(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
はじめに、固相合成化学に関する従来技術を説明する。
【0003】
セルロースと結合したペプチド配列の生成についての有益な考察として、非特許文献1:Hilpert Kら「Cellulose-bound peptide arrays: Preparation and applications, Biotechnol. Genet. Engineer. Rev. 2007, 24:31-106」がある。Hilpertらは、セルロースが遊離ハイドキシ基を備えた多糖であり、これらのハイドキシ基がアミノ基よりも反応しにくいことから、アミノ酸の直接の結合はしばしば低い収率につながることを示している。セルロースをペプチドの合成に適したものにするため、セルロースの面が修飾されて官能基をハイドキシ基からアミノ基に変更する。さらに、セルロース上のアミノ基に対してよりよいアクセスを可能にするため、セルロースの修飾はしばしば、スペーサ分子の挿入を含むことが示されている。官能化の後、アミノ酸は活性エステル(例えばペンタフルオロフェニルエステル)溶液として、あるいはin situ活性化化合物として結合されるものとして示される。in situ活性化は、大部分はカップリングの前にDIC(N, N'-ジイソプロピルカルボジイミド) およびHOBt (N-ヒドロキシ・ベンゾトリアゾール)によってすぐに行われるものとして説明されている。Hilpertらの34〜42頁を、特にセルロースおよびペプチドの合成の前処理を説明するものとして、ここに参照する。ペプチド配列をスクリーニングするための技術は、同じ刊行物内で後に説明される。Hilpertらはまた、非セルロース基質(33頁)および非ペプチド化合物(43頁)の合成について言及している。
【0004】
非特許文献2:Mutulis Fら「J.Comb.Chem.2003,5:1−7」は、綿ディスクを使用したランダムでないペプチドライブラリを提供する方法を示す。ディスクは(DCM中25v/v %)TFAで(綿のヒドロキシ基をプロトン化するために)活性化された。ペプチド合成を可能にするためにハンドルが綿に取付けられ、試薬分子へのアクセスを可能にし、さらにリンカーはそれからハンドルに取付けられ、Fmoc固相合成のための反応部位を供給した。ハンドルは6−アミノカプロン酸(H
2N-(CH
2)
5-COOH)であり、リンカーはFmoc Rinkリンカー4−[(2,4−ジメトキシフェニル)(Fmoc―アミノ)メチル]―フェノキシ酢酸であった。異なるアミノ酸配列を持つペプチドは、それから異なるディスク上に合成された。
【0005】
セルロース上のオリゴヌクレオチド配列の合成は、非特許文献3: Frank Wら「Nucl. Acids. Res. 1983, 11:4365−4377.」に示される。ペーパーディスクは結合により前処理されて、MSNT(1-(メシチレン-スルホニル)−3−ニトロ-1 ,2,4,-トリアゾール)の存在下において、カルボキシ基とセルロースのヒドロキシ基との縮合により、保護されたヌクレオシド−3’−コハク酸エステルはディスクに結合される。脱保護の後、ジメトキシトリチル化されたベース被保護リン酸ジエステルは、前処理されたペーパーディスクに結合し、ジメトキシトリチル化されたベース被保護リン酸ジエステルのビルディングブロックは段階的に結合して、反応後のオリゴヌクレオチドを形成する。
【0006】
非特許文献4: Fromont Cら「Chem. Commun. 2000, 283−284」は、レジンビーズの形における固相の積載を増加させるための3分岐した対称形のデンドリマーの使用について示す。著者らは、18倍の積載を伴う3分岐した対称形のデンドリマーの合成を示す。3つの機能を持つデンドリマーモノマーはアクリロニトリルを有するトリスのアルキル化によって大量に準備され、その後乾燥したMeOH中のHCI飽和溶液のニトリル加水分解がメチルエステルを与えた。メチルエステルのヒンダードアミノ基は、BoC
2OおよびDMAPを伴う処理によって、安定した対称形のモノマーを与えるためにKnolkerが示すように対応するイソシアン酸塩に変わった(非特許文献5:Knolker H-Jら「Angew. Chem., Int. Head. Engl. 1995, 34:2497」参照)。アミノメチルポリスチレンレジンはイソシアン酸塩と共に直接誘導体化される。メチルエステルはプロパン-1 ,3-ジアミンによって置換された。2世代のデンドリマービーズを与えるために、プロセスが繰り返された。分析物または生物学的な分子を付着させるための基質としてのガラスの使用は、周知である。例えば、非特許文献6: Millipore Data Sheet 「DNA Nucleoside Controlled Pore Glass CPG(登録商標)media」は、ホスホロアミダイト化学を使用しているオリゴヌクレオチドの固相合成のためのDNA−CPG生成物の使用について説明している。データシートは非特許文献7:「Lit. No. DS0010EN00 Rev. A 03/06.」に示される。
【0007】
非特許文献8: Shenoy N Rら,「Protein Sci.1992,i:58-67」には、カルボン酸修飾したポリエチレンのポリペプチドのための固相サポートとしての使用について示される。ペプチドは、ペプチドのN末端アミノ基をフィルムの活性化したカルボキシル基に結合することによって結合される。カルボン酸修飾したポリエチレン(PE−COOHフィルム)は、ニューヨーク、ロングアイランドのPall社によって提供された。1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を活性化剤として使用したときに、共有結合したペプチドの最高の収率が得られた。
【0008】
それはさらに、いわゆる「クリア」レジン(架橋エトキシレートアクリル樹脂)を固相ペプチド合成のためのサポートとして使用することで知られている。この種のクリア製品は、特許文献1:米国特許第5910554号明細書および特許文献2: 米国特許第5656707号明細書に開示されて、Peptides International, Inc.によって製造される。
【0009】
非特許文献9: Sanghvi Y Sら,「Pure AND Applied Chemistry, 2001 , 73:i75-180」には、オリゴヌクレオチド合成のための再使用可能な固体サポート化学物質を示している。再使用可能な固体サポート技術は、第1のヌクレオシドの3'−端とヒドロキシル官能化したサポートの間におけるヒドロキノンアセト酢酸スペーサアームの使用に基づく。化学的作用の詳細は非特許文献10: Pon R T ら「Nucleic Acids Research, 1999, 27: 15-31.」に発表された。
【0010】
固相合成の成果に関する論文として、非特許文献11:「Sucholeiki,Molecular Diversity,1999,4:25-30.」がある。新たな固相合成のサポートとしては、架橋ポリオキシエチレン−ポリスチレン、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンおよびTentaGel担体に結合したポリアミドアミンデンドリマーTentaGelを含む。
【0011】
タンパク質の固相ペグ化は、非特許文献12: Lee B K ら「in Bioconjugate Chem., 2007, 18: 1728-1734.」に開示される。遺伝子組み換えインターフェロンα-2aは、陽イオン交換樹脂に吸収され、またN末端でmPEGアルデヒドによって、還元剤としてNaBH
3CNを使用した還元的アルキル化を通じてペグ化された。
【0012】
ポリマーのますます重要な種類は、有機半導体ポリマーである。非特許文献13: Turner Dら,「Mat. Res.Soc. Symp. Proc, 2003, 771: L8.8.1-L8.8.5」には、有機半導体のための固相合成の方法が記載されている。その方法は、ゲルマニウムベースのリンカーおよびスズキタイプのクロスカップリングプロトコルを使用し、レジオレギュラーオリゴ−3−アルキルチオフェンおよびオリゴアリールアミンの反復合成について示している。Turnerらの文献は本明細書において全体として組み入れ、Turnerらの1,2,3および4に関して参照する。
【0013】
固相合成技術、試薬および基質のさらなる情報として、非特許文献14: 「Organic Synthesis on Solid Phase: Supports, Linkers, Reactions, Florencio Zaragoza Dorwald, Wiley-VCH, Second Edition, 2002, ISBN 352730603X.」がある。
【0014】
移動固相を使用して行われる方法に関して、次の従来技術で説明される。
【0015】
特許文献3:欧州特許出願公開第0385433号明細書は、固体担体上での連続した合成のための方法および装置を開示する。固体担体は例えば、帯または糸の形で、官能基を有し、関係する合成の反応および処理段階に対応するシーケンスの連続した反応および処理区域に通される。反応および処理区域は液体の槽の形で、前の合成ステップからきた担体は一対のローラーの間で押圧されて、前のステップからの液体のほとんどを取除く。
【0016】
特許文献4: 欧州特許出願公開第1304162号明細書はフレキシブルな長尺ウェブの面上のポリマー配列の準備のための方法および装置を開示する。装置は投射ヘッドおよび任意に他の処理ステーションを備え、それは試薬の槽および水槽を有する、後者は洗い落とすためのものである。蛍光を検出するための検出ステーションを備えることもできる。ウェブは、連続した段階で行われる連続した処理のための装置のこれらのさまざまな段階に通される。
【0017】
特許文献5: 米国特許出願公開第2002/0001544号明細書は、液滴のハイスループット処理のための方法および装置を開示している。液滴は、移動面が移動する1つ以上の試薬付与ステーションから、移動面上へ投与される。コンビナトリアル合成を行い、移動面上の化学反応の生成物上で直接アッセイを行うことができる。
【0018】
本出願の優先日前に公開されておらず、「Swedish Biomimetics 3000 Ltd」の名称によるPCT/GB2008/002288は、長尺材料とその上に与えられる物質を含み、長尺材料が少なくとも1つの反応区域を通過してその区域内で前記物質と反応する固相反応方法を開示する。長尺材料は複数の反応および洗浄区域を通過し、試験装置によって、長尺材料からデータを収集することができる。反応区域は、好ましくは導管であると説明されている。導管は、対面配置で互いに係合する3つの立方形のブロックを備える装置によって定められ、2つのブロックを端の位置に、また3つ目のブロックを中央の位置に配置して、各端ブロックはその中央ブロックに係合する面に溝を有し、中央ブロックの装置内を通過して、もう一方のブロックの溝に連通する。とりわけ、各端ブロックは、中央ブロックと係合する面に形成された溝を有し、装置は通常状態(動作配置状態で)で見ると、溝が端ブロックの上部から延びて、ブロック底部の上方で終端する。中央ブロックは貫通する開口を有し、その開口にはローラーを取付けることが好ましい。中央ブロックのそれぞれの係合面がそれぞれの溝を閉鎖し、中央ブロックの各面に導管を画成し、中央ブロックの開口は導管に相互に連通し、そこにおいて、中央ブロックの各側面および2つの導管および開口を含む連続した導管を画成する。適切な入口または出口が長尺材料および流体のために提供される。
【0019】
上記の全ての従来技術文献は、全体として全ての目的において参照により本明細書に援用する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本明細書および請求の範囲の記載全体にわたって、用語「備える(comprise)」と「含む(contain)」、およびそれらの変化形は、「を包含するがこれに限られない。」ことを意味し、それらは、他の部分、付加物、構成要素、整数あるいはステップを除外することを目的としない(および除外しない)。
【0047】
本明細書および請求の範囲の記載全体にわたって、単数は、文脈において特に要求がない限りは複数を含む。特に、不定冠詞が使われる箇所において、本明細書(明細書および特許請求の範囲の記載の両方を含む)における文脈において特に要求がない限り、単数と同様に複数を意図するものと理解される。
【0048】
本発明の特定の態様、実施形態または実施例とともに説明される特徴、整数、特性、化合物、化学物質の一部または基は、不適合でない限りは、本明細書中の他のいかなる態様、実施形態または実施例に適用できると理解される。本明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される全ての特徴、および/またはあらゆる方法または開示されるプロセスにおける全てのステップは、少なくともそれらの特徴および/またはステップが相互に矛盾するものを除いて、いかなる組合せにおいても組合せることができる。本発明は、いかなる上述の実施形態における詳細にも制限されない。本発明は本明細書(いかなる添付の請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のあらゆる新規のものもしくはあらゆる新規の組み合わせ、または同様に開示される方法またはプロセスのあらゆる新規のものもしくはあらゆる新規の組み合わせにも及ぶ。
【0049】
読者の注意は、本明細書と並行してまたは本明細書よりも前に出願され共に公開される本願に関連する全ての書類および文書に向けられ、参照によりそれら書類および文書の開示全体を本明細書に援用する。
【0050】
本発明は、固相合成において使用する装置および方法を含むものである。固相の化学反応については、当業者に説明の必要はないが、それでもなお、読者は、固相合成において使用する材料および方法についてのさらなる情報のために「背景技術」の見出し以下で言及される刊行物に目を向ける。
【0051】
本明細書で使用する用語「プレート」は、前後の文脈に応じて、単数または複数の面を定める部材を指すものとする。用語「プレート」は、部材が薄いことを意味するものではなく、すなわち、1つの寸法がその他の二つの寸法よりも著しく小さい値をとるものではない。したがって例えば、用語「プレート」と「ブロック」の間に差異がないことがあり、両方の用語が同じ意味を持つことができる。それでいて、材料コストを節約するためにプレートは薄くてもよいが、これは技術的に必須の要素ではなく、本発明のいくつかの実施形態において特徴であったとしても、薄さは本発明の特徴ではない。典型的なプレートの形状は通常、立方形の形状であるが、これは技術的に必須の条件ではなく、本発明のいくつかの実施形態において特徴であったとしても、立方形の形状は、本発明で使用されるプレートの特徴ではない。
【0052】
本発明は移動固相を含むプロセスに関し、同様にこの種の方法において使用するためのシステムおよび装置に関する。この種の方法、装置およびシステムの下位部材についても本発明の範囲に含む。
【0053】
本発明は概して、移動固相と移動流体相とが接触するいかなるプロセスにも関連する。プロセスの間、したがって、固相は移動するまたは移動することができる。例えば、固相の移動は実質上連続的な移動とみなすことができる(実際は高い周波数のステップで回転するステップモータによる連続的な移動を含む。)。いくつかの実施形態において、固相はプロセスの実行中に静止して、それから、他のプロセスのために別の装置に移動する。他の実施形態において、固相はプロセスの段階の動作の間に、断続的に移動する。流体相は少なくとも開示のプロセスの一部において流れ、それは連続的に流れることができる。したがって本発明は、固相が例えばプロセスの一部または全体において、固相を取り囲む流体の流れと接触する実施形態を含む。流体はプロセスの間、連続的に流れていることができるが、いくつかの実施形態において流体の流れは非連続である。多くの実施形態において、固相および流体相は共に、プロセスの始まりから終わりまで連続的に移動する。
【0054】
明らかなように、流体は概して液体であるが、ガスでもよい。この開示のために、用語「液体」は、液体に似た材料、例えば、発泡体やゲルを含む。
【0055】
固相は長尺形状で、例えば長尺でフレキシブルな膜またはコードである。それは基質を含み、例えば天然のまたは合成の高分子の、綿および他のセルロースでできた材料である。代わりの材料は「背景」の見出しで上述した内容と同様に、本明細書中で後述する。プロセスは、基質を修飾する(例えば、活性化、官能化、官能性を変える)役割を持ち、いずれの場合においても、基質を固相に結合する準備をすることができる。したがって、固相は結合した物質を備えることができ、しばしば共有結合し、しかししばしば非共有結合する。非共有結合は、吸着とすることができる。それは、水素結合、イオン結合またはファンデルワールス力、あるいはそれらの組合せを含むことができる。物質はスペーサまたはリンカー、あるいはそれらの組合せとすることができ、その作用は固相に対する第2の物質の結合(例えば共有結合)を促進することである。基質に結合する物質は、出発物質または合成プロセスの中間生成物を含むことができ、例えば、モノマー、オリゴマーあるいは、最終生成物のポリマーの調整時に中間生成物として形成される中間体ポリマーとすることができる。最終生成物はしたがって、反復ユニットを有する物質を備えることができる。最小のこの種の物質は二量体、例えばジペプチドである。多くの場合、反復ユニットの数は2より大きく、最終生成物はポリマー、例えば生物学的ポリマーまたは非生物学的ポリマーとすることができる。反復ユニットを有する物質はポリ(アミノ酸)とすることができる。生物学的ポリマーとして、上述のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび多糖類とすることができる。非生物学的ポリマーとして、上述の有機半導体ポリマーとすることができる。
【0056】
生成される特定のポリマーは有機半導体ポリマーとすることができ、例えば以下のターナーら(上記参照)の方法により生成される。適切な基質は、ヒドロキシ基を伴い官能化され、反応性のゲルミルリンカーを提供するためにさらに官能化される(ターナーらの
図3参照)。
【0057】
有機半導体分子の合成のための開示の装置および方法の適用例が、本発明に含まれる。本発明はしたがって、長尺固相に結合するための有機半導体ポリマーを含む。固相は本明細書中で説明されるものとすることができる。
【0058】
合成プロセスの間に備えられる、基質に結合する物質は合成の修飾を備えるプロセスに従う。例えば、生物学的または非生物学的な分子(例えば生物学的オリゴマーまたは生物学的ポリマー)は、1つ以上の糖類を結合することによって、(例えば、1つ以上の糖類を備える結合した基を有するアミノ酸、ポリペプチドまたは脂質を提供するために)変更することができる。分子(例えば反応後のポリマー、例えば反応後のPEGまたは多糖類)は直接的または間接的に基質に結合する物質(例えばポリペプチド)に結合することができる。間接的な結合の一実施例は、ポリ(アミノ酸)を通して、プロテアーゼにより切り離し可能な配列を含む。このような切り離し可能なポリ(アミノ酸)は、脂質(例えば脂肪酸)を他の分子(例えばポリペプチド)に結合させるために使用することができる。
【0059】
基質に結合された物質は出発物質または分子を形成するための合成プロセスの中間生成物とすることができるが、反復ユニット(例えば、分子量が例えば1000未満(任意に500未満)の有機小分子)を有していない。
【0060】
固相がそれを結合させる合成の中間生成物または出発物質である場合、固相は固相合成プロセスを受ける。他のプロセスにおいて、固相に結合した物質は、例えばアッセイの実行などの他のプロセスを除けば、合成的利用を目的としない。概して、アッセイとは、物質を更なる物質に対して露出して、2つの間の相互作用をモニタリングして、任意に測定することを含む。例えば相互作用は酵素および基質の場合のように、結合、あるいは反応または他の状態の変化を備えることができる。アッセイは、物質を2つまたはそれ以上の物質に露出することを含み、例えば、第1の生物学的構造に対して、例えば第1の生物学的構造に相互に作用する分子および第2の生体分子を露出する。この場合、アッセイはモニタリング、および任意に測定を含み、あらゆる基質に結合する物質によって発生する相互作用における抑制を含む。アッセイの中で使用される基質に結合した物質は、生物学的構造とすることができ、例えば生体分子、またはアッセイでの使用を目的とした合成分子であり、生物学的構造または構造は、少なくとも質的な感覚において生物学的構造の活量を有する。タンパク質の断片を備える分子の場合、その断片は少なくとも質的に、タンパク質の結合活性を有する。
【0061】
開示のプロセス、または開示の装置の使用においては、分子の合成と、そしてそれをアッセイすることを含むことができる。あるいは、プロセスは合成を含み、その後合成された分子は基質から切り離される。あるいはプロセスは、予め合成された物質(化学的に合成される、生物学的な細胞、または生命体)のアッセイを含み、基質に結合する。開示は、合成および/またはアッセイを含むプロセスに限定されるものではなく、固相と流体相の処理を含むあらゆるプロセスは、開示により包含されることを再強調する。それは当然、プロセスは概して、固相がフレキシブルで長尺形状のものとして表現されることを要求すると理解される。
【0062】
図1は、したがって、移動長尺固相1を流動流体相2で処理するためのプロセスを示し、固相1および流体相2を導管3の内腔を通して移動させて、2つの相1および2を相互に接触させることを含む。また、
図1においては、ここで述べる方法の実行に使用するための装置を示し、流動流体相2および移動長尺固相1を共に含む内腔を画成する導管3を備える。装置は必然的に、内腔と連通して移動固相を内腔に入れ、そこを通過させて、外に出すことができる固相ポートと同様に、内腔と連通して流体相を内腔に入れ、そこを通過させて、外に出すことができる流体相ポート7,8を有する。これらのポートはさらに後述する。使用中、流体相ポートは流体供給源および流体流出ラインとそれぞれ連通する。概して、本発明の装置の流体相ポートは、管または配管に連結し、任意にコネクタ(
図1に示さない)によってポートに接続し、それは確実に装置に連結することが必要である。入口の管または配管は、直接または間接的に流出源または流体リザーバに連結することができるのに対して、流出の管または配管は直接または間接的に、例えば、ドレーンまたは流体を再利用するために再処理する(例えば、不要な種を除去する)ための設備に連結することができる。導管の横断面の形状は本発明にとって特に重要ではなく、したがって円形でも非円形でもよい。固相1がリボンの形である場合、導管は、(比較的短い寸法に対して直交する)リボンの幅に応じた比較的長い寸法を持つことができ、例えば、導管は概して横断面を長方形とすることができる。しかしながら、開示は実施形態を有し、その中で固相はリボンの形であり、導管は横断面が円形または長方形である。既に言及したように、導管の横断面形状は本発明にとって重要ではなく、開示する個々の形状に限定されない。
【0063】
固相1を液体相2で処理するプロセスは、所望のプロセスを実行するために2つの相を共に接触させることである。本発明は、実行されるプロセスの性質に関しては制限されないが、多くの場合プロセスは、固相合成の段階、アッセイの段階、または固相合成の一部もしくはアッセイなどの一部、固相の洗浄のいずれかを含む。
【0064】
本発明は、固相1または液体相2の性質に関して制限されない。2つの相の性質は少なくとも部分的に、実行されるプロセスによって決まる。長尺固相1は概して、フレキシブルな長尺のウェブまたはリボンを含む。リボン形状は体積比に対する面積を増加させるため、有利だと考えられるが、本発明は他の固相の形状を含み、例えば紐や糸でもよい。
【0065】
固相1は基質を備え、任意にそれに結合した物質を備えることができる。基質の材料は織物もしくは不織布または他の繊維性材料、例えば多様な繊維を備える紐または糸を含むことができる。例外的に、固相は単繊維とすることもできる。多くの実施形態において、基質は、例えばリボン形状のポリマーフィルムを含むことができる。
【0066】
固相1が固相合成に使用される上で、基質が綿または他のセルロース系材料を備えることはしばしば有効であり、それはセルロース系材料が多孔質で、親水性で、フレキシブルで、多くの有機溶媒の中で安定していることに加え、綿に物質が結合する上で役に立つ官能基であるヒドロキシ基を持つためである。綿に代わるものとして、通常の紙材は充分な強さを有しそうにないが、他のセルロース系材料を用いることができる。綿のリボン(すなわち代表的なセルロース系の固相)の使用については、本明細書において後述する。
【0067】
セルロース系材料に代わるものとして、合成ポリマー、例えばポリマーフィルムまたは繊維ウェブとすることができる。ポリマーフィルムは、単層フィルムまたは多層フィルムを備えることができ、処理される物質の結合に適した面を有する。固相を、あるいは固相の面を形成する典型的な合成ポリマーは、米国特許第5910554号明細書および米国特許第5656707号明細書で開示されるカルボン酸修飾したポリエチレン「クリア」レジンおよび再使用可能な固体サポートを含む。
【0068】
更なる代替の基質は、ガラス繊維ウェブまたはリボンである。
【0069】
流体相は、反応性ガス(例えばオゾン)を備えるガス相とすることができる。オゾンを使用する実施例としては、生成物を固相サポートから取り出すために、オゾン分解によって起こるスルホンリンカーの切り離しがあげられ、Chang Y-Fらの「Tetrahedron Letters, 2008,49:543-547.」に開示される。多くの場合、流体相は、液体相である。液体は水性液体または非水溶液体を備えることができ、あるいは、それは混合できる液体の化合物を備えることができる。液体は、溶媒であってもよい。あるいは、液体は、溶液、1つ以上の溶質を含む溶媒(例えば水もしくは有機溶媒)、または溶媒の化合物とすることができる。液体相は、エマルジョンまたは分散系を備えることができる。液体は、例えば保護基の追加、保護基の除去、官能基の活性化、または合成ビルディングブロック(例えばアミノ酸、ヌクレオチド、糖類または他の生物学的ポリマー形成ユニット(しばしばモノマーであるが、常にではない))の追加等の固相合成の段階において、固相と化学反応するための少なくとも1つの試薬を含むことができる。導管3によって定められる内腔において行われるプロセスは洗浄プロセスであり、液体相は概して溶媒(例えば単一の溶媒化合物または溶媒化合物の化合物)を備える。
【0070】
導管は適切に、流体相に対して実質的に不活性な材料を備える面を持つ。例えば、面を定めている内腔は、固相ペプチド合成、固相核酸合成または固相多糖類合成において使用する試薬にたいして不活性な材料を備えることができる。典型的にはガラス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、セラミック材料または不活性金属材料(例えばステンレス鋼、チタン合金またはニッケル合金)である。不活性合金は、登録商標ハステロイ(Hastelloy)の下で市販である。ガラスおよびPTFEは、例えば、通常の使用において接触する全ての化学薬品に不活性である。内腔を定める面は、不活性材料の組合せで形成することができる。多くの場合、単一の不活性材料が、用いられる。単一のまたは複数の不活性材料は、導管を定める装置の全部を、または少なくとも内腔を定める面上のコーティングを形成することができる。
【0071】
図1に戻ると、導管3は、まっすぐな導管または通路の形のために方向が変化を伴わないことがわかる。これは本発明のいくつかの実施形態における特徴である。
【0072】
図1における導管3は、反対のプレートを備える装置内に形成され、すなわち、第1プレート4および第2プレート5が反対の対面関係に配置され、それらの間で、平行な方向に延在する導管の長さを一対のプレートによって定める。プレート4および5は、装置の清掃および再組立てを容易にするために着脱自在に相互に連結していてもよい。第1プレート4および第2プレート5の少なくとも1つは、他のプレートに向かっているその面において、反対のプレートに向かっている方向において開いている溝6を有し、固相および流体相の受入および取出しのために必要な場合を除いて、第1プレート4および第2プレート5が互いに係合して溝を閉鎖することができる。図示の実施形態において、ちょうど2つのプレートの1つがそこに形成されるこの種の溝を有する、すなわち、装置が動作可能な位置にあるときに第2プレート5は装置のそこに配置される。
【0073】
上述のように、
図1に示される装置は、流体相が内腔に入って、その中を通過して、そこを出ることができるように、内腔3と連通する流体相ポート7および8を備える。装置はさらに、移動固相が内腔に入って、そこを通過して、そこを出ることができるために、内腔3と連通する固相ポート9および10を備える。2つの相は内腔の外側で実質的に切離され、そのため、
図1の装置は、流体流出ポートにおいて吸込みながら作動される。他の実施形態において、装置は、内側から、(この特定の場合においては)内腔3から、固相ポート9および10を通って流体が出るのを防ぐことができる。例えば、装置は、装置の使用を考慮するときに、流体相が液体の場合、固相ポート9および10を通って液体相が流出されることを、流体相ポート7および8の上方に固相ポート9および10を配置することによって防ぐことができる。
図1において、固相ポート9および10は、第1(上側)プレート4に形成されるそれぞれのポート溝11および12の上端において画成される。
【0074】
いうまでもなく、
図1の装置で固相1は、2本のポート溝11、12と導管3の間の接合部において方向を変える。ガイドローラー13および14の領域は、固相1を導きそれぞれ方向を変える効果を提供する。2つのガイドローラーは自由に回転可能とすることができる。概して、固相1は固相を移動するのに役立つ駆動ローラーを係合する、そして、ガイドローラー13、14の内の少なくとも1つは駆動ローラーとすることができる。いかなる駆動ローラーも、電気モータまたは他の駆動装置(図示せず)に適切に連結する。
【0075】
プレート4および5の接続する面ができる限り平坦であることが、液体の漏出を減少または防止するために有効である。さらにまたはあるいは、固体ガスケットまたはいわゆる「液体ガスケット」は、プレートの間の接点において備えることができる。液体ガスケットは、処理装置で使用される溶媒に不溶性のグリースとすることができる。一つの実施例において、シリコングリースが、液体ガスケットとして用いられて、例えばプレートの結合面に塗られる。固体ガスケットは、PTFEシートとすることができる。2つのガスケット(例えば2つの固体ガスケット、または固体ガスケットと液体ガスケット)を持つ二重閉じ込めシステムを用いることができる。本発明の実施形態の1つの種類は、流動流体相を移動固相と接触させる装置を備え、それは、直接または間接的に各々を係合する面を有するプレートによって定められる導管を備える。この段落において言及する特徴は、開示のいかなるこの種の装置にも適用することができる。
【0076】
固相は、流体相と同様に装置を通っていずれの方向にも移動することができる。
図1の矢印で示すように、流体相2は固相1に対して反対の流れの方向に移動することができる。すなわち、2つの相は導管3を通って反対の向きに移動することができる。あるいは、2つの相は共同に移動できる。すなわち、同じ速度か違う速度かに関わらず導管3を通って同一の方向に移動することができる。固相の移動は断続的でも連続的でもよく、連続的な移動がより一般的だと認識される(この文脈において、ステップモータによって駆動される移動は、連続的であると考慮される。)。同様に、連続した液体の流動が一般的と想定されるが、本発明は断続的な流体の流れの利用も含む。概して、固相および流体相は、連続的に移動する。
【0077】
固相は本発明の装置を出た後、それは1つ以上のさらなるプロセスの場所へ移動して、(例えば本明細書において後述するように)それぞれに固相を伴うプロセスを実行することができる。最終的に、移動固相を伴う全てのプロセスの完了後、固相は再利用することができ、適切にはこの目的のためのプロセスの後、バッチ処理を前提とした長さに切り、(例えば、固相に結合した分子を切り離す)あるいは処分する。
【0078】
移動固相を液体相で処理するための装置の従来技術は、PCT/GB2008/002288(本出願の優先日前に発表されていない)の実施形態を除いて、導管の代わりに固相を液体相のタンクに通すものであった。導管の使用は、重要な利点を有する。特に、タンク内の液体の構成物およびタンクの全体にわたる構成物のバリエーションの配置は、制御することができない。したがって、固相が液体試薬または洗浄剤のタンクを移動するにしたがって、反応を受けまたは固相から解放された物質を洗浄することで液体構成物は変化する。さらに、液体相の構成物は時間のみならず空間においても変化する。これは固相から離れた液体の体積は固相と近い液体の体積と比較して、比較的変化しないためである。新しい液体相を連続的にタンク内に注入して、対応する流量を流出する場合であっても、タンク内の液体構成物を充分に制御することとはならない。これは、タンク内の複雑な液体の流れが、結果として異なる体積のタンクの液体を異なる割合で置換えることによる。対照的に、流動流体の流れを使用することで、構成物および流体の連続的な交換において精密な制御が可能になる。流体の流れおよび/または固相の移動は導管の状態を調節するために管理することができる。例えば、導管を通る固相をモニタリングして、導管内で行われるプロセスが不充分に実行されていることが明らかになった場合、液体の流れの速度が上昇する。任意に、この調整は、自動化されたモニタリングおよび制御システムの制御の下で自動的に行うことができる。
【0079】
導管の試薬組成物が流体の流れの変化に高度に反応することができるのと同様に、導管の液体の温度は流入する流体の温度の変化に高度に反応することができる。
【0080】
図1に関連して示す方法および装置の特有の効果は、それらが固相および流体相の流れを逆向きにすることが可能なことである。この種の逆流の処理は、導管を出る固相を、試薬の濃度が最も高い、あるいは洗浄剤の場合少なくとも固相から洗い落とされる不純物を実質的に含まない最新の流体相に接触させることを保障する。このような逆流のプロセスはしたがって、導管から出る固相の品質を最高にすることを可能にする。
【0081】
図2〜10は、移動長尺固相を流動流体相に接触させるための装置の第2実施形態を示す。それは、装置が流動流体相と移動長尺固相を共に入れるための内腔を画成する導管と、共に内腔に連通して各々の相を内腔に入れ、内腔を通過させ、内腔から出すことができる流体相ポートおよび固相ポートとを備え、固相ポートを通って内部の流体が流出することを防ぐことができる装置を想起させる。
図2〜10の装置は特に、液体相である流体相を伴う使用に用いられる。
【0082】
図2〜10はさらに、本発明の別の態様を示す。すなわち、異質なプロセスを実行するためのモジュールシステムを示し、以下を備える。長手方向に移動する長尺固相1を流動流体相に接触させるための複数の処理アセンブリ100を備え、処理アセンブリ100は、モジュール配列によって提供され、各アセンブリは互いに接触する移動固相および流動流体相が入る内腔を画成し、各アセンブリは、第1の側面上に第2の前記アセンブリ100の一部を、第2の側面上に第3の前記アセンブリ100の一部を、着脱可能に結合することができ、3つの前記処理アセンブリを備える処理区域を連続して形成し、長尺固相が処理区域内の処理アセンブリを通って移動するための連続した通路を画定する。モジュール配列は、複数の処理アセンブリ(例えば順番に配置されて、それによってアセンブリが共同して固相通路を提供する)を有するモジュールを備えることができる。モジュール配列は、モジュールとして提供される個々のアセンブリ100またはそれらの1つ以上を備えることができる。
【0083】
それは本発明の装置の特徴であり、したがって、それらが固相の通路を形成する。このような通路は、通路に沿って固相を導くための1つ以上のガイドローラーを有し、例えば処理装置の外側に固相を導くのと同様に、任意に、処理装置の範囲内に導く。ガイドローラーは回転自在とすることができ、あるいはローラーを駆動して固相を動かすためのモータに連結することも可能である。本発明の装置またはシステムの1つ以上のガイドローラーは、この方法により駆動ローラーとすることができる。
【0084】
異質のプロセスを実行するためのモジュールシステムはさらに、直接的または間接的に固相を通路に沿って移動させるための駆動力として用いる制御可能な駆動装置を備える駆動モジュール、システムの動作中に処理アセンブリと関連した定位置を維持するように取付けられる駆動モジュールに適用されるシステム、処理装置に流れる制御された流体相を供給するための制御可能な流体計測装置を備える計測モジュール、流体計測モジュールに適用されシステムの動作中に処理アセンブリと関連した定位置を維持するように取付けられるシステム、固相が処理区域を通過した後、固相のパラメータを検出するために配置されたセンサを備えるセンサモジュール、センサモジュールに適用されシステムの動作中に処理アセンブリと関連した定位置を維持するように取付けられるシステム、流体相が処理区域を通過した後に流体相のパラメータを検出するために配置されたセンサを備えるセンサモジュール、センサモジュールに適用されシステムの動作中に処理アセンブリと関連した定位置を維持するように取付けられるシステム、および、センサならびに駆動装置および流体測定装置の少なくとも1つによる信号伝達に適応し、センサから入力信号を受け取り少なくとも駆動装置および流体測定装置の1つに出力信号を送るために検出パラメータに応答して、駆動装置および流体計測装置の少なくとも1つを制御するようにプログラムされているプロセッサ、の1つまたは組合せを含むことができる。実施形態において、モジュールシステムは駆動装置を備えていない。
【0085】
モジュールシステムはさらに、処理アセンブリ、駆動モジュール、計量モジュール、およびセンサモジュールを取付けることができるフレームを備えることができる。少なくともいくつかの処理アセンブリを1つ以上の処理装置のスタックの中に配置することができ、その、またはそれぞれのスタックは、複数の処理アセンブリを収容するハウジングを備えたモジュールであり、複数の処理アセンブリは互いに連結し、またそのスタックのための共通の流体供給源に流体連通して、その、またはそれぞれのスタックはフレーム上に取付けることができる。
【0086】
開示には、異質なプロセスを実行するためのモジュールシステムを含み、システムは、長手方向に移動長尺固相を流動流体相に接触させるための複数の処理装置100を備える。それぞれの装置100を、ユニットを構成するものとして示し、少なくとも、互いに接触する移動固相および流動流体相が入る導管を画成する。装置は、モジュールまたは複数のモジュールを備える「スタック」として共に保持される。複数の処理装置100は、連続する複数の装置を通って、上流から下流に向かう方向に長尺固相を移動させるために連続した通路を定める。
【0087】
とりわけ、
図2〜10は、異質のプロセスを実行するためのモジュールシステムを示し、複数のこの種の処理装置100を備え、それぞれの装置は第2のこの種の装置100の上流の場所に、および第3の前記装置100の下流の場所に対して着脱可能に連結でき、連続した通路を定める処理区域を形成し、長尺固相が連続する装置をとおって、上流から下流に向かう方向に移動する。この種のモジュールシステムは、あらゆる数の個々の処理装置を備えるスタックのアセンブリを可能にする。すなわち、モジュールまたは処理装置100のスタックを提供するとき、システムは、この種のスタックの指定されたサイズに充分に対応することができる。
【0088】
図2〜10に示される実施形態において、それぞれの処理装置100は、上述のように移動長尺固相を流動流体相に接触させるための装置を構成するものと理解される。とりわけ、流体相は液体相である。後に詳細に述べるように、装置が直立した姿勢の構成をとるとき、固相ポート107,108は流体相ポート109,110の上方に空間をあけて配置される。
【0089】
さらにより詳細に後述するように、
図2〜10は実施形態の種類を示し、その中で導管103は方向が変わる部分を有する。とりわけ
図2〜10において、実施形態のこの種の部分を示し、その中で導管103は2つのアームを備え、導管の方向が変わる部分で相互に連結する。装置は作動時(使用中)の配置において、2つのアームが直立して、その下端において相互に連結して流体を通す。
図2〜10はさらに、実施形態の種類の部材を示し、その中で導管は方向が変わる部分を有し、その部分にローラー115を備え、その回転軸線は固相の移動方向に対して直交して、方向が変化する部分で固相を導くように配置される。
【0090】
図1と同様に
図2〜10の実施形態は装置を開示して、導管103は複数の着脱可能に相互連結したプレートによって定められ、プレートは反対の対面関係にある一対のプレートを備え、反対の面が、それらの間で一対のプレートと平行な方向に延びる導管の長さを定める。とりわけ、各処理装置または
図2〜10に示す装置100は、3つのプレート116,117および118を備えるように示される。プレート116,117および118は概して一般的には立方形の形状であり、それらの形状に関わらず、それらはそれぞれ2つの反対の面を備える。各装置の3つのプレートは、対面関係で相互に連結して、通常、相互の連結は図示のように着脱可能とし、洗浄または廃棄のための各装置の分解を容易にする。3つのプレートは、相互に連結され、中間プレート117が第1端プレート116と第2端プレート118の間にあり、相互に連結したプレートがユニットを形成し、ユニットは、使用状態でユニットの最上部に配置された上端119と、使用のために方向付けされた状態でユニットの最下部に配置された下端120を持つ。中間プレート117はその中でユニットの下端120に向かう開口121を有し、中間プレート117の2つの面の間の流路を定める。開口121は、そこにおいて、回転可能に配置されるローラー115を有する。
【0091】
第1端プレート116および中間プレート117はそれらの間で導管の第1アームを画成し、第2端プレート118および中間プレート117はそれらの間で導管の第2アームを画成し、2つのアームはユニットの上部からユニットの下部に向かう方向に延び、開口121において終結するとともに流体接続する。導管の2つのアームは、固相ポート107、108および、流体相ポート109,110にそれぞれ連通する上側部分を有し、各アームの固相ポートは流体面のポートから空間をあけて上方に配置される。通常、各ユニットの2つの固相ポートは、各ユニットの2つの流体相ポートから空間をあけて上方に配置される。両固相ポート109,110は液体相ポート107,108から上方に空間をあけて配置されていることが図示の実施形態において認められ、それは流体相として液体相を適用する本発明の特定の実施形態における特徴となる。
図2〜10の装置はしたがって、液体相から固相を切り離すために重力を利用し、そして上述のように、これは本発明における多くの実施形態の特徴である。液体相を本発明の装置の固相から切り離すために重力を使用することに代わるものとして、適切なシールを用いることができ、そして、これは流体相としてガス状のものを使用した場合における装置の特徴である。
【0092】
図2〜10の実施形態をより詳細に見て、中間プレート117は
図5に示される。中間プレート117は、反対の面122および123を持つことが確認できる。それぞれの反対の面122および123は、そこにおいて形成されたそれぞれの溝124,125を有する。溝124,125は中間プレート117の上端から貫通した開口121に延び、それは中間プレート117の反対の面122,123の間の溝を形成する。開口121の一部はローラー115にふさがれ、図示の実施形態においてベアリング126のなかで回転可能にローラー115は取付けられる。図示の実施形態においてベアリング126は開口121にぴったりとはめ込まれる。いくつかの実施形態において、固定手段が開口121のベアリング126を保持するために提供される。いずれにしても、中間プレート117は通常(しかし常にではなく)、開口121に取付けられるローラー115を備える。固相および液体相が通過するための溝は、ローラー115とベアリング126の間に形成される。開口121およびいかなる付随するローラーおよび任意のベアリングのデザインに関わらず、完成されたユニット100の中間プレート117が、中間プレート117の一面からもう一方の面まで、固相および液体相の通過のための貫通した溝を形成することは、図示の実施形態における特徴である。
【0093】
2つの端プレート116および118は、異なる構成要素の数を減らすために、同一のデザインとすることが好ましい。しかしながら、これは、本発明の必須の条件ではない。
【0094】
図1に関して説明されるように、3つのプレート116,117および118の連結する面は、流体の漏出を減らすかまたは予防するためにできる限り平坦であることが好ましい。さらにまたはあるいは、また
図1に関して示されるように、固体のガスケットまたはいわゆる「液体ガスケット」はプレートの間の接合部において提供される。液体ガスケットとして、処理装置内で使用される溶媒に不溶性のグリースを使用することができる。一実施例において、シリコングリース液体ガスケットが使用され、例えばプレートの結合面に塗られる。固体ガスケットとしては、PTFEシートがあげられる。2つのガスケット(例えば2つの固体ガスケットまたは固体ガスケットと液体ガスケット)を有する二重閉じ込めシステムを用いることができる。
【0095】
各中間プレート117のそれぞれの反対の面122および123はしたがって、それぞれの溝124および125を提供し、完成した装置において、それぞれの端プレート116または118に面した方向に開口する。完成した装置において、第1端プレート116は中間プレート117のそれぞれの面122,123と対面関係にある。溝124とそこに面した端プレート116が装置100の導管の第1アームを画成するとき、溝125とそれに面した端プレート118が導管の第2アームを画成する。導管の2つのアームは開口121を通して互いに連通している。また図示の実施形態においてより詳しくは、任意のローラー115とその任意のベアリング126の間で形成される自由な体積を通して互いに連通している。
【0096】
図4において最も明確に見られるように、溝125は拡がっている上方領域127を有し、また反対の溝124はミラーイメージの構造である。したがって、
図4に示す本発明の実施形態において、第1および第2のアームは、溝の残りの部分より大きな断面積をもつ上方領域を有する。溝125の下部の狭い領域(溝の長さの大部分を占める)は、図示の実施形態に示されるように、リボンの形の長尺固相にぴったり適合するようにデザインされる。これは本発明の任意の特徴として示され、導管の内腔に比較的ぴったりと固相がはめ込まれる。例えば、これにより流体の静的な体積に起因するあらゆる危険を回避することができる。図示の実施形態において、溝125はトラフの形で、長方形の3つの壁として配置された3つの壁を有する。図示の実施形態において、長方形のより長い壁(すなわちトラフの底)は、22mmの幅のリボンをぴったりとおさめるために22mmの幅または22mmよりも少し大きい(例えば23〜24mmの)幅をもつ。トラフの深さ(短い壁の高さ)は1.2mm〜2.5mmが好ましく、例えば1.5mm〜2mmである。22mm×2mmの断面寸法のトラフの形の溝の場合には、移動固相(移動リボン)が、液体相の上部においてメニスカスを溝125の上部から引出す傾向にあり、液体の流出を引き起こす危険性があることがわかっている。22mmから27mmに上方領域の幅を大きくすることで、液体の流出の危険性をかなり減少させられることがわかっている。一般に、本発明の装置は直立した領域を備える導管を備え、開いた固相ポートにおけるその上端で終端し、固相ポートからの液体の流出のいかなる危険も、固相ポートに隣接する溝の上方領域の断面を拡大することによって減らすことができると考えられている。さらに、固相の運転中の速度、固相材料の識別、液体相の構成物および導管の寸法を含む多くの要素が、固相ポートからの液体の流出の危険性に影響を与えると考えられており、したがって、固相ポートの上向きの面付近で断面積が拡大した領域をもつ導管を有することにより、どのような状況で効果を奏するかを特定することはできない。それにもかかわらず、概して、固相ポートの上向きの面付近で断面積が拡大した領域をもつことにより、固相ポートの外側に液体が流出するあらゆる危険性を減らすことができるといえる。
【0097】
上述のように、中間プレート117の反対の面122,123は、それぞれの溝の開口の外向きの面を閉鎖するためにそれぞれの端プレート116,118によって係合する。異なるデザインの構成要素の数を減らすために、第1端プレート116および第2端プレート118が共通のデザインであることが好ましいが、必須ではない。したがって、
図5は、端プレート116および同一の端プレート118を示す。端プレート116は、そこにおいて流体相ポート109を定め、それは使用時において、対向する中間プレート117の溝125および端プレート116によって定められる導管のアームと流体連通する。同様に、端プレート118はそこにおいて、対向する溝124および端プレート118によって定められる導管のアームと流体連通する流体相ポートを定める。使用時における流体相ポート109、110は、装置の導管と流体の流出ラインの間を連通させる。
図2〜10の実施形態において、流体相ポートはそれぞれの端プレート116,118の反対の面の間で貫通する穴の開口として定められる。
【0098】
要約すると、
図2〜10の実施形態のそれぞれの装置100は、端プレートの対応する面に係合する、反対の面を持つ中央プレートを備える。各端プレートおよびその係合する中間プレートの面は、それらの間で導管のアームを定め、装置が使用時のように配置されるときに、装置の上端において定まる上向きの固相ポートの面から中央プレートの2つの面の間の貫通する開口まで延び、その貫通する開口は、固相および流体相が装置の使用のときに通過できる体積を有する。貫通する開口は通常、中央プレートの下端付近に配置される。導管の各アームは、中央プレートのそれぞれの面における溝がその隣接する端プレートに係合することにより定められ、またはPCT/GB2008/002288で図示されるように、導管の各アームが、各端プレートの面に形成された溝と係合する中央プレートの面の間で定められる。しかしながら、本発明はこれらの2つの構成配置に限定されず、他の構造が予想される。それは、中央プレートの両側の面および係合する端プレートの面における溝の配置を含み、同様に、非対称の配置を含む。それは導管の一方のアームを、中央プレートの溝および係合する端プレートの平坦面で画成し、導管のもう一方のアームを、中央プレートの平坦面および当接する端プレートの係合する面に形成される溝により画成する。
【0099】
図4に示される中央プレートにおいて、中央プレートは薄板構造で、センターパネルおよびそれぞれの溝つきスロット129、トラフ型の溝124および125の側壁を形成するスロットの側壁を有する。これは、単に中央プレートがとりうる1つの構造であり、一体成形の中央プレートを含む多くの他の変形が可能である。
【0100】
使用において、各装置100の3つのプレートは着脱不可能に、または着脱可能に相互に連結する。この点において、相互の連結は着脱可能で、洗浄または他の目的で装置を分解することができることが好ましい。概して、プレートは共に着脱可能に固定される。この種の固定は、着脱可能な留め具により行われることが好ましく、例えばボルトおよびナットの構成によるものである。これをうけて、端プレート116および118、および中央プレート117は、そこに形成されたボルト穴を有する。組立てられたユニット100において、各プレートのそれぞれのボルト穴は、他の2つのプレートの対応するボルト穴と一直線に並び、そして各々の一直線に並ぶボルト穴のセットはボルトまたは他の留め具を挿通させる。
【0101】
図2,3,6,7および8に示す各装置100は、複数の処理装置を備えるモジュールシステムに取入れられたものとして示されて、処理装置は、連続する装置を通って長尺固相が移動するための連続した通路を画成する処理区域を形成する。複数の装置は共に装置のスタックを形成して、さらに、組み立てられたスタックで、個々の装置は各々に着脱自在に連結する。実際、図示の実施形態に置いてスタックは、それぞれの装置の端プレートおよび中央プレートを形成するために一緒に固定される個々のプレートを備える。したがって処理装置のスタックは、各処理装置を定めるために対面関係で係合する複数のプレートを備えるスタックであり、各処理装置は反対の面を有する中央プレートを備え、各面はそれぞれの端プレートと係合する。中央プレートのそれぞれの反対の面および係合した端プレートは、導管のアームを画成し、また、2つの導管のアームは連通し、それによって、互いに接触した状態で移動長尺固相および流動流体相を入れるための内腔を画成する導管を形成する。アクセスポートは、固相および液体相が導管に入ることおよび出ることを可能にし、固相ポートは任意に2つのアームの上向きの口として定られ、流体相ポートは固相ポートの下側に空間をあけて配置し、重力によって2つの相の実質的な分離を可能にする。
【0102】
示された実施形態において、各装置100は、それぞれ独自の3つのプレート116,117および118のセットを備える。隣接する処理装置100の端プレートの間にスペーサプレート130が位置し、1つ以上のスペーサプレート130が隣接する端プレートの間に配置される。図示の実施形態において、スペーサプレート130は端プレート116および118と似たデザインであり、連結した処理装置100の間に連続した液体溝を形成するための貫通穴を有し、それによって、例えば、液体は第1の装置から流体相ポート109を通って出て、それから第1処理装置の端プレート116の貫通穴、相互に連通したスペーサプレート131の貫通穴および、第2の処理装置100の係合する端プレート118の相互に連通した貫通穴を経て、隣接する第2の処理装置100の流体相ポート110に移動する。スペーサプレートは、各々の装置100の間の固相の通路に沿って配置されるローラーのための空間を許容する。このようなローラーは、特に
図7および8に関連して後述する。
【0103】
図示の実施形態において、処理装置のスタックは、スペーサプレート131と異なるデザインのターミナルプレート132を有する。しかしながら、他の実施形態においてターミナルプレートおよびスペーサプレートは同一のデザインである。
図6に示すように、ターミナルプレート132は組立てられたスタックにおいて貫通穴を有し、隣接する端プレート116または118の対応する貫通穴と液体連通し、隣接する処理装置100に液体を入れるまたは出すことを可能にする。図において、貫通穴133は、ターミナルプレート132のサイドゲート134において終端するために直角の屈曲を有して示される。
【0104】
図2〜9に示される処理装置のスタックは、複数の処理装置を備え、第1ターミナルプレート132のターミナル液体ポート135と第2ターミナルプレート132の第2ターミナル流体ポート135の間に連続した液体の流動通路を形成する。連続する処理装置100の液体ポートはしたがって、互いに液体連通して、1つの処理装置100から次のものへ液体の流体通路を形成する。別の実施形態において、しかしながら、スペーサプレート131は、連続する処理装置の間でスペーサプレート131の両側に液体連通するための貫通穴を有していないが、その代わりに、スペーサプレートはアクセス可能な液体ポートをスペーサプレートの端部に備え、液体をアクセス可能な液体ポートを通ってスタックに入れるおよびスタックから出すことを可能にし、各スペーサプレートは適切に、第1処理装置100に連通する第1のアクセス可能な液体アクセスポート、および第2処理装置100の流体相ポートに連通する第2のアクセス可能な液体ポートを有する。
【0105】
上述したように、他の実施形態は複数のスペーサプレートを連続する処理装置100の間に備えるのに対して、本発明の処理装置スタックのいくつかの実施形態において、スペーサプレート131は完全に省かれる。本発明はさらに、隣接する処理装置100が共通の端プレートを共有するスタックを含み、これにより、スタックは複数の中央プレート117を備え、隣接する中央プレートは、連続した処理装置100の両方にとっての端プレートとしての役割をする1つのプレートによって隔てられる。
【0106】
処理装置のスタックは、スタックの連続する装置を通る単一の液体流動通路を形成することができ、あるいは、各処理装置の液体流動通路は別の処理装置の液体流動通路と分離していることができ、さらに代わりとして、少なくとも2つの連続した処理装置が共通の流動通路に沿って配置され、少なくとも1つの他の処理装置が分離した液体流動通路上に位置する。しかしながら、異なる形態が長尺固相に関してあてはまる。これは、スタックの全ての処理装置が、同じ固相のための共通の処理区域を形成するのに役立つ。したがって、固相通路は連続する処理装置の間に形成されることで、固相は第1の処理装置の導管から出て、その固相ポートを通って、隣の連続した処理装置の固相ポートに入ることになる。この目的のために、
図7および8に実施例として示されるように、ガイドローラーを連続する処理装置の間に設けることができる。
【0107】
図7〜10は処理装置スタック99を示し、以下に記載するように、それは処理装置100およびあらゆるスペーサプレート131およびターミナルプレート132に加えて、処理装置およびガイドローラーを含む付随部品を収容するハウジングを有する。
【0108】
したがって、
図7は複数の回転可能なローラー136が固相をその通路に沿って導くように配置されていることを示す。具体的には、処理装置100の間で固相を導くためのローラー136が示され(この場合、図示のスタックの3つの処理装置100の間で、2つの中間ローラーが固相を導くのに役立つ)また、さらにローラー136は、スタックの最初と最後の処理装置の外側で固相を導くために配置される。
【0109】
各ローラーは自由に回転可能とすることができ、あるいは、固相を動かすための駆動ローラーとして作用するために、駆動されることができる。例えば、単一の被駆動ローラーまたは複数の被駆動ローラーおよび、
図7および8に示すように、全てのローラーが駆動されることができる。したがって、各ローラー136は軸137に取付けられ、各軸137は歯車138を持ち、共に軸で回転するように取付けられる。図示の実施形態においては4つのローラーを備え、したがって、4つの軸137および4つの関連した歯車138を備えるが、
図7および8は単に他の多くの可能性の中の1つの構成を示すに過ぎない。歯車138は、それぞれの軸(明確さのために図示しない)において自由に回転する中間の歯車139を通して互いに連結される。ローラーの軸137の1つ、この場合では137aと表された軸は電気モータまたは他の適切な駆動装置によって、この場合、軸に取付けて駆動ベルトまたは駆動チェーン(図示しない)と係合して回転するホイール140によって、駆動されるのに適する。被駆動軸137aは、あるいは、モータに直接、または1つ以上のギアを介して駆動されるように配置される。ローラー136の厳密な配置位置は重要でない点を再度強調するとともに、
図7〜9は実施形態を図示したものであり、処理装置スタックに付随する少なくとも1つのローラーは駆動ローラーであり、電気モータまたは他の駆動装置に連結するように、あるいは連結した状態で示される。
【0110】
実施形態において、被駆動軸137aは、1つ以上の処理装置の中間的なスタックを介してモータまたは他の駆動装置に連結される。それは本発明のいくつかの実施形態における特徴であり、したがって、処理装置は、固相を動かすためのローラーを有する駆動システムをそれぞれ備えるモジュールスタックに配置され、スタックは、接続される隣接したスタックの駆動システムに適合する。このように、第1スタックの駆動システムに連結するモータまたは他の駆動装置は、1つ以上のスタックを、第1スタックの媒介物を介して駆動することができる。
図7〜10の実施形態において、スタックは137bとして示される駆動軸を備え、それは第2スタックのローラーを駆動するために第2スタックに連結することができ、それは例えば、駆動軸137bに取付けてと共に回転するホイール1406(明確なため
図7〜9では省いた)および、第2スタックの被駆動ホイール140と連結するベルトまたはチェーンを経由する。
【0111】
ハウジングの残りの部分については、
図7,8および9から直ちに明らかであるので、詳述しない。ハウジングはこの場合、6個のサイドパネル141〜146からなり、立方形状の箱の6つの側面を形成するために共にボルト締めすることができることがわかる。駆動ベルトホイール140は露出したままであり、この場合スロット147によって長尺固相にアクセスすることができる。サイドパネル141〜146によって定められるハウジングはさらに、流体工学のシステム(流体供給源および流体流出ライン)にアクセスすることができ、この場合は、流体工学アクセス穴149、およびターミナル液体相ポート135と液密に連結する任意のコネクタ150による。
【0112】
図10は、フレームに取付けられた2つのモジュール処理スタックを示す。2つのスタック99のローラー駆動システムは互いに連結して、1つのスタックのローラー駆動システムが他のスタックのローラー駆動システムにより駆動され、それはモータまたは他の駆動装置に次々に連結する。具体的には、第1のスタックの駆動ホイール140bは、ベルト180によって第2のスタックの被駆動ホイール140に連結される。モジュール99はフレームに取付けることができ、レール181によって示される。
【0113】
長尺固相は例えば
図8に示すように、そのパネルを取外すときにスタック99に通すことができる。この実施形態において、スタックはそこを通る固相の自動給送に適応する。
【0114】
開示の装置の導管の装置の典型的な寸法は、本明細書において上述した。単一の完結したユニットではプロセスの導管の長さが不足な場合、プロセスは直列に配置した複数のこの種のユニットにおいて実行することができ、それによって、プロセスの導管の合計の長さを拡張することができる。この種の複数のユニットは単一のモジュールまたはスタックに収められることが好ましく、このために、モジュールまたはスタック内の全ての装置は1つ以上の中間処理ユニットを介して、あるいは介さずに共通の流体供給源と流体連通することが好ましい。
【0115】
本発明の実施形態において、エネルギー源はエネルギーを発するために、少なくとも、装置の導管の一部分に配置され、移動長尺固相と流動流体相を接触させる。エネルギー源は、超音波振動子、マグネトロン、レーザ、発光ダイオード、水銀灯または他のUV供給源、あるいは他の電磁放射の供給源、あるいは熱源を備えることができる。当然のことながら、エネルギー源の組合せを利用することもでき、同時にまたは空間をあけて、複数のエネルギー源から導管にエネルギーを発することができる。このようなエネルギー源を組み込んでいる装置の実施例を、
図11,12および13に示す。
【0116】
図11は、超音波振動子を援用する処理装置スタックの処理装置100を構成するプレートの分解図である。
図2〜9の実施形態において、各処理装置100は中央プレート117および端プレート116,118が一緒に導管および他の関連したポートを形成する。スペーサプレートは隣接する処理装置100の間に配置される。この場合、スペーサプレートは、適切な電力供給に接続することができる1つ以上の超音波振動子151を備える振動子プレート150の形で形成される。
図2〜9の実施形態の場合、振動子プレート150は、連続する処理装置100の間に液体連通するための貫通穴を有し、処理装置は共通の液体流動通路に沿って配置される。あるいは、各処理装置の液体流動通路はその他の処理装置の液体流動通路と接続していなくてもよく、またはいくつかの処理装置は共通の液体流動通路に沿って配置され、少なくとも1つのほかの装置が同じ液体流動通路を共有しないとすることもできる。振動子151は他のエネルギー源(例えば電磁放射、例えば紫外線または可視光の供給源)に交換、または追加することができる。この場合、端プレート116,118は、電磁放射の通過を可能にするために適切な材料で形成することができる。
【0117】
図11および12の装置の異なる形態は、処理装置の間の中間の端プレート116,118を省くことができ、振動子プレート150(または1つ以上の付加的なまたは代わりのエネルギー源を含む代わりのエネルギー源プレート)は、振動子プレート150と反対の面の処理装置のための共通の端プレートとして作用する。
【0118】
図12は、動作中の処理装置スタックを示す。超音波振動子151は、点線152で示す音波エネルギーを放射して、それは各処理装置の内腔の一部に入り、固相および接触する液体相を超音波エネルギーに曝露して液体相内の試薬と固相に結合した試薬の間の反応を加速するように示される。とりわけ長尺固相1、特にリボンは、ローラー153を通って導かれて、導管の第1アームに入る。固相1は、導管のアームを通って下方に進み、中央プレート117内の貫通した穴に配置されたローラー115に向かい、ローラーを越えて、ローラー154に導かれる前に導管の第2のアームを通って上方に進み、第2処理装置に入り、固相がさらなるローラー154を超えて固相がローラー154を通過した後で、スタックを出る前に、第3の処理装置に入る。
【0119】
図13は処理装置スタック202を示し、マグネトロン(マイクロ波源)が処理装置100の上に供給され、スタック内で各内腔の少なくとも一部をマイクロ波放射線に曝露する
【0120】
図13はさらに本発明の一態様を示し、長手方向に移動する固相に連続した処理を適用するためのシステムであり、移動長尺固相を流動流体相に接触させるための複数の相接触装置を備える。それぞれの相を接触させる装置は、(i)円形または非円形の横断面を有し、流動流体相および移動長尺固相が共に入る内腔を画成する導管、(ii)流体相が内腔に入り、内腔を通過し、内腔から出ることを可能にするために内腔と連通する流体相ポート、および(iii)移動固相が内腔に入り、内腔を通過し、内腔から出ることを可能にするために内腔と連通する固相ポートを備える。図示の実施形態では、相を含む装置は、処理装置100によって示される。システムは固相通路が連続する相接触装置の間に画成されるように配置され、それによれば、固相は連続した相接触装置の中を次々に通過することができる。第1の相接触装置300および第2の相接触装置301は通路に沿って連続して配置され、共通の第1流体供給源から流体を受けとる。第3の相接触装置302は通路に沿って、第2の流体供給源から流体を受け取るように配置される。
【0121】
とりわけ、
図13はシステムを示し、第1の相接触装置300および第2の相接触装置301は、第1流体供給源から流体を受けとるように配置され、第1の相接触装置300の流体相ポートは、第2の相接触装置の流体相ポートと流体連通し、第1の相接触装置から第2の相接触装置に流体を流すことができる。
【0122】
図13に示すように、第1の相接触装置300および第2の相接触装置301は、着脱可能に連結され、とりわけ、ともに同一の相接触装置スタックに配置される。全体として
図13のシステムを考えると、システムは連続した相接触装置を有し、少なくともいくつかの装置が、1つ以上の相接触装置スタックに配置され、そのまたはそれぞれのスタックは、互いに連結された複数の相接触装置を備え、着脱可能に連結することができる。各モジュールの相接触装置は、概して、スタックの相接触モジュールのための共通の流体供給源に流体連通する(または、流体連通可能に構成される)。
【0123】
図13に示すように、各処理装置スタック202,203はハウジングを備え、図示の実施形態においてサイドパネルを有し、サイドパネル142,143,145および146として示される。それぞれのスタックのハウジングは、スタックの相接触装置を収容し、固相を導くために相接触装置の外側で固相通路に沿って配置されたローラーに連結される。
図13に示すスタック202,203は、スタックのハウジングに収容された4つのローラーを有する。ローラーの数は必然的に可変であり、相接触装置の数に依存して、またハウジングに連結されたローラーは、通常、ハウジング内の1つ以上のローラーと同様に、1つ以上のハウジングの外側に配置されたローラーを有する。任意に、それぞれのスタックの少なくとも1つのローラー(すなわち、スタックのハウジングに連結した少なくとも1つのローラー)は駆動ローラーであり、駆動装置に連結され、または連結することができ、ローラーを回転させて固相を駆動する。スタック202はマイクロ波のためのマグネトロン157または他のエネルギー源を備え、導管の内部をエネルギーに曝露することができる。この場合、エネルギーは概してマグネトロン157の下に点状の領域で示すマイクロ波を備える。
【0124】
図13は、2つの処理スタック202,203およびスタック202の下流のセンサ装置を有するセンサモジュール204(
図13は3つのセンサ装置を有するセンサモジュール204を示す)を備える固相通路を示し、通路に沿って移動するように固相のパラメータを定める。したがって、
図13は本明細書で開示するシステムを示し、長尺固相は長手方向に移動して複数の連続した処理を行い、システムの連続した相接触装置の外側に配置されたセンサ装置を有し、固相通路に沿ってそれが移動するように固相のパラメータを定める。センサ装置は概して、電磁放射の検出器を備え、例えば1つ以上の蛍光標識(例えば蛍光色素、半導体ナノクリスタルまたはそれの組合せ)からの蛍光を検出することができる。センサは、分光計(例えばUV分光計)を備えることができる。センサは、他のいかなる検出可能な標識、または他のいかなる検出可能な固相のパラメータを検出することができる。UVおよび/またはIR分光計は、あらゆる固相の化学分析をする上で有効であり、固相合成のサポートとして使用され、純度を測定するためのツールとしておよび/または化学反応が完了したかどうか。他の実施形態において、センサは標識物質の、固相に連結する分析物の結合の検出に役立つことができる。これらのおよび他の目的のための適切な標識には、放射性核種、蛍光物質(例えば染料または半導体ナノクリスタル)、発光物質および磁気物質(例えば磁性粒子)を含む。
【0125】
図13に示す特定の配置において、3つの分光計を検出モジュール204の中に配置する。それぞれの分光計は放射線源258,259,260および放射線検出器158,159,160を備える。
図13は、各々の供給源から放射されて、固相1で反射して、それぞれの検出器によって受信する放射線を概略的に破線で示す。システムは、共通の検出区域に配置された複数のセンサ(
図12の配置と同様に)を備え、それぞれのセンサは他の全てのセンサと異なっていてもよく、あるいは、複数のセンサのうち少なくとも2つが同一で、例えば、検出パラメータの確認の役割を果たすことができる。
【0126】
図13に示すように、適切なローラーが相接触装置スタック202,203の外側で固相通路に沿って、また
図13でこれらのローラーは、処理区域に付随するローラー161〜164を備えるスタック202,203の外側に設けられる。
【0127】
図13は、
図9,10および12と同様に、開示の多くの実施形態の付加的な特徴、すなわちモジュール方式をさらに示す。モジュールシステムおよび装置は、少なくとも構成要素の一部がモジュールとして提供される。すなわち独立式の構成要素として、それはモジュールを分解することなく、交換し、システムに付加し、システムから取除き、少なくともシステムの一部を形成するために組合せることができる。好適には、この種のモジュールシステムは、システムのモジュール要素が着脱自在に連結することができるフレーム(図示せず)を有する。開示のシステムは移動長尺固相が複数の連続した処理を長手方向に行い、従って、モジュール相接触装置上のフレームおよび任意に1つ以上のシステムの付加的なモジュール要素を備えた(例えば固相通路に沿って着脱可能に連結する)モジュールシステムとすることができる。概して、少なくともいくつかの連続した相接触モジュールは、1つ以上のモジュール相接触モジュールスタックの中に配置されるが、これはこの種のモジュールシステムの必須の特徴ではない。モジュールシステムはモジュールスタックを備え、それぞれ複数の相接触装置を有し、互いに連結される(例えばクランピングによって)、また、いくつかの実施形態では、スタックの相接触装置のために共通の流体供給源と流体連通して、または流体連通することができる。したがって、開示のシステムにおいて、第1の相接触装置および第2の相接触装置は固相通路に沿って連続に配置されて、また共通の第1流体供給源から流体を受け取るように配置されて、システムは概して、相接触装置スタックを備え、第1および第2相接触装置は通常同一のスタックに配置される。
図13に示すように、この種のモジュールシステムはさらに、モジュール204として示すモジュールセンサ装置を有することができる。システムの別の形として、モジュールセンサ装置204は、固相の上の試薬または溶媒を堆積させるための通路に沿って動くモジュール堆積装置に交換する、または付加することができる。この種のモジュール堆積装置はモジュール204と同様とすることができ、しかし1つ以上の堆積ヘッド(例えば後述のインクジェットヘッドのように)によって交換されるセンサ装置158,159,160をもつ。
【0128】
図14は、従って、開示の装置またはシステムの堆積区域を示し、堆積区域は少なくとも1つの堆積装置またはヘッドを備える。
図14の場合、3つの堆積装置165,166および167を備える。その、またはそれぞれの堆積装置は、固相が通路に沿って移動するとき固相1の上に試薬を堆積させることができる。堆積ヘッドによって堆積する試薬は試薬の組合せを含むことができ、例えば合成のビルディングブロックおよび触媒または活性剤を含み、また、試薬(単一の試薬または試薬の組合せのいずれにおいても)は概して、溶解してまたは液体溶媒内で分散して堆積するものと理解される。典型的な堆積装置は、単一流体の圧電ディスペンサまたは複合流体の圧電ディスペンサであり、インクジェット式プリンタで使用されるものと同様である。しかしながら、いかなる制御可能な堆積装置も使用可能である。
【0129】
堆積装置(例えば圧電ディスペンサ)は、モジュール方式または非モジュール方式の形で供給される。堆積装置のモジュールに関して、多くのオプションが言及される。上述のように、
図13のモジュール204は、その中で1つ以上の検出器を、1つ以上の堆積装置に交換するために変更することができる。他のモジュールの異なる形態において、処理装置100は、装置を構成するプレート(通常、端プレート116、118)の1つの中で、1つ以上の堆積装置を備えるために変更することができる。任意に、1つ以上の堆積装置は
図15に示すように両方の端プレート116,118を備えることができ、投射ヘッド(例えば圧電ディスペンサ)は参照番号165,166、167、および165a、165bおよび165cによって示される。好適には、そのまたはそれぞれの堆積装置はプロセッサ(例えばコンピュータ)に連結され、それはプログラムされて堆積材料を空間的な位置を指定して配置するようにディスペンサを制御する。したがって、多数の投射ヘッドを備え、それぞれのディスペンサはいくつかの実施形態において固相1の空間的に異なった領域上へその試薬を堆積させる。これは例えば固相合成において役立ち、異なる合成ビルディングブロックはそれぞれの複数の異なる堆積ヘッドから堆積される。したがって、生物学的または他のポリマー(例えば有機半導体ポリマー)が合成され、各堆積ヘッドは異なるモノマー、またはオリゴマーを堆積させ、例えば、ポリペプチド合成の場合には異なるアミノ酸またはオリゴペプチド、核酸合成の場合には異なるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、および多糖類合成の場合には異なる単糖類またはオリゴ糖類を堆積させる。固相合成の場合には、付加的な合成ビルディングブロックは、反応後の分子(例えば反応後のポリマー)を作るためのステップに先行しておよび/またはその後に固相に付加される。この種の追加ステップは、堆積ヘッドからの試薬の堆積を含み、例えば、更なる空間的なアドレスの段階における多数の試薬の堆積または本明細書にて説明するように固相を液体相と接触させること、またはその組合せである。
【0130】
図15に示す特定の異なる形態として、装置は移動長尺固相を流動流体相に接触させ、またプレートは1つ以上の投射ヘッドの代わりにまたは投射ヘッドに加えて、装置内に含まれる流体相のパラメータを定めるための1つ以上のセンサを備えることができる。
【0131】
さらに開示内に含まれる
図15の異なる形態として、装置は、移動長尺固相を流動流体相に接触させ、またプレートは1つ以上の投射ヘッドおよび/またはセンサの代わりに、または投射ヘッドおよび/またはセンサに加えて、1つ以上のエネルギー源を備えることができる。
【0132】
本発明はしたがって、さらに以下を備える移動長尺固相を流動流体相に接触させるための装置を提供し、装置は円形または非円形の横断面を有し、流動流体相および移動長尺固相が共に入る内腔を画成する導管、流体相が内腔に入り、内腔を通過し、内腔から出ることを可能にするために内腔と連通する流体相ポート、および移動固相が内腔に入り、内腔を通過し、内腔から出ることを可能にするために内腔と連通する固相ポートを備え、導管は内腔内に含まれる流体相のパラメータを定めるために配置するセンサ、内腔をエネルギーに曝露するために配置するエネルギー源、あるいは両方を有する。さらにこの種の装置の任意の特徴は、移動長尺固相を流動流体相に接触するための装置に関連して、本明細書のほかの部分に示す。
【0133】
図15およびその異なる形態は、移動長尺固相を含むプロセスを実行するための装置の実施形態であり、(i)固相および、任意に固相と接触する流動流体相を含む導管、および
(ii)移動固相が導管に入り、導管を通過させ、導管から出すことを可能にするために導管の内部と連通する固相ポートを形成し、装置は3つのプレートを備え、それぞれ2つの反対の面を備え、プレートは対面関係で着脱可能に相互に連結し、第1および第2の端プレートの間に中間プレートが位置し、相互に連結したプレートが第1端プレート、第2端プレートおよび中間プレートを有するユニットを形成し、その2つの面の間の溝を画成するために、ユニットの第2端に向かい、そこに形成された開口を有し、開口は任意にそこに回転可能に配置したローラーを備え、そこにおいて、第1端プレートおよび中間プレートはそれらの間に導管の第1アームを画成し、第2端プレートおよび中間プレートはそれらの間に導管の第2アームを画成し、第1および第2アームは、ユニットの第1端からユニットの第2端へ延び、それぞれ終端し、装置に流体接続する。また、少なくとも1つのプレートは固相のパラメータを定めるために配置したセンサと、流体相のパラメータを定めるために配置したセンサと、導管の内部をエネルギーに曝露するためのエネルギー源と、そして、固相の上へ物質を堆積させるための堆積装置を備える。装置は、流体相を導管に入れ、そこを通過させ、そこから出すことを可能にするために導管の内部に連通した流体相ポートを有することができる。第1および第2アームはそれぞれ、固相ポートおよび流体相ポートに連通してユニットの第1端に向かう領域を有することができ、各アームの固相ポートはユニットの第1端に対してアームの流体相ポートよりも空間をあけて配置される。
【0134】
他のモジュール堆積装置は
図16に示され、
図1の装置の変形型を備える。したがって、
図16の装置は、第2または下側プレート5aと対面係合する第1または上側プレート4aを備える。2つのプレートは、例えば、着脱可能に連結し、例えば、ボルト穴30に収容されるボルトによって互いに連結する。
【0135】
第1プレート4aの構造は、
図17および18において最も明確に示される。固相ポート9および10に定められ、後述するように、任意に液体相ポート7および8を有する。さらに第1プレート4aにおいて、1つ以上の貫通穴が固相通路に沿って直線状に配置され、ディスペンサを、貫通穴の上および/または内部に取付けて、堆積試薬を固相1に接触させることができる。図示の実施形態において、それぞれの3つの投射ヘッド165,166,167はそれぞれの貫通穴169,170,171の上に取付けられる
複数の投射ヘッドを有する装置の場合、各貫通穴とともに提供される各投射ヘッドの代わりに、共通の貫通穴または溝穴をすべての投射ヘッドのために提供することができる。
【0136】
第2プレート5aは
図19および20において最もよく表され、第2プレート5aはその中でくぼんだトラフの形の長手方向の溝6を有し、固相1に対応する。
【0137】
図16に示すように、堆積装置は付加的に、固相ポート9および10を経て溝6の中におよび外に固相1を導くためのローラー13,14を有する。ローラー13および14は、固相ポート9および10と連通するそれぞれのポート溝11および12に収めることができる。
【0138】
上述のように、
図16〜20の装置は任意の液体相ポート7および8を有する。この点において、
図16〜20の装置は、投射ヘッド165,166,167を取外し、貫通穴169,170,171を例えば適切なプラグで塞ぐことにより、移動長尺固相1を流動液体相に接触させるための装置として使用することができる。液体相ポート7および8は溝6と液体流通し、第1プレート共に、流動液体相および移動長尺固相を共に含む内腔を定める導管を画成する。流体相ポート7および8は、したがって、管(図示しない)に接続することができ、流動液体相を導管に供給し、さらに導管から取除くことができる。この種の装置は
図1のそれと同様に、固相ポート9および10を通って装置から出る液体相を予防するのに適していない。さらに固相ポートを通じた液体相の漏出は流動液体相の吸い込みで取除くことよって、適切に予防される。
【0139】
図21は、移動長尺固相を流動流体相に接触させるための開示の装置を備えるシステムの略図である。
図21は主に、実際的なシステムの特定の装置を表すよりも、開示のシステム(またはシステム部分)の異なる要素および相互作用を示すことを目的とする。
図13と同様に、
図21によって表される開示の1つのシステムは複数の相接触装置を備え、システムは連続した相接触装置の間に固相通路を定めるために配置され、固相は次々と連続した装置を通ることができ、第1相接触装置100および第2相接触装置101は通路に沿って連続して配置され、共通の第1流体供給源から流体を受け取るために配置され、通路に沿った第3の相接触装置500は第2流体供給源から流体を受け取るために配置される。第1相接触装置400の流体相ポートは流体相ポートは、第2相接触装置401の流体相ポートと流体連通することができ、流体は第1相接触装置400から、第2相接触装置401へ流れる。あるいは、第1相接触装置400および第2相接触装置401は流体を第1の流体供給源から受け取るために配置することができ、そこでは共に、いかなる上記の相接触装置を含まない流体通路を経て第1流体供給源と連通して配置される。この後者の配置において、第1および第2の相接触装置は流体供給源に連結する。例えば流体リザーバは、管を経て、流体入口ポートとして作用するそれぞれの装置の流体相ポートに連結する。
【0140】
第1相接触装置400および第2相接触装置401は、共に着脱可能に連結することができ、図示の実施形態のように、相接触装置のスタック状に配置することができ、全ての相接触装置が、スタックの全ての相接触装置のための共通の流体供給源と流体連通する、またはすることができる。スタックは、スタックの相接触装置を収めるハウジングを備えることができる。明確にするために、ハウジングは
図21に示さず、適切なハウジングは
図7〜9に示す。ハウジングは固相を相接触装置の外側で固相通路に沿って導くために配置したローラー453〜457に接続することができる。
図7〜9に示すように、スタックの少なくとも1つのローラーは、ローラーに回転を発生させ固相1を駆動するため、駆動装置に連結した駆動ローラーとすることができる。
【0141】
図21に示すシステムにおいてさらに、連続する相接触モジュールの外側に配置された堆積装置を有し、通路に沿って移動する固相401の上に試薬を堆積させる。
図21の場合、3つの堆積装置165,166および167が示されるが、言うまでもなく、一般に、1つの堆積装置または複数の堆積装置を備えることができる。堆積装置の数に関わらず、本発明のいくつかの実施形態において、これは本発明における必須の特徴ではないが、例えば
図15または16に示す変更された処理装置を配置する。
【0142】
本発明は堆積区域を備えるシステムを含み、複数の堆積装置を配置し、図示の装置465,466および467の場合、固相1上に試薬を堆積させる上で、空間的な位置を指定可能な方法を示す。
【0143】
図21に示すシステムは、通路に沿って移動するように固相のパラメータを定めるために、連続する相接触モジュールの外側に配置されたセンサ装置を備え、図示の実施形態において、2つのセンサ装置458および459が、固相通路に沿って隣接する第2の相接触装置として示される。従って
図21は固相通路を有するシステムを示し、(i)通路に沿って移動する固相の上に試薬を堆積するための堆積装置、(ii)それから相接触装置、および(iii)それから通路に沿って動くように固相のパラメータを定めるためのセンサ装置が固相通路に沿って連続して配置される。さらに
図21のシステムをより詳細に考えると、固相、特に通路に沿って移動する長尺のフレキシブルなウェブ1、例えばリボンを備えることが示される。システムは、
図21ではリールとして示される固体供給源472を有し、しかしあるいは、例えば、リボンまたは自由に小さくまとめられ例えばぐるぐる巻きの配置の他の固相を備えたカートリッジまたは他の容器とすることができる。このような巻きつけられた固相の容器は、リールから固相を回収するよりも小さい力で固相の供給源472から回収することができる。固相は、複数の処理ステーションを通過し、全体のプロセスのそれぞれの段階(例えば固体の段階の合成)を実行する。図示の実施形態において、第1の処理ステーションは、465,466,467として図示される、1つ以上の堆積装置を含む堆積区域を備える。概して、堆積装置は試薬を固相の上に空間的な位置を指定して配置可能である。例えば、固相合成の場合、それぞれの装置はそれぞれの合成ビルディングブロックを空間的な位置を指定して配置可能で、堆積区域は固相1の上に空間的に異なる領域のアレイを形成し、それぞれの領域は、異なる合成ビルディングブロックに占められる。合成の終わりには、したがって空間的に異なる領域のアレイが固相1の上に形作られ、それぞれの領域は、それぞれ所定の構造の最終生成物分子によって占められる。例えば、固相合成は生物学的なポリマー(例えばポリペプチド)の合成とすることができる。この、空間的な位置を指定した堆積の場合、堆積区域における複数の堆積装置のそれぞれは、異なるアミノ酸を堆積し、初期アミノ酸から成長するポリペプチドのそれぞれ初期アミノ酸を形成する。
【0144】
第1の試薬の堆積の後、固相は1つ以上の処理装置を通る移動により洗浄され、固相は特に逆の流れにおいて、洗浄液に接触する。図示の実施形態において、固相1は相互に連結し、第1および第2処理装置400、401を有する多数の処理装置を備えるスタック473を通る。例示的な処理装置は、
図8および
図9に示される。スタック473を通過した後、固相は、合成の第1段階を充分に完了するため、センサ458、459として図示される1つ以上のセンサに曝露される。例えば、1つのセンサ458を紫外線分光計、またセンサのもう一方を赤外線分光計とすることができ、固相のUVおよびIRスペクトルを確実にモニタリングできるようにすることで、アミノ酸または他のすでに固相の上に堆積したビルディングブロックを、固相に対してそれぞれの定められた領域で正しく結合する。
【0145】
図21は簡略図であり、固相合成を完成するために必要な多数の処理区域を示すものではない。それぞれの処理区域は固相合成の段階を行い、様々な処理段階を移動するに従い、全体としてシステムが固相の上の合成を実行する。固相合成を行うための典型的なシステムは、従って、以下の種類の処理区域を備える。
【0146】
1.前処理区域
システムは、合成を開始する前に1つ以上の最初の前処理を実行するための少なくとも1つの「前処理区域」を備えることができる。代表的な前処理は、合成を開始する上で適当な官能基を固相に提供する役目をすることである。必要に応じて、合成ビルディングブロックの取付けを容易にするために、スペーサおよび/またはリンカーを固相に結合することができる。不必要な官能基は、その後の反応を予防するために覆うことができる。綿または他のセルロース基質の場合、前処理は、任意の最初の洗浄段階と、酸活性化に従い、スペーサの結合、任意の洗浄、キャッピング、脱保護、任意の洗浄およびリンカーの結合、例えばRINKリンカーを含むことができる。これらの段階はそれぞれ別々の処理区域において実行され、いくつかの実施形態においてそれぞれの前処理は、例えば開示の装置を使用して固相の流体相への接触を含むことができる。それぞれの前処理区域は、概して、移動固相を流動する流体相に接触させるための本発明の装置を備える。各前処理区域は、互いに独立した処理区域とすることができて、上述のように装置のスタックを含むことができる。
【0147】
前処理区域は上述したようにエネルギー源を有することができる。
【0148】
2.合成区域
固相合成を行うためのシステムは少なくとも2つの合成区域を備え、固相は合成ビルディングブロック、例えば生物学的ポリマーのモノマーまたはオリゴマー、または他の有機分子のその後の1部分に接触する。モノマーは、上記のアミノ酸、ヌクレオチドおよび単糖類とすることができる。合成ビルディングブロックは従って、合成区域で固相に接触し、そして固相への接触により、基質と結合する反応基を伴って反応する。合成ビルディングブロックは、固相が接触する第1の合成ビルディングブロックとすることができ、その場合には、それは直接にまたは中間部分(例えばスペーサおよびリンカー)を介して、基質に結合する。あるいは、合成ビルディングブロックは第2のまたは後の合成ビルディングブロックとすることができ、それは1つ以上の先の合成ビルディングブロックによって既に形成された部分と反応する。
【0149】
合成ビルディングブロックは、堆積ヘッドからの堆積を経てまたは(例えば開示の装置を使用して)固相の流動液体相との接触によって固相と接触することができる。固相合成を行うための多くの実施形態において、少なくとも1つの接触段階は、(例えば、移動固相を流動流体相に接触させるための本明細書に開示の装置を使用して)固体の状態を流動液体相へ接触させることを含む。先に述べた様に、合成区域は装置のスタックから成ることができる。実施形態の1つの種類において、堆積ヘッドからの合成ビルディングブロックの堆積を含む少なくとも1つの段階、例えば1つの段階において複数の合成ビルディングブロックが、基質に結合する異なる分子のアレイを提供するための空間的に異なる領域に堆積される。本発明はさらに、単一の堆積ヘッドまたは複数の堆積ヘッドを有する合成区域を備えるシステムを含む。いくつかの例示的なプロセスは、(i)複数の合成ビルディングブロックが、堆積ヘッドから固相の上に空間的にアドレスされてアレイを形成する少なくとも1つの合成段階、(ii)単一の合成ビルディングブロックが固相に接触し、例えばアレイの全体の領域が同一の合成ビルディングブロックに接触する少なくとも1つの合成段階を備える。この種のプロセスの一例としては、ポリペプチドのアレイが合成される際に、全てのポリペプチドがシーケンス内の1つの位置で共通のアミノ酸を有するものである。合成段階は、固相を単一の合成ビルディングブロックと接触させることを含み(複数のビルディングブロックと接触してアレイを形成するのとは対照的に)、単一の合成ビルディングブロックは、堆積ヘッドまたは(例えば開示の装置を使用して)固相の流動液体相との接触から堆積することができる。
【0150】
合成区域は上述のように、例えば合成反応を速めるためにエネルギー源を有することができる。
【0151】
3.洗浄区域
しばしば、固相は試薬への接触の後に、反応していない試薬を除去するために洗浄される。この種の洗浄ステップは、合成ビルディングブロックの付加、固相の配位子または分析物との接触、あるいは固相の他の試薬(例えば、保護基の付加または除去、あるいは官能基を活性化する薬品)との接触の後に用いることができる。
洗浄区域では、(例えば、本発明の装置(例えば処理装置のスタック)を使用して)固相を流体相に接触させる。液体相(洗浄液)は固相の移動の方向に対して逆方向に流れることができる。すなわち、2つの相を逆流とすることができる。洗浄区域は(例えば不要な物質の溶解度を上昇させるかまたはその分解を加速するために)上述したようにエネルギー源を備えることができる。
【0152】
4.脱保護区域
固相合成は、合成段階の前に、基質に結合される部分の保護官能基の脱保護を含むことができる。このような脱保護は、固相を1つ以上の試薬に接触させることにより生じ、この種の場合、脱保護区域は例えば、本発明の装置(例えば処理装置のスタック)を使用して固相を流動流体相(通常は流動液体相)に接触させることができる。脱保護は、(例えば紫外線の)照射によって発生し、または促進することができる。脱保護区域は従って、内腔を放射線に曝露するためにUVまたは他の放射線の供給源を備えることができる。流体相は固相の移動の方向に対して逆方向に流れることができる。すなわち、2つの相を逆流とすることができる。脱保護区域は、脱保護反応を加速するために、上述したようにエネルギー源を備えることができる。固相通路は、以下の処理区域(脱保護区域、洗浄区域、そして合成区域)を備えることができる。実施形態において、洗浄区域が省略されている。
【0153】
5.活性化区域
固相合成は、合成段階の前に基質に結合する部分の保護官能基の活性化を含むことができる。このような活性化は概して、固相をひとつ以上の試薬に接触させることにより行われ、この種の場合、活性化区域は例えば本発明の装置(例えば、処理装置のスタック)を使用して固相を流動流体相(通常、流動液体相)に接触させる。流体相は固相の移動の方向に対して逆方向に流れることができる。すなわち、2つの相を逆流とすることができる。活性化区域は、活性化反応を加速するために、上述したようにエネルギー源を備えることができる。固相通路は、以下の処理区域(活性化区域、洗浄区域、そして合成区域)を備えることができる。実施形態において、洗浄区域が省略されている。
【0154】
考えられる処理区域の上記のリストは、全てを網羅したものではない。例えば、合成システムまたはシステムの合成セクションは、官能基置換区域を有することができ、例えば1つ以上の堆積ヘッドおよび/または、移動固相を流動流体相に接触するための、開示の装置を使用して、固相を1つ以上の試薬に接触させることにより官能基の置換が生じる。
【0155】
処理区域に加えて、例えば上記したように、
図21のセンサ458および459で示すように、固相合成のシステムは、センサ区域を備えることができる。固相の1つ以上のパラメータはセンサ区域において定められる。要求に応じて、少なくとも1つの固相のパラメータを定めるために、固相は1つ以上のセンサに曝露されることができる。定められるパラメータは、(例えば所望の生成物または不要な不純物の、UVまたはIRスペクトル特性の1つ以上のピークの)検出を含むことができる。さらにまたはあるいは、固相の1つ以上のパラメータを決定するセンサのために、センサ区域は、処理区域を通過する前か後に、流体相の1つ以上のパラメータを定めるための1つ以上のセンサを有することができる。
【0156】
図21に示すシステムはしたがって、固相合成のセクションを有し、1つ以上の堆積ヘッド465,466,467を備える堆積区域、処理装置スタック473および1つ以上のセンサ458,459を備えるセンサ区域によって表される。実際には、固相合成システムまたはシステムの固相セクションは、固相合成の全ての段階を、システムまたはセクションを移動する固相の上で行うための適切な処理区域を備える。それはさらに1つ以上のセンサ区域を備えることができる。概して、センサ区域は固相通路に沿って合成区域の下流に配置される。洗浄区域は、合成区域とセンサ区域の間に位置することができる。システムまたはシステムセクションは、それぞれのセンサ区域が後に続く複数の合成区域を備えることができ、あるいは単一のセンサ区域を備えることができる。
【0157】
固相の移動の方向における固相合成セクションの下流に、
図21は、例えば堆積ヘッド565を備える接触区域、第3の相接触装置500を備える洗浄区域およびセンサ558を備えるアッセイセクションを示す。接触区域において、固相1は、薬品と接触し、それが所定の特性を有する分析物を接触させるときに、この種の分析物に検出可能な反応を発生させるために特有のプロセスを行う。したがって、さらにいかなる検出可能な反応を定めることによっても、固相1が分析物を有するかどうかを定めることができる。必要に応じて、検出可能な反応は測定することができ、判定を定量的な態様を与えることができる。接触区域は、例えば1つ以上の堆積ヘッド、または移動固相を流動流体相に接触させるための、1つ以上の開示の装置を備えることができる。
【0158】
アッセイセクションで固相と接触する薬品は、共役を形成するために分析物と結合する分析物のための結合パートナーを備えることができる。共役の形態は、この種の例における検出可能な反応である。実際には、固相はしばしば検出可能な反応が検出される前に、結合していない結合パートナーを除去するために洗浄される。したがって、共役はいかなる適切な技術によっても検出することができる。例えば、薬品を検出可能な標識によって標識化することによって、または固相を最初に堆積した結合パートナーのために標識化された検出結合パートナー(例えば抗体)と接触させることによって検出することができる。媒体は例えば生物学的物質(例えば生体分子またはレセプタ)とすることができ、あるいは生物学的物質のための結合パートナー(例えば生理活性物質に対する抗体)とすることができる。
【0159】
本発明のほかの実施形態において、アッセイセクションにおける固相に接触する薬品は、検出可能な反応を提供するための分析物によって作用する分析物の物質を備えることができる。一例として、酵素基質(例えば発色性基質)を備えることができる。
【0160】
本発明の一実施形態において、システムは有用な生物活性のための化合物の合成および選別のために使用し、特に生物活性のための潜在的な製薬学的用途の指標となる。本システムは、従って、潜在的薬剤候補を合成して、選別するために用いることができる。例えば、固相と接触する薬品は薬剤標的(例えば、酵素、酵素の一部、レセプタまたはレセプタの一部)を備えることができる。アッセイは、好適には、固相および薬品に合成された一つ以上の分析物の間の相互作用の強さを測定する。
【0161】
例示的システムまたはシステムセクションは、アッセイを実行するために、従って、以下の種類の区域を備えることができる。
【0162】
A.接触区域
システムは少なくとも1つの接触区域を備えることができ、固相をアッセイする薬品に接触させる。すなわち薬品は、それが所定の特性を有する分析物に接触し、検出可能な反応を発生させるために固有のプロセスを生じる。接触区域は、堆積ヘッド(例えば複数の堆積ヘッド)から成ることができる。接触区域は移動固相に流動液体相を接触させるための開示の装置を備えることができる。あるいは、それは複数のこの種の装置を備えることができる。接触区域は、本明細書において移動固相に流動液体相を接触させるための装置に示すように、スタックを備えることができる
【0163】
接触区域は、前述したようにエネルギー源を有することができる。
【0164】
B.洗浄区域
固相に結合しなかった薬品を除去するために、固相はアッセイする薬品と接触させた後で洗浄することができる。この種の洗浄は、アッセイが固相に結合するアッセイ用の薬品の存在を使用する場所で結合形成の指標として要求される。洗浄区域では、(例えば、本発明の装置(例えば処理装置のスタック)を使用して)固相を流体相に接触させる。液体相(洗浄液)は固相の移動の方向に対して逆方向に流れることができる。すなわち、2つの相を逆流とすることができる。洗浄区域は(例えば不要な物質の溶解度を上昇させるかまたはその分解を加速するために)上述したようにエネルギー源を備えることができる。
【0165】
C.検出区域
固相をアッセイする薬品に接触させた後、およびいかなる必然のまたは所望の洗浄段階の後で、固相はセンサ(例えば、複数のセンサ)を備えた検出区域に移動することができ、検出可能な反応を検出および/または測定する。例えば、検出可能な反応が結合形成であり、それが標識薬品のあらゆる(固相に合成された)分析物への結合により検出される場合、センサは標識を検出および/または測定する。
【0166】
アッセイシステムにおける上記の考えられる処理区域のリストは、全てを網羅したものではない。
【0167】
いうまでもなく、
図21は合成セクションの下流にあるアッセイセクションを示すが、この配置は必然的なものではない。例えば、予め形成された分析物を固相に結合させ、それから開示の移動固相分析システムを使用して分析することができる。移動固相分析システムはしたがって、それ自体で、またはより大きなシステムの補助システムとして本発明の一態様を構成する。
【0168】
合成の後またはアッセイの後に、固相は、結合した分子を固相から切り離すための切り離し区域を通過することができる。好適には、切り離しは流動流体相および/または移動固相を流動流体相に接触させる開示の装置を用いて行われる。とりわけ、固相は分けられて結合した分子をバッチ処理により除去することができる。切り離しプロセスの完全性を確認するため、切り離し区域の後に、アッセイ区域が続くことができる。
【0169】
識別子
本発明のシステムは、固相に対して1つ以上の識別する印を与えるための装置を有することができる。特に、識別するインデックスは、アレイの各々の空間的に異なる領域に関連して適用することができる。この種のインデックスは、いかなる読取り可能な識別子(例えばバーコードまたは半導体ナノ結晶の組合せ)も含むことができる。インデックスは、直接的に(例えば印刷することによって)適用することができ、あるいは間接的に(例えばラベルの使用によって)適用することができる。システムはさらに、この種の識別子のための読取機(例えばバーコードスキャナ)を1つ以上、備えることができ、アレイのそれぞれの領域を認識することを可能にする。識別子および識別子の読取機のこの種のシステムは、アレイの所定の領域の上に堆積ヘッドからの試薬を堆積させるために識別されることを可能にするために有効である。さらにまたはあるいは、識別子および識別子の読取機のこの種のシステムは、アッセイの実行中に検出可能な反応を判定することに伴って、識別されることを可能にするために有効である。領域の識別は、識別されるその領域に含まれる物質を識別することを可能にする。プリンタまたは識別子を与えるための他の装置は堆積区域の前、その中、あるいはその後に配置することができる。識別子を与えるための装置を、堆積区域の前に固相通路に沿って配置した場合、与えられた識別子は、1つ以上の試薬の堆積のための領域を後の堆積区域の中で識別するために適用される。
【0170】
非空間的な識別子がいくつかのプロセスで使用される。例えば、様々な合成ビルディングブロック(すなわち、それらのビルディングブロックがアレイの異なる分子の間で異なる)は識別子で標識され、それぞれの識別子は所定のビルディングブロック(例えば所定のアミノ酸、ヌクレオチドまたは単糖類)に対して特異的である。合成された物質は、その様々なビルディングブロックの識別子を識別することによって識別することができる。
【0171】
自動化およびフィードバック
開示のシステムの1つ以上の要素は使用時に、
図20の475に示されるように、
コンピュータまたはプロセッサと信号で通信することができる。コンピュータは、
図20の476に示すようにコンピュータスクリーンおよびキーボードとして、オペレータインタフェースを備えることができる。いくつかの実施形態において、コンピュータは、システムの1つ以上の測定されたパラメータを表示することができ、オペレータインタフェースによってオペレータが1つ以上の動作条件を変えることを可能にする。さらにまたはあるいは、コンピュータは、システムの1つ以上の測定されたパラメータに応じて、1つ以上の作動状態を変えるようにプログラムされることができる。
【0172】
実験方法の設計は従来技術において最大の情報の出力を意図した技術として周知であり(Maier W F ら,「Angew.Chem., Inst. Ed., 2007,46:6016− 6067; Cawse J N, Experimental Design for Combinatorial And High Throughput Materials Development; Wiley InterScience: New York, 2003」参照)、本来、創薬を意図して発達した(Appell Kら,「Combinatorial Chemistry And High-Throughput Screening in Drug Discovery AND Development. In Handbook of Modern Pharmaceutical Analysis; Ahuja S And Scypinskis, Eds; Separation Science AND Technology: San Diego, CA, 2001 ; pp 23-56」参照)。これらの技術は、増加する材料の数に応じて提供されてきた。開示の実施形態における自動化およびフィードバックシステムが実験方法のこの種の設計において用いられ、特に遺伝的アルゴリズムの適用において用いられる。
【0173】
進化の原則および自然界で見られる自然淘汰と同様に、遺伝的アルゴリズムは、適合度比例および自己適応方法において、進化的な操作(例えば突然変異および交差)の適用により動作条件の連続する世代を反復的に生成する。この種の方法で最適化問題の最適解に近づくために安定した進化を経て個体数がつくられる。((a) Holena. Present Trends in the application of Genetic Algorithms to Heterogeneous Catalysis. M. In High-Throughput Screening in Chemical Catalysis; Hagemeyer, A, Strasser,P, Volpe A P, Eds.; Wiley-VCH: Weinheim, Germany, 2004; pp. 153-174. (b) Cawse, J N Ace. Chem. Res. 2001 , 34, 213-221. (c) Goldberg, D E Genetic Algorithms in Search, Optimization And Machine Learning] Addison-Wesley: Reading, MA, 1989. (d) Holland J H, Adaptation in Natural AND Artificial Systems, The University Press of Michigan: Ann Arbor, Ml, 1975.参照。)。他の実験計画戦略に反して、遺伝的アルゴリズムは連続的に変化するパラメータの使用を可能にする。それらはさらに、出発ライブラリの境界に限定されず、さらに従って局所最適を脱出することができ、それら自身で母数空間の新しい領域に入ることができる(上記のMaier W Fら参照)。実験計画法および遺伝的アルゴリズムに関する全ての上記刊行物は、全ての目的において、全体として参照により本明細書に援用する。
【0174】
自動化されたフィードバックおよび制御(例えば遺伝的なアルゴリズム)に従う動作条件は、固体の速度、固体の移動の停止、流体の速度、固体の移動の停止、流体の組成、エネルギー源の動作(エネルギー生産のオン/オフの状態および割合)、および堆積物質の選択を含む。上記の例は全てを表すものではない。
【0175】
明確にするため、
図21は可能なプロセッサ相互接続の一部のみを示す。より広範囲の図は、
図22に表される。
【0176】
図22は、固相合成セクション680およびアッセイセクション681を備える本発明のシステムを示す。長尺固相1(例えばリボンまたは長尺のフレキシブルなウェブ)はシステムの中を固相供給源672(例えば自由に折りたたまれた固相を含む容器またはリール)から移動する。システムの各セクションは図示の実施形態において以下の区域を備える。
合成セクション680
・前処理区域682
・合成区域683
・洗浄区域684
・脱保護区域685
・洗浄区域686
・合成区域687
・洗浄区域688
・センサ区域689
アッセイセクション681
・接触区域690
・洗浄区域691
・検出区域692
【0177】
図22のシステムは単に一例に過ぎず、区域およびセクションの数、種類、および/または順序における多くの変化が可能であると理解される。
【0178】
センサ区域689および検出区域692以外の各区域は、流体のシステムに含まれて、流体供給源および流体流出口と連通する。
図22において、各区域の流体供給源および流体流出口は、区域のための参照符号によって示され、流体供給源のために接尾辞「s」が付き、また流体流出口のために接尾辞「o」が付く。例えば、前処理区域682のための流体供給源は682sと表され、前処理区域682のための流体流出口は682oと表される。図示の実施形態ではしたがって、システムの各区域は、移動固相を流動流体相に接触させる開示の装置を備える。本発明の必須の特徴ではないが、この種の装置は上述のように1つ以上のスタックに配置することができる。時には、区域は上記装置以外の装置を備えることができ、例えば、それは1つ以上の堆積装置を備えることができる。
【0179】
各流体供給源682s〜691sは、制御可能な流体計量装置を備えることができ、当該の区域の中の処理装置または装置に制御された流体相の流れを提供する。制御可能な流体計量装置は、制御可能なポンプまたは制御可能なバルブ、あるいはその両方を備えることができる。流体供給源は流体リザーバおよび流体リザーバからの流体の流れを制御するためのバルブ、および/またはリザーバから流体をくみ出すためのポンプを備えることができる。
図23は、流体供給源685の構造を示す。流体供給源は、複数の流体リザーバ693,694,695を備えて示され、それぞれ、他の中に含まれる流体と同様のまたは異なる流体を含み、それぞれのバルブ693,694または695を含む通路を通って、前処理区域682に連通する。1つのリザーバは溶媒を含むことができ、その他は試薬または他の溶媒を含むことができるが、これは単に1つの選択肢にすぎない。本発明のいかなる実施形態においても、したがって、流体供給源は1つの流体リザーバを、または流体と混ぜるための固体を備えることができ、ミキサーは、流体供給源と連通している処理区域に流体が供給される前に、固体を流体に混ぜるために提供されることができる。
【0180】
それぞれの流出口は、他の流出口とそれぞれ独立して、ドレーンに向かうか、または好適には、流出口の流体は、可能なところで処理して再利用することが好ましい。
【0181】
システムは1つ以上の駆動装置を有し、長尺固相1をシステム内で移動させる。駆動装置は、好適には駆動ローラーに連結した駆動モータからなる。図示の実施形態において、それぞれの区域は接尾辞「m」で表されるモータに連結した駆動ローラーを有し、例えば、処理区域682内で固相を駆動するための駆動モータは682mで表される。駆動モータは有利には制御可能であり、例えばステップモータとすることができる。
【0182】
合成区域683、脱保護区域685および合成区域687は、上述のようにエネルギー源を有する。図の簡略化のために683e,685e,および687eにおいて示すように、エネルギー源は外側として、しかしそれぞれの区域に連結して示される。エネルギー源は上述したように処理区域に組込むことができ、または処理区域の外側に設けることができる。しかし
図22は処理区域に組込まれるエネルギー源の略図を提供することを意図することはいうまでもない。
【0183】
上述したように、開示のシステムは固相から分子を切り離すための切り離し区域を含み、任意に切り離しの完了を確認するためのアッセイ区域が後に続く。
【0184】
そのシステムはさらに、プロセッサ675を備え、プロセッサインターフェース676と通信する。プロセッサはコンピュータを備え、またプロセッサインターフェースは、キーボードおよびビデオディスプレイスクリーンを備える。
図22に点線で示すように、システムは、プロセッサ675をシステムの検出要素およびシステムの制御が可能な要素に接続する通信通路を有する。制御可能なシステムの要素はこの場合、各流体供給源および特に、各流体供給源、各モータ、および各エネルギー源を含む流体軽量装置を備える。
図22のシステムの検出要素は検出区域689および検出区域692のセンサを備える。システムの制御可能な要素は従って、プロセッサと通信し、または少なくともシステムの動作時において、プロセッサとの通信に適応する。切り離し区域があるところにおいて、それと関連する制御可能な要素は、いかなる後のアッセイ区域の検出要素と同様にプロセッサと通信し、または少なくともシステムの動作時において、プロセッサとの通信に適応する。プロセッサは、検出要素によって定められる1つ以上のパラメータに応じて制御可能な要素を制御するようにプログラムされる。プロセッサは、互いに独立して制御可能な要素である1つ以上の選ばれたパラメータに応じて、それぞれの制御可能な要素を、制御するようにプログラムすることができ、または、少なくとも1つの他の制御可能な要素の制御に依存するまたは関連する少なくとも1つの制御可能な要素を制御することができる。例えば、コンピュータ(プロセッサ)は、センサによって検出された容認できない純度水準に応じて洗浄を改善することに適応することができる。洗浄は例えば、液体の流速を上げること、固相の移動速度を下げること、または洗浄区域のエネルギー源の上方制御によって改善される。実施形態において、洗浄区域を通過する洗浄液を改良することにより、洗浄は改善される。例えば、洗浄液を液体の化合物を含むとして、それぞれの液体の相対的な割合を変更することができる。これらの測定値のいかなる1つまたはいかなる組合せも、洗浄を改善するために採用することができる。
【0185】
プロセッサは、センサによって検出されるパラメータが、反応が充分に完了するまで起こっていないことを示すとき(例えばセンサが、固相が反応区域に入るときには固相の上に存在し、しかし固相が反応区域から出るときには存在するべきではない官能基の存在を検出するか、あるいは容認できない量この種の官能基を検出したときに)、反応区域の条件を変えることができる。この種の場合反応区域は例えば、活性化区域、保護区域、脱保護区域、官能基変換区域または合成区域とすることができる。コンピュータは、反応を促進してさらに完了に向かうように処理条件を変える(ようにプログラムされる)ことができ、例えば、エネルギー源の上方制御、液体の流れの速度上昇、試薬濃度の増加または液体の他の特性(例えばpH)の変更、あるいは固相の移動の速度を落とすことである。
【0186】
プロセッサは、アッセイセクションの検出区域で定められるパラメータに反応して洗浄条件を変更することができ、パラメータが不必要な物質の存在を表す場合には、洗浄条件を変えることにより改善する。
【0187】
実施形態において、発明は分子のスクリーニング(例えば、製薬のまたは他の目的のための生物学的なスクリーニング)において、アッセイシステム(例えばアッセイ補助システム)を使用する。この種の場合、アッセイシステムは固相が試験物質と接触する接触区域を備える。いくつかの実施形態において、接触区域は堆積装置を備えることができる。特定の実施形態において、接触区域は開示の装置を備え、固相を流動流体に接触させる。接触区域の構造に関わらず、それは複数の試験物質およびを備えることができ、固相と接触するための1つ以上の試験物質を選ぶのに適している。プロセッサは試験物質の選択肢を変えるのに適応することができる。例えば、コンピュータは、アッセイシステムの検出区域で定められるパラメータに反応する試験物質の変更に適応することができ、さらに固相に結合する物質と閾値以下に落ちている試験物質の間の相互作用のレベルを示す。
【0188】
本発明は実施形態を含み、システムは、
図21,22に概略的に示すように、アッセイセクション681が後に続く合成セクション680を含む。この種の場合、プロセッサ475,675は、アッセイセクションによって定められるパラメータに応じて合成される物質を変更することができる。例えば、固相はその上で化合物のアレイを合成されうる。アッセイ区域はパラメータを測定するのに適応し、合成された化合物と固相に接触した試験物質の間の相互作用を示す。パラメータは、例えば、化合物と試験物質の間の親和性、試験物質上の化合物の阻害作用または試験物質の酵素活性に対する化合物の感受性を示す。プロセッサは所定のパラメータを有するアレイの化合物を識別するのに適応する(ようにプログラムされる)。所定のパラメータは、例えば、閾値で低下するまたは閾値より上のパラメータとすることができ、あるいはそれは検出区域で測定される最も高い値とすることもできる。所定のパラメータを引き起こした化合物は、固相において提供される識別子によって識別され、またアッセイセクションが備えるリーダーによって識別される。プロセッサ475、675は、所定のパラメータに応じて合成セクション内で合成された合成化合物の構造を変えることができる。
【0189】
1つの実施例において、固相の上で合成される化合物は、生物学的なポリマー(例えばポリペプチド)とすることができる。生物学的ポリマーは、任意に標識をつけられる。固相はしたがって、その上で形成される生物学的ポリマーのアレイを有し、そのアレイは空間的に異なる領域からなり、それぞれの領域は、それぞれ所定のシーケンスの生物学的なポリマーに占められる。固相はそれから処理ステーション(例えば接触区域690)を通って移動する。それが薬品と接触するところで、所定の特性を有する分析物(すなわちこの場合の生物学的ポリマー)と接触するときに、測定可能な反応を発生させるために固有のプロセスを生じる。測定可能な反応は、例えば蛍光発光またはその他の測定可能な薬品に含む標識の特性を含み、または、生物学的ポリマー上の分析物の作用の結果として作られる可視標識とすることができる。いずれにしても、それぞれの空間的に異なった領域の測定可能な反応の量は測定され、それによって、ポリマー構造は、所定の測定可能な反応になり識別されることができる。プロセッサはそれらの識別された構造をとることができ、システムの合成セクションに指示してポリマー(例えば、ポリマーの合成に用いられる1つ以上の合成ビルディングブロック)の構造を変化させ、所定の測定可能な反応により識別される、定められたポリマーの修飾を表すポリマーのアレイを作り出す。
【0190】
他の実施形態において、固相の上に合成される分子は、置換基をもつ環状部分を含む有機小分子である。所定の測定可能な反応を有する環状構造または構造は識別され、プロセッサは、それが合成する環状構造の置換基を変えるためのシステムの合成セクションへの指示を変えることができる(例えば、置換基を加えるか、置換基を除去するかまたは、置換基を変える)。
【0191】
実施形態において、固相の上で合成された化合物は官能基をもつ有機小分子である。プロセッサは、合成セクションに指示して、所定の反応を有すると識別される分子の官能基に反応を起こさせて、複数の異なる構造を形成することができる。
【0192】
上述したように、システムは化合物のアレイを選別して、所望の特性(例えば所定の閾値でまたは閾値より上で低下する親和性または生物学的活性)を有するそれらを識別することができる。分子のライブラリはそれから、それらの識別された構造の周囲で拡大され、そして拡大されたライブラリは、それから、強化された特性を有するあらゆる付加的な化合物を定めるために、更に選別されることができる。
【0193】
従って、以下の方法が開示される。化合物の第1ライブラリを合成して、所定の特性を有する第1ライブラリのメンバーを識別して、識別された化合物の構造を変化させることによる化合物の第2ライブラリの構造を作り出して、さらに化合物の第2ライブラリを合成する。この種の方法は、本発明の一態様を形成する。所定の特性は、結合活性、阻害活性、アゴニスト活性、アンタゴニスト活性または基質活性(すなわち基質として作用する能力)とすることができる。所定の特性は、閾値の、または閾値より上のこの種の活性の所有とすることができる。所定の活性は、第1ライブラリのメンバーが所有するこの種の最も高い活性とすることができる。複数のまたは何れか1つのライブラリは、移動長尺固相の上の連続合成によって合成することができる。合成のプロセスおよび/または装置は(必ずではないが)、本明細書に開示するものことができる。複数のまたは何れか1つのライブラリは、移動長尺固相の上で所定の特性のアッセイをされることができる。アッセイのプロセスおよび/または装置は(必ずではないが)、本明細書に開示するものとすることができる。
【0194】
図21および22に関連して示される技術は分子の合成およびスクリーニングのプロセスを含み、そのプロセスにおいて、長尺固相が連続処理ステーションを通って移動して固相合成のそれぞれの段階を行い、少なくとも処理ステーションの1つは固相の上に合成ビルディングブロックを空間的な位置を指定して配置可能であり、そこにおいて、空間的に異なる領域のアレイを合成終了後に固相の上に形成し、それぞれの領域はそれぞれ所定の構造を持つ最終生成物分子によって占められる。処理ステーションを通過する固相の上にアレイが形成され、そこにおいて固相は試薬と接触し、固相が所定の特性を有する分析物に接触するとき、この種の分析物に測定可能な反応を発生させるために固有のプロセスを経る。またそのプロセスにおいて、それぞれの空間的に異なる領域における測定可能な反応の量を測定し、さらに、所定の測定可能な反応による最終生成物分子構造を識別する。所定の測定可能な反応は、特定の閾値における、もしくは閾値より上の反応、または全ての異なる領域の反応における最も高い反応とすることができる。プロセスはさらに、以下のステップを含む。所定の測定可能な反応による構造の修飾を合成するためのプロセスを繰返し、それぞれの修飾は上記の空間的に異なる領域を占める。さらに修飾により占められる空間的に異なる領域における測定可能な反応の量を測定する。任意に、所定の測定可能な反応による最終生成物分子構造を識別して、さらに識別された構造に応じて固相合成の少なくとも1つの合成段階を変えるようにプログラムされたコンピュータは、少なくとも1つの合成段階において合成ビルディングブロックの変化を伴って繰返されるプロセスを行う。
【0195】
いくつかの実施形態において、最終生成物分子は生物学的に活性であり、例えば、多糖、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドから選択したポリマーを含み、また修飾は、ポリマーのモノマー配列の変更を含む。他の実施形態において、最終生成物分子は有機小分子を含み、修飾は少なくとも分子の一部分の構造を変更することを含む。例えば、最終生成物分子は、有機小分子ならびに少なくとも1つの置換基を持つ環状部分を含む所定の検出可能な反応および置換基構造の変更を含む修飾による構造を含む。このような方法で、最終生成物分子は、それぞれに異なる環状部分を有する分子のライブラリを備えることができ、所定の検出可能な反応を有する1つ以上の環状部分は識別可能な有効な活性を示し、環状部分の置換基のパターンはそれから有効な活性のために分子構造を最適化することができる。
【0196】
他の実施形態において、最終生成物分子は有機小分子を含み、また所定の検出可能な反応による構造は少なくとも1つの官能基を含み、修飾は複数の異なる構造を形成するための官能基の反応を含む。この方法によれば、最終生成物分子は、それぞれ異なる骨格または足場部分を有する分子のライブラリを備えることができ、所定の検出可能な反応を有する1つ以上の骨格部分は識別される有効な活性を示し、さらにその1つ以上の部分は、誘導体化によって1つ以上の官能基において修飾され、有効な活性のための分子構造をさらに最適化することができる。
【0197】
いくつかのプロセスにおいて、上記の薬品は標識結合メンバーを有し、また、測定は、固相を洗浄と、それから最終生成物分子を通じて固相に標識結合する量を示すパラメータの測定を含む。または、上記の薬品は酵素および酵素基質を含み、酵素基質は基質上の酵素の活性により変化する測定可能なパラメータを有する。そして測定は、上記の測定可能なパラメータを測定することを含む。酵素基質は例えば、発色性のまたは蛍光発生を有することができる。試薬との接触は、連続的に固相を酵素と、そして酵素基質と接触させることを含む。
【0198】
また
図21および22に示すのは、分子の合成およびスクリーニングに使用するための装置であり、その装置は通路を形成し、上流から下流に向かう方向に通路に沿って配置され、長尺固相は通路に沿って移動することができる。連続した処理ステーションは、それぞれ固相合成の各段階を実行するためのものであり、少なくとも1つの処理ステーションは、複数の堆積装置からなり、空間的な位置を指定して配置可能に固相の上に合成ビルディングブロックを堆積させる。固相を試薬に接触させるための処理ステーションは、それが所定の特性を有する分析物と接触するとき、この種の分析物に測定可能な反応を発生させるために固有のプロセスを経る。また、それぞれ空間的に異なる領域の測定可能な反応の量を測定するための測定ステーションにおいて、装置はさらに、測定ステーションとの信号による通信に適応した、または信号で通信するコンピュータを備え、所定の測定可能な反応を識別するようにプログラムされ、コンピュータが利用できるデータから、対応する最終生成物分子の構造を定める。
【0199】
さらに
図21および22に示すのは、分子の合成およびスクリーニングに使用するための装置であり、その装置は通路を形成し、長尺固相はその通路に沿って移動し、装置は、通路に沿って下流の方向に配置される連続した処理ステーションを備える。それぞれの処理ステーションは固相合成の各段階を実行し、少なくとも1つの処理ステーションは複数の堆積装置を備え、空間的な位置を指定して固相の上に合成ビルディングブロックを堆積させる。さらに少なくとも1つの処理ステーションは開示の装置を備え、固相を試薬に接触させるための処理ステーションは、それが所定の特性を有する分析物と接触するとき、この種の分析物に測定可能な反応を発生させるために固有のプロセスを経る。また、装置はそれぞれ空間的に異なる領域の測定可能な反応の量を測定するための測定ステーションを備える。
【0200】
図21に戻って、この模式図は個人化された医療のための本発明の応用例を示す。参照符号560は、患者と医療の専門家の間の診察を示す。サンプルは患者から取出され、そして、561に示される科学者は、患者の疾患を伴うサンプルから得た物質を堆積ヘッド565に与える。例えば、物質は癌を伴う変異細胞受容体とすることができる。システムはそれから作動されて化合物を合成し、物質との特定の相互作用(例えばその物質との親和結合)のために、それらをスクリーニングする。初期のライブラリはその結果、準備されてスクリーニングされ、一定レベルの性能を有する選択された化合物が認識される。最初のライブラリはそれらの選択された化合物周辺で拡張され、選択された化合物を修飾した構造を表す化合物の第2のライブラリを作成する。拡張は、適当なアルゴリズムを用いてコンピュータ475によって全体として制御され、それはプログラムされるか、または、
図21の点線で示すように、少なくとも部分的に人間の入力を含むことができる。第2のライブラリは、改良された性能を持ついかなる化合物も識別するようにスクリーニングされ、要求に応じて1回以上、第3のおよび任意にそれ以上のライブラリを作成するために、1つ以上の化合物が患者を治療するために満足な特性を有すると識別されるまでその手順を繰り返すことができる。概念的に言えば、この種の化合物は、センサ558のシステムの下流から得られて、医療の専門家に伝達され、更なる診察560において患者を治療するのに用いられると考えることができる。
【0201】
最後に
図21および22に関して、それらは異なるプロセスを実行するためのシステムを示し、相互に接触する流動流体相および長手方向に移動する長尺固相を入れるように構成される処理装置、固相を処理装置の中を通って移動させるための制御可能な駆動装置と、処理装置への制御された流体相の流れを提供するための制御可能な流体計量装置(ポンプもしくはバルブ、またはそれらの組合せ)、固相が処理装置を通過した後に固相のパラメータを検出するよう配置されたセンサ、およびセンサならびに駆動装置および流体計量装置の少なくとも一方と信号で通信するのに適しセンサから入力信号を受信して出力信号を駆動装置および流体計量装置の少なくとも一方に送信するプロセッサを備える。プロセッサは、検出されたパラメータに応じて、駆動装置および流体計量装置の少なくとも一方を制御するようにプログラムされる。上述したように、システムは流体相が処理装置を通過した後に流体相のパラメータを検出するように配置されたセンサを備えることができ、さらにまたは代わりに、固相のパラメータを検出するように配置されたセンサを備えてもよく、この種の場合、プロセッサはセンサと信号による通信が可能で、センサから入力信号を受信して、出力信号を駆動装置および流体計量装置の少なくとも一方に送信することができる。
【0202】
システムはさらに、制御可能なエネルギー源(例えば熱源、超音波振動子、マグネトロン、レーザ、発光ダイオード、水銀灯(UV供給源)、または他の電磁放射の供給源)を備えることができ、それは供給源から、少なくとも流体相および固相が相互に接触するところに供給されるエネルギーのために配置され、プロセッサと信号で通信することができ、プロセッサは検出されたパラメータに応じてエネルギー源を制御するようにプログラムされる。
【0203】
拡大
本発明の装置は、バルクまたはセミバルク合成のために、複数の、特には多数の、同じ合成を実行する合成システムを提供することによって、拡大することができる。言い換えれば、複数の同一の合成システムを並行して提供することができる。
【実施例】
【0204】
以下の実施例1〜8は、Fmoc化学を利用した連続固相ペプチド合成に使用するための準備ができている綿リボンの、前処理における化学作用を示す役割をする。実施例はバッチ方法論を利用する化学作用を示すが、化学作用は本発明の装置および方法を使用した連続するプロセスにおいて、適用することができる。
【実施例1】
【0205】
化学誘導体化に先立つ綿テープの前処理
1 0.01gまで綿の乾燥質量を記録する。
2 他の残留物を除去するために家庭用洗濯機を洗剤または布地なしで作動する。
3 綿のテープを広げて、10mlの洗剤と共に洗濯機に入れる。
4 洗剤とともに、洗濯機のブランドおよびモデルを書き留める。
5 洗濯機を熱いサイクル(65℃)に配置する。
6 一旦洗濯機が終了したらテープを取り外して、室温で一晩乾燥させる。
7 テープの質量を記録する。
8 1125mlの蒸留水を含んだガラス製のビーカーにテープをいれて、沸騰するまで過熱する。
9 5分間綿を沸騰させて、それから過熱を止める。
10 一度冷やして綿を水から取出して、200mlの99%のエタノールにいれる。一晩そのままにする。
11 アルコールから綿を取出して、真空フィルターロートの上で吸引して乾燥させる。
12 綿の質量を記録してから綿をフィルターロートに戻し、さらに2分間吸引する。
13 綿の質量を記録して、それがステップ12において記録された質量の値の10%以内である場合には終了し、もしそうでなければ、質量が許容可能な制限の範囲内の値になるまで、繰り返す。
14 2つの1.5cmのリボンのサンプルを(1つはそれぞれの先端から)とる。サンプルの質量を0.001gまで記録して、冷凍庫の中のラベル付けされた密閉容器に保存する。
【実施例2】
【0206】
綿の酸活性化
1 綿を3つのほぼ等しいバッチへ分けて、それぞれの質量を記録する。それぞれ(A,B,およびCのように)識別する。
2 共に3つのバッチの質量を加えて、公式の使用を必要とするTFA/DCMの体積を算出するためにこれを使用する。V=10ml×M(Vは必要な25% v/v TFA/DCMの体積であり、Mはグラム表示の綿の質量である。)
3 DCM(1mlまで)の算出体積を含んでいる容器に、撹拌しながら、液滴のTFA(0.25V)の算出体積を加えることにより、酸の溶液を準備する。
4 綿テープの3つのバッチを3つのラベル付けされたガラス円錐フラスコに入れる。
5 TFA/DCMの必要な体積をそれぞれのフラスコに注入して、フラスコに脱脂綿で栓をする。
6 およそ60分(+または−5分)フラスコをそのまま放置する。
7 それぞれの綿のバッチを酸から取除き、1gにつき6mlのDCMの綿を含むビーカーにいれ、5分間放置する。
8 実施例4の手順を使用して、DCMで綿のそれぞれのバッチを洗浄する。
9 実施例4の手順を使用して、5%のDIPEA/DCMで綿のそれぞれのバッチを洗浄する。
10 実施例4の手順を使用して、DCMで綿のそれぞれのバッチを洗浄する。
11 真空ロートの上で吸引して乾燥させる。
12 綿のそれぞれのバッチを1gにつき1.3mlのDCMの綿を含むラベル付けされた円錐フラスコにいれる。
13 そのままおよそ2時間放置し、直接実施例3までさらに進む。
【実施例3】
【0207】
アミノヘキサン酸スペーサの綿への結合
1 溶液1.3mlにつき綿1gの場合における必要な試薬の量を算出する。
2 円錐フラスコに算出した量のDMFをいれる。それから、DMFに対して算出した質量のHOBtおよびFmocアミノヘキサン酸を加え、それらの濃度を0.6Mにする。1.2Mの濃度にするために、N−メチルイミダゾールを充分な量加える。
3 全ての固体が分解されるまで撹拌し、それから液滴で15分以上かけて、0.6Mの濃度にするのに必要な量のDICを加える。
4 さらに15分以上溶液を撹拌する。
5 綿のそれぞれのバッチをラベル付けされた円錐フラスコにいれて、ステップ2,3および4で準備した溶液を加える。フラスコの先端に脱脂綿で栓をする。
6 円錐フラスコを超音波発生装置に1時間入れる。
7 フラスコを室温(1℃まで記録する)でおよそ16時間(+または−1時間)放置する。
8 実施例4の手順を使用して、DMFで洗浄する。
9 実施例4の手順を使用して、エタノールで洗浄する。
10 実施例4の手順を使用して、DCMで洗浄する。
11 2つの1.5cmのサンプルをそれぞれのバッチから(1つはそれぞれの先端から)とり、ラベル付けされたバイアルにいれて、冷凍庫の中に保存する。
【実施例4】
【0208】
洗浄
1 フラスコの中に綿またはリボンを入れる。
2 溶媒を正しい量(材料1gにつき6ml)加える。
3 10分間そのまま放置する。
4 綿またはリボンを溶媒から取出し、真空ロート上で30秒吸引して乾燥させる。
ステップ1,2,3および4を2回以上繰り返す。
【実施例5】
【0209】
積載の決定
「Biotechnology and Bioengineering, VoI 61 , No. 1 , 2000, pgs 55-60」に説明される手順を使用した積載の決定。
1 リボンのそれぞれのバッチから6×10mgのサンプルを取り出して、個々にラベルをつけられたガラスのバイアルにいれる。
2 正確に、0.00001gまでそれぞれのサンプルの質量を記録する。
3 各バイアルにフィンピペットを使用してDMFの20%のv/vピペリジンを1000μlいれる。
4 バイアルに蓋をして浸透させるために室温で24時間そのまま放置する。
5 それぞれのバイアルから50μlを取出して他のラベルをつけられたバイアルに移し、さらに4950μlのDMFを加えることにより5000μlにする。
6 50μlの20%のピペリジン/DMFおよび4950μlのDMFを用いてブランクを埋める。
7 紫外・可視分光計のピーク吸光度を301nmに設定する。
8 ブランクに対するそれぞれのサンプルの吸光度を記録する。
9 積載は、以下公式を使用して決定する。
FS=(1000A)/(M(7800D))
FSは積載(mmolg
−1)であり、
Aは吸光度であり、
Mはサンプルの質量(mg)であり、
Dは0.01の希釈係数であり、
また7800は減衰係数(lmol
−1cm
−1)である。
【実施例6】
【0210】
キャッピング
1 リボンのそれぞれのバッチの質量を記録する。
2 DMFおよびN−メチルイミダゾールに対して無水酢酸を液滴で加えることにより、無水酢酸/N−メチルイミダゾール/DMF溶液を1:2:3(v/v/v)で混ぜ合わせる。
3 それぞれのバッチを円錐フラスコにいれ、リボン1gにつき1.3mlのステップ2からの溶液をそれぞれ加える。
4 フラスコを1時間そのまま放置する。
5 リボンのバッチをそれぞれ取出して、真空ロート上で30秒吸引させる。
6 実施例4の手順を使用して、DMFで洗浄する。
7 実施例4の手順を使用して、エタノールで洗浄する。
8 実施例4の手順を使用して、DCMで洗浄する。
9 2つの1.5cmのサンプルをそれぞれのバッチからとり、ラベル付けされたバイアルにいれて、冷凍庫の中に保存する。
【実施例7】
【0211】
脱保護
手順
1 20%v/v のジエチルアミンのDMF溶液を準備する。
2 リボンのそれぞれのバッチをラベル付けされた円錐フラスコにいれる。
3 リボン1gにつき2mlのジエチルアミン/DMFの溶液をそれぞれのフラスコに加える。
4 フラスコをそのまま室温(記録する)で15分放置する。
5 リボンのバッチをそれぞれ取出して、真空ロート上で吸引して乾燥させる。
6 実施例4の手順を使用して、DMFで洗浄する。
7 実施例4の手順を使用して、エタノールで洗浄する。
8 実施例4の手順を使用して、DCMで洗浄する。
9 一定の質量になるまで乾燥する。
10 それぞれのバッチの質量を記録する。
【実施例8】
【0212】
リボンに対するRinkリンカーの結合
1 リボンのそれぞれのバッチの質量を記録する。
2 実施例7の手順を用いて、リボンのそれぞれのバッチを脱保護する。
3 リボンのそれぞれのバッチをリボン1gにつき1.3mlのDMFを含んでいるフラスコにいれて、膨張させるためにそのまま2時間放置する。
4 140μmolg
−1の積載を引き受けるリボン上の活性基につきHATUおよびRink酸3当量を与えるのに必要な反応物の量を算出する
5 6当量を与えるのに必要なDIPEAの質量を算出する。
6 リボン1グラムにつきDMF1.3mlにおいて、HATUおよびRink酸を溶かす。DIPEAを加えて、1分間撹拌する。
7 リボンのそれぞれの部分を取り出して、30秒間真空ロート上で吸引する。
8 リボンのそれぞれのバッチを、ステップ5で準備する溶液を含むフラスコに入れる。
9 フラスコを超音波発生装置に1時間入れて超音波で分解する。
10 フラスコを30分間そのまま室温で放置する。
11 リボンのそれぞれのバッチを反応物から取出して、真空ロート上で吸引して乾燥させる。
12 実施例4の手順を使用して、DMFで洗浄する。
13 実施例4の手順を使用して、エタノールで洗浄する。
14 実施例4の手順を使用して、DCMで洗浄する。
15 2つの1.5cmのサンプルをそれぞれのバッチから(1つはそれぞれの先端から)とり、ラベル付けされたバイアルにいれて、冷凍庫の中に保存する。