特許第5977511号(P5977511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977511車両のニュートラルロック解除防止制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977511
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】車両のニュートラルロック解除防止制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   B60R16/02 660U
   B60R16/02 650A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-273448(P2011-273448)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-123983(P2013-123983A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 進
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−050852(JP,A)
【文献】 実開平01−074916(JP,U)
【文献】 特開平08−061137(JP,A)
【文献】 特開2009−026183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新モデル車両において、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開けないようにするニュートラルロック対応が要求される車両のニュートラルロック解除防止制御装置であって、
前記ニュートラルロック非対応の旧モデル車両に使用可能なトランスミッション用電子制御ユニットに、新モデル車両用識別端子と、ドア用電子制御ユニットを接続可能なドア用電子制御ユニット接続端子とを追加装備し、
前記トランスミッション用電子制御ユニットは、前記新モデル車両に搭載される場合、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にデータ転送用のCAN通信バスラインを介してドア用電子制御ユニットが接続されると共に、アース接続された車両ワイヤハーネスが前記新モデル車両用識別端子に接続され、
前記ドア用電子制御ユニットからの通信情報の受信の有無と、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルとに基づき、車両が新旧いずれのモデル車両であるかを認識し、新モデル車両であると認識された場合、或いは前記新モデル車両用識別端子に異常があると認識された場合には、前記ニュートラルロックを行うよう構成したことを特徴とする車両のニュートラルロック解除防止制御装置。
【請求項2】
前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されて該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子にアース接続された車両ワイヤハーネスが接続されて該新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Lo」の場合、新モデル車両であると認識する第一論理積回路と、
前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されず該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が未受信で、且つ前記新モデル車両用識別端子に前記車両ワイヤハーネスが接続されず該新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」の場合、旧モデル車両であると認識する第二論理積回路と、
前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されて該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」の場合、前記新モデル車両用識別端子に異常があると認識して警報を発する第三論理積回路と
を備えた請求項1記載の車両のニュートラルロック解除防止制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のニュートラルロック解除防止制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、路線バス等の車両においては、運転席横に設けられた電気信号のスイッチとしての短いチェンジレバーを運転者が操作することにより、油圧又は圧縮空気圧を利用してトランスミッションを切り換えるようにした、いわゆるフィンガーシフトが搭載されており、変速時の運転者の負担を軽減することが行われている。
【0003】
そして、路線バスの国内道路交通法の安全対策強化により、2012年以降に製造販売される路線バスに関しては、以下の二つの対応が必要となった。
【0004】
一つは、乗降用ドア開時に、動力をトランスミッションに伝達してはならない、即ちトランスミッションをニュートラル位置にロックしなければならないというものであり、もう一つは、トランスミッションのギアがイン、即ちトランスミッションがニュートラル位置にない時に、乗降用ドアを開いてはならないというものであり、これら二つの対応をニュートラルロックと称している。
【0005】
トランスミッション制御とドア制御はいずれも電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)で行われており、協調制御が必要となることから、前述の如き仕様の変更が義務付けられるような場合には、通常、トランスミッション用電子制御ユニットのハードウェアを、例えば、その端子位置を変更する等して大幅に変更し、新旧互換性を無くす対策が行われる。
【0006】
この理由は、例えば、図6に示される如く、ニュートラルロック非対応の旧モデル車両1に使用されており、その補給用として製造販売されているトランスミッション用電子制御ユニットをAとし、ニュートラルロック対応の新モデル車両2に使用するために量産されるトランスミッション用電子制御ユニットをBとした場合、仮にトランスミッション用電子制御ユニットAをトランスミッション用電子制御ユニットBの代わりに利用できてしまうと、ニュートラルロック対応で、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開いてはならないようにすべき新モデル車両2を、旧モデル車両1と同様、ニュートラルロック非対応の車両に改造できてしまうためであり、こうしたニュートラルロックが解除されてしまうような改造を防止することを目的として新旧互換性を無くす対策が行われているのである。
【0007】
尚、前述の如きニュートラルロックに関連する発明は、特許文献、非特許文献には見当たらないが、トランスミッション用電子制御ユニットの制御仕様を切り換える装置の一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−61137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の如く、新旧互換性を無くすためにトランスミッション用電子制御ユニットAとは全く異なるトランスミッション用電子制御ユニットBを新規に製造するのでは、部品を共通化できず、コストアップにつながるという欠点を有していた。
【0010】
尚、特許文献1に開示されている装置においては、ECUの制御仕様が制御プログラムの開始初期におけるATコントローラの接続状況に基づいて切り換えられるようになっているが、改造に関しては何ら考慮されていない。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、新旧のモデルにおける部品共通化を実現してコスト削減を図り得る車両のニュートラルロック解除防止制御装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、新モデル車両において、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開けないようにするニュートラルロック対応が要求される車両のニュートラルロック解除防止制御装置であって、
前記ニュートラルロック非対応の旧モデル車両に使用可能なトランスミッション用電子制御ユニットに、新モデル車両用識別端子と、ドア用電子制御ユニットを接続可能なドア用電子制御ユニット接続端子とを追加装備し、
前記トランスミッション用電子制御ユニットは、前記新モデル車両に搭載される場合、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にデータ転送用のCAN通信バスラインを介してドア用電子制御ユニットが接続されると共に、アース接続された車両ワイヤハーネスが前記新モデル車両用識別端子に接続され、
前記ドア用電子制御ユニットからの通信情報の受信の有無と、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルとに基づき、車両が新旧いずれのモデル車両であるかを認識し、新モデル車両であると認識された場合、或いは前記新モデル車両用識別端子に異常があると認識された場合には、前記ニュートラルロックを行うよう構成したことを特徴とする車両のニュートラルロック解除防止制御装置にかかるものである。
【0013】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0014】
前述の如く構成すると、ニュートラルロック非対応の旧モデル車両に使用可能なトランスミッション用電子制御ユニットに新モデル車両用識別端子とドア用電子制御ユニット接続端子とを追加装備するという簡単な変更を行うだけで、ドア用電子制御ユニットからの通信情報の受信の有無と、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルとに基づき、車両が新旧いずれのモデル車両であるかが認識され、新モデル車両であると認識された場合、或いは前記新モデル車両用識別端子に異常があると認識された場合には、前記ニュートラルロックが行われる
【0015】
この結果、新旧互換性を無くすために旧モデル車両に使用されているトランスミッション用電子制御ユニットとは全く異なる新モデル車両専用のトランスミッション用電子制御ユニットを新規に製造しなくて済み、部品を共通化でき、コスト削減を図ることが可能となる。
【0016】
前記車両のニュートラルロック解除防止制御装置においては、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されて該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子にアース接続された車両ワイヤハーネスが接続されて該新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Lo」の場合、新モデル車両であると認識する第一論理積回路と、
前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されず該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が未受信で、且つ前記新モデル車両用識別端子に前記車両ワイヤハーネスが接続されず該新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」の場合、旧モデル車両であると認識する第二論理積回路と、
前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されて該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」の場合、前記新モデル車両用識別端子に異常があると認識して警報を発する第三論理積回路と
を備えるようにすることができる。
【0017】
このようにすると、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されると共に、前記新モデル車両用識別端子にアース接続された車両ワイヤハーネスが接続された状態となっていると、前記ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信されると共に、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Lo」となるため、第一論理積回路により、車両は新モデル車両であると認識され、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開かないようにするニュートラルロック対応となる。
【0018】
これに対し、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続されず、前記新モデル車両用識別端子に前記車両ワイヤハーネスも接続されていない状態となっていると、前記ドア用電子制御ユニットからの通信情報が未受信になると共に、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」となるため、第二論理積回路により、車両は旧モデル車両であると認識され、ニュートラルロック非対応となる。
【0019】
又、前記ドア用電子制御ユニット接続端子にドア用電子制御ユニットが接続され、該ドア用電子制御ユニットからの通信情報が受信されているにもかかわらず、前記新モデル車両用識別端子の電圧レベルが「Hi」となった場合、第三論理積回路により、車両は新モデル車両であるが、前記新モデル車両用識別端子に接続されるべき車両ワイヤハーネスに断線等の異常があると認識されて警報が発せられ、運転者や整備者に対して異常を知らせる一方、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開かないようにするニュートラルロック対応となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置によれば、新旧のモデルにおける部品共通化を実現してコスト削減を図り得る
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例におけるトランスミッション用電子制御ユニットを新モデル車両に搭載した場合を示すブロック図である。
図2】本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例におけるトランスミッション用電子制御ユニットのハードウェアとしての変更点を示す回路図である。
図3】本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例におけるトランスミッション用電子制御ユニットを旧モデル車両に搭載した場合を示すブロック図である。
図4】本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例におけるトランスミッション用電子制御ユニットに追加されるソフトウェアの概要を示す論理回路図であって、(a)は新モデル車両認識を行うための論理回路図、(b)旧モデル車両認識を行うための論理回路図、(c)識別端子断線ダイアグコード認識を行うための論理回路図である。
図5】本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例におけるトランスミッション用電子制御ユニットを旧モデル車両及び新モデル車両の両方に使用可能となる状態を示す概念図である。
図6】旧モデル車両と新モデル車両の各々に使用される新旧互換性を無くしたトランスミッション用電子制御ユニットを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1図5は本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置の実施例であって、ニュートラルロック非対応の旧モデル車両1に使用可能なトランスミッション用電子制御ユニットAに、新モデル車両用識別端子3と、ドア用電子制御ユニットCを接続可能なドア用電子制御ユニット接続端子4とを追加装備し、前記ドア用電子制御ユニットCからの通信情報の受信の有無と、前記新モデル車両用識別端子3の電圧レベルとに基づき、車両が新旧いずれのモデル車両であるかを認識し、ニュートラルロック対応の新モデル車両2であると認識された場合、或いは前記新モデル車両用識別端子3に異常があると認識された場合には、前記ニュートラルロックを行うよう構成したものである。
【0024】
ここで、前記トランスミッション用電子制御ユニットAには、チェンジレバーセンサ5、クラッチストロークセンサ6、クラッチ油圧スイッチ7、ギアポジションセンサ8が接続されると共に、第一シフト電磁弁9、第二シフト電磁弁10、第一セレクト電磁弁11、第二セレクト電磁弁12、フィンガーシフトランプ13、フィンガーシフトブザー14が接続され、前記チェンジレバーセンサ5、クラッチストロークセンサ6、クラッチ油圧スイッチ7、ギアポジションセンサ8からの各検出信号が前記トランスミッション用電子制御ユニットAに入力され、該トランスミッション用電子制御ユニットAから前記第一シフト電磁弁9、第二シフト電磁弁10、第一セレクト電磁弁11、第二セレクト電磁弁12、フィンガーシフトランプ13、フィンガーシフトブザー14に対し、制御信号が出力されるようになっている。
【0025】
又、前記新モデル車両用識別端子3は、図2に示す如く、トランスミッション用電子制御ユニットAに内蔵されたマイクロコンピュータ(図示せず)に接続される抵抗15及びダイオード16と、該抵抗15及びダイオード16の間にバッテリ電圧VBを供給する抵抗17とを新たに加えるだけの簡単な変更のみで追加装備することが可能となる。
【0026】
尚、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4についても、前記マイクロコンピュータに接続される抵抗(図示せず)を新たに加えるだけの簡単な変更のみで追加装備することが可能となり、新モデル車両2では、図1に示す如く、該ドア用電子制御ユニット接続端子4に対して、データ転送用のCAN通信バスライン(CAN:Controller Area Network)を介してドア用電子制御ユニットCを接続するようにしてある。
【0027】
更に、前記トランスミッション用電子制御ユニットAには、図4(a)に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にドア用電子制御ユニットCが接続されて該ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子3にアース接続された車両ワイヤハーネス18(図1参照)が接続されて該新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Lo」(例えば、0[V])の場合、新モデル車両2であると認識する第一論理積回路19と、
図4(b)に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にドア用電子制御ユニットCが接続されず該ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が未受信で、且つ前記新モデル車両用識別端子3に前記車両ワイヤハーネス18が接続されず(図3参照)該新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Hi」(例えば、5[V])の場合、旧モデル車両であると認識する第二論理積回路20と、
図4(c)に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にドア用電子制御ユニットCが接続されて該ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が受信され、且つ前記新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Hi」の場合、前記新モデル車両用識別端子3に異常(例えば、断線等)があると認識(識別端子断線ダイアグコード(自己診断コード)認識)して警報を発する第三論理積回路21と
を備えるようにしてある。これらの第一論理積回路19、第二論理積回路20、及び第三論理積回路21は、前記トランスミッション用電子制御ユニットAへのソフトウェアの追加により対応可能となる。
【0028】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0029】
図1に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にデータ転送用のCAN通信バスラインを介してドア用電子制御ユニットCが接続されると共に、前記新モデル車両用識別端子3にアース接続された車両ワイヤハーネス18が接続された状態となっていると、前記ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が受信されると共に、前記新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Lo」となるため、図4(a)に示す第一論理積回路19により、車両は新モデル車両2であると認識され、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開かないようにするニュートラルロック対応となる。
【0030】
これに対し、図3に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にドア用電子制御ユニットCが接続されず、前記新モデル車両用識別端子3に前記車両ワイヤハーネス18も接続されていない状態となっていると、前記ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が未受信になると共に、前記新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Hi」となるため、図4(b)に示す第二論理積回路20により、車両は旧モデル車両1であると認識され、ニュートラルロック非対応となる。
【0031】
又、図1に示す如く、前記ドア用電子制御ユニット接続端子4にデータ転送用のCAN通信バスラインを介してドア用電子制御ユニットCが接続され、該ドア用電子制御ユニットCからの通信情報が受信されているにもかかわらず、前記新モデル車両用識別端子3の電圧レベルが「Hi」となった場合、図4(c)に示す第三論理積回路21により、車両は新モデル車両2であるが、前記新モデル車両用識別端子3に接続されるべき車両ワイヤハーネス18に断線等の異常があると認識(識別端子断線ダイアグコード(自己診断コード)認識)されて警報が発せられ、運転者や整備者に対して異常を知らせる一方、乗降用ドア開時にはトランスミッションをニュートラル位置にロックし且つトランスミッションがニュートラル位置にない時には乗降用ドアを開かないようにするニュートラルロック対応となる。
【0033】
この結果、新旧互換性を無くすためにトランスミッション用電子制御ユニットAとは全く異なるトランスミッション用電子制御ユニットBを新規に製造しなくて済み、部品を共通化でき、コスト削減を図ることが可能となる。
【0034】
こうして、新旧のモデルにおける部品共通化を実現してコスト削減を図り得る
【0035】
尚、本発明の車両のニュートラルロック解除防止制御装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 旧モデル車両
2 新モデル車両
3 新モデル車両用識別端子
4 ドア用電子制御ユニット接続端子
18 車両ワイヤハーネス
19 第一論理積回路
20 第二論理積回路
21 第三論理積回路
A トランスミッション用電子制御ユニット
C ドア用電子制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6