特許第5977464号(P5977464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977464演色評価数を調整可能なランプ及び照明器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977464
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】演色評価数を調整可能なランプ及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 14/08 20060101AFI20160817BHJP
   F21V 9/16 20060101ALI20160817BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20160817BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20160817BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160817BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160817BHJP
【FI】
   F21V14/08
   F21V9/16 100
   F21V23/00 113
   F21V23/00 140
   H01L33/50
   G02B5/20
   F21Y115:10
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-557485(P2015-557485)
(86)(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公表番号】特表2016-510159(P2016-510159A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2014066489
(87)【国際公開番号】WO2015014936
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2015年8月14日
(31)【優先権主張番号】13179037.0
(32)【優先日】2013年8月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バン ボメル ティエス
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファット アタ ムスタファ
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−221763(JP,A)
【文献】 特開2013−84544(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/093750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 14/08
F21V 9/16
F21V 23/00
G02B 5/20
H01L 33/50
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源光を生成する第1の光源と、前記第1の光源光とは異なるスペクトル分布を有する第2の光源光を生成する第2の光源と、前記第1の光源光及び前記第2の光源光の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光に変換することができる第1の波長変換素子と、前記第1の光源光、前記第2の光源光及び前記第1の波長変換素子光の1つ以上の少なくとも一部を前記第1の波長変換素子光とは異なるスペクトル分布を有する第2の波長変換素子光に変換することができる第2の波長変換素子とを有する照明ユニットであって、前記第1の光源、前記第2の光源、前記第1の波長変換素子及び前記第2の波長変換素子の1つ以上の移送により前記第1の光源、前記第2の光源、前記第1の波長変換素子及び前記第2の波長変換素子を第1の構成又は第2の構成に配置する移送インフラストラクチャを更に有し、前記第1の構成及び前記第2の構成では、当該照明ユニットは、実質的に同じ色点を有し、異なる演色評価数を有する照明ユニット光を与える、当該照明ユニット。
【請求項2】
前記第1の光源は青色を発する光源を有し、前記第2の光源は赤色を発する光源を有し、前記第1の波長変換素子及び前記第2の波長変換素子はそれぞれ、緑色ルミネセンス材料、黄色ルミネセンス材料及び橙色ルミネセンス材料の1つ以上を独立して有する、請求項1記載の照明ユニット。
【請求項3】
前記第1の光源及び前記第2の光源が、LED及びレーザよりなる群から独立して選択され、1つ以上の前記ルミネセンス材料が、量子ドットルミネセンス材料、無機ルミネセンス材料及び有機ルミネセンス材料よりなる群から選択される、請求項2記載の照明ユニット。
【請求項4】
前記第1の光源及び前記第2の光源の1つ以上が調整可能な光強度を有し、当該照明ユニットは、前記第1及び前記第2の構成の関数として調整可能な光強度を有する前記第1の光源及び前記第2の光源の1つ以上の前記調整可能な光強度を制御する制御ユニットを更に有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項5】
光センサを更に有し、前記制御ユニットが、前記光センサのセンサ信号の関数として調整可能な光強度を有する前記第1の光源及び前記第2の光源の1つ以上の前記調整可能な光強度を制御する、請求項4記載の照明ユニット。
【請求項6】
前記第1の構成及び前記第2の構成において、当該照明ユニットは、互いに15SDCM(等色標準偏差)以内の色点を有する照明ユニット光を与える、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項7】
前記第1の構成及び前記第2の構成の1つ以上において、前記第1の波長変換素子及び前記第2の波長変換素子の1つ以上が透過モードで配される、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項8】
前記移送インフラストラクチャが、第1の構成では前記第1の光源及び前記第2の光源の下流に前記第1の波長変換素子を配置し、第2の構成では前記第1の光源及び前記第2の光源の下流に積層構成で前記第1の波長変換素子及び前記第2の波長変換素子を配置する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項9】
前記移送インフラストラクチャが、第1の構成では前記第1の光源及び前記第2の光源の下流に前記第1の波長変換素子を配置し、第2の構成では前記第1の光源及び前記第2の光源の下流に積層構成で前記第2の波長変換素子を配置する、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項10】
複数の波長変換素子を有し、前記移送インフラストラクチャが、前記第1の光源、前記第2の光源及び前記複数の波長変換素子の1つ以上の移送により複数の構成で前記第1の光源、前記第2の光源及び前記複数の波長変換素子を配置し、少なくとも前記第1の構成及び前記第2の構成では、当該照明ユニットは、実質的に同じ色点を有し、異なる演色評価数を有する照明ユニット光を与える、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項11】
当該照明ユニットから外部の状態を感知するセンサを更に有し、当該照明ユニットは、前記センサのセンサ信号の関数として前記照明ユニット光を制御する制御ユニットを更に有する、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項12】
前記移送インフラストラクチャがアクチュエータを有する、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の照明ユニット。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の照明ユニットを有する、照明器具。
【請求項14】
制御可能な演色性を有する白色光を与えるための請求項1ないし12のいずれか一項に記載の照明ユニット又は請求項13記載の照明器具の使用。
【請求項15】
効率を制御し、要求の関数として照明特性を適合させるための請求項1ないし12のいずれか一項に記載の照明ユニット又は請求項13記載の照明器具の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニット、そのような照明ユニットを有する照明器具及びそのような照明ユニット又は照明器具の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
調整可能な光源は、当該技術分野において既知である。例えば、国際特許出願公開WO2012095763公報には調整可能な白色光源が説明されており、この調整可能な白色光源は、第1の統合された色点の光を発する少なくとも1つの第1の発光ダイオード(LED)と、上記第1の統合された色点とは異なる第2の統合された色点の光を発する少なくとも1つの第2の発光ダイオードと、上記少なくとも1つの第1の発光ダイオードと上記少なくとも1つの第2の発光ダイオードとの間で当該調整可能な白色光源により出力される白色光の色温度を調整する制御ユニットとを有し、上記第1及び第2の統合された色点は、第1及び第2の発光ダイオードの組み合わされた光の出力が白色に見えるように選択され、上記制御ユニットは、調整可能な白色光源により出力される白色光の色温度を少なくとも1つの第1の発光ダイオード及び少なくとも1つの第2の発光ダイオードの両方が調整可能な色温度範囲の全ての色温度の光を発する調整可能な色温度範囲に限定する。
【0003】
米国特許出願公開US2011317398公報には、少なくとも1つの半導体光源と、半導体光源により発せられる光に敏感である波長変換蛍光体を含む少なくとも1つの光透過性変換素子とを含む発光デバイスの種々の実施形態が記載されており、この発光デバイスでは、半導体光源は変換素子により少なくとも部分的に覆われており、変換素子は、変換素子により波長が変換される光の割合が変換素子の位置に依存して調節可能であるように移動可能である。
【0004】
国際特許出願公開WO2012121304公報には、第1のLEDから発せられる光及び第2のLEDから発せられる光の全体が共通の蛍光部材に入射することを許可され、上記共通の蛍光部材から合成光が発せられる発光デバイスが記載されており、この発光デバイスでは、合成光は、波長が変換された形で第1のLEDから発せられる光、波長が変換された形で第2のLEDから発せられる光、共通の蛍光部材による波長の変換によって生成される光及び共通の蛍光部材による波長の変換を経験することなく共通の蛍光部材を通過する光を含み、これらの光から合成されている。
【0005】
国際特許出願公開WO2010135927公報には、1つ以上のヒートシンクに結合するように構成された熱拡散シャーシに熱的に結合される光を生成する複数の発光素子を含む固体照明デバイスが記載されている。この照明デバイスは、更に、複数の発光素子に光学的に結合され、複数の発光素子により発せられる光を混合する混合チャンバを含んでいる。制御システムは、複数の発光素子に動作的に結合され、複数の発光素子の動作を制御する。
【0006】
国際特許出願公開WO2010032183公報には、一貫した光の質のための光混合方法が記載されている。国際特許出願公開WO2013102820公報には、色調整可能な照明アセンブリ、光源及び照明器具が記載されている。更に、米国特許出願公開US20130120688公報には、照明用の色調節デバイス、色調節デバイスを用いた装置及び色を調節する方法が記載されている。
【0007】
屋外照明のような幾つかのアプリケーションでは、非常に高い効率の黒体軌跡(BBL)に近い白色光を有することができるのが望ましい。一日の或る時間には高い演色評価数(CRI)を有することが望ましく、一方で、他の時間には高い効率を有することが望ましい。例えば、午後9時には好ましくは80を超えるCRIを有する光が望ましく、午前1時にはより低いCRIの光がなお好適であり、より効率的である。この目的のために、或る色温度において、高いCRIで低い効率と低いCRIで高い効率とを切り換え可能なランプ又は照明器具を有することが興味深い。同様に、後者の段階では、光を高いCRIで低い効率のランプに変えることにより低いCRIで高い効率を有するランプを構成することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、上述した欠点の1つ以上を少なくとも部分的に未然に防ぐ及び/又は上記の所望の特性の1つ以上を与えることができる代替の照明ユニットを提供することが本発明の一観点である。特に、高いCRIの光とより低いCRIの(しかしながら、(ルーメン/Wの単位で)とりわけより効率的な)光との間で切り換え可能な照明ユニットを提供することが本発明の一観点である。このやり方では、光の質及び照明ユニットの効率が制御され得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのような設定可能なランプを有するために、一実施形態では、青色及び赤色LEDを用い、緑色/黄色蛍光体の放射位置を変化させ、所望の色温度において黒体軌跡(BBL)にとどまるLEDの強度を調節するためにリモート/ビシニティ(遠隔/近接)(下記参照)蛍光体(本明細書では、「ルミネセンス材料」とも示される)を用いて、緑色放射体の放射位置をわずかに変えることが提案される。全てのケースにおいて、低いCRIのランプを得るために、スペクトルの青ないし緑色の部分(特に、青又は緑色における最大強度の約75%未満、特に50%未満の強度を有する青色と緑色との間のスペクトルの一部)において一時的な減少があることが望ましい。一般に、青色光源及び赤色光源の発光波長が変化しない特定の条件の下で低いCRIに達する2つのやり方、すなわち、(1)青色光源と赤色光源との間の波長で発する(緑及び/又は黄色光源のような)光源のFWHMを小さくするやり方、又は(2)そのような青色光源と赤色光源との間の波長で発する光源のピーク波長の位置を変え、それに応じて赤色光源の光の強度を適合させるやり方が存在する。大部分の無機蛍光体は、広い吸収特性を有している。ここで、我々は、特に、より長い波長において放射するように波長範囲の青ないし緑色の部分で吸収する有機蛍光体のような光変換体の使用を提案する。大きいストークスシフトの材料を用いることも可能である(大きいストークスシフトの材料の例は、例えば、国際特許出願公開WO2012001564公報に説明されている)。他の可能性は、例えば量子ドットのような狭帯域エミッタを用いることである。しかしながら、無機蛍光体も適用され得る。勿論、種々のルミネセンス材料の組み合わせも適用され得る。本明細書では、「蛍光体」及び「ルミネセンス材料」という用語は同じであると考えられる(上記も参照されたい)。
【0010】
従って、第1の観点では、本発明は、第1の光源光を生成する第1の光源と、(上記第1の光源光とは異なるスペクトル分布を有する)第2の光源光を生成する第2の光源と、上記第1の光源光及び上記第2の光源光の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光に変換することができる第1の波長変換素子(本明細書では「第1の変換素子」又は「第1の変換体」としても示される)と、上記第1の光源光、上記第2の光源光及び(オプションで)上記第1の波長変換素子光の1つ以上の少なくとも一部を上記第1の波長変換素子光とは異なるスペクトル分布を有する第2の波長変換素子光に変換することができる第2の波長変換素子(本明細書では「第2の変換素子」又は「第2の変換体」としても示される)とを有する照明ユニットであって、上記第1の光源、上記第2の光源、上記第1の波長変換素子及び上記第2の波長変換素子の1つ以上の移送によりこれら(光源及び変換素子)を(少なくとも)第1の構成又は第2の構成に配置する移送インフラストラクチャを更に有し、上記第1の構成及び上記第2の構成では、当該照明ユニットは、実質的に同じ色点を有し、異なる演色評価数を有する照明ユニット光を与える当該照明ユニットを提供する。
【0011】
上記照明ユニットは、(少なくとも)第1の構成及び第2の構成を可能にする。しかしながら、実施形態では、照明ユニットは、第3の構成又はオプションで更なる構成も与えることができる。従って、本明細書において説明される照明ユニットは、特に、少なくとも3つの異なる構成のような少なくとも2つの異なる構成(上記第1及び第2の構成)を与えるように構成され、これら3つの構成の少なくとも2つ、更に特には、これら少なくとも2つの構成の全ての構成は、実質的に同じ色点又は色温度を有するが、異なるCRI値を有する(白色)光を与える。従って、「第1の光源及び第2の光源」又は「第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子」という言い方及び同様の言い方は、特に、「少なくとも第1の光源及び第2の光源」及び「少なくとも第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子」のことをそれぞれ指す。
【0012】
上記のように、少なくとも2つの構成は、照明ユニットの要素の1つ以上、特に、第1の光源、第2の光源、第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子の1つ以上の移送により得られる。一般に、第1の光源を移動させることにより異なる構成が得られる場合、第2の光源も移動する。従って、一実施形態では、上記移送インフラストラクチャは、(第1及び第2の構成をそれぞれ得るために、)少なくとも第1の光源及び第2の光源を移動させる。同様に、一般に、第1の波長変換素子を動かすことにより異なる構成が得られる場合、第2の波長変換素子も移動する。従って、一実施形態では、上記移送インフラストラクチャは、(第1及び第2の構成をそれぞれ得るために、)少なくとも第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子を移動させる。「変換素子(converting element)」という用語の代わりに、「変換素子(conversion element)」という用語も適用され得る。
【0013】
上記移送構造は、特に、手動アクチュエータ又は電動アクチュエータを含んでいる。従って、一実施形態では、照明ユニットは、例えば、上述した素子の1つ以上をそれぞれ摺動又は回転させる摺動機能又は回転機能を有している。オプションで、照明ユニットは、更に、油圧アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、電気アクチュエータ、機械的アクチュエータのようなアクチュエータを有している。空気圧式アクチュエータは、機械的動作を容易にするために油圧動力を使用するシリンダ又は流体モータよりなっている。機械的アクチュエータは、直線、回転又は振動運動に関して出力を与える。空気圧式アクチュエータは、高圧で圧縮された空気により形成されるエネルギーを直線運動又は回転運動に変換する。更に、電気アクチュエータは、電気エネルギーを機械式トルクに変換するモータにより動力を供給される。更にまた、機械的アクチュエータは、移送を実行するために回転運動を直線運動に変えることにより機能する。機械的アクチュエータは、ギア、レール、プーリ、チェーン及び動作するための他のデバイスの1つ以上を含んでいる。アクチュエータは、(従って、)電気モータを含んでいる。上記構成の制御が以下に更に論じられるが、一実施形態では、照明ユニットは構成(又は構成の設定)を手作業で制御するように構成される。すなわち、手作業で構成が選択され得る。これは、製造工場において、分配センター又は記憶装置において、店で又はエンドユーザにより行われる。オプションで、構成は、例えば、キット又は接着剤を用いて選択後に「凍結」される。従って、本発明は、特に、少なくとも2つの構成の移送構造で設定可能である照明ユニットを提供する。上記移送構造は、とりわけ、照明ユニットの一部である。例えば、単一の集積ユニットが(照明)ユニットに組み込まれた移送構造を備えている。オプションで、そのような照明ユニットは、構成が固定され得る。代替として、エンドユーザが移送構造を伴う所望の構成を選択してもよい。
【0014】
従って、一実施形態では、移送構造は、水圧アクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、電気アクチュエータ、機械的アクチュエータのようなアクチュエータ又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせを有している。制御ユニットは、構造を移動させる。例えば、制御ユニットは、アクチュエータに指示することにより第1の構成又は第2の構成の第1の光源、第2の光源、第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子を配置する。
【0015】
2つよりも多い構成も、オプションで可能であり、例えば、2つよりも多い波長変換素子が存在する場合又は波長変換素子が個々に選択され、他から下流に配された場合に可能である。
【0016】
特定の実施形態では、上記第1の光源及び第2の光源は、(LED又はレーザダイオードのような)固体LED光源を有している。しかしながら、追加又は代替として、有機発光ダイオード(OLED)光源もまた適用され得る。種々のタイプの光源もまた適用され得る。従って、上記第1の光源及び第2の光源は、LED及びレーザよりなる群から独立して選択される。「光源」という用語は、2ないし20の(固体)(LED)光源のような複数の光源にも関連がある。従って、LEDという用語は、複数のLEDのことも指している。勿論、20よりも多い光源も適用され得る。特定の実施形態では、第1の光源のサブセット及び第2の光源のサブセットが適用される。更に、第3の光源、第4の光源等のような他のタイプの光源も適用され、各タイプは発せられる光の異なるスペクトル光分布を有する(本明細書の他の部分も参照されたい)。光源は、特に照明ユニットにより構成される。照明ユニットは照明器具に組み込まれ得る。「照明ユニット」という用語は、「ランプ」のことも指している。
【0017】
上記第1の光源及び第2の光源は、第1の光源光及び第2の光源光をそれぞれ与える。これらのタイプの光は、スペクトル分布が異なる。例えば、第1の光源は青色(第1の光源光)を生成し、第2の光源は赤色(第2の光源光)を生成する。従って、一実施形態では、第1の光源は青色を発する光源を有し、第2の光源は赤色を発する光源を有している。従って、例えば、第1の光源は青色光を発し、第2の光源は赤色光を発する。
【0018】
「紫色光」又は「紫色発光」という用語は、特に、約380ないし440nmの範囲内の波長を有する光に関連している。「青色光」又は「青色発光」という用語は、特に、約440ないし490nm(幾らかの紫及びシアンの色相を含む)の範囲内の波長を有する光に関連している。「緑色光」又は「緑色発光」という用語は、特に、約490ないし560nmの範囲内の波長を有する光に関連している。「黄色光」又は「黄色発光」という用語は、特に、約540ないし570nmの範囲内の波長を有する光に関連している。「橙色光」又は「橙色発光」という用語は、特に、約570ないし600nmの範囲内の波長を有する光に関連している。「赤色光」又は「赤色発光」という用語は、特に、約600ないし800nmの範囲内の波長を有する光に関連している。「桃色光」又は「桃色発光」という用語は、青色成分及び赤色成分を有する光のことを指している。「可視」、「可視光」又は「可視発光」という用語は、約380ないし800nmの範囲内の波長を有する光のことを指している。
【0019】
上記照明ユニットは、(本明細書では、第1の変換素子としても示される)第1の波長変換素子と、(本明細書では、第2の変換素子としても示される)第2の波長変換素子とを少なくとも有している。これらの変換素子は、光源及び/又はオプションで互いの発光の少なくとも1つの光源光を吸収し、発光(第1の波長変換素子光及び第2の波長変換素子光それぞれ)を与える。
【0020】
従って、第1の構成及び第2の構成では、照明ユニットは、(動作中)照明ユニット光を与え、この光は、(第1の構成又は第2の構成それぞれにおける動作中)ほぼ同じ色点を有するが、異なる演色評価数を有する。従って、一実施形態では、照明ユニットは、第1の構成及び第2の構成それぞれにおいて設定される際に、ほぼ同じ色点を有するが、異なる演色評価数の照明光を与える。
【0021】
特に、第1の構成では、第1の光源光及びオプションで第2の光源光は、第1の波長変換素子光とともに白色光(照明ユニット光)を与える。更に、第2の構成では、第1の光源光及びオプションで第2の光源光は、第2の波長変換素子光及びオプションで第1の波長変換素子光とともに同じく白色光(照明ユニット光)を与える。
【0022】
上記のように、オプションで上記波長変換素子もまた、他の素子の変換光を吸収して変換し、それにより、波長変換素子光を与える。従って、特に、(本明細書では第1の変換素子としても示される)第1の波長変換素子は、第1の光源光及び第2の光源光(と、オプションで第2の波長変換素子光と)の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光に変換し、(本明細書では第2の変換素子としても示される)第2の波長変換素子は、第1の光源光、第2の光源光及び第1の波長変換素子光を第1の波長変換素子光とは異なるスペクトル分布を有する第2の波長変換素子光に変換する。
【0023】
上記のように、上記波長変換素子の放出光は異なる。すなわち、放出光は異なるスペクトル分布(スペクトル光分布)を有している。一実施形態では、第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子それぞれは、緑色ルミネセンス材料(すなわち、緑色光を発する材料)、黄色ルミネセンス材料(すなわち、黄色光を発する材料)及び橙色ルミネセンス材料(すなわち、橙色光を発する材料)の1つ以上を独立して有している。例えば、第1の波長変換素子は緑色光を与え、第2の波長変換素子は相対的により多くの黄色光を伴う緑色光を与える。両方の構成において、照明ユニットにより白色光(すなわち、白色の照明ユニット光)が生成される。従って、「第1の波長変換素子が第1の光源光及び第2の光源光の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光に変換することができ、第2の波長変換素子が第1の光源光、第2の光源光及び第1の波長変換素子光の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光とは異なるスペクトル分布を有する第2の波長変換素子光に変換することができる」という表現は、第2の波長変換素子光が第1の波長変換素子光とは異なるスペクトル分布を有することを指している。
【0024】
本明細書における白色光という用語は、当業者には既知である。これは、特に、約2000から20000K、とりわけ、2700ないし20000K、一般照明に関してはとりわけ約2700K及び6500Kの範囲、バックライティングの目的に関してはとりわけ約7000K及び20000Kの範囲の相関色温度(CCT)を持ち、特に、BBL(黒体軌跡)から約15SDCM(等色標準偏差)以内、特に、BBLから約10SDCM以内、更に特には、BBLから約5SDCM以内の光に関連している。
【0025】
一実施形態では、上記照明ユニット、例えば、直接蛍光体変換型LED(例えば10000Kを得るように薄い蛍光体の層を有する青色発光ダイオード)は、約5000から20000Kの間の相関色温度(CCT)を持つ照明ユニット光も与える。従って、特定の実施形態では、上記照明ユニットは、5000ないし20000Kの範囲内、更に特には、8000ないし20000Kのような6000ないし20000Kの範囲内の相関色温度の照明ユニット光を与えるように構成される。
【0026】
両方(又はそれ以上)の構成において、実質的に同じ色温度又は実質的に同じ色点を有する白色光が与えられる。当該技術分野において知られているように、複数の色の組み合わせが光に同じ色点を与える。特に、上記第1の構成及び第2の構成において、上記照明ユニットは、互いに15SDCM(等色標準偏差)以内、特に互いに約10SDCM以内、更に特には互いに約5SDCM以内の色点を有する照明ユニット光を与える。代替又は追加として、(少なくとも2つの異なる構成における照明ユニット光の)x及びyの差、すなわち、Δx及びΔyが、それぞれ独立して0.03以下、特に0.02以下、特に0.01以下である実質的に同じ色点が2つの色点として規定され、例えば、第1の色点(0.35;0.35)及び第2の色点(0.33;0.37)は、同じ色点を有する構成の色点として考えられる。これらの0.03、0.02及び0.01の値は、楕円の最小径における約3000Kないし5000Kの色温度において、約15SDCM、約10SDCM及び約5SDCMにそれぞれ対応する。従って、特に、上記照明ユニットは、第1の構成及び第2の構成で動作中に照明ユニット光を与え、この照明ユニット光は、(照明ユニットが第1の構成及び第2の構成で構成された動作中に)互いに15SDCM(等色標準偏差)以内の色点を有する。
【0027】
上記波長変換素子は、ルミネセンス材料の層、透過層に埋め込まれたルミネセンス材料又は透過層に分子状に分散されたルミネセンス材料の1つ以上を(互いに独立して)含んでいる。粒子に埋め込まれたルミネセンス材料が透過層に更に埋め込まれているようなハイブリッドも可能である。上記波長変換素子は、互いに独立して、フィルム、自己支持形の層のような層又は本体である。波長変換素子は、照明ユニットの光出口窓として構成され得る。しかしながら、これは、実施形態では、単に構成の1つに当てはまることに注意されたい。他の構成では、他の波長変換素子が光出口窓として構成される。従って、そのような実施形態では、光源からの光及び変換光(以下を更に参照されたい)は、(デバイスの使用中に)照明ユニットのビアから及び波長変換体から生じる。
【0028】
上記波長変換素子は、また、反射モードでも構成され得る。例えば、光混合チャンバは、波長変換体を有する1つ以上の壁部(反射モード)及び/又は波長変換素子を有する出口窓(透過モード)を有している。従って、第1の構成及び第2の構成の1つ以上において、第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子の1つ以上は、透過モードで設けられる。
【0029】
特に、可視光を生成する光源を適用する場合、(従って)変換体は透過可能である。このやり方では、例えば、少なくとも青色光を与えるように構成された光源を仮定すると、光源の青色光は、変換体を貫通し、可視照明ユニット光として変換体からのルミネセンスとともに用いられる。UV光を生成するように構成された光源を適用する場合には、変換体は、このUV光を実質的に透過可能ではない。変換体は、特に、変換体に入射する全てのUV光をほぼ吸収し、この光をルミネセンスにほぼ変換する。従って、変換体は、UV光に対して実質的に非透過性であり、同時に青色光のような可視光に対しては少なくとも部分的に透過性であることに注意されたい。
【0030】
本明細書における「透過可能(transmissive)」という用語は、特に、可視波長範囲から選択される波長を持つ光について20ないし95%のような20ないし100%の範囲内の光の透過を有する変換体のことを指している。本明細書で、「可視光」という用語は、特に、380ないし780nmの範囲から選択される波長を持つ光に関連がある。透過は、垂直放射の下で第1の強度を持つ特定の波長の光を導波路に与え、当該材料を通って透過した後測定される当該波長における光の強度を特定の波長で当該材料に与えられる光の第1の強度に関連付けることにより決定される(E-208 and E-406 of the CRC Handbook of Chemistry and Physics, 69th edition, 1088-1989も参照されたい。)。導波路プレートは、ルミネセンス材料の存在のために着色され得ることに注意されたい(以下も参照されたい。)。UV光に対する透過率は、特に、1%未満、5%未満等のような10%未満である。「透過可能」という用語は、一実施形態では透明に関連し、他の実施形態では半透明に関連している。
【0031】
上記変換体は、層又は自己支持形の本体部のような任意の形状であり得る。変換体は、平坦であってもよいし、湾曲していてもよいし、成形されていてもよいし、矩形状、円形状、六角形状、球状、管状、立方体状等であってもよい。自己支持形の本体部は、剛性であってもよいし、フレキシブルであってもよい。厚さは、一般に、0.1ないし10mmの範囲内である。長さ及び/又は幅(若しくは径)は、例えば、0.02ないし5mのような0.01ないし5mの範囲内であり、例えば0.1ないし50mmの範囲内である。変換体は、例えば、透過可能な支持体にコーティングされた層であってもよいが、一般に、変換体は成形された(フレキシブルな)本体部である。(従って、)変換体は自己支持形であってもよく、例えばプレート又は(フレキシブルな)構成要素(entity)であってもよい。
【0032】
「マトリクス」という用語は、本明細書では、(粒子状)ルミネセンス材料のような他の材料を受け入れる層、本体部又は成形品等を示すために用いられる。
【0033】
上記マトリクス(材料)は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリエチレンカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(プレキシガラス又はパースペックス)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、(PETG)(グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)及びCOC(シクロオレフィンコポリマ)よりなる群から選択されるような透過性有機材料のサポートよりなる群から選択される1つ以上の材料を有している。しかしながら、他の実施形態では、上記マトリクス(材料)は、無機材料を有している。好ましい無機材料は、ガラス、(溶融)石英、透過性セラミック材料及びシリコーンよりなる群から選択されるものである。また、無機及び有機の両方の部分を有するハイブリッド材料も適用され得る。PMMA、PET、透明PC又はガラスは、マトリクス(材料)用の材料として特に好ましい。更により具体的には、マトリクスは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を有している。
【0034】
上記波長変換素子は、光源(又は上記のように複数の光源)に放射結合される。「放射結合される」という用語は、特に、光源により発せられる放射の少なくとも一部が構成の少なくとも1つで波長変換素子により受け取られる(及びルミネセンスに少なくとも部分的に変換される)ように光源及び波長変換素子が互いに関連していることを意味する。この場合も、これは、特に、第1の構成の波長変換素子の1つ及び第2の構成の他の波長変換素子等に関して言及している。「ルミネセンス」という用語は、光源の光源光による励起の際、波長変換素子が発する放射のことを意味している。このルミネセンスは、本明細書では、(可視光を少なくとも有する)変換光としても示される(以下も参照されたい)。
【0035】
上記「上流」及び「下流」という用語は、光生成手段(ここでは、特に第1の光源又は第2の光源)からの光の伝播に対するアイテム又は特徴部の配置に関連しており、光生成手段からの光ビーム内の第1の位置に対して、光生成手段により近い光ビーム内の第2の位置は「上流」であり、光生成手段からより遠い光ビーム内の第3の位置は「下流」である。
【0036】
例えば第1及び第2の光源の1つ以上の光による励起時の上記波長変換素子からの放射光は、特に、ルミネセンス材料によるものである。「ルミネセンス材料」という用語は、複数のルミネセンス材料にも関連している(上記も参照されたい)。「ルミネセンス材料」という用語は、また、異なるルミネセンス材料の混合物又は組み合わせにも関連している。上記照明デバイスでは、(少なくとも2つの)各波長変換素子自体が(放射の)特定のスペクトル光分布を有するので、少なくとも2つの異なるルミネセンス材料が適用される。原理的には、異なる活性剤濃度を有する同一のタイプのルミネセンス材料は、異なるルミネセンススペクトルを有するので、異なるルミネセンス材料を既にもたらすことに注意されたい。従って、各波長変換素子は1つ以上の(異なる)ルミネセンス材料を有している。1つ以上のルミネセンス材料は、特に、量子ドットルミネセンス材料、無機ルミネセンス材料及び有機ルミネセンス材料よりなる群から(それぞれ独立して)選択される。(第1及び第2の光変換素子両方において)種々のタイプのルミネセンス材料の組み合わせも適用され得る。従って、変換という用語は、特に、励起光のルミネセンス(又は放出)光への変換のことを指す。波長変換素子は、特に、少なくとも1つのルミネセンス材料を有している。
【0037】
特に、上記照明ユニットは、青ないし緑色において吸収する、とりわけ、490ないし520nmの範囲から選択される波長において吸収するルミネセンス材料を有している。
【0038】
(第1及び第2のルミネセンス材料として独立して用いられ得る)有機ルミネセンス材料の関連のある例は、例えば、(BASF社、ルードヴィヒスハーフェン、ドイツからルモゲンの商標名の下で知られているルミネセンス材料:ルモゲンF240オレンジ、ルモゲンF300レッド、ルモゲンF305レッド、ルモゲンF083イエロー、ルモゲンF170イエロー、ルモゲンF850グリーンのような)ぺリレン、Neelikon Food Dyes & Chemical Ltd.社、ムンバイ、インドからのイエロー172及びクマリン(例えば、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン153、ベーシックイエロー51)、ナフタルイミド(例えば、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116)、フルオロール7GA、ピリジン(例えば、ピリジン1)、(ピロメテン546、ピロメテン567のような)ピロメテン、ウラニン、ローダミン(例えば、ローダミン110、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、スルホローダミン101、スルホローダミン640、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2)、シアニン(例えば、フタロシアニン、DCM)、スチルベン(例えば、Bis−MBS、DPS)であり、これらは多くの業者から入手可能である。酸性染料、塩基性染料、直接染料及び分散染料のような幾つかの他のルミネセンス材料が、使用目的のために十分に高い蛍光量子収率を示す限り用いられ得る。適用され得る特に関心のある有機材料は、例えば、緑色ルミネセンスについてのBASF社のルモゲン850、黄色ルミネセンスについてのBASF社のルモゲンF083又はF170、橙色ルミネセンスについてのBASF社のルモゲンF240及び赤色ルミネセンスについてのBASF社のルモゲンF300又はF305を有している。従って、上記ルミネセンス材料は、例えば、上述した有機ルミネセンス材料の少なくとも2つを有し、オプションで、同じく上述した有機ルミネセンス材料から選択される1つ以上の更なる有機ルミネセンス材料を有している。
【0039】
(第1及び第2のルミネセンス材料として独立して用いられ得る)幾つかの特定の無機ルミネセンス材料が以下に論じられる。
【0040】
(Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In)(O,S,Se):Eu2+、チオガリウム酸塩、特にSrGa:Eu2+のようなSr、Ga及びSを少なくとも有するそのようなルミネセンス材料の1つ以上を含む緑色発光体についての幾つかのオプションが考えられる。これらのタイプのルミネセンス材料は、特に狭帯域の緑色発光体である。
【0041】
オプション又は追加として、無機ルミネセンス材料は、M12:Ce3+(ガーネット材料)を有しており、式中、MはSc、Y、Tb、Gd及びLuよりなる群から選択され、AはAl及びGaよりなる群から選択されるものである。好ましくは、MはY及びLuの1つ以上を少なくとも有し、Aは少なくともAlを有している。これらのタイプの材料は、最高の効率を与える。ガーネットの実施形態は、特に、M12のガーネットを含んでおり、式中、Mは少なくともイットリウム又はルテチウムを有し、Aは少なくともアルミニウムを有している。そのようなガーネットは、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)又はセリウム及びプラセオジムの組み合わせがドープされているが、とりわけ、少なくともCeがドープされている。特に、Aはアルミニウム(Al)を有しているが、とりわけアルミニウムの約20%まで、更に特にはアルミニウムの約10%までのガリウム(Ga)、スカンジウム(Sc)及び/又はインジウム(In)を部分的に有していてもよく(すなわち、Aイオンは、本質的には、90モル%以上のAlと、10モル%以下のGa、Sc及びInの1つ以上とから成る。)、Aは、とりわけ、約10%までのガリウムを有している。他の変形例では、A及びOがSi及びNにより少なくとも部分的に置換されている。元素Mは、特に、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)及びルテチウム(Lu)から成る群より選択される。更に、Gd及び/又はTbは、特に、Mの約20%の量までしか存在しない。特定の実施形態では、ガーネットルミネセンス材料は、(Y1−xLuAl12:Ceを有しており、xは0以上且つ1以下である。「:Ce」又は「:Ce3+」という表現は、ルミネセンス材料中の金属イオンの一部(すなわち、ガーネットの「M」イオンの一部)がCeにより置換されていることを示している。特に、ルテチウムを有するガーネットは、とりわけ、ルテチウムがMの少なくとも50%である場合に所望のルミネセンスを与える。
【0042】
追加又は代替として、上記無機ルミネセンス材料は、(Ba,Sr,Ca)S:Eu、(Mg,Sr,Ca)AlSiN:Eu及び(Ba,Sr,Ca)Si:Euよりなる群から選択される1つ以上の材料のような二価のユーロピウムを含有する窒化物ルミネセンス材料又は二価のユーロピウムを含有するオキソ窒化物ルミネセンス材料よりなる群から選択されるルミネセンス材料も有している。これらの化合物では、ユーロピウム(Eu)が実質的に又は専ら二価であり、示されている二価のカチオンの1つ以上を置換している。一般に、Euは、上記カチオンの10%よりも多い量では存在せず、特に、Euが置換するカチオンに対して約0.5ないし10%の範囲内、更に特には、約0.5ないし5%の範囲内の量で存在する。「:Eu」又は「:Eu2+」という表現は、金属イオンの一部がEuにより(これらの例では、Eu2+により)置換されていることを示している。例えば、CaAlSiN中の2%のEuを考えると、正確な式は(Ca0.98Eu0.02)AlSiNである。二価のユーロピウムは、一般に、上記二価のアルカリ土類カチオンのような二価のカチオン、特に、Ca、Sr又はBaを置換する。材料(Ba,Sr,Ca)S:Euは、MS:Euとしても示され、式中、Mはバリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)よりなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物ではカルシウム若しくはストロンチウム又はカルシウム及びストロンチウムを有し、更に特には、カルシウムを有している。ここでは、Euは、取り込まれてM(すなわち、Ba、Sr及びCaの1つ以上)の少なくとも一部を置換している。更に、材料(Ba,Sr,Ca)Si:Euは、MSi:Euとしても示され、式中、Mはバリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)よりなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物ではSr及び/又はBaを有している。他の特定の形態では、Mは、(Euの存在を考慮に入れないと、)Sr及び/又はBaから成り、特に、Ba1.5Sr0.5Si:Eu(すなわち、Ba75%、Sr25%)のように50ないし100%、とりわけ50ないし90%のBa及び50ないし0%、とりわけ50ないし10%のSrから成っている。ここでは、Euは、取り込まれてM(すなわち、Ba、Sr及びCaの1つ以上)の少なくとも一部を置換している。同様に、材料(Ba,Sr,Ca)AlSiN:EuもMAlSiN:Euとしても示され、式中、Mはバリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)及びカルシウム(Ca)よりなる群から選択される1つ以上の元素であり、特に、Mは、この化合物ではカルシウム若しくはストロンチウム又はカルシウム及びストロンチウムを有し、更に特には、カルシウムを有している。ここでは、Euは、取り込まれてM(すなわち、Ba、Sr及びCaの1つ以上)の少なくとも一部を置換している。好ましくは、一形態では、無機ルミネセンス材料は、(Ca,Sr,Mg)AlSiN:Eu、好ましくは、CaAlSiN:Euを有している。更に、前者と組み合わせられ得る更に他の形態では、無機ルミネセンス材料は(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、好ましくは、(Sr,Ba)Si:Euを有している。「(Ca,Sr,Ba)」という表現は、対応するカチオンがカルシウム、ストロンチウム又はバリウムにより占められていることを示している。この表現は、そのような材料では、対応するカチオンのサイトがカルシウム、ストロンチウム及びバリウムよりなる群から選択されるカチオンで占められていることも示している。従って、上記材料は、例えば、カルシウム及びストロンチウムを有していてもよいし、また、ストロンチウムのみを有していてもよい等である。
【0043】
上記無機ルミネセンス材料は、三価のセリウムを含有するガーネット(上記参照)及び三価のセリウムを含有するオキソ窒化物よりなる群から選択される1つ以上のルミネセンス材料も有していてもよい。上記オキソ窒化物材料は、当該技術分野においては、オキシ窒化物材料として示されることも多い。
【0044】
従って、「無機ルミネセンス材料」という用語は、複数の異なる無機ルミネセンス材料にも関連している。上記無機ルミネセンス材料は、特に有機ルミネセンス材料等のマトリクス中に埋め込まれたような光変換体により構成されていてもよいし、光変換体上の層のように光変換体の外部に存在していてもよいし、照明デバイスの他の場所に存在していてもよい。そのような構成の2つ以上の組み合わせも可能である(上記も参照されたい。)。従って、一実施形態では、量子ドットをベースとするルミネセンス材料のような無機ルミネセンス材料が、マトリクス内に埋め込まれている。
【0045】
追加又は代替として、無機ルミネセンス材料は、量子ドット(QD)を有している。とりわけ、狭帯域エミッタの量子ドットは、この目的のために非常に好適である。量子ドットは、一般にわずか数ナノメートルの幅又は径を有する半導体材料の微小結晶である。入射光により励起されると、量子ドットは、結晶のサイズ及び材料により決定される色の光を発する。従って、ドットのサイズを適合させることにより特定の色の光が生成される。これは、量子ドットは狭帯域のエミッタであるので、量子ドットを用いることによって任意のスペクトルが得られることを意味する。
【0046】
可視範囲において発光する最も知られている量子ドットは、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)のようなシェルを有するセレン化カドミウム(CdSe)に基づくものである。リン化インジウム(InP)、硫化銅インジウム(CuInS)及び/又は硫化銀インジウム(AgInS)のようなカドミウムが含まれていない量子ドットも用いられ得る。量子ドットは、非常に狭い発光帯を示し、従って、飽和色を示す。更に、放出光は量子ドットのサイズを適合させることにより容易に変更され得る。
【0047】
本明細書では光変換体ナノ粒子としても示される量子ドット又はルミネセンスナノ粒子は、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe及びHgZnSTeよりなる群から選択されるII-VI族化合物半導体量子ドットを有している。他の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、例えば、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs,InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs及びInAlPAsよりなる群から選択されるIII-V族化合物半導体量子ドットを有している。更に他の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、例えば、CuInS、CuInSe、CuGaS、CuGaSe、AgInS、AgInSe、AgGaS及びAgGaSeよりなる群から選択されるI-III-VI2黄銅鉱型半導体量子ドットである。更に他の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、例えば、LiAsSe、NaAsSe及びKAsSeよりなる群から選択されるようなI−V−VI2半導体量子ドットである。更に他の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、例えば、SbTeのようなIV−VI族化合物半導体ナノ結晶である。特定の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、InP、CuInS、CuInSe、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS及びAgInSeよりなる群から選択される。更に他の実施形態では、ルミネセンスナノ粒子は、例えば、ZnSe:Mn、ZnS:Mnのような内部にドーパントを伴う上述した材料から選択されるII-VI族化合物、III-V族化合物I−III−V族化合物及びIV−VI族化合物半導体ナノ結晶の1つである。ドーパント元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn及びTlから選択され得る。ここで、ルミネセンスナノ粒子をベースとするルミネセンス粒子は、CdSe及びZnSe:Mnのような種々のタイプのQDも有していてもよい。
【0048】
II-VIの量子ドットを用いることは、特に有利であるように思われる。従って、一実施形態では、半導体を使用するルミネセンス量子ドットは、II-VIの量子ドット、特に、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe及びHgZnSTeよりなる群から選択されるII-VIの量子ドット、更に特には、CdS、CdSe、CdSe/CdS及びCdSe/CdS/ZnSよりなる群から選択されるII-VIの量子ドットを有している。
【0049】
一実施形態では、Cdを含まないQDが適用される。特定の実施形態では、光変換体ナノ粒子は、III-VのQD、より具体的には、コアシェル型InP−ZnSQDのようなInPをベースとする量子ドットを有している。「InP量子ドット」又は「InPをベースとする量子ドット」という表現及び類似する表現は、「むき出しの(bare)」InPQDに関連するが、ドットインロッド方式のInP−ZnSQD等のコアシェル型InP−ZnSQDのようなInPコア上にシェルを有するコアシェル型InPQDにも関連することに注意されたい。
【0050】
典型的なドットは、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、ヒ化インジウム及びリン化インジウムのような二元合金で作られている。しかしながら、ドットは、硫セレン化カドミウムのような三元合金から作られていてもよい。これらの量子ドットは、10ないし50原子の径で、量子ドットの体積内に100ないし100000個の原子を含むことができる。これは、約2ないし10ナノメートルに対応する。例えば、約3mmの径を有するCdSe、InP又はCuInSeのような球形粒子が与えられる。(コーティングされていない)ルミネセンスナノ粒子は、10nm未満の一次元のサイズを有し、球、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、マルチポッド等の形状を有している。例えば、20nmの長さ及び4nmの径のCdSeのナノロッドが与えられる。従って、一実施形態では、半導体をベースとするルミネセンス量子ドットは、コアシェル型量子ドットを有している。更に他の実施形態では、半導体をベースとするルミネセンス量子ドットは、ドットインロッド方式のナノ粒子を有している。異なるタイプの粒子の組み合わせも適用され得る。例えば、コアシェル型粒子とドットインロッド方式とが適用されてもよい及び/又はCdS及びCdSeのような上述したナノ粒子の2つ以上の組み合わせが適用されてもよい。ここでは、「異なる(種々の)タイプ」という表現は、異なる幾何学的形状及び異なるタイプの半導体ルミネセンス材料に関連している。従って、(上記の)量子ドット又はルミネセンスナノ粒子の2つ以上の組み合わせも適用され得る。
【0051】
国際特許出願公開WO2011/031871公報から得られるような半導体ナノ結晶を製造する方法の一例は、コロイド成長法である。
【0052】
一実施形態では、ナノ粒子は、第1の半導体材料を有するコアと第2の半導体材料を有するシェルとを有する半導体ナノ結晶を有し、シェルはコアの表面の少なくとも一部を覆って配される。コア及びシェルを含む半導体ナノ結晶は、「コア/シェル」半導体ナノ結晶とも呼ばれる。
【0053】
例えば、半導体ナノ結晶は式MXを有するコアを含んでおり、式中、Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム又はそれらの混合物であり、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン又はそれらの混合物である。半導体ナノ結晶のコアとして用いて好適な材料の例は、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、三元及び四元混合物又は合金を含む上述のいずれかを含む合金及び/又は上述のいずれかを含む混合物を含んでいるが、これらに限定されない。
【0054】
シェルは、コアの組成と同じである又はコアの組成とは異なる組成を有する半導体材料である。シェルは、コアの半導体ナノ結晶の表面に半導体材料の保護膜を有しており、IV族元素、II-VI族化合物、II-V族化合物、III-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、I-III-VI族化合物、II-IV-VI族化合物、II-IV-V族化合物、三元及び四元混合物又は合金を含む上述のいずれかを含む合金及び/又は上述のいずれかを含む混合物を含んでいる。例は、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、上述のいずれかを含む合金及び/又は上述のいずれかを含む混合物を含んでいるが、これらに限定されない。例えば、ZnS、ZnSe又はCdSの保護膜が、CdSe又はCdTe半導体ナノ結晶上に成長される。
【0055】
半導体ナノ結晶の(コア)シェルの材料の例は、赤色(例えば、(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑色(例えば、(CdZnSe)CdZnS(コア)シェル等)及び青色(例えば、(CdS)CdZnS(コア)シェルを含んでいるが、これらに限定されない(例えば半導体に基づく特定の光変換体ナノ粒子の上記記載も更に参照されたい)。
【0056】
従って、特定の実施形態では、上記光変換体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs及びInAlPAsの1つ以上を有するコア及びシェルを持つコア−シェル型ナノ粒子よりなる群から選択される。
【0057】
一般に、上記コア及びシェルは、同じ類(class)の材料を有するが、本質的には、CdSeコアを取り巻くZnSシェル等のように異なる材料よりなっている。
【0058】
上記第1の構成から第2の構成に切り換える際、所望の(予め決定された)色点に達するように色点を微調整する必要がある。これは、特に、第1及び第2の光源の1つ以上の強度を調整することにより行われる。例えば、青色の第1の光源及び赤色の第2の光源を仮定すると、赤色光源の強度が、両方の構成をBBLの近くに(及び互いの色点の近くに)維持するように調整される。従って、一実施形態では、上記第1の光源及び第2の光源の1つ以上は調整可能な光強度を有し、上記照明ユニットは、更に、調整可能な光強度を第1及び第2の構成の関数として有する第1の光源及び第2の光源の1つ以上の調整可能な光強度を制御する制御ユニットを有している。この制御ユニットは、例えば、予め決定された設定に基づく構成の関数として光源の1つ以上の光源光の強度を制御する。代替又は追加として、上記制御ユニットは、特に照明ユニット光を測定するように構成された光センサの光センサ信号の関数として光源の1つ以上の光源光の強度を制御する。光センサ信号に基づいて、制御ユニットは、(照明ユニット光の)色点を微調整し、オプションで(第1及び第2の光源の1つ以上の強度を制御することにより)CRI及び効率の1つ以上も微調整する。従って、一実施形態では、上記照明ユニットは、更に、光センサを有しており、制御ユニットは、調整可能な光強度を光センサのセンサ信号の関数として有する第1の光源及び第2の光源の1つ以上の調整可能な光強度を制御する。「光センサ」という用語は、複数の光センサのことも指す。光センサは、光の色点を測定するセンサ又はスペクトル光の分布を測定するセンサ等を含んでいる。
【0059】
第1の構成及び第2の構成を得るために、複数の構成が可能である。隣同士の波長変換素子、一方が他方の下流にある波長変換素子等を考えることができる。特定の実施形態では、第1及び第2の構成は、第1の構成においては波長変換素子の一方を他方の前方に配することにより、第2の構成においては一方を他方の前方に置かないことにより得られる。後者の構成では、光源は、第1又は第2の波長変換素子とともに照明ユニット光を与える。従って、一実施形態では、移送インフラストラクチャは、第1の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に第1の波長変換素子を配置し、第2の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に(積層)構成で第1の波長変換素子及び第2の波長変換素子を配置する。しかしながら、オプションで先の実施形態と組み合わされ得る更に他の実施形態では、移送インフラストラクチャは、第1の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に第1の波長変換素子を配置し、第2の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に積層構成で第2の波長変換素子を配置する。
【0060】
上記のように、照明ユニットは、2つ以上の光変換素子を有している。例えば、第1の光変換素子は、一実施形態においては光変換素子の積層体を有する。同様に、前の実施形態と組み合わされ得る他の実施形態では、第2の光変換素子が光変換素子の積層体を有する。
【0061】
オプションで、積層構成においては、隣り合う変換素子間にゼロではない距離が存在してもよい。
【0062】
代替又は追加として、2つの構成が可能であるだけではなく、2つよりも多い構成も照明デバイスにより与えられる。従って、一実施形態では、上記照明ユニットは複数の波長変換素子を有し、移送インフラストラクチャは、第1の光源、第2の光源及び複数の波長変換素子を、これらの1つ以上の移送により複数の構成で配置するように構成され、少なくとも第1の構成及び第2の構成では、照明ユニットは、実質的に同じ色点を有するが、異なる演色評価数を持つ照明ユニット光を与える。
【0063】
上記照明ユニットは、全ての種類のアプリケーションに用いられ得る。例えば、上記照明ユニットは、スタジアムの照明、道路の照明、閃光のような屋外照明、自転車のランプ若しくは自動車の照明のような乗り物の照明又はリテール照明、オフィス照明若しくは家庭用照明等のような屋内照明に用いられる。従って、霧、霞、温度、雨、雪、暗い、明るい、太陽の高さ等の1つ以上のような(屋外の)パラメータを感知するセンサを含んでいることもまた有利である。従って、一実施形態では、照明ユニットは、更に、照明ユニットの外部の状態を感知するセンサを有し、照明ユニットは、更に、照明ユニット光をセンサのセンサ信号の関数として制御する制御ユニットを有する。
【0064】
本発明は、また、街灯/照明器具又はスタジアムのランプ/照明器具のような本明細書において規定される照明ユニットを有する照明器具を提供する。照明ユニット又は照明器具は、例えば、制御可能な演色性を有する白色光を与えるために用いられる。照明ユニット又は照明器具は、例えば、効率を制御し、照明特性を要求の関数として適合させるために用いられる。特に、上記のように、照明ユニット又は照明器具は、例えば、屋外照明に用いられる。しかしながら、照明ユニットは、また、例えば、オフィス照明システム、家庭用応用システム、店の照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバ応用システム、投射システム、自己発光表示システム、ピクセル化表示システム、セグメント化表示システム、警告標識システム、医療用照明応用システム、インジケータ標識システム、装飾照明システム、携帯型システム、自動車用途、温室照明システム、園芸照明又はLCDバックライティングの一部であってもよいし、それらに適用されてもよい。
【0065】
「実質的に全ての光」又は「実質的に構成される」のような本明細書における「実質的に」という用語は、当業者には理解されるであろう。「実質的に」という用語は、「全部」、「完全に」、「全て」等を伴う具体例も含んでいる。従って、実施形態では、形容詞的な実質的には取り除かれ得る。適用可能である場合、「実質的に」という用語は、95%以上のような90%以上、特に99%以上、更に特には100%を含む99.5%以上に関係がある。「有する」という用語は、「有する」という用語が「から成る」を意味する具体例も含んでいる。「及び/又は」という用語は、特に、「及び/又は」の前後に述べたアイテムの1つ以上に関連している。例えば、「アイテム1及び/又はアイテム2」という表現及び同様の表現は、アイテム1及びアイテム2の1つ以上に関連する。「有している」という用語は、一形態では、「から成る」を意味するが、他の形態では、「少なくとも規定された種を含み、オプションで1つ以上の他の種を含む」ことも意味する。
【0066】
更に、詳細な説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3等は、類似の構成要素を区別するために用いられており、必ずしも連続する順序又は発生順を説明するために用いられるものではない。そのように用いられている用語は適切な状況下において置き換え可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書中に説明されている又は示されている順序ではない他の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0067】
本明細書におけるデバイスは、とりわけ動作中について説明されている。当業者には明らかであるように、本発明は、動作の方法又は動作中のデバイスに限定されるものではない。
【0068】
上述した実施形態は本発明を限定するものではではなく説明しており、当業者であれば添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多数の代替の実施形態を考案することができることに注意されたい。特許請求の範囲では、括弧内に配されたいかなる参照符号もが特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。動詞「有する」及びその活用の使用は、特許請求の範囲において述べられている構成要素又はステップ以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。構成要素の前に付された冠詞「a」又は「an」は、複数のそのような構成要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の構成要素を有するハードウェア及び好適にプログラムされたコンピュータにより実現され得る。幾つかの手段を列挙しているデバイスの請求項では、これらの手段の幾つかがハードウェアの1つの同じアイテムにより具現化され得る。或る方策が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に用いられないことを示してはいない。
【0069】
本発明は、更に、詳細な説明において説明される及び/又は添付の図面に示される特徴的なフィーチャの1つ以上を有するデバイスに当てはまる。本発明は、更に、詳細な説明において説明される及び/又は添付の図面に示される特徴的なフィーチャの1つ以上を有する方法又はプロセスに関連している。
【0070】
この特許において論じられる種々の観点は、追加の利点を与えるために組み合わせられ得る。更に、上記フィーチャの幾つかは、1つ以上の分割出願の基礎を形成し得る。
【0071】
本発明の実施形態が、添付の(模式)図を参照して単に例としてこれから説明される。各図において、対応する参照符号は対応する部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1乃至図1cは、本発明の幾つかの観点を模式的に示している。
図2図2a乃至図2fは、幾つかの実施形態及び構成を模式的に示している。
図3】照明器具の幾つかの実施形態を模式的に示しており、図の縮尺は必ずしも正確ではない。
図4図4a乃至図4dは、全てが同じ色点をもたらす光源及びルミネセンス材料の種々の組み合わせの種々の発光スペクトルを示しており、x軸にはナノメートルの単位の波長が示され、y軸には任意単位の強度が示されている。
図5図5a乃至図5dは、異なる蛍光体(P1、P2及びP3)の発光スペクトルを示しており、x軸にはナノメートルの単位の波長が示され、y軸には任意単位の強度が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、第1の光源光111を生成する第1の光源110及び第2の光源光211を生成する第2の光源210を有する照明ユニット100を模式的に示している。それぞれ青色光及び赤色光のように、第2の光源光211は、第1の光源光111とは異なるスペクトル分布を有する。例えば、青色光源は400ないし500nm、特に、440ないし490nmの範囲内の青色光を発し、赤色光源は600ないし800nmの範囲内の赤色光を発する。
【0074】
更に、上記照明ユニットは、第1の光源光111及び第2の光源光211の1つ以上の少なくとも一部を第1の波長変換素子光1101に変換することができる第1の波長変換素子1100を有している。ここで、この構成では、第1の波長変換素子1100は、第1の光源110及び第2の光源210の下流に構成され、従って、第1の光源光111及び第2の光源光211の1つ以上の変換に基づいて第1の波長変換素子光1101を生成する。
【0075】
一般に(すなわち、この特定の模式的に示されている実施形態に限定されることなく)、上記他方の光源の光は色点を調整するために用いられるので、上記光源の一方の光が専ら変換される。
【0076】
更に、照明ユニット100は、第1の光源光111、第2の光源光211及び第1の波長変換素子光1101の1つ以上の少なくとも一部を第2の波長変換素子光2101に変換することができる第2の波長変換素子2100を有している(例えば、図2eを参照すると、この第2の波長変換素子光2101は、第1の光源光111及び第2の光源光211の1つ以上により励起されると、第2の波長変換素子2100において生成される)。この後のオプションが以下に説明される。図1aに模式的に示されている構成では、第2の波長変換素子2100が光を変換できることが明らかである。励起光により光を当てられると、光を変換することができる。しかしながら、この構成では、光を変換することができない。第2の波長変換素子2100が光源の下流に配される他の構成に変更されると、第2の波長変換素子2100が光を変換する。従って、「変換できること」が適用される。第2の波長変換素子2100及び第1の波長変換素子1100は、第1の波長変換素子光1101とは異なるスペクトル分布を有する。
【0077】
上記ルミネセンス材料は、典型的には、400nmから500nmまでの波長範囲の光を吸収する。ルミネセンス材料は、典型的には、480nmから600nmまでの波長範囲の光を発する。一実施形態では、我々は、有機蛍光体の使用を提案する。好適な有機波長変換材料の例は、ペリレン誘導体、例えば、BASF社によりルモゲン(登録商標)の名前の下で販売されている化合物に基づく有機ルミネセンス材料である。市販の好適な化合物の例は、ルモゲン(登録商標)レッドF305、ルモゲン(登録商標)オレンジF240、ルモゲン(登録商標)イエローF083、ルモゲン(登録商標)F170及びこれらの組み合わせを含んでいるが、それらに限定されない。有利なことに、有機ルミネセンス材料は、透明であり、散乱しない。他の実施形態では、我々は、量子ドットの使用を提案する。量子ドット(又はロッド)は、一般にわずか数ナノメートルの幅又は径を有する半導体材料の微小結晶である。入射光により励起されると、量子ドットは、結晶のサイズ及び材料により決定される色の光を発する。従って、ドットのサイズを適合させることにより特定の色の光が生成される。可視範囲において放出する最も知られている量子ドットは、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)のようなシェルを伴うセレン化カドミウム(CdSe)に基づくものである。リン化インジウム(InP)並びに硫化銅インジウム(CuInS)及び/又は硫化銀インジウム(AgInS)のようなカドミウムを含有していない量子ドットも用いられ得る。量子ドットは、非常に狭い発光帯を示し、従って、飽和色を示す。更に、発光色は、量子ドットのサイズを適合させることにより容易に変更され得る。当業者に知られている任意のタイプの量子ドットが本発明に用いられ得る。しかしながら、環境の安全及び関心の理由のために、カルシウムを含有していない量子ドット又は少なくとも非常に低いカルシウム含有量を有する量子ドットを使用することが好ましい。他の実施形態では、我々は、無機蛍光体の使用を提案する。リモート蛍光体素子は、追加の無機蛍光体も有していてもよい。無機蛍光体材料の例は、セリウム(Ce)がドープされたYAG(YAl12)又はLuAG(LuAl12)を含んでいるが、これらに限定されるものではない。セリウムがドープされたYAGは黄色がかった光を発し、セリウムがドープされたLuAGは黄緑色がかった光を発する。赤色光を発する他の無機波長変換材料の例は、ECAS及びBSSNを含んでいるが、これらに限定されるものではなく、ECASはCa1−xAlSiN:Eu、0<x≦1、好ましくは0<x≦0.2であり、BSSNはBa2−x−zSi5−yAl8-y:Euであって、MはSr又はCaを表し、0≦x≦1、0≦y≦4及び0.0005≦z≦0.05、好ましくは0≦x≦0.2である。無機波長変換材料は、大きいストークスシフト材料を用いることも可能である。
【0078】
更に、照明ユニット100は、第1の光源110、第2の光源210、第1の波長変換素子1100及び第2の波長変換素子2100をこれらの1つ以上の移送により配置する移送インフラストラクチャ20を有している。ここでは、第1の波長変換素子1100が現在ある位置に対して、第2の波長変換素子2100が摺動又は回転すると、2つの構成が得られる。
【0079】
上記のように、第1の構成及び第2の構成では、照明ユニットは、実質的に同じ色点を有する一方で、異なる演色評価数を有する照明ユニット光101を与える。これは、例えば、青色の第1の光源、赤色の第2の光源、緑色を発する第1の波長変換素子1100及び緑色内の他の色点で緑色を発する第2の波長変換素子2100を用い、第1の波長変換素子1100を現在示されているように配置する、すなわち、第1の構成のように配置するか又は第2の波長変換素子2100を第1の波長変換素子1100の現在の位置に配置する、すなわち、第2の構成で配置することにより行われ、第1及び第2の光源の1つ以上の強度を調整することにより色点を微調整することが必要である。オプションで、色点を微調整するために他の光源も用いられ得ることに注意されたい。
【0080】
ここでは、第1の波長変換素子1100及び第2の波長変換素子2100は、特に、第1の光源及び第2の光源の光に対して透過可能である。これは、第1の波長変換素子1100の下流の光111の矢印及び光211の矢印により示されている。照明ユニット光101は、一般に、(i)第1の波長変換素子光1101及び第2の波長変換素子光2101の1つ以上と、(ii)第1の光源110及び第2の光源210の1つ以上とから構成される。しかしながら、相対的な寄与の量は、第1の構成と第2の構成との間で異なる。
【0081】
図1aは、壁部7及び光出口窓37により形成される空洞部27を有する照明ユニットを模式的に示しており、この例では、空洞部27は第1の波長変換素子1100を有している。壁部7は、一般に、反射面17を有している。例えば、壁部はテフロン(登録商標)を有しているか、又はTiO、Al若しくはBaSOのコーティングを有している。
【0082】
参照符号30は、(オプションの)制御ユニットを指している。この制御ユニット30は、例えばユーザの命令で照明ユニットを制御し、第1の構成又は第2の構成(又は他の構成、以下も参照されたい)で照明ユニット100を配置する。この制御ユニット30は、また、照明ユニット光101の色点を微調整するために例えば第1及び第2の光源の1つ以上の強度を制御するために適用される。この目的のために、照明ユニットは、更に、特に照明ユニット光101の色点を決定するために空洞部内又は空洞部の外側に配された光センサ40を有しており、CRI、色点等を制御する制御ユニットにセンサ信号のフィードバックを与える。(オプションの)センサ50も、照明ユニットの一部であってもよく、このセンサは、例えば、雨、霧等の照明ユニット(又は照明器具、以下参照。)の外部のパラメータを測定する。そのようなパラメータに基づいて、制御ユニット30は、可能な構成の1つを選択する。しかしながら、照明ユニット100が固定された構成で設定されることも可能であることに注意されたい。例えば、最終的なアプリケーションが知られている場合、製造工場において照明ユニット100は可能な構成の1つで設定され得る。
【0083】
従って、一実施形態では、照明ユニットは、LED及び蛍光体素子のほかに、センサ及びドライバ(移送インフラストラクチャのアクチュエータ)を有している。例えば、センサは、蛍光体素子の存在を検出し、従って、コントローラは、特定のCCT及びCRIの光を生成するために必要な特定の電流でLEDを駆動するようにドライバを制御する。他の例では、センサは、光のCCT及びCRIを検出し、従って、コントローラは、他の特定のCCT及びCRIを有する光を生成するために必要な特定の電流でLEDを駆動するためにドライバを制御する。他の例では、上記センサは、時間センサであるか、又は他の入力(例えば、光強度、雨、霧、温度、湿度、…)を検出し、従って、コントローラは、他の特定のCCT及びCRIを有する光を生成するために必要な特定の電流でLEDを駆動するためにドライバを制御する。
【0084】
一日の或る時間に高い演色評価数(CRI)を有することが望ましく、一方で、他の時間には高い効率を有することが望ましい。例えば、午後9時には好ましくは80を超えるCRIを有する光が望ましく、午前1時にはより低いCRIの光がなお好適であり、より効率的である。従って、この目的のために、図1bに模式的に示されているように、或る色温度において、高いCRIで低い効率と低いCRIで高い効率とを切り換え可能な照明ユニット100又は(そのような照明ユニット100を有する)照明器具5を有することが興味深い。特に、低いCRIのランプを得るために、青ないし緑色のスペクトル部分において一時的な減少があることが望ましく、これは図1cを参照されたい。図1cは、典型的な蛍光体変換型LED光源の光分布を示している。本明細書において説明される1つ以上の照明ユニットの照明ユニット光101よりなる照明器具光は、参照符号5101で示されている。
【0085】
そのような設定可能なランプを有するために、我々は、とりわけ、青色及び赤色LEDを用い、緑色/黄色蛍光体の発光位置を変化させるために遠隔/近接蛍光体を用い、所望の色温度において黒体軌跡にとどまるように赤色LEDの強度を調節し、緑色発光体の発光位置をわずかに変えることを提案する。図2aを参照されたい。図2a及び同様の図では、第1の波長変換素子1100と、第1及び第2の光源の1つ以上とが、左側に示されている構成において放射結合され、第2の波長変換素子2100と、第1及び第2の光源の1つ以上とが、右側に示されている構成において放射結合される。図2bは、第1の光変換素子1100が第2の光変換素子2100により置き換えられ、それにより、他の構成を作り出すことを模式的に示している。例えば、蛍光体のプレート/ディスクが(移送インフラストラクチャにより)挿入され得る。
【0086】
照明ユニット光101は、一般に、第1及び第2の波長変換素子光の1つ以上を少なくとも有し、一般に、第1の光源光及び第2の光源光の少なくとも1つ以上、とりわけ、少なくとも両方を有することに注意されたい。
【0087】
代替又は追加として、光変換素子は、図2cに模式的に示されているように他の光変換素子の下流(又は上流)に配置され得る。このやり方では、第2の蛍光体プレート/ディスクが第1の蛍光体プレート/ディスクの上に位置する蛍光体が強化された照明デバイスが与えられる。波長変換素子1100(図2c左側参照)、波長変換素子2100(同じく図2c左側、しかしながら、1100の代わりに素子2100)又は両方の波長変換素子(図2c右側)を配置すると仮定すると、3つの可能な構成が存在する。アクチュエータ(図示せず)は、各構成において波長変換素子を構成する。代替又は追加として、2つよりも多い光変換素子が適用され(図2d参照)、これは2つよりも多い構成を与える選択肢を広げる。従って、例えば、2よりも多い蛍光体プレート/ディスクが用いられ得る。
【0088】
図2c及び図2dは、1つ以上の構成において積層された波長変換素子が適用される実施形態を模式的に示している。従って、移送インフラストラクチャ(図示せず)は、第1の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に第1の波長変換素子を配置し、第2の構成では第1の光源及び第2の光源の下流に(積層)構成で第2の波長変換素子を配置している。そのような実施形態では、他の波長変換素子の下流の波長変換素子は、そのような波長変換素子の上流に配された波長変換素子の波長変換素子光の一部を吸収し、そのような第2の波長変換素子2100は第1の波長変換素子光(図示せず)の少なくとも一部を変換する。
【0089】
代替又は追加として、例えば図2eに示されているように、2つ以上の光変換素子が互いに隣同士にも配され得る(図1aも参照されたい)。ここでは、例として、3つのルミネセンス変換素子1100、2100、3100が示されている。しかしながら、3つよりも多い又は専ら2つの光変換素子も適用され得る。光源110、210及び/又は光変換素子1100、2100、…、を移動させることにより種々の構成が得られる。従って、例えば、少なくとも2つの異なるルミネセント領域を有する移動可能な蛍光体素子を有する蛍光体が強化された照明デバイスが得られる。
【0090】
一実施形態では、上記光変換体は、光源から離れて配される。特に、有機ルミネセンス材料は、LEDダイから離れて配される(すなわち、LEDと物理的に接しない)。LED(ダイ)のような光源(出口面)とルミネセンス材料の1つ以上、好ましくは全てのルミネセンス材料との最短距離は、0mmよりも大きく、特に0.2以上のような0.1mm以上であり、幾つかの実施形態では、10ないし100mmのような10mm以上である。リモートアプリケーションは、寿命を更に長くする。しかしながら、本発明は、光変換体がLEDダイ(又は他の光源(の表面))と物理的に接するアプリケーションも含んでいる。ゼロではない距離で、光源から離れていても、「近くに(in the vicinity)」としても示される。実施形態が図2fに模式的に示されており、光源と光変換素子との距離がdで示されている。光源としてLEDを仮定すると、特に、距離dはLEDダイと光変換素子との距離である。
【0091】
図1bもであるが)図3は、本明細書において説明される1つ以上の照明ユニット100を有するランプ(左)及び照明器具(右)の実施形態を模式的に示している。
【0092】
図4aないし図4cは、5つの構成のセットからの3つを示しており、それぞれが同じ色点(色温度)約(0.8、0.8)を与えるが、(図4dに示されているように)各構成は異なるCRI及び効率を有している。図4dのx軸上のCRIは、効率が低くなるにつれて大きくなり、ピーク最大値(λp)は左から右に減少し、半値全幅(FWHM)は、点D及び特に88nmのFWHMを有する点Eを除いて、左から右へ小さくなっている。450nmにλpeak(λp)を有する光を発する青色LEDが用いられるとともに、610nmにλpeakを有する光を発する赤色LEDが用いられている(グラフ参照)。蛍光体の放射のλpeak及びFWHMは、以下の表に示されている。点AないしEは、中間波長による光源の以下のばらつきを示している。
【0093】
従って、本発明は、第1の波長分布を有する第1の光源光を発する第1の光源と、第2の波長分布を有する第2の光源光を発する第2の光源と、第1のルミネセンス材料を有する第1の光変換素子とを有する蛍光体が強化された照明デバイスを提供し、第1のルミネセンス材料は、第1の波長分布の第1の光源光を吸収して第3の波長分布を有する第1の変換光源光を発し、第2の光変換素子の挿入及び/又は第1の光変換素子と第2のルミネセンス材料を有する第2の光変換素子との置換が行われ、第2のルミネセンス材料は、演色評価数を適合させるために第2の波長分布を有する第2の光源の強度を調節することを伴って、第1の波長分布の第1の光源光を吸収して第4の波長分布を有する第2の変換光源光を発し、第1の演色評価数から第2の演色評価数に切り換える際、蛍光体が強化された照明デバイスから発せられる光の相関色温度が長時間維持される。
【0094】
図5aは、全て緑ないし橙色のスペクトル部分にある異なる蛍光体(P1、P2及びP3)の発光スペクトルを示している。図5bないし図5dは、全てが同じ色点をもたらす光源及びこれらのルミネセンス材料の種々の組み合わせの種々の発光スペクトルを示している。スペクトルについては、70%のウォールプラグ効率を有するフィリップスルミレッズ社のロイヤルブルーLED及び130lm/W(電気)の効率の赤色LEDが用いられた。我々は、Eu2+含有ケイ酸塩蛍光体P1及び2つの異なるCe3+含有YAG蛍光体P2、P3を用いた。図5aには、上記蛍光体の発光スペクトルが示されている。
【0095】
図5bでは、71のCRIで194lm/W(電気)の効率を与えるP2のスペクトルが得られる。図5cでは、85のCRIで180lm/W(電気)の効率を与えるP1のスペクトルが得られる。図5dでは、92のCRIで147lm/W(電気)の効率を与えるYAG蛍光体P3のスペクトルが得られる。従って、同じ色点であれば、効率は、与えられた3つの構成において92のCRIの147lm/Wから71のCRIの194lm/Wの間で変化する。そのような3つの構成は、例えば、各ルミネセンス材料P1、P2及びP3を有する3つの波長変換素子光を与えられる。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d