実施形態を示すインバータシステムを示したブロック図である。
図14】本発明の第2実施形態及び第3実施形態を示すインバータシステムを示したブロック図である。
図15図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図16図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図17図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図18図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図19図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
図20図12に示されたインバータ部の動作を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施できるよう詳細に説明するために、本発明の最も好ましい実施形態を添付された図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明を説明するためのもので、マルチレベルインバータを含むインバータシステムを示すブロック図である。
【0030】
図1を参照すると、位相偏移変圧器及びマルチレベル高圧インバータを含むインバータシステム101は、入力3相電源102、3相電動機103、位相偏移変圧器104、及び単位電力セル(105a〜105f)を含む。
【0031】
入力3相電源102は、線間電圧実効値が600V以上の電圧が供給されている入力電力を意味する。3相電動機103は、インバータシステムの負荷である。位相偏移変圧器104の1次側巻線は3相Y結線の形態を有し、2次側巻線は1次側巻線に対して−15度、0度、15度、30度の位相差を有する巻線が三つずつ、併せて12個で構成される。2次側巻線の構造は、単位電力セル105a〜105fの電力セル数によって決定される。
【0032】
単位電力セル105a〜105fの各出力電圧は、5レベルである。負荷で動作する3相電動機103の各相当たり2個の単位電力セルで構成されており、必要に応じて単位電力セルの数は拡張可能である。単位電力セル105a及び105bの出力は、直列に接続されて、負荷3相電動機のa相電圧を出力して、単位電力セル105c及び105dはb相電圧を、単位電力セル105e及び105fはc相電圧を出力する。単位電力セル105a、105c、105eは、位相偏移変圧器104の出力中、−15度及び0度の位相を有する出力と接続され、単位電力セル105b、105d、105fは、位相偏移変圧器104の出力中、15度及び30度の位相を有する出力と接続される。
【0033】
図2は、図1に示された各単位電力セルの構造を示したブロック図である。
【0034】
図2を参照すると、単位電力セルは、ダイオード整流部201、平滑部202、及び出力電圧を合成するインバータ部203を備える。ダイオード整流部201は二つの3相電源の入力を受け、入力電源は、図1に示された位相偏移変圧器104の出力電圧である。ダイオード整流部201の出力は、直列接続された二つのDCリンクコンデンサに伝達され、二つのDCリンクコンデンサは、同じ電気容量を有する。インバータ部203は、出力電圧を合成するためのものであり、出力線間電圧が5レベルになる。
【0035】
図3は、他のインバータを含むインバータシステムを示すブロック図である。
【0036】
図3を参照すると、インバータシステム301は、入力3相電源302、3相電動機303、位相偏移変圧器304、及び単位電力セル305a〜305cを含む。
【0037】
入力3相電源302は、線間電圧実効値が、600V以上の電圧が供給されている入力電力を意味する。3相電動機303は、インバータシステムの負荷である。位相偏移変圧器304の1次側巻線は3相Y結線の形態を有していて、2次側巻線は1次側巻線に対して−15度、0度、15度、30度の位相差を有する巻線が三つずつ、併せて12個で構成される。2次側巻線の構造は、単位電力セル305a〜305cの電力セル数によって決定される。単位電力セル305a〜305cは、5レベルの出力電圧を合成することができ、単位電力セル305aは負荷電動機303のa相電圧を出力し、単位電力セル305bはb相電圧を出力し、単位電力セル305cはc相電圧を出力する。
【0038】
図4は、図3に示された単位電力セルの内部回路図である。ダイオード整流部401、平滑部402、及び出力電圧を合成するインバータ部403を備える。図4の場合には、入力端ダイオード整流部401が四つで構成されて、インバータ部403の動作は、図2と実質的に同様である。ただし、図2及び図4の単位電力セルは、要求される出力によって単位電力セルに用いられる電力素子の定格電圧及び定格電流の値が変わる場合がある。単位電力セルの出力電圧は、5レベルまで現れる。
【0039】
図5乃至図10は、図1及び図2に示されたインバータ部の動作を示す回路図である。次に、図1乃至図10を参照して、インバータ部の動作に対して説明する。特に、図1及び図2に示されたインバータ部の動作を中心に説明する。
【0040】
図2に示されたインバータ部203の一つの分岐(leg)は、四つのスイッチ部203a、203b、203c、203dが直列接続されていて、スイッチ部の動作によって出力電圧が規定される。
【0041】
スイッチ部203a及び203cの動作は、互いに相補的であり、スイッチ部203b及び203dのスイッチング動作も相補的である。したがって、直列接続されている平滑部202の電圧が各々Eと規定される場合、スイッチ部203a、203bがオンになっているときは、スイッチ部203c、203dはオフになって、このとき出力される極電圧(pole voltage)はEとなる。また、スイッチ部203a、203cがオンになっているとき、スイッチ部203b、203dはオフになり、この場合出力極電圧は0になる。同様に、スイッチ部203a、203bがオフになっているとき、スイッチ部203c、203dはオンになり、この場合出力極電圧は−Eが出力される。
【0042】
このように規定される出力極電圧を利用すると、各単位セルの出力線間電圧は、2E、E、0、−E、−2Eの5レベルを有する。各セルの出力線間電圧が、5レベルで規定されることによって、図3の単位電力セル305a、305bが合成することができる電圧は、4E、3E、2E、E、0、−E、−2E、−3E、−4Eの9レベルを有し、負荷電動機303の出力線間電圧は、8E、7E、6E、5E、4E、3E、2E、E、0、−E、−2E、−3E、−4E、−5E、−6E、−7E、−8Eの17レベルを有することができる。
【0043】
マルチレベル高圧インバータのパルス幅変調(PWM)方法は、三角搬送波の形態によって大きく位相偏移PWMとレベル偏移PWMとに分かれるが、本発明で説明する単相NPCインバータを利用したマルチレベルインバータは、主にレベル偏移PWM方法で作動する。また、レベル偏移PWMは、三角搬送波の位相によって同相配置(In−phase disposition、IPD)、交番位相反転配置(Alternative phase opposite disposition、APOD)、及び位相反転配置(Phase opposite disposition、POD)に分かれるが、通常、IPD方式が出力電圧の高調波の点で最も優れる。したがって、本発明では、マルチレベル高圧インバータの電圧合成方法として、IPD方式のレベル偏移PWM方法が主に利用される。
【0044】
続いて説明すると、出力極電圧がE、0、−Eに決定されたとき、電流の方向による電力半導体の導通状態は、図5乃至図10に示されたとおりである。
【0045】
図5は、出力極電圧が0で出力電流が正の場合、図6は、出力極電圧がEで出力電流が正の場合、図7は、出力極電圧が−Eで出力電流が正の場合に、導通するスイッチ部を表示したものである。図5では、ダイオード一つ、スイッチ部一つが、図6ではスイッチ部二つ、図7ではダイオード二つが導通する。
【0046】
図8は、出力極電圧が0で出力電流が負の場合、図9は、出力極電圧がEで出力電流が負の場合、図10は、出力極電圧が−Eで出力電流が負の場合に、導通するスイッチ部を表示したものである。図8では、ダイオード一つ、スイッチ部一つが、図9では、ダイオード二つ、図10ではスイッチ部二つが導通する。
【0047】
次に、図1の位相偏移変圧器104及び図3の位相偏移変圧器304の動作について説明する。
【0048】
位相偏移変圧器104、304は、入力3相電源102から各単位電力セルに電気的に絶縁された3相電源を印加する。このとき、位相偏移変圧器104、304の1次側巻線はY(wye)結線又はデルタ(D)結線を有し、2次側巻線は1次側から位相偏移された電源を出力して、このとき単位電力セルの要求に合う適切な大きさの電圧が出力される。
【0049】
位相偏移変圧器104、304の2次側出力は、単位電力セルのダイオード整流器数と同じであり、次の関係を有する。
Nsec=3Nunit*Ndiode (1)
【0050】
ここで、Nsecは位相偏移変圧器の2次側出力数であり、Nunitは負荷電動機各相当たり接続される単位電力セルの数であり、Ndiodeは一つの単位電力セルに設置されているダイオード整流器の数である。例えば、図1のような構造では、Nunitは2であり、Ndiodeは2になってNsecは12となり、図3のような構造では、Nunitは1であり、Ndiodeは4になってNsecは12となる。
【0051】
位相偏移変圧器の2次側巻線の位相偏移角は次の関係から求めることができる。
αsec=360/2Nsec[度] (2)
【0052】
ここで、αsecは2次側巻線間の位相偏移角である。例えば、図1及び図3のようにNsecが12になると、2次側巻線間の位相偏移角は15度となる。各々の2次側巻線の出力電圧は、このように決定された2次側巻線間の位相偏移角に基づいて、1次側入力電源電圧に対して位相が位相偏移角だけ変わることになる。
【0053】
今まで説明したマルチレベル高圧インバータの入力端位相偏移変圧器は、1次側巻線が一つの3相電源だけで構成され、単位電力セルに接続される2次側巻線が共に一つの変圧器から出力される構造の単一ユニットである。このような単一ユニットで構成されている位相偏移変圧器は、要求される出力電力が、一つの変圧器で満たされなければならない。したがって、変圧器自身の体積及び重さが増大するだけでなく、機構設計上の自由度がないため、システム全体の体積を増大させる問題点があって、変圧器の1次側巻線に問題が発生すると、システム全体の運転が不可能になる短所がある。
【0054】
単位電力セルの場合、インバータ部がダイオード四つ、能動スイッチが八つで構成されていて、電圧合成時に常に二つの電力半導体が導通して、インバータ部の損失が相対的に大きい。また、単位電力セルの3相ダイオード整流器が二つ以上で構成されるため、位相偏移変圧器2次側出力端の数が増加し、位相偏移変圧器の体積が増加する。
【0055】
本発明では、一つのユニットだけで構成されているマルチレベル高圧インバータの位相偏移変圧器の構造がモジュール構造を有するようにして、機構設計上の自由度を提供し、システム全体の体積及び重さを減少させられるようにする。また、モジュール化された位相偏移変圧器を用いることによって、一つの変圧器モジュールが故障状態になったときも、負荷電動機は出力が低下した(derating)状態で連続的に運転が可能であるという長所がある。
【0056】
また、本発明のインバータシステムに用いられる単位電力セルは、従来の単位電力セルに比べて導通損失を低減させることができる縦続接続型T型NPCインバータ(Cascaded T−type Neutral Point Clamped inverter)を提案する。提案された単位電力セルは、6パルスのダイオード整流器を用いることによって位相偏移変圧器の2次側出力数を減らせるため、位相偏移変圧器の体積を減少させることができ、これによってシステム全体の体積が減少することになる。
【0057】
図11は、本発明の第1実施形態のインバータシステムを示す回路図である。
【0058】
図11を参照すると、本実施形態で提案する位相偏移変圧器を利用したマルチレベル高圧インバータシステムは、電動機1103一相当たり三つの単位電力セルを用いる。
【0059】
第1実施形態のマルチレベルインバータシステム1101は、九つの単位電力セル1105a〜1105i及び位相偏移変圧器1104を含む。電圧供給部1102は、電圧実効値が600V以上の電圧を供給する。3相電動機1103は、インバータシステム1101の負荷の3相電動機である。位相偏移変圧器1104の適用方法によって位相角は変動する場合がある。
【0060】
本実施形態に適用されたモジュール型位相偏移変圧器1104は、三つのモジュールで構成されている。
【0061】
すなわち、モジュール型位相偏移変圧器1104は、3相入力電圧1102の入力を受けて位相偏移された位相電圧を供給するように構成された複数のモジュール1104a、1104b、1104cを含んでもよい。
【0062】
第1モジュール1104aは、1次側巻線が−6.7度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は−20度、0度、20度の位相を有する三つの絶縁された3相結線である。第2モジュール1104bは、1次側巻線が3相Y結線であり、2次側巻線は第1モジュール1104aと同一である。第3モジュール1104cは、1次側巻線が6.7度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1104aと同一である。単位電力セル1105a〜1105iの出力電圧は、5レベルである。負荷電動機1103の各相当たり三つの単位電力セルが対応し、必要に応じて単位電力セルの数は拡張が可能である。
【0063】
一方、単位電力セル1105a〜1105iは、第1グループ単位電力セル1105a、1105d、1105g、第2グループ単位電力セル1105b、1105e、1105h、第3グループ単位電力セル1105c、1105f、1105iに区分することができる。
【0064】
第1グループ単位電力セル1105a、1105d、1105gは、第1モジュール1104aから第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第1乃至第3単位電力セル1105a、1105d、1105gである。
【0065】
第2グループ単位電力セル1105b、1105e、1105hは、第2モジュール1104bから第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第4乃至第6単位電力セル1105b、1105e、1105hである。
【0066】
第3グループ単位電力セル1105c、1105f、1105iは、第3モジュール1104cから第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第7乃至第9単位電力セル1105c、1105f、1105iである。
【0067】
このとき、第1グループ単位電力セル1105a、1105d、1105gのうち一つと、第2グループ単位電力セル1105b、1105e、1105hのうち一つと、第3グループ単位電力セル1105c、1105f、1105iのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成される。
【0068】
すなわち、単位電力セル1105a、1105b、1105cの出力は、直列に接続されて負荷3相電動機のa相電圧を出力し、単位電力セル1105d、1105e、1105fはb相電圧を、単位電力セル1105g、1105h、1105iはc相電圧を出力する。単位電力セル1105a、1105d、1105gは第1モジュール1104aの出力と接続され、単位電力セル1105b、1105e、1105hは第2モジュール1104bの出力と接続され、単位電力セル1105c、1105f、1105iは、第3モジュール1104cの出力と接続される。
【0069】
図12は、図11の単位電力セルを示す回路図である。
【0070】
図12を参照すると、単位電力セルは、3相のダイオード整流器1201、平滑部1202、及びインバータ部1203を含む。平滑部1202は、二つのコンデンサ(C1、C2)を含み、ダイオード整流器1201の出力に接続されており、ここでは直列接続されているが、直/並列接続で構成してもよい。インバータ部1203は、単相T型NPCインバータ(single phase T−type Neutral Point Clamped Inverter)である。スイッチ部1203a、1203b、1203c、1203dが一つの分岐を構成して、スイッチ部1203e、1203f、1203g、1203hがもう一つの分岐を構成し、二つの分岐の間の電位差に従って出力電圧(OUT1、OUT2)が合成される。
【0071】
整流部1201は、第1位相電圧の第1相の入力を受けて整流した第1整流電圧を供給する。平滑部1202は、整流部1201で整流された第1整流電圧の入力を受けて、互いに異なる第1乃至第3ノードに各々異なるレベルの電圧で供給する。インバータ部1203は、平滑部1202で供給される三つのレベルの電圧を伝達するために、複数のスイッチ部を備えてもよい。インバータ部1203は、第1ノードと第1出力端(OUT1)との間に備えられる第1スイッチ部1203aと、第2ノードと第1出力端(OUT1)との間に備えられる第2スイッチ部1203c、1203dと、第3ノードと第1出力端(OUT1)との間に備えられる第3スイッチ部1203bと、第1ノードと第2出力端(OUT2)との間に備えられる第4スイッチ部1203eと、第2ノードと第2出力端(OUT2)との間に備えられる第5スイッチ部1203g、1203hと、第3ノードと第2出力端(OUT2)との間に備えられる第6スイッチ部1203fと、を含んでもよい。
【0072】
第1乃至第6スイッチ部1203a、1203b、1203c、1203d、1203e、1203f、1203gは、電力用半導体及びダイオードを含んで具現することができる。
【0073】
第2スイッチ部1203c、1203dは、第2ノードから第1出力端(OUT1)に電流方向性を有する第1ダイオード1203cと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体1203cと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードと直列接続された第2ダイオード1203dと、第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体1203dとを含んで具現することができる。
【0074】
第1スイッチ部1203aは、第1出力端(OUT1)から第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体とを含んで具現することができる。
【0075】
第3スイッチ部1203bは、第3ノードから第1出力端(OUT1)に電流方向性を有する第2ダイオードと、第2ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを含んでもよい。
【0076】
第5スイッチ部1203g、1203hは、第2ノードから第2出力端(OUT2)に電流の方向性を有する第1ダイオード1203gと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体1203gと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードと直列接続された第2ダイオード1203fと、第1電力用半導体とは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体1203fとを含んでもよい。
【0077】
第4スイッチ部1203eは、第2出力端(OUT2)から第1ノードに電流方向性を有する第1ダイオードと、第1ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第1ダイオードの一端と他端とを接続する第1電力用半導体とを含んでもよい。
【0078】
第6スイッチ部1203fは、第3ノードから第2出力端(OUT2)に電流方向性を有する第2ダイオードと、第2ダイオードとは逆の電流方向性を有し、第2ダイオードの一端と他端とを接続する第2電力用半導体とを備えてもよい。
【0079】
平滑部1202は、直列接続された第1及び第2コンデンサ(C1、C2)を備えてもよい。第1及び第2コンデンサ(C1、C2)は、第1整流電圧を一端と他端とを介して印加を受けて、第1及び第2コンデンサ(C1、C2)の一端ノード、共通ノード及び他端ノードが、第1乃至第3ノードになるように配置される。
【0080】
整流部1201は、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第1相電圧の供給を受ける第1及び第2ダイオード(D1、D2)と、第1及び第2コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第2相電圧の供給を受ける第3及び第4ダイオード(D3、D4)と、第1コンデンサの一端と他端とを接続して、共通ノードに第1位相電圧の第3相電圧の供給を受ける第5及び第6ダイオード(D5、D6)とを含んでもよい。
【0081】
図13及び図14は、本発明の第2実施形態及び第3実施形態を示すインバータシステムを示すブロック図である。図13は、図12の単位電力セルを利用して電動機の各相当たり四つの単位電力セルを構成したインバータシステムを示す。
【0082】
図13を参照すると、インバータシステム1301は、位相偏移変圧器1304と、単位電力セル1305a〜1305lとを含む。位相偏移変圧器1304は、3相電源供給部1302から来る電圧の印加を受けて、単位電力セル1305a〜1305lに供給する。電動機は、インバータシステム1301の負荷(load)である3相電動機1303である。3相電源供給部1302は、線間電圧実効値が600V以上の3相電源である。
【0083】
本実施形態に適用された位相偏移変圧器1304は、四つのモジュールで構成されている。第1モジュール1304aは、1次側巻線が−5度の位相を有する3相結線になっていて、2次側巻線は−20度、0度、20度の位相を有する三つの絶縁された3相結線である。第2モジュール1104bは、1次側巻線が3相Y結線であり、2次側は第1モジュール1304aと同じである。第3モジュール1304cは、1次側巻線が5度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1304aと同じである。第4モジュール1304dは、1次側巻線が10度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1304aと同じである。単位電力セル1305a〜1305lの出力電圧は5レベルである。
【0084】
負荷電動機1303の各相当り三つの単位電力セルで構成され、必要に応じて単位電力セルの数は拡張が可能である。
【0085】
単位電力セル1305a〜1305lは、第1グループ単位電力セル1305a、1305e、1305g、第2グループ単位電力セル1305b、1305f、1305j、第3グループ単位電力セル1305c、1305g、1305k、及び第4グループ単位電力セル1305d、1305h、1305lに区分することができる。
【0086】
第1グループ単位電力セル1305a、1305e、1305iは、第1モジュール1304aから第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第1乃至第3単位電力セル1305a、1305e、1305iである。
【0087】
第2グループ単位電力セル1305b、1305f、1305jは、第2モジュール1304bから第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第4乃至第6単位電力セル1305b、1305f、1305jである。
【0088】
第3グループ単位電力セル1305c、1305g、1305kは、第3モジュール1304cから第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第7乃至第9単位電力セル1305c、1305g、1305kである。
【0089】
第4グループ単位電力セル1305d、1305h、1305lは、第4モジュール1304dから第4位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第10乃至第12単位電力セル1305d、1305h、1305lである。
【0090】
このとき、第1グループ単位電力セル1305a、1305e、1305iのうち一つと、第2グループ単位電力セル1305b、1305f、1305jのうち一つと、第3グループ単位電力セル1305c、1305g、1305kのうち一つと、第4グループ単位電力セル1305d、1305h、1305lのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成される。
【0091】
すなわち、単位電力セル1305a、1305b、1305c、1305dの出力は、直列に接続されて負荷3相電動機のa相電圧を出力し、単位電力セル1305e、1305f、1305g、1305hはb相電圧を、単位電力セル1305i、1305j、1305k、1305lはc相電圧を出力する。単位電力セル1305a、1305e、1305iは第1モジュール1304aの出力と接続され、単位電力セル1305b、1305f、1305jは第2モジュール1304bの出力と接続され、単位電力セル1305c、1305g、1305kは第3モジュール1304cの出力と接続され、単位電力セル1305d、1305h、1305lは第4モジュール1304dの出力と接続される。
【0092】
図14は、図12の単位電力セルを利用して、電動機の各相当たり五つの単位電力セルを構成したインバータシステムである。
【0093】
図14を参照すると、インバータシステム1401は、位相偏移変圧器1404と、単位電力セル1405a〜1405oを含む。位相偏移変圧器1404は、3相電源供給部1402から電圧を受けて単位電力セル1405a〜1405oに供給する。電動機は、インバータシステム1401の負荷の3相電動機1403である。3相電源供給部1402は、線間電圧実効値が600V以上の3相電源である。
【0094】
本実施形態に適用された位相偏移変圧器1404は、五つのモジュールで構成されている。第1モジュール1404aは、1次側巻線が−8度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は−20度、0度、20度の位相を有する三つの絶縁された3相結線である。第2モジュール1104bは、1次側巻線が−4度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1304aと同じである。第3モジュール1304cは、1次側巻線が3相Y結線であり、2次側巻線は第1モジュール1304aと同じである。第4モジュール1404dは、1次側巻線が4度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1404aと同じである。第5モジュール1404eは、1次側巻線が4度の位相を有する3相結線であり、2次側巻線は第1モジュール1404aと同じである。単位電力セル1405a〜1405oの出力電圧は5レベルである。負荷電動機1403の各相当たり五つの単位電力セルで構成されているが、必要に応じて単位電力セルの数は拡張可能である。
【0095】
単位電力セル1405a〜1405oは、第1グループ単位電力セル1405a、1405f、1405kと、第2グループ単位電力セル1405b、1405g、1405lと、第3グループ単位電力セル1405c、1405h、1405mと、第4グループ単位電力セル1405d、1405i、1405nと、第5グループ単位電力セル1405e、1305j、1405oとに区分することができる。
【0096】
第1グループ単位電力セル1405a、1405f、1405kは、第1モジュール1404aから第1位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第1乃至第3単位電力セル1405a、1405f、1405kである。
【0097】
第2グループ単位電力セル1405b、1405g、1405lは、第2モジュール1404bから第2位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第4乃至第6単位電力セル1405b、1405g、1405lである。
【0098】
第3グループ単位電力セル1405c、1405h、1405mは、第3モジュール1404cから第3位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第7乃至第9単位電力セル1405c、1405h、1405mである。
【0099】
第4グループ単位電力セル1405d、1405i、1405nは、第4モジュール1404dから第4位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第10乃至第12単位電力セル1405d、1405i、1405nである。
【0100】
第5グループ単位電力セル1405e、1305j、1405oは、第5モジュール1404eから第5位相電圧の各相に対応する信号の供給を受けて予定された変換動作を行い、予定された相の出力電圧を供給する、第13乃至第15単位電力セル1405e、1305j、1405oである。
【0101】
このとき、第1グループ単位電力セル1405a、1405f、1405kのうち一つと、第2グループ単位電力セル1405b、1405g、1405lのうち一つと、第3グループ単位電力セル1405c、1405h、1405mのうち一つと、第4グループ単位電力セル1405d、1405i、1405nのうち一つと、第5グループ単位電力セル1405e、1405j、1405oのうち一つとが組になって、同相の出力電圧を供給するように構成される。
【0102】
すなわち、単位電力セル1405a、1405b、1405c、1405d、1405eの出力は、直列に接続されて負荷3相電動機のa相電圧を出力し、単位電力セル1405f、1405g、1405h、1405i、1405jはb相電圧を、単位電力セル1405k、1405l、1405m、1405n、1405oはc相電圧を出力する。単位電力セル1405a、1405f、1405kは第1モジュール1404aの出力と接続され、単位電力セル1405b、1405g、1405lは第2モジュール1404bの出力と接続され、単位電力セル1405c、1405h、1405mは第3モジュール1404cの出力と接続され、単位電力セル1405d、1405i、1405nは第4モジュール1404dの出力と接続され、第5単位電力セル1405e、1405j、1405oは第5モジュール1404eの出力と接続される。
【0103】
今まで説明した本実施形態のインバータシステムは、従来の単一ユニットの位相偏移変圧器をモジュール化して、単位電力セルを有するマルチレベル高圧インバータに用いている。本実施形態で提案するモジュール型位相偏移変圧器の2次側巻線の位相偏移角は、式1及び式2によって決定される。
【0104】
また、本発明で提案するモジュール型位相偏移変圧器の1次側巻線の位相偏移角は、次の関係によって決定される。
αprim=360/Nm_T*1/Nsec_out*1/Ndiode_pulse [度] (3)
【0105】
ここで、Nm_Tは位相偏移変圧器のモジュール数、Nsec_outは一つの位相偏移変圧器モジュールの2次側出力数、Ndiode_pulseはダイオード整流器のパルス(pulse)数である。例えば、図11の場合、Nm_Tは3、Nsec_outは6、Ndiode_pulseは6になって、αprimは6.7度となる。位相偏移変圧器の1次側巻線は、0度を基準に倍数の形態で位相をずらすことが望ましい。
【0106】
本実施形態で提案するモジュール型位相偏移変圧器の容量は、従来の単一ユニット型位相偏移変圧器の容量と次の関係を有する。
Sm_T=Sconv/Nm_T (4)
【0107】
ここで、Sm_Tは、モジュール型位相偏移変圧器の個当たり皮相電力であり、Sconvは、単一ユニット型位相偏移変圧器の皮相電力である。モジュール型位相偏移変圧器は、従来の単一ユニット型位相偏移変圧器に比べて容量が小さいため、変圧器巻線が占める面積(winding window)が減って全体積及び重さが減少し、位相偏移変圧器の体積と重さが低減されるにつれて、システム全体の大きさ及び体積が減る。
【0108】
また、モジュール型位相偏移変圧器は、Nm_Tだけの変圧器数を有するが、これは、結果的にシステム全体の割付上の自由度及び設計上の柔軟性を提供する。
【0109】
また、従来の単位ユニット型位相偏移変圧器は、1次側巻線が故障状態になると、全体システムの運転が不可能になるが、本実施形態で提案するモジュール型位相偏移変圧器を用いる場合、あるモジュールの位相偏移変圧器の1次側巻線が故障状態になると、故障状態のモジュールと接続された電力変換回路を迂回して出力を低減させた状態で連続運転を可能にする。このような構造上の特徴によって、モジュール型位相偏移変圧器を用いる場合、全体システムの冗長性が増大する。入力端に電流歪み現象が生じることもある。
【0110】
次に、本実施形態のインバータシステムに適用される単位電力セルのインバータ部について説明する。図12に示されたように、本発明で用いられるインバータ部は、単相T型NPCインバータで構成される。
【0111】
図12を参照すると、単位電力セルのインバータ部1203の一つの分岐は、四つのスイッチ部1203a、1203b、1203c、1203dで構成されて、これらの動作によって出力極電圧が規定される。
【0112】
スイッチ部1203a及び1203cは同時にオンになることがなく、スイッチ部1203b及び1203dも同時にオンになることはない。また、スイッチ部1203a及び1203bの動作は、独立に要求される出力極電圧が正の場合には、スイッチ部1203a及び1203cが動作し、出力極電圧指令が負の場合には、スイッチ部1203bと1203dが動作する。
【0113】
平滑部1202の直列接続されているDCリンクコンデンサ(C1、C2)の電圧を各々Eと規定したとき、出力極電圧指令が正の場合、スイッチ部1203aがオンになって、スイッチ部1203cがオフになったときは出力極電圧はEを出力し、スイッチ部1203aがオフになり、スイッチ部1203cがオンになったときは出力極電圧が0になる。出力極電圧指令が負の場合、スイッチ部1203bがオンになり、スイッチ部1203dがオフになったときは、出力極電圧は−Eを出力し、スイッチ部1203bがオフになり、スイッチ部1203dがオンになったときは、出力極電圧が0になる。このように規定される出力極電圧を利用すると、各単位パワーセルの出力線間電圧は、2E、E、0、−E、−2Eの5レベルを有する。
【0114】
出力極電圧が、E、0、−Eに決定されたとき、電流の方向による電力半導体の導通を調べると、図15から図20のとおりである。
【0115】
図15乃至図20は、図12に示されたインバータ部の動作を示す回路図である。
【0116】
図15は、出力極電圧が0で出力電流が正の場合、図16は、出力極電圧がEで出力電流が正の場合、図17は、出力極電圧が−Eで出力電流が正の場合に、導通するスイッチ部を表示したものである。図15では、ダイオード一つ、スイッチ一つが、図16では、スイッチ部一つ、図17ではダイオード一つが導通する。図18は、出力極電圧が0で出力電流が負の場合、図19は、出力極電圧がEで出力電流が負の場合、図20は、出力極電圧が−Eで出力電流が負の場合に、導通するスイッチ部を表示したものである。図18では、ダイオード一つ、スイッチ部一つが、図19では、ダイオード一つ、図20では、スイッチ部一つが導通する。
【0117】
図15及び図18では、スイッチ一つ、ダイオード一つが導通するが、残りの場合には、ダイオード一つ又はスイッチ一つだけが導通して、平均的に導通される電力半導体素子の数が図5乃至図10までの場合と比較して減ることが分かり、このことから電力用半導体で発生する損失が減少して全体システムの効率が増大し、これによって放熱部の大きさが減ることになる。本実施形態では、電力用半導体は、IGBT又は電力用MOSFETを含む。
【0118】
今まで説明した本発明のインバータシステムは、システム設計時の自由度が増加し、システム全体の体積及び重さが減少する。これは、マルチレベル高圧インバータの入力端に用いられる位相偏移変圧器の構造のモジュール化と、単位電力セルの入力端を6パルスのダイオードで構成することとで達成される。
【0119】
また、本発明のインバータシステムは、モジュール化された位相偏移変圧器を用いることによって、全体システムの冗長性が増大する。また、本発明のインバータシステムは、動作効率も増加するが、これは変更されたインバータ部の構造によって平均的に導通する電力半導体素子の数を減らすことによって達成される。インバータシステムの導通損失が低下すると、放熱設計が容易になり、システム全体の体積及びコストを低減させることができる。
【0120】
以上、代表的な実施形態によって本発明に対して詳細に説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、上述した実施形態に対し本発明の範疇から逸脱しない限度内で多様な変形が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の権利範囲は、説明された実施形態に限定してはならず、後述する特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲の均等物などによって定めなければならない。
【符号の説明】
【0121】
101 インバータシステム
102 入力3相電源
103 3相電動機
104 位相偏移変圧器
105a〜105f 単位電力セル
201 ダイオード整流部
202 平滑部
203 インバータ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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