特許第5977405号(P5977405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5977405-防臭装置および防臭装置付き小便器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977405
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】防臭装置および防臭装置付き小便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20160817BHJP
   E03D 13/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   E03D9/00 C
   E03D13/00
   E03D9/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-154980(P2015-154980)
(22)【出願日】2015年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-148234(P2016-148234A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2015年8月5日
(31)【優先権主張番号】104105064
(32)【優先日】2015年2月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515214866
【氏名又は名称】十邑國際貿易有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 勝正
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−046072(JP,U)
【文献】 特開2002−030716(JP,A)
【文献】 特開2003−064758(JP,A)
【文献】 特開平05−086640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器本体に取り付けられて該小便器本体の防臭に用いる防臭装置であって、
クーリングユニットと、センサーユニットと、ディスペンサユニットと、を具え、
前記クーリングユニットは、防臭用液体を冷却して低温防臭物を作製する上に、作製した前記低温防臭物を前記ディスペンサユニットに供給できるように構成され、
前記センサーユニットは、前記小便器本体の使用者の有無を感知できるものであって、前記使用者の存在を感知すると、吐出信号を前記ディスペンサユニットに送信するように構成され、
前記ディスペンサユニットは、前記クーリングユニットから供給された前記低温防臭物を貯留できる上に、前記センサーユニットから前記吐出信号を受信すると、前記低温防臭物を前記小便器本体に吐出するように構成されており、
更に、前記センサーユニットは、所定の時間内で前記使用者の存在を感知した回数である使用回数を計算すると共に、その使用回数に応じた制御信号を前記クーリングユニットに送信し、また、前記クーリングユニットは、受信した前記制御信号に基づいて前記低温防臭物を作製する冷却出力を制御するように構成されていることを特徴とする防臭装置。
【請求項2】
前記センサーユニットは、前記使用者の存在を感知する人感センサーと、プロセッサと、を有し、
前記人感センサーは、前記使用者の存在を感知すると、感知信号を前記プロセッサに送信し、前記プロセッサは、前記所定の時間内で前記感知信号を受信した回数を前記使用回数とする上に前記使用回数に応じて前記制御信号を前記クーリングユニットに送信し、
また、前記プロセッサは、前記使用回数に基づいて前記ディスペンサユニットにおける前記低温防臭物の残量を計算できる上に、該残量が所定以下になったことを検知すると、補給信号を前記クーリングユニットに送信するように構成されていて、
前記クーリングユニットの前記ディスペンサユニットに対する前記低温防臭物の供給は、前記クーリングユニットが前記補給信号を受信した際に行なわれるように構成されている、請求項1に記載の防臭装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、計数モジュールと、制御モジュールと、を有し、
前記計数モジュールは、前記人感センサーから前記感知信号を受信するように配置されている上に、前記所定の時間内で前記感知信号を受信した回数を記録して前記使用回数を計算し、計算した前記使用回数に応じた使用回数信号を前記制御モジュールに送信するように構成され、
前記制御モジュールは、前記計数モジュールから前記使用回数信号を受信するように配置されている上に、受信した前記使用回数信号に基づいて、前記冷却出力を定めると共に定めた前記冷却出力に対応する前記制御信号を前記クーリングユニットに送信するように構成されている、請求項2に記載の防臭装置。
【請求項4】
前記センサーユニットは、前記小便器本体が位置する環境の温度を検知すると共に検知した該温度に応じた温度信号を送信する温度センサーを更に有し、
前記制御モジュールは、更に前記温度センサーから前記温度信号を受信するように配置されている上に、受信した前記使用回数信号と前記温度信号とに基づいて、前記冷却出力を定めるように構成されている、請求項3に記載の防臭装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは、受信した前記使用回数信号から判別される前記使用回数と、前記ディスペンサユニットが前記低温防臭物を前記小便器本体に吐出できる回数である所定の吐出可能回数と、を比較して前記残量を計算し、該残量が所定以下になったことを検知すると、前記補給信号を送信するように構成され、
前記計数モジュールは、前記制御モジュールが前記補給信号を送信してから再び前記補給信号を送信するまでの時間を前記所定の時間として前記使用回数を計算するように構成されている、請求項4に記載の防臭装置。
【請求項6】
前記ディスペンサユニットは、前記低温防臭物を断熱的に貯留できるように形成された少なくとも1つの容器と、前記センサーユニットからの前記吐出信号を受信して前記容器に貯留されている前記低温防臭物を前記小便器本体に吐出する駆動モジュールと、を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の防臭装置。
【請求項7】
前記ディスペンサユニットは前記容器を複数有し、前記駆動モジュールは、前記吐出信号を受信すると複数の前記容器のいずれかから順次前記低温防臭物を前記小便器本体に吐出するように構成されている、請求項6に記載の防臭装置。
【請求項8】
前記クーリングユニットは、前記制御信号を受信すると、すべての前記容器を満たす量の前記低温防臭物が作製されるように前記冷却出力が制御される、請求項6または7に記載の防臭装置。
【請求項9】
前記防臭用液体は、防臭作用のある洗浄液であって、前記低温防臭物は、前記防臭用液体が前記クーリングユニットにより冷却されて固体、液体、固液混在体のいずれかに形成されたものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の防臭装置。
【請求項10】
小便器本体と、前記小便器本体に取り付けられている請求項1〜9のいずれか一項に記載の防臭装置と、を具えることを特徴とする防臭装置付き小便器。
【請求項11】
音声を発することができる音声モジュールと、前記小便器本体内を照らすことができるように設けられた照明モジュールと、を有する音声照明ユニットを更に具える、請求項10に記載の防臭装置付き小便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防臭装置に関し、特には小便器に用いる防臭装置及び防臭装置付き小便器に関する。
【背景技術】
【0002】
小便器に用いる防臭装置には、洗浄式と冷却式とがある。
【0003】
洗浄式は、防臭作用のある洗浄液を小便器内に流す方式であり、特許文献1はその一例である。この例では、上水道管に連結されていると共に固形の洗浄剤が入れられたパイプを小便器につなぎ、小便器に設けられた人感センサーが使用者の存在を感知した際に、パイプから洗浄剤が溶け込んだ水が小便器内に流れ出るように制御することにより、小便器の防臭効果を図っている。しかしながら、このような防臭装置は、防臭効果を得るために大量の水が消費される。
【0004】
冷却式は、小便器において残留尿に含まれる尿素が分解されてアンモニアになるのを、温度を下げることにより防いで臭気の拡散を抑える方式であり、特許文献2はその一例である。この例では、冷媒を循環させるためのパイプを小便器の背面に設置し、パイプの両端を冷媒を冷却するための冷却装置と繋ぎ、パイプ内の冷媒を冷やしながら循環させることにより、小便器の温度を下げて、尿由来の臭気の拡散防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第102071734号明細書
【特許文献2】台湾登録実用新案第306598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、小便器に用いる従来の冷却式防臭装置は、冷却のために恒常的に冷却装置を稼動させる必要があり、電力消費が大きい。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力消費が抑えられると共に、使い勝手がより向上された防臭装置および該防臭装置付き小便器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する手段として、本発明は、小便器本体に取り付けられて該小便器本体の防臭に用いる防臭装置であって、クーリングユニットと、センサーユニットと、ディスペンサユニットと、を具え、前記クーリングユニットは、防臭用液体を冷却して低温防臭物を作製する上に、作製した前記低温防臭物を前記ディスペンサユニットに供給できるように構成され、前記センサーユニットは、前記小便器本体の使用者の有無を感知できるものであって、前記使用者の存在を感知すると、吐出信号を前記ディスペンサユニットに送信するように構成され、前記ディスペンサユニットは、前記クーリングユニットから供給された前記低温防臭物を貯留できる上に、前記センサーユニットから前記吐出信号を受信すると、前記低温防臭物を前記小便器本体に吐出するように構成されており、更に、前記センサーユニットは、所定の時間内で前記使用者の存在を感知した回数である使用回数を計算すると共に、その使用回数に応じた制御信号を前記クーリングユニットに送信し、また、前記クーリングユニットは、受信した前記制御信号に基づいて前記低温防臭物を作製する冷却出力を制御するように構成されていることを特徴とする防臭装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、小便器本体と、前記小便器本体に取り付けられている上記防臭装置と、を具えることを特徴とする防臭装置付き小便器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記手段によれば、センサーユニットにより小便器本体の使用回数に応じてクーリングユニットの冷却出力が自動的に制御されるようにすることができるので、使用回数が少ない場合にはクーリングユニットの冷却出力を抑えることができ、稼動電力を抑えることができる。また、低温防臭物はセンサーユニットが使用者の存在を感知したときに小便器本体内に吐出されるので、低温防臭物が使用前に外気にさらされて低温が保たれなくなることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る防臭装置および防臭装置付き小便器の一実施形態を示す全体斜視図である。
図2図1におけるII―II線で切った断面を示す断面図である。
図3】本発明に係る防臭装置の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら具体的な実施形態を挙げて本発明を詳説する。
【0013】
図1には、本発明に係る防臭装置および防臭装置付き小便器の一実施形態の全体が示されている。図示における符号は、1は小便器本体、2は防臭装置、3は音声照明ユニットをそれぞれ示す。図2には、防臭装置2が小便器本体1の上方に設置された態様が示され、図3には、防臭装置2の構成がブロック図で示されている。
【0014】
(防臭装置)
防臭装置2は、クーリングユニット21と、センサーユニット22と、ディスペンサユニット23と、を具える。
【0015】
クーリングユニット21は、防臭用液体6を冷却して低温防臭物4を作製する上に、作製した低温防臭物4をディスペンサユニット23に供給する。また、クーリングユニット21が低温防臭物4を作製する冷却出力は、後述するセンサーユニット22から発せられる制御信号に基づいて制御されるように構成されている。
【0016】
防臭用液体6としては、例えば防臭作用のある洗浄液、あるいは水に芳香剤を混ぜた液体を用いることができ、クーリングユニット21はこれを冷却して低温の液体、凍結固体、または固液混在体とすることにより、防臭用液体6が冷却されてなった低温防臭物4を作成する。
【0017】
センサーユニット22は、防臭装置2が設置された小便器本体1の使用者の有無を感知できるものであって、該使用者の存在を感知すると、吐出信号をディスペンサユニット23に送信するように構成されている。具体的には、センサーユニット22は、プロセッサ222と、小便器本体1の使用者の有無を感知し使用者の存在を感知すると感知信号をプロセッサ222に送信する人感センサー221と、小便器本体1が位置する環境の温度を検知できると共に検知した該温度に応じた温度信号を送信する温度センサー223と、を有する。
【0018】
人感センサー221としては例えば赤外線センサーを用いることができる。
【0019】
プロセッサ222は、計数モジュール224と制御モジュール225とを有する。
【0020】
計数モジュール224は、人感センサー221から感知信号を受信するように配置されている上に、所定の時間内で感知信号を受信した回数を記録することにより、所定の時間内で小便器本体1が使用されたと推定される回数である使用回数を計算し、計算した使用回数に応じた使用回数信号を制御モジュール225に送信する。
【0021】
制御モジュール225は、計数モジュール224から上記使用回数信号を受信できるだけでなく、温度センサー223から上記温度信号を受信できるように配置されている。制御モジュール225は、受信した上記使用回数信号と上記温度信号とに基づいて、クーリングユニット21において低温防臭物4を作製する冷却出力を定めると共に定めた冷却出力に対応する制御信号をクーリングユニット21に送信するように構成されている。なお、温度センサー223は省くこともでき、この場合は制御モジュール225を上記使用回数信号のみに基づいて上記冷却出力を定めるように構成する。
【0022】
プロセッサ222はまた、上記使用回数に基づいてディスペンサユニット23における低温防臭物4の残量を計算できる上に、その残量が所定以下になったことを検知すると、補給信号をクーリングユニット21に送信する。上述のクーリングユニット21によるディスペンサユニット23への低温防臭物4の供給は、クーリングユニット21がこの補給信号を受信した際に行なわれる。
【0023】
なお、プロセッサ222による上記残量の計算は以下のように行なわれる。即ち、プロセッサ222の制御モジュール225は、受信した上記使用回数信号から判別される上述の使用回数と、ディスペンサユニット23が低温防臭物4を小便器本体1に吐出できる回数である所定の吐出可能回数と、を比較することにより上記残量の計算を行う。
【0024】
なお、本実施形態でいう所定の時間とは、制御モジュール225が補給信号を送信してから、再び補給信号を送信するまでの時間である。
【0025】
また、センサーユニット22がディスペンサユニット23に送信する上記吐出信号は、本実施形態ではプロセッサ222により出力される構成とした。しかしながら、上記吐出信号は、センサーユニット22におけるその他の構成部材により出力されるようにしてもよい。
【0026】
ディスペンサユニット23は、クーリングユニット21から供給される低温防臭物4を断熱的に貯留できるように形成された複数(本実施形態では図示のように2つ)の容器231と、センサーユニット22から上記吐出信号を受信すると容器231に貯留されている低温防臭物4を小便器本体1に吐出するようにディスペンサユニット23を駆動する駆動モジュール232と、を有する。駆動モジュール232は、上記吐出信号を受信すると複数の容器231のいずれかから順次、即ち例えば容器A、容器B、容器Cが有る場合にはA→B→C→A...と順次にいずれかの容器231から低温防臭物4を吐出する。なお、ディスペンサユニット23は、容器231を1つだけ設けた構成とすることも可能である。
【0027】
クーリングユニット21が上記制御信号を受信すると、ディスペンサユニット23が有するすべての容器231(容器231が1つだけの場合は1つの容器231)を低温防臭物4が満たすように低温防臭物4が作製されるよう冷却出力が制御される。なお、クーリングユニット21における冷却にあたって、防臭用液体6は例えばプラスチック容器(図示せず)に装填されており、冷却して凍結固体とする場合には、例えば水晶状や球状の低温防臭物4が作成されるように、所望の形状を有するプラスチック容器を用いることができる。
【0028】
また、クーリングユニット21およびディスペンサユニット23において、低温防臭物4が接触する部材(容器231の他に、例えばクーリングユニット21とディスペンサユニット23とをつなぐパイプ(図示せず)など)は、保冷効果が付されるように断熱層(図示せず)で覆うことができる。断熱層を設ければ、低温防臭物4が低温をより長い時間保つことができるだけでなく、上記部材において結露が生じ防臭装置2内の電線などに水がかかることを防ぐことができる。
【0029】
上述の構成を具え小便器本体1に設置された本実施形態での防臭装置2の作動を図2および図3を参照して以下で説明する。
【0030】
センサーユニット22の人感センサー221が使用者5の小便器本体1への接近を感知すると、人感センサー221がプロセッサ222に感知信号を送信すると共に、センサーユニット22(例えばプロセッサ222)が吐出信号をディスペンサユニット23の駆動モジュール232に送信する。駆動モジュール232は、吐出信号を受信するたびに、ディスペンサユニット23の複数の容器231の内のいずれか1つから順番に低温防臭物4を小便器本体1内に吐出する。これにより、使用者5が小便器本体1を使用する際には、小便器本体1内に低温防臭物4がある状態になっているので、小便器本体1内に放たれた小水の温度が下げられ、残留した小水の臭気が広がる速度を大幅に緩めることができる。
【0031】
なお、統計によると、人の一度の平均排尿量は350mlであり、一般の小便器の排水速度を考慮すると、使用中に小便器内に溜まる小水の量は100mlとなる。この場合、低温防臭物4が凍結固体とすると、元の(冷却前の)防臭用液体6にして30ml分の低温防臭物4が小便器本体1内にあれば、小便器本体1内の残留小水の温度を約10℃にまで下げることができ、効果的な防臭効果が得られる。そこで、ディスペンサユニット23による低温防臭物4の一回の吐出量は、元の防臭用液体6にして30ml分とすることが好ましく、容器231もこれに合わせた容量のものを用いるとよい。
【0032】
また、上記経過と同時に、プロセッサ222の計数モジュール224は、人感センサー221から感知信号を上述の所定の時間内で受信した回数を計算し、その回数を示す使用回数信号を出力する。一方、センサーユニット22の温度センサー223は、検知した温度に応じた温度信号を出力する。制御モジュール225は、温度信号に基づいて、小便器本体1内の低温防臭物4が防臭効果を維持できる時間を推測すると共に、使用回数信号に基づいて小便器本体1の使用頻度を計算し、推測された上記維持できる時間および使用頻度に基づいてクーリングユニット21の冷却出力を定め、定めた冷却出力になるようクーリングユニット21が制御されるための制御信号を出力する。このように、使用条件(使用頻度、環境温度)によってクーリングユニット21の冷却出力が自動で調整されるため、防臭装置2の電力消費が抑えられる。
【0033】
また、制御モジュール225は、使用回数信号から判別される、前回補給信号が送信されてから現在までの小便器本体1の使用回数と、ディスペンサユニット23が低温防臭物4を吐出できる回数である所定の吐出可能回数(容器231の数及び容量並びに一回の吐出量から予め定められる)と、を比較してディスペンサユニット23における低温防臭物4の残量を計算する。計算された該残量が所定の量以下になった場合、例えば上記使用回数と上記吐出可能回数とが同数になった(即ち該残量がなくなったと計算された)場合、制御モジュール225は、補給信号をクーリングユニット21に送信して低温防臭物4をディスペンサユニット23に供給する。
【0034】
(防臭装置付き小便器)
本発明に係る防臭装置付き小便器は、上述の防臭装置2が設置された小便器であり、本実施形態では、図1および図2に示されるように、小便器本体1と、防臭装置2と、音声照明ユニット3と、を具える。
【0035】
音声照明ユニット3は、音声を発することができる音声モジュール31と、小便器本体1内を照らすことができるように設けられた照明モジュール32と、を有する。本実施形態においては、音声モジュール31は防臭装置2のケーシングに設置され、照明モジュール32は小便器本体1の内底壁を照らすことができるように小便器本体1の内上壁に設置されている。
【0036】
本実施形態において小便器は、更に音声照明ユニット3を具えることにより、防臭装置2により従来技術に比べてより低い消費電力で小便器の防臭効果が得られるだけでなく、例えば音声モジュール31から音楽を流し、且つ、照明モジュール32により小便器本体1内の低温防臭物4を照らすようにすれば、防臭効果による嗅覚的な面だけでなく、視覚的また聴覚的にもよりよい使い心地を使用者に提供することができる。また、音声モジュール31および照明モジュール32は、小便器本体1または防臭装置2に不具合が発生したときにそれを使用者に伝えるためのアラームとすることもでき、使い勝手が向上する。
【0037】
上述したように、本発明に係る防臭装置2によれば、使用者が用を足す際には常に低温防臭物4が小便器本体1内にある状態を維持しながら、小便器本体1の使用頻度に応じて、又は使用頻度と環境温度とに応じてセンサーユニット22によりクーリングユニット21の冷却出力を不必要な冷却が行なわれないよう制御することができる。具体的には、ディスペンサユニット23における低温防臭物4の残量が十分である際には冷却出力がゼロになるよう制御すれば、クーリングユニット21を間欠運転させることができ、稼動電力が抑えられる。また、センサーユニット22およびディスペンサユニット23により、低温防臭物4は、使用のたびに一回分が小便器本体1に吐出されるので、例えば一度に大量の低温防臭物を小便器内に置いておき複数回の使用に供する方式と比べて、低温防臭物4が使用前に外気にさらされる時間が大幅に短縮され、冷却にかかる電力が抑えられる。更に、上述のような一度に大量の低温防臭物(一般には氷)を小便器内に置いておく方式では、人手による低温防臭物の補給が必要となるが、本発明に係る防臭装置2によれば低温防臭物4が自動的に吐出されるので、防臭装置の稼動に係る人的コストも抑えられる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る防臭装置および防臭装置付き小便器は、例えば不特定多数の人が使用する店舗のトイレや公衆トイレなど、防臭機能を有することが好ましいトイレに設置するものとして利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 小便器本体
2 防臭装置
21 クーリングユニット
22 センサーユニット
221 人感センサー
222 プロセッサ
223 温度センサー
224 計数モジュール
225 制御モジュール
23 ディスペンサユニット
231 容器
232 駆動モジュール
3 音声照明ユニット
31 音声モジュール
32 照明モジュール
4 低温防臭物
5 使用者
6 防臭用液体
図1
図2
図3