(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977467
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】往復動開閉式と回動開閉式のバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 1/38 20060101AFI20160817BHJP
F16K 3/08 20060101ALI20160817BHJP
F16K 5/02 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
F16K1/38 C
F16K3/08
F16K5/02 A
F16K5/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-6269(P2016-6269)
(22)【出願日】2016年1月15日
【審査請求日】2016年1月20日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592254917
【氏名又は名称】木下 輝雄
(72)【発明者】
【氏名】木下 輝雄
【審査官】
冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭52−086527(JP,A)
【文献】
特開昭51−097829(JP,A)
【文献】
実開平05−090067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/38
F16K 3/08
F16K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端開口の円錐台形弁受とその軸方向に内部で一体でありかつ両端が接合開口部である円筒主体内に、頂面が閉で底面が開で傾斜周面に軸心対称に同形の通水開口のある弁体の底面周が、前記円筒主体の内面を摺動する内円筒の一端で全周連結している動弁体があって、前記弁体が前記弁受に嵌入当接して閉弁となり、かつ前記円筒主体に中心軸平行で摺動距離に等しい長さのスリットがあり、そのスリットの一端は、閉弁時における前記動弁体の弁体と内円筒の周連結線に相当する位置からスリット長さ以上の位置にあり、閉弁状態でスリットの前記一端を貫通するバルブ開閉用ノブが前記内円筒に螺接しており、さらに前記内円筒の両端部にパッキングがあり、前記弁体の通水開口の閉頂面側にも同様パッキングがあることを特徴とする円錐台形弁の往復動開閉式バルブ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブの操作用ノブとスリットの代わりに、磁性体のある動弁体がリング状のアクチュエータに貫通配置されて、外部より磁気を介して前記動弁体を往復開閉することを特徴とする密閉型円錐台形弁バルブ。
【請求項3】
内部の弁受と軸方向に一体の円筒主体内に、外径以下の長さの内円筒と円錐台形弁体との軸方向に連結の動弁体があって、常時嵌入当接している前記の弁受と弁体に、中心軸に対し等角度の幅の通水開口があり、弁体と弁受の各通水開口は互いに重なって全開となり、前記円筒主体には、前記内円筒の弁体との周接合線より離れた位置に相当する位置に通水開口の数に関係する所定回動角度の周方向のスリットがあり、前記内円筒には、全閉または全開時の前記スリットの一端を貫通するバルブ操作用ノブが螺接しており、さらに前記のスリットと各通水開口の周囲にパッキングがあることを特徴とする円錐台形弁回動開閉式バルブ。
【請求項4】
内部の円板形弁受と内周で一体の円筒主体が、外径以下の長さの内円筒の開口端と円板形弁体と全周一体の動弁体を内包しており、常時当接している前記の円形の弁受と弁体に中心に対し等角度の幅の通水開口があり、弁体と弁受の各通水開口は互いに重なって全開となり、前記円筒主体には、前記内円筒に相当する位置に通水開口の数に関係する所定回動角度の周方向のスリットがあり、前記内円筒には、全閉または全開時の前記スリットの一端を貫通するバルブ操作用ノブが螺接しており、さらに前記のスリットと円板形弁体の各通水開口の周囲にパッキングがあることを特徴とする円板形弁回動開閉式バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円錐台形弁体の往復動開閉式と回動開閉式のバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低圧流体用バブルは各種が実用されているが、構造と開閉方法の改善が要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平05−047694「管継手のバルブ」
【特許文献2】特願2015−106484 カラン
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ひねり式開閉部のない、流れの方向の直線往復動する円錐台形弁と固定の円錐台形弁受で構成する簡素な配管用バルブおよび軸線を中心とする回動往復動する円錐台形弁と固定の円錐台形弁受で構成する簡素なバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
円錐台形弁の往復動開閉式バルブは、両端開口の円錐台形弁受とその軸方向に内部で一体でありかつ両端が接合開口部である円筒主体内に、頂面が閉で底面が開で傾斜周面に軸心対称に同形の通水開口のある弁体の底面周が、前記円筒主体の内面を摺動する内円筒の一端で全周連結している動弁体があって、前記弁体が前記弁受に嵌入当接して閉弁となり、かつ前記円筒主体に中心軸平行で摺動距離に等しい長さのスリットがあり、そのスリットの一端は、閉弁時における前記動弁体の弁体と内円筒の周連結線に相当する位置からスリット長さ以上の位置にあり、閉弁状態でスリットの前記一端を貫通するバルブ開閉用ノブが前記内円筒に螺接しており、さらに前記内円筒の両端部にパッキングがあり、前記弁体の通水口の閉頂面側にも同様パッキングがあるバルブである。
【0006】
密閉型円錐台形弁式バルブは、スリットのない円筒主体と、ノブのなく内円筒の内周面に環状に磁性体のある動弁体とでなる非磁性材製のバルブが、環状アクチュエータを貫通している密閉型円錐台形弁式バルブである。
【0007】
円錐台形弁回動開閉式バルブは、内部の弁受と軸方向に一体の円筒主体内に、外径以下の長さの内円筒と円錐台形弁体との軸方向に一体連結の動弁体があって、常時嵌入当接している前記の弁受と弁体に、中心軸に対し等角度の幅の通水開口があり、弁体と弁受の各通水口は互いに重なって全開となり、前記円筒主体には、前記内円筒の弁体との周連結線より離れた位置に相当する位置に通水口の数に関係する所定回動角度の周方向のスリットがあり、前記内円筒には、全閉または全開時の前記スリットの一端を貫通するバルブ操作用ノブが螺接しており、さらに前記のスリットと各通水口の周囲にパッキングがあるバルブである。
【0008】
円板形弁回動開閉式バルブは、内部の円板形弁受と内周で一体の円筒主体が、外径以下の長さの内円筒の開口端と円板形弁体と全周一体の動弁体を内包しており、常時当接している前記の円形の弁受と弁体に中心に対し等角度の幅の通水開口があり、弁体と弁受の各通水口は互いに重なって全開となり、前記円筒主体には、前記内円筒に相当する位置に通水口の数に関係する所定回動角度の周方向のスリットがあり、前記内円筒には、全閉または全開時の前記スリットの一端を貫通するバルブ操作用ノブが螺接しており、さらに前記のスリットと円板形弁体の各通水口の周囲にパッキングがあるバルブである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の円錐台形弁往復動開閉式バルブは、双方向流れ対応の手動の円筒型バルブであり、動弁体付設のノブが開閉操作部になり、大きなひねり回転式開閉ノブのない操作容易かつ省スペースの低圧用バルブであり、また磁気を介して開閉操作する円錐台形弁密閉型バルブであり、さらに円錐台形弁回動開閉式バルブと円板形弁回動開閉式バルブは、前記往復動開閉式より開閉の力が小さく、省スペースの短管型のバルブである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】円錐台形弁往復動開閉式バルブの止水閉弁状態の立断面概略図である。
【
図2】円錐台形弁往復動開閉式バルブの放水開弁状態の立断面概略図である。
【
図3】円錐台形弁回動開閉式バルブの放水開弁状態の立断面概略図である。
【
図4】円板形弁回動開閉式バルブの放水開弁状態の立断面概略図である。
【
図5】円板形弁回動開閉式バルブを流入側から見た閉弁時の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の円錐台形弁の往復動開閉式バルブを
図1、2に基づいて説明する。
この往復動開閉式バルブ1Aは、両端が開口ネジ接合部である円筒主体2とその中に収まる動弁体3で構成し、前記円筒主体2は頂面開口4と底面が開口である円錐台形の弁受5を内周面に同軸に接合し、前記動弁体3は頂面6の閉じた円錐台形の弁体7と、これと同軸に突合せ周接合連結して前記円筒主体の内径に略等しい外径の内円筒8とでなり、前記弁体が前記弁受の内部に嵌入出することにより開閉するバルブである。
【0012】
詳しくは、前記弁体7は、頂面6が閉じ斜周面に軸対称に、例えば四の合同の通水開口9の場合、片面的に台形状のそれら開口が軸心線10に対し90度未満の等角度に設け、底面周が前記内円筒8と同軸に接合連結し、そして前記円筒主体2には、両端が開弁端11と閉弁端12であり中心軸線10に平行なスリット13を設けてあり、スリットの長さは前記動弁体の往復動行程つまり前記弁体の嵌入出に伴う内円筒8の摺動行程と同じであり、円筒主体2の前記スリットの閉弁端12の位置は、全閉状態での動弁体3の弁体7と内円筒8の突合せ周連結線に相当する位置から動弁体の摺動行程以上離れており、さらに開閉摺動行程の例えば2倍以上の長さである前記内円筒8には、弁体が弁受に完全に嵌入の全閉弁状態で前記スリット13をその閉弁端11で貫通する弁開閉用のノブ14が、ネジ接合されており、そして前記内円筒8の両端部の周溝(以下パッキング溝は図示略)に、スリットから流体の外部への漏れを防ぐ柔性又は硬性の全周パッキング15と16又は周囲のみを囲む環状パッキングを(図示略)配置し、さらに前記弁体7の閉頂面6側の周溝にも全周パッキング17を配置してあるバルブである。
【0013】
なお、二の中空円錐台形の弁体と弁受の形状は、中心線に対する傾斜角度が略10〜50度であり、この傾斜度の大小に関わらず開弁に要する力は略一定であり、頂面と裾面つまり底面の直径は弁受がやや大きく、高さは略等しい。また、流体の流れの方向は内円筒8から弁体7へ流入するのを原則とする。
【0014】
以上の構成のバルブの閉状態において、閉弁位置12のノブ14を移動させると、円錐台形の弁体7と弁受5の間に生じる円錐台状隙間に弁体7の通水開口9より直ちに流入する流体は、弁受頂面開口4より流出する、つまり生じた前記隙間は前記通水開口とともに連通流出路を形成し、開弁作動はスムーズに進み、前記ノブ14が前記スリットの開弁端11に至り全開放水つまりバルブの開状態となり(
図2)、これは円錐台形弁体7のつまり動弁体3移動限界でもある。逆にノブを戻してゆくと円錐台形弁受5の内側斜面に円錐台形弁体7の外斜面が接近接触し、通水開口と前記連通流出路が閉じ、同時に動弁体をその位置に保持するバルブの閉状態に戻る。
【0015】
また、前記円錐台形弁バルブ1Aの円筒主体から 手動操作用のスリットを除いた円筒主体と、前記バルブ1Aの動弁体から手動操作用のノブを除きその内円筒の内周面に磁性体を環状に配置した動弁体とで構成するプラスチック又はセラミック製のバルブを、
前記動弁体を軸方向へ駆動するのにリング状アクチュエータの発する磁気を円筒体形状の該動弁体に作用させるために、リング状のアクチュエータに貫通配置し、外部から磁気を介して駆動する動弁体の往復動で弁の開閉を行う磁気開閉式の密閉型円錐台形弁式バルブ(図略)もよい。小型のこのバルブは医療器具や実験装置に適用してよい。なおパッキングは原則、残すものとする。
【0016】
前記円錐台形弁往復開閉式バルブ1Aはその開閉に動弁体の軸方向のつまり流体の流れ方向に沿う往復動であったが、この動きを周方向の往復動とする開閉動作もよい。
円錐台形弁回動開閉式バルブ1B(
図3)は、弁受5bを内接する円筒主体2bが外径以下の長さの短い内円筒8と弁体7bを周接合連結する動弁体3bを内包しており、前記弁受5bにも弁体7bと同様の通水開口9bを設けてあり、それら円錐台形の弁体7bと弁受5bの常時嵌入当接状態で弁体7bを周方向に回動して開閉するバルブである。弁体7bと弁受5bの各通水開口9と9bは略合同で軸線10に対し、例えば四の通水開口の場合、40度の通水幅、50度の非通水部であり、全開では弁体と弁受の各通水口7bと5bは互いに重なり、それから45度回動しての全閉では、各通水開口の間に5度の非通水部が挟まることになる。
【0017】
詳しくは、円筒主体2bには、内円筒と弁体との周接合線より離れたところに相当する位置に回動角度45の周方向のスリット13bがあり、かつ長さが外径以下の内円筒8には、全閉または全開時の一端で前記スリットを貫通する弁操作用ノブ14がネジ接合しており、前記の一端からノブを回動できる方向につまりスリットのある方向へ操作すれば全開弁又は全閉弁に至りバルブの機能を果たすのであり、さらにスリット13bの両側に相当する内円筒の位置に前記同様の全周パッキング15、16又はその周囲のみを囲う環状パッキング(図示略)と弁体7bの各通水開口9の閉頂面側に全周パッキング17または各通水開口の周囲に環状パッキングが配置される。なお、円錐台形の弁体と弁受の側面傾斜角度は増加してもよく、最大90度つまり二枚の円板形弁の組合せでもよく、これは後記の円板形弁回動開閉式バルブであり、通水開口の合計面積は円錐斜面の半分以下であり、前記往復動式バルブの通水面積より小さい。
【0018】
円板形弁回動開閉式バルブ1C(
図4)は、内部の円板形弁受20との内周接合一体の円筒主体2cが、外径以下の長さの内円筒8の開口端と円板形弁体21との全周連結一体の動弁体3c を、円板形の弁受20と弁体21の常時当接状態で内包する構成であり、前記の円形の弁受20と弁体21に、例えば中心に対し等角度の四の通水開口の場合(
図5)、40度の通水幅、50度の非通水部であり、全開では弁体の各通水開口9と弁受の各通水開口9cは互いに重なり、それから45度回動しての全閉では、各通水口の間に5度の非通水部が挟まることになり、前記円筒主体2cには、前記内円筒8に相当する位置に通水開口の数に関わる所定の回動角度の周方向のスリット13cがあり、また前記内円筒8には、全閉または全開時の前記スリットの一端を貫通するバルブ操作用ノブ14が螺接しており、さらに前記のスリット13cの内円筒の開口端側に前記同様の全周パッキング16又は周囲のみを囲う環状パッキングと円板形弁体21の各通水開口の周囲に環状パッキング18が配置してあるバルブである。
【0019】
なお、金属または非金属製バルブの加工製作には鋳造、板金製ともレーザー溶接と耐水接着剤による加工もよい。前記の諸バルブは、円筒主体の両端が逆または同じネジ接続部であり配管に装着が容易であり、また回動式バルブは開閉に要する力が往復動式より小さい。
【符号の説明】
【0020】
1A円錐台形弁の往復動開閉式バルブ、 1B円錐台形弁回動開閉式バルブ、
1C円板形弁回動開閉式バルブ
2、2b、2c円筒主体、 3、3b、3c動弁体、 4頂面開口、
5、5b円錐台形弁受、 6閉頂面、 7、7b弁体、 8内円筒、
9、9b、9c通水開口、 10軸線、 11開弁端、 12閉弁端、
13、13b、13cスリット、14ノブ、 15、16、17全周パッキング、
18環状パッキング、 20円板形弁受、 21円板形弁体、
【要約】 (修正有)
【課題】ひねり式開閉部のなく流れの方向と同じ向きの直線往復移動する円錐台形弁を備える簡素な構造の配管用バルブを提供する。
【解決手段】円筒管内に固定された円錐台形弁受5を内包する円筒主体2と、ノブ14を介して操作可能な同形状の弁体7と内円筒8の合体した動弁体3とでなり、この動弁体3の円錐台形弁体7が前記弁受5に軸方向に往復嵌入して開閉作動が行われる。
【選択図】
図1