(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部または凹部は、前記第2光束制御部材から前記ホルダーに到達した光の進行方向を、前記発光素子の光軸に直交する方向に近づくように変えるための傾斜面を有する、請求項1に記載の光束制御部材。
前記凸部または凹部は、前記発光素子から前記ホルダーに直接到達した光の進行方向を、前記発光素子の光軸に直交する方向に近づくように変えるための傾斜面を有する、請求項1に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る照明装置の代表例として、白熱電球に代えて使用されうる照明装置について説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(照明装置の構成)
図3は、実施の形態1に係る照明装置100の構成を示す要部断面図である。
図3に示されるように、照明装置100は、筐体110、基板120、複数の発光素子130、光束制御部材140およびカバー180を有する。
図4Aは、複数の発光素子130の配置を示す平面図である。
図4Bは、光束制御部材140の断面図である。以下、各構成要素について説明する。
【0015】
(1)筐体、基板および発光素子
筐体110は、カバー180側に設けられた傾斜面111と、その反対側に設けられた口金112とを有する。筐体110は、発光素子130からの熱を放出するためのヒートシンクとして機能する。筐体110の内部には、口金112と発光素子130とを電気的に接続する電源回路が配置されている。傾斜面111は、カバー180から後方方向へ出射された光を遮らないために形成されている。
【0016】
基板120は、筐体110のカバー180側の面に固定されている。基板120の形状は、発光素子130を実装することができれば特に限定されない。
【0017】
発光素子130は、照明装置100の光源であり、基板120上に実装されている。たとえば、発光素子130は、白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。発光素子130の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
図4Aに示されるように、本実施の形態に係る照明装置100は、複数の発光素子130を有している。なお、本明細書において「発光素子の光軸」とは、発光素子からの立体的な光束の中心における光の進行方向を言う。発光素子が複数ある場合は、複数の発光素子からの立体的な光束の中心における光の進行方向を言う。
【0018】
(2)光束制御部材
光束制御部材140は、その中心軸CAが発光素子の光軸LAと合致するように配置され、発光素子130から出射された光の配光を制御する。
図4Bに示されるように、光束制御部材140は、発光素子130に対向して配置される第1光束制御部材150と、第1光束制御部材150に対向して配置される第2光束制御部材160と、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160を位置決めするホルダー170とを有する。本実施の形態に係る光束制御部材140では、第1光束制御部材150およびホルダー170は、一体的に形成されている。第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー170の形状は、いずれも回転対称(円対称)である。第1光束制御部材150の中心軸CA1、第2光束制御部材160の中心軸CA2、およびホルダー170の中心軸CA3は、光束制御部材140の中心軸CAと合致する。
【0019】
(2−1)第1光束制御部材
図5A〜Dは、第1光束制御部材150およびホルダー170の構成を示す図である。
図5Aは平面図であり、
図5Bは正面図であり、
図5Cは底面図であり、
図5Dは
図5Aに示されるA−A線の断面図である。
【0020】
第1光束制御部材150は、発光素子130から出射された光の一部の進行方向を制御する。第1光束制御部材150は、第1光束制御部材150からの出射光が発光素子130からの出射光よりも配光が狭まるように機能する。
図5Aに示されるように、第1光束制御部材150の平面視形状は、略円形である。第1光束制御部材150は、その中心軸CA1が発光素子130の光軸LAと一致するように、発光素子130に対して空気層を介して配置される(
図3参照)。
【0021】
図4Bおよび
図5Dに示されるように、第1光束制御部材150は、屈折部151と、フレネルレンズ部152と、出射面153とを有する。出射面153側を第1光束制御部材150の表側とすると、屈折部151およびフレネルレンズ部152は、第1光束制御部材150の裏側に形成されている。屈折部151は、第1光束制御部材150の裏側の中心部に形成されており、フレネルレンズ部152は、屈折部151の周囲に形成されている。
【0022】
屈折部151は、発光素子130から出射された光の一部を入射して出射面153に向けて屈折させる。屈折部151は、第1光束制御部材150に入射する光の入射面として機能する。屈折部151は、例えば、平面、球面、非球面、または屈折型のフレネルレンズである。屈折部151の形状は、中心軸CA1を中心軸とする回転対称(円形)である。
【0023】
フレネルレンズ部152は、同心円状に配置された円環状の突起154を複数有する。
図4Bに示されるように、円環状の突起154は、内側の第1傾斜面154aと外側の第2傾斜面154bとを有する。第1傾斜面154aは、発光素子130から出射された光を入射させる。第2傾斜面154bは、第1傾斜面154aから入射した光の一部を第2光束制御部材160に向けて全反射させる。このように、第1傾斜面154aは、入射面として機能し、第2傾斜面154bは、全反射面として機能する。すなわち、フレネルレンズ部152は、反射型のフレネルレンズとして機能する。
【0024】
第1傾斜面154aは、円環状の突起154の頂縁から円環状の突起154の内側の底縁に至る面であり、第1光束制御部材150の中心軸CA1を中心とする回転対称面である。複数の第1傾斜面154aの傾斜角は、それぞれ異なっていてもよいし、光軸LAと平行であってもよい。また、第1傾斜面154aの母線は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。なお、「母線」とは、一般的に線織面を描く直線を意味するが、本明細書では回転対称面を描くための曲線を含む語として用いる。また、傾斜面の母線が曲線である場合、「傾斜面の傾斜角」とは、中心軸に対する傾斜面の接線の角度を意味する。
【0025】
第2傾斜面154bは、第1傾斜面154aから入射した光の一部を第2光束制御部材160に向けて全反射させる。第2傾斜面154bは、円環状の突起154の頂縁から円環状の突起154の外側の底縁に至る面である。第2傾斜面154bは、第1光束制御部材150の中心軸CA1を中心とする回転対称面である第2傾斜面154bの直径は、円環状の突起154の頂縁から底縁に向けて漸増している。第2傾斜面154bの母線は、外側(中心軸CA1から離れる側)に凸の円弧状曲線であるが、直線であってもよい。すなわち、第2傾斜面154bは、テーパー形状であってもよい。複数の第2傾斜面154bの傾斜角は、それぞれ異なっていてもよい。
【0026】
出射面153は、屈折部151および第1傾斜面154aから入射した光の一部および第2傾斜面154bで全反射された光を第2光束制御部材160に向けて出射する。出射面153は、第1光束制御部材150において表側に位置する面である。すなわち、出射面153は、第2光束制御部材160と対向するように配置されている。
【0027】
第1光束制御部材150は、例えば射出成形により形成される。第1光束制御部材150の材料は、所望の波長の光を通過させ得る透過性の高いものであれば特に限定されない。たとえば、第1光束制御部材150の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0028】
(2−2)第2光束制御部材
図6A〜Dは、第2光束制御部材160の構成を示す図である。
図6Aは平面図であり、
図6Bは正面図であり、
図6Cは底面図であり、
図6Dは
図6Aに示されるB−B線の断面図である。
【0029】
第2光束制御部材160は、第1光束制御部材150から到達した光のうち、一部の光の進行方向を制御して反射させ、残部を透過させる。
図6Aに示されるように、第2光束制御部材160の平面視形状は、略円形である。第2光束制御部材160は、ホルダー170により支持されており、その中心軸CA2が発光素子130の光軸LAと合致するように、第1光束制御部材150に対して空気層を介して配置される。
【0030】
第2光束制御部材160に前述の機能を付与する手段は、特に限定されない。たとえば、光透過性の材料からなる第2光束制御部材160の表面(第1光束制御部材150に対向する面)に透過反射膜を形成すればよい。光透過性の材料の例には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの透明樹脂材料や、ガラスなどが含まれる。透過反射膜の例には、TiO
2およびSiO
2の多層膜、ZnO
2およびSiO
2の多層膜、Ta
2O
5およびSiO
2の多層膜などの誘電体多層膜や、アルミニウム(Al)などの金属からなる金属薄膜などが含まれる。また、光透過性の材料からなる第2光束制御部材160の内部にビーズなどの光散乱子を分散させてもよい。すなわち、第2光束制御部材160は、一部の光を反射させ、一部の光を透過させる材料により形成されていてもよい。また、光反射性の材料からなる第2光束制御部材160に光透過部を形成してもよい。光反射性の材料の例には、白色樹脂や金属などが含まれる。光透過部の例には、貫通孔や有底の凹部などが含まれる。後者の場合、第1光束制御部材150からの出射光は、凹部の底部(厚みが薄くなっている部分)を透過する。たとえば、可視光の透過率が20%程度であり、反射率が78%程度である白色のポリメタクリル酸メチルを用いて、光反射性および光透過性の機能を併せ持つ第2光束制御部材160を形成することができる。第2光束制御部材160の第1光束制御部材150と対向する面(この後説明する反射面161)は、入射光の正反射方向の反射強度が他の方向の反射強度よりも大きくなるように形成されていることが好ましい。したがって、第2光束制御部材160の第1光束制御部材150と対向する面は、光沢面となるように形成されていることが好ましい。
【0031】
第2光束制御部材160は、第1光束制御部材150の出射面153と対向し、かつ第1光束制御部材150から到達した光の一部を反射させる反射面161を有する。反射面161は、第1光束制御部材150からの出射光の一部をホルダー170に向けて反射させる。反射した光は、ホルダー170を透過してカバー180の中部(側部)および下部に到達する。
【0032】
第2光束制御部材160の反射面161は、第2光束制御部材160の中心軸CA2を中心とする回転対称面である。また、
図6Dに示されるように、この回転対称面の中心から外周部にかけての母線は、発光素子130および第1光束制御部材150に対して凹の曲線であり、反射面161は、この母線を360°回転させた状態の曲面である。すなわち、反射面161は、中心から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが高くなる非球面形状の曲面を有する。また、反射面161の外周部は、反射面161の中心と比較して、発光素子130の光軸LA方向における発光素子130からの距離(高さ)が離れた位置に形成されている。たとえば、反射面161は、中心から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが高くなる非球面形状の曲面であるか、または、中心部から所定の地点までは中心部から外周部に向かうにつれて発光素子130(基板120)からの高さが高くなり、前記所定の地点から外周部までは中心部から外周部に向かうにつれて発光素子130からの高さが低くなる非球面形状の曲面である。前者の場合、基板120の面方向に対する反射面161の傾斜角度は、中心から外周部に向かうにつれて小さくなる。一方、後者の場合、反射面161には、中心と外周部との間であって、かつ外周部に近い位置に、基板120の面方向に対する傾斜角度が零(基板120と平行)となる点が存在する。
【0033】
(2−3)ホルダー
ホルダー170は、略円筒形状に形成された、光透過性を有する部材である。ホルダー170は、筐体110に固定されるとともに、発光素子130に対して第1光束制御部材150および第2光束制御部材160を位置決めする。また、ホルダー170は、ホルダー170を透過する光の出射方向を制御する。
【0034】
図5に示されるように、ホルダー170は、上側段部171および下側段部172を有する。上側段部171は、ホルダー170の上端部に形成されており、下側段部172は、ホルダー170の下端部に形成されている。上側段部171は、第1光束制御部材150の中心軸CA1と第2光束制御部材160の中心軸CA2が合致するように、第2光束制御部材160を位置決めする。下側段部172は、ホルダー170を筐体110に対して位置決めする。
【0035】
なお、ホルダー170に対して第2光束制御部材160を位置決めする手段は、特に限定されない。たとえば、ホルダー170の上端部には、上側段部171の代わりに、第2光束制御部材160を固定するための、ガイド突起および爪部が設けられていてもよい。ガイド突起は、上端部の端面の外周部の一部に形成されており、第2光束制御部材160がホルダー170の径方向に移動することを防止する。爪部は、上端部の端面に形成されており、第2光束制御部材160の外周部に形成された凹部に嵌合して、第2光束制御部材160が外れることおよび回転することを防止する。
【0036】
また、筐体110に対してホルダー170を位置決めする手段も、特に限定されない。たとえば、ホルダー170の下端部には、下側段部172の代わりに、ホルダー170を筐体110に位置決めするための、ボス(凸部)および係止爪が設けられていてもよい。ボスは、基板120に当接して、第2光束制御部材160の高さを調整する。係止爪は、筐体110または基板120の一端面に形成された係止用の孔に係止して、ホルダー170が外れることおよび回転することを防止する。
【0037】
ホルダー170の形状は、略円筒形状であり、ホルダー170の中心軸CA3を中心として回転対称である。本明細書において「略円筒形状」には、円筒形状と同等の配光特性となるような断面多角形の筒形状も含まれる。ホルダー170の外周面には、ホルダー170を透過する光の出射方向を変化させるための円環状の凸部または凹部が形成されている。これらの凸部または凹部の形状も、ホルダー170の中心軸CA3を中心として回転対称(円対称)である。
【0038】
本実施の形態に係る光束制御部材140では、ホルダー170の外周面に複数の凹部173が形成されている。複数の凹部173は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー170の中心軸CA3を通る断面における凹部173の断面形状は、二等辺三角形である。各凹部173は、カバー180の上部に対向する第3傾斜面173aと、カバー180の下部に対向する第4傾斜面173bとを有する。第3傾斜面173aおよび第4傾斜面173bは、ホルダー170を透過する光の出射方向を変化させる。たとえば、第3傾斜面173aは、発光素子130からホルダー170に直接到達した光の進行方向を、発光素子130の光軸LAに直交する方向(側方方向)に近づくように変える(
図23B参照)。また、第4傾斜面173bは、第2光束制御部材160で反射してホルダー170に到達した光の進行方向を、発光素子130の光軸LAに直交する方向(側方方向)に近づくように変える(
図23A参照)。
【0039】
ホルダー170は、例えば射出成形により形成される。ホルダー170の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、ホルダー170の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。ホルダー170に光拡散能を付与する場合には、これらの光透過性の材料に散乱子を含ませてもよいし、ホルダー170の表面に光拡散処理を施してもよい。
【0040】
光束制御部材140の製造方法は、特に限定されない。たとえば、光束制御部材140は、第1光束制御部材150およびホルダー170の一体成形物に第2光束制御部材160を組み付けることによって製造されうる。第2光束制御部材160を組み付ける際には、接着剤などを使用してもよい。第1光束制御部材150とホルダー170の一体成形物は、例えば無色透明の樹脂材料を用いて射出成形により作製されうる。第2光束制御部材160は、例えば、無色透明の樹脂材料を用いて射出成形した後に、反射面161となる面に透過反射膜を蒸着することによって作製されうる。また、第2光束制御部材160は、白色の樹脂材料を用いて射出成形することによっても作製されうる。
【0041】
なお、第1光束制御部材150およびホルダー170は、互いに別部材であってもよい。この場合は、第1光束制御部材150をホルダー170に組み付け、さらに第2光束制御部材160をホルダー170に組み付けることで、光束制御部材140を製造することができる。第1光束制御部材150およびホルダー170を別部材とすることにより、第1光束制御部材150およびホルダー170の材料の選択の自由度が向上する。たとえば、散乱子を含まない光透過性の材料で第1光束制御部材150を作製し、散乱子を含む光透過性の材料でホルダー170を作製することも可能である。
【0042】
(3)カバー
カバー180は、光束制御部材140により進行方向を制御された光(反射光および透過光)を拡散させつつ透過させる。カバー180は、開口部を有する中空領域が形成された部材である。基板120、発光素子130および光束制御部材140は、カバー180の中空領域内に配置される。
【0043】
カバー180に光拡散能を付与する手段は、特に限定されない。たとえば、カバー180の内面または外面に光拡散処理(例えば、粗面化処理)を行ってもよいし、光拡散性の材料(例えば、ビーズなどの散乱子を含む光透過性の材料)を用いてカバー180を作製してもよい。なお、カバー180の形状は、所望の配光特性を実現することができれば特に限定されない。たとえば、カバー180の形状は、球冠形状(球面の一部を平面で切り取った形状)である。
【0044】
(照明装置における光の進路)
次に、本実施の形態に係る照明装置100における、発光素子130から出射された光の進路について説明する。
【0045】
発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい光は、フレネルレンズ部152の第1傾斜面154a(入射面)から第1光束制御部材150に入射し、第2傾斜面154b(全反射面)で第2光束制御部材160に向けて反射され、出射面153から出射される。一方、発光素子130の光軸LAに対する角度が小さい光は、屈折部151(入射面)から第1光束制御部材150に入射し、そのまま出射面153から出射される。
【0046】
第1光束制御部材150の出射面153から出射された光の一部は、第2光束制御部材160を透過してカバー180の上部に到達する(
図3参照)。また、出射面153から出射した光の一部は、第2光束制御部材160の反射面161で反射し、ホルダー170を透過してカバー180の中部(側部)および下部に到達する(
図3参照)。このとき、第2光束制御部材160の中心部において反射した光は、カバー180の中部に向かう。一方、第2光束制御部材160の外周部において反射した光は、カバー180の下部に向かう。
【0047】
このように、光束制御部材140の中心軸CA付近に配置された発光素子130からの光は、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160により配光を適切に制御される。一方で、光束制御部材140の中心軸CAから離れた位置に配置された発光素子130からの光は、意図したように配光されないことがある。たとえば、基板120の外周部に配置された発光素子130から出射された光のうち、発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい光は、そのままホルダー170を透過してしまうことがある。また、基板120の外周部に配置された発光素子130から出射された光のうち、発光素子130の光軸LAに対する角度が小さい光は、第1光束制御部材150に入射しても、第2光束制御部材160に到達せずに、ホルダー170を透過してしまうことがある。これは、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160の形状が、光束制御部材140の中心軸CA付近に配置された発光素子130からの光の配光を適切に制御できるように設計されているためである。このため、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160だけでは、発光素子130からの光を前方方向、側方方向および後方方向のすべてにバランスよく配光できないことがある(
図8参照)。
【0048】
この問題を解消するために、本発明に係る光束制御部材では、ホルダーの外周面に1または2以上の凸部または凹部が形成されている。凸部または凹部は、それぞれホルダーを透過する光の出射方向を変化させる傾斜面を有しており、ホルダーを透過する光の出射方向を変化させることで、発光素子からの光の配光バランスを改善させる。前述のとおり、本実施の形態に係る光束制御部材140では、ホルダー170の外周面に複数の凹部173が形成されている。複数の凹部173は、ホルダー170を透過する光の出射方向を変化させることで、発光素子130からの光の配光バランスを改善させる(
図10参照)。
【0049】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材140の効果(特に、複数の凹部173の効果)を確認するために、複数の発光素子130および光束制御部材140を有する発光装置100’(カバー180を取り外した照明装置100)の配光特性をシミュレーションによって求めた。具体的には、複数の発光素子130の発光中心(
図4Aに示される点CP)を基準点として、光軸LAを含む平面における全方位の相対照度を求めた。本シミュレーションでは、発光素子130の発光中心CPから1000mmの距離にある仮想面における照度を算出した。
【0050】
まず、比較例として、
図7に示される構成の発光装置30の配光特性を求めた。
図7に示される発光装置30は、ホルダー170’の外周面に凸部および凹部が形成されていない点で、
図9に示される実施の形態1に係る発光装置100’と相違する。
【0051】
図8は、比較例の発光装置30の配光特性を示すグラフである。グラフの外側に記載されている数値は、発光素子130の発光中心CPに対する角度(°)を示す。0°は光軸方向(前方方向)、90°は水平方向(側方方向)、180°は、後方方向を示す。また、グラフの内側に記載されている数値は、各方向の相対照度(最大値1)を示している。
図8のグラフから、比較例の発光装置30では、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160の効果により、±120〜130°方向に向かう光が生成されていることがわかる。しかしながら、±90°方向に向かう光が少なく、カバー180が無い状態では配光バランスに改善の余地がある。
【0052】
図10は、
図9に示される実施の形態1に係る発光装置100’の配光特性を示すグラフである。
図10のグラフから、実施の形態1に係る発光装置100’では、光束制御部材140の凹部173の効果により、配光バランスが顕著に改善していることがわかる。これは、比較例の発光装置30では±30〜60°方向に向かっていた光の一部が、±90°方向に振り分けられたからだと考えられる(
図8および
図10を比較参照)。このため、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したと考えられる。以上のように、実施の形態1に係る発光装置100’は、カバー180が無い状態でも、広くかつバランスのよい配光特性を有する。
【0053】
(効果)
実施の形態1に係る発光装置100’では、発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい発光素子130からの出射光を、第1光束制御部材150の第2傾斜面154b(全反射面)で反射させることで、第2光束制御部材160に到達する光の量を増やしている。このため、実施の形態1に係る発光装置100’は、カバー180の上部に到達する光を増やすことができる。また、実施の形態1に係る発光装置100’では、発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい発光素子130からの出射光を、第1光束制御部材150の第2傾斜面154b(全反射面)で反射させることで、カバー180の中部および下部に到達する光の量を減らしている。カバー180の上部に到達する光の量とカバー180の中部および下部に到達する光の量とのバランスは、第2光束制御部材160における光透過率および光反射率を制御することで調整されうる。
【0054】
また、前述のとおり、光束制御部材140の中心軸CAから離れた位置に発光面がある場合(例えば、光束制御部材140の中心軸CAから離れた位置に発光素子130が配置されている場合や、発光素子130の発光面が大きい場合など)は、第1光束制御部材150および第2光束制御部材160だけでは、発光素子130からの光を前方方向、側方方向および後方方向のすべてにバランスよく配光できないことがある(
図8参照)。この問題について、実施の形態1に係る発光装置100’は、ホルダー170の外周面に形成された複数の凹部173がホルダー170を透過する光の出射方向を制御するため、配光バランスを改善させることができる(
図10参照)。
【0055】
このように、実施の形態1に係る光束制御部材140は、前方方向、側方方向および後方方向へ向かう出射光量を均等にすることにより、カバー180に到達する光のムラをなくすことができる。すなわち、実施の形態1に係る光束制御部材140は、前方方向、側方方向および後方方向へ向かう出射光量をそれぞれ制御して、白熱電球に近い配光特性を実現することができる。実施の形態1に係る照明装置100は、白熱電球に代えて室内照明などに使用されうる。また、実施の形態1に係る照明装置100は、白熱電球よりも消費電力を少なくすることができるとともに、白熱電球よりも長期間使用することができる。
【0056】
また、実施の形態1に係る光束制御部材140は、第2光束制御部材160に到達した光のうち、一部の光を反射面161によって側方方向(カバー180の中部の方向)および後方方向(カバー180の下部の方向)へ反射させ、一部の光を前方方向(カバー180の上部の方向)へ透過させる。このとき、光束制御部材140は、反射面161の中心部側の領域において側方方向の反射光を生成し、外周部側の領域において後方方向の反射光を生成する。このため、実施の形態1に係る照明装置100は、筐体110に妨げられることなく、後方方向の被照射面を効率よく照らすことができる。
【0057】
[実施の形態2]
(照明装置の構成)
図11は、実施の形態2に係る発光装置200’の構成を示す要部断面図である。
図11に示されるように、発光装置200’は、複数の発光素子130および光束制御部材240を有する。光束制御部材240は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー270を含む。実施の形態2に係る発光装置200’は、ホルダー270に形成されている凹部273の断面形状が直角三角形である点で、実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0058】
光束制御部材240は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー270を含む。第1光束制御部材150および第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0059】
ホルダー270の外周面には、複数の凹部273が形成されている。複数の凹部273は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー270の中心軸CA3を通る断面における凹部273の断面形状は、直角三角形である。なお、直角三角形の斜辺に対応する傾斜面は、カバー180の下部に対向する。凹部273を構成する他方の面は、ホルダー270の中心軸CA3に対して略垂直である。
【0060】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材240の効果(特に、複数の凹部273の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置200’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0061】
図12は、実施の形態2に係る発光装置200’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図12のグラフとを比較すると、実施の形態2に係る発光装置200’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0062】
(効果)
実施の形態2に係る光束制御部材240は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。なお、実施の形態2に係る光束制御部材240は、実施の形態1に係る光束制御部材140に比べて配光バランスが悪いように見えるが、用途によっては実施の形態1に係る光束制御部材140よりも実施の形態2に係る光束制御部材240の方が好ましい。
【0063】
[実施の形態3]
(照明装置の構成)
図13は、実施の形態3に係る発光装置300’の構成を示す要部断面図である。
図13に示されるように、発光装置300’は、複数の発光素子130および光束制御部材340を有する。光束制御部材340は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー370を含む。実施の形態3に係る発光装置300’は、ホルダー370に形成されている凹部373の断面形状が直角三角形である点で、実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
光束制御部材340は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー370を含む。第1光束制御部材150および第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0065】
ホルダー370の外周面には、複数の凹部373が形成されている。複数の凹部373は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー370の中心軸CA3を通る断面における凹部373の断面形状は、直角三角形である。なお、直角三角形の斜辺に対応する傾斜面は、カバー180の上部に対向する。凹部373を構成する他方の面は、ホルダー370の中心軸CA3に対して略垂直である。
【0066】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材340の効果(特に、複数の凹部373の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置300’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0067】
図14は、実施の形態3に係る発光装置300’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図14のグラフとを比較すると、実施の形態3に係る発光装置300’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0068】
(効果)
実施の形態3に係る光束制御部材340は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。なお、実施の形態3に係る光束制御部材340は、実施の形態1に係る光束制御部材140に比べて配光バランスが悪いように見えるが、用途によっては実施の形態1に係る光束制御部材140よりも実施の形態3に係る光束制御部材340の方が好ましい。
【0069】
[実施の形態4]
(照明装置の構成)
図15は、実施の形態4に係る発光装置400’の構成を示す要部断面図である。
図15に示されるように、発光装置400’は、複数の発光素子130および光束制御部材440を有する。光束制御部材440は、第1光束制御部材450、第2光束制御部材160およびホルダー470を含む。実施の形態4に係る発光装置400’は、第1光束制御部材450およびホルダー470の形状が実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
光束制御部材440は、第1光束制御部材450、第2光束制御部材160およびホルダー470を含む。第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0071】
第1光束制御部材450は、実施の形態1に係る第1光束制御部材150と同様に、屈折部151と、フレネルレンズ部152と、出射面153とを有する。実施の形態4に係る第1光束制御部材450では、フレネルレンズ部152の外縁が、フレネルレンズ部152の内縁よりも低い位置にある。このようにすることで、発光素子130からの光が、第1光束制御部材450に入射せずにホルダー470に直接到達してしまうことを抑制できる。
【0072】
実施の形態4に係る第1光束制御部材450では、ホルダー470の外周面の上半分にのみ、複数の凹部473が形成されている。実施の形態4に係る第1光束制御部材450では、発光素子130からホルダー470の下部に直接到達する光が少ないため、ホルダー470の外周面の下半分には凹部473を形成していない。
【0073】
複数の凹部473は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー470の中心軸CA3を通る断面における凹部473の断面形状は、直角三角形である。なお、直角三角形の斜辺に対応する傾斜面は、カバー180の下部に対向する。凹部473を構成する他方の面は、ホルダー470の中心軸CA3に対して略垂直である。
【0074】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材440の効果(特に、複数の凹部473の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置400’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0075】
図16は、実施の形態4に係る発光装置400’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図16のグラフとを比較すると、実施の形態4に係る発光装置400’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0076】
(効果)
実施の形態4に係る光束制御部材440は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。
【0077】
[実施の形態5]
(照明装置の構成)
図17は、実施の形態5に係る発光装置500’の構成を示す要部断面図である。
図17に示されるように、発光装置500’は、複数の発光素子130および光束制御部材540を有する。光束制御部材540は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー570を含む。実施の形態5に係る発光装置500’は、ホルダー570に形成されている凹部573の断面形状が半円である点で、実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
光束制御部材540は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー570を含む。第1光束制御部材150および第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0079】
ホルダー570の外周面には、複数の凹部573が形成されている。複数の凹部573は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー570の中心軸CA3を通る断面における凹部573の断面形状は、半円である。
【0080】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材540の効果(特に、複数の凹部573の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置500’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0081】
図18は、実施の形態5に係る発光装置500’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図18のグラフとを比較すると、実施の形態5に係る発光装置500’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0082】
(効果)
実施の形態5に係る光束制御部材540は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。なお、実施の形態5に係る光束制御部材540は、実施の形態1に係る光束制御部材140に比べて配光バランスが悪いように見えるが、用途によっては実施の形態1に係る光束制御部材140よりも実施の形態5に係る光束制御部材540の方が好ましい。
【0083】
[実施の形態6]
(照明装置の構成)
図19は、実施の形態6に係る発光装置600’の構成を示す要部断面図である。
図19に示されるように、発光装置600’は、複数の発光素子130および光束制御部材640を有する。光束制御部材640は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー670を含む。実施の形態6に係る発光装置600’は、ホルダー670に凸部673が形成されている点で、実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0084】
光束制御部材640は、第1光束制御部材150、第2光束制御部材160およびホルダー670を含む。第1光束制御部材150および第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0085】
ホルダー670の外周面には、複数の凸部673が形成されている。複数の凸部673は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー670の中心軸CA3を通る断面における凸部673の断面形状は、半円である。
【0086】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材640の効果(特に、複数の凸部673の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置600’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0087】
図20は、実施の形態6に係る発光装置600’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図20のグラフとを比較すると、実施の形態6に係る発光装置600’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0088】
(効果)
実施の形態6に係る光束制御部材640は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。
【0089】
[実施の形態7]
(照明装置の構成)
図21は、実施の形態7に係る発光装置700’の構成を示す要部断面図である。
図21に示されるように、発光装置700’は、複数の発光素子130および光束制御部材740を有する。光束制御部材740は、第1光束制御部材750、第2光束制御部材160およびホルダー770を含む。実施の形態7に係る発光装置700’は、第1光束制御部材750およびホルダー770の形状が実施の形態1の発光装置100’と異なる。そこで、実施の形態1の発光装置100’と同じ構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0090】
光束制御部材740は、第1光束制御部材750、第2光束制御部材160およびホルダー770を含む。第2光束制御部材160は、実施の形態1と同じであるので、その説明を省略する。
【0091】
第1光束制御部材750は、実施の形態1に係る第1光束制御部材150と同様に、屈折部151と、フレネルレンズ部152と、出射面153とを有する。実施の形態7に係る第1光束制御部材750では、フレネルレンズ部152の外縁が、フレネルレンズ部152の内縁よりも低い位置にある。このようにすることで、発光素子130からの光が、第1光束制御部材750に入射せずにホルダー770に直接到達してしまうことを抑制できる。
【0092】
実施の形態7に係る第1光束制御部材750では、ホルダー770の外周面の上半分にのみ、複数の凹部773が形成されている。実施の形態7に係る第1光束制御部材750では、発光素子130からホルダー770の下部に直接到達する光が少ないため、ホルダー770の外周面の下半分には凹部773を形成していない。
【0093】
複数の凹部773は、同一形状であり、かつ一定間隔で配置されている。ホルダー770の中心軸CA3を通る断面における凹部773の断面形状は、長方形である。なお、長方形の2つの長辺に対応する2つの面は、ホルダー770の中心軸CA3に対して略垂直である。
【0094】
(発光装置の配光特性)
本実施の形態に係る光束制御部材740の効果(特に、複数の凹部773の効果)を確認するために、実施の形態1と同様の手順で、発光装置700’の配光特性をシミュレーションによって求めた。
【0095】
図21は、実施の形態7に係る発光装置700’の配光特性を示すグラフである。
図8のグラフと
図21のグラフとを比較すると、実施の形態7に係る発光装置700’では、比較例の発光装置30では相対的に光量が少なかった0°方向および±90°方向に向かう光量が相対的に増え、配光バランスが改善したことがわかる。
【0096】
(効果)
実施の形態7に係る光束制御部材740は、実施の形態1に係る光束制御部材140と同様の効果を有する。なお、実施の形態7に係る光束制御部材740は、実施の形態1に係る光束制御部材140に比べて配光バランスが悪いように見えるが、用途によっては実施の形態1に係る光束制御部材140よりも実施の形態7に係る光束制御部材740の方が好ましい。
【0097】
[凸部および凹部の好ましい形状]
上記各実施の形態に係る発光装置100’〜700’を比較すると、実施の形態1に係る発光装置100’(
図9)、実施の形態4に係る発光装置400’(
図15)、実施の形態6に係る発光装置600’(
図19)の配光特性が特に優れている。これら3つの発光装置は、以下の(1)および(2−1)の条件を満たすか、または(1)および(2−2)の条件を満たしている。条件(1)は、ホルダーの上半分(第1光束制御部材よりも上側の部分)についての条件であり、条件(2−1)および(2−2)は、ホルダーの下半分(第1光束制御部材よりも下側の部分)についての条件である。
【0098】
(1)ホルダーの上半分に、
図23Aに示されるような、第2光束制御部材からホルダーに到達した光の進行方向を、発光素子の光軸LAに直交する方向に近づくように変えるための傾斜面が存在する。
(2−1)ホルダーの下半分に、
図23Bに示されるような、発光素子からホルダーに直接到達した光の進行方向を、発光素子の光軸LAに直交する方向に近づくように変えるための傾斜面が存在する。
(2−2)ホルダーの下半分に上記(2−1)の条件を満たす傾斜面が存在する代わりに、フレネルレンズ部の外縁がフレネルレンズ部の内縁よりも発光素子に近い。これは、発光素子からホルダーに直接到達する光が少ないことを意味する。
【0099】
したがって、前方方向、側方方向および後方方向のすべてにバランスよく配光するためには、上記(1)および(2−1)の条件を満たすか、または(1)および(2−2)の条件を満たす光束制御部材を使用することが特に好ましい。
【0100】
また、実施の形態1に係る光束制御部材のホルダー(
図9)、実施の形態2に係る光束制御部材のホルダー(
図11)、実施の形態3に係る光束制御部材のホルダー(
図13)、実施の形態5に係る光束制御部材のホルダー(
図17)、実施の形態6に係る光束制御部材のホルダー(
図19)では、ホルダーの上半分と下半分とで同一形状の凸部または凹部を形成している。このようにホルダーの外周面全体に同一形状の凸部または凹部を一定間隔で形成することで、金型の加工を容易にすることができる。
【0101】
[光束制御部材の変形例]
上記各実施の形態では、第1光束制御部材がフレネルレンズ部を有する例について説明したが、第1光束制御部材はフレネルレンズ部を有していなくてもよい。
図24は、フレネルレンズ部を含まない第1光束制御部材850の構成を示す図である。
図24Aは平面図であり、
図24Bは正面図であり、
図24Cは底面図であり、
図24Dは
図24Aに示されるC−C線の断面図である。
図24に示される第1光束制御部材850は、ホルダーとは別部材として作製されているが、ホルダーと一体として作製されていてもよい。
図5に示される第1光束制御部材150と同じ構成要素については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0102】
第1光束制御部材850は、発光素子130から出射された光を入射する入射面851と、入射面851から入射した光の一部を全反射させる全反射面852と、入射面851から入射した光の一部および全反射面852で反射した光を出射する出射面153とを有する。
【0103】
入射面851は、第1光束制御部材850の底部に形成された凹部の内面である。入射面851は、凹部の天面を構成する内天面851aと、凹部の側面を構成する内側面851bとを有する。内側面851bは、内天面851a側の縁の内径寸法よりも開口縁側の内径寸法の方が大径となるように、内天面851a側から開口縁側に向かうに従って内径が漸増している(
図24D参照)。
【0104】
全反射面852は、第1光束制御部材850の底部の外縁から出射面153の外縁に延びる面である。全反射面852と出射面153との間には、フランジが形成されていてもよい。全反射面852は、第1光束制御部材850の中心軸CA1を中心とする回転対称面である。全反射面852の直径は、底部側から出射面153側に向けて漸増している。全反射面852を構成する母線は、外側(中心軸CA1から離れる側)に凸の円弧状曲線であるが、直線であってもよい。
【0105】
第1光束制御部材850を有する発光装置および照明装置では、発光素子130の光軸LAに対する角度が大きい光は、内側面851bから第1光束制御部材850内に入射し、全反射面852で第2光束制御部材に向けて全反射される。一方、発光素子130の光軸LAに対する角度が小さい光は、内天面851aから第1光束制御部材850内に入射する。全反射面852で全反射された光および内天面851aから入射した光は、出射面153から第2光束制御部材に向かって出射される。
【0106】
以上のように、第1光束制御部材850は、実施の形態1に係る第1光束制御部材150と同様の機能を発揮することができる。このため、第1光束制御部材850を有する照明装置は、実施の形態1に係る照明装置100と同様の効果を有する。