(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1方向に移動する際は、前記特定駆動輪の外周と前記受動輪の外周が接することにより前記特定駆動輪の回転が前記受動輪の回転に伝達され、前記第2方向に移動する際は、前記特定駆動輪の外周と前記受動輪の外周が離間することにより前記受動輪が自在に回転することを特徴とする請求項1に記載の長尺物巻き取り機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第6の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
又、以下に示す第1〜第6の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図1、
図6及び
図7に示すように、消火用ホース、散水用ホース、ロープ、電気配線(電源コード)等の種々の長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)をそれぞれ懸架するフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)とを備える。
図7の正面図から分かるように、ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ12bが設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジ12bの更に外側にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。第1フランジ12aと第2フランジ12bの外径は、長尺物23の直径又は厚み、及び長尺物23の長さ等を考慮して決めればよい。
【0013】
第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)は、
図1,
図3,
図6〜8等に示すように第1立管4aと、第1立管4aに対向して離間し、第1立管4aに平行に設けられた第2立管4bと、第1立管4aと第2立管4bとをそれぞれの上端部において接続する把持用のグリップ管4cと、第1立管4aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2立管4bの中間部から分岐するように設けられた第2上アーム7bと、第1立管4aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2立管4bの下端部から分岐するように設けられた第2下アーム3bと、第1下アーム3aが第1立管4aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アーム3bが第2立管4bに接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管3cを備える。
図1,
図3及び
図6等に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アーム7bは第2下アーム3bとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アーム3bに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
【0014】
第2下アーム3bと第2立管4bとの角度は、例えば、
図6に示す第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機の停止状態において、第2下アーム3bの先端が地面(又は床面)Eに接した状態において、第2立管4bがほぼ鉛直方向になるような角度に設定すれば、第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機の収納に余分なスペースを占有しなくなるので実用上便利である。このため、第2上アーム7bが第2立管4bから分岐する角度も第2下アーム3bと第2立管4bとの角度とほぼ同等の角度に設定すればよい。ただし、
図6に示す停止状態の態様は一例なので、第2上アーム7bと第2立管4bとの間の角度及び第2下アーム3bと第2立管4bとの間の角度は、
図6に示すトポロジーに限定されるものではない。
【0015】
第1下アーム3aと第1立管4aとの角度も、第2下アーム3bの角度と同様に第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機の停止状態において、第1下アーム3aの先端が地面(又は床面)Eに接した状態において、第1立管4aがほぼ鉛直方向になるような角度に設定し、第1上アーム7aが第1立管4aから分岐する角度も第1下アーム3aと第1立管4aとの角度とほぼ同等の角度に設定すればよいが、私用の態様を考慮して他の角度でもよい。
【0016】
図7の正面図等に示すように、グリップ管4cが第1立管4a及び第2立管4bに対して垂直方向に設けられているので、第1立管4a、第2立管4b及びグリップ管4cとでU字型の形状をなしている。第1立管4aと第2立管4bとを接続するグリップ管4cは、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)を操作者(オペレータ)の両手(又は片手)が把持して操作する竿部を構成している。又、
図8の上面図等に示すように、下アーム連結管3cは第1下アーム3a及び第2下アーム3bに対して垂直方向に設けられているので、第1下アーム3a、第2下アーム3b及び下アーム連結管3cとでU字型の形状をなしている。第1下アーム3aと第2下アーム3bとを接続する下アーム連結管3cが、グリップ管4cと共にラダーフレーム(はしご形フレーム)の構造を実現して、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)の機械的強度を維持している。
【0017】
第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)は、
図4の部分図及び
図4のA−A方向に沿った階段断面図である
図5等に例示的に示すように、第1上アーム7aを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する板状の第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラ27aを備える。
図5の階段断面図に示すように、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されている。このため、第1連結棒9aは
図5の紙面に垂直方向の揺動面に沿って揺動してクランク運動することが可能である。第1副揺動軸10aは転がり軸受け等を介して第1連結棒9aの端部を垂直方向に貫通し、第1連結棒9aの端部に対し回転可能に支持されている。
【0018】
又、第2のドラム支持機構(10b,27b,9b,8b)は、
図6〜
図8等に例示的に示すように、第2上アーム7bを下向きのT字型に分岐するように設けられた凸部を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に設けられた第2揺動主軸8bと、第2揺動主軸8bに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第2揺動主軸8bを支点として揺動する板状の第2連結棒9bと、第2連結棒9bの他端に回転可能に端部を挿入された第2副揺動軸10bと、第2副揺動軸10bが中心を貫通し、第2副揺動軸10bと一体となって回転する円筒状の第2ローラ27bを備える。断面図の図示は省略しているが、
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第2揺動主軸8bは転がり軸受け等を介して第2上アーム7bの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されている。このため、第2連結棒9bは第1連結棒9aと同様に、
図5の紙面に垂直方向と等価な揺動面に沿って揺動してクランク運動することが可能である。第2副揺動軸10bは転がり軸受け等を介して第2連結棒9bの端部を垂直方向に貫通し、第2連結棒9bの端部に対し回転可能に支持されている。
【0019】
図1及び
図3〜7に示すように、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)の第1ローラ27aと第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)の第2ローラ27bが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に対して遥動運動可能となっている。
図7に示すように、円板状の第1フランジ12aから左側に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラ27aの外周面が接し、円板状の第2フランジ12bから右側に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラ27bの外周面が接している。このため、第1ローラ27aと第2ローラ27bのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。より具体的には、
図3及び
図4の紙面の奥に向かうドラム2の内径面の母線方向に沿ったドラム2の内径面と第1ローラ27a又は第2ローラ27bの外周面との接線が、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接線となり、ドラム2の鉛直方向に向かう重量を支持している。
【0020】
第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)の下方においてフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)の第1下アーム3aを介して固定された第1の車軸位置移動機構5aと、第2のドラム支持機構(10b,27b,9b,8b)の下方において第2下アーム3bを介して固定された第2の車軸位置移動機構5bとを備える。
図5の階段断面図には、第1の車軸位置移動機構5aの一部の断面が図示されているが、第1の車軸位置移動機構5a及び第2の車軸位置移動機構5bは、それぞれ、ドラム回転軸と平行な面からなる内径面が連続した閉じた枠状の形状をなし、対向する上下の内径面がレール構造の摺動面を構成している。
【0021】
そして、更に、第1の車軸位置移動機構5aの内径面に案内(誘導)されて第1の車軸位置移動機構5aの内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第1の車軸17aを有する第1の搬送輪1aと、第2の車軸位置移動機構5bの内径面に案内(誘導)されて第2の車軸位置移動機構5bの内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第2の車軸17bを有する第2の搬送輪1bとを備える。第1の車軸17a及び第2の車軸17bは、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
【0022】
図2,
図4等に示すように、第1の車軸位置移動機構5aは、第1立管4aの下端部である第1下アーム3aと第1立管4aとの連結部に一方の端部を固定し、他方の端部を第1下アーム3aから下に伸びる枝部を介して第1下アーム3aに固定している。第1下アーム3aから伸びる枝部側の第1の車軸位置移動機構5aの枠状の形状には段差部が設けられ、
図4の垂直方向に計った高さが、第1下アーム3aの下端部側(
図2,
図4において左側)の主スライド部より高くなっている。
【0023】
図5の階段断面図に示すように、第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの左側部分において、第1の搬送輪1aの左側側面から一定の長さ横方向に垂直に突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの左側部分は、断面がH字型となるボビン(糸巻き)形状の車軸摺動ガイド6aの中心を貫通している。第1の車軸17aの左側部分が、車軸摺動ガイド6aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは車軸摺動ガイド6aに対して自在に回転可能になっている。
【0024】
そして、
図4の第1の車軸位置移動機構5aの左側部分(主スライド部)の枠の高さを定義する上下のレールの間隔は、
図5に示す車軸摺動ガイド6aの中央部(糸巻胴部)の外径に対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第1の車軸位置移動機構5aの枠の内部を、上下のレールに案内されて、車軸摺動ガイド6aがスライド(摺動)しながら並進移動する。
図5の階段断面図から分かるように、車軸摺動ガイド6aはH字型の断面構造を構成するように、中央部(糸巻胴部)の両側に円盤状の摺動鍔(摺動フランジ)がそれぞれ設けられ、摺動鍔部の外径はそれぞれ主スライド部の上下のレールの間隔より大きく設定されている。特に、
図2,
図4等に示すように、第1の車軸位置移動機構5aの右側には、段差部が設けられ上下のレールの間隔が左側よりも大きくなっているので、車軸摺動ガイド6aの摺動鍔部の外径を、枠に内接可能な最大内接円の直径よりも大きく設定して、枠のレールから車軸摺動ガイド6aが脱線しないように設計されている。
【0025】
断面図の図示は省略しているが、
図7の正面図から分かるように、第2の搬送輪1bの第2の車軸17bも、第2の搬送輪1bの右側部分において、第2の搬送輪1bの右側側面から一定の長さ横方向に垂直に突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸17bの右側部分も
図6に示すように車軸摺動ガイド6bの中心を貫通している。第2の車軸17bの右側部分が、車軸摺動ガイド6bの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸17bは車軸摺動ガイド6bの内部を自在に回転可能になっている。
【0026】
そして、第2の車軸位置移動機構5bの主スライド部の枠の高さを定義する2本のレールの間隔は、車軸摺動ガイド6bの中央部(糸巻胴部)の外径に対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第2の車軸位置移動機構5bの枠の内部を、2本のレールに案内されて、車軸摺動ガイド6bがスライドしながら並進移動する。
図5に示した断面図と同様に、車軸摺動ガイド6bはH字型の断面構造を構成しており、中央部(糸巻胴部)の両側に円盤状の摺動鍔がそれぞれ設けられている。そして、これらの両側の摺動鍔部の外径は、それぞれ第2の車軸位置移動機構5bの主スライド部の2本のレールの間隔より大きく設定されている。特に、
図6に示すように、第2の車軸位置移動機構5bの左下側には、段差部が設けられ2本のレールの間隔が大きくなっているので、車軸摺動ガイド6bの摺動鍔部の外径を、枠に内接可能な最大内接円の直径よりも大きく設定して、枠のレールから車軸摺動ガイド6bが脱線を防止している。
【0027】
このように、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)が、第1の搬送輪1aと第2の搬送輪1bとを備えることにより、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪1bが、ドラム2を搭載する台車を構成し、台車が第1の車軸17a及び第2の車軸17bの並進移動方向と同一方向に沿って、前後に走行移動してドラム2を搬送する。
【0028】
なお、
図6,
図7及び
図8に示すように、第1の車軸17aと第2の車軸17bとを連結する屈曲した車軸連結部14を更に備えるようにすれば、第1の搬送輪1aと第2の搬送輪1bの回転の安定性と台車の機械的強度を強化することができる。
図7及び
図8に示すように、第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機においては、車軸連結部14が第1フランジ12aと第2フランジ12bの口径が占有する領域を迂回するように、第1フランジ12aと第2フランジ12bの外周近くの2箇所でほぼ直角に曲がった屈曲構造をなしているが、第1フランジ12aと第2フランジ12bの口径が小さければ、第1の車軸17aと第2の車軸17bとを、第1の車軸17a及び第2の車軸17bの共通の延長線に沿って直線状に連結することが可能である。
【0029】
第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図1、
図4、
図9等に示すように、並進移動方向に沿った第1方向(
図9において矢印を付した右側に向かう方向)に移動する際は、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に印加される第1方向の力により、受動輪13aが操作者から離れる方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの内部を操作者に近づく方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。この第1距離(回転伝達距離)への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、
図9(a),(b),(c)に示すように、
図9の右側に向かう第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。この結果、
図9(a)→
図9(b)→
図9(c)と進むに従い、ドラム2には長尺物23が巻き込まれる。
【0030】
この際、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)の第1ローラ27aと第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)の第2ローラ27bが、ドラム2のドラム回転軸の位置が遥動運動することが可能となるように支持しているので、第1方向に進む場合には、第1立管4a及び第2立管4bの地面(又は床面)Eに対する角度がより鉛直方向に近くなるように、第1立管4a及び第2立管4bを傾ければドラム回転軸の位置も自動的に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に移動する。この遥動運動と第1の車軸位置移動機構5aによる第1の車軸17aの自動的移動とが重畳することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が伝達距離に自動的に設定される。
【0031】
一方、
図2、
図3、
図10等に示すように、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向(
図2、
図3、
図10において矢印を付した、
図9の矢印とは反対向きの左側に向かう方向)に移動する際は、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に印加される第2方向の力により、受動輪13aが操作者に近づく方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの内部を操作者から離れる方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第1距離(回転伝達距離)より長い「第2距離(非伝達距離)」に自動的に設定される。
図2では、想像線で示した「第1距離(回転伝達距離)」の状態を維持する第1の車軸17aの位置から、第2方向への反転をすることにより、実線で示した「第2距離(非伝達距離)」を維持する位置にまで第1の車軸17aが移動することが示されている。
【0032】
特に、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)の第1ローラ27aと第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)の第2ローラ27bが、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動することが可能となるように支持しているので、第2方向に進む場合には、第1立管4a及び第2立管4bの地面(又は床面)Eに対する角度が、第1方向に進行する場合よりも小さくなるように、第1立管4a及び第2立管4bを傾ければドラム回転軸の位置も自動的に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に移動する。この第1の車軸位置移動機構5aによる第1の車軸17aの自動的移動と、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)の第1ローラ27aと第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)による受動輪13aの回転軸の位置の自動的移動とが重畳して、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第2距離(非伝達距離)へ自動的に設定される。
【0033】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離(非伝達距離)へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、
図10(a),(b),(c)に示すように、
図10の左側に向かう第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、
図10(a)→
図10(b)→
図10(c)と進むに従い、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0034】
このように、第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪1bが構成する台車が前後走行するだけで、
図9(a)→
図9(b)→
図9(c)に示すような、ドラム2への長尺物23の巻取りや、
図10(a)→
図10(b)→
図10(c)に示すような、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0035】
以上の説明では、第1の搬送輪1aの側に受動輪13aが設けられ、第1の搬送輪1aが受動輪13aの回転を駆動する「特定駆動輪」となる場合について説明した。しかし、
図6〜
図8等に示されるように、第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪13bを更に有すので、第2の搬送輪1bも「特定駆動輪(第2の特定駆動輪)」として機能することができる。第2の受動輪13bを更に有することにより、第2の受動輪13bが受動輪(第1の受動輪)13aと共に、ドラム2のドラム回転軸方向に沿った両側においてドラム2を2輪の特定駆動輪で駆動するようにしている。しかしながら、特定駆動輪は少なくとも1つあればよく、従って特定駆動輪に対向する側の受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあれば、ドラム2を駆動することができるので、第2の受動輪13bは必須ではない。
【0036】
図6〜
図8等に示されるように、長尺物巻き取り機が第2の受動輪13bを更に有する場合は、
図1、
図4、
図9等に示すように、並進移動方向に沿った第1方向に移動する際は、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に印加される第1方向の力により、ドラム回転軸と第2の車軸17bとの間隔が第1距離(回転伝達距離)に自動的に設定されることにより第2の搬送輪1bの回転が第2の受動輪13bの回転へ伝達され、第2の受動輪13bを駆動して、受動輪(第1の受動輪)13aと共に第2の受動輪13bがドラム2の回転を駆動し、ドラム2が長尺物23を巻き込む。即ち、第1方向に移動する際は、第2の搬送輪1bの外周と第2の受動輪13bの外周が接することにより第2の搬送輪1bの回転が第2の受動輪13bの回転に伝達され、受動輪(第1の受動輪)13aと共に第2の受動輪13bがドラム2の回転を駆動し、ドラム2が長尺物23を巻き込む。
【0037】
一方、
図2、
図3、
図10等に示すように、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に印加される第2方向の力により、ドラム回転軸と第2の車軸17bとの間隔が第1距離(回転伝達距離)より長い第2距離(非伝達距離)に自動的に設定されることにより、第2の受動輪13bが第2の搬送輪1bの回転運動から解放されて、第2の受動輪13bが自在に回転して、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第2の搬送輪1bの外周と第2の受動輪13bの外周が離間することにより第2の受動輪13bが自在に回転して、長尺物23がドラム2から引き出される。
【0038】
なお、特定駆動輪や受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪13bのみでドラム2を駆動するようにして、第2の受動輪13bを特定駆動輪として定義しもよい。
又、
図1〜
図8等では図示を省略したが、消火用ホースや散水用ホースを、第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機の長尺物23とする場合は、
図11に示すようなT分岐した通水管11の主管をドラム2の空洞部の中心位置に設け、この主管から分岐した接続管を第1フランジ12aと第2フランジ12bの間のドラム2の胴部の所定の箇所で、胴部を貫通させるようにすればよい。そして、この貫通してドラム2の胴部の表面(外部)に突出した接続管の端部に、消火用ホースや散水用ホース等の長尺物23の端部を接続して長尺物23に通水するようにすればよい。
【0039】
(第1の実施形態の第1変形例)
図1及び
図3〜7では、第1のドラム支持機構(10a,27a,9a,8a)が単一の第1ローラ27aを備え、第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)が単一の第2ローラ27bを備え、ドラム2を両側から支持しる構造を説明したが、例示に過ぎない。第1のドラム支持機構や第2のドラム支持機構がそれぞれ複数のローラを備えて、複数のローラがそれぞれドラム2の内径面に接するように構成して、ドラム2を回転可能に支持し、且つドラム2のドラム回転軸の位置がフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に対して遥動運動可能とすることも可能である。
【0040】
例えば、
図12に示すように、3つのローラ71a,72a,73aを備えてドラム2を片側3点(両側6点)で支持するようにしてもよい。
図12に示す第1の実施形態の変形例に係る長尺物巻き取り機に係る第1のドラム支持機構(8a,9a,61a,62a,63a,71a,72a,73a)でも、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた下向きの凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に第1揺動主軸8aが設けられている。又、
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されている。
【0041】
しかしながら、第1の実施形態の変形例に係る長尺物巻き取り機においては、第1連結棒9aが逆Y字型の3分岐構造をなしている。第1揺動主軸8aは逆Y字型の第1連結棒9aの上端部に一体で固定され、第1揺動主軸8aが連結棒支持部に対し回転可能に結合されるので、第1連結棒9aは第1揺動主軸8aを支点として揺動する。逆Y字型をなす第1連結棒9aの下側に浅く分岐した2つの端部には、それぞれ第1左ローラ71a及び第1右ローラ73aが設けられ、下側に分岐の股となる中央に第1中央ローラ72aが、それぞれドラム2の内径面に接するように配置されている(なお、本明細書の説明における「右」、「左」は、単なる呼称であって、着目している構造をどちらから見たかにより、逆の「右」、「左」の選択もあり得ることは勿論である。)。
【0042】
図5に断面構造を例示した第1副揺動軸10aと同様に、第1左ローラ71aには第1左ローラ71aの軸長よりも長い第1左副揺動軸61aが第1左ローラ71aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1左副揺動軸61aが第1連結棒9aの下側に浅く分岐した左側の端部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1右ローラ73aには第1右ローラ73aの軸長よりも長い第1右副揺動軸63aが第1右ローラ73aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1右副揺動軸63aが第1連結棒9aの下側に浅く分岐した右側の端部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1中央ローラ72aには第1中央ローラ72aの軸長よりも長い第1中央副揺動軸62aが第1中央ローラ72aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1中央副揺動軸62aが第1連結棒9aの下側に浅く分岐の股(中央部)に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。
【0043】
第1左副揺動軸61aは第1左ローラ71aの中心を貫通して第1左ローラ71aに固定されている。同様に、第1中央副揺動軸62aは第1中央ローラ72aの中心を貫通して第1中央ローラ72aに固定され、第1右副揺動軸63aは第1右ローラ73aの中心を貫通して第1右ローラ73aに固定されている。そして、第1左副揺動軸61a、第1中央副揺動軸62a、第1右副揺動軸63aは、それぞれ、第1左ローラ71a、第1中央ローラ72a及び第1右ローラ73aと一体となって回転する。
【0044】
図5に断面構造を例示した構造と同様に、第1の実施形態の変形例に係る長尺物巻き取り機においても、第1連結棒9aは、
図5の紙面に垂直方向と等価な方向の揺動面に沿って揺動してクランク運動することが可能である。第1副揺動軸10aは転がり軸受け等を介して第1連結棒9aの端部を垂直方向に貫通し、第1連結棒9aの端部に対し回転可能に支持されている。
【0045】
図示を省略しているが、
図12に示す第1の実施形態の変形例に係る長尺物巻き取り機に係る第2のドラム支持機構でも、第2上アームの中間位置近傍に設けられた下向きの凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に第2揺動主軸が設けられている。又、
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第2揺動主軸は転がり軸受け等を介して第2上アームの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されている。
【0046】
しかしながら、第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機の変形例においては、第2連結棒が逆Y字型の3分岐構造をなしている。第2揺動主軸は逆Y字型の第2連結棒の上端部に一体で固定され、第2揺動主軸が連結棒支持部に対し回転可能に結合されるので、第2連結棒は第2揺動主軸を支点として揺動する。逆Y字型をなす第2連結棒の下側に浅く分岐した2つの端部には、それぞれ第1左ローラ及び第1右ローラが設けられ、下側に分岐の股となる中央に第1中央ローラが、それぞれドラム2の内径面に接するように配置されている。
【0047】
図示を省略しているが、第2左ローラには第2左ローラの軸長よりも長い第2左副揺動軸が第2左ローラの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第2左副揺動軸が第2連結棒の下側に浅く分岐した左側の端部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第2右ローラには第2右ローラの軸長よりも長い第2右副揺動軸が第2右ローラの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第2右副揺動軸が第2連結棒の下側に浅く分岐した右側の端部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第2中央ローラには第2中央ローラの軸長よりも長い第2中央副揺動軸が第2中央ローラの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第2中央副揺動軸が第2連結棒の下側に浅く分岐の股(中央部)に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。
【0048】
第1のドラム支持機構(8a,9a,61a,62a,63a,71a,72a,73a)の第1左ローラ71a、第1中央ローラ72a及び第1右ローラ73aと第2のドラム支持機構の第2左ローラ、第2中央ローラ及び第2右ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能にそれぞれ3点で支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に対して遥動運動可能となっている。
図7に示した構造と同様に、第1の実施形態の変形例に係る長尺物巻き取り機においても、円板状の第1フランジ12aから左側に突出した部分のドラム2の内径面に第1左ローラ71a、第1中央ローラ72a及び第1右ローラ73aの外周面が接し、円板状の第2フランジ12bから右側に突出した部分のドラム2の内径面に第2左ローラ、第2中央ローラ及び第2右ローラの外周面が接している。このため、第1左ローラ71a、第1中央ローラ72a及び第1右ローラ73aと第2左ローラ、第2中央ローラ及び第2右ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との3つの接点(3つの内接点)がドラム2をフレーム(7a,7b;3a,3b;4a,4b,4c)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。より具体的には、ドラム2の内径面の母線方向に沿ったドラム2の内径面と第1左ローラ71a、第1中央ローラ72a及び第1右ローラ73a又は第2左ローラ、第2中央ローラ及び第2右ローラの外周面との接線が、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接線となり、ドラム2の鉛直方向に向かう重量を支持することにより、より安定にドラム2を支持することが可能である。
【0049】
(第1の実施形態の第2変形例)
図13に示す本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機は、
図1、
図6及び
図7等に示したのと同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(7a,3a,41a,18a)とを備える。
図7の正面図から分かるように、ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0050】
第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,41a,18a)は、
図13に示すように第1アーム杆41aと、第1アーム杆41aに対向して離間し、第1アーム杆41aに平行に設けられた第2アーム杆と、第1アーム杆41aと第2アーム杆とをそれぞれの上端部において接続する上部連結管(図示省略)と、第1アーム杆41aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2アーム杆の中間部から分岐するように設けられた第2上アーム(図示省略)と、第1アーム杆41aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2アーム杆の下端部から分岐するように設けられた第2下アーム(図示省略)と、第1下アーム3aが第1アーム杆41aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アームが第2アーム杆に接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管(図示省略)を備える。
【0051】
更に、第1アーム杆41aから第1上アーム7aが分岐している箇所にV字の一方の端部、この分岐している箇所と第1下アーム3aが接続された箇所の中間近傍にV字の他方の端部を接続したV字型の第1固定スタンド18aと、第2アーム杆から第2上アームが分岐している箇所にV字の一方の端部、この分岐している箇所と第2下アームが接続された箇所の中間近傍にV字の他方の端部を接続したV字型の第2固定スタンドとを備える。V字型の第1固定スタンド18aと第2固定スタンドとを備えているので、第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機の停止時には、手押し運搬車(工事用一輪車)と同様に、第1固定スタンド18aと第2固定スタンドのそれぞれのV字の頂点が接地してフレーム(7a,3a,41a,18a)を支持することが可能である。
【0052】
図13に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アームは第2下アームとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アームに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
【0053】
図示を省略しているが、上部連結管が第1アーム杆41a及び第2アーム杆に対して垂直方向に設けられているので、第1アーム杆41a、第2アーム杆及び上部連結管とでH字型の形状をなしている。第1アーム杆41aと第2アーム杆の上部は、フレーム(7a,3a,41a,18a)を操作者の両手(又は片手)が把持して操作するグリップ部を構成している。図示を省略しているが、下アーム連結管が第1下アーム3a及び第2下アームに対して垂直方向に設けられ、上部連結管と共にラダーフレームの構造を実現して、フレーム(7a,3a,41a,18a)の機械的強度を維持している。
【0054】
第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)は、
図4等に例示的に示した構造と同様に、第1上アーム7aを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラを備える。
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1連結棒9aは揺動してクランク運動することが可能である。
【0055】
図13に示すように、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,3a,41a,18a)に対して遥動運動可能となっている。円板状の第1フランジ12aから
図13の紙面に垂直方向(手前方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラの外周面が接し、円板状の第2フランジから紙面に垂直方向(奥方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラの外周面が接している。このため、第1ローラと第2ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(7a,3a,41a,18a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0056】
第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の下方においてフレーム(7a,3a,41a,18a)の第1下アーム3aを介して固定された第1の車軸位置移動機構5aと、第2のドラム支持機構の下方において第2下アームを介して固定された第2の車軸位置移動機構とを備える。第1の車軸位置移動機構5a及び第2の車軸位置移動機構は、それぞれ、ドラム回転軸と平行な面からなる内径面が連続した閉じた矩形の枠状の形状をなし、矩形の長辺として対向する上下の内径面がレール構造の摺動面を構成している。
【0057】
そして、更に、第1の車軸位置移動機構5aの内径面に案内(誘導)されて第1の車軸位置移動機構5aの内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第1の車軸17aを有する第1の搬送輪1aと、第2の車軸位置移動機構の内径面に案内(誘導)されて第2の車軸位置移動機構の内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第2の車軸を有する第2の搬送輪(図示省略)とを備える。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
【0058】
図13に示すように、第1の車軸位置移動機構5aは、第1アーム杆41aの下端部である第1下アーム3aと第1アーム杆41aとの連結部に一方の端部を固定し、他方の端部を第1下アーム3aの中央部近傍において下にぶら下がる態様で第1下アーム3aに固定されている。
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの手前側(
図13において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の搬送輪1aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの突出部は、摺動方向に垂直な断面(
図13において紙面に垂直方向の断面)がH字型の第1の車軸摺動ガイド39aの中心を貫通している。断面図の図示を省略しているが、H字の真ん中の横棒に対応する第1の車軸摺動ガイド39aの胴部は、上面と下面に互いに平行な摺動面を有する直方体の構造である。そして、H字型の断面構造を構成するように、直方体の胴部の両側(
図13において紙面に垂直方向の手前側と裏側)に、
図13の紙面に垂直方向から見た形状が矩形となる摺動フランジがそれぞれ設けられている。矩形の摺動フランジの高さはそれぞれ上下のレールの間隔より大きく設定され、枠のレールから第1の車軸摺動ガイド39aが脱線しないように設計されている。
【0059】
第1の車軸17aの突出部が、第1の車軸摺動ガイド39aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは第1の車軸摺動ガイド39aに対して自在に回転可能になっている。そして、
図13の第1の車軸位置移動機構5aの上下のレールの間隔は、第1の車軸摺動ガイド39aの胴部(直方体)の厚さに対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第1の車軸位置移動機構5aの枠の内部を、上下のレールに案内されて、第1の車軸摺動ガイド39aの直方体の胴部がスライド(摺動)しながら並進移動する。
【0060】
断面図の図示は省略しているが、
図7の正面図に示したのと同様に、第2の搬送輪の第2の車軸も、第2の搬送輪の側面から第1の搬送輪1aとは反対方向に一定の長さ垂直に突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の部分もH字型の断面構造を有する第2の車軸摺動ガイドの中心を貫通している。第2の車軸の突出部分が、第2の車軸摺動ガイドの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は第2の車軸摺動ガイドの内部を自在に回転可能になっている。第2の車軸位置移動機構の上下の2本のレールの間隔は、第2の車軸摺動ガイドの直方体形状の胴部の厚さに対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第2の車軸位置移動機構の枠を構成する上下の2本のレールに案内されて、第2の車軸摺動ガイドがスライドしながら並進移動する。第2の車軸摺動ガイドもH字型の断面構造を構成するように、胴部の両側に矩形の摺動フランジがそれぞれ設けられている。そして、これらのH字型を構成する両側の摺動フランジの高さは、それぞれ第2の車軸位置移動機構の主スライド部の2本のレールの間隔より大きく設定されている。
【0061】
このように、フレーム(7a,3a,41a,18a)が、第1の搬送輪1aと第2の搬送輪とを備えることにより、フレーム(7a,3a,41a,18a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が、ドラム2を搭載する台車を構成し、台車が第1の車軸17a及び第2の車軸の並進移動方向と同一方向に沿って、前後に走行移動してドラム2を搬送する。
【0062】
第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機は、
図1、
図4、
図9等に示したのと同様に、並進移動方向に沿った第1方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,41a,18a)に印加される第1方向の力により、受動輪13aが操作者から離れる方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの内部を操作者に近づく方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。この第1距離への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。
【0063】
一方、
図2、
図3、
図10等に示したのと同様に、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,41a,18a)に印加される第2方向の力により、受動輪13aが操作者に近づく方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの内部を操作者から離れる方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第1距離より長い第2距離(非伝達距離)に自動的に設定される。
【0064】
特に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動することが可能となるように支持しているので、第2方向に進む場合には、第1アーム杆41a及び第2アーム杆の地面(又は床面)Eに対する角度が、第1方向に進行する場合よりも小さくなるように、第1アーム杆41a及び第2アーム杆を下向きに傾ければドラム回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動する。この第1の車軸位置移動機構5aによる第1の車軸17aの自動的移動と、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構による受動輪13aの回転軸の位置の自動的移動とが重畳して、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第2距離(非伝達距離)へ自動的に設定される。
【0065】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離(非伝達距離)へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0066】
このように、第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,3a,41a,18a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が構成する台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0067】
なお、第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪を更に有してもよく、あるいは、受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
【0068】
(第2の実施形態)
図14に示す本発明の第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図13に示した第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機と同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(7a,3a,41a,18a)とを備える。ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側(
図14の紙面に垂直方向)にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0069】
第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,41a,18a)は、
図14に示すように第1アーム杆41aと、第1アーム杆41aに対向して離間し、第1アーム杆41aに平行に設けられた第2アーム杆と、第1アーム杆41aと第2アーム杆とをそれぞれの上端部において接続する上部連結管(図示省略)と、第1アーム杆41aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2アーム杆の中間部から分岐するように設けられた第2上アーム(図示省略)と、第1アーム杆41aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2アーム杆の下端部から分岐するように設けられた第2下アーム(図示省略)と、第1下アーム3aが第1アーム杆41aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アームが第2アーム杆に接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管(図示省略)を備える。
【0070】
更に、
図13に示した第1の実施形態の第2変形例に係る長尺物巻き取り機と同様に、第1アーム杆41aから第1上アーム7aが分岐している箇所にV字の一方の端部、この分岐している箇所と第1下アーム3aが接続された箇所の中間近傍にV字の他方の端部を接続したV字型の第1固定スタンド18aと、第2アーム杆から第2上アームが分岐している箇所にV字の一方の端部、この分岐している箇所と第2下アームが接続された箇所の中間近傍にV字の他方の端部を接続したV字型の第2固定スタンドとを備える。V字型の第1固定スタンド18aと第2固定スタンドとを備えているので、第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機の停止時には、第1固定スタンド18aと第2固定スタンドのそれぞれのV字の頂点が接地してフレーム(7a,3a,41a,18a)を支持することが可能である。
【0071】
図14に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アームは第2下アームとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アームに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
図示を省略しているが、上部連結管が第1アーム杆41a及び第2アーム杆に対して垂直方向に設けられているので、第1アーム杆41a、第2アーム杆及び上部連結管とでH字型の形状をなしている。第1アーム杆41aと第2アーム杆の上部は、フレーム(7a,3a,41a,18a)を操作者の両手(又は片手)が把持して操作するグリップ部を構成している。図示を省略しているが、下アーム連結管が第1下アーム3a及び第2下アームに対して垂直方向に設けられ、上部連結管と共にラダーフレームの構造を実現して、フレーム(7a,3a,41a,18a)の機械的強度を維持している。
【0072】
図4及び
図13等に例示的に示した構造と同様に、第1上アーム7aを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部として有するが、
図4及び
図13等に例示的に示した構造に比して、連結棒支持部の横方向に計った幅が広い。第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)は、この広い横長の連結棒支持部と、連結棒支持部の左側の領域に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラ(図示省略)を備える。
図5の階段断面図に示した構造と同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1連結棒9aは揺動してクランク運動することが可能である。
【0073】
図14に示すように、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,3a,41a,18a)に対して遥動運動可能となっている。円板状の第1フランジ12aから
図14の紙面に垂直方向(手前方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラの外周面が接し、円板状の第2フランジから紙面に垂直方向(奥方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラの外周面が接している。このため、第1ローラと第2ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(7a,3a,41a,18a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0074】
第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1の車軸位置移動機構(43a,42a,45a)を備える。第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機の第1の車軸位置移動機構(43a,42a,45a)は、第1上アーム7aを下向きに設けられた連結棒支持部と、連結棒支持部の右側の領域に設けられた第1の車軸移動支点軸43aと、第1の車軸移動支点軸43aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1の車軸移動支点軸43aを支点として回転する第1車軸支持板42aと、第1車軸支持板42aの他端に回転可能に端部を挿入された第1の車軸17aを備える。第1の車軸移動支点軸43aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aに横長に設けられた連結棒支持部の右側の領域を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1車軸支持板42aは回転運動することが可能である。
【0075】
第1の車軸位置移動機構(43a,42a,45a)は、更に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の下方において第1下アーム3aを上から挟むように設けられた下向きのU字型の第1の車軸移動案内手段45aを備える。第1の車軸移動案内手段45aは、第1下アーム3aの長手方向に垂直な断面が下向きのU字型をなしているので、第1下アーム3aの側面(
図14において紙面に垂直方向に対向する第1下アーム3aの2面)がレールの摺動面を構成することにより、第1下アームの側面に沿って上下方向の移動を伴いながら緩やかに摺動可能である。第1下アーム3aの側面がレールの摺動面を構成できるように、第1下アーム3aは、第1下アーム3aの長手方向に垂直な断面が矩形である角パイプで構成されている。
【0076】
U字型をなす第1の車軸移動案内手段45aの第1車軸支持板42a側に対向する面には、
図14において第1の車軸移動案内手段45aの陰になる位置に、第1車軸支持板42a側に対向するように垂直に設けられた案内ピンが案内(誘導)される案内溝が設けられている。案内ピンと案内溝の間にはクリアランスが設けられている。第1車軸支持板42aの回転により案内ピンが第1の車軸移動支点軸43aを中心とする円弧上を移動する。案内溝は第1車軸支持板42aに案内ピンの軌道を構成する曲率半径よりも大きな曲率半径の円弧状に掘られているが、案内溝のクリアランス分を遊びとして、且つ第1車軸支持板42aが上下方向にも移動可能な遊びがあることにより、案内ピンは案内溝の内部を自在に摺動することが可能である。
【0077】
図示を省略しているが、
図14の紙面の裏面側において、第2の実施形態に係る長尺
物巻き取り機は、第2の車軸位置移動機構を備える。第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機の第2の車軸位置移動機構は、第2上アームを下向きに設けられた連結棒支持部と、連結棒支持部の右側の領域に設けられた第2の車軸移動支点軸と、第2の車軸移動支点軸に一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第2の車軸移動支点軸を支点として回転する第2車軸支持板と、第2車軸支持板の他端に回転可能に端部を挿入された第2の車軸を備える。第2の車軸移動支点軸は転がり軸受け等を介して第2上アームに横長に設けられた連結棒支持部の右側の領域を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第2車軸支持板は回転運動することが可能である。第2の車軸位置移動機構は、更に、第2のドラム支持機構の下方において第2下アームを上から挟むように設けられた下向きのU字型の第2の車軸移動案内手段を備える。第2の車軸移動案内手段は、第2下アームの長手方向に垂直な断面が下向きのU字型をなし、第2下アームの上を摺動可能である。下向きのU字型をなす第2の車軸移動案内手段の第2車軸支持板側に対向する面には、案内ピンが案内(誘導)される案内溝が設けられている。案内ピンが円弧上を移動するので、案内溝は第2車軸支持板に円弧状に掘られている。
【0078】
そして、第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1の車軸位置移動機構(43a,42a,45a)に案内(誘導)されてドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第1の車軸17aを有する第1の搬送輪1aと、第2の車軸位置移動機構に案内(誘導)されてドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第2の車軸を有する第2の搬送輪(図示省略)とを備える。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有し、地面(又は床面)に対して平行となる方向に並進移動する。
【0079】
図5の階段断面図に示した構造等と同様に、第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの手前側(
図14において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の搬送輪1aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの突出部は、第1車軸支持板42aの下端部領域の中心を貫通している。第1の車軸17aの突出部が、第1車軸支持板42aの下端部領域の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは第1車軸支持板42aに対して自在に回転可能になっている。
【0080】
断面図の図示は省略しているが、
図7の正面図に示したのと同様に、第2の搬送輪の第2の車軸も、第2の搬送輪の側面から第1の搬送輪1aとは反対方向に一定の長さ垂直に突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の部分も第2車軸支持板の下端部領域の中心を貫通している。第2の車軸の突出部分が、第2車軸支持板の下端部領域の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は第2車軸支持板の内部を自在に回転可能になっている。
【0081】
このように、フレーム(7a,3a,41a,18a)が、第1の搬送輪1aと第2の搬送輪とを備えることにより、フレーム(7a,3a,41a,18a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が、ドラム2を搭載する台車を構成し、台車が第1の車軸17a及び第2の車軸の並進移動方向と同一方向に沿って、前後に走行移動してドラム2を搬送する。
【0082】
第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図1、
図4、
図9等に示したのと同様に、並進移動方向に沿った第1方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,41a,18a)に印加される第1方向の力により、受動輪13aが操作者から離れる方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが操作者に近づく方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。この第1距離への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。
【0083】
一方、
図2、
図3、
図10等に示したのと同様に、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,41a,18a)に印加される第2方向の力により、受動輪13aが操作者に近づく方向に揺動移動し、且つ、第1の車軸17aが操作者から離れる方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第1距離より長い第2距離(非伝達距離)に自動的に設定される。
【0084】
特に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動することが可能となるように支持しているので、第2方向に進む場合には、第1アーム杆41a及び第2アーム杆の地面(又は床面)Eに対する角度が、第1方向に進行する場合よりも小さくなるように、第1アーム杆41a及び第2アーム杆を下向きに傾ければドラム回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動する。この第1の車軸位置移動機構(43a,42a,45a)による第1の車軸17aの自動的移動と、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)と第2のドラム支持機構による受動輪13aの回転軸の位置の自動的移動とが重畳して、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第2距離(非伝達距離)へ自動的に設定される。
【0085】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離(非伝達距離)へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0086】
以上述べたとおり、第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,3a,41a,18a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が構成する台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0087】
なお、第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪を更に有してもよく、あるいは、受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
【0088】
(第3の実施形態)
図15に示す本発明の第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、第1及び第2の実施形態に係る長尺物巻き取り機と同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(7a,3a,4a)とを備える。ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側(
図15の紙面に垂直方向)にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0089】
第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,4a)は、
図15に示すように第1立管4aと、第1立管4aに対向して離間し、第1立管4aに平行に設けられた第2立管と、第1立管4aと第2立管とをそれぞれの上端部において接続するグリップ管(図示省略)と、第1立管4aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2立管の中間部から分岐するように設けられた第2上アーム(図示省略)と、第1立管4aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2立管の下端部から分岐するように設けられた第2下アーム(図示省略)と、第1下アーム3aが第1立管4aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アームが第2立管に接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管(図示省略)を備える。
【0090】
図15に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アームは第2下アームとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アームに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
図示を省略しているが、第1立管4a及び第2立管の上端部において、操作者が把持するグリップ管が第1立管4a及び第2立管に対して垂直方向に設けられているので、第1立管4a、第2立管及びグリップ管とでU字型の形状をなしている。図示を省略しているが、下アーム連結管が第1下アーム3a及び第2下アームに対して垂直方向に設けられ、グリップ管と共にラダーフレームの構造を実現して、フレーム(7a,3a,4a)の機械的強度を維持している。
【0091】
図4及び
図13等に例示的に示した構造と同様に、第1上アーム7aを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部として有する。第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)は、この連結棒支持部と、連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラ(図示省略)を備える。
図5の階段断面図に示した構造等と同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1連結棒9aは揺動してクランク運動することが可能である。
【0092】
図15に示すように、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,3a,4a)に対して遥動運動可能となっている。円板状の第1フランジ12aから
図15の紙面に垂直方向(手前方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラの外周面が接し、円板状の第2フランジから紙面に垂直方向(奥方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラの外周面が接している。このため、第1ローラと第2ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(7a,3a,4a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0093】
更に、第1立管4aから右上方向に分岐するように、第1立管4aの下端部近傍の中間位置に設けられた台形の凸部(突起部)を中間伝達輪支持部54aとして有する。更に、台形の上底側となる中間伝達輪支持部54aの端部に回転可能に端部を挿入された中間輪駆動軸55aと、中間輪駆動軸55aが中心を貫通し、中間輪駆動軸55aと一体となって回転する円筒状の中間伝達輪59aと、中間伝達輪59aの外形よりも直径の小さな中間輪駆動ギア52aを備える。中間輪駆動軸55aは中間伝達輪59aと中間輪駆動ギア52aとを合計した厚さよりも長く、中間輪駆動ギア52aの側面から一定の長さ、紙面に垂直方向(
図15の紙面の手前方向)に突出している。この中間輪駆動ギア52aから一定の長さ突出した中間輪駆動軸55aの突出部分が、中間伝達輪支持部54aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、中間輪駆動軸55aは中間伝達輪支持部54aに対して自在に回転可能になっている。
【0094】
第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の下方においてフレーム(7a,3a,4a)の第1下アーム3aを介して固定された第1の車軸位置移動機構5aと、第2のドラム支持機構の下方において第2下アームを介して固定された第2の車軸位置移動機構とを備える。
図15に示すように、第1の車軸位置移動機構5aは、第1立管4aの下端部である第1下アーム3aと第1立管4aとの連結部に一方の端部を固定し、他方の端部を第1下アーム3aから下に伸びる枝部を介して第1下アーム3aに固定している。又、第2の車軸位置移動機構は、第2立管の下端部である第2下アームと第2立管との連結部に一方の端部を固定し、他方の端部を第2下アームから下に伸びる枝部を介して第2下アームに固定している。
【0095】
図5の階段断面図の構造と同様に、第1の車軸位置移動機構5a及び第2の車軸位置移動機構は、それぞれ、ドラム回転軸と平行な面からなる内径面が連続した矩形の枠状(横長の額縁状)状の形状をなし、対向する上下の内径面がレール構造の摺動面を構成している。
そして、第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1の車軸位置移動機構5aの内径面に案内(誘導)されて第1の車軸位置移動機構5aの内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第1の車軸17aを有する第1の搬送輪1aと、第2の車軸位置移動機構の内径面に案内(誘導)されて第2の車軸位置移動機構の内部をドラム回転軸に垂直方向に並進移動する第2の車軸を有する第2の搬送輪とを備える。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
【0096】
第1の車軸17aには、第1の搬送輪1aの他に、第1の搬送輪1aの外径よりも小さな外径を有し、共通の回転軸として第1の車軸17aを有して、第1の搬送輪1aと一体で回転する主ギア53aを備える。第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aと主ギア53aを合計した厚さよりも長く、主ギア53aの側面から一定の長さ紙面に垂直方向(
図15の紙面の手前方向)に突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの部分は、断面がH字型となるボビン(糸巻き)形状の車軸摺動ガイド6aの中心を貫通している。第1の車軸17aの突出部分が、車軸摺動ガイド6aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aが車軸摺動ガイド6aに対して自在に回転し、第1の搬送輪1aと主ギア53aとが一体で回転することが可能になっている。
【0097】
そして、
図15の第1の車軸位置移動機構5aの長方形の枠の高さを定義する上下のレールの間隔は、車軸摺動ガイド6aの中央部(糸巻胴部)の外径に対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第1の車軸位置移動機構5aの枠の内部を、上下のレールに案内されて、車軸摺動ガイド6aがスライド(摺動)しながら並進移動する。車軸摺動ガイド6aはH字型の断面構造を構成するように、中央部(糸巻胴部)の両側に円盤状の摺動鍔(摺動フランジ)がそれぞれ設けられ、摺動鍔部の外径はそれぞれ上下のレールの間隔より大きく設定されている。
【0098】
図示は省略しているが、第2の搬送輪の第2の車軸も、第2の搬送輪の側面から一定の長さ、紙面に垂直方向に突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の部分も車軸摺動ガイドの中心を貫通している。第2の車軸の右側部分が、車軸摺動ガイドの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は車軸摺動ガイドの内部を自在に回転可能になっている。第2の車軸位置移動機構の枠の高さを定義する2本のレールの間隔も、車軸摺動ガイドの中央部(糸巻胴部)の外径に対し一定のクリアランスを付加した寸法に設定されている。この結果、第2の車軸位置移動機構の枠の内部を、2本のレールに案内されて、車軸摺動ガイドがスライドしながら並進移動する。車軸摺動ガイドはH字型の断面構造を構成しており、中央部(糸巻胴部)の両側に円盤状の摺動鍔がそれぞれ設けられている。そして、これらの両側の摺動鍔部の外径は、それぞれ第2の車軸位置移動機構の2本のレールの間隔より大きく設定されている。
【0099】
このように、フレーム(7a,3a,4a)が、第1の搬送輪1aと第2の搬送輪とを備えることにより、フレーム(7a,3a,4a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が、ドラム2を搭載する台車を構成し、台車が第1の車軸17a及び第2の車軸の並進移動方向と同一方向に沿って、前後に走行移動してドラム2を搬送する。
第1の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、並進移動方向に沿った第1方向(
図15において右側に向かう方向)に移動する際は、フレーム(7a,3a,4a)に印加される第1方向の力により、第1の車軸位置移動機構5aの内部を第1の車軸17aが操作者に近づく方向に並進移動することにより、中間輪駆動ギア52aと主ギア53aとの間隔が互いに噛み合う距離に自動的に設定される。
【0100】
この際、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラ27aと第2のドラム支持機構(10b.27b,9b.8b)の第2ローラ27bが、ドラム2のドラム回転軸の位置が遥動運動することが可能となるように支持しているので、第1方向に進む場合には、第1立管4a及び第2立管4bの地面(又は床面)に対する角度がより水平方向に近くなるように、第1立管4a及び第2立管4bを傾ければドラム回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に移動する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と中間伝達輪59aとの間隔が、受動輪13aの外周と中間伝達輪59aの外周とが接する距離に自動的に設定される。この受動輪13aの外周と中間伝達輪59aの外周とが接触し、且つ中間輪駆動ギア52aと主ギア53aとが互いに噛み合う距離である「第1距離(回転伝達距離)」への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、台車の第1方向への移動が受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。
図15に示すとおり、第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機のドラム2は、第1及び第2の実施形態とは逆方向に回転するので、長尺物23はドラム2の下側から巻き取られる。
【0101】
一方、第2方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,4a)に印加される第2方向の力により、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの内部を操作者から遠ざかる方向に並進移動することにより、中間輪駆動ギア52aと主ギア53aとの間隔が互いに噛み合うことができない距離に自動的に離間される。この際、第1立管4a及び第2立管4bの地面(又は床面)に対する角度がより鉛直方向に近くなるように、第1立管4a及び第2立管4bを立てれば、ドラム回転軸の位置も自動的に操作者から遠ざかる方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に、操作者から遠ざかる方向に移動する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と中間伝達輪59aとの間隔が、受動輪13aの外周と中間伝達輪59aの外周とが接することができない距離に自動的に設定される。このように、受動輪13aの外周と中間伝達輪59aの外周とが接触できず、且つ中間輪駆動ギア52aと主ギア53aとが互いに噛み合うことができない距離である「第2距離(非伝達距離)」への自動的に設定されることにより、第1の搬送輪1aの回転から受動輪13aの回転が第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。
【0102】
上記のように、第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,3a,4a)、第1の搬送輪1a及び第2の搬送輪が構成する台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0103】
なお、第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪と、第2の受動輪との接触が可能な中間伝達輪と、中間伝達輪と同軸で一体に回転する中間輪駆動ギアと、この中間輪駆動ギアと噛み合うことが可能で、第2の受動輪と同軸で一体に回転する主ギアを更に有するようにしてもよい。
【0104】
又、受動輪や中間伝達輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13a側の構造を省略して、第2の受動輪側の構造のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機によれば、中間伝達輪59aを有することにより、ドラム2を第1及び第2の実施形態とは逆方向に回転し、ドラム2の下側からの長尺物23の巻取りや引出しの作業を行うことが可能なので、長尺物23の巻取り位置が下がり、安定した台車の移動作業が可能となる。更に、第3の実施形態に係る長尺物巻き取り機によれば、中間輪駆動ギア52aと主ギア53aを使うことで、泥等の滑りによる第1の搬送輪1aと受動輪13aとの回転を阻害されることもないので、第1の搬送輪1aの回転をより確実にドラム2へ伝達することが可能となる。
【0105】
(第4の実施形態)
図16に示す本発明の第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、第1〜第3の実施形態と同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(51a,82a,83a,84a)とを備える。
図7等に示した構造と同様に、ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、ドラム2の主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0106】
図16に示す第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(51a,82a,83a,84a)は、L字型の第1アーム杆51aと、第1アーム杆51aに対向して離間し、第1アーム杆51aに平行に設けられたL字型の第2アーム杆と、第1アーム杆51aの下端部から右方向にL字型に分岐するように設けられた第1サスペンションプレート83aと、第1サスペンションプレート83aに平行に第2アーム杆の下端部からL字型に分岐するように設けられた第2サスペンションプレート(図示省略)とで後輪懸架部(51a,83a)を構成している。
【0107】
図示を省略しているが、それぞれのL字に曲がる屈曲箇所(節部)の内側において、上部連結管が第1アーム杆51a及び第2アーム杆に対して垂直方向に設けられ、第1アーム杆51a、第2アーム杆及び上部連結管とでH字型の形状をなしている。第1アーム杆51aと第2アーム杆の上部は、フレーム(51a,82a,83a,84a)を操車者の両手(又は片手)が把持して操作するグリップ部を構成している。更に、下部連結管が第1アーム杆51aと第1サスペンションプレート83aとの接続部分、及び第2アーム杆と第2サスペンションプレートとの接続部分を互いに連結するように、第1アーム杆51aと第2アーム杆に対し垂直方向に設けられているので、下部連結管が上部連結管と共にラダーフレームの構造を実現して、後輪懸架部(51a,83a)の機械的強度を維持している。
【0108】
この後輪懸架部(51a,83a)の第1サスペンションプレート83aに対して、第1移動サスペンション枠82aが相対移動可能に組み立てられ、第2サスペンションプレートに対して第2移動サスペンション枠(図示省略)が、第1移動サスペンション枠82aに平行に相対移動可能に組み立てられ、第1移動サスペンション枠82aと第2移動サスペンション枠で前輪懸架部(52a,54a)を構成している。実際には、第1移動サスペンション枠82aが、第1サスペンションプレート83aに対し相対移動をすることが可能なように、第1サスペンションプレート83aの両側(
図16において紙面に垂直方向の手前と奥側)から挟み込む第1のサスペンションプレート保持手段84aが第1移動サスペンション枠82aの下に構成されている。同様に、第2移動サスペンション枠が、第2サスペンションプレートに対し相対移動をすることが可能なように、第2サスペンションプレートを両側(
図16において紙面に垂直方向の手前と奥側)から挟み込む第2のサスペンションプレート保持手段(図示省略)が第2移動サスペンション枠の下に構成されている。
【0109】
第1のサスペンションプレート保持手段84a及び第2のサスペンションプレート保持手段は、
図16において紙面に垂直方向から見たトポロジーとして、それぞれU字型の形状をなしている。第1のサスペンションプレート保持手段84a及び第2のサスペンションプレート保持手段がそれぞれ、第1移動サスペンション枠82aと第2移動サスペンション枠の下にそれぞれ構成されることにより、矩形の枠となる形状を構成している。具体的には、第1のサスペンションプレート保持手段84aのU字型の前後の2箇所(ここでは、
図16の右側を「前」、左側を「後」と、説明の便宜上定義している。)において、それぞれ、第1のサスペンションプレート保持手段84aが第1サスペンションプレート83aを挟む2枚の板の内側に、第1のサスペンションプレート保持手段84aの高さ相当の幅の溝が設けられている。そして、この2箇所の内側にそれぞれ設けられた溝をガイドとして、第1サスペンションプレート83aが、第1のサスペンションプレート保持手段84aのU字型の2箇所を貫通するようにスライド(摺動)しながら並進移動する。つまり、第1サスペンションプレート83aと第1のサスペンションプレート保持手段84aの組み合わせによって、第1の車軸位置移動機構(83a,84a)を構成している。
【0110】
同様に、
図16の紙面の裏側において、第2のサスペンションプレート保持手段が構成
するU字型の前後の2箇所において、第2のサスペンションプレート保持手段が第2サスペンションプレートを挟む2枚の板の内側に、それぞれ、第2のサスペンションプレート保持手段の高さ(
図16において上下方向に測った長さ)相当の幅の溝が設けられ、この内側に設けられた溝をガイドとして、第2のサスペンションプレート保持手段のU字型の2箇所を第2サスペンションプレートが貫通するように摺動して並進移動する。第2サスペンションプレートと第2のサスペンションプレート保持手段の組み合わせが第2の車軸位置移動機構を構成している。
【0111】
第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、4輪の台車を構成するように、フレーム(51a,82a,83a,84a)には、
図16に示すように、第1の搬送輪(後輪)1a、第2の搬送輪(図示省略)、第1の前輪56a及び第2の前輪(図示省略)が取り付けられている。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
【0112】
図5の階段断面図に示したのと同様に、第1の搬送輪(後輪)1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの手前側(
図16において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の搬送輪1aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの突出部は第1サスペンションプレート83aの中心を貫通している。第1の車軸17aの突出部が、第1サスペンションプレート83aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは第1サスペンションプレート83aに対して自在に回転可能になっている。
【0113】
同様に、第2の搬送輪(後輪)の第2の車軸は第2の搬送輪の厚さよりも長く、第2の搬送輪の手前側(
図16において紙面に垂直方向の奥側)において、第2の搬送輪の側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の突出部は第2サスペンションプレートの中心を貫通している。第2の車軸の突出部が、第2サスペンションプレートの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は第2サスペンションプレートに対して自在に回転可能になっている。
【0114】
第1移動サスペンション枠82aの下側アームを下向きに分岐するように、第1移動サスペンション枠82aの前方位置近傍に設けられた下向きの台形の凸部(突起部)が前輪支持部85aとして設けられている。第1の搬送輪(後輪)1aと同様に、第1の前輪56aの第1前輪主軸57aは第1の前輪56aの厚さよりも長く、第1の前輪56aの手前側(
図16において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の前輪56aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1前輪主軸57aの突出部が前輪支持部85aの中心を貫通している。第1前輪主軸57aの突出部が、前輪支持部85aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1前輪主軸57aは前輪支持部85aに対して自在に回転可能になっている。
【0115】
同様に、第2移動サスペンション枠の下側アームを下向きに分岐するように、第2移動サスペンション枠の前方位置近傍に設けられた下向きの台形の凸部が前輪支持部として設けられている。第2の前輪の第2前輪主軸は第2の前輪の厚さよりも長く、第2の前輪の手前側(
図16において紙面に垂直方向の奥側)において、第2の前輪の側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第2前輪主軸の突出部が前輪支持部の中心を貫通している。第2前輪主軸の突出部が、前輪支持部の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2前輪主軸は前輪支持部に対して自在に回転可能になっている。
【0116】
上記の構造は例示であり、第1移動サスペンション枠82aが、第1サスペンションプレート83aに対し相対移動が可能であればよいので、例えば、2枚の板構造の第1サスペンションプレート83aが第1のサスペンションプレート保持手段84aを両側から挟み込むのではなく、第1移動サスペンション枠82aより十分厚い第1のサスペンションプレート保持手段84aを用意し、第1のサスペンションプレート保持手段84aのU字型の前後の2箇所に貫通孔を設け、この2箇所の貫通孔を、それぞれ、第1のサスペンションプレート保持手段84aが貫通するように構成してもよい。この場合貫通孔の高さ(
図16において上下方向に測った長さ)は、第1のサスペンションプレート保持手段84aの高さに所定のクリアランスを付加した高さに設定すればよい。同様に
図16の紙面の裏側において、第2移動サスペンション枠より十分厚い第2のサスペンションプレート保持手段を用意し、第2のサスペンションプレート保持手段のU字型の前後の2箇所に貫通孔を設け、この2箇所の貫通孔を、それぞれ、第2のサスペンションプレート保持手段が貫通するように構成してもよい。この場合も、貫通孔の高さは、第2のサスペンションプレート保持手段の高さに所定のクリアランスを付加した高さに設定すればよい。
【0117】
なお、後輪懸架部(51a,83a)は、左側から下向きに曲がったL字型の第1アーム杆51aの下端部から右方向に、第1サスペンションプレート83aがL字型に分岐し、L字型の第2アーム杆の下端部から右方向に第2サスペンションプレートがL字型に分岐しているので、第1アーム杆51aと第1サスペンションプレート83a及び第2アーム杆と第2サスペンションプレートは、それぞれZ型のトポロジーを構成している。
【0118】
第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)は、
図4等に例示的に示した構造と同様に、矩形の第1移動サスペンション枠82aの上側アームを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1移動サスペンション枠82aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラを備える。
図5の階段断面図に示したのと同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1移動サスペンション枠82aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1連結棒9aは揺動してクランク運動することが可能である。
【0119】
図16には手前側の構造しか示されていないが、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(51a,82a,83a,84a)に対して遥動運動可能となっている。円板状の第1フランジ12aから
図16の紙面に垂直方向(手前方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラの外周面が接し、円板状の第2フランジから紙面に垂直方向(奥方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラの外周面が接している。このため、第1ローラと第2ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(51a,82a,83a,84a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0120】
第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、並進移動方向に沿った第1方向(
図16において右側方向)に移動する際は、フレーム(51a,82a,83a,84a)に印加される第1方向の力により、第1の車軸17aが第1のサスペンションプレート保持手段84aの内部を相対的に第1方向に並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。この第1距離への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。
【0121】
一方、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(51a,82a,83a,84a)に印加される第2方向の力により、第1の車軸17aが第1のサスペンションプレート保持手段84aの内部を相対的に第2方向へ並進移動することにより、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が第1距離より長い「第2距離(非伝達距離)」に自動的に設定される。
【0122】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0123】
このように、第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(51a,82a,83a,84a)、第1の搬送輪(後輪)1a、第2の搬送輪(図示省略)、第1の前輪56a及び第2の前輪(図示省略)が構成する4輪の台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0124】
なお、第4の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪を更に有してもよく、あるいは、受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
【0125】
(第5の実施形態)
図17に示す本発明の第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、第1〜第4の実施形態と同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(7a,3a,4a)と、を備える。ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側(
図17の紙面に垂直方向)にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0126】
第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,4a)は、
図17に示すように第1立管4aと、第1立管4aに対向して離間し、第1立管4aに平行に設けられた第2立管と、第1立管4aと第2立管とをそれぞれの上端部において接続するグリップ管(図示省略)と、第1立管4aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2立管の中間部から分岐するように設けられた第2上アーム(図示省略)と、第1立管4aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2立管の下端部から分岐するように設けられた第2下アーム(図示省略)と、第1下アーム3aが第1立管4aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アームが第2立管に接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管(図示省略)を備える。
【0127】
図17に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アームは第2下アームとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アームに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
図示を省略しているが、第1立管4a及び第2立管の上端部において、操作者が把持するグリップ管が第1立管4a及び第2立管に対して垂直方向に設けられているので、第1立管4a、第2立管及びグリップ管とでU字型の形状をなしている。図示を省略しているが、下アーム連結管が第1下アーム3a及び第2下アームに対して垂直方向に設けられ、グリップ管と共にラダーフレームの構造を実現して、フレーム(7a,3a,4a)の機械的強度を維持している。
【0128】
第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図4及び
図13等に例示的に示した構造と同様に、第1上アーム7aを下向きのT字型(逆T字型)に分岐するように、第1上アーム7aの中間位置近傍に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部として有する。第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)は、この連結棒支持部と、連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aと、第1連結棒9aの他端に回転可能に端部を挿入された第1副揺動軸10aと、第1副揺動軸10aが中心を貫通し、第1副揺動軸10aと一体となって回転する円筒状の第1ローラ(図示省略)を備える。
図5の階段断面図に示した構造等と同様に、第1揺動主軸8aは転がり軸受け等を介して第1上アーム7aの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されているので、第1連結棒9aは揺動してクランク運動することが可能である。
【0129】
図17に示すように、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能に支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,3a,4a)に対して遥動運動可能となっている。円板状の第1フランジ12aから
図17の紙面に垂直方向(手前方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第1ローラの外周面が接し、円板状の第2フランジから紙面に垂直方向(奥方向)に突出した部分のドラム2の内径面に第2ローラの外周面が接している。このため、第1ローラと第2ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との接点(内接点)がドラム2をフレーム(7a,3a,4a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0130】
第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の下方において、フレーム(7a,3a,4a)の第1下アーム3aを介して固定された第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)と、第2のドラム支持機構の下方において第2下アームを介して固定された第2の車軸支持板保持手段とを備える。第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)は、第1下アーム3aと第1立管4aとの連結部から下に伸びる第1の後側支持体94aと、この第1の後側支持体94aと平行に設けられ第1下アーム3aの第1立管4aとの連結部より前側の位置から下に伸びる第1の前側支持体95aと、第1の後側支持体94aと第1の前側支持体95aとに架け渡された連結板96とを有する。ここでは、
図17の右側を「前」、左側を「後」と、説明の便宜上定義している。
【0131】
第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の第1の後側支持体94aは、
図17の紙面に垂直方向に間隔を空けて設けられた2枚の板を有し、2枚の板のそれぞれの一方の端部を第1下アーム3aと第1立管4aとの連結部に固定すると共に、それぞれの他方の端部において、2枚の板を
図17の紙面に垂直方向に貫通する後側ボルト97で連結され、長尺物巻き取り機の前後方向から見たときに、内側にU字型の溝が形成されている。
【0132】
第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の第1の前側支持体95aは、第1の後側支持体94aと同様に、
図17の紙面に垂直方向に間隔を空けて設けられた2枚の板のそれぞれの一方の端部を第1下アーム3aに固定すると共に、それぞれの他方の端部において、2枚の板を
図17の紙面に垂直方向に貫通する前側ボルト98で連結され、長尺物巻き取り機の前後方向から見たときに、内側にU字型の溝が形成されている。
【0133】
第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の連結板96は平板状であり、上面をなす一方の主面を第1下アーム3aに対向させて配置されている。連結板96は、後側の端部の両側面が第1の後側支持体94aのU字の内側の溝の上端部に嵌め合うように取り付けられているとともに、前側の端部の両側面が第1の前側支持体95aのU字の内側の溝の中央部に嵌め合うように取り付けられている。
【0134】
また第1の後側支持体94aのU字型の溝と第1の前側支持体95aのU字型の溝との2箇所に、第1の車軸支持板が架け渡されるように設けられている。そして、この2箇所の内側にそれぞれ設けられた溝をガイドとして、第1の車軸支持板が、第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)のU字型の2箇所を貫通するようにスライド(摺動)しながら並進移動する。つまり、第1の車軸支持板と第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の組み合わせによって、第1の車軸位置移動機構(93a,94a,95a,96,97,98)を構成している。また第1の車軸支持板の中間位置には下方向に突出するように凸部(突起部)が設けられている。この凸部は、第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)のU字型の溝の底面の高さよりも下側に突出するため、第1の車軸支持板がスライドした際、凸部が第1の前側支持体95a又は第1の後側支持体94aに接触することにより、第1の車軸支持板の移動を規制する。
【0135】
同様に、
図17の紙面の裏側において、第2の車軸支持板保持手段が構成するU字型の前後の2箇所において、第2の車軸支持板保持手段の内側に設けられた2箇所の溝をガイドとして、第2の車軸支持板が、第2の車軸支持板保持手段のU字型の2箇所を貫通するようにスライド(摺動)しながら並進移動する。第2の車軸支持板と第2の車軸支持板保持手段の組み合わせが、第2の車軸位置移動機構を構成している。
【0136】
第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,4a)には、
図17に示すように、第1の搬送輪1a、第2の搬送輪(図示省略)が取り付けられている。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
図5の階段断面図に示したのと同様に、第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの手前側(
図17において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の搬送輪1aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの突出部は、第1の車軸支持板の凸部の中心を貫通している。第1の車軸17aの突出部が、第1の車軸支持板の凸部の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは第1の車軸支持板に対して自在に回転可能になっている。
【0137】
同様に、第2の搬送輪の第2の車軸は第2の搬送輪の厚さよりも長く、第2の搬送輪の手前側(
図17において紙面に垂直方向の奥側)において、第2の搬送輪の側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の突出部は第2の車軸支持板の凸部の中心を貫通している。第2の車軸の突出部が、第2の車軸支持板の凸部の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は第2車軸支持板に対して自在に回転可能になっている。
【0138】
第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、並進移動方向に沿った第1方向(
図17において右側方向)に移動する際は、フレーム(7a,3a,4a)に印加される第1方向の力により、第1の車軸17aが第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を、第1の車軸17aが操作者に近づく方向に並進移動する。このとき、第1の車軸支持板には凸部が設けられているため、凸部が第1の後側支持体94aに接触した時点で、第1の車軸17aの並進移動は停止し、それ以上操作者に近づく方向への移動は抑止される。
【0139】
また第1のドラム支持機構(10a,9a,8a)の第1ローラと第2のドラム支持機構の第2ローラが、ドラム2のドラム回転軸の位置が遥動運動することが可能となるように支持しているので、第1方向に進む場合には、第1立管4a及び第2立管の地面(又は床面)に対する角度がより水平方向に近くなるように、第1立管4a及び第2立管を傾ければドラム回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に移動する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。この第1距離への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。
【0140】
一方、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向に移動する際は、フレーム(7a,3a,4a)に印加される第2方向の力により、第1の車軸17aが第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を相対的に第1方向へ並進移動することにより、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を操作者から遠ざかる方向に並進移動する。このとき、第1の車軸支持板には凸部が設けられているため、凸部が第1の前側支持体95aに接触した時点で、第1の車軸17aの並進移動は停止し、それ以上操作者から遠ざかる方向への移動は抑止される。
【0141】
また第1立管4a及び第2立管の地面(又は床面)に対する角度がより鉛直方向に近くなるように、第1立管4a及び第2立管を立てれば、ドラム回転軸の位置も自動的に操作者から遠ざかる方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に、操作者から遠ざかる方向に移動する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第2距離(非伝達距離)」に自動的に設定される。
【0142】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0143】
このように、第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,3a,4a)、第1の搬送輪1a、第2の搬送輪(図示省略)が構成する台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0144】
なお、第5の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪を更に有してもよく、あるいは、受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
【0145】
(第6の実施形態)
図18〜
図21に示す本発明の第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、第1〜第5の実施形態と同様に、長尺物23が巻き取られる中空円筒状のドラム2と、このドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する受動輪13aと、それぞれドラム2の両端の内径面にそれぞれ接して回転する円筒状の外周面を有し、ドラム回転軸方向に沿った両側からドラム2を回転可能に支持する第1のドラム支持機構(101a〜106a,111a〜116a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構(図示省略)と、両側から、第1のドラム支持機構(101a〜106a,111a〜116a,9a,8a)及び第2のドラム支持機構をそれぞれ懸架するフレーム(7a,3a,4a)とを備える。ドラム2の両側には、円板状の第1フランジ12aと第2フランジ(図示省略)が設けられ、主要部はボビン形状をなしている。しかしながら、ドラム2は、第1フランジ12aと第2フランジの更に外側(
図18の紙面に垂直方向)にまで、同一の所定距離、ドラム2の両端が突出している。
【0146】
第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,4a)は、
図18に示すように第1立管4aと、第1立管4aに対向して離間し、第1立管4aに平行に設けられた第2立管と、第1立管4aと第2立管とをそれぞれの上端部において接続するグリップ管(図示省略)と、第1立管4aの中間部から分岐するように設けられた第1上アーム7aと、第1上アーム7aに平行に第2立管の中間部から分岐するように設けられた第2上アーム(図示省略)と、第1立管4aの下端部から分岐するように設けられた第1下アーム3aと、第1下アーム3aに平行に第2立管の下端部から分岐するように設けられた第2下アーム(図示省略)と、第1下アーム3aが第1立管4aに接続された端部と反対側の端部と、第2下アームが第2立管に接続された端部と反対側の端部とを互いに接続する下アーム連結管(図示省略)を備える。
【0147】
図18に示すように、第1上アーム7aは第1下アーム3aとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第1下アーム3aに接続する立管部分とでL字型形状をなしており、同様に、第2上アームは第2下アームとほぼ平行な部分と、この平行な部分から立ち下がり第2下アームに接続する立管部分とでL字型形状をなしている。
図示を省略しているが、第1立管4a及び第2立管の上端部において、操作者が把持するグリップ管が第1立管4a及び第2立管に対して垂直方向に設けられているので、第1立管4a、第2立管及びグリップ管とでU字型の形状をなしている。図示を省略しているが、下アーム連結管が第1下アーム3a及び第2下アームに対して垂直方向に設けられ、グリップ管と共にラダーフレームの構造を実現して、フレーム(7a,3a,4a)の機械的強度を維持している。
【0148】
第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図18に示すように、第1下アーム3aを下向きのT字型(T字型)に分岐するように、第1下アーム3aの立管4aとの連結部寄り位置に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部として有する。第1のドラム支持機構(101a〜106a,111a〜116a,9a,8a)は、この連結棒支持部と、連結棒支持部に設けられた第1揺動主軸8aと、第1揺動主軸8aに一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として揺動する第1連結棒9aを備える。
【0149】
第1連結棒9aは、
図18に示すように、円柱状に形成された円柱部を一方の端部とすると共に、この円柱部の周面の一部から円柱の底円の直径よりも短い幅で円柱部の外側へ突出するように形成された突出部を他方の端部とする構造をなしている。第1揺動主軸8aは第1連結棒9aの突出部の円柱部と反対側の先端近傍に一体で固定され、第1揺動主軸8aが連結棒支持部に対し回転可能に結合されるので、第1連結棒9aは第1揺動主軸8aを支点として揺動する。
【0150】
第1連結棒9aの突出部の先端は、前側(
図18中の右側)の平坦な側面9afと後側(
図18中の左側)の平坦な側面9arが120度程度の角度をなして交差した形状とされ、第1揺動主軸8aは第1連結棒9aの幅方向の中央、すなわち前側の側面9afと後側の側面9arからいずれも等距離の位置に形成されている。
図18に示すように、第1連結棒9aが前方向へ揺動する際、第1連結棒9aの前側の側面9afが第1下アーム3aの上面と接触することにより第1連結棒9aの揺動が停止する。同様に、第1連結棒9aが後方向へ揺動する際、第1連結棒9aの後側の側面9arが第1下アーム3aの上面と接触することにより第1連結棒9aの揺動が停止する。第1連結棒9aの前側の側面9af及び後側の側面9arは、第1連結棒9aの過度な揺動を制止してドラム回転軸の揺動を停止させる揺動停止装置をなしている。
【0151】
第1連結棒9aの円柱部の2つの底円のうち第1フランジ12a側に対向する底円の表面には、それぞれ第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aが、それぞれの外周面が第1連結棒9aの円柱部の外周寄り位置に、円柱部の円周に沿って等間隔で設けられ、それぞれドラム2の内径面に接するように配置されている(なお、本明細書の説明における「右」、「左」は、単なる呼称であって、着目している構造をどちらから見たかにより、逆の「右」、「左」の選択もあり得ることは勿論である。)。
【0152】
図19に示すように、第1左上ローラ111aには第1左上ローラ111aの軸長よりも長い第1左上副揺動軸101aが第1左上ローラ111aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1左上副揺動軸101aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1左中央ローラ112aには第1左中央ローラ112aの軸長よりも長い第1左中央副揺動軸102aが第1左中央ローラ112aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1左中央副揺動軸102aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1左下ローラ113aには第1左下ローラ113aの軸長よりも長い第1左下副揺動軸103aが第1左下ローラ113aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1左下副揺動軸103aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。
【0153】
第1右上ローラ114aには第1右上ローラ114aの軸長よりも長い第1右上副揺動軸104aが第1右上ローラ114aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1右上副揺動軸104aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1右中央ローラ115aには第1右中央ローラ115aの軸長よりも長い第1右中央副揺動軸105aが第1右中央ローラ115aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1右中央副揺動軸105aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。第1右下ローラ116aには第1右下ローラ116aの軸長よりも長い第1右下副揺動軸106aが第1右下ローラ116aの端面から突出するように設けられ、端面から突出した部分の第1右下副揺動軸106aが、第1連結棒9aの円柱部に転がり軸受け等の機構を介して回転可能に挿入されている。
【0154】
第1左上副揺動軸101aは第1左上ローラ111aの中心を貫通して第1左上ローラ111aに固定されている。同様に、第1左中央副揺動軸102aは第1左中央ローラ112aの中心を貫通して第1左中央ローラ112aに固定され、第1左下副揺動軸103aは第1左下ローラ113aの中心を貫通して第1左下ローラ113aに固定されている。また第1右上副揺動軸104aは第1右上ローラ114aの中心を貫通して第1右上ローラ114aに固定されている。同様に、第1右中央副揺動軸105aは第1右中央ローラ115aの中心を貫通して第1右中央ローラ115aに固定され、第1右下副揺動軸106aは第1右下ローラ116aの中心を貫通して第1右下ローラ116aに固定されている。そして、第1左上副揺動軸101a、第1左中央副揺動軸102a、第1左下副揺動軸103a、第1右上副揺動軸104a、第1右中央副揺動軸105a、第1右下副揺動軸106aは、それぞれ、第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aと一体となって回転する。すなわち第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aの6本のローラからなる一組のローラは、ドラム2の内側に嵌合するようにドラム2の内径より小径の円筒を形成するような状態で配置されている。
【0155】
図19に示すように、第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機においても、第1連結棒9aは、
図19の紙面に垂直方向と等価な方向の揺動面に沿って揺動してクランク運動することが可能である。第1左上副揺動軸101a、第1左中央副揺動軸102a、第1左下副揺動軸103a、第1右上副揺動軸104a、第1右中央副揺動軸105a、第1右下副揺動軸106aは、それぞれ、転がり軸受け等を介して第1連結棒9aの端部の円柱部を垂直方向に貫通し、第1連結棒9aの端部に対し回転可能に支持されている。
【0156】
図示を省略しているが、
図18〜
図21に示す第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機に係る第2のドラム支持機構でも、第2下アームの第2立管との連結部寄り位置に設けられた凸部(突起部)を連結棒支持部とし、この連結棒支持部に第2揺動主軸が設けられている。又、
図19に示した構造と同様に、第2揺動主軸は転がり軸受け等を介して第2下アームの連結棒支持部を垂直方向に貫通し、連結棒支持部に対して回転可能に支持されている。また第2揺動主軸に一方の端部が連結棒支持部に対し回転可能に結合され、第2揺動主軸を支点として揺動する第2連結棒を備える。第2連結棒は、第1連結棒9aと同様に円柱部と突出部とを有し、突出部の先端側に、第2連結棒の揺動を制止する前側の側面と後側の側面が形成される。また円柱部には第1連結棒9aと同様に、第2左上ローラ、第2左中央ローラ、第2左下ローラ、第2右上ローラ、第2右中央ローラ及び第2右下ローラとそれぞれ一体となって回転する、第2左上副揺動軸、第2左中央副揺動軸、第2左下副揺動軸、第2右上副揺動軸、第2右中央副揺動軸、第2右下副揺動軸が設けられている。
【0157】
第1のドラム支持機構(101a〜106a,111a〜116a,9a,8a)の第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aと第2のドラム支持機構の第2左上ローラ、第2左中央ローラ、第2左下ローラ、第2右上ローラ、第2右中央ローラ及び第2右下ローラが、ドラム2の内径面にそれぞれ接してドラム2を回転可能にそれぞれ6点で支持することにより、ドラム2のドラム回転軸の位置はフレーム(7a,3a,4a)に対して遥動運動可能となっている。
【0158】
図7に示した構造と同様に、第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機においても、円板状の第1フランジ12aから左側に突出した部分のドラム2の内径面に第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aの外周面が接し、円板状の第2フランジ12bから右側に突出した部分のドラム2の内径面に第2左上ローラ、第2左中央ローラ、第2左下ローラ、第2右上ローラ、第2右中央ローラ及び第2右下ローラの外周面が接している。このため、第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116aと第2左上ローラ、第2左中央ローラ、第2左下ローラ、第2右上ローラ、第2右中央ローラ及び第2右下ローラのそれぞれの外周面とドラム2の端部の内径面との6つの接点(6つの内接点)がドラム2をフレーム(7a,3a,4a)に対して懸架してドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接点となっている。
【0159】
より具体的には、ドラム2の内径面の母線方向に沿ったドラム2の内径面と第1左上ローラ111a、第1左中央ローラ112a、第1左下ローラ113a、第1右上ローラ114a、第1右中央ローラ115a及び第1右下ローラ116a、又は第2左上ローラ、第2左中央ローラ、第2左下ローラ、第2右上ローラ、第2右中央ローラ及び第2右下ローラの外周面との接線が、ドラム2のドラム回転軸の位置を遥動運動させ移動する接線となり、ドラム2の鉛直方向に向かう重量を支持することにより、より安定にドラム2を支持することが可能である。
【0160】
第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、更に、第1のドラム支持機構(101a〜106a,111a〜116a,9a,8a)の下方において、フレーム(7a,3a,4a)の第1下アーム3aを介して固定された第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)と、第2のドラム支持機構の下方において第2下アームを介して固定された第2の車軸支持板保持手段とを備える。第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)は、第1下アーム3aの第1立管4aとの連結部近傍から下に伸びる第1の後側支持体94aと、この第1の後側支持体94aと平行に設けられ第1下アーム3aの中間位置近傍から下に伸びる第1の前側支持体95aを有する。
【0161】
第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)の第1の後側支持体94aと第1の前側支持体95aは、それぞれ第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)が第1の車軸支持板93aを挟む2枚の板の内側に、第1の車軸支持板93aの高さ以上の深さの溝が設けられ、第1の後側支持体94a及び第1の前側支持体95aを前後方向から見たときにU字型に形成されている。
【0162】
また第1の後側支持体94aのU字型の溝と第1の前側支持体95aのU字型の溝との2箇所に、第1の車軸支持板93aが架け渡されるように設けられている。そして、この2箇所の内側にそれぞれ設けられた溝をガイドとして、第1の車軸支持板93aが、第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)のU字型の2箇所を貫通するようにスライド(摺動)しながら並進移動する。つまり、第1の車軸支持板93aと第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)の組み合わせによって、第1の車軸位置移動機構(93a,94a,95a)を構成している。
【0163】
同様に、
図18の紙面の裏側において、第2の車軸支持板保持手段が構成するU字型の前後の2箇所において、第2の車軸支持板保持手段の内側に設けられた2箇所の溝をガイドとして、第2の車軸支持板が、第2の車軸支持板保持手段のU字型の2箇所を貫通するようにスライド(摺動)しながら並進移動する。第2の車軸支持板と第2の車軸支持板保持手段の組み合わせが、第2の車軸位置移動機構を構成している。
【0164】
第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機のフレーム(7a,3a,4a)には、
図18に示すように、第1の搬送輪1a、第2の搬送輪(図示省略)が取り付けられている。第1の車軸17a及び第2の車軸は、それぞれドラム回転軸と平行方向となる同一直線上の車軸を回転軸として有する。
図5の階段断面図に示したのと同様に、第1の搬送輪1aの第1の車軸17aは第1の搬送輪1aの厚さよりも長く、第1の搬送輪1aの手前側(
図17において紙面に垂直方向の手前側)において、第1の搬送輪1aの側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第1の車軸17aの突出部は、第1の車軸支持板93aの中心を貫通している。第1の車軸17aの突出部が、第1の車軸支持板93aの中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第1の車軸17aは第1の車軸支持板93aに対して自在に回転可能になっている。
【0165】
同様に、第2の搬送輪の第2の車軸は第2の搬送輪の厚さよりも長く、第2の搬送輪の手前側(
図17において紙面に垂直方向の奥側)において、第2の搬送輪の側面から一定の長さ突出している。この一定の長さ突出した第2の車軸の突出部は第2の車軸支持板の中心を貫通している。第2の車軸の突出部が、第2の車軸支持板の中心を転がり軸受け等を介して貫通することにより、第2の車軸は第2車軸支持板に対して自在に回転可能になっている。
【0166】
第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図20に示すように、並進移動方向に沿った第1方向(
図20において右側方向)に移動する際は、まず、第1の車軸17aを支点として第1立管4a及び第2立管を水平方向へ傾斜させる。第1立管4a及び第2立管の傾斜動作に伴って第1下アーム3a及び第2下アームが操作者側へ回転し、第1のドラム支持機構の重心も操作者側へ移動して、第1のドラム支持機構は揺動する。そのため、
図18の側面図で示した停止状態において第1下アーム3aの上面に接触していた第1連結棒9aの突出部の先端の前側の側面9afが第1下アーム3aから離間するとともに、第2下アームの上面に接触していた第2連結棒の突出部の先端の前側の側面9afが第2下アームから離間する。また第1連結棒9aの突出部の先端の後側の側面9arが第1下アーム3aへ近接するとともに、第2下アームの上面に接触していた第2連結棒の突出部の先端の後側の側面が第2下アームへ近接する。
【0167】
その結果、ドラム回転軸の位置も自動的に操作者に近づく方向に移動し、受動輪13aの回転軸の位置も自動的に移動する。またフレーム(7a,3a,4a)に印加される第1方向の力により、第1の車軸17aが第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)の第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を、第1の車軸17aが操作者に近づく方向に並進移動する。ドラム回転軸の遥動運動によって、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第1距離(回転伝達距離)」に自動的に設定される。
この第1距離への自動的設定により、第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転へ伝達され、受動輪13aを駆動してドラム2が長尺物23を巻き込む。具体的には、第1方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が接することにより第1の搬送輪1aの回転が受動輪13aの回転に伝達される。
【0168】
一方、
図21に示すように、第1方向と反対方向(反転方向)となる第2方向(
図21において左側方向)に移動する際は、フレーム(7a,3a,4a)に印加される第2方向の力により、第1の車軸17aが第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)の第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を相対的に第1方向へ並進移動することにより、第1の車軸17aが第1の車軸位置移動機構5aの第1の前側支持体95aと第1の後側支持体94aとの間を操作者から遠ざかる方向に並進移動する。第1の車軸17aの第1方向への並進移動により、第1連結棒9aは、ドラム2の重量によって更に第1立管4a側への揺動が促進される。そして第1連結棒9aの先端の突出部の後側の側面9arが第1下アーム3aの上面と接触するとともに第2連結棒の先端の突出部の後側の側面が第1下アーム3aの上面と接触した時点でドラム回転軸の揺動が停止する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第2距離(非伝達距離)」に自動的に設定される。
【0169】
このように、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が自動的に第2距離へ設定されることにより、受動輪13aが第1の搬送輪1aの回転運動から自動的に解放され、受動輪13aは自在に回転することが可能になり、長尺物23がドラム2から引き出される。即ち、第2方向に移動する際は、第1の搬送輪1aの外周と受動輪13aの外周が自動的に離間することにより受動輪13aが自在に回転して、長尺物23がドラム2から逐次引き出される。
【0170】
なお、第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、
図18に示すように、下アーム連結管が接地した停止状態においては、ドラム2を支持した第1のドラム支持機構の重心は、第1揺動主軸8aを基点として、第1下アーム3a側に傾くように構成されている。そのため、第1のドラム支持機構を介して支持されるドラム2も自動的に第1下アーム3a側に揺動する。そして第1連結棒9aの先端の突出部の前側の側面9afが第1下アーム3aの上面と接触した時点でドラム回転軸の揺動が停止する。この遥動運動によって、ドラム回転軸と第1の車軸17aとの間隔が「第2距離(非伝達距離)」に自動的に設定される。
【0171】
このように、第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、フレーム(7a,3a,4a)、第1の搬送輪1a、第2の搬送輪(図示省略)が構成する台車が前後走行するだけで、ドラム2への長尺物23の巻取りや、ドラム2からの長尺物23の引出しと、巻取り/引出しの切替操作を、長尺物23に手を触れることなく自動的に行え、長尺物23の巻取り及び引出しの作業が効率的に行える。
【0172】
なお、第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機は、ドラム2の回転軸であるドラム回転軸と共通の回転軸を有し、ドラム2と一体で回転する第2の受動輪を更に有してもよく、あるいは、受動輪は少なくともドラム2の一方の側にあればよいので、受動輪(第1の受動輪)13aの方を省略して、第2の受動輪のみでドラム2を駆動するようにしてもよい。
【0173】
また第6の実施形態に係る長尺物巻き取り機におけるドラム回転軸の揺動を制限する構成は、第1連結棒9aの円柱部から突出する1本の突出部の先端をなす2つの隣接する前側の側面と後側の側面を用いたが、これに限定されることなく、例えば円柱部から2股状に突出する2本の突出部を設け、この2本の突出部の先端に形成される側面をそれぞれ用いるように構成してもよい。
【0174】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1〜第6の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0175】
例えば、既に述べた第1〜第6の実施形態の説明等においては、第1及び第2の搬送輪がそれぞれシングルタイヤの場合について例示的に説明したが、第1及び第2の搬送輪を、それぞれダブルタイヤの構造としてもよい。この場合、第1及び第3の実施の形態の構造では、ダブルタイヤの第1の搬送輪1aが、第1の車軸位置移動機構5aの両側から挟み込むような構造にすればよい。又、第2の実施の形態の構造では、ダブルタイヤの第1の搬送輪1aが、第1車軸支持板42aと第1の車軸移動案内手段45aの両側から挟み込むような構造にすればよいし、第4の実施の形態の構造では、ダブルタイヤの第1の搬送輪1aが、第1サスペンションプレート83a及び第1のサスペンションプレート保持手段84aの両側から挟み込むような構造にすればよい。また第5の実施の形態の構造では、ダブルタイヤの第1の搬送輪1aが、第1の車軸支持板93a及び第1の車軸支持板保持手段(94a,95a,96,97,98)の両側から挟み込むような構造にすればよい。また第6の実施の形態の構造では、ダブルタイヤの第1の搬送輪1aが、第1の車軸支持板93a及び第1の車軸支持板保持手段(94a,95a)の両側から挟み込むような構造にすればよい。第2の搬送輪側の構造についても同様である。
【0176】
又、既に述べた第1の実施形態の説明に用いた
図5の断面図では、第1上アーム7aに設けられた連結棒支持部の右側方向に突出するように第1揺動主軸8aが設けられ、この第1揺動主軸8aに、第1連結棒9aの一方の端部が回転可能に結合され、第1揺動主軸8aを支点として第1連結棒9aが揺動する構造を例示したが、第1及び第2のドラム支持機構の構造は、
図5の構造に限定されるものではない。例えば、第1上アーム7aに設けられた連結棒支持部の左側方向に軸部が突出するように第1揺動主軸8aが設けられ、左側方向に突出した第1揺動主軸8aを支点として第1連結棒9aが揺動するように、第1連結棒9aを第1上アーム7aの外側(左側)に設けてもよい。同様に第2連結棒9bを第2上アーム7bの外側(右側)に設ければ、第1のドラム支持機構を第1上アーム7aから左側(外側)方向に引き抜き、第2のドラム支持機構を第2上アーム7bから右側(外側)方向に引き抜く構造とすることができる。第1のドラム支持機構又は第2のドラム支持機構の少なくとも一方が外側方向に向かって引き抜くことができれば、第1のドラム支持機構及び第2のドラム支持機構によって懸架されるドラム2を取り外し可能にできる。ドラム2が容易に取り外し可能であれば、薬品ごとに異なるドラムを複数用意する等、使用目的の異なるドラムを複数用意して、適宜必要なドラムを選択して使用することも可能である。
【0177】
同様に、既に述べた第2〜第6の実施形態の説明等においても、ドラム2を容易に取り外できるような構造にすることも可能であり、第2〜第6の実施形態においても同様に、使用目的の異なるドラムを複数用意して、適宜必要なドラムを選択できるような態様とすることも可能である。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。