特許第5977761号(P5977761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイの特許一覧

<>
  • 特許5977761-ガス化反応器 図000002
  • 特許5977761-ガス化反応器 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977761
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ガス化反応器
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20160817BHJP
   C10J 3/48 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   C10J3/46 M
   C10J3/48
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-550845(P2013-550845)
(86)(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公表番号】特表2014-503671(P2014-503671A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2012050951
(87)【国際公開番号】WO2012101081
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】11152040.9
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】カール,イブラヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ−ゴエブ,マンフレート・ハインリッヒ
【審査官】 ▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0241137(KR,B1)
【文献】 特開2000−111030(JP,A)
【文献】 特表2010−521545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J,F16K
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器(9)内に配置された管状の気密壁部(3)を有するガス化装置(2)を備えたガス化反応器であって、前記管状の気密壁部には、破壊要素(38、39)によってシールされる1つまたは複数の圧力逃がし通路(20)が設けられており、前記1つまたは複数の圧力逃がし通路(20)は、前記ガス化装置の壁部の開口部(23)から外向きに延在する、冷却部を有するスリーブ(22)を含み、前記スリーブ(22)の前記冷却部には、環状の冷却剤チャネル(24)を取り囲む二重壁部が設けられており、
前記気密壁部(3)が、少なくとも部分的に、互いに相互接続された平行の管状ライン(11)から形成されており、前記管状ラインが、前記ガス化装置(2)の外側にある1つまたは複数の開口部(23)のうちの少なくとも1つの周りをバイパスさせられている、ガス化反応器。
【請求項2】
前記破壊要素(38、39)が、ラプチュアディスクである、請求項1に記載のガス化反応器。
【請求項3】
前記スリーブ(22)の前記冷却部が、前記圧力容器の外部にある圧力測定装置に、測定ラインを介して、動作可能に接続されている、請求項1または2に記載のガス化反応器。
【請求項4】
耐火性ライニング(27)が、前記開口部(23)の周りで前記スリーブの前記冷却部を取り囲んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のガス化反応器。
【請求項5】
前記開口部(23)のうちの1つをバイパスする、前記管状ライン(11)の1つまたは複数の部分(30)が、前記スリーブ部分の周りで、前記耐火性ライニング(27)の中に埋め込まれている、請求項に記載のガス化反応器。
【請求項6】
前記スリーブ(22)が、パージガス入口部(41)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のガス化反応器。
【請求項7】
前記圧力逃がし通路(20)のうちの1つまたは複数が、前記ガス化装置(2)の中の過剰圧力限界値で破壊されるように形状付けおよび寸法付けされている第1の破壊要素(38)によってシールされる第1の分岐部(36)と、前記ガス化装置(2)と前記圧力容器の壁部(9)との間の空間(14)の中の過剰圧力限界値で破壊されるように形状付けおよび寸法付けされている第2の破壊要素(39)によってシールされる第2の分岐部(37)とに分岐している、請求項1から6のいずれか一項に記載のガス化反応器。
【請求項8】
前記1つまたは複数の圧力逃がし通路(20)のうちの少なくとも1つが、前記ガス化装置(2)の上端部(4)に位置決めされている、請求項1から7のいずれか一項に記載のガス化反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器内に配置された管状の気密壁部を備えたガス化装置を含むガス化反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス化反応器は、例えば、微粉炭、油、バイオマス、ガス、または任意の他のタイプの炭素質給送物など、炭素質給送物の部分燃焼によって合成ガスを生成するために使用され得る。
【0003】
いくつかのガス化反応器のタイプは、排出部(一般的に、浸漬管(dip tube)と称される)を介してスラグ収集浴槽の中へ合成ガスを排出するために、その下側端部に排出開口部を有するだけのガス化装置を含む。ガス化装置の中の圧力上昇に起因して、スラグおよびフライアッシュ粒子を含有する、新たに生成された合成ガスが、浸漬管を通って、浸漬管の下側縁部の周りのスラグ収集浴槽を通って、下方へ流れることを強いられ、浸漬管と圧力容器の壁部との間の環状空間の中に再収集される。スラグ収集浴槽の中の水が、合成ガスを清浄化し、冷却する。
【0004】
反応器の作動の間、スラグが、ガス化装置の気密壁部の内側に連続的に堆積される。スラグが、ガス化装置の壁部の内側表面から滑り落ち、排出開口部を介して、スラグ収集浴槽の中へ落下する。スラグがゆっくり滑る場合、ガス化装置の中の排出開口部は、スラグのかたまりの蓄積によって縮小され、それは、最終的に、開口部の閉塞につながる可能性がある。これによって、ガス化装置の中の過剰圧力の上昇が引き起こされ、それは、相当な損傷を引き起こす可能性がある。
【0005】
他の場合では、例えば、スラグ収集浴槽への水の供給の欠陥が原因で、または反応器の供給もしくは排出のインフラストラクチャーにおける欠損弁が原因で、過剰圧力が、ガス化装置の壁部と圧力容器との間の環状空間の中で高じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ガス化装置内の過剰圧力によって、および/またはガス化装置と圧力容器との間の空間内の過剰圧力によって引き起こされる、ガス化反応器の損傷を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、管状の気密壁部が圧力容器内に配置されているガス化装置を備えたガス化反応器によって実現され、管状の気密壁部には、破壊(rupture)要素によってシールされた1つまたは複数の通路が設けられている。
【0008】
したがって、ガス化装置の壁部にかかる差圧が、特定の限界値を超える場合、1つまたは複数の破壊要素が、破壊されることとなり、ガス化装置内の圧力が、ガス化装置の壁部と圧力容器との間の圧力と等しくなる。
【0009】
適切な破壊要素は、ラプチュアディスク、またはバーストディスクもしくはダイヤフラム、噴出パネル、吹き出しパネル、およびラプチュアパネルまたはベントパネルを含み、それは、円形、正方形、もしくは長方形であることが可能である、または任意の所望の形状を有することが可能である。そのようなディスクまたはパネルは、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、グラファイト、ならびに、Hastelloy(登録商標)合金(Haynes International, Inc.)など、モリブデン、クロム、コバルト、鉄、銅、マンガン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、炭素、および/またはタングステンを含むニッケル合金、または任意の他の適切な材料から構成され得る。
【0010】
ガス化装置の壁部の中の1つまたは複数の通路には、例えば、ガス化装置の壁部の中の開口部から外向きに延在する、冷却部を有するスリーブが設けられることが可能である。冷却されるスリーブは、熱放出路(heat sluice)を形成し、ガス化装置内と同じ圧力であるが、それよりも実質的に低い温度の領域を作り出す。これが、熱負荷に起因する早期の不具合から破壊要素を保護する。
【0011】
ガス化装置内の高い温度に対してガス化装置の壁部を保護するために、壁部は全体に冷却される。この目的のため、気密壁部は、例えば、完全にまたは部分的に、相互接続された平行の管状の冷却剤ラインから造られることが可能である。その場合、これらの管状ラインは、1つまたは複数の開口部の周りでバイパスされ得る。
【0012】
随意的に、スリーブには、開口部の周りのスリーブ端部を取り囲む耐火性ライニングが設けられることが可能である。その場合、開口部のうちの1つをバイパスする、管状ラインの1つまたは複数の部分が、スリーブ部分の周りで、耐火性ライニングの中に埋め込まれることが可能である。
【0013】
スリーブによって取り囲まれた空間をきれいに開口された状態に維持することを可能とするために、スリーブは、例えば、スリーブによって囲まれている開口部に向かって方向付けられた1つまたは複数のノズルによって、例えば、パージガスの供給源に接続され得る。パージガスは、窒素、蒸気、またはクリーン生成ガスなど、任意の不活性ガスであってもよい。
【0014】
随意的に、通路は、ガス化装置の中の過剰圧力限界値で破壊されるように寸法付けされている第1の破壊要素によってシールされた第1の分岐部と、ガス化装置と圧力容器の壁部との間のスペースの中の過剰圧力限界値で破壊されるように寸法付けされている第2の破壊要素によってシールされた第2の分岐部とに分岐することが可能である。破壊要素は、厚さ、凹面、または凸面を寸法決めすることによって、および材料の選定によって、所望の圧力で破壊されるように寸法決めされ得る。
【0015】
フライアッシュ粒子による損傷のリスクを低減させるために、圧力逃がし通路が、例えば、ガス化装置の上端部(そこは、フライアッシュの含有量が最も低い)に位置付けされ得る。
【0016】
ここで、本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるガス化反応器の実施形態の長手方向断面を概略的に示す図である。
図2図1のガス化反応器の中の圧力逃がし通路の詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明によるガス化反応器1の例示的な実施形態の概略断面図を示している。ガス化反応器1は、閉じた上端部4および円錐形状の下側部分5を備えた管状の気密壁部3の中にガス化装置2を含み、下側部分5は、開いた下側端部6へ次第に狭くなっており、下側端部6は、同軸に配置された円筒形状ダクトまたは浸漬管7の中へ開口している。ダクト7は、水で満たされたスラグ収集浴槽8の中へ開口している。
【0019】
ガス化装置2は、閉じた円筒形状の圧力容器9内で同軸に配置されている。バーナー10が、外側から、圧力容器9の壁部および管状の壁部3を通って、ガス化装置2の中へ延在し、微粉炭または他のタイプの炭素質給送物を部分的に燃焼させる。
【0020】
管状の壁部3、その閉じた上端部4、およびその円錐形状の下側端部5は、複数の平行の管状ライン11から造られている。ライン11は、冷却剤供給部13に動作可能に接続され、冷却剤排出部12につながっている。
【0021】
作動中、ガス化装置の内容物は、1200〜1700℃の温度に加熱させられる。これらの温度で、炭素質給送物が、部分的に燃焼させられ、スラグおよびフライアッシュが含まれた合成ガスを形成する。ガス化装置2の中の上昇した圧力に起因して、ガス化装置の内容物は、開口部6およびダクト7を介して、スラグ収集浴槽8の水の中へ下向きに流れることを強いられる。スラグ収集浴槽8の水は、合成ガスをフィルターにかけ、フライアッシュおよびスラグを除去する。フィルターにかけられた合成ガスは、ダクト7と圧力容器9との間の環状空間14において、水面に浮上し、そこでは、圧力が、ガス化装置2およびダクト7の中よりも実質的に低い。ここで、合成ガスが、排出ライン15を介して排出される。
【0022】
その上端部4で、ガス化装置2の気密壁部3は、1つまたは複数の圧力逃がし通路20を含み、それは、図2により詳細に示されている。圧力逃がし通路20は、管状の壁部3の上端部4から外向きに延在する、中空円筒形状の二重壁のスリーブ22を含む。スリーブ22は、管状の壁部アッセンブリ3の中の開口部23に接続されている。スリーブ22は、二重壁であり、その二重壁部の間に環状円筒形状の冷却剤チャネル24を画定している。環状の冷却剤チャネル24は、冷却剤入口部25および冷却剤出口部26を含み、それらは、それぞれ、冷却剤供給部および冷却剤排出部に動作可能に接続されている(図示せず)。冷却剤は、通常、水である。
【0023】
開口部23では、スリーブ22が、耐火性材料29で満たされた金属製ケーシング28を含む耐火性ボックス27で取り囲まれている。耐火性材料29は、開口部23の周りの管状の壁部分3のライン11をバイパスするためのバイパス部30を埋め込んでいる。
【0024】
開口部23と反対側の端部において、二重壁のスリーブ22に、フランジ31が設けられ、フランジ31は、シリンダー33の下側フランジ32に接続されている。その反対側端部では、シリンダー33が、上部フランジ34を含み、上部フランジ34は、気密状態で蓋35に接続されている。随意的に、蓋35には、圧力測定装置のための接続ラインのために、通路が設けられることが可能であり、二重壁のスリーブ22の冷却された環境の中で、ガス化装置内の圧力の測定が可能になる。シリンダー33は、直角の状態で互いに反対方向に側方へ分岐する第1の分岐部36および第2の分岐部37をさらに含む。第1の分岐部36の外側端部は、第1のラプチュアディスク38によってシールされており、第1のラプチュアディスク38は、ラプチュアディスク38の両側の差圧が、ガス化装置2の中の過剰圧力が原因で所与の上限値を超えた場合に、破壊されるように形状付けおよび寸法付けされている。第2の分岐部37の外側端部は、第2のラプチュアディスク39によってシールされており、第2のラプチュアディスク39は、ラプチュアディスク39の両側の差圧が、ガス化装置2と圧力容器9との間の環状空間の中の過剰圧力が原因で所与の上限値を超えた場合に、破壊されるように形状付けおよび寸法付けされている。
【0025】
二重壁の部分とフランジ31との間において、圧力逃がし通路20は、パージガスの給送ライン(図示せず)のための接続部41を備えた一重壁の円筒形状部分40を含む。パージガスは、圧力逃がし通路20および開口部23の内側をきれいに吹き飛ばし、フライアッシュの堆積物が取り除かれた状態にそれを維持するように使用され得る。
【0026】
圧力逃がし通路20の冷却される部分は、1200℃以上の高温にもなり得るガス化装置の内容物から、ラプチュアディスク38、39を熱的に遮蔽する。圧力逃がし通路20は、熱放出路を形成し、熱放出路は、例えば、冷却された環境の中で、ガス化装置の中の圧力を測定するために使用されることも可能である。
図1
図2