【実施例】
【0052】
(実施例1)
[化学式(3)で表される化合物の合成]
L−ロイシン520mg、3,5−ジニトロフェニルイソシアネート420mg、1M水酸化ナトリウム水溶液5mL及びテトラヒドロフラン1.5mLを室温で6時間攪拌した後、1M水酸化ナトリウム水溶液0.5mLを加えた。次に、体積比3:1の酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒6mLで3回分液した後、水相に3N塩酸1.5mLを加えた。さらに、酢酸エチル10mLで4回分液した後、油相を飽和塩化ナトリウム水溶液5mLで1回分液した。次に、油相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて乾燥させた。さらに、酢酸エチル2mLを加えた後、ヘキサンを加えて再結晶させ、粗結晶を得た。次に、粗結晶150mgにメタノール200μL及び0.1質量%塩酸水溶液100μLを加えた後、高速液体クロマトグラフのガリバー(日本分光社製)を用いて分取した。さらに、エバポレーターを用いて、分取されたフラクションを乾燥させた。次に、酢酸エチル35mLで2回分液した後、油相を飽和塩化ナトリウム水溶液5mLで1回分液した。次に、油相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて乾燥させた。さらに、酢酸エチル2mLを加えた後、ヘキサンを加えて再結晶させ、無色針状結晶の化学式(3)で表される化合物を得た。
【0053】
なお、化学式(4)で表される化合物は、L−ロイシンの代わりに、D−ロイシンを用いる以外は、化学式(3)で表される化合物と同様にして、合成することができる。
【0054】
[
1HNMR]
Unity Plus 500(Varian社製)を用いて、化学式(3)で表される化合物の重メタノール中の
1HNMRスペクトルを測定した(
図1参照)。
【0055】
[化学純度]
図1の
1HNMRスペクトルを用いて、化学式(3)で表される化合物の化学純度を分析したところ、99%以上であった。
【0056】
[光学純度]
高速液体クロマトグラフのナノスペースSI−2(資生堂社製)を用いて、化学式(3)で表される化合物の光学純度を分析したところ、99.8%以上であった。なお、分析条件は、以下の通りである。
【0057】
カラム:SUMICHIRAL(登録商標) OA−3200S(内径1.5mm、全長250mm)
温度:25℃
移動相:クエン酸の0.2mMメタノール溶液
移動相の流速:200μL/min
[アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子の作製]
平均粒径が5μm、平均細孔径が12.5nm、比表面積が300m
2/gの多孔質球状シリカゲル粒子10gを、水15mlと2−プロパノール15mlの混合溶媒中に分散させた後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン5gを加えた。次に、85℃に昇温して6時間反応させた後、ろ過した。さらに、メタノール及び蒸留水でろ物を洗浄した後、乾燥させ、アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子を得た。
【0058】
[充填剤の作製]
化学式(3)で表される化合物0.7gを水30mLに溶解させた溶液に、化学式(3)で表される化合物に対して、1.5モル当量の4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドを加えた後、室温で2時間撹拌した。次に、アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子1.25gを加えた後、室温で一晩反応させた後、ろ過した。さらに、メタノール及びクロロホルムでろ物を洗浄した後、乾燥させ、充填剤を得た。
【0059】
[カラムの作製]
内径が1.5mm、長さが250mmのステンレス鋼製の管に充填剤を充填してカラムを作製した。
【0060】
[アルギニン(Arg)のD体とL体の分離]
アルギニンの質量比が1:4のD体とL体の混合物50pmolを、pHが8.0の200mMのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)20μLと、40mMの4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾールの無水シアン化メチル溶液5μLを添加した後、60℃で2分間加熱して、蛍光誘導体化した。次に、0.5%トリフルオロ酢酸水溶液95μLを添加し、測定試料を得た。
【0061】
高速液体クロマトグラフSI−2(資生堂社製)にカラムを装着した後、以下の条件で測定試料2μLを注入し、アルギニン(Arg)のD体とL体を分離した。
【0062】
温度:25℃
移動相:メタノール
移動相の流速:150μL/min
[ヒスチジン(His)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の0.25mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比97.5/2.5)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、ヒスチジンのD体とL体を分離した。
【0063】
[プロリン(Pro)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、プロリンのD体とL体を分離した。
【0064】
[アラニン(Ala)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アラニンのD体とL体を分離した。
【0065】
[バリン(Val)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、バリンのD体とL体を分離した。
【0066】
[アロイソロイシン(allo−Ile)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アロイソロイシンのD体とL体を分離した。
【0067】
[イソロイシン(Ile)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、イソロイシンのD体とL体を分離した。
【0068】
[ロイシン(Leu)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、ロイシンのD体とL体を分離した。
【0069】
[アスパラギン(Asn)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アスパラギンのD体とL体を分離した。
【0070】
[グルタミン(Gln)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンの質量比が1:4のD体とL体と同様にして、グルタミンの質量比が1:4のD体とL体を分離した。
【0071】
[セリン(Ser)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1.5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比85/15)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、セリンのD体とL体を分離した。
【0072】
[アロトレオニン(allo−Thr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アロトレオニンのD体とL体を分離した。
【0073】
[トレオニン(Thr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、トレオニンのD体とL体を分離した。
【0074】
[メチオニン(Met)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、メチオニンのD体とL体を分離した。
【0075】
[フェニルアラニン(Phe)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、フェニルアラニンのD体とL体を分離した。
【0076】
[リシン(Lys)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、リシンのD体とL体を分離した。
【0077】
[アスパラギン酸(Asp)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アスパラギン酸のD体とL体を分離した。
【0078】
[グルタミン酸(Glu)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1.5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比85/15)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、グルタミン酸のD体とL体を分離した。
【0079】
[システイン(Cys)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、システインのD体とL体を分離した。
【0080】
[チロシン(Tyr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、チロシンのD体とL体を分離した。
【0081】
[トリプトファン(Trp)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、トリプトファンのD体とL体を分離した。
【0082】
図2に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0083】
図2から、全てのアミノ酸において、D体がL体よりも先に溶出していることがわかる。
【0084】
また、全てのアミノ酸において、ピークバレー比が2.0以上であり、シンメトリー係数が4.0未満であることから、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能が高いことがわかる。
【0085】
[ピークバレー比]
ピークバレー比は、D体由来のピークのベースラインからの高さをHp、D体由来のピークとL体由来のピークの間の高さが最も低い点(ピークの谷)のベースラインからの高さをHvとすると、式
Hp/Hv
から算出した(日本薬局方参照)。
【0086】
[シンメトリー係数]
シンメトリー係数は、ピークのベースラインからの高さの1/10の高さにおけるピークの幅をW、Wをピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線で二分したときのピークの立ち上がり側の距離をFとすると、式
S=W/(2×F)
から算出した。
【0087】
なお、医薬部外品原料規格では、Wとして、ピークのベースラインからの高さの1/20の高さにおけるピークの幅が用いられているが、比較例2のアルギニン(Arg)では、ピークの谷がピークのベースラインからの高さの1/20の高さよりも高い位置に存在するため、Wとして、ピークのベースラインからの高さの1/10の高さにおけるピークの幅を用いた。
【0088】
(比較例1)
カラムとして、SUMICHIRAL(登録商標) OA−2500S(SCAS社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、アミノ酸の質量比が1:4のD体とL体の混合物を分離した。なお、SUMICHIRAL(登録商標) OA−2500S(SCAS社製)の光学活性成分は、(S)−1−ナフチルグリシンである。
【0089】
図3に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0090】
図3から、プロリン(Pro)は、L体がD体よりも先に溶出するのに対して、プロリン(Pro)以外のアミノ酸は、D体がL体よりも先に溶出することがわかる。
【0091】
また、全てのアミノ酸において、ピークバレー比が2.0以上であり、シンメトリー係数が4.0未満であることから、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能が高いことがわかる。
【0092】
(比較例2)
カラムとして、SUMICHIRAL(登録商標) OA−3100S(SCAS社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、アミノ酸の質量比が1:4のD体とL体の混合物を分離した。なお、SUMICHIRAL(登録商標) OA−3100S(SCAS社製)の光学活性成分は、(S)−バリンである。
【0093】
図4に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0094】
図4から、全てのアミノ酸において、D体がL体よりも先に溶出していることがわかる。
【0095】
また、プロリン(Pro)のピークバレー比が1.6であり、トリプトファン(Trp)のピークバレー比が1.3であるのに対して、プロリン(Pro)及びトリプトファン(Trp)以外のアミノ酸のピークバレー比が2.0以上であった。一方、アルギニン(Arg)のシンメトリー係数が5.9であり、ヒスチジン(His)のシンメトリー係数が4.0であるのに対して、アルギニン(Arg)及びヒスチジン(His)以外のアミノ酸のシンメトリー係数が4.0未満であった。このため、プロリン(Pro)、トリプトファン(Trp)、アルギニン(Arg)及びヒスチジン(His)のD体由来のピークとL体由来のピークの分解能が低いことがわかる。
【0096】
なお、実施例1において、化学式(3)で表される化合物の代わりに、化学式(4)で表される化合物を用いて、充填剤を作製すると、全てのアミノ酸において、L体がD体よりも先に溶出する。
【0097】
本国際出願は、2012年1月31日に出願された日本国特許出願2012−018838に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2012−018838の全内容を本国際出願に援用する。