【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明は、毛髪切断モジュールが、主要ハウジングに対し、ばね力に反して、主要軸線に対して垂直に延在する少なくとも1つの傾斜軸線を中心に傾斜可能であり、第1センサユニットが主要ハウジングに対する少なくとも第1の位置及び第2の位置に配置されており、第2センサユニットが、それぞれ、主要軸線に平行な方向において見た場合に第1の位置及び第2の位置の近傍にある、毛髪切断モジュールに対する少なくとも第3の位置及び第4の位置に配置されており、第1の位置と第2の位置との間の距離が第1の位置と第3の位置との間の距離の少なくとも25%であり、主要ハウジングに対する毛髪切断モジュールの傾斜時、第1の位置と第3の位置との間の距離の変化が第2の位置と第4の位置との間の距離の変化と異なることを更に特徴とする、冒頭で述べた種類のパーソナルケアデバイスを提供する。
【0010】
好ましくは、第3の位置及び第4の位置はそれぞれ、主要軸線に平行な方向において見た場合に第1の位置及び第2の位置に対向する。
【0011】
毛髪切断モジュールが主要軸線に平行な方向にのみ動かされる場合、第1センサユニットの各部分と、第1センサユニットの前記部分に対向して配置された第2センサユニットの各部分との間の距離、特に、第1の位置と第3の位置との間の距離、及び第2の位置と第4の位置との間の距離は等しく減少する。
【0012】
毛髪切断モジュールが傾斜軸線を中心としてのみ傾斜される場合、第1の位置と第3の位置との間の距離、及び第2の位置と第4の位置との間の距離は異なるように変化する。センサユニットから得られる情報、例えば、第1の位置と第3の位置との間の測定距離、及び第2の位置と第4の位置との間の測定距離に関する情報、並びに第1の位置、第2の位置、第3の位置及び第4の位置の相互位置に関する情報に基づき、主要ハウジングに対する毛髪切断モジュールの傾斜角が計算され得る。或いは、毛髪切断モジュールの変位が傾斜変位(tilting displacement)のみであることが特定され得る。
【0013】
毛髪切断モジュールが主要軸線に平行な方向に動かされると共に傾斜軸線を中心に傾斜される場合、センサユニットから得られる情報から、測定距離のどの部分が軸方向変位によるものであり、測定距離のどの部分が傾斜変位によるものであるかが特定され得る。
【0014】
毛髪切断モジュールがばね力に反し、主要ハウジングに対して押し下げられる力と、軸方向変位量との間には直接の関係がある。測定された変位量及びばね力を提供するばね部材の既知の剛性特性から、皮膚にかかる法線圧力による力(normal pressure force)が計算され得る。軸方向変位量が予定値よりも大きければ、皮膚にかかる圧力による力が高過ぎることを示す警報が生成される。
【0015】
パーソナルケアデバイスは、シェーバーであってもトリマであってもグルーミングデバイスであっても他の種類の切断デバイスであっても良い。
【0016】
傾斜軸線を中心とした傾斜角が十分な精度で特定されるためには、第1の位置と第2の位置との間に、好ましくは第1の位置と第3の位置との間の距離の25%を超える距離が存在する必要がある。第1センサユニット及び第2センサユニット上の隣接する又は対向する位置対間の距離変化は、所望される数の、隣接する又は対向する位置対間に対して特定され得る。
【0017】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、主要軸線及び傾斜軸線を通る面に対し、第1の位置及び第3の位置は前記面の第1の側に配置されている一方で、第2の位置及び第4の位置は一部が前記面内又は前記面の第2の側に配置されている。
【0018】
毛髪切断モジュールが傾斜軸線を中心に傾斜される場合、双方ともが前記面の第1の側に配置された第1の位置と第3の位置との間の距離は減少される一方で、双方ともが前記面の第2の側に配置された第2の位置と第4の位置との間の距離は増加される、又はこの逆となる。距離変化に関して得られた情報に基づき、傾斜角が計算され得る及び/又は毛髪切断モジュールの変位が傾斜変位のみであることが推定され得る。
【0019】
第2の位置及び第4の位置が前記面内に配置されることも可能である。この場合、傾斜変位の結果は、面内に配置された第2の位置と第4の位置との間の距離は一定のままであるが、第1の位置と第3の位置との間の距離は増加する又は減少するというものである。
【0020】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、毛髪切断モジュールは、主要ハウジングに対し、互いに垂直に延在する2つの傾斜軸線を中心に傾斜可能である。
【0021】
2つの傾斜軸線は主要軸線に垂直な面内に配置されている。主要軸線はZ軸とみなされ得る一方で、2つの傾斜軸線はX軸及びY軸とみなされ得る。
【0022】
X軸を中心とした傾斜変位及びY軸を中心とした傾斜変位は、主要傾斜軸線を中心とした結合傾斜変位(combined tilting displacement)として解釈され得る。主要傾斜軸線もまた主要軸線に垂直な面内に配置され、且つX軸及びY軸と共に角度を成す。一実施形態においては、センサユニットの位置は、主要軸線及び各想定される主要傾斜軸線を通る面に対し、第1センサユニット及び第2センサユニットの一部が前記面の第1の側に配置され、一部が前記面内又は前記面の第2の側に配置されるような位置である。
【0023】
実際には、このことは、X軸及びY軸を中心とした各傾斜変位に対し、Z軸に沿った軸方向変位量を第1センサユニットと第2センサユニットとの間の測定距離から特定することを確実に可能とするには、主要軸線を中心とした少なくとも3つの異なる位置において第1センサユニットと第2センサユニットとの間の距離が測定されるか、第1センサユニットと第2センサユニットとの間の距離が第1センサユニット及び第2センサユニット上の少なくとも3つの異なる隣接する又は対向する位置間において変化することが好ましく、平均距離変化はセンサによって検出され得ることを意味する。
【0024】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、第1センサユニット及び第2センサユニットは主要軸線を中心に対称に配置されている。
【0025】
センサユニットの対称配置により、測定距離などの、センサユニットから得られる情報からの軸方向変位量の計算は比較的容易である。
【0026】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、毛髪切断モジュールは、幾つかの切断ユニットを含み、各切断ユニットに、外部切断要素と、外部切断要素に対して回転軸線を中心に回転可能な内部切断要素が提供されており、切断ユニットの回転軸線が主要軸線を中心に対称に配置されており、それぞれが主要軸線と共に0度乃至15度の角度を成す。
【0027】
このような一実施形態においては、幾つかの切断ユニットを備えた毛髪切断モジュールは主要軸線に沿って移動可能であり、且つ傾斜軸線を中心に傾斜可能である。
【0028】
使用者の皮膚にかかる法線圧力による力から生じる毛髪切断モジュールの軸方向変位量を測定することによって、法線圧力による力、故に、軸方向変位量が最適な切断性能及び皮膚快適性を提供する好適な範囲から外れた場合に使用者にフィードバックが提供され得る。法線圧力による力は、使用者の皮膚に対して垂直に延在する圧力による力である。通常使用時、法線力は主要軸線に平行して延在する。
【0029】
センサユニットの位置のため、軸方向変位量は毛髪切断モジュールの傾斜変位とは無関係に特定され得る。傾斜変位は、例えば、毛髪切断モジュールが皮膚表面上を動かされる際の毛髪切断モジュールと皮膚との間の摩擦により発生する。
【0030】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、毛髪切断モジュールは、通常、切断ユニットの内部切断要素を駆動するための主動軸を収容する中心シャフト部材を介して主要ハウジングに連結されている。センサは前記主動軸を中心に対称に配置されている。
【0031】
この実施形態においては、動軸は中心シャフト部材内の中央に配置されており、切断ユニットの個々の内部切断要素を、例えば、切断ユニットの個々の駆動スピンドル上に設けられた歯車を介して駆動する。主動軸を中心としたセンサの対称配置は、センサ及びパーソナルケアデバイスの小型の構造を提供する。
【0032】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、第1センサユニット又は第2センサユニットはリング形コイルを含み、センサユニットのもう一方は、第1センサユニットに対する、第2センサユニットの主要軸線に平行な方向への変位によってリング形コイルの磁界に作用する板を含む。
【0033】
当該板は金属製とされ得る。当該板は1つの巻回のみを有する短絡コイルとして機能する。当該板は、また、短絡コイルが提供された電気絶縁材料製とされ得るか、フェライト製とされ得る。このような板は、コイルによって生成される磁界に作用し、コイルと板との間の平均距離が軸方向変位により変化した場合にコイルのインダクタンスを変化する。しかしながら、この実施形態において、皮膚と毛髪切断モジュールとの間の摩擦力により毛髪切断モジュールがX軸及びY軸に延在する2つの傾斜軸線を中心に傾斜する場合、軸方向変位量、故に、法線力の測定値は影響を受けない。この理由は、そのような傾斜中はコイルと板との間の平均距離が一定のままであることから、傾斜がコイルの平均インダクタンスに影響しないからである。
【0034】
リング形コイルは主要軸線に対して垂直に且つ主要軸線を中心に対称に延在することが好ましい。板は主要軸線に対して垂直に延在することが好ましい。
【0035】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、第1センサユニット又は第2センサユニットは、主要軸線を中心として所定の異なる位置に配置された少なくとも3つのホールセンサ素子を含み、センサユニットのもう一方は、少なくとも3つの磁石を含む。主要軸線に平行な方向において見た場合、各磁石はホールセンサ素子の各1つに対向して配置されている。
【0036】
主要軸線を中心として3つの異なる位置に配置された少なくとも3つのホールセンサ素子及び協働する磁石を有することによって、少なくとも3つの個々のホールセンサ素子の測定値を適切に組み合わせることにより、主要ハウジングに対する毛髪切断モジュールの平均軸方向変位量、及びX軸及びY軸に沿って延在する2つの傾斜軸線を中心とした傾斜変位量の両方が検出され得る。測定された変位量及びばね力を提供するばね部材の既知の剛性特性から、毛髪切断モジュールが皮膚表面上を動かされ、主要ハウジングに対する毛髪切断モジュールの傾斜が起こる際に毛髪切断モジュールに印加される法線圧力による力の平均、並びに毛髪切断モジュールにX方向及びY方向に印加される摩擦力の両方が特定され得る。
【0037】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、ホールセンサ素子及び磁石は主要軸線を中心に規則的な間隔で配置されている。
【0038】
ホールセンサ素子及び磁石の対称配置により、ホールセンサ素子から得られる情報からの、毛髪切断モジュールの軸方向変位量の計算は比較的容易である。
【0039】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、毛髪切断モジュールは、第2センサユニットが提供された中間部と、中間部に着脱可能に連結可能な第1の毛髪切断部と、を含む。一方で、パーソナルケアデバイスは、第1の毛髪切断部とは異なる第2の毛髪切断部を含む。第1の毛髪切断部を中間部に連結することによって、第2センサユニットは第1センサユニットに対する基準位置に移動されるか、又は第2の毛髪切断部を中間部に連結することにより得られる各基準位置、幾何学的形状若しくは材料特性とは異なる幾何学的形状若しくは材料特性を得る。
【0040】
好ましくはシェービング、トリミング又はブラッシングなどの異なる種類の毛髪処理には異なる毛髪切断部が適している。パーソナルケアデバイスは、所望の毛髪切断部を中間部に連結することによって、これら異なる種類の毛髪処理に対して使用され得る。幾つかの種類の毛髪処理においては、毛髪切断モジュールに印加される圧力による力を検知し、圧力による力が高過ぎる又は低過ぎる場合に使用者に警告する必要はない。第1の毛髪切断部を第1センサユニットに対する異なる基準位置に連結することにより第2センサユニットを変位することによって、又は第2の毛髪切断部を連結したことにより得られる基準位置、幾何学的形状若しくは材料特性と比較して異なる幾何学的形状若しくは異なる材料特性を第2センサユニットに付与することによって、どの毛髪切断部が中間部に連結されているかを第1センサユニット及び第2センサユニットにより検知することが可能である。第2センサユニットの基準位置は、中間部に連結されてはいるが、毛髪切断部に印加されている外部圧力による力がなく、パーソナルケアデバイスが動作していない場合の第2センサユニットの位置である。
【0041】
中間部に連結されている毛髪切断部の種類に関する情報は、例えば、特定の毛髪切断部が中間部に連結されている時のみに、圧力による力に関する情報を使用者に提供するために使用され得る。
【0042】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、第1の毛髪切断部を中間部に連結することによって、第2センサユニットは、ばね力に反し、中間部に対して変位される。
【0043】
第2センサユニットを中間部に対して変位することによって、第2センサユニットは、第2センサユニットが中間部に対して変位されていない場合に得られる基準位置とは異なる基準位置に変位される。第1の毛髪切断部及び第2の毛髪切断部をそれぞれ連結することにより得られる第2センサユニットの基準位置間の距離は、好ましくは、第2センサユニットがパーソナルケアデバイスの動作中に動かされる距離よりも大きく、このため、異なる毛髪切断部と対応付けられるセンサの機能窓(operating window)が重なることはない。
【0044】
本発明によるパーソナルケアデバイスの更なる実施形態においては、第1の毛髪切断部は毛髪シェービング部である一方、第2の毛髪切断部は毛髪トリミング又はブラッシング部である。
【0045】
第1の毛髪切断部が毛髪シェービング部である場合には使用者の皮膚に印加される圧力による力を検知し、必要であれば使用者に警告することが重要である一方で、毛髪トリミング又はブラッシング部の場合にはそのような警告は必要とされない。