【実施例】
【0013】
本発明の実施例である有機ELパネル及びこれを用いた発光すなわち照明装置の製造方法を
図1乃至
図12により説明する。
【0014】
図1に示すとおり、本発明による有機ELパネル1は、発光部2をその中央部に担う、例えば略長方形のガラス等の透明材からなる透明な基板3を含んでいる。基板3の例えば長手方向の一方の端部近傍にあって、電流供給端子である外部接続端子4a、4bが設けられている。外部接続端子4a、4bには、基板3上に設けられる導電パターン5の幹路部5a、5bが各々接続されている。幹路部5a、5bは、発光部2を挟む位置において互いに並行に基板3の縁部に沿って伸長している。
【0015】
幹路部5a、5bの間であって、発光部2の両側方の基板3上には電流密度調整部6−1、6−2、6−3、7−1、7−2、7−3が各々設けられている。幹路部5a、5bの各々と発光部2の陽極及び陰極の各々との間を導電パターン5の枝路部8a、8bによって接続されている。
【0016】
以下、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が発光部2と同一の層構造の場合の実施例を示す。
【0017】
導電パターン5の枝路部9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3bは幹路部5a、5bから延びて電流密度調整部6−1、6−2、6−3、7−1、7−2、7−3の陽極、陰極に接続されている。
【0018】
幹路部5aは電流密度調整部6−1、6−2、6−3、7−1、7−2、7−3の陽極との間を導電パターン5の枝路部9−1a、9−2a、9−3a、10−1a、10−2a、10−3aによって接続されている。幹路部5bは電流密度調整部6−1、6−2、6−3、7−1、7−2、7−3の陰極との間を導電パターン5の枝路部9−1b、9−2b、9−3b、10−1b、10−2b、10−3bによって接続されている。
【0019】
有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b(例えば、4aを正側とし、4bを負側とする)からみて、導電パターン5は幹路部5a、5b及び枝路部8a、8b、9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3bにより、発光部2と、電流密度調整部6−1、6−2、6−3、7−1、7−2及び7−3と、を互いに電気的に並列に接続し、並列回路を形成している。
【0020】
発光部2の基板3上での占有面積は、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3のいずれの占有面積より大きい。
【0021】
電流密度調整部6−1〜6−3は、基板3上に発光部2の一方の外側において互いに離間して配置されている。電流密度調整部7−1〜7−3は、発光部2の他方の外側において互いに離間して配置されている。
【0022】
図1に示した実施例においては発光部2の側方にそれぞれ3つずつ電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が配置されている。しかし、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の数はこれに制限されるものではない。
【0023】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各面積は同じであっても良いし、異なっても良い。各面積が異なる場合には、各面積の差は一定に設定されていても良いし、一定の倍率または2のべき乗でも良い。予め、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各面積を既知の値に設定しておくこともできる。
【0024】
なお、枝路部9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3b及び電流密度調整部6−1〜6−3、7−1〜7−3を含む領域において、基板3上の他の部分から切断手段によって切断容易になっている切断容易箇所すなわち切断容易部(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0025】
切断容易箇所の位置を示すために、切断容易箇所が視認もしくは検知可能なマークなどを基板3上もしくはその近傍にあれば、さらに望ましい。切断手段は、例えばレーザなどを使用するが、機械的、電磁的もしくは光学的手法を用い得る。
【0026】
これによって、有機ELパネル1の並列回路から電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3を当該切断容易箇所毎に切断することにより1つずつ切り離すことが容易になる。本実施例の有機ELパネル1は、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3のいずれかの切り離しにより、発光部の電流密度を調整自在に調整することが可能である。
【0027】
更に、基板3の形状は長方形に限らず、正方形であっても良い。また、円形や楕円形であっても良い。要するに、発光部2の側方に電流密度調整部が配置されていれば良い。また、導電パターン5のパターン形状も、発光部2に並列に電流密度調整部を含む電流路が接続されていて、導電パターン5の少なくとも1箇所の切断によって、発光部2に流れる電流を自在に変化する形状であれば良いのである。
【0028】
ここで明らかなことは、本発明による有機ELパネル1においては、発光部2を含んで発光領域として有効な有効発光領域EAが設けられ、その側方には後処理加工を可能にした後処理加工領域PAが設けられているということである。
【0029】
この後処理加工領域PA内において、レーザ加工により導電パターン5の一部を切断したり、電流密度調整部の一部の陰極を剥離したり、基板3を切断したりすることにより、この有機ELパネル1の電圧電流特性すなわち電流密度を調整することができる。
【0030】
図2に示すとおり、発光部2は、基板3上に積層された例えば陽極である透明電極11を含んでいる。透明電極11上にはホール輸送層12が積層され、ホール輸送層12上には有機EL発光層13が積層され、有機EL発光層13上には電子輸送層14が積層され、電子輸送層14上には陰極である金属電極15が積層されている。
【0031】
良く知られているように、発光部2において、陽極の材料として、インジウムスズ酸化物(ITO)を用いる一方、陰極の材料として、アルミニウム(Al)を用いることができる。
【0032】
図示した発光部2においては、透明電極11と金属電極15との間に互いに積層されたホール輸送層12、有機EL発光層13及び電子輸送層14からなる有機機能層の構造は3層構造のものである。しかしながら、かかる有機機能層は、例えば、有機EL発光層13の単一層構造、ホール輸送層12及び有機EL発光層13からなる2層構造、或いはホール注入層、ホール輸送層12、有機EL発光層13、電子輸送層14、電子注入層からなる5層構造等の種々の構造を取り得る(図示せず)。
【0033】
また、発光部2は例えば特開2007−42658号公報で開示されているが如きR(赤)、G(緑)、B(青)のストライプ状の有機EL積層体の多数がR、G、Bの順に並置された構造も取り得る(図示せず)。
【0034】
発光部2がR、G、Bのストライプの有機EL積層体の並置構造の場合には、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3もR、G、B各群ごとに対応したストライプの構造にする必要がある(図示せず)。
【0035】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、発光部2と同一の層構造で構成されている。これによって、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、発光部2と同一のプロセスによって形成され得る。
【0036】
別の実施例として、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が抵抗体の場合を示す。
【0037】
図3に示すとおり、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々は、基板3上に形成された導電層16と、導電層16上に積層された抵抗層17と、からなる積層抵抗体である。また、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々は、導電層16の1層構造の抵抗体であってもよい。
【0038】
導電層16の材料としては、Al、Cr、ITO等、既知の導電材料を用いることができる。抵抗層17の材料として、例えば、AlまたはCrでも良い。所望の抵抗特性を有する材料を用いることが可能である。
【0039】
また、導電層16及び抵抗層17の両方またはどちらか一方は発光部2の中の1つの層と材質が同一とすることができる。この場合、特に、導電層16は陽極である透明電極11、抵抗層17は陰極である金属電極15と同一の材質とすれば、発光部2の製造プロセスの過程において、導電層16及び抵抗層17を形成され得る。
【0040】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各抵抗値は同じであっても良いし、異なっても良い。各抵抗値が異なる場合には、各抵抗値の差は一定に設定されていても良いし、一定の倍率または2のべき乗でも良い。予め、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各抵抗値を既知の値に設定しておくこともできる。
【0041】
更に、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、チップ抵抗器などのチップ部品18を含んでも良い。また、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、例えば、
図4に示すようなダイオードD1と可変抵抗VR1との並列回路をICチップにしたものであっても良い。
図4の可変抵抗VR1は半固定抵抗に置き換えることもできる。
【0042】
かかるICチップとしては、
図5に示すようなダイオードD2と、並列接続された抵抗R1、R2及びR3と、の直列回路のICチップでも良い。
図6に示すようなカレントミラー回路のICチップを用いることもできる。
【0043】
図7に電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3がチップ部品18を含む場合を示す。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、チップ部品18をマウントし得るチップ部品マウント部19を含んでいる。チップ部品18は、例えば、樹脂材によってICチップ(図示せず)を包埋した形状であり、一方の端部に正端子20A、他方の端部に負端子20Bを有する。また、チップ部品マウント部19は、チップ部品18の正端子20A及び負端子20Bに対応する正端子21A及び負端子21Bを有する。
【0044】
チップ部品18をチップ部品マウント部19に取り付けることにより、正端子20Aと正端子21Aとが接続され、負端子20Bと負端子21Bとが接続され、枝路部を介して電流が供給可能である。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が抵抗体の場合は発光素子を水分などから遮断するための封止部(図示せず)の外側にあってもよい。また、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3がチップ部品マウント部19を含む場合は有機ELパネル1の電気的特性に応じて後からチップ部品マウント部19にマウントされたチップ部品18を、抵抗値の異なる電気的特性が最適なチップ部品18に付け替えることができる。
【0045】
また、チップ部品18をチップ部品マウント部19にマウントする前に有機ELパネル1の電気的特性の測定を行い、測定結果に応じて所望の電気的特性にすべく最適なチップ部品18をマウントしても良い。
【0046】
なお、チップ部品18をマウントし得るチップ部品マウント部19は電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の少なくとも一部にあれば良い。更に、チップ部品マウント部19にマウントするチップ部品18は、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々において、同じ種類のICチップでも良いし、種類の異なるICチップでも良い。これらの各端子部の形状は、図示した形状に限定されるものではなく、チップ部品18とチップマウント部19とが接続される種々の形状を取り得る。
【0047】
図8及び
図9にチップ部品マウント部19の他の実施例を示す。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、チップ部品18、チップ部品マウント部19A、19B及び接合部22A、22Bを含んでいる。
【0048】
チップ部品マウント部19Aは正端子21Aを有し、チップ部品マウント部19Bは負端子21Bを有している。チップ部品マウント部19A及び19Bは、基板3の上に例えばAlなどの金属で形成され、互いに離間して配置されている。チップ部品18は、正端子21A及び負端子21Bに対応する正端子20A及び負端子20Bを有し、チップ部品19A及び19Bの上に配置されている。これによって、正端子20Aと正端子21Aとが接続され、負端子20Bと負端子21Bとが接続され、枝路部を介して電流が供給可能である。
【0049】
接合部22A及び22Bは、例えばハンダや銀ペースト等で形成され、正端子20Aと正端子21Aとを接合し、負端子20Bと負端子21Bとを接合している。また、チップ部品18、チップ部品マウント部19A、19B及び接合部22A、22Bを例えば樹脂材などで覆い、成形して硬化させても良い。
【0050】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の一部は、チップ部品マウント部19の一部の上に積層されている。これによって、チップ部品マウント部19の密着性が良くなり、チップ部品マウント部19が基板3上から剥がれにくくなる。
【0051】
図10により有機ELパネル1の製造プロセスを説明する。
【0052】
まず、ガラスやプラスチックなどの透明材からなる基板3を準備して、基板3上に陽極パターンである透明電極11を形成する(ステップS1)。陽極には、仕事関数の大きな導電性材料、例えば厚さが1000〜3000Å程度のインジウムスズ酸化物(ITO)又は厚さが 800〜1500Å程度の金を用い得る。
【0053】
具体的には、基板3上に、陽極パターンを、例えば、蒸着法やスパッタ法で成膜し、フォトリソグラフィーによってパターニングする。
【0054】
ステップS1の次には、透明電極11からなる陽極パターン上にホール輸送層12を形成する(ステップS2)。ステップS2で形成したホール輸送層12上に有機EL発光層13を塗布する(ステップS3)。ステップS3で塗布した有機EL発光層13上に電子輸送層14を形成する(ステップS4)。
【0055】
次に、電子輸送層14上に陰極である金属電極15を形成する(ステップS5)。陰極である金属電極15には、仕事関数が小さな金属、例えば厚さが約100〜5000Å程度のアルミニウム、マグネシウム、インジウム、銀又は各々の合金を用い得る。
【0056】
基板3上に外部接続端子4a、4b及び導電パターン5を既知の手法により形成する。
【0057】
図11により電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の製造プロセスを説明する。
【0058】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が、発光部2と同一の層構造の場合は、
図10に示す有機ELパネル1の製造プロセスと同時に行うことができる。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が、抵抗体の場合は、まず、有機ELパネル1の製造プロセスのステップS1で準備した基板3上に、導電層16を形成する(ステップSP1)。導電層16の形成の方法は、既知の手法により形成する。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の導電層16が発光部2の透明電極11と同一の材質の場合には、有機ELパネル1の製造プロセスのステップS1と同時に行うことができる。電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々が導電層16の1層構造の抵抗体の場合は、本製造プロセスを終了する。
【0059】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々が導電層16と抵抗層17との積層抵抗体の場合は、ステップSP1で形成した導電層16の上に抵抗層17を形成する(ステップSP2)。抵抗層17は既知の手法により形成する。抵抗層17が発光部2の金属電極15と同一の場合には、抵抗層17の形成は有機ELパネル1の製造プロセスのステップS5と同時に行うことができる。
【0060】
なお、
図7乃至
図9に示すような電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3がチップ部品マウント部19を含む場合には、導電層16の1層構造の場合は、導電層16を形成するときに、チップ部品マウント部19を形成し、チップ部品18の正端子20A及び負端子20Bに対応する正端子21A及び負端子21Bを形成する。導電層16及び抵抗層17の2層構造の場合は、導電層16及び抵抗層17の形成するときに、チップ部品マウント部19を形成し、チップ部品18の正端子20A及び負端子20Bに対応する正端子21A及び負端子21Bを形成する。
【0061】
図12により発光装置の製造方法を説明する。
【0062】
図1に示した有機ELパネル1を用意する(ステップSS1)。
【0063】
ステップSS1の次に有機ELパネル1の駆動をする(ステップSS2)。すなわち、このステップにおいては、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4bには、直流電源の正側負側の端子が接続される。外部接続端子4a、4bから幹路部5a、5b、枝路部8a、8b、9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3bを介して発光部2、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3に直流電力が供給される。
【0064】
次に、有機ELパネル1の電気的特性及び発光輝度の調整をする(ステップSS3)。このステップにおいては、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間の電圧や抵抗などの電気的特性及び有効発光領域EA内の発光部2の発光輝度を測定し、有効発光領域EA内の発光部2が所望の発光輝度になるように外部接続端子4a、4b間で所望の電気的特性になるように調整する。なお、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間の電圧や抵抗などの電気的特性及び有効発光領域EA内の発光部2の発光輝度のどちらか一方の測定でもよい。
【0065】
すなわち、外部接続端子4a、4b間で電気的特性を調整することができる。有機ELパネル1の導電パターンの一部をレーザなどで切断して、導電パターン5による並列回路に含まれる電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の数を調整することができる。例えば、幹路部5aから電流密度調整部6−3の陽極との間を接続している枝路部9−3aを切断し、電流密度調整部6−3を有機ELパネル1の並列回路から切り離す。
【0066】
これにより、並列回路の全体の抵抗値が上がり、外部接続端子4a、4b間の電圧を調整することができる。すなわち、枝路部8a、8b間の発光部2に個別に流れる電流を調整することができる。
【0067】
電流密度調整部6−3を有機ELパネル1の並列回路から切り離し、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間で所望の電気的特性に調整できた場合には、有機ELパネル1の電気的特性及び発光輝度の調整ステップSS3は終了する。
【0068】
また、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間で所望の電気的特性に調整できなかった場合には、例えば、幹路部5aと電流密度調整部6−2の陽極との間を接続している枝路部9−2aをレーザなどで切断し、電流密度調整部6−2を有機ELパネル1の並列回路から切り離す。なお、本切断ステップにおいては、電流密度調整部の一部の陰極を剥離することとしてもよく、枝路部9−2bをレーザなどで切断しても良い。
【0069】
このように導電パターンの一部(例えば、枝路部9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3bのいずれか1つ以上)を、有機ELパネル1の並列回路の電気的特性の調整の必要に応じて、レーザなどで切断して、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3のいずれか1つ以上を有機ELパネル1の並列回路から切り離す。枝路部9−1a、9−1b、9−2a、9−2b、9−3a、9−3b、10−1a、10−1b、10−2a、10−2b、10−3a、10−3bを含む導電パターン5は、既知の導電材料の金属で構成されており、レーザなどで容易に切断することができる。
【0070】
本実施例において、例えば、幹路部5aと電流密度調整部6−3の陽極との間を接続している枝路部9−3aをレーザで切断したが、幹路部5bと電流密度調整部6−3の陰極との間を接続している枝路部9−3bを切断しても良い。
【0071】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が発光部2と同一の層構造にしている場合には、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3も発光することになる。発光部2の発光輝度の測定に邪魔になる場合などは、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3にマスキングやカバーなどをして電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の発光部分を隠しても良い。
【0072】
電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3が、チップ部品マウント部19を含む場合は、本ステップにおいて、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間の電圧や抵抗などの電気的特性及び有効発光領域EA内の発光部2の発光輝度を測定し、有効発光領域EA内の発光部2が所望の発光輝度にすべく最適なチップ部品18を後から付け替えることにより外部接続端子4a、4b間で所望の電気的特性になるように調整しても良い。
【0073】
また、本ステップにおいて、チップ部品18をチップ部品マウント部19にマウントする前に有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間の電圧や抵抗などの電気的特性及び有効発光領域EA内の発光部2の発光輝度の測定を行い、当該測定の測定結果に応じて、外部接続端子4a、4b間で所望の電気的特性にすべく最適なチップ部品18をマウントしても良い。
【0074】
なお、有機ELパネル1の外部接続端子4a、4b間の電圧や抵抗などの電気的特性及び有効発光領域EA内の発光部2の発光輝度のどちらか一方の測定でもよい。
【0075】
次に、電気的特性及び発光輝度の調整完了後の有機ELパネル1を用いた発光装置の組み立てをする(ステップSS4)。例えば、発光輝度が調整された有機ELパネル1は、バリ取りや洗浄など、その他必要な検査及び処理を行い、有機ELパネル1を用いた発光装置の組み立てをする。
【0076】
なお、上記した実施例においては、有効発光領域EA内の発光部2と電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3とが、積層体としての外郭形状及び積層構造が互いに異なることとされている。しかしながら、本発明においては、発光部2における積層体構造を例えば、ストライプ形状の有機EL積層体群の並置構造とし、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3の各々もストライプ形状の有機EL積層体群の並置構造として、発光部2及び電流密度調整部6−1〜6−3、7−1〜7−3を同時並行的に一連のプロセスによって形成することが可能である。
【0077】
かかる場合においては、有効発光領域EAと後処理加工領域PAとの境界線の基板3の長手方向における位置を選択することも可能である。なんとなれば、本発明による有機ELパネル1は、例えば所定の規格に従った形状の透明窓を備えたケース(図示せず)に収納して発光すなわち照明装置として製品化することができるからである。
【0078】
なお、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3は、発光部2と同一の層構造のときは、電流密度調整部6−1〜6−3及び7−1〜7−3を有効発光領域EA内に設けてもよい。
【0079】
更に、本発明の実施例においては、外部接続端子4a及び4bが正側及び負側であることを前提に説明を行なったが、かかる場合に限定されるものではなく、外部接続端子4a及び4bが負側及び正側であっても良い。