(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977757
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】発射位置に向かうトリガ部品の移動に対する抵抗力を提供する接触面を有する自動注入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20160817BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20160817BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/20 550
A61M5/24 502
A61M5/31
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-545507(P2013-545507)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-503287(P2014-503287A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】GB2011052571
(87)【国際公開番号】WO2012085589
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】1021777.6
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/426,095
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501410160
【氏名又は名称】オウエン マンフォード リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウォゼンクロフト
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0101919(US,A1)
【文献】
特表2010−508114(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0298780(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/092807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20− 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動注入装置であって、本体(10、12)と、前記本体内に配置された、前端に針を有する注射器(13)又はカートリッジと、前記自動注入装置を操作するためにトリガ部品(18)の作動に際して解放されるための駆動機構(60…)とを備え、前記トリガ部品は、休止位置から発射位置まで前記本体に対する移動のために前記本体内の凹部又は開口部に取り付けられ、前記トリガ部品及び前記本体部分の隣接面の一方が、前記トリガ部品及び前記本体部分の隣接面の他方の協働面(136)で弾性的に摺動可能な接触面(134)を備え、前記発射位置に向かう前記トリガ部品の移動に対する抵抗力を提供する、自動注入装置。
【請求項2】
前記接触面は、前記トリガ部品(18)又は前記本体部分と一体的に形成される領域(134)に設けられる、請求項1に記載の自動注入装置。
【請求項3】
前記接触面(134)は、前記トリガ部品(18)に設けられる、請求項1又は請求項2に記載の自動注入装置。
【請求項4】
前記摺動接触面は、印加された力の除去に際して前記トリガ部品の休止位置に前記トリガ部品(18)を戻すための、弾力のある戻力を提供するのに有効である、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【請求項5】
前記摺動接触面は、前記発射位置への前記トリガ部品(18)の移動に際して、前記発射位置に前記トリガ部品を保持するのに有効である、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【請求項6】
前記本体は、前記休止位置と前記発射位置との間での長手方向の移動のために前記本体の後端内に配置される前記トリガ部品(18)をもつ、細長の且つ管状の形状の後方の部分(56)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【請求項7】
前記弾力のある付勢素子は、一定間隔で配置されて互いに反対側にある前向きのフィンガ(134)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【請求項8】
前記フィンガ(134)は、前記トリガ部品(18)と一体的に成形される、請求項7に記載の自動注入装置。
【請求項9】
前記協働面(36)又は各協働面(36)は、凸面の外形である、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【請求項10】
前記協働面又は各協働面は、前記本体(12)の首部領域内の内面によって画定される、請求項1から8のいずれか一項に記載の自動注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動注入装置(autoinjector)に関し、特に、そこで使用するためのトリガ部品に関するが、但しそれに限らない。
【背景技術】
【0002】
自動注入装置の駆動機構は、トリガ部品を押すことによって典型的には発射される。高水準の安全性、信頼性、及び精密に制御する操作を提供するために、自動注入装置は、(例えば射出成形によって)形成され、組み立てられる必要のある、多くの相互動作構成要素を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、構成要素の数の低減は、製造及び組み立てを簡易化し、実質的な改善に結びつくことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って1つの態様において、本発明は、本体と、本体内に配置され、前端に針を有する注射器(13)又はカートリッジと、自動注入装置を操作するためにトリガ部品の作動に際して解放されるための駆動機構とを備える自動注入装置を提供する。トリガ部品は、休止位置から発射位置まで前記本体に対する移動のために前記本体内の凹部又は開口部に取り付けられる。トリガ部品及び本体部分の隣接面の一方が、他方の協働面で弾性的に摺動可能な接触面を備え、前記発射位置に向かう前記トリガの移動に対する抵抗力を提供する。
【0005】
この配置によって、別々のばねに対する必要性は回避される。前記接触面は、例えば射出成形段階において、トリガ部品又は本体部分が一体的に形成される領域上に便利に設けられる。従って、接触面は、前記トリガ部品に設けられてもよい。摺動接触面は、印加される力の除去に際して、前記トリガ部品をその休止位置に戻すための、弾力のある戻力を提供するのに有効であってもよく、又は、トリガ部品の発射位置への移動に際して、前記発射位置にトリガ部品を保持するのに有効であってもよい。
【0006】
便利なことに、前記本体は、前記休止位置と前記発射位置との間での長手方向の移動のために前記本体の後端内に配置されるトリガ部品をもつ、細長の且つ管状の形状の後方の部分を備える。有利なことには、弾力のある付勢素子は、一定間隔で配置されて互いに反対側にある前向きのフィンガを備える。
【0007】
本発明について上述したが、本発明は、以上で提示された、又は、以下の明細書もしくは特許請求の範囲において提示される、新規な特徴の任意の進歩的な組み合わせ又はサブコンビネーションにまで及ぶ。
【0008】
本発明を様々な方法で実施してよく、その1つの実施形態を、様々な変更とともに、ここでは単なる例として、添付の図面に関連して以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】注射に先立って、但し第2のリアキャップの除去前に、除去された第1のフロントキャップをもつ本発明の一実施形態による自動注入装置の透視図である。
【
図2】フォワードアセンブリに注射器を装填するに先立って分離され、相互にスナップ嵌合されたリアアセンブリ及びフロントアセンブリをもつ自動注入装置の図である。
【
図9】相互にスナップ嵌合される、ばねガイド及び注射器キャリアを示す図である。
【
図10】フロントキャップ/針シールド除去器の拡大図である。
【
図14】(a)及び(b)のそれぞれは、使用前状態にある自動注入装置の長軸に沿った面/短軸に沿った面による横断面図である。
【
図15】(a)及び(b)のそれぞれは、使用後の自動注入装置の長軸に沿った面/短軸に沿った面による横断面図である。
【
図16】(a)及び(b)は、前方にくぼんだ皮膚接触面を示す、装置の前端の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図示され、以下に記載する自動注入装置の実施例は、注入部位へもたらされて発射されたときに、選択された投与量の薬剤を自動的に注入するように設計されている。初めに
図1及び
図2を参照すると、自動注入装置は、駆動機構を含むリアアセンブリ10と、薬剤をもつ注射器13を収容するためのフロントアセンブリ12とを備える。フロントアセンブリ及びリアアセンブリは、製造中に相互にスナップ嵌合される。装置の前端には、以下に記載されるように針シールド除去器としても機能する着脱可能なキャップ14がある。リアアセンブリの後端には、駆動機構の時期尚早な発射を阻止する安全ピンを含むリアキャップ16があり、リアキャップはさらに発射ボタン18をカバーする。
【0011】
ここで
図3を参照すると、フロントアセンブリ12は、装置が組み立てられたときに注射器を観察することができる、互いに反対の位置にある一体型の表示ウィンドウ22を画定する、概ね透明なプラスチック材料の外側本体収納部20を備える。ウィンドウは、注射器の投与量の全量を観察することを可能にする。ウィンドウ22の透明なプラスチック材料は別として、本体収納部20は不透明であってよい。透明ウィンドウ部品を備えることは、開いた開口又は溝の一般的な配置の代わりに、注射器への外部アクセスを防止するという利点がある。さらに、装置の長手方向軸線のいずれかの側部に間隔をあけて配置された一対のシュラウドばねを備えることは、いかなるばねなどによって不明瞭にされることなく、投与量の全長が明確に目に見えることを意味する。
【0012】
収納部20の内部に針シュラウド24が摺動可能に取り付けられ、針シュラウド24は、中心開口部28をもつ面取りされた円錐形及び/又は凸状の曲線状ドーム形のフロント面26を有し、注入中に注射器の針が突出することができるよう、前方にくぼんだ構成を針シュラウド24の内部に提供する。シュラウド24は、前方管状部32から後方に延伸しながら、後方に延びる2つのアーチ形断面のアーム30を含む。
【0013】
注射器キャリア34が針シュラウドに摺動可能に連結されていて、注射器キャリアは、針シュラウド24の管状部36の内部に入れ子式に摺動することができる前方管状部36を有する。2つのアーム38が、注射器キャリア34の管状部36から後方に延び、その2つのアーム38は、注射器の筒体を摺動可能に収容するための対向する内部凹状面40と、針シュラウド24のアーム30上の凸状の内部アーチ形面と共に、一対のシュラウドばね44のための円柱状の収容空間を画定するための外部凹状面42と、を有する。
【0014】
ばねガイド46は、前方に延び、各ばね44の中心を通る2つのフィンガ48を有する。ばねガイド46は、注射器が通過する円形の開口部52を囲むオーバーモールド成形されたライナ50を有する。ライナは、注射器のための緩衝器として機能する。ばねガイド46は、以下に記載されるような注射器キャリア34の後端とのスナップ嵌合部である。ばねガイド46は、後方に延びる管状部を有し、その1つの側壁は、円盤磁石54を係留的に収容するための凹部53である。
【0015】
ここで
図4を参照すると、リアアセンブリは、主駆動源ばね58を収容するリヤ本体収納部56を備え、主駆動源ばね58はプランジャ60の後端に作用する。プランジャは、注射器の内部にピストン11を係合するための前端62と、オーバーモールド成形された着色表示片64とを有する。表示片64の後方には、ボール型磁石68に横移動のために取り付けられる横通路66がある。通路66の後方には、プランジャ60の長手方向軸線に固定して配置される強磁性のキーパーボール72を収容する凹部70が設けられる。プランジャ60は、後端にかかり(barb)76を有する、2つの後方に延びる分岐した矢じりリム(arrowhead limb)74を有し、その後端は、リヤ本体収納部56(
図14及び15参照)の内部で、環状の捕獲面77のエッジの周囲に固定され、主ばね58を圧縮して、発射準備位置(cocked position)においてプランジャをラッチする。
【0016】
自動注入装置は、2つの構成要素以外の全てが、3つの異なる充填量の注射器をもつ自動注入装置で共通するように設計されたモジュール構造である。注射器自体の形状及びサイズは標準的であり、充填量のみが異なる。一様でない2つの構成要素は、リヤ本体収納部10及びプランジャ60である。リヤ本体収納部52の前端は、注射器内に含まれる充填量に従って可変長である互いに反対側にある切り欠き又は溝78を含む。リヤ本体収納部56内の溝78の軸方向長さは、充填量に比例する。また、表示位置は同一の量で移動し、表示位置がプランジャストロークの端部で本体に対して同一の場所に到達するようになっている。さらに、プランジャは、磁石収納通路66を配置するために注射器の充填量に従って変更され、その結果、プランジャは、その前方ストロークの端部にて、各充填量に対してリヤ本体収納部56に対する同一の軸方向位置に達する。言いかえれば、プランジャ60及び溝78の軸方向長さは、複数の充填量の各々に対して、溝78によって後端で組み立てられたウィンドウにより、投与量を含有する注射器の長さの表示ウィンドウ22を、ユーザが使用に先立って認識するように設計されている。投与量が送り出された後、表示は、各充填量に対して同一の前方位置にある。
【0017】
ここで
図5〜
図9を参照し、フロントアセンブリの主要な構成要素のアセンブリについて、更に詳細に説明する。注射器キャリア34は、前方管状部36の両側に設けられた一対の直線リブ82を有する。リブ82は、針シュラウドの管状部32の内部にあるそれぞれの溝84内を走行する。各リブ82のすぐ後ろには、かかり88をもつばねフィンガ86の後方から延びる可動のヒンジ85があり、かかり88は後方に傾いた前方面を有する。注射器キャリアが針シュラウド24の中に入れ子式に組み立てられるとき、かかり88は、シュラウド24(
図6を参照)内の溝90を通じて突出し、溝90の後端がかかり88に接する際に、注射器キャリア34に対するシュラウド24の前方移動を制限する。注射器キャップに対するシュラウド24の後方移動は、注射器キャリア34の管状部36の後方から直立の前方の肩部94に接する針シュラウド管状部の後方の肩部92によって制限される。注射器キャリアのかかり88の後方には、2つの後向きの傾斜面96がある。
【0018】
注射器キャリアは、その後端において、装置が組み立てられるときに、フロント本体部分20内のそれぞれの溝100を走行する4つの突起98を有し、それによりフロント本体部分20に対する注射器キャリアの直線移動を制限する。注射器キャリアの後部にスナップ嵌合されるのは、
図8に示すような、ばねガイド46である。これは、注射器キャリアの後端の壁104の周囲をスナップ嵌合するスナップ嵌合タブ102を有する。タブは、また、その中心を通るばねガイドフィンガ48とともに、シュラウドばね44のためのプラテン表面を形成する。シュラウドばねの前端は、針シュラウド24のアーム30の後部に向かって、突出したフィンガ106上に固定される。各溝90のフロントから戻る距離の約3分の2は、傾いた前方面をもつ2つのかかり108である。可動のヒンジ上の、各溝90の後ろには、再び傾いた前方面をもつ後方のかかり110がある。かかり108、110は、フロント本体収納部20の長さの約3分の1下った箇所、フロント本体収納部の内壁上でそれぞれの相対するかかり112と協働する。
【0019】
使用前位置におけるかかりの配置は、
図14及び
図15において明確に見てとれる。使用前位置において、針シュラウド上のかかり108は、フロント本体収納部上のかかり112とともに、針シュラウド24の後方移動を阻止するように協働する。注射器キャリア上のかかり88の前方面は、また、前方収納部上のフロント本体収納部上のかかり112とともに、フロントキャップ14の除去に先立って、及びその除去間に、注射器キャリア34の前方移動を阻止するように協働する。キャップの除去は、かかりの内部移動を初めに阻止する、かかり88上の押さえ材を除去し、その結果、発射されたときに駆動ばねの力が、フロント本体収納部上のかかり112を通りすぎるように、かかり88にカム動作をさせる。装置の作動中に、注射部位の周囲の皮膚とのその接触による前方移動に対して針シュラウド24を保持したまま、発射されたとき、注射器13及び注射器キャリア34のサブアセンブリは、溝100の前端に達する突起98により境界を定められた制限位置まで、前方収納部に対して前方にシフトする。注射が完了した後、装置が皮膚から離れて持ち上げられるとき、皮膚接触圧力が表面28から除去されるように、針シュラウド24は移動する。これは、シュラウドばね46の影響下で針シュラウドが前方に移動することを可能にし、その結果、針シュラウドが伸びた時点で、後部のかかり110は、前方に移動し、収縮を阻止するためにフロント収納部20上のかかり112を越えて嵌まる。かかり110は、注射器キャリア34上の下にある傾斜面96によって、この位置に固定される。
【0020】
ここで
図10及び
図11を参照すると、着脱可能なフロントキャップ14は、上記のような投与量を観察することを可能にする、フロント本体収納部20内のウィンドウ22を組み立てるために、リヤ本体収納部56上の溝78に整列させる互いに反対にある溝114を有する。
図11を特に参照して、キャップは、外部部分において楕円であり、楕円の主軸上に配置されたアーチ形の断面のさらなる2つのフィンガ118から延びる、後方に延びる内部の中心円柱状部116を有する。フィンガの内部表面上には、後端に向かって、傾斜した後方面をもつ、それぞれ内側に向いたかかりリブ120がある。
図14及び
図15にて見てとれるように、リブ120は、注射器13の筒体上の前方の肩部と、剛性の針シールド15又はその開口部の後方面との間に形成された隙間内に嵌まるように設計されている。製造中に注射器13が(取り付けられたキャップ14をもつ)フロントアセンブリ12に装填されるとき、剛性の針シュラウド15は、図示するような針シールド15の後端(又は針シールド内の開口部の後端)の背後にリブ120が止まるように、リブ120を越えて嵌まる。さらに、フロントキャップ14は、キャップが嵌合されるときにフロント本体収納部の外部表面上のピップ124を解放可能なように係合する一対の浅いスカラップ122を有する(
図14及び
図15を参照)。
【0021】
補充されるような状態(
図14)のとき、キャップのフィンガ118は、注射器キャリア34のばねフィンガ86の基礎となり、ばねフィンガ86が内側に屈曲するのを阻止する。この状態において、フィンガ118は、それにより、内側の掛け金を外す動作に対抗してばねフィンガ86を支持する。キャップ14の円柱状部116の前端も、楕円の短軸に整列し、且つフロントキャップ14に対する剛性針シールドの前方移動を阻止する、内側に向かう突起123とともに設けられる。このように、フロントキャップ14が
図15に示す位置から引き離されるとき、リブ120は、注射器13の前端からそれを緩めるために剛性針シールド15を引き出す。同時に、フィンガ118の存在は、また、注射器と針シールドとの間に締り嵌めがある場合に、注射器が前方に引き出されるのを阻止するために針シールドが注射器から外れるまで内部移動に対抗してフィンガ86をブロックすることによって、前方移動に対して注射器キャリア34(及び、それによって注射器13)を一時的にロックする。フロントキャップが装置から遊離しているとき、針シールド15は、リブ120及び内側に向かう突起123によりとらえられたキャップ14内に留められている。リブ120及び内側に向かう突起123を90度に方向づけることは、開口端のキャップが、より複雑な鋳型設計を必要とせずに、スライドをもつ簡易な射出鋳型に射出鋳型されてもよいことを意味する。
【0022】
図4、
図12、及び
図15を参照すると、発射ボタン18は、短軸に沿って整列された2つの分岐した矢じりタブ125とともに楕円に形成される。矢じりタブ125は、収納部の後部に発射ボタン18を保持し、且つその後方移動を制限するために、リヤ収納部分56の内部の後方面上のそれぞれのリブの背後に固定される。トリガの内部の後方面は、プランジャ60の後部の分岐した矢じり74の外径よりもわずかに小径である発射突起(firing boss)126を有し、その結果、発射ボタン18が図示した位置から前方に押されるとき、突起は、前方移動のためのプランジャを自由にするために捕獲面77からかかり76を解放するために、一対の矢じり74を相互に押し付ける。発射ボタン18は、分岐した矢じりを別々に保持するためにリアキャップ16上の安全ピン
134'
が通過する突起126と同心の開口部130を有する。2つの前方に延び、可撓性があり、付勢する細片134が、楕円の長軸に整列されていて、リヤ収納部56の後端のそれぞれの付勢カム面136と協働し、
図14(a)及び
図15(a)に示すように、低摩擦の滑るプラスチック同士の表面接触を提供する。カム面136は、距離をおいて所定のバリエーションの抵抗力を提供するように形作られる。付勢する細片は、カム面の曲線状のリヤ部分と協働し、分岐した矢じりタブによって画定されるその最後方の位置にボタンを戻すようになる付勢力を提供する。時期尚早な発射を回避するために、移動に対する触覚抵抗(tactile resistance)を与えること、発射突起126がプランジャを解放する前に数ミリメートルの移動を必要とすることは望ましい。カム面の前方部分は、さらに浅い勾配であり、装置が発射された後、その最短距離の位置に発射ボタンを閉じ込めるように、又は固定するように設計される。これは、装置が発射されたか否かに関して、更に有用な視覚的刺激をユーザに提供する。当然のことながら、必要に応じて、カム面は、その代りに、発射後にボタンを元の位置に戻すように設計されてもよい。
【0023】
図示したような自動注入装置は、不注意の発射を阻止し、且つ使用後に安全な装置を与えるために、いくつかの安全な構成要素を含む。さらに、使用後に装置の分解に耐える又は阻止することは、非常に望ましい。上記の説明及び
図2から、フロントアセンブリ内の注射器キャリアに注射器を挿入し、次に、フロント及びリアアセンブリを相互にスナップ嵌合することによって、装置が組み立てられることは、注目されるだろう。スナップ嵌合は、リヤ本体収納部56内のそれぞれの開口部142内に同時に固定されるフロント本体収納部20の後部の外向きのばね仕掛けのタブ138、140によって行われる。1つの対のタブ138は短軸に整列され、1つの対のタブ140は装置の長軸に整列される。適切な器用さ及び耐力があれば、外部から凹部142を通じて器具を突くことによって、4つのすべてのタブ138、140を押し、それによって装置を分解することが可能であろうことは、充分に理解されるだろう。但し、これは、
図13及び
図15(b)にて見てとれるように、プランジャ60に設けられた2つのフィン構成144によって、この実施形態において、防止される。
図15(b)に示すように、プランジャは、ひとたび装置が発射され、プランジャが発射後位置にあれば、フィン構成144が楕円の短軸上のタブ138の基礎となり、それによって、内側の歪みからタブ138を支持して分解を防止するように設計される。
【0024】
操作のために、ユーザは、フロントキャップ14及びリアキャップ16を除去することにより装置を作動可能にする。その後、注射部位の皮膚に対して針シュラウド26の円錐形又は曲線状のフロント面を押すために、装置が注射部位まで供される。準備ができると、発射ボタン18が押され、主駆動ばね58の作用によって前方移動に対してプランジャ60を解放する。初めに、プランジャのばね仕掛けの係合フィンガ145により、プランジャ及び注射器は、肉体を貫通する針を延出するために一体となって前方に移動し、この移動は、注射器キャリアの突起98がフロント本体収納部の溝100の前端に達するまで続けられ、それによって、必要な深さまで注射器の針を挿入する。注射器の移動の阻止に際して、ばね仕掛けの係合フィンガ145は、注射器の内孔内で内側に屈曲し、プランジャは、投与量を押し出すために注射器本体の下方へピストン11を駆動しながら、移動し続ける。あるいは、装置の他の設計において、ばね係合フィンガが押し戻されてよく、それにより、後の方の前方移動が阻止される前に、プランジャが注射器内に移動し始めるようになる。いずれか設計において、プランジャがその最短距離の位置に達するとき、ボール型磁石68は、キーパーボール72に対する磁力によってプランジャの中心線上の通路66内にそれまで保持され、ばねガイドの凹部内に保持された円盤磁石54によってもたらされるより高い力によって誘引され、それに向かって加速して磁石及び/又はばねガイドと衝突し、注射が完了したことをユーザに対して示すよう大きな可聴のクリック音を生み出す。
【0025】
その後、ユーザは、それら皮膚から装置を除去する。そして、針シュラウド24の前端の圧の解放は、針を保護しようと前方に移動する一対のシュラウドばね44の影響下で、それがすぐに前方に延びることができることを意味する。かかり110がその最も前方の位置に近づくにつれて、かかり110は、フロント収納部20の内部のかかり112を越えて嵌まり、それによって針シュラウドの収縮を防止する。