特許第5977421号(P5977421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977421
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】押しボタンユニット体
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20160817BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A63F5/04 512A
   H01H13/02 D
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-226595(P2015-226595)
(22)【出願日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年1月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(72)【発明者】
【氏名】児玉 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】▲瀬▼々 俊二
【審査官】 池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−057380(JP,A)
【文献】 実開平07−016337(JP,U)
【文献】 特開2005−118403(JP,A)
【文献】 特開2012−226985(JP,A)
【文献】 特開2014−217445(JP,A)
【文献】 特開2008−135257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
H05F 3/02
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機本体に装着され、遊技者に押圧操作される押しボタン部材を備える押しボタンユニット体であって、
前記遊技機本体に固定され、遊技者側に開放された押しボタン収容空間を有するベース体と、
前記ベース体の押しボタン収容空間内に配置された押しボタン部材と、
前記ベース体に固定され、電子部品が実装された基板と、
を備え、
前記押しボタン部材は、
該押しボタン部材の押圧方向に沿って前記ベース体に対して進退し、かつ遊技者側に開放された基板収容空間を有するプランジャー体と、
前記基板収容空間を遮蔽するように前記プランジャー体に装着されるカバー体と、
を具備し、
前記基板は、前記ベース体に固定された状態で前記基板収容空間内に配置され、かつ、前記押しボタン部材の側方を囲繞する前記ベース体の側壁部のうち、前記プランジャー体と前記カバー体との境界部の少なくとも一部に対向する位置に、導電性を有する基板保護用導電部が配置されており、
前記基板保護用導電部に対向する前記境界部は、前記押しボタン部材の側面に配置されている
ことを特徴とする押しボタンユニット体。
【請求項2】
前記基板と前記カバー体との間に、遊技者側から視認可能な装飾部材が配置され、
前記装飾部材の表面は導電性を有し、前記基板保護用導電部と対向する前記境界部のうち少なくとも一部と該装飾部材の一部とが対向し、かつ、前記基板保護用導電部と対向しない前記境界部の一部と前記装飾部材の他の一部とが対向している
請求項1に記載の押しボタンユニット体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者に押圧操作される遊技機用の押しボタン部材を備え、押しボタン部材の内部に配置された基板が静電気により破壊されてしまうことを防止できる押しボタンユニット体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に備えられた操作ボタン等にあっては、例えば特許文献1に開示されているように、操作スイッチのキートップと、キートップを押し下げると電気的に接続される接点部とを有する構成は既に知られている。さらに、かかる構成にあっては、キートップ等に発生した静電気を外装ケースに良好に逃がすべく、キートップの近傍に導通面が設けられている。
【0003】
また、スロットマシン等の遊技機にあっては、例えば特許文献2に開示されているように、ユニット化されている操作ボタン装置が既に知られている。かかる構成にあっては、電子銃等を用いた不正操作等を防止すべく、操作ボタンユニットとカバー部材との間に、導電材料からなるシールド板が挟持されており、シールド板がアース接続されている。
【0004】
さらに、例えば特許文献3には、遊技者が操作する始動レバーのツマミ部を有し、ツマミ部の静電気を除電するアルミテープが貼り付けられた遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−323295号公報
【特許文献2】特開2009−172216号公報
【特許文献3】特開2008−188281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成は、操作スイッチ構造全体がユニット化されていないため、操作スイッチを本体に取り付ける作業工程と、静電気対策のための構造を施す作業工程とが個別に必要となる。例えば、静電気対策の作業工程の一例として、キートップ周囲の金属ケースの一部を削り取って導通面を露出させるという非常に煩雑な構成が開示されている。
【0007】
また、特許文献2に開示されている操作ボタン装置は、アース接続されたシールド板自体が操作ボタン装置の内部に組み込まれており、全体として操作ボタン装置が大型化してしまうという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献3に開示されている構成は、アルミテープが筐体側に配置されており、レバー構造がユニット化されていないため、ツマミ部等を本体に取り付ける作業工程と、アルミテープを筐体側に貼り付ける作業工程とが個別に必要となり、構造も複雑化してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、電気的な不正操作や静電気による誤動作等に対する静電気対策が既になされ、またコンパクト化され、また遊技機本体への取付け作業が簡便となる押しボタンユニット体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、遊技機本体に装着され、遊技者に押圧操作される押しボタン部材を備える押しボタンユニット体であって、前記遊技機本体に固定され、遊技者側に開放された押しボタン収容空間を有するベース体と、前記ベース体の押しボタン収容空間内に配置された押しボタン部材と、前記ベース体に固定され、電子部品が実装された基板と、を備え、前記押しボタン部材は、該押しボタン部材の押圧方向に沿って前記ベース体に対して進退し、かつ遊技者側に開放された基板収容空間を有するプランジャー体と、前記基板収容空間を遮蔽するように前記プランジャー体に装着されるカバー体と、を具備し、前記基板は、前記ベース体に固定された状態で前記基板収容空間内に配置され、かつ、前記押しボタン部材の側方を囲繞する前記ベース体の側壁部のうち、前記プランジャー体と前記カバー体との境界部の少なくとも一部に対向する位置に、導電性を有する基板保護用導電部が配置されており、前記基板保護用導電部に対向する前記境界部は、前記押しボタン部材の側面に配置されていることを特徴とする押しボタンユニット体である。
【0011】
かかる構成は、基板をプランジャー体内に配置しているため、押しボタンユニット体全体の厚みを薄くすることが可能となり、結果としてコンパクト化された構造となっている。加えて、ユニット化された構造であるため、遊技機本体への取付け作業が簡便となっている。
【0012】
また、上記した構成では、基板をプランジャー体内に配置したことにより、遊技者が触れる押しボタン部材の表面と基板との距離が近くなる。このため、例えば静電気が溜まった遊技者が押しボタン部材の表面に触れることで押しボタン部材の表面等を静電気が流れると、静電気は境界部を介してプランジャー体内の基板に向かいやすくなる。しかし、本発明は、境界部に対向する位置に基板保護用導電部を配置したため、かかる静電気を、プランジャー体内に侵入する前に基板保護用導電部に誘引することが可能となる。
以上のように、本発明に係る押しボタンユニット体は、静電気対策が既になされたユニット構造となり、遊技機本体への取付け作業と静電気対策のための作業が共に簡便となる。
【0013】
ところで、押しボタン部材の静電気対策として、押しボタン部材自体に直接アース接続を行う等の対策が通常考えられる。しかし、押しボタン部材は、押圧されることでベース体に対して進退する可動部材であり、このような可動部材を常時アース接続させておく構成は、可動部材が進退してもアース接続をするための配線が他の部材と干渉しないように考慮する必要や、可動部材が進退しても配線に負荷がかからないように配線を配置する必要などがあり、設計が煩雑で面倒となり、結果的に構造が複雑化してしまう。また、場合によっては、押しボタン部材が繰り返し進退することでアース接続に繋がる部分が疲労し、クラック等が発生する等して静電気対策が長期にわたって維持できないおそれもある。
しかし、本発明にあっては、基板保護用導電部がベース体の側壁部に配置されており、基板保護用導電部と押しボタン部材とが連動しないため、構造が複雑化せず設計を簡単にすることができ、上述したようなクラック等の問題も生じない。
【0014】
また、基板保護用導電部は、遊技者側から隠れて見えないため、美観に優れている。
なお、基板保護用導電部は、押しボタン部材が押圧されたときにのみ境界部と対向してもよいし、押しボタン部材が押圧されていないときにのみ境界部と対向してもよいし、勿論、押圧されているか否かに関わらず、押しボタン部材のいずれの位置においても境界部と対向していてもよい。
【0015】
また、本発明に係る押しボタンユニット体の具体的な構成として、前記基板と前記カバー体との間に、遊技者側から視認可能な装飾部材が配置され、前記装飾部材の表面は導電性を有し、前記基板保護用導電部と対向する前記境界部のうち少なくとも一部と該装飾部材の一部とが対向し、かつ、前記基板保護用導電部と対向しない前記境界部の一部と前記装飾部材の他の一部とが対向している構成が提案される。
【0016】
かかる構成にあっては、押しボタン部材内に、遊技者の関心を惹く装飾部材をコンパクトに配置することができるため、遊技機の意匠性を向上させることができる。
加えて、仮に、基板保護用導電部と対向しない境界部の部分の周辺に静電気が帯電した場合にも、装飾部材を介して基板保護用導電部に静電気を適切に誘引することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1にかかる遊技機本体に装着された押しボタンユニット体の内部構造を示す断面図である。
図2】実施例1にかかるカバー体を取り外した状態の押しボタンユニット体を示す一部切欠平面図である。
図3】実施例1にかかる押しボタンユニット体を図2のA−A切断線を基準にして分解して示す説明図である。
図4】実施例1にかかる押しボタンユニット体における電荷移動を模式的に示しており、(a)は押しボタン部材が押圧されていない状態の説明図であり、(b)は押しボタン部材が押圧されている状態の説明図である。
図5】実施例1にかかる押しボタンユニット体における他の態様の電荷移動を模式的に示しており、(a)は押しボタン部材が押圧されていない状態の説明図であり、(b)は押しボタン部材が押圧されている状態の説明図である。
図6】実施例2にかかる押しボタンユニット体における電荷移動を模式的に示しており、(a)は押しボタン部材が押圧されていない状態の説明図であり、(b)は押しボタン部材が押圧されている状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を遊技機としてのスロットマシンに適用した実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0019】
〔実施例1〕
実施例1の押しボタンユニット体10Aを図1図5に従って説明する。
押しボタンユニット体10Aは、図1に示すように、スロットマシンの遊技機本体1に装着される。
【0020】
押しボタンユニット体10Aは、図1図3に示すように、遊技者側に開放された押しボタン収容空間Xを有する箱形形状をなしたベース体20を備えている。そして、ベース体20の押しボタン収容空間X内に、遊技者に押圧操作される演出ボタンである押しボタン部材30が配置されている。
【0021】
ベース体20は、押しボタン収容空間Xを囲繞する側壁部21を具備しており、その外側面には、固定用孔22が設けられた一対の固定用突片23が設けられている。なお、固定用孔22には、固定手段としての金属製のボルト(図示省略)が挿通可能となっており、これによりベース体20が遊技機本体1に固定される。
【0022】
また、ベース体20の底部には、ネジ台24が押しボタン収容空間Xに向けて突出状に形成されている。そして、光透過型センサ42やLED素子43等の電子部品が実装された基板40が、ネジ41(図1参照)を介してネジ台24に取り付けられている。また、基板40には、遊技機本体1に取り付けられた本体基板(図示省略)と電気的に接続される接続端子44が備えられている。
【0023】
一方、押しボタン部材30は、遊技者側に開放された基板収容空間Yを有するプランジャー体31と、基板収容空間Yを遮蔽するようにプランジャー体31に装着された透明性を有するカバー体35と、を具備している。
【0024】
プランジャー体31は、押しボタン部材30の押圧方向Mに沿ってベース体20に対して進退可能な構造を有している。具体的には、図1に示すように、プランジャー体31とベース体20との間には、コイルバネ38が配置されており、コイルバネ38が、プランジャー体31をベース体20側から遊技者側に向けて付勢している。
【0025】
また、図1図3に示すように、プランジャー体31の底部であって、コイルバネ38の内空部に位置する箇所には、基板40に実装された光透過型センサ42の光路を遮光するための遮光板32が遊技機本体1側に向かって突出状に形成されている。
【0026】
さらに、プランジャー体31の基板収容空間Yには、上述したベース体20に固定された基板40が配置されている。
【0027】
そして、図1に示すように、プランジャー体31の周縁部とカバー体35の周縁部とが突き合わせされた部分によって、プランジャー体31とカバー体35との境界部37が形成されている。
【0028】
さらに、図1図3に示すように、プランジャー体31とカバー体35との間には、遊技者側から視認可能で表面が導電性を有する板状の装飾部材50が配置されている。装飾部材50の外寸は、カバー体35の内寸よりわずかに小さい寸法形状に設定されており、装飾部材50の全周縁部が、境界部37の全周と対向している。
【0029】
さらに、図1に示すように、ベース体20の側壁部21とプランジャー体31との間、及び側壁部21とカバー体35との間にはそれぞれ隙間dが形成されており、押しボタン部材30が進退する押圧操作された際にも、互いに干渉しない配置となっている。
【0030】
なお、ベース体20、プランジャー体31、及びカバー体35は、非導電性の樹脂材料によって形成されている。
【0031】
上述した構成にあって、押しボタン部材30が押圧されていない状態にあっては、カバー体35の表面となる操作面36が遊技機本体1の表面からわずかに遊技者側に突出した位置に配され、かつ、光透過型センサ42の光路はプランジャー体31の遮光板32によって遮られた状態となっている。
【0032】
次に、押しボタン部材30の操作態様を説明する。
遊技者が押しボタン部材30のカバー体35の操作面36を押圧すると、プランジャー体31がベース体20内に押し込まれ、遮光板32が光透過型センサ42の光路から離脱する。
【0033】
そうすると、光透過型センサ42がこれを検知し、押しボタン部材30が押圧操作されたことを示す電気信号を本体基板に送信する。
【0034】
次に、本発明の要部について説明する。
押しボタン部材30を囲繞するベース体20の側壁部21のうち、押しボタン部材30の境界部37の一部に少なくとも対向する位置に、導電性を有する基板保護用導電部60が形成されている。具体的には、基板保護用導電部60の一部を構成する平板状の側板部61が、ベース体20の側壁部21に配置されている。そして、側板部61の寸法形状は、押しボタン部材30の押圧操作に関わらず境界部37と常時対向するような寸法形状に設定されている。
【0035】
なお、側板部61は、図1において左側に位置する側壁部21の位置にのみ配置されており、以下、側板部61と対向する境界部37の部分を導電部側境界部37a(図2,4等参照)として説明し、側板部61と対向しない境界部37の部分を非導電部側境界部37b(図2,4等参照)として説明をする。
【0036】
さらに、側板部61には、ベース体20に設けられた固定用突片23の一方の側面を被覆する導電性の突片部62が連続状に形成されている。なお、突片部62において、固定用突片23に設けられた固定用孔22に対応する位置には、ボルト(図示省略)を挿通可能とする孔部63が設けられている。
【0037】
かかる構成にあって、ベース体20の固定用突片23に設けられた固定用孔22に金属製のボルトが挿通されると、上述のように押しボタンユニット体10A全体が遊技機本体1に固定され、かつ、基板保護用導電部60が、ボルトを介してアース接続される。
【0038】
ここで、図4(a)に示すように、押しボタン部材30が押圧されていない状態で、例えば、カバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60に近い側に静電気が発生した場合、かかる静電気は、矢印Aに示すようにカバー体35の側面を流れ、基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。したがって、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
ここで、押しボタンユニット体10Aにおける静電気の流れは、いわゆる押しボタンユニット体10A内における沿面距離及び空間距離等に基づいて定まるものである。具体的に説明すると、静電気が発生した位置を基準として、互いに方向が異なる2つの地点があるとき、静電気は、静電気が発生した位置を基準として、電気的な距離が短いほうの地点に向けて流れる。このとき、沿面距離や空間距離が長くなると、電気的な距離はそれに応じて長くなるが、静電気が流れる経路上に金属などの導電性を有する部材がある場合、実用上、導電性を有する部材の寸法は電気的な距離から除外される。
【0039】
ここで、図4(a)において、仮に、基板保護用導電部60が形成されていない場合は、静電気は、矢印Bに示すようにカバー体35の側面及び境界部37を流れ、さらに、矢印Cに示すように、導電性を有する装飾部材50を介して基板40に向かって流れてしまう。
【0040】
換言すると、基板保護用導電部60を備えないとすれば、操作面36にて発生した静電気は、矢印B及び矢印Cで示したように、境界部37を経由した経路を流れようとする。
しかしながら、押しボタンユニット体10Aでは、境界部37と対向する位置に、基板保護用導電部60の側板部61が配置されている。そして、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離(操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との最短沿面距離)は、操作面36と基板40との電気的な距離(操作面36と装飾部材50との最短沿面距離と、装飾部材50と基板40との最短の空間距離とを合計した距離)より短くなっている。
このため、境界部37付近に到達した静電気は、電気的な距離が短い基板保護用導電部60の側板部61に誘引されるので、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
つまり、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離を、操作面36と基板40との電気的な距離よりも短くすることで、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
【0041】
これまでに述べたように、押しボタンユニット体10Aは、押しボタン部材30の外側であって境界部37と対向する位置に基板保護用導電部60を配置したため、押しボタン部材30の操作面36と基板保護用導電部60との電気的な距離を十分に接近させた設計がし易くなると共に、操作面36と押しボタン部材30内にある基板40との電気的な距離を十分に離間させた設計がし易くなる。したがって、押しボタンユニット10Aを可及的にコンパクト化しようとする設計と、基板40の静電気対策のための設計とを無理なく両立させることが可能となる。
【0042】
また、図4(b)に示すように、押しボタン部材30が押圧されている際にカバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60に近い側に静電気が発生した場合にも、かかる静電気は、矢印Dに示すようにカバー体35の側面を流れ、基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。したがって、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
【0043】
ここで、仮に、基板保護用導電部60が形成されていない場合は、静電気は、矢印Eに示すようにカバー体35の側面及び境界部37を流れ、さらに、矢印Fに示すように、装飾部材50を介して基板40に向かって流れてしまう。
【0044】
換言すると、操作面36にて発生した静電気は、矢印E及び矢印Fで示すように、境界部37を経由する経路を流れようとするが、押しボタンユニット体10Aでは、押しボタン部材30が押圧されている状態における境界部37の位置と対向する位置に、基板保護用導電部60の側板部61が配置されている。そして、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離(操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との最短沿面距離)は、操作面36と基板40との電気的な距離(操作面36と装飾部材50との最短沿面距離と、装飾部材50と基板40との最短の空間距離とを合計した距離)より短くなっている。
このため、境界部37付近に到達した静電気は、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、電気的な距離が短い基板保護用導電部60の側板部61に誘引されるので、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
つまり、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離を、操作面36と基板40との電気的な距離より短くすることで、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
【0045】
また、図5(a)に示すように、押しボタン部材30が押圧されていない状態で、例えば、カバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60から遠い位置で静電気が発生した場合、かかる静電気は、矢印Gに示すようにカバー体35の側面を流れ、次いで非導電部側境界部37bを介して押しボタン部材30内に侵入し、導電性を有する装飾部材50の表面を流れて、導電部側境界部37aを介して矢印Hに示すように基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。
換言すると、非導電部側境界部37bの周辺で発生した静電気は、非導電部側境界部37bを介して押しボタン部材30内に侵入し、矢印Z1で示すように導電性を有する装飾部材50の表面を介して基板40に向かって流れることや、矢印Z2で示すようにプランジャー体31の基板収容空間Y側の表面を介して基板40に向かって流れることが考えられる。
しかしながら、押しボタンユニット体10Aでは、導電部側境界部37aと対向し、かつ、非導電部側境界部37bにも対向する位置に、導電性を有する表面を備える装飾部材50が配置されている。そして、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも短くなっている。
具体的に説明すると、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離は、矢印Z1で示す経路で静電気が流れるときは、非導電部側境界部37bと装飾部材50の表面との最短沿面距離と、装飾部材50の表面と基板40との最短の空間距離とを合計した距離となり、矢印Z2で示す経路で静電気が流れるときは、プランジャー体31の基板収容空間Y側の表面を経由した非導電部側境界部37bと基板40との最短沿面距離となる。
一方、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、経路上にある装飾部材50の表面が導電性を有するので電気的な距離から除外されるため、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離に比べて、短くすることができる。
具体的には、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bから装飾部材50の非導電部側境界部37bと対向する端部までの距離と、装飾部材50の導電部側境界部37aと対向する端部から導電部側境界部37aを経て基板保護用導電部60の側板部61に至るまでの距離とを合計した距離となる。
このため、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との実際の距離に比べて、実際の距離の大部分を占める装飾部材50の寸法が除外されるため、短くなる。
これにより、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離が、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも、短くなるように、基板40を配置することができる。
そして、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離を、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも短くすることで、基板保護用導電部60と対向しない非導電部側境界部37bの周辺に静電気が帯電した場合に、装飾部材50を介して基板保護用導電部60に静電気を適切に誘引することができる。
したがって、かかる場合にも、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
【0046】
これまでに述べたように、押しボタンユニット体10Aは、押しボタン部材30の外側であって境界部37と対向する位置に基板保護用導電部60を配置したため、押しボタン部材30の操作面36と基板保護用導電部60との電気的な距離を、装飾部材50を導電路として有効に利用しつつ十分に接近させた設計がし易くなると共に、操作面36と押しボタン部材30内にある基板40との電気的な距離を十分に離間させた設計がし易くなる。したがって、装飾部材50が内蔵された状態で押しボタンユニット10Aを可及的にコンパクト化しようとする設計と、基板40の静電気対策のための設計とを無理なく両立させることが可能となる。
【0047】
また、図5(b)に示すように、押しボタン部材30が押圧されている際に、例えば、カバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60から遠い位置で静電気が発生した場合にも、かかる静電気は、矢印Jに示すようにカバー体35の側面を流れ、次いで非導電部側境界部37bを介して押しボタン部材30内に侵入し、かつ装飾部材50の表面を流れて、矢印Kに示すように導電部側境界部37aを介して基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。
換言すると、非導電部側境界部37bの周辺で発生した静電気は、非導電部側境界部37bを介して押しボタン部材30内に侵入し、矢印Z3で示すように導電性を有する装飾部材50を介して基板40に向かって流れることや、矢印Z4で示すようにプランジャー体31の基板収容空間Y側の表面を介して基板40に向かって流れることが考えられる。
しかしながら、押しボタンユニット体10Aでは、押しボタン部材30が押圧されている状態において、導電部側境界部37aと対向し、かつ、非導電部側境界部37bと対向する位置に、導電性を有する表面を備える装飾部材50が配置されており、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも短くなっている。
具体的に説明すると、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離は、矢印Z3で示す経路で静電気が流れるときは、非導電部側境界部37bと装飾部材50との最短沿面距離と、装飾部材50と基板40との最短の空間距離とを合計した距離となり、矢印Z4で示す経路で静電気が流れるときは、プランジャー体31の基板収容空間Y側の表面を経由した非導電部側境界部37bと基板40との最短沿面距離となる。
一方、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、経路上にある装飾部材50が導電性を有するので電気的な距離から除外されるため、非導電部側境界部37bと基板40との距離に比べて、短くすることができる。
具体的には、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bから装飾部材50の非導電部側境界部37bと対向する端部までの距離と、装飾部材50の導電部側境界部37aと対向する端部から導電部側境界部37aを経て基板保護用導電部60の側板部61に至るまでの距離とを合計した距離となる。
このため、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との実際の距離に比べて、実際の距離の大部分を占める装飾部材50の寸法が除外されるため、短くなる。
これにより、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも短くなっている。
そして、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、非導電部側境界部37bと基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離は、非導電部側境界部37bと基板40との電気的な距離よりも短いため、基板保護用導電部60と対向しない非導電部側境界部37bの周辺に静電気が帯電した場合に、装飾部材50を介して基板保護用導電部60に静電気を適切に誘引することができる。
したがって、かかる場合にも、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
【0048】
なお、基板保護用導電部60の側板部61は、ベース体20の側壁部21において押しボタン部材30と離間して配置されており、かつ、基板保護用導電部60は押しボタン部材30の押圧操作の有無に関わらず位置が変わらないため、押しボタンユニット体10Aは全体として構造が複雑化せず、部品等にクラック等が発生して静電気対策が維持できなくなる、といったことが抑制されている。
また、静電気対策が既になされたユニット構造となり、遊技機本体1への取付け作業と静電気対策のための作業が共に簡便となる。加えて、基板保護用導電部60は、遊技者側から隠れて見えないため、美観に優れている。
【0049】
さらに、押しボタンユニット体10Aは、押しボタン部材30内に、遊技者の関心を惹く装飾部材50がコンパクトに配置されているため、押しボタンユニット体10A全体の厚みを薄くすることができ、かつ、スロットマシンの意匠性を向上させることができる。
また、仮に基板保護用導電部60と対向しない非導電部側境界部37bの周辺に静電気が帯電した場合にも、装飾部材50を介して基板保護用導電部60に静電気を適切に誘引することができる。
【0050】
〔実施例2〕
実施例2の押しボタンユニット体10Bを図6に従って説明する。なお、押しボタンユニット体10Bは、装飾部材50が配置されていない以外は上記実施例1の押しボタンユニット体10Aと同様の構成を有しているため、同じ構成を有するものには同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
図6(a)に示すように、押しボタン部材30が押圧されていない状態で、例えばカバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60に近い側で静電気が発生した場合、かかる静電気は、矢印Nに示すようにカバー体35の側面を流れ、基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。したがって、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
【0052】
ここで、仮に、基板保護用導電部60が形成されていない場合は、静電気が矢印Pに示すようにカバー体35の側面を流れ、さらに、境界部37を介して基板40に向かって静電気が流れてしまう。
【0053】
換言すると、操作面36にて発生した静電気は、矢印Pで示ように、境界部37を経由する経路を流れようとするが、押しボタンユニット体10Bでは、境界部37と対向する位置に、基板保護用導電部60の側板部61が配置されており、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離(操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との最短沿面距離)は、操作面36と基板40との電気的な距離(操作面36と基板40との最短沿面距離)よりも短い。
このため、境界部37付近に到達した静電気は、電気的な距離が短い基板保護用導電部60の側板部61に誘引されるので、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
つまり、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離を、操作面36と基板40との電気的な距離よりも短くすることで、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
【0054】
これまでに述べたように、押しボタンユニット体10Bは、押しボタン部材30の外側であって境界部37と対向する位置に基板保護用導電部60を配置したため、押しボタン部材30の操作面36と基板保護用導電部60との電気的な距離を十分に接近させた設計がし易くなると共に、操作面36と押しボタン部材30内にある基板40との電気的な距離を十分に離間させた設計がし易くなる。したがって、押しボタンユニット10Bを可及的にコンパクト化しようとする設計と、基板40の静電気対策のための設計とを無理なく両立させることが可能となる。
【0055】
また、図6(b)に示すように、押しボタン部材30が押圧されている際にカバー体35の操作面36のうち、基板保護用導電部60に近い側で静電気が発生した場合にも、かかる静電気は、矢印Qに示すようにカバー体35の側面を流れ、基板保護用導電部60の側板部61に誘引される。したがって、静電気の発生によって基板40が電気的に破壊されることを防止することができる。
【0056】
ここで、仮に、基板保護用導電部60が形成されていない場合は、静電気が矢印Rに示すようにカバー体35の側面を流れ、さらに、境界部37を介して基板40に向かって電気が流れてしまう。
【0057】
換言すると、操作面36にて発生した静電気は、矢印Rで示ように、境界部37を経由する経路を流れようとするが、押しボタンユニット体10Bでは、押しボタン部材30が押圧されている状態における境界部37の位置と対向する位置に、基板保護用導電部60の側板部61が配置されており、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離(操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との最短沿面距離)は、操作面36と基板40との電気的な距離(操作面36と基板40との最短沿面距離)よりも短いため、境界部37付近に到達した静電気は、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、電気的な距離が短い基板保護用導電部60の側板部61に誘引されるので、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
つまり、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、操作面36と基板保護用導電部60の側板部61との電気的な距離を、操作面36と基板40との電気的な距離よりも短くすることで、押しボタン部材30が押圧されている状態においても、静電気が境界部37を介して基板40に向かって流れてしまうことを回避することが可能となる。
【0058】
なお、上記実施例にあっては、押しボタンユニット体10A,10Bの各部材の形状寸法は適宜自由に選択可能である。
【0059】
また、例えば、カバー体35は、全体が透明性を有する構成であってもよいし、透明性を有する部分が一部形成されている構成であってもよい。
【0060】
なお、基板保護用導電部60は、押しボタン部材30が押圧されたときのみ境界部37と対向してもよいし、押しボタン部材30が押圧されていないときにのみ境界部37と対向してもよい。
【0061】
また、基板保護用導電部60は、境界部37の少なくとも一部に対向する位置に配置されていればよく、部分的に対向していない箇所があっても構わない。
また、基板保護用導電部60が、境界部37と全周にわたって対向するように形成されている構成であってもよい。
【0062】
また、装飾部材50は、表面のみ導電性を有している必要はなく、全体が導電性材料によって形成されていても構わない。
【0063】
さらに、装飾部材50の周縁部が、境界部37と全周にわたって対向するような構成であってもよいし、基板保護用導電部60と対向する導電部側境界部37aのうち一部と装飾部材50の一部とが対向し、かつ、基板保護用導電部60と対向しない非導電部側境界部37bの一部と装飾部材50の他の一部とが対向している構成であってもよい。
【0064】
また、基板40は、押しボタン部材30の作動と関連する回路を有していてもよいし、押しボタン部材30の作動と関連しない回路を有していてもよい。具体的に押しボタン部材30の作動と関連する回路としては、押しボタン部材30の押圧操作に基づいて押しボタン部材30の押圧状態又は非押圧状態を検知する回路が例示される。また、具体的に押しボタン部材30の作動と関連しない回路としては、LED素子43によって押しボタン部材30内を照らして演出的な発光態様を提供するための回路が例示される。
【符号の説明】
【0065】
1 遊技機本体
10A,10B 押しボタンユニット体
20 ベース体
21 側壁部
30 押しボタン部材
31 プランジャー体
35 カバー体
37 境界部
40 基板
50 装飾部材
60 基板保護用導電部
X 押しボタン収容空間
Y 基板収容空間
【要約】
【課題】電気的な不正操作や静電気による誤動作等に対する静電気対策が既になされ、またコンパクト化され、また遊技機本体への取付け作業が簡便となる押しボタンユニット体を提供する。
【解決手段】押しボタン部材30のプランジャー体31の基板収容空間Y内において基板40がベース体20に対して固定され、かつ、押しボタン部材30を囲繞するベース体20の側壁部21のうち、プランジャー体31とカバー体35との境界部37の少なくとも一部に対向する位置に、導電性を有する基板保護用導電部60が配置されている押しボタンユニット体10Aであると、静電気対策がなされ、かつコンパクト化され、そして取付け作業が簡便となる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6