特許第5977350号(P5977350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977350人間の眼球に対する手術の準備を補助するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977350
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】人間の眼球に対する手術の準備を補助するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/01 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   A61F9/01 100
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-521956(P2014-521956)
(86)(22)【出願日】2011年7月28日
(65)【公表番号】特表2014-524818(P2014-524818A)
(43)【公表日】2014年9月25日
(86)【国際出願番号】EP2011003802
(87)【国際公開番号】WO2013013690
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】513146099
【氏名又は名称】バーフェリヒト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】イェクローツ トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ドニツキー クリストフ
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0027439(US,A1)
【文献】 特表2006−522671(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/035063(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0247997(US,A1)
【文献】 特表2004−504105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の眼球に対する、機械による又はレーザー補助によるフラップ準備システム(10)によって角膜フラップを作成する手術の準備を補助するための装置(12)であって、
少なくとも1つのフラップパラメータの決められた値と、少なくとも1つの患者関連パラメータとに関するデータの入力を可能にする入力インターフェース装置(50)と、前記少なくとも1つのフラップパラメータの手術後の実際の値、前記少なくとも1つの患者関連パラメータの値、及び前記フラップ準備システムの構成データをそれぞれ含む複数の手術データ記録が保存されたデータコレクションにアクセスするように構成され、また、前記データコレクションに基づき、前記入力されたデータに従って前記フラップ準備システムの構成の案を示す構成情報を決定するように構成されたコンピューター(46)と、前記構成情報を使用者に対して出力する出力インターフェース装置(48)とを含み、
前記入力インターフェース装置(50)は、以下のフラップパラメータ:フラップの直径、フラップの厚さ、フラップヒンジの寸法及び/又は位置、フラップの楕円率、フラップの中心ずれ、フラップの周縁切開の角度のうち少なくとも1つに関するデータの入力を可能にし、前記手術データ記録のそれぞれはこれらのフラップパラメータのうち少なくとも1つの手術後の実際の値を含むものであり、
前記コンピューター(46)は、前記構成情報の少なくとも一部分、前記入力されたデータの少なくとも一部分及び前記少なくとも1つのフラップパラメータの、前記入力インターフェース装置(50)を介して入力された前記手術後の実際の値を使用して新たな手術データ記録を作成するように構成されたものである、装置。
【請求項2】
前記入力インターフェース装置は、以下の患者関連パラメータ:患者の年齢、眼圧、角膜前面の曲率の少なくとも1つの測定、角膜の厚さ、角膜の厚さを測定するのに用いた測定方法の種類のうち少なくとも1つに関するデータの入力を可能にし、前記手術データ記録のそれぞれはこれらの患者関連パラメータのうち少なくとも1つの値を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記機械によるフラップ準備システムにおいて、前記構成情報は、前記フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:前記眼球に設置される吸引リング(22)の大きさ、前記フラップ準備システムの切削ヘッド(30)の大きさ、前記吸引リングの減圧の強さ、前記切削ヘッドの送り速度、前記切削ヘッドの切削ブレードの振動の周波数、前記切削ヘッドの送り長さのうち少なくとも1つに関する仕様を含み、前記手術データ記録のそれぞれの構成データがこれらの構成パラメータのうち少なくとも1つに関する仕様を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記レーザー補助によるフラップ準備システムにおいて、前記構成情報は、前記フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:前記眼球に設置される吸引リング(22)の大きさ、前記吸引リングの減圧の強さ、フラップ準備に用いられるパルス状のレーザー放射光のパルスエネルギー、前記レーザー放射光のパルス繰り返し周波数、前記レーザー放射光の波長、前記レーザー放射光のパルス幅、室温、切開の深さ、少なくとも1つの光学部品の設置角度、前記フラップ準備システムの前記レーザー放射光の少なくとも1つのスキャンパラメータ、前記レーザー放射光の拡散角度のうち少なくとも1つに関する仕様を含み、前記手術データ記録のそれぞれの構成データがこれらの構成パラメータのうち少なくとも1つに関する仕様を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記コンピューター(46)は、前記構成情報に従って前記フラップ準備システム(10)の少なくとも一部分を構成するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記コンピューター(46)は、前記構成の案に対して前記使用者が前記入力インターフェース装置(50)を介して入力した確定を受信した後に、前記フラップ準備システム(10)の少なくとも一部分を構成するように構成されたものであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コンピューター(46)は、前記入力されたデータに従って、前記データコレクション(44)に含まれる前記手術データ記録からデータ記録のサブグループを選択し、該選択されたサブグループに基づいて前記構成情報を決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記コンピューター(46)は、前記選択されたデータ記録に含まれるデータ記録要素の少なくとも一部分について、前記選択されたサブグループ内の平均値及び標準偏差のうち少なくとも1つを決定するように構成されたものであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コンピューター(46)は、前記データコレクション(44)に含まれるデータを統計的に評価し、前記出力インターフェース装置(48)を介して評価結果を視覚的に出力するように構成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記評価結果は、前記フラップパラメータの前記手術後の実際の値の頻度分布の少なくとも1つを表示したものを含むものであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記評価結果は、前記手術データ記録の1つの要素の値の分布の少なくとも1つを、前記手術データ記録の少なくとも1つの他の要素についての関数として表示したものを含むものであることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の装置。
【請求項12】
人間の眼球に対する、機械による又はレーザー補助によるフラップ準備システムによって角膜フラップを作成する手術を準備するための方法であって、前記フラップ準備システムがコンピューターと、少なくとも1つのフラップパラメータの手術後の実際の値、少なくとも1つの患者関連パラメータの値、及び前記フラップ準備システムの構成データをそれぞれ含む複数の手術データ記録の保存されたデータコレクションとを備える、方法であって、
前記コンピューターが、入力インターフェース装置を介して、前記少なくとも1つのフラップパラメータの決められた値と、前記少なくとも1つの患者関連パラメータとに関するデータを受信する工程と、
前記コンピューターが、前記データコレクションにアクセスして、前記データコレクションに基づき、入力されたデータに従って前記フラップ準備システムの構成の案を示す構成情報を決定する工程と、
前記コンピューターが、出力インターフェース装置を介して、前記構成情報を使用者に対して出力する工程を含む方法。
【請求項13】
前記コンピューターが、前記フラップ準備システムの前記構成の案に対する前記使用者による確定を前記入力インターフェース装置を介して受信する工程と、
前記コンピューターが、前記確定の受信に応じて、前記構成情報に従って、前記フラップ準備システムの少なくとも一部分を自動的に構成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械によるフラップ準備システムにおいて、前記自動的に構成する工程は、前記フラップ準備システムの以下のパラメータ:吸引リングの減圧の強さ、切削ヘッドの送り速度、前記切削ヘッドの切削ブレードの振動の周波数、前記切削ヘッドの送り長さのうち少なくとも1つを、前記構成情報に従って自動的に決定することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザー補助によるフラップ準備システムにおいて、前記自動的に構成する工程は、前記フラップ準備システムの以下のパラメータ:吸引リングの減圧の強さ、フラップ準備に用いられるパルス状のレーザー放射光のパルスエネルギー、前記レーザー放射光のパルス繰り返し周波数、前記レーザー放射光の波長、前記レーザー放射光のパルス幅、室温、切開の深さのうち少なくとも1つを、前記構成情報に従って自動的に決定することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記機械によるフラップ準備システムにおいて、前記構成情報は、前記フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:前記眼球に設置される吸引リングの大きさ、前記フラップ準備システムの切削ヘッドの大きさ、前記吸引リングの減圧の強さ、前記切削ヘッドの送り速度、前記切削ヘッドの切削ブレードの振動の周波数、前記切削ヘッドの送り長さのうち少なくとも1つに関する仕様を含み、前記手術データ記録のそれぞれの構成情報がこれらの構成パラメータのうち少なくとも1つに関する仕様を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザー補助によるフラップ準備システムにおいて、前記構成情報は、前記フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:前記眼球に設置される吸引リングの大きさ、前記吸引リングの減圧の強さ、フラップ準備に用いられるパルス状のレーザー放射光のパルスエネルギー、前記レーザー放射光のパルス繰り返し周波数、前記レーザー放射光の波長、前記レーザー放射光のパルス幅、室温、切開の深さ、少なくとも1つの光学部品の設置角度、前記フラップ準備システムの前記レーザー放射光の少なくとも1つのスキャンパラメータ、前記レーザー放射光の拡散角度のうち少なくとも1つに関する仕様を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球の外科的治療、特に人間の眼球に対するLASIK手術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
「LASIK」とは、レーザー角膜切削形成術(laser in−situ keratomileusis)の略である。これは、まずフラップを準備し、次にその下に位置する角膜組織の領域を露出させるためにフラップを折りたたむ外科的技術である。露出した組織には、UVレーザー放射光を用いたアブレーションが行われる。アブレーションを行う中で、その患者のために予め決定されたアブレーションプロファイルに従って角膜物質が切除される。レーザー治療が行われた後、フラップは折ったのを再び元に戻される。上記の物質の切除の結果、眼球の前面の形状の変化が明らかになる。これに伴って、角膜の屈折作用が変化する。すなわち、眼球によって構成されるシステム全体のイメージング特性が変化する。視力障害、例えば近視、遠視又は乱視などが、このようにして少なくとも緩和され、又は最善の場合完全に排除される。
【0003】
専門領域において、フラップの作成については多くの技術が知られている。1つの技術ではマイクロケラトーム、すなわちフラップを機械的に切削する顕微鏡下手術のためのメスを用いる。別の技術では、それぞれが局所的に生成された多数の光切断を並置することによって組織内切開を生成することができる短パルスレーザー放射光(例えばナノ秒、ピコ秒、フェムト秒又はアット秒の範囲内のパルス持続時間を有するもの)を用いる。そのような光切断は、レーザー放射光に対して透過的な人間の角膜物質中でのレーザー誘起誘電破壊の結果として生じる。
【0004】
本発明の範囲内では、機械的マイクロケラトームによるフラップの作成と、レーザー放射光によるフラップの作成の両方が考慮される。
【0005】
マイクロケラトームには、特に、例えばフラップの切削に用いられる切削ブレード(切削ナイフ)の形状及び動作コースが異なる多様な設計が存在する。ただ、マイクロケラトームの少なくともほとんどに共通する要素は、眼球に設置され、減圧によって眼球に固定されて、切削ブレードを有する切削ヘッドを誘導する及び/又は支持する役割を担う吸引リングを必要とすることである。切削ヘッドはしばしば、切削ヘッドに加えて切削ブレードを駆動するためのモータードライブユニットを含むハンドピースの一部分である。吸引リングは、このハンドピースとは別の、ハンドピースを動作させる前にまず眼球に固定される部分であってもよい。また、切削ヘッド及びドライブユニットと一緒のモジュラーユニットとしての吸引リングの構成も考えられる。
【0006】
通常、上記ハンドピースは、ドライブユニットの動作電圧を供給しドライブユニットを制御するのに必要な電気部品および電子部品を含む、例えばベンチ機器として構成された制御コンソールに、1つ以上の電気ケーブルを介して接続されている。しばしば、制御コンソール内に、患者の眼球に吸引リングを吸引固定するのに必要な減圧を行う減圧ポンプ装置も設置される。したがって、吸引リングは、制御コンソールに1つ以上のホースラインを介して接続されることができる。
【0007】
そのような種類の(制御可能な減圧ポンプ装置が割り当てられた)吸引リングは、レーザー補助によるフラップ準備においても、通常、レーザーによる切削の最中に患者の目を開けておくために使用される。この場合吸引リングは、同時に、使用されるレーザーシステムのハウジング部分に(適切な場合取り外し可能なように)連結されており、レーザー放射光に対して透過的であり、眼球との接合のための接触部材を有する患者用アダプターのための物理的インターフェースを構成することができる。この接触部材は、レーザーの座標系において正確に眼球を参照することができるように眼球の表面が平面的に合致する、平面の又は別の形状の接触面によって構成されている。レーザー技術によって人間の眼球に切開を形成する際に使用される吸引リング及び患者アダプターの設計の例は、国際公開公報第2010/022745号及び同第2008/110368号に開示されている。
【0008】
ここで用いる「フラップ準備システム」という用語は、角膜フラップを切削するのに必要となる部分の全体を示すと考えられる(例えばベンチ機器の形状の制御ユニットを含む)。機械によるフラップ準備システム(すなわちマイクロケラトームシステム)の一例は、高い周波数で横方向の振動を行うように設置された直線的な切削エッジを備えた切削ブレードを有し、同時に、振動している切削ブレードを直線的に前に押し出す切削ヘッドを有している。同様のマイクロケラトームシステムがヨーロッパ公開公報第1752120号及び同第1757253号に開示されている。
【0009】
フラップは円形、楕円形、又は別の形状のカバー様の円盤であり、角膜の残りの組織から完全には切り離されておらず、ヒンジ領域で角膜の残りの組織とつながっている。患者及び治療によって、異なる寸法のフラップを準備することが必要になる場合がある。例えば、フラップの直径、フラップの厚さ、フラップの周縁切開の角度及びヒンジエッジの寸法及び/又は位置の値が、特徴的な寸法として適切である。例えばヒンジの寸法はヒンジの長さである。ヒンジの位置は、フラップの円形の外周の線に対するヒンジエッジの位置として示されるヒンジの位置である。この位置は、例えば、間隔寸法、すなわち、フラップの円形の外周の周囲の線の、ヒンジエッジと平行な接線からのヒンジエッジの距離によって示されることができる。直線的に前に押し出されることができる切削ヘッドを有するマイクロケラトームシステムの場合、ヒンジ位置は、例えば切削ヘッドの送り長さによって決定されることができる。マイクロケラトームシステムの設計の多くでは、使用者が自由に所望の送り長さ、すなわち所望のヒンジの位置を予め決めることができる。このときマイクロケラトームシステムの制御ユニットは、切削ヘッドが確かに決められた送り長さだけ進んだ後に止まり、再び戻ってくるようにする。
【0010】
フラップが作成される前に、執刀医は、フラップの特徴的なパラメータの所望の値を決定し、これに従ってフラップ準備システムを構成しなければならない。フラップ準備システムの多くの製造者が、少なくともシステムの個々の構成部分について複数の異なる種類を提供している。例えば、機械によるフラップ準備システムの製造者は、フラップの厚さを変えるために、例えば、切削ブレードの切削エッジが切削ヘッドの圧平面に対して下向きに突き出る距離が異なる複数の切削ヘッドを提供することができる。この距離が切開の深さを決定し、したがってフラップの厚さを決定する。このようにして、切削ヘッドのそれぞれに名目上の切開深さを割り当てることができ、この名目上の切開深さは、本開示の範囲内において切削ヘッドの大きさとしても示される。
【0011】
フラップ準備システムの製造者は、それぞれ異なる内径を有する、異なる大きさの吸引リングを提供することもできる。機械によるフラップ準備の例では通常、吸引リングの内径がフラップの直径を決定するため、吸引リングのそれぞれが、一定の名目上のフラップの直径と対応する。
【0012】
臨床での実践において、実際得られる結果が常に所望のフラップ寸法と一致するわけではないことが明らかになった。機械によるフラップ準備システムの場合に、執刀医が例えば9mmの大きさ(内径)を有する吸引リング及び120μmの大きさ(名目上の切開深さ)を有する切削ヘッドを選択した場合にも、実際に作成されるフラップが常に正確に同じ寸法を示すとは限らない。代わりに、実際のフラップの寸法と吸引リング及び切削ヘッドの名目上の寸法の間に相当のずれが生じることがある。これについては、しばしば多くの別の要因によってこのずれが生じており、通常、フラップ準備システムの特定の構成において実際のフラップ寸法がどうなるかを、執刀医が自分の豊かな経験だけから正確に予測することはできない。
【0013】
特に、フラップ寸法の所望の目標値と、手術後得られたフラップ寸法の実際の値の間のずれは、多くの患者特異的、装置特異的及び/又は執刀医特異的な境界条件に影響される場合があることが明らかになった。例えば、治療される眼球の眼圧(眼球の内圧)、眼球表面の湾曲の進行度及び患者の年齢が、決められた値と実際の値の間のずれに影響することが明らかになった。眼球を吸引リングに対して吸引する減圧の強さについてや、機械によるフラップ準備システムの場合には、マイクロケラトームシステムの切削ヘッドを含むハンドピースを執刀医が眼球に対して押しつける圧力などの要因についても同様である。さらに数多くの要因が、作成されるフラップの決められた値と実際の値の間のずれを生じさせることができると考えられる。機械によるフラップ準備システムの場合、例えば切削ヘッドに含まれる切削ブレードの振動の周波数及び/又は切削ヘッドの送り速度、また、レーザー補助によるフラップ準備システムの場合、フラップを切削するのに用いられるレーザー放射光のパルスエネルギー又はパルス繰り返し周波数、又はレーザー放射光の局所的な誘導に用いられるスキャナーの一定のパラメータ、又は患者の眼球のイメージを記録するのに用いられるカメラのデータなどの要因である。個別の要因それぞれの確実な影響が容易には明らかにならず、他の補助なしには執刀医にはほとんど予測不能であるということが、執刀医にとって特に難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、執刀医に、機械による又はレーザー補助によるLASIK手術の準備、特にはフラップを作成するために用いるフラップ準備システムの構成を助ける補助ツールを提供することを目的とする。本発明の範囲において「LASIK」という用語は、フラップの切削が角膜実質内まで行われる介入と、上皮フラップのみが切削され、実質内に達しない介入の両方を示すと考えられるべきである。後者はしばしばEpi−LASIKとも呼ばれる。概して、本発明は機械的な切削装置又はレーザー放射光によって角膜フラップが作成されるどのような外科的方法にも適切である。さらに、本発明によって得られる補助ツールは、人間の眼球に角膜形成術による治療又は水晶体の治療を行うための眼球手術準備システムにも適切である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明は、一つの態様によると、人間の眼球に対する、機械による又はレーザー補助によるフラップ準備システムによって角膜フラップを作成する手術の準備を補助するための装置であって、少なくとも1つのフラップパラメータの決められた値と、少なくとも1つの患者関連パラメータとに関するデータの入力を可能にする入力インターフェース装置と、前記少なくとも1つのフラップパラメータの手術後の実際の値、前記少なくとも1つの患者関連パラメータの値、及び前記フラップ準備システムの構成データをそれぞれ含む複数の手術データ記録が保存されたデータコレクションにアクセスするように構成され、また、前記データコレクションに基づき、入力されたデータに従って前記フラップ準備システムの構成の案を示す構成情報を決定するように構成されたコンピューターと、前記構成情報を使用者に対して出力する出力インターフェース装置とを含む装置を提供する。
【0016】
例えばモニター及びプリンターの少なくとも1つを含んでもよい出力インターフェース装置を介して、それぞれの使用者に対して出力される構成情報は、データコレクション又は少なくともその一部分の統計的な評価に基づいてコンピューターによって決定されることができる。機械によるフラップ準備システムの場合、構成情報によって示される構成の案は、例えば、フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:眼球に設置される吸引リングの大きさ、フラップ準備システムの切削ヘッドの大きさ、吸引リングの減圧の強さ、切削ヘッドの送り速度、切削ヘッドの切削ブレードの振動の周波数、切削ヘッドの送り長さのうち少なくとも1つに関する仕様を含んでもよい。レーザー補助によるフラップ準備システムの場合、構成情報は、例えば、フラップ準備システムの以下の構成パラメータ:眼球に設置される吸引リングの大きさ、吸引リングの減圧の強さ、フラップ準備に用いられるパルス状のレーザー放射光のパルスエネルギー、レーザー放射光のパルス繰り返し周波数、少なくとも1つの光学部品の設置角度、フラップ準備システムのレーザー放射光の少なくとも1つのスキャンパラメータ、レーザー放射光の拡散角度のうち少なくとも1つに関する仕様を含んでもよい。このようなパラメータについて、コンピューターが案としての値を決定できるように、手術データ記録のそれぞれの構成データが、これらの構成パラメータのうち少なくとも1つに関する仕様を含むことが有利である。
【0017】
コンピューターによって決定された構成の案の基礎は、入力インターフェース装置を介して入力されたデータによって構成されている。入力インターフェース装置は、例えば、使用者がこれらのデータを入力することを可能にし、このために、例えば、キーボード、音声入力装置、グラフィカルユーザーインターフェース、ポインターデバイス(例えばマウス)、又は類似する部品を含んでもよい。使用者によるデータの入力の代わりに、データがワイヤレスの又はワイヤ接続による伝達によって供給されることが考えられる。このため、入力インターフェース装置は、データを受信するための適切な伝達インターフェースを含んでもよい。
【0018】
入力インターフェース装置は、以下のフラップパラメータ:フラップの直径、フラップの厚さ、フラップヒンジの寸法及び/又は位置、フラップの楕円率、フラップの中心ずれ、フラップの周縁切開の角度のうち少なくとも1つに関するデータの入力を可能にすることが好ましい。これに関して、手術データ記録のそれぞれはこれらのフラップパラメータのうち少なくとも1つの手術後の実際の値を含むことが有利である。
【0019】
患者関連パラメータについては、入力インターフェース装置は、以下の患者関連パラメータ:患者の年齢、眼圧、角膜前面の曲率の少なくとも1つの測定、角膜の厚さ、角膜の厚さを測定するのに用いた測定方法の種類のうち少なくとも1つに関するデータの入力を可能にすることが好ましい。ここでも、手術データ記録のそれぞれはこれらの患者関連パラメータのうち少なくとも1つの値を含むことが適切である。
【0020】
従来、角膜の厚さを測定するための多くの測定技術が知られている。角膜の厚さの測定のための(付随して角膜に準備されたフラップの厚さも測定することができる)一般的な技術には、超音波による厚さ測定法や、OLCR(これはoptical low−coherence reflectometry、光低干渉性反射率測定法の略である)と省略される、低干渉性放射光を用いた反射率測定法がある。後者の方法は、放出された測定ビームを眼球で反射された反射ビームと干渉させる、光干渉測定法である。現在、ある1つの角膜において異なる複数の測定技術を用いた場合、その差はわずかかもしれないが、角膜の厚さの測定値が異なる場合があることが明らかになっている。測定結果にそのような差が存在するため、手術データ記録に、用いられる測定方法を示す欄を挿入するのが有利な場合がある。そのようにすれば、構成の案を決定する際に、コンピューターは、入力インターフェース装置を介して入力された角膜の厚さの値がどの測定方法に基づくものかを考慮に入れることができる。
【0021】
好ましい態様では、コンピューターは、構成情報に従って、好ましくは使用者が入力インターフェース装置を介して入力した、構成の案の確定を受信した後に、フラップ準備システムの少なくとも一部分を構成するように構成されている。例えば、コンピューターは、構成の案とともに、構成の案を確定するように執刀医を促すプロンプトを、出力インターフェース装置を介して出力することができる。執刀医は、入力インターフェース装置を介して、例えばモニター上に重畳された確定領域上を、ポインターデバイスを用いてクリックすることによって、確定を入力することができる。出力された構成の案を使用者の所望に従って修正してから確定する可能性が使用者に与えられることも考えられる。執刀医によって確定された構成情報の少なくとも一部分は、自動的にフラップ準備システムを構成するためにコンピューターによって利用されることができる。このための前提条件は、フラップ準備システムのそのように自動的に構成できる構成部分にコンピューターが接続されていることである。例えば、コンピューターは、吸引リングの減圧を行うための減圧ポンプ装置の駆動、切削ヘッドの駆動、切削ブレードの駆動及びレーザー放射光のパルスエネルギーのうち少なくとも1つを制御する、フラップ準備システムの中央制御ユニットと接続されることができる。構成情報が、例えば、吸引リングの減圧の強さ、切削ブレードの振動の周波数、切削ヘッドの送り速度及び/又は送り長さ、及び/又はレーザー放射光のパルスエネルギーなどのパラメータに関する限り、構成の案に含まれるこれらのパラメータの値がコンピューターから直接中央制御ユニットに伝達されるため、執刀医自身が中央制御ユニットの適切な操作部品を介してその値を手動で入力する必要がないことが考えられる。
【0022】
一方、フラップ準備システムの他の部分は、構成情報に従って執刀医によって手動で構成されることができる。例えば使用される吸引リング、使用される切削ヘッド及びレーザー放射光のパルス繰り返し周波数のうち少なくとも1つである。これに関して、執刀医は例えば、異なる大きさの複数の吸引リング、異なる大きさの複数の切削ヘッド及び異なる複数のパルス繰り返し周波数のうち少なくとも1つから選択することができる。このとき、執刀医には、予め決められた複数の構成の案に従って適切な吸引リング、適切な切削ヘッド及び適切なパルス繰り返し周波数のうち少なくとも1つを選ぶ義務がある。
【0023】
コンピューターは、構成情報の少なくとも一部分、入力されたデータの少なくとも一部分及び少なくとも1つのフラップパラメータの、入力インターフェース装置を介して入力された手術後の実際の値を使用して新たな手術データ記録を生成するように構成されることが好ましい。このようにすればデータコレクションを手術ごとに増やすことができる。データコレクションが大きくなるほど、より信頼できる構成の案をコンピューターが提供できるようになる。すなわち、コンピューターが、手術後にフラップパラメータの所望の目標値を十分な精度で得ることができるフラップ準備システムの構成を、より信頼性高く決定することができる。特に、執刀医に各自のデータコレクションを設ける、又は手術データ記録のそれぞれに、それぞれの執刀医に関する仕様を入力することができる欄を挿入することが考えられる。このようにして、構成の案を確定する際に、執刀医による個別の影響を考慮に入れることができる。
【0024】
データコレクションの評価のために、コンピューターは、入力されたデータに従って、データコレクションに含まれる手術データ記録からデータ記録のサブグループを選択し、選択されたサブグループに基づいて構成情報を決定するように構成されることができる。
【0025】
コンピューターは、選択されたデータ記録に含まれるデータ記録要素の少なくとも一部分について、選択されたサブグループ内の平均値及び標準偏差のうち少なくとも1つを決定するように構成されることができる。
【0026】
構成の案の決定及び出力に加え、さらなる好ましい態様では、コンピューターは、データコレクションに含まれるデータを統計的に評価し、出力インターフェース装置を介して評価結果を視覚的に出力するように構成されることができる。例えば、評価結果は、フラップパラメータの手術後の実際の値の頻度分布の少なくとも1つを表示したものを含むことができる。これに代わって、又はこの補足として、評価結果は、手術データ記録の1つの要素の値の分布の少なくとも1つを、手術データ記録の少なくとも1つの他の要素についての関数として表示したものを含むことができる。評価結果のこのような表示に基づいて、執刀医は、例えば、ある一定のフラップパラメータの手術後の値の、所定の境界条件に応じた変化範囲の経過についての印象を得ることができる。例えば執刀医は、与えられた境界条件下で手術後にフラップパラメータの所望の目標値が得られる確率を推定することができる。
【0027】
さらなる態様によると、本発明は、人間の眼球に対する、機械による又はレーザー補助によるフラップ準備システムによって角膜フラップを作成する手術を準備するための方法であって、少なくとも1つのフラップパラメータの手術後の実際の値、少なくとも1つの患者関連パラメータの値、及び前記フラップ準備システムの構成データをそれぞれ含む複数の手術データ記録の保存されたデータコレクションを設ける工程と、入力インターフェース装置を介して、前記少なくとも1つのフラップパラメータの決められた値と、前記少なくとも1つの患者関連パラメータとに関するデータを受信する工程と、前記データコレクションにアクセスして、前記データコレクションに基づき、入力されたデータに従って前記フラップ準備システムの構成の案を示す構成情報を決定する工程と、出力インターフェース装置を介して、前記構成情報を出力する工程を含む方法を提供する。
【0028】
この方法は、特に前記した種類の装置を用いることによって実施することができる。
【0029】
好ましい態様によると、本発明の方法は、フラップ準備システムの構成の案に対する使用者による確定を入力インターフェース装置を介して受信する工程と、確定の受信に応じて、構成情報に従って、フラップ準備システムの少なくとも一部分を自動的に構成する工程を含むことができる。
【0030】
機械によるフラップ準備システムにおいて、自動的な構成は、フラップ準備システムの以下のパラメータ:吸引リングの減圧の強さ、切削ヘッドの送り速度、切削ヘッドの切削ブレードの振動の周波数、切削ヘッドの送り長さのうち少なくとも1つを、構成情報に従って自動的に決定することを含むことができる。
【0031】
一方、レーザー補助によるフラップ準備システムにおいて、自動的な構成は、例えばフラップ準備システムの以下のパラメータ:吸引リングの減圧の強さ、フラップ準備に用いられるパルス状のレーザー放射光のパルスエネルギー、レーザー放射光のパルス繰り返し周波数のうち少なくとも1つを、構成情報に従って自動的に決定することを含むことができる。
【0032】
本発明の方法は、構成情報に従って、複数の異なる大きさの吸引リングから1つの吸引リングを選択する工程と、選択した吸引リングをフラップ準備システムに装備する工程をさらに含むことができる。
【0033】
同様に、本発明の方法は、機械によるフラップ準備システムにおいて、構成情報に従って、複数の異なる大きさの切削ヘッドから1つの切削ヘッドを選択する工程と、前記選択した切削ヘッドをフラップ準備システムに装備する工程をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下で、添付の図面に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
図1】本発明の態様の例による、機械によるフラップ準備システム(マイクロケラトームシステム)と、マイクロケラトームシステムの適切な構成を決定する際に執刀医を補助する装置を模式的に示す概略図である。
図2】本発明の態様の例による、マイクロケラトームシステムの構成と、マイクロケラトームシステムを用いた外科的介入の実施に関する複数の段階を模式的に示す図である。
図3a】本発明の態様の例による、マイクロケラトームシステムの構成の案を決定する際の複数の工程の例を概略的に示す図である。
図3b】本発明の態様の例による、マイクロケラトームシステムの構成の案を決定する際の複数の工程の例を概略的に示す図である。
図4a図1の装置のデータコレクションに含まれるデータの統計的分析結果の出力例を示す図である。
図4b図1の装置のデータコレクションに含まれるデータの統計的分析結果の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず図1を参照する。図1は、かなり簡略化された、模式的な形で、マイクロケラトームシステム10と、マイクロケラトームシステム10の適切な構成を決定する際にマイクロケラトームシステム10で作業を行う執刀医を補助する装置12の例を示す。
【0037】
マイクロケラトームシステム10は、LASIK治療(本開示の範囲内では、この用語に変更例Epi−LASIKも含む)の範囲内で、手術が行われる人間の眼球14に角膜フラップを作成するために、執刀医によって使用される。このためマイクロケラトームシステム10は、交換可能な切削ブレード16と、眼球14に設置される吸引リング22を有する吸引リングユニット20を備える。示される例では吸引リングユニット20がハンドピース18とは別に形成されている。上記吸引リングは、例えば、吸引リング22に形成され、対応する数の排気チャンバー(不図示)に接続された、既知のものである1つ以上の排気ダクト(不図示)を含む接続部材24に統合的に接続される。そのような少なくとも1つの排気チャンバーは、吸引リング22に対して眼球14を吸引する役割を担う。
【0038】
接続部材24には少なくとも1つのホースライン26を接続することができ、これを、マイクロケラトームシステム10の、例えばベンチ装置として構成された中央制御コンソール28に接続することができる。制御コンソール28は、吸引リング22の排気チャンバーのそれぞれで、少なくとも1つのホースライン26を介して減圧を行うことができる、不図示の(任意で異なるポンプ容量を有してもよい1つ以上の減圧ポンプを備えた)減圧ポンプ装置を含む。
【0039】
ハンドピース18は、切削ブレード16のためのキャリアとしての役割を担う切削ヘッド30と、切削ヘッド30に取り外し可能なように連結されたモータードライブユニット32を有する。切削ヘッド30は、吸引リング22上に形成された誘導構造(不図示)によって支持され、直線的な動作方向に誘導される。誘導構造は、例えば吸引リング22上に間隔を空けて形成された、歯状の構造を持つ2つのレールを含むことができ、このレールと、切削ヘッド30にドライブユニット32の駆動力を伝えるように設置された2つの小歯車が互いにかみ合う。このようにして、切削ヘッド30が吸引リング22に対して直線的に往復運動を行うことが可能になる。切削ヘッド30のこの往復運動は、図1に両方向矢印34によって示される。
【0040】
切削ブレード16は、横方向に可動なように切削ヘッド30に支持されている。ここで「横方向」とは、切削ヘッド30の動作方向34に対して垂直(すなわち図1の紙面に対して垂直)な方向を意味する。横方向の振動を行うために、切削ブレード16にもドライブユニット32の駆動力が伝えられる。
【0041】
切削ヘッド30及び切削ブレード16を駆動するために、ドライブユニット32は単一のドライブモーター(電気モーター)又は複数の別のモーターを具備することができる。複数の別のモーターを有する例がヨーロッパ公開公報第1757253号に示され、単一のモーターを有する例については、例えば同第0442156号を参照することができる。
【0042】
ハンドピース18はケーブル36を介して制御コンソール28に接続されている。ケーブル36には、ドライブユニット32に動作電力と、適切な場合に電気的制御信号を供給する1つ以上の電線が含まれる。
【0043】
制御コンソール28には、メモリ40に含まれる制御プログラムに従って動作する、マイクロプロセッサによる制御ユニット38が含まれる。制御ユニット38は、ハンドピース18の動作(より正確にはドライブユニット32の動作)と、好ましくは前述の減圧ポンプ装置の動作を制御する。制御コンソール28は、さらに、執刀医がマイクロケラトームシステム10の異なる動作パラメータの決められた値を入力できる、例えばタッチ画面の形の、手動で操作できる入力ユニット42を有するように構成することができる。そのような動作パラメータは、例えば、吸引リング22に対して眼球14を吸引する減圧の強さ、切削ブレード16の振動の周波数、切削ヘッド30の送り速度、適切な場合、切削ヘッド30の送りの距離の長さ(送り長さ)である。送り長さはフラップの周縁線の中のフラップヒンジの位置、すなわち周縁線とヒンジ線の間隔を決定する。
【0044】
執刀医は、特定の患者について、フラップの厚さ、フラップの直径及びフラップヒンジの位置の予め決められた目標値が可能な限り良く得られるマイクロケラトームシステム10の適切な構成を見出さなければならないという問題に面する。この問題の原因は、これらのフラップパラメータの手術後の実際の値は、しばしば対応するマイクロケラトームシステムの名目上の値又は設定された値と異なることである。一例を挙げると、名目上の切開深さが120μmである切削ヘッドは、必ずしも全く同じ値の手術後のフラップの厚さをもたらすわけではない。その代わり、手術後のフラップの厚さは容易に名目上の値120μmより数マイクロメートル大きく、又は小さくなる可能性がある。フラップ直径に関しても同様であり、フラップ直径の手術後の実際の値は容易に、吸引リング22の名目上の値より数十ミリメートル大きく、又は小さくなる可能性がある。そのようなずれを招く要因は様々である。執刀医自身が、例えば、ハンドピース18をより強い又は弱い圧力で吸引リング22に対して、すなわち眼球14に対して押し当てることによって1つの影響要因となりうる。患者もまた、患者の年齢、治療される眼球の角膜の厚さ、治療される眼球の内圧などの患者特異的なパラメータを通じて影響要因となり得る。影響要因の多くは、執刀医がはっきりとわかるような相関関係を持たないことが多いので、作成されるフラップの設定した目標値を十分な精度で実現することができるマイクロケラトームシステム10の構成を執刀医が予測することは難しい。
【0045】
執刀医がマイクロケラトームシステム10を適切に構成するのを助けるために、装置12が提供される。装置12は、メモリに保存され、1回1回の角膜手術で得られた手術データ記録が保存されている、又は保存することができるデータコレクション(データベース)を含む。データコレクション44は、手術が終了するごとに新しい手術データ記録を作成し、すでに存在するデータコレクションに追加することができるという意味でオープンである。
【0046】
データコレクション44は、データコレクション44を統計的に評価し、出力装置(例えばプリンター、モニター)48上にその評価結果を出力するようにプログラムされている。複数の同様の、又は別の種類の出力装置48がコンピューター46に接続されても良いと考えられる。全ての出力装置48は、ともに本発明の出力インターフェース装置を構成する。さらに、コンピューター46は、例えば執刀医が入力装置50を介して入力した、予定されている手術に関するデータを受信するようにプログラムされている。これらの入力データは、特に、患者の年齢、治療される角膜の厚さ、眼圧(IOP)及び角膜表面の曲率の少なくとも1つの測定(いわゆるK値)等さまざまな患者特異的なパラメータの値に関係する。さらに、入力されたデータは、作成されるフラップにおいて達成されるべき、複数のフラップ寸法の所望の目標値を特定する。そのフラップ寸法は、フラップの直径、フラップの厚さ、フラップヒンジの位置(例えば、ヒンジ線と、フラップの周縁線の最も近い接線との間隔によって表される)であることが好ましい。
【0047】
コンピューター46は、例えば異なる種類(例えばキーボード、音声入力モジュール、ポインターデバイス)でもよい複数の入力装置50と接続されることができると考えられる。各入力デバイス50は、本発明の入力インターフェース装置の一部分である。
【0048】
コンピューター46は、データコレクション44に基づき、入力されたデータを考慮して、マイクロケラトームシステム10の構成の案を決定し、その構成情報を出力装置48に出力するようにプログラムされている。構成情報は、吸引リングの大きさ、切削ヘッドの大きさ、切削ブレード16の振動の周波数、切削ヘッド30の送り速度、切削ヘッド30の送り長さ、吸引リング22の吸引のための減圧の強さ(強さの段階)に関する仕様を含むことが好ましい。吸引リングの大きさ及び/又は切削ヘッドの大きさに関する仕様は、例えば、吸引リング22又は吸引ヘッド30の大きさの案を具体的に特定する数値であることができる。これに代わって、種類の指定によって、吸引リング22又は切削ヘッド30の一定の名目上の大きさを明確に指定することができる場合、吸引リングの大きさ及び/又は切削ヘッドの大きさに関する仕様が、吸引リング22又は切削ヘッド30の種類の指定を含むことが考えられる。
【0049】
構成の案を決定するため、コンピューター46は、データコレクション44に保存されたデータの履歴に基づき、入力装置50を介して入力された複数の患者特異的なパラメータの値の境界条件下で、入力装置50を介して入力された複数のフラップ寸法の目標値を十分な精度で得るのに最も適したマイクロケラトームシステム10の構成を確立するためにデータコレクション44を調査する。出力装置48に出力された構成の案は、続いて、執刀医によって、すなわち入力装置50への適切な入力によって確定されなければならない。適切な場合、コンピューター46は、執刀医が構成の案を修正することを許可することができる。構成の案を修正するために、執刀医は、同様に、入力装置50を介して対応する入力を行わなければならない。出力装置48上に表示された特定の構成を執刀医が確定するとすぐに、コンピューター46は、データコレクション44に、確定された構成の構成データの少なくとも一部分を書き込んだ新たな手術データ記録を作成する。さらに、コンピューター46は、新たに作成された手術データ記録に患者特異的なパラメータの値の少なくとも一部分を書き込む。後でこの手術データ記録には、手術後に測定されたフラップの直径、フラップの厚さ、適切な場合ヒンジの位置の値が補充される。これらの測定値は、例えば執刀医が入力装置50を介して入力することができる。これに代わって、コンピューター46がこれらのフラップ寸法を測定するのに用いられる測定装置と接続されており、測定値が執刀医の介入なしにコンピューター46に送信され、そこからデータコレクション44に書き込まれることができることも考えられる。
【0050】
執刀医がマイクロケラトームシステム10の特定の構成を認めるとすぐに、執刀医は、入手可能な、複数の異なる大きさの切削ヘッドから適切な大きさの切削ヘッドを選択し、ハンドピース18に結合する。執刀医はさらに、入手可能な、複数の異なる大きさの吸引リングから適切な吸引リングを選択する。一つの態様によると、マイクロケラトームシステムの残りの決定されるべきパラメータ(例えば減圧の強さ、振動の周波数、送り速度、送り長さ)は、執刀医が入力ユニット42を介して手動で制御コンソール28に入力することができる。別の態様によると、構成の案の確定後すぐに、この構成パラメータがコンピューター46から制御コンソール28に伝達されることが考えられる。この可能性は、図1において、コンピューター46と制御コンソール28の間をつなぐ破線52によって示される。制御コンソール28は、伝達されたパラメータの値を受信し、それらを対応する制御信号に変換することができる。
【0051】
図1において、装置12と制御コンソール28は別の部分として示される。当然、コンピューター46、データコレクション44、適切な場合出力装置48及び/又は入力装置50(又は少なくともその一部分)をモジュールとして制御コンソール28に統合することができると考えられる。そのような場合、入力ユニット42と入力装置50を別々に備える必要はなく、一体化して共通の入力ユニットを形成することができると考えられる。
【0052】
図2は、マイクロケラトームシステム10の構成に関してここまで説明してきた複数の段階を、ブロックの形で示す。始点は患者データ、手術前の測定からのデータ及び所望の目標値を装置12のコンピューター46に入力することである。具体的な例では、患者データは治療される患者の年齢に関係し、手術前測定データはK値、眼圧(IOP)及び角膜の厚さを含み、所望の目標値はフラップの直径、フラップの厚さ及びヒンジの間隔(ヒンジの位置)に関する。これらのデータのコンピューター46への入力は、対応する矢印によって図2に示される。
【0053】
入力されたデータに対して、コンピューター46は、データベース44に含まれる手術データ記録にアクセスすることによって構成の案を計算する。示される例で、構成の案は吸引リングの大きさ、振動の周波数、切削ヘッドの大きさ、送り速度、送り長さ及び吸引リング22の吸引のための減圧の強さに関する仕様を含む。ここに挙げた、構成の案に含まれることができるパラメータは、決定的なものでも、限定を行うものでもないと理解される。
【0054】
コンピューター46による案に従ってマイクロケラトームシステムが構成された後に、執刀医は予定された手術を実施する。続いて、適切な測定装置によって、作成されたフラップの厚さ、直径及びヒンジの位置(ヒンジの間隔)が測定される。このようにして得られた手術後の測定データはデータベース44に、少なくとも部分的に、自動で又は執刀医によって供給され、該当する手術に割り当てられた手術データ記録に書き込まれる。
【0055】
構成の案の計算に関する複数の段階の例をより詳細に説明するため、図3a、図3bを参照する。図3a、図3bには、上から下にひとつずつ並び、この順でコンピューター46によって実行されることができる、(1)から(6)の6つの工程が示される。
【0056】
工程(1)において、コンピューター46は複数のフラップ寸法の所望の目標値、ここではフラップの厚さ120μm、フラップの直径9.3mm、ヒンジの長さ4.5mmという目標値を受信する。図3aの工程(1)で示される許容誤差範囲はコンピューター46の制御プログラム中に保存されており、執刀医が個別に入力しなくてもよい。別の態様では、許容誤差を執刀医自身が入力することができると理解される。
【0057】
工程(2)において、コンピューターはデータベース44にアクセスし、そこに含まれる手術データ記録のうちどれが予め決められた目標値に最も近いかを調査する。説明のために、図3aの工程(2)には、計5件の手術データ記録が保存されたデータプールが示される。これらの手術データ記録のそれぞれは、複数のデータ記録要素のための欄を含む。これについて、示される例は、切削ヘッド、吸引リング、減圧、振動、IOP、K値、角膜の厚さ、フラップの厚さ、フラップの直径、ヒンジ及び年齢のデータ要素のための欄を含む。切削ヘッド及び吸引リングのデータ記録要素は切削ヘッドの大きさ及び吸引リングの大きさに関する。データ記録欄に入力されたパラメータの値A、B、Cは、それぞれ切削ヘッド及び吸引リングの異なる大きさを示す。
【0058】
減圧のデータ記録要素は、眼球14に吸引リング22を固定するために行われる減圧に関し、振動のデータ記録要素は切削ブレード16の振動の周波数に関する。IOP、K値及び角膜の厚さのデータ記録要素はそれぞれ眼球の内圧、角膜前面の曲率、角膜の厚さに関する。その次の、フラップの厚さ及びフラップの直径の2つのデータ記録要素は、これらの2つのパラメータの手術後の実際の値を示す。ヒンジのデータ記録要素はヒンジの長さの手術後の測定値を示し、年齢のデータ記録要素は、患者の年齢を示す。
【0059】
工程(2)において、保存された手術データ記録の調査の中で、コンピューターは1番目、4番目及び5番目のデータ記録が工程(1)で入力された目標値に近いことを確定する。これは図3aにおいてこれら3つのデータ記録を囲むことで示されている。
【0060】
続く工程(3)において、コンピューター46は、工程(2)で予め選択されたデータ記録を、具体的には、工程(1)で入力された目標値との類似性に従ってグループに分ける。例として、図3aの工程(3)では、2つのデータ記録を含むグループ1と、1つのデータ記録を含むグループ2の、2つのグループが示される。グループ1に含まれるデータ記録は、許容誤差を考慮に入れると、工程(1)で入力されたフラップの厚さ、フラップの直径及びヒンジの位置の目標値を満たしていることが容易に識別できる。一方、グループ2のデータ記録では、ヒンジ間隔(4.2mm)が許容範囲外である(工程(1)で許容誤差±0.1mmによって示されるように、ヒンジの長さの許容範囲は4.4mmから4.6mmである)ため、この目標値を満たしていない。
【0061】
続く工程(4)において、コンピューター46は、続いて構成の案を決定するために、グループ1の2つのデータ記録を利用することを確定する。
【0062】
続く工程(5)において、コンピューター46は、工程(4)で選択されたデータ記録から、各データ記録要素について平均値及び標準偏差を計算する。
【0063】
切削ヘッドの大きさ、吸引リングの大きさ、吸引のための減圧の強さ、切削ブレードの振動の周波数及びヒンジ位置について計算された平均値は、工程(6)においてコンピューター46によって組み合わされて構成の案となり、執刀医に(例えばモニター上の出力によって)伝達される。図3bに示す例で、構成の案は、切削ヘッドの大きさA、吸引リングの大きさA、吸引のための減圧450mmHg、切削ブレードの振動の周波数8000s−1、(切削ヘッドの送り長さに対応する)ヒンジ寸法4.5mmを含む。
【0064】
構成の案の計算に加え、コンピューター46は、データベース44に含まれるデータを評価し、その評価結果をグラフとして出力装置48に表示させるようにプログラムされている。例えば、コンピューター46は与えられた境界条件下(例えば大きさAの切削ヘッドを用い、吸引リング22の吸引のための減圧450mmHgで、治療される眼球のK値が41.0−43.0mmHgの場合)での特定のパラメータ(例えば手術後のフラップの厚さ)の値の履歴の分布を決定するようにプログラムされている。そのような頻度分布の出力フォーマットの例が図4aに示される。ここで頻度分布が有するパラメータはxとされている。
【0065】
これに代わって、又はこれに加えて、コンピューター46は、例えば、与えられた境界条件下(例えば大きさAの切削ヘッド、大きさAの吸引リング、450mmHgの減圧、41.0−43.0mmHgのK値)で2つ以上のパラメータ(例えばフラップの直径、フラップの厚さ)のこれまでに生じた値の組み合わせを示す従属図を作成して出力するようにプログラムされてもよい。そのような従属図の出力フォーマットの例を図4bに示す。図中の変数x、yはパラメータを示し、そのパラメータの値のこれまで生じた組み合わせが図中に示される。
【0066】
図4a及び図4bのように表示されたものから、執刀医は、フラップ寸法の決められた値と実際の値の、上記したずれをもたらす複数の影響要因に関する見識を得ることができる。このようにして、手術の計画及び実施を改善するための有用な道具が執刀医に提供される。
【0067】
上記の図面の説明の範囲内において、始点は機械によるフラップ準備システム、すなわちマイクロケラトームシステムであった。しかし、本発明によって提供される方法によると、レーザー技術によって角膜フラップを作成するためのフラップ準備システムも、同様に構成することができる。レーザー補助によるフラップ準備システムの場合、執刀医又は使用者が手術前に決められた値を入力することができるフラップパラメータの少なくとも一部分が、マイクロケラトームシステムの場合と異なってもよい。例えば、レーザー補助によるフラップ準備システムの場合、特に、フラップの楕円率(すなわち理想的な円形からのずれの程度)、フラップの中心ずれ、フラップの周縁切開の角度のうち少なくとも1つの決められた値を入力できることが考えられる。周縁切開の角度とは、フラップの周縁を形成する側面の切開が、フラップの角膜実質ベッドを形成するベッド切開から角膜表面の方向に向かって立ち上がる角度のことである。これについては(少なくとも角膜が水平な、すなわち圧平された状態で)、例えば直角又は鈍角を選択することができる。後者の場合側面切開(周縁切開)はベッド切開から斜めに外側に延びる。フラップの中心ずれとは、予め決められた眼球の参照点、例えば角膜前面の頂点に対するフラップのずれに関する仕様のことである。
【0068】
レーザー補助によるフラップ準備システムの場合、構成の案としてコンピューターによって出力される構成情報も、少なくとも部分的に、機械によるフラップ準備システムの場合と異なってもよい。したがってレーザー補助によるフラップ準備システムの場合、構成情報は例えば、特に、フラップを作成するために用いられるレーザー放射光のパルスエネルギー及びパルス繰り返し周波数のうち少なくとも1つに関する仕様を含むことができる。構成情報は、これに代わって、又はこれに加えて、例えばレーザー放射光の波長、レーザー放射光のレーザーパルスのパルス幅、室温及び切開の深さ(すなわちフラップの厚さ)のうち少なくとも1つに関する仕様を含むことができる。
【0069】
これに代わって、又はこれに加えて、構成情報は、フラップ準備システムの少なくとも1つの光学部品の設置角度、少なくとも1つのスキャンパラメータ及びレーザー放射光の拡散角度のうち少なくとも1つに関する仕様を含むことができる。レーザー補助によるフラップ準備システムは、例えば、レーザー放射光のビーム路上に、角度を調節することができる少なくとも1つの光学部品を含むことができる。光学部品としては、例えば、設置角度に応じてパルスエネルギー、パルス幅又はパルス繰り返し周波数などの1つ以上のレーザーパラメータに対して設置角度に応じて異なる影響を有することができる回折性の光学部品である。そのような光学部品の設置角度は、例えば、レーザー放射光の伝達方向に対する光学部品の光軸の位置に関することができ、この角度は適切な作動装置によって変えることができる(例えば電気モーターによって、圧電的に、又は磁気的に作動される)。スキャンパラメータ(すなわちレーザー放射光の放射焦点の局所的な制御に用いられるスキャナーの設定パラメータ)として、例えば、走査速度、スポット間隔(すなわち2つの連続的な焦点位置の局所的な間隔)、走査線間隔(すなわちスキャナーによって放射焦点が動かされることによって生じる走査パターン中の隣り合う線の間隔)及びx方向、y方向、及び/又はz方向のスケーリング要素のうち少なくとも1つ以上が考慮に入れられる。従来の表記に従うと、z方向はレーザー放射光の伝達方向とされ、x方向及びy方向はz方向に直行する平面を形成する2つの方向とされる。通常スキャナーは、放射光の焦点の縦方向(すなわちz方向)の局所的な制御及び横方向(すなわちxy平面内)の局所的な制御の両方を可能にする適切な部分を含む。治療面の深さはz方向のスケーリング要素を介して治療面の位置の設定値と関係しており、フラップの直径、ヒンジの長さ及びヒンジの位置などのパラメータはx方向及びy方向のスケーリングを介して互いに関係している。また、スポット間隔は走査速度及びパルス繰り返し周波数から決定される。治療面に関する限り、この用語は切開の深さという意味を有する。これはレーザー放射光の拡散角度によって決定することができる。例えば、放射光の拡散度を、例えばフェーズシフトの適切な制御によって変えることができる回折性の光学部品を用いることによって、より大きな切開を形成することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b