(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977825
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】マイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20160817BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-524935(P2014-524935)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-521975(P2014-521975A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】KR2012006338
(87)【国際公開番号】WO2013022284
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0079497
(32)【優先日】2011年8月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314000442
【氏名又は名称】高麗大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(72)【発明者】
【氏名】シン セヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】イム チェスン
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−539503(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/069656(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/018833(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/009267(WO,A1)
【文献】
特表2008−539438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプルが内部に収容されるサンプル貯蔵室と;
前記サンプル貯蔵室の内部に設置され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘発させる撹拌器と;
前記撹拌器によって撹拌された血液を多数個の経路に分離させて流動させる並列チャネルと;
前記並列チャネルの端部にそれぞれ連結され、一定の圧力を維持し、撹拌された血液を前記並列チャネルに沿って流動させる真空装置と;
前記並列チャネルの後段側に設置され、前記並列チャネルに光を照射する光源と;
前記並列チャネル内の血液を透過した光を受信し、電気的信号に変えて、血液流動の進行距離を測定するイメージセンサーと;を含むマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置であって、
前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減し、血小板機能検査のために血小板が付着及び凝集するようにするための多数個のマイクロフィラーが設置され、それぞれの並列チャネルに位置する前記マイクロフィラーには、互いに異なる試薬がコーティングされており、
前記真空装置は、前記並列チャネルの端部に連結された真空チャンバーと;前記真空チャンバーと連結され、内部にピストンが移動可能に設置され、真空チャンバーを一定の圧力に維持させるシリンジと;を含むことを特徴とするマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項2】
血液サンプルが内部に収容されるサンプル貯蔵室と;
前記サンプル貯蔵室の内部に設置され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘発させる撹拌器と;
前記撹拌器によって撹拌された血液を多数個の経路に分離させて流動させる並列チャネルと;
前記並列チャネルの端部にそれぞれ連結され、一定の圧力を維持し、撹拌された血液を前記並列チャネルに沿って流動させる真空装置と;
前記並列チャネルの後段側に設置され、前記並列チャネルに光を照射する光源と;
前記並列チャネル内の血液を透過した光を受信し、電気的信号に変えて、血液流動の進行距離を測定するイメージセンサーと;を含むマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置であって、
前記並列チャネルの前段部には、内部に多数個のビーズが具備されるチャンバーが設置されており、前記チャンバーの前面及び後面には、前記ビーズより直径が小さい通孔が形成されており、
前記真空装置は、前記並列チャネルの端部に連結された真空チャンバーと;前記真空チャンバーと連結され、内部にピストンが移動可能に設置され、真空チャンバーを一定の圧力に維持させるシリンジと;を含むことを特徴とするマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項3】
前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減するための流路の急拡張部が設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項4】
前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減し、血小板機能検査のために血小板が付着及び凝集するようにするための多数個のマイクロフィラーが設置されることを特徴とする請求項2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項5】
前記マイクロフィラーには、コラーゲンとエピネフリン、コラーゲンとADPで構成された試薬のうちいずれか1つがコーティングされることを特徴とする請求項1又は4に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項6】
前記ビーズには、コラーゲンとエピネフリン、コラーゲンとADPで構成された試薬のうちいずれか1つがコーティングされることを特徴とする請求項2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項7】
前記真空チャンバーとシリンジの間には、前記並列チャネルの開閉を制御する真空弁がさらに設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項8】
前記撹拌器の撹拌による最小せん断率が5000(s-1)以上であるか、又は最小せん断力が8Pa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項9】
前記光源は、LEDアレイであり、前記イメージセンサーはCCDセンサーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【請求項10】
前記真空弁は、血液サンプルが注入された後、前記真空チャンバーの真空圧力が並列チャネルに連結されるように開弁された後、すぐ閉弁されるようにして、各並列チャネルの初期真空圧力が血液サンプルの流入によって減少するようにすることを特徴とする請求項7に記載のマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板複合機能検査装置に関し、より詳細には、マイクロチップの流路設計を通じて少量又は大量の検体を自動に検査することができるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板機能検査は、主に先天性血小板機能異常や手術前の選別検査において多く使用され、特に、血小板の数的異常がない出血性疾患において先天性又は後天性の血小板機能異常による出血性疾患を鑑別するのに重要な検査である。
【0003】
最近、このような血小板機能検査が心血管疾患の治療及び予防に使用される抗血小板薬剤による出血性傾向の増加や薬剤の耐性に対する検査のために多く利用されている実情である。
【0004】
出血時間(Bleeding time、BT)検査は、約100年前に開発された出血時間測定検査であって、現在まで血小板機能選別検査として使用されている。しかし、現在使用されている血小板機能検査は、標準化が難しく、臨床的有用性が少なくて、侵襲的{しんしゅう てき}方法を使用しなければならない問題があり、これにより、血小板機能を測定することができる客観化された測定法が要求されている。
【0005】
以上の問題点を解決するために考案され、血小板の機能を測定する技術として使用されているPlatelet Function Analyzer(例:PFA-100)の場合には、高せん断率で活性化されたvon Willebrand Factor(vWF、フォンヴィレブランド因子)によって血小板が凝集される特性があり、これを測定するために、長い毛細管に高せん断率で全血を流動させた後、コラーゲン(Collagen)と一緒にADPあるいはエピネフリン(Epinephrine)がコーティングされたオリフィス(orifice)に血小板が凝集され、オリフィス孔が閉塞される閉塞時間を圧力又は流量などで測定する方法が施行されている。
【0006】
このような血小板機能検査のためには、vWFの機能に絶対的に依存しなければならないし、ヘマトクリット(Hct)に依存的な検査が行われ、抗アスピリン(Aspirin)又は抗クロピドグレル(Clopidogrel)検査が不可能な短所がある。また、血小板の機能検査のために2つの段階にわたって検査が必要であり、検査費用が高くなる短所を有している。
【0007】
特に、vWFを活性化するために、血液サンプルが高いせん断率で一定時間以上に露出しなければならないが、このためにPFA-100では、非常に長い毛細管を早い速度で血液を流動させる方法を採択した。しかし、このような方法は、多量の血液が要求されるのみならず、せん断率が最大になる毛細管壁近くのvWFは、容易に活性化されることができるが、せん断率が最小になる管中心部に位置するvWFは、活性化されない問題点を有していて、そのため、検査結果の繰り返し性に問題をもたらすことができる短所を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解決するためのものであって、一回の検査で複合的な血小板機能に対する多重検査が可能であり、検査費用を節減し、検査繰り返し性と精密度を向上させることができるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、自動で閉塞時間(Closure time)を測定することができる構造を有するマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置を提供することにある。
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されない他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の一態様によれば、本発明は、血液サンプルが内部に収容されるサンプル貯蔵室と;前記サンプル貯蔵室の内部に設置され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘発させる撹拌器と;前記撹拌器によって撹拌された血液を多数個の経路に分離させて流動させる並列チャネルと;前記並列チャネルの端部にそれぞれ連結され、一定の圧力を維持し、撹拌された血液を前記並列チャネルに沿って流動させる真空装置と;前記並列チャネルの後段側に設置され、前記並列チャネルに光を照射する光源と;前記並列チャネル内の血液を透過した光を受信し、電気的信号に変えて、血液流動の進行距離を測定するイメージセンサーと;を含
み、前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減し、血小板機能検査のために血小板が付着及び凝集するようにするための多数個のマイクロフィラーが設置され、それぞれの並列チャネルに位置する前記マイクロフィラーには、互いに異なる試薬がコーティングされており、前記真空装置は、前記並列チャネルの端部に連結された真空チャンバーと;前記真空チャンバーと連結され、内部にピストンが移動可能に設置され、真空チャンバーを一定の圧力に維持させるシリンジと;を含む。
【0012】
本発明の他の態様によれば、血液サンプルが内部に収容されるサンプル貯蔵室と;前記サンプル貯蔵室の内部に設置され、前記血液サンプル内にせん断流動を誘発させる撹拌器と;前記撹拌器によって撹拌された血液を多数個の経路に分離させて流動させる並列チャネルと;前記並列チャネルの端部にそれぞれ連結され、
一定の圧力を維持し、撹拌された血液を前記並列チャネルに沿って流動させる真空装置と;
前記並列チャネルの後段側に設置され、前記並列チャネルに光を照射する光源と;前記並列チャネル内の血液を透過した光を受信し、電気的信号に変えて、血液流動の進行距離を測定するイメージセンサーと;を含むマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置であって、前記並列チャネルの前段部には、内部に多数個のビーズが具備されるチャンバーが設置されており、前記チャンバーの前面及び後面には、前記ビーズより直径が小さい通孔が形成されており、前記真空装置は、前記並列チャネルの端部に連結された真空チャンバーと;前記真空チャンバーと連結され、内部にピストンが移動可能に設置され、真空チャンバーを一定の圧力に維持させるシリンジと;を含む。
【0013】
前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減するための流路の急拡張部が設置されることができる。
【0014】
前記並列チャネルの前段部には、血液の流動速度を低減し、血小板機能検査のために血小板を付着(adhesion)及び凝集(aggregation)するようにするための多数個のマイクロフィラーが設置されることを特徴とする。
【0015】
前記マイクロフィラーには、コラーゲンとエピネフリン、コラーゲンとADPで構成された試薬のうちいずれか1つがコーティングされることができる。
【0019】
前記ビーズには、コラーゲンとエピネフリン、コラーゲンとADPで構成された試薬のうちいずれか1つがコーティングされることができる。
【0022】
前記真空チャンバーとシリンジとの間には、前記並列チャネルの開閉を制御する真空弁がさらに設置されることができる。
【0023】
前記撹拌器の撹拌による最小せん断率は、5000(s
-1)以上であるか、又は最小せん断力が8Pa以上であることができる。
【0024】
前記光源は、LEDアレイであり、前記イメージセンサーは、CCDセンサーであることができる。
【0025】
前記真空弁は、血液サンプルが注入された後、前記真空チャンバーの真空圧力が並列チャネルに連結されるように開弁された後、すぐ閉弁されるようにして、各並列チャネルの初期真空圧力が血液サンプルの流入によって減少するようにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高せん断率で撹拌された血液が並列チャネルに流入され、それぞれのチャネルで互いに異なる試薬によって検査が行われることができるので、一回の検査で複合的な血小板機能に対する多重検査が可能であり、検査時間が減少し、検査費用が節減される効果がある。
【0027】
また、本発明によれば、並列チャネルの後段部に設置された光源とイメージセンサーを用いて血液流動の進行距離を測定し、シリンジを利用して一定の圧力を維持することによって、閉塞時間を容易に決定することができる効果がある。
【0028】
また、血液サンプル内部に存在するvWFを比較的均一なせん断流動場で一定時間以上せん断力を加えて、活性化を均質に発生させて、血小板凝集現状の繰り返し再現性を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1は、本発明の一実施例によるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置の構成図である。
図2は、本発明によるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置の多数個のビーズが具備されるチャンバーの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明による基盤血小板複合機能検査装置の一実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例によるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置の構成図である。
【0032】
図示のように、本発明によるマイクロチップを基盤とした血小板複合機能検査装置には、血液サンプルが内部に収容されるサンプル貯蔵室1が具備される。サンプル貯蔵室1は、略円形のチャンバー形態で作られる。サンプル貯蔵室1のサイズは、使用目的によって多様なサイズに製作されることができる。また、サンプル貯蔵室1は、外部で容易に観察することができるように光学的に透明になるように製作されることが好ましい。
【0033】
次に、サンプル貯蔵室1の内部には、撹拌器3が設置される。撹拌器3の形状は、円形棒及び円形板形状のうちいずれか1つで構成されることができる。もちろん撹拌器3は、前述した形状以外に他の形状で構成されることもできる。撹拌器3の直径又は厚さは、サンプル貯蔵室1の深さの略半分サイズを有することが好ましく、撹拌器3の長さ又は直径は、サンプル貯蔵室1の直径の80〜90%水準のサイズを有することが好適である。この際、撹拌器3の回転による最小せん断率は、5000(s
-1)以上になるか、最小せん断力が8Pa以上であることが好ましい。また、せん断流動場に血液サンプルが露出される時間は、最小30秒以上であることが好ましい。これは、せん断率を利用してvWFの十分な活性化を図るためである。
【0034】
撹拌器3は、適切な速度で回転運動をすることによって、サンプル貯蔵室1に注入された血液サンプルに高いせん断流動を誘導することによって、血液の内部にあるvWFを活性化させて、適切な試薬がコーティングされた部位に血小板が付着し、凝集するようにする役目をする。撹拌器3は、別に設置された撹拌誘導装置(図示せず)の磁力によって磁化し、機械的な連結なしに影響を受けることができるように、薄い金属材で製作されることができる。また、
図1のように、棒又は棒形状を有することもできるが、円形板、少しの傾斜と厚さを有する円錐、又はビーズ形状で製作されることもできる。
【0035】
一方、サンプル貯蔵室1で供給された血液サンプルは、多数個の経路を有する並列チャネル10に分けられて流入される。並列チャネル10は、
図1で2個のチャネルとして図示したが、これに限定されるものではなく、3個以上のチャネルに分岐して構成されることもできる。本実施例で、このようにチャネルを並列で構成したことは、それぞれのチャネルごとに互いに異なる種類の試薬をコーティングし、血液サンプルの複合的な機能検査が一回に行われるようにするためである。また、一回の検査で多数の血小板機能に対する詳細精密検査が可能であり、費用が節減され、検査時間が短縮される長所がある。
【0036】
マイクロフィラー12には、コラーゲンとエピネフリン、コラーゲンとADPで構成された試薬のうちいずれか1つがコーティングされることができる。例えば、
図1に示された並列チャネル10において上方のチャネルには、コラーゲンとエピネフリン混合物、下方のチャネルには、コラーゲンとADP混合物をそれぞれコーティングすることができる。このような試薬のコーティングは、チャネル壁にコーティングされることもでき、以下で説明するマイクロフィラー12又はビーズ
52の表面にコーティングされることもできる。
【0037】
マイクロフィラー12は、並列チャネル10に多数個が突出されて設置されるものであって、並列チャネル10の前段部に設置されることが好ましい。マイクロフィラー12には、前述した試薬がコーティングされていて、血小板とコーティング部の接触面積を拡大させ、血液の流動を低減させる役目をする。すなわち、高せん断流動によって活性化されたvWFが血小板と反応し、流動が減速される区間によって広くなった試薬コーティング部との接触面積に円滑に付着が行われることができるように流動断面積が閉塞される構造物区間を構成したものである。
【0038】
一方、マイクロフィラー12だけによって前述した機能を行わなければならないものではない。
図2を参照すれば、並列チャネル10においてマイクロフィラー12が設置された位置に別途のチャンバー50が設置されることができる。チャンバー50は、略直方体形状で作られ、内部には、血液が通過することができる空間が形成されている。
【0039】
また、チャンバー50の前面及び後面には、それぞれ通孔
54が形成され、血液が供給され排出されることができる構造を有する。そして、チャンバー50の内部には、通孔
54より大きい直径を有する多数個のビーズ
52が具備される。ビーズ
52には、コラーゲンとエピネフリン混合物のような試薬がコーティングされていて、マイクロフィラー12のように血小板とコーティング部の接触面積を拡大させ、血液の流動を低減させる役目をする。
【0040】
一方、図面には具体的に図示してはいないが、並列チャネル10の前段部、すなわちマイクロフィラー12又はチャンバー50が設置された部分の前段に血液の流動速度を低減するための流路の急拡張部が設置されることもできる。
【0041】
並列チャネル10の後段側には、並列チャネル10に光を照射するための光源20が設置される。そして、光源20の反対側には、並列チャネル10を挟んでイメージセンサー22が設置される。イメージセンサー22は、光源20で照射された光を受信し、電気的信号に変えて、血液流動の進行距離をリアルタイムで測定する役目をする。すなわち、光源20で照射された光は、並列チャネル10内に流入された血液を通過し、イメージセンサー22に受信され、イメージセンサー22に受信される光量が血液が満ちている場合に減少することを利用して血液流動の進行距離を測定する。
【0042】
このように血液流動の進行距離を測定すれば、血小板の閉塞時間(Closure time)を測定することができる。例えば、初期流量の10%以下に低下した流量が3秒以上持続すれば、この時を閉塞時間として見なすことができる。
【0043】
一方、光源20としては、LEDアレイなどが使用されることができ、イメージセンサー22としては、CCDセンサーが使用されることができる。
【0044】
次に、並列チャネル10の端部には、並列チャネル10の内部を一定の圧力に維持させるための真空装置が設置される。上記真空装置は、並列チャネル10の端部に連結された真空チャンバー30と;真空チャンバー30を一定の圧力に維持させるためのシリンジ40とを含む。ここで、真空チャンバー30とシリンジ40との間には、真空弁32が具備されていて、シリンジ40には、ピストン42が移動可能に設置され、真空吸入作用をする。真空弁32は、真空装置と多数個の並列チャネル10の開閉を制御する役目をする。
【0045】
すなわち、血液流動が始まる地点では、ピストン42がシリンジ40の内部で後進し、正格真空を形成していて、真空弁が開弁しながら圧力が減少することを測定し、これに対応する分だけシリンジ40を後退させて、シリンジ及び連結された導管の圧力を一定に維持するようにする。この際、本発明のサンプル流動の速度は、PFA-100とは異なって、速く流動させる必要がないので、適正な速度で流動させればよく、これに必要な正格圧力を提供することができる。すなわち、PFA-100では、速い毛細管せん断流動を通じてvWFを活性化させる方法に比べて、本発明では、サンプル貯蔵室のせん断流動発生メカニズムで既に活性化されたので、速い流動が不要になる長所がある。
【0046】
一方、真空チャンバー30の一側には、真空装置で圧力が時間が経過するにつれて減少することを計測するための圧力センサー33が連結される。
【0047】
また、上記真空装置は、一定の真空圧力を有している真空チャンバー30に並列チャネル10が連結され、ピストン42が固定される場合、真空圧力によって血液サンプルが並列チャネル10に流入され、これにより、圧力が次第に減少するようになる。すなわち、真空弁32は、血液サンプルが注入された後、真空チャンバー30の真空圧力が並列チャネル10に連結されるように開弁された後、すぐ閉弁されるようにして、各並列チャネル10の初期真空圧力が血液サンプルの流入によって減少するようにする。このように上記真空装置で圧力が時間によって減少する場合、圧力がこれ以上変わらない時点に到達すれば、これを閉塞時間に代替することができる。
【0048】
以下では、前述したような構成を有する本発明による血小板複合機能検査方法を詳細に説明する。
【0049】
まず、検査者は、静脈採血した血液サンプルをサンプル貯蔵室1に注入する。そして、サンプル貯蔵室1に設置された撹拌器3を駆動させる。ここで、血液サンプルの撹拌は、あらかじめ設定された速度及び時間の間に回転することができる。このような撹拌によってvWFが活性化される。
【0050】
次に、血液サンプルは、並列チャネル10を通じて互いに異なる経路に流入される。ここで、活性化されたvWFは、マイクロフィラー12又はビーズ
52にコーティングされた試薬(コラーゲンとエピネフリン混合物、又はコラーゲンとADP混合物)に付着され、これは、血小板を付着させることができる基礎を設けるようになる。このように並列チャネル10それぞれにコーティングされた互いに異なる試薬によって多数の血小板機能に対する詳細精密検査を行うことができる。
【0051】
一方、並列チャネル10内の血液流動の進行距離は、光源20及びイメージセンサー22を用いて測定される。すなわち、光源20で照射された光は、並列チャネル10内の血液を通過し、イメージセンサー22に受信され、イメージセンサー22でこれを電気的信号に変えて、血液の進行距離をリアルタイムで測定するようになる。このように測定する過程で、初期流量の10%以下に低下した流量が3秒以上持続するときには、閉塞時間として規定することができる。この際、シリンジ40のピストン42は、血液流動によって後退しながら一定の圧力に制御し、流量を計算し、閉塞時間を決定するようになる。
【0052】
本発明の権利範囲は、上記で説明された実施例に限定されず、請求範囲に記載されたものにより定義され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者が請求範囲に記載した権利範囲内で多様な変形と改作を行うことができるということは自明である。
【符号の説明】
【0053】
1 サンプル貯蔵室
3 撹拌器
10 並列チャネル
12 マイクロフィラー
20 光源
22 イメージセンサー
30 真空チャンバー
32 真空弁
40 シリンジ
42 ピストン
50 チャンバー
52
ビーズ
54
通孔