特許第5977812号(P5977812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977812
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ケーブル終端装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/04 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   H02G15/04 030
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-503028(P2014-503028)
(86)(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公表番号】特表2014-514906(P2014-514906A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012001505
(87)【国際公開番号】WO2012136367
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】102011016459.6
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フランケ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】フェルトナー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】テュンカー,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタルケ,コルト
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01626875(US,A)
【文献】 特開2003−045554(JP,A)
【文献】 特開昭57−005278(JP,A)
【文献】 米国特許第02416943(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第19852100(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル端部(13)を接触の危険のないように終端処理するために、ハウジング(20)と、ケーブル(6)用の導入開口部(22)とを備えたケーブル終端装置(1)であって、
前記ハウジング(20)が終端キャップ(2)と、それと相互作用するねじ接続ユニット(4)とを含み、
前記導入開口部(22)が、少なくとも1つのケーブル端部(13)を収容するために前記ねじ接続ユニット(4)に設けられるケーブル終端装置(1)において、
少なくとも1つの掛止装置(25)が、前記ねじ接続ユニット(4)を前記終端キャップ(2)に掛止するために設けられ、
前記掛止装置(25)が、少なくとも1つの掛止歯部システム(26)と、それと相互作用する少なくとも1つの掛止要素(27)とを含み、
少なくとも1つの接続リング(3)が前記終端キャップ(2)の内側に少なくとも部分的に収容され、特に封止ユニット(12)が前記接続リング(3)の内側に半径方向に配置されることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル終端装置(1)において、前記掛止歯部システム(26)が前記ハウジング(20)に半径方向に設けられ、弾性の前記少なくとも1つの掛止要素(27)が前記終端キャップ(2)に設けられることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のケーブル終端装置(1)において、前記掛止装置(25)が少なくとも1つのねじれ歯部システム(28)を含むことを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のケーブル終端装置(1)において、前記ねじれ歯部システム(28)は、前記ケーブル終端装置(1)がねじ留めされると少なくとも部分的に前記掛止要素(27)と係合し、及び前記ねじれ歯部システム(28)の歯(29)が、ねじ留め方向(33)において、反対方向よりも浅い勾配を上昇することを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、少なくとも1つの掛止歯部システム(26)が、前記ハウジング(20)の外面に半径方向に配置されることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、少なくとも1つの掛止歯部システム(26)が、前記ねじ接続ユニット(4)の内側円周に沿って半径方向に配置されることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、前記終端キャップ(2)が少なくとも1つ長手部分にわたって雄ねじ(8)を有し、及び/または前記ねじ接続ユニット(4)が少なくとも1つの長手領域に雌ねじ(24)を有することを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、前記ケーブル(6)の芯線(19)を締め付けるように収容するために、前記ケーブル(6)の少なくとも1つの芯線端部(21)がそこで約180°で偏向される少なくとも1つの締付け溝(16)を前記接続リング(3)が有することを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、少なくとも1つの封止ユニット(10)が前記接続リング(3)と前記終端キャップ(2)との間に設けられ、特に少なくとも1つのOリングが設けられることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【請求項10】
請求項乃至の何れか1項に記載のケーブル終端装置(1)において、前記ねじ接続ユニット(4)が封止円錐部(34)を有し、前記ねじ接続ユニット(4)が前記終端キャップ(2)と併せてねじ留めされるとき前記接続リング(3)の層状構造体(11)が圧縮され、その結果、前記封止ユニット(12)が、挿入されているケーブル端部(13)に対して押圧されることを特徴とするケーブル終端装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブル終端装置に関し、このケーブル終端装置は、少なくとも1つのケーブル端部を、接触の危険のないように終端処理するために提供されかつ適している。
【0002】
埃や水などの環境の影響から遮断されるケーブル端部が、例えば太陽光発電システムの組立てにおいて、しばしば必要とされる。そのようなケーブル終端装置は一般的に、少なくともDIN EN 60529またはDIN 40050第9部それぞれに準拠する保護等級IP67を満たすべきである。これは、ケーブル終端装置が防塵性であるように構成されること、及びケーブル終端装置が断続的に冠水することに対する保護を少なくとも提供するように構成されることを意味する。そのような状況は、ケーブルが屋外に配置される場合に、例えば太陽光発電システムで使用される時に起こり得るためである。太陽光発電システムでの使用とは別に、本発明によるケーブル終端装置の使用は、他の電気または電子構成要素においても可能である。
【0003】
太陽光発電システムの組立てを簡素化するため、後のソーラーモジュールの組立て及び接続をより容易にするために例えば規則的な間隔でリール上に直接T継手を備えた電力ケーブルを製造することができる。その結果、そのようなケーブルは例えば、ソーラーモジュールを接続するために1mまたはそれに類似した長さなどの所定の間隔でT継手を有する。その結果、ソーラーモジュールを組み立てるために、リールからソーラーケーブルを所望の長さ巻き戻し、それを所望の長さに切断することだけが必要である。結果として起きる組立ての間、従ってソーラーモジュールは、既に提供されたT継手に対して横に接続することができる。
【0004】
しかしながら、ソーラーケーブルの切断された自由端部を確実に終端処理することが重要である。太陽光発電システムの起こり得る高い電流強さと電圧のために、電流ケーブルを、永久的に信頼できる方法で、及び接触の危険のないように、終端処理することが重要である。
【0005】
太陽光発電システムが一般家庭の屋根へだんだん取り付けられるにつれ、専門家以外の人間がそのような電気システムにますます近づくようになるので、太陽光発電システムが設置された家の住人または所有者ができるだけ危険に曝されないように、そのようなソーラーケーブルを終端処理することが重要である。
【0006】
未公開の独国特許第10 2010 047 217号明細書4−34は、ケーブル端部の簡単な終端処理用のケーブル終端装置を開示し、このケーブル終端装置を組立て完了後に手で開けることはもはや不可能である。
【0007】
本発明の目的は、簡単に組み立てられ、かつ接触からの信頼性のある保護を提供する別のケーブル終端装置を提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するケーブル終端装置によって達成される。本発明の好ましい発展形態は従属項の主題である。本発明の更なる利点及び特徴は実施形態から明らかになる。
【0009】
本発明によるケーブル終端装置は、ケーブル端部を、接触の危険のないように終端処理するために、少なくとも1つのケーブル用導入開口部を備えたハウジングを有する。
【0010】
ハウジングは、終端キャップと、それと相互作用するねじ接続ユニットとを有する。少なくとも1つのケーブル端部を収容するために導入開口部がねじ接続ユニットに設けられる。ハウジングを掛止するために少なくとも1つの掛止装置が設けられる。具体的には掛止装置は、ねじ接続ユニットを終端キャップに掛止する働きをする。
【0011】
本発明によるケーブル終端装置は、簡単な組立てと高度な安全性を提供するので、多くの利点を有する。掛止装置が原因で、別に工具を用いることなく手で分解することは不可能である。手は工具を使用することなくケーブル終端装置を分解するのに十分に握ることはできない。従って本発明によるケーブル終端装置は、特に太陽光発電システムのソーラーケーブルに使用される時、簡単な方法で高度な安全性を提供する。そのようなケーブル終端装置を手にした専門家以外の人間が、特別な工具なしにケーブル終端装置を開けることはできない。
【0012】
好ましい発展形態において、掛止装置は少なくとも1つの掛止歯部システムと、それと相互作用する少なくとも1つの掛止要素とを含む。掛止歯部システムと、それと相互作用する少なくとも1つの掛止要素とを備えた掛止を使用することにより、ケーブル終端装置の信頼性ある掛止が促進される。好ましくは、歯部システムは軸方向の歯部システムとして構成され、かつ軸方向に作用する対応掛止要素と相互作用する。
【0013】
ハウジングに半径方向に配置される、半径方向に作用する掛止歯部システムが設けられることは特に好ましい。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの、特に弾性的に作用する掛止要素が終端キャップに設けられる。全ての場合において、円周にわたり配置される、特に対称的に分配される、複数の掛止要素が設けられることは特に好ましい。
【0015】
有利な実施形態では、掛止装置は少なくとも1つのねじれ歯部システムを含む。ねじれ歯部システムは複数の歯を有し、その一方の縁部は、他方の縁部よりかなり浅くなるように構造化される。また例えば、一方の縁部を浅くなるように構造化し、他方の縁部を90°の角度で垂直に向けることも可能である。また、縁部の勾配を90°より大きくして突起または凹部をもたらすことも可能である。そのような実施形態により、特に解除が難しい接続が促進される。
【0016】
原則的に、特に急な掛止用の歯の縁部がある掛止歯部システムを備えた掛止装置は、大きな強度を用いてのみ解除することができる。そのような大きな強度は、工具の使用がなければ、接続の解除は掛止装置を、ひいては終端装置を全体的に破壊することによってのみ可能になるように選択されることがここで特に好ましい。
【0017】
特に好ましい実施形態では、ねじれ歯部はねじ留めプロセスの間、少なくとも一時的に及び/または少なくとも部分的に掛止要素と係合する。プロセスにおいて、ねじれ歯部の歯は、ねじ留め方向において、反対側の方向よりも低い勾配を上方へ傾斜する。このように、終端キャップのハウジングへの簡単なねじ留めが可能である。
【0018】
掛止要素及び/またはねじれ歯部の歯は、ねじ留めプロセスの間、弾性的に降伏する。終端キャップが上手くねじ込まれるか外側にねじ留めされると、他方側のねじれ歯部の歯のより急な突き出しは、大きな力を用いて初めてそれを回して緩めることができることを意味し、それは一般的に当該構成要素の破壊につながる。
【0019】
好ましい実施形態では、掛止歯部はハウジングの外面に半径方向に配置される。しかしながら掛止歯部を、周囲形状または周囲凹部に沿って内面に半径方向に設けることもできる。少なくとも1つがある掛止要素は従って、掛止歯部との係合を保証するために、外面に半径方向に、または内面に半径方向に設けられる。
【0020】
終端キャップが最外端で丸まるように構造化される場合、これによって、たとえ終端キャップ及びねじ留めユニットなどの典型的にプラスチック製のハウジング部分が沈下(settlement)に曝されたとしても、更にずっと信頼性がありかつ永続的な偶然による、即ち意図しないケーブル終端装置の開口からの保護が、終端キャップの形状の結果としてもたらされる。
【0021】
接続箱などのケーブル端部用の保護装置が従来技術において知られている。これらでは、各入力部は、封止プラグを用いて封止される。しかしながらこれらはまた、工具なしに開けることが可能であり、その為、太陽光発電システムのケーブル終端装置を開けることの危険性について疎い一個人が相当な危険に曝される可能性がある。
【0022】
別の不利点は、そのような構成要素の費用、及びかなりより高い組立ての費用の問題である。ここで本発明は、より低い組立て費用の利点、及びより低い費用、並びに改善された接触からの保護の別の利点を提供する。
【0023】
好ましい発展では、工具によって把持され得るロック装置が終端キャップの外端部に設けられる。終端キャップの外端部のロック装置によって、ねじ留めユニットがねじ留めされている間、ロック装置を把持した工具によって終端キャップを保持できるという利点がもたらされる。ねじ留めプロセスが完了すると、工具なしにその後それを再び開けることができないように、工具を取り外すことができる。
【0024】
好ましくはロック装置は、終端処理されるケーブルの長手方向の延伸に対して横に延びる少なくとも1つのスリット及び/または貫通孔を含む。ドライバーなどの工具が、例えば、貫通孔に挿入され得、従って位置を固定するために使用され得る。ケーブル終端装置のハウジングを閉鎖し、その中に収容されるケーブルを接触の危険のないように終端処理するために、ねじ留めユニットを、適所に固定される終端キャップの方に回転させることができる。
【0025】
好ましくは、外端部の終端キャップは、概ね半球状であるように構造化される。そのような半球状の実施形態は、終端キャップの半球状端部の手による固定が相当な困難を伴って初めて可能になるので、利点をもたらす。従ってケーブル終端装置の偶然の開口は、実際には不可能である。
【0026】
終端キャップは、少なくとも1つの長手部分に沿って雄ねじを有すると好ましい。詳細には、ねじ留めユニットは少なくとも1つの長手領域に沿って雌ねじを有する。ケーブル終端装置のハウジングを併せてねじ留めするために、ねじ留めユニットの雌ねじが終端キャップの雄ねじと相互作用することが特に好ましい。
【0027】
好ましくは少なくとも1つの接続リングが、終端キャップの内側に少なくとも部分的に収容される。
【0028】
封止キャップが少なくとも1つの締付け形状部を備えた締付け装置を有すること、及び/または接続リングが少なくとも1つの締付け溝を有することが可能である。終端キャップの締付け形状部が接続リングの締付け溝と相互作用することが特に好ましい。
【0029】
同時に、それがケーブルの少なくとも1本の芯線またはケーブル全体を締付け形状部と締付け溝との間に締め付けることによって収容することができることが特に好ましい。これにより、ケーブル端部がケーブル終端装置に特に有利に固定される。ねじ留めユニットと終端キャップが併せてねじ留めされるとそれらの間に配置される接続リングが、収容されたケーブル端部を終端キャップと一緒に確実に締め付けるからである。
【0030】
複数の締付け形状部及び複数の締付け溝が、所定の方法で周囲に沿って分配されて配置されることが特に好ましい。これにより、例えば、多芯線ケーブルが安全かつ確実に締め付けられ、ケーブルの各芯線が一対の締付け形状部と締付け溝によって締め付けられることが可能になる。多芯線ケーブルの各芯線が中心から星形に延びるように締付け形状部が星形に配置されることが特に好ましい。結果として、各ケーブル端部間の特に大きな沿面距離が可能になり、それにより安全性が増す。
【0031】
締付け溝は、特にU型またはV型であるように、かつ形材などの形態の対応する締付け形状部によってそこで締め付けられる芯線端部を収容する働きをするように、構造化することができる。締付け形状部及び締付け溝の分配は、それらが周囲に対称的に分配されるように設けることができる。各締付け溝及び締付け形状部を、互いに等距離に置かれるように設けることができる。また、各締付け形状部を複数のグループで配置することさえ可能で、各グループの他のグループからの距離は、1つのグループ内の各芯線間の距離より大きい。
【0032】
接続リングが少なくとも1つの締付け溝を有する別の構成は特に好ましい。ケーブルの芯線端部は、この締付け溝によって約180°偏向する。結果としてケーブルの芯線は、非常にしっかりと締め付けられるように収容される。約180°の偏向により、非常に頑丈であるソーラーケーブルの場合、特に強力な締付けと、固定位置とが促進される。ケーブルを引き抜くことは実際には不可能である。ケーブルは180°偏向され、かつそのようにケーブルを引き抜くために必要な強度を集めるのは不可能であり得る、または構成要素の破壊につながり得るからである。
【0033】
180°の偏向を有するそのような締付け溝の、特にU型の締付け溝の特別な利点は、締付け形状部を終端キャップ内に設けることが不要なことである。
【0034】
終端キャップは、組み立てられた状態において、芯線端部を接続リングにおいて封じ込める。組立ての間、終端キャップは、それが押し込まれるときに芯線端部が約180°偏向されることを保証する。
【0035】
結果として、接続リングを任意の所望の角度で終端キャップの中に満たすことができる。回転角度の調整は不要である。他方、締付け形状部が終端キャップ内に使用される場合、終端キャップは予め決められた角度でのみ組み立てることができる。締付け形状部と締付け溝の位置が適合しなければならないからである。
【0036】
全ての実施形態において、好ましくは少なくとも1つの封止装置が、接続リングと終端キャップとの間に設けられる。封止装置は、例えば、少なくとも1つのOリングを含むことができるか、そのように構造化することができる。
【0037】
好ましくは封止ユニットが接続リングの内側に半径方向に配置される。具体的には封止ユニットはケーブルと、接続リングの内側形状部との間に設けられる。
【0038】
ねじ接続ユニットは少なくとも1つの封止円錐部を有することができ、封止円錐部により、ねじ接続ユニットが終端キャップにねじ留めされると、接続リングの層状構造体が圧縮され、その結果、封止ユニットが接続リングの内側の挿入されたケーブル端部に対して押され、従ってケーブル端部を水及び埃などの侵入から保護する。
【0039】
高度な信頼性及び安全性が接続リングによって生じ、接続リングはケーブル全体を、またはその各芯線を別々に締め付ける。大きな力を用いても、何らかの追加的な補助なしにケーブルをケーブル終端装置から引き抜くことはできない。更に本発明によるケーブル終端装置は、費用効果的にかつ簡単に組み立てることができる。
【0040】
組み立てるために、ケーブル外被の一部を除去することができ、ねじ部及び接続リングがケーブル端部の上に押される。各芯線が締付け溝に固定され、突出した端部を簡単に切断することができる。次にねじ部が終端キャップにねじ留めされる間、終端キャップが押され、かつドライバーなどを用いてある角度で固定される。結果として、各芯線は締付け溝に対して180°偏向され、かつそこで締め付けられ、ゆえにケーブル終端装置においてケーブル端部の非常に緊密な密着がもたらされる。約180°の偏向により、非常に緊密な密着が可能になる。「約180°」は、150°〜210°の範囲、及び特に165°〜195°の範囲であると理解される。
【0041】
組立てが完了すると、ドライバーを取り外すことができ、工具なしに分解することは不可能である。
【0042】
芯線の星形の接続及びその後の曲げ戻しの結果として、できるだけ互いに離された広がった芯線端部がもたらされ、信頼性のある保護及び最良の空気及び沿面間隔が提供される。
【0043】
本発明はまた、ケーブル端部を接触の危険のないように終端処理するために、ケーブルの導入開口部を備えたハウジングを有するケーブル終端装置を目的とする。ここでハウジングは終端キャップと、それと相互作用するねじ接続ユニットとを含む。導入開口部は、少なくとも1つのケーブル端部を収容する目的で、ねじ接続ユニットに設けられる。ケーブル端部の少なくとも1つの芯線端部がここで、緊密な密着を達成するために、約165°〜195°、特に約180°偏向される。
【0044】
本ケーブル終端装置は、単芯線または多芯線ケーブルの緊密な密着を可能にするので、多くの利点を有する。互いに相互作用する締付け溝と締付け形状部の費用及び時間のかかる構成は不要である。芯線端部を確実に締め付けるために、例えば、1つのU型締付け溝における偏向で十分である。
【0045】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付の図面を参照して以下に説明される実施形態の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明によるケーブル終端装置の図を示す。
図2図2は、図1によるケーブル終端装置の分解図を示す。
図3図3は、図1によるケーブル終端装置の終端キャップの上面図を示す。
図4図4は、図1によるケーブル終端装置の断面図を示す。
図5図5は、組立て中の図1によるケーブル終端装置を示す。
図6図6は、更なる組立て段階中のケーブル終端装置を示す。
図7図7は、別のケーブル終端装置を示す。
図8図8は、図7によるケーブル終端装置のねじ接続ユニットを示す。
図9図9は、図7による終端キャップを斜視図で示す。
図10図10は、図9による終端キャップの上面図を示す。
【0047】
本発明の第1実施形態を添付図面の図1〜6を参照して記載し、図1は本発明によるケーブル終端装置1の側面図を示す。
【0048】
ケーブル終端装置1は封止キャップ2及びねじ接続ユニット4を含み、それらはケーブル6を終端処理するために併せてねじ留めされる。意図しない開口からの保護性を増すために掛止装置25が設けられ、掛止装置25はここでの実施形態では掛止歯部26と、掛止フックとして構造化される2つの掛止要素27とを含む。
【0049】
掛止歯部26はねじれ歯部28として構造化され、第1実施形態では、ねじ接続ユニット4の外面に半径方向に設けられている。掛止歯部26は掛止要素27と相互作用し、掛止要素27はそれぞれ2つの歯29の間で係合し、かつねじ留めされた状態においてそこで確実な掛止を保証する。
【0050】
終端キャップ2とねじ接続ユニット4とのねじ留めプロセスが完了すると、それを再び開けることはもはや不可能である。掛止装置25は、それを手で開けることができないように掛止する。開口が必要になる場合、終端キャップ2は、工具23の助けを借りて掛止装置25の力に対抗してまわして外すことができ、これは通常、掛止装置25の、ひいてはケーブル終端装置1全体の破壊につながる。
【0051】
妥当であれば、工具を使用して掛止要素27を掛止歯部26から離して曲げること、及びそうすることによって掛止装置を係合した状態から外すことができる。その後、終端キャップ2は再び回して外すことができる。
【0052】
終端キャップ2は、手に対する抵抗をより一層減らすために、及びケーブル終端装置の意図しない開口をより一層難しくするために、外端部14において半球状であるように構造化されると好ましい。
【0053】
スパナ用平坦部5が、ケーブル終端装置に、またはねじ部またはねじ接続ユニット4に設けられ、ねじ接続ユニット4を封止キャップ2にねじ留めするために、スパナ、プライヤまたは他の工具と係合可能である。
【0054】
ねじ接続ユニット4は終端キャップ2とともにハウジング20を形成し、ハウジング20は、接触の危険のないようにその中に収容されるケーブル6のケーブル端部13を収容し、かつケーブル端部13を接触、フラッシオーバなどから確実に保護する。
【0055】
終端キャップ2にロック装置7が設けられ、それは図2及び3ではっきり見ることができるスリット17と、ウェブ18とを有する。スリット17はウェブ18で覆われる貫通孔を形成する。
【0056】
図2に示されるように、終端キャップ2は、ねじ接続ユニット4の雌ねじ24(図4参照)とともにねじ留めされるために設けられた雄ねじ8を有する。ここで接続リング3がねじ接続ユニット4と終端キャップ2との間に収容される。締付け溝16が接続リング3に設けられ、ケーブル6の各芯線19の、図2に示される端部21を、それらが締め付けられるように締付け溝16に収容する。Oリング10が封止装置として機能し、終端キャップ2からの封止を提供する。
【0057】
接続リング3の、ねじ接続ユニット4の方に回転される端部に層状構造体11が設けられ、層状構造体11は、ねじ留めプロセスの間封止ユニット12と相互作用して、ケーブル6のケーブル端部13を、ケーブル6のケーブル端部13が封止されるようにねじ接続ユニット4において収容する。封止ユニット12は弾性封止リングとして構造化することができる。
【0058】
図4において、図3に従うケーブル終端装置1の断面A−Aが示される。ケーブル6の各芯線19の芯線端部21が締付け溝に締め付けられる。芯線端部21は接続リング3の締付け溝16に確実に締め付けられる。
【0059】
締付け作用は180°の偏向によって固定される。
【0060】
圧縮された層状構造体11によってケーブル端部13に押圧される封止ユニット12は、ケーブル端部13をねじ接続ユニット4から封止する働きをする。
【0061】
ねじ接続ユニット4が1つにねじ留めされているとき、終端キャップ2の雄ねじ8がねじ接続ユニット4の雌ねじ24にねじ込まれている。ねじ留めプロセスの前、ケーブル端部13は導入開口部22に押し込まれる。
【0062】
図3は組立て中のケーブル終端装置1を示し、ねじ接続ユニット4を終端キャップ2と一緒にねじ留めすることができるように、工具23がロック装置7に挿入されている。
【0063】
組立ての更なるステップが図5及び6に示される。組立てはこのあとこれら図面を参照して記載される。組立ての間、ケーブル6のケーブル端部13は、ねじ接続ユニット4の導入開口部22を通して押される。次に、ケーブル端部13は接続リング3を通して送られる。各芯線19が剥き出しにされ、接続リング3の締付け溝16に押し込まれる。各芯線19の突出する端部は収まるように切断される。
【0064】
図6に示されるように、ねじ接続ユニット4は次に押される。次に終端キャップ2が、その雄ねじ8によって雌ねじ24にねじ込まれる(図4参照)。このプロセスにおいて、各芯線19の芯線端部21の偏向が、終端キャップ2のねじ8の領域のハウジング領域によって引き起こされる。ねじ留めプロセスによって発生した力は非常に強く、その結果芯線端部21中の中実の導体は、締付け溝16において180°偏向される。結果として、切断された端部は、ねじ接続ユニット4の方向に向き返る。自由に剥き出しにされた芯線端部は、可能な限り外側端部14から離される。
【0065】
約180°でのこの偏向の結果、終端キャップ2の外側端部14までの距離が再び増える。終端キャップ2が何らかの理由で力などによって損傷した場合、たとえ終端キャップ2が開口または除去されているとしても、損傷時に接近可能な芯線端部21の導体の端部からなおかなりの距離がある。結果として、損傷時でさえ、指の接触をかなり防ぐことができる。
【0066】
芯線端部21の切断は、180°の偏向が保証されるようにここで実行される。更に、180°の偏向によって、ケーブル終端装置への緊密な締付け密着が保証される。180°偏向された長さは、例えば5mmまたは100mであり得る。具体的にはそれは芯線端部21の直径の2倍より長い。
【0067】
終端キャップ2がねじ接続ユニット4と併せてねじ留めされると、掛止要素27が、ねじれ歯部28としてここで構造化される掛止歯部26と係合する。
【0068】
掛止要素27は、歯29のより浅い斜面35の上を摺動するとき、外側半径方向に弾性的な収縮戻りがある程度に弾性的であるように構造化される。
【0069】
各斜面35が乗り越えられると、掛止要素27は、逆回転方向に装置を回して外すことが実際には不可能であるように、内側半径方向に弾性的に跳ね返る。
【0070】
図1〜6に従う実施形態の掛止装置25は、外側に半径方向に設けられた掛止歯部26と、内向きに半径方向に作用する掛止要素27とで構造化されるが、ねじれ歯部28として構造化される図7〜10に従う実施形態の掛止歯部26は、ねじ接続ユニット4の半径方向内側形状部に、または内側部分に配置される。掛止要素27は終端キャップ3の外側に半径方向に設けられる。
【0071】
終端キャップ2は、ケーブル6の封止された収容及び終端処理のために、ねじ接続ユニット4と一緒にねじ留めされる。ある回数のねじ回転の後、掛止要素27はねじれ歯部28と係合する。このプロセス中、掛止要素27の浅い斜面35が、歯29の浅い斜面35の上を摺動し、掛止要素27は、例えば弾性的に曲がる。ねじ留めの方向において斜面35により浅い勾配が設けられる結果、ねじ留めプロセスは殆ど力を入れないで実行可能である。ねじ留めプロセスが完了すると、掛止要素27は、手で再びそれを回して開けることができないように、ねじれ歯部28と緊密に掛止する。
【0072】
掛止効果は、通常その構成要素の破壊をもたらす、図3に示されるような、工具23を使用する大きい力によってのみ克服することができる。特別な工具を用いて、構成要素を破壊することなく、構成要素を開けることができる。
【0073】
全体的に、約180°での芯線端部21の偏向により、接触からの高度な保護を保証することができる。ハウジング構成要素2及び4を互いに固定することにより、ケーブル終端装置1の安全な閉止がもたらされる。
【0074】
同時に、特別な工具を使用する必要のない特に簡単な組立てが促進される。従って屋根上での太陽光発電システムの組立てを、少ない費用で行うことができる。
【0075】
終端キャップ2のロック装置7は、原則的にどのような形状であってもよい。例えば、終端キャップに2つの穴を互いに距離を空けて設けることも可能であり、その穴に、回転を防止するように終端キャップを固定することができるように工具が挿入される。
【0076】
高度な緊密性が、例えばOリングを用いた接続リングの外界に対する密閉を介して達成可能なため、本発明によるケーブル終端装置により、水及び埃の侵入に対する高度な緊密性が促進される。更に高度な緊密性は、例えばゴム状に弾性的である封止ユニットによって、ケーブル端部13と接続リングとの間にも達成される。
【0077】
本発明は、高度な引張り強度も達成され得るので、多くの利点を提供する。接続リングと終端キャップとの間で各芯線を締め付けることにより、高度な引張り強度が得られる。同時に、ねじ、ばねなどを用いた各芯線の固定は排除される。標準化されたシールを用いて密閉される簡単なプラスチック部品を用いることが可能である。
【0078】
それを再び開けるには、たとえある据付け(settlement)プロセスが、使用されているプラスチック部品を用いて始まっていたとしても、工具が必要である。
【0079】
各芯線の星形の配置を用いることによって、特に大きい空気及び沿面間隔がもたらされる。
【符号の説明】
【0080】
1 ケーブル終端装置
2 終端キャップ
3 接続リング
4 ねじ接続ユニット
5 スパナ用平坦部
6 ケーブル
7 ロック装置
8 雄ねじ
10 封止装置、Oリング
11 層状構造体
12 封止ユニット
13 ケーブル端部
14 外端部
16 締付け溝
17 スリット
18 ウェブ
19 各芯線
20 ハウジング
21 芯線端部
22 導入開口部
23 工具
24 雌ねじ
25 掛止装置
26 掛止歯
27 掛止要素
28 ねじれ歯部
29 歯
30 形状部、凹部
31 締付け装置
33 ねじ留め方向
34 封止円錐部
35 斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10