特許第5977765号(P5977765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977765
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】分離剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   G01N30/88 201W
   G01N30/88 201X
   G01N30/88 F
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-556504(P2013-556504)
(86)(22)【出願日】2013年1月31日
(86)【国際出願番号】JP2013052256
(87)【国際公開番号】WO2013115334
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2012-18838(P2012-18838)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浜瀬 健司
(72)【発明者】
【氏名】三田 真史
(72)【発明者】
【氏名】東條 洋介
(72)【発明者】
【氏名】隅田 如光
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−074896(JP,A)
【文献】 特開2009−031049(JP,A)
【文献】 Naobumi Oi et al.,Journal of Chromatography A,1995年 1月13日,Volume 689, Issue 2,Pages 195-201
【文献】 Regis Technologies Chromatography Catalog,2011年 8月13日,page 9,URL,https://web.archive.org/web/20110813201755/http://www.registech.com/Library/Catalog/RegisCatalog.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
B01J 20/22−20/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式
【化1】
で表される基又は化学式
【化2】
で表される基が表面に導入されていることを特徴とする分離剤。
【請求項2】
化学式
【化3】
で表される化合物又は化学式
【化4】
で表される化合物と、アミノ基が表面に存在する基材を縮合させる工程を有することを特徴とする分離剤の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の分離剤を有することを特徴とするカラム。
【請求項4】
請求項3に記載のカラムを有することを特徴とする液体クロマトグラフ。
【請求項5】
請求項3に記載のカラムを用いて、エナンチオマー又はジアステレオマーを分離する工程を有することを特徴とする分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、分離剤、分離剤の製造方法、カラム、液体クロマトグラフ、分離方法及び化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、哺乳類等の高等動物体内において、様々なエナンチオマーの存在が確認されており、エナンチオマーそれぞれが重要な機能を担っていることが解明されつつある。アミノ酸においては、L−アミノ酸がタンパク質の構成要素や栄養源として体内に多量存在するのに対して、そのエナンチオマーであるD−アミノ酸が体内に微量存在する場合が多い。このため、D−アミノ酸を分析する際に、多種多様なペプチドやアミノ化合物の妨害を受けることが多い。また、分解能の高い分析に用いられる質量分析法は、エナンチオマーの分離が原理的に不可能であるため、正確な定量分析をするために、分解能の高い光学分割技術の開発が望まれている。
【0003】
非特許文献1には、蛍光誘導体化したアミノ酸を、SUMICHIRAL(登録商標) OA2500S(住化分析センター社製)を用いて光学分割する方法が開示されている。
【0004】
特許文献1には、逆相カラムと光学分割用カラムを組み合わせた二次元HPLCが開示されている。
【0005】
しかしながら、アミノ酸のD体とL体の溶出する順序が一致しないことに加え、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−3558号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】"Pirkle改良カラムによるD−アミノ酸の測定法"、[online]、株式会社住化分析センター、Technical News、TN257、[平成24年1月28日検索]、インターネット<URL:http://www.scas.co.jp/analysis/pdf/tn257.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、アミノ酸のD体とL体の溶出する順序を一致させると共に、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能を向上させることが可能な分離剤及び該分離剤を製造することが可能な化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、分離剤において、化学式
【0010】
【化1】
で表される基又は化学式
【0011】
【化2】
で表される基が表面に導入されている。
【0012】
本発明の一実施形態は、分離剤の製造方法において、化学式
【0013】
【化3】
で表される化合物又は化学式
【0014】
【化4】
で表される化合物と、アミノ基が表面に存在する基材を縮合させる工程を有する。
【0015】
本発明の一実施形態は、化合物において、化学式
【0016】
【化5】
又は化学式
【0017】
【化6】
で表される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、アミノ酸のD体とL体の溶出する順序を一致させると共に、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能を向上させることが可能な分離剤及び該分離剤を製造することが可能な化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】化学式(3)で表される化合物のHNMRスペクトルである。
図2】実施例1のアミノ酸のクロマトグラムである。
図3】比較例1のアミノ酸のクロマトグラムである。
図4】比較例2のアミノ酸のクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0021】
分離剤は、化学式(1)で表される基又は化学式(2)で表される基が表面に導入されている。このため、アミノ酸のD体とL体の溶出する順序を一致させると共に、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能を向上させることができる。
【0022】
分離剤の形態としては、特に限定されないが、充填剤、連続多孔体等が挙げられる。
【0023】
分離剤は、化学式(3)で表される化合物又は化学式(4)で表される化合物と、アミノ基が表面に存在する基材を縮合させることにより製造することができる。
【0024】
化学式(3)で表される化合物又は化学式(4)で表される化合物と、アミノ基が表面に存在する基材を縮合させると、アミド結合が形成される。
【0025】
化学式(3)で表される化合物又は化学式(4)で表される化合物と、アミノ基が表面に存在する基材を縮合させる際に、縮合剤を添加してもよい。
【0026】
縮合剤としては、特に限定されないが、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド等のトリアジン系縮合剤、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系縮合剤等が挙げられる。
【0027】
なお、化学式(3)で表される化合物又は化学式(4)で表される化合物からカルボン酸ハロゲン化物を生成させた後、アミノ基が表面に存在する基材と反応させて、分離剤を製造してもよい。
【0028】
アミノ基が表面に存在する基材の形態としては、特に限定されないが、粒子、連続多孔体等が挙げられる。
【0029】
アミノ基が表面に存在する粒子の平均粒径は、通常、1〜200μmであり、1〜5μmが好ましい。
【0030】
アミノ基が表面に存在する粒子は、多孔質粒子であることが好ましい。
【0031】
アミノ基が表面に存在する多孔質粒子の平均細孔径は、通常、1〜50nmであり、8〜30nmが好ましい。
【0032】
アミノ基が表面に存在する多孔質粒子の比表面積は、通常、50〜800m/gであり、100〜600m/gが好ましい。
【0033】
アミノ基が表面に存在する多孔質粒子の市販品としては、Mightysil NH(東ソー社製)等が挙げられる。
【0034】
アミノ基が表面に存在する基材は、基材の表面にアミノ基を導入することにより製造することができる。
【0035】
表面にアミノ基を導入することが可能な基材を構成する材料としては、特に限定されないが、シリカ、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、アルミナ、粘土鉱物、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、ケイ酸化合物、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシメタクリル酸、ポリビニルアルコール、セルロース、アガロース、デキストリン、キサトン、ハイドロキシアパタイト、ジルコニア等が挙げられる。
【0036】
基材の表面にアミノ基を導入する方法としては、特に限定されないが、基材を窒素プラズマ処理する方法、基材をアンモニアプラズマ処理する方法、基材と表面処理剤を反応させる方法、基材をシリコーン気相処理する方法等が挙げられる。
【0037】
基材を窒素プラズマ処理する方法では、窒素ガス雰囲気下、低温プラズマを発生させることにより、基材の表面にアミノ基を導入する(例えば、Surface and Coatings Technology 116−119(1999)802−807,Colloids and Surfaces A:Physicochem.Eng.Aspects 195(2001)81−95,Macromol.Chem.Phys.200.989−996(1999)参照)。
【0038】
基材をアンモニアプラズマ処理する方法では、アンモニアガス雰囲気下、低温プラズマを発生させることにより、基材の表面にアミノ基を導入する。
【0039】
基材と表面処理剤を反応させる方法では、アミノ基を有するアルコキシシラン、クロロシラン、シラザン等のシランカップリング剤を用いて、加水分解によりシラノール基を生成することが可能な基、シラノール基、半金属酸化物由来のヒドロキシル基及び/又は金属酸化物由来のヒドロキシル基が表面に存在する基材の表面にアミノ基を導入する。
【0040】
基材をシリコーン気相処理する方法では、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを用いて、基材の表面にヒドロシリル基を導入した後、アミノ基を有するアルケンを反応させることにより、基材の表面にアミノ基を導入する(例えば、特公平1−54379号公報、特公平1−54380号公報、特公平1−54381号公報参照)。
【0041】
アミノ基を有するアルケンとしては、特に限定されないが、ビニル基を有するアミン、アクリル基を有するアミン等が挙げられる。
【0042】
なお、アルケンが有するアミノ基は、ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等により保護されていてもよい。
【0043】
また、アミノ基を有するアルケンの代わりに、エポキシ基等の、例えば、ジアミンとの反応により、アミノ基を導入することが可能な基を有するアルケンを用いてもよい。
【0044】
光学分割カラムは、前述の分離剤を有するが、充填剤が管に充填されていてもよいし、連続多孔体が管に固定されていてもよい。
【0045】
管を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、樹脂、ガラス、石英等が挙げられる。
【0046】
液体クロマトグラフは、前述の光学分割カラムを有するが、アミノ酸又はアミノ酸の誘導体を分離することが可能な逆相カラムをさらに有することが好ましい(例えば、特許文献1参照)。この場合、逆相カラムを用いて、アミノ酸又はアミノ酸の誘導体を分離した後、光学分割カラムを用いて、分離されたアミノ酸又はアミノ酸の誘導体のD体とL体を分離することにより、生体試料中のD−アミノ酸及びL−アミノ酸の含有量を一斉に分析することができる。
【0047】
なお、アミノ酸又はアミノ酸の誘導体を分離することが可能な逆相カラムを有する液体クロマトグラフを用いて、生体試料に含まれるアミノ酸又はアミノ酸の誘導体を分取した後、前述の光学分割カラムを有する液体クロマトグラフを用いて、分取されたアミノ酸又はアミノ酸の誘導体のD体とL体を分離してもよい。
【0048】
また、固相抽出法を用いて、生体試料に含まれるアミノ酸又はアミノ酸の誘導体を抽出した後、前述の光学分割カラムを有する液体クロマトグラフを用いて、抽出されたアミノ酸又はアミノ酸の誘導体のD体とL体を分離してもよい。
【0049】
アミノ酸としては、不斉炭素を有していれば、特に限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン等が挙げられる。
【0050】
アミノ酸の誘導体を合成する際に用いられる試薬としては、特に限定されないが、4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール、o−フタルアルデヒド、イソチオシアン酸フェニル、フルオレサミン、ダンシルクロライド等が挙げられる。
【0051】
なお、前述の分離剤、光学分割カラム及び液体クロマトグラフは、アミノ酸及びアミノ酸の誘導体以外のエナンチオマー又はジアステレオマーの分離にも適用することができる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
[化学式(3)で表される化合物の合成]
L−ロイシン520mg、3,5−ジニトロフェニルイソシアネート420mg、1M水酸化ナトリウム水溶液5mL及びテトラヒドロフラン1.5mLを室温で6時間攪拌した後、1M水酸化ナトリウム水溶液0.5mLを加えた。次に、体積比3:1の酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒6mLで3回分液した後、水相に3N塩酸1.5mLを加えた。さらに、酢酸エチル10mLで4回分液した後、油相を飽和塩化ナトリウム水溶液5mLで1回分液した。次に、油相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて乾燥させた。さらに、酢酸エチル2mLを加えた後、ヘキサンを加えて再結晶させ、粗結晶を得た。次に、粗結晶150mgにメタノール200μL及び0.1質量%塩酸水溶液100μLを加えた後、高速液体クロマトグラフのガリバー(日本分光社製)を用いて分取した。さらに、エバポレーターを用いて、分取されたフラクションを乾燥させた。次に、酢酸エチル35mLで2回分液した後、油相を飽和塩化ナトリウム水溶液5mLで1回分液した。次に、油相に硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、エバポレーターを用いて乾燥させた。さらに、酢酸エチル2mLを加えた後、ヘキサンを加えて再結晶させ、無色針状結晶の化学式(3)で表される化合物を得た。
【0053】
なお、化学式(4)で表される化合物は、L−ロイシンの代わりに、D−ロイシンを用いる以外は、化学式(3)で表される化合物と同様にして、合成することができる。
【0054】
HNMR]
Unity Plus 500(Varian社製)を用いて、化学式(3)で表される化合物の重メタノール中のHNMRスペクトルを測定した(図1参照)。
【0055】
[化学純度]
図1HNMRスペクトルを用いて、化学式(3)で表される化合物の化学純度を分析したところ、99%以上であった。
【0056】
[光学純度]
高速液体クロマトグラフのナノスペースSI−2(資生堂社製)を用いて、化学式(3)で表される化合物の光学純度を分析したところ、99.8%以上であった。なお、分析条件は、以下の通りである。
【0057】
カラム:SUMICHIRAL(登録商標) OA−3200S(内径1.5mm、全長250mm)
温度:25℃
移動相:クエン酸の0.2mMメタノール溶液
移動相の流速:200μL/min
[アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子の作製]
平均粒径が5μm、平均細孔径が12.5nm、比表面積が300m/gの多孔質球状シリカゲル粒子10gを、水15mlと2−プロパノール15mlの混合溶媒中に分散させた後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン5gを加えた。次に、85℃に昇温して6時間反応させた後、ろ過した。さらに、メタノール及び蒸留水でろ物を洗浄した後、乾燥させ、アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子を得た。
【0058】
[充填剤の作製]
化学式(3)で表される化合物0.7gを水30mLに溶解させた溶液に、化学式(3)で表される化合物に対して、1.5モル当量の4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドを加えた後、室温で2時間撹拌した。次に、アミノ基が表面に存在する多孔質球状シリカゲル粒子1.25gを加えた後、室温で一晩反応させた後、ろ過した。さらに、メタノール及びクロロホルムでろ物を洗浄した後、乾燥させ、充填剤を得た。
【0059】
[カラムの作製]
内径が1.5mm、長さが250mmのステンレス鋼製の管に充填剤を充填してカラムを作製した。
【0060】
[アルギニン(Arg)のD体とL体の分離]
アルギニンの質量比が1:4のD体とL体の混合物50pmolを、pHが8.0の200mMのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)20μLと、40mMの4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾールの無水シアン化メチル溶液5μLを添加した後、60℃で2分間加熱して、蛍光誘導体化した。次に、0.5%トリフルオロ酢酸水溶液95μLを添加し、測定試料を得た。
【0061】
高速液体クロマトグラフSI−2(資生堂社製)にカラムを装着した後、以下の条件で測定試料2μLを注入し、アルギニン(Arg)のD体とL体を分離した。
【0062】
温度:25℃
移動相:メタノール
移動相の流速:150μL/min
[ヒスチジン(His)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の0.25mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比97.5/2.5)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、ヒスチジンのD体とL体を分離した。
【0063】
[プロリン(Pro)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、プロリンのD体とL体を分離した。
【0064】
[アラニン(Ala)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アラニンのD体とL体を分離した。
【0065】
[バリン(Val)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、バリンのD体とL体を分離した。
【0066】
[アロイソロイシン(allo−Ile)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アロイソロイシンのD体とL体を分離した。
【0067】
[イソロイシン(Ile)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、イソロイシンのD体とL体を分離した。
【0068】
[ロイシン(Leu)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、ロイシンのD体とL体を分離した。
【0069】
[アスパラギン(Asn)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アスパラギンのD体とL体を分離した。
【0070】
[グルタミン(Gln)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンの質量比が1:4のD体とL体と同様にして、グルタミンの質量比が1:4のD体とL体を分離した。
【0071】
[セリン(Ser)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1.5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比85/15)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、セリンのD体とL体を分離した。
【0072】
[アロトレオニン(allo−Thr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アロトレオニンのD体とL体を分離した。
【0073】
[トレオニン(Thr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の2mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比80/20)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、トレオニンのD体とL体を分離した。
【0074】
[メチオニン(Met)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、メチオニンのD体とL体を分離した。
【0075】
[フェニルアラニン(Phe)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、フェニルアラニンのD体とL体を分離した。
【0076】
[リシン(Lys)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、リシンのD体とL体を分離した。
【0077】
[アスパラギン酸(Asp)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、アスパラギン酸のD体とL体を分離した。
【0078】
[グルタミン酸(Glu)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1.5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比85/15)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、グルタミン酸のD体とL体を分離した。
【0079】
[システイン(Cys)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の5mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比50/50)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、システインのD体とL体を分離した。
【0080】
[チロシン(Tyr)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の3mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比70/30)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、チロシンのD体とL体を分離した。
【0081】
[トリプトファン(Trp)のD体とL体の分離]
メタノールの代わりに、クエン酸の1mMメタノール/アセトニトリル混合溶媒(体積比90/10)溶液を用いた以外は、アルギニンのD体とL体と同様にして、トリプトファンのD体とL体を分離した。
【0082】
図2に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0083】
図2から、全てのアミノ酸において、D体がL体よりも先に溶出していることがわかる。
【0084】
また、全てのアミノ酸において、ピークバレー比が2.0以上であり、シンメトリー係数が4.0未満であることから、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能が高いことがわかる。
【0085】
[ピークバレー比]
ピークバレー比は、D体由来のピークのベースラインからの高さをHp、D体由来のピークとL体由来のピークの間の高さが最も低い点(ピークの谷)のベースラインからの高さをHvとすると、式
Hp/Hv
から算出した(日本薬局方参照)。
【0086】
[シンメトリー係数]
シンメトリー係数は、ピークのベースラインからの高さの1/10の高さにおけるピークの幅をW、Wをピークの頂点から記録紙の横軸へ下ろした垂線で二分したときのピークの立ち上がり側の距離をFとすると、式
S=W/(2×F)
から算出した。
【0087】
なお、医薬部外品原料規格では、Wとして、ピークのベースラインからの高さの1/20の高さにおけるピークの幅が用いられているが、比較例2のアルギニン(Arg)では、ピークの谷がピークのベースラインからの高さの1/20の高さよりも高い位置に存在するため、Wとして、ピークのベースラインからの高さの1/10の高さにおけるピークの幅を用いた。
【0088】
(比較例1)
カラムとして、SUMICHIRAL(登録商標) OA−2500S(SCAS社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、アミノ酸の質量比が1:4のD体とL体の混合物を分離した。なお、SUMICHIRAL(登録商標) OA−2500S(SCAS社製)の光学活性成分は、(S)−1−ナフチルグリシンである。
【0089】
図3に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0090】
図3から、プロリン(Pro)は、L体がD体よりも先に溶出するのに対して、プロリン(Pro)以外のアミノ酸は、D体がL体よりも先に溶出することがわかる。
【0091】
また、全てのアミノ酸において、ピークバレー比が2.0以上であり、シンメトリー係数が4.0未満であることから、D体由来のピークとL体由来のピークの分解能が高いことがわかる。
【0092】
(比較例2)
カラムとして、SUMICHIRAL(登録商標) OA−3100S(SCAS社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、アミノ酸の質量比が1:4のD体とL体の混合物を分離した。なお、SUMICHIRAL(登録商標) OA−3100S(SCAS社製)の光学活性成分は、(S)−バリンである。
【0093】
図4に、アミノ酸のクロマトグラムを示す。
【0094】
図4から、全てのアミノ酸において、D体がL体よりも先に溶出していることがわかる。
【0095】
また、プロリン(Pro)のピークバレー比が1.6であり、トリプトファン(Trp)のピークバレー比が1.3であるのに対して、プロリン(Pro)及びトリプトファン(Trp)以外のアミノ酸のピークバレー比が2.0以上であった。一方、アルギニン(Arg)のシンメトリー係数が5.9であり、ヒスチジン(His)のシンメトリー係数が4.0であるのに対して、アルギニン(Arg)及びヒスチジン(His)以外のアミノ酸のシンメトリー係数が4.0未満であった。このため、プロリン(Pro)、トリプトファン(Trp)、アルギニン(Arg)及びヒスチジン(His)のD体由来のピークとL体由来のピークの分解能が低いことがわかる。
【0096】
なお、実施例1において、化学式(3)で表される化合物の代わりに、化学式(4)で表される化合物を用いて、充填剤を作製すると、全てのアミノ酸において、L体がD体よりも先に溶出する。
【0097】
本国際出願は、2012年1月31日に出願された日本国特許出願2012−018838に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2012−018838の全内容を本国際出願に援用する。
図1
図2
図3
図4