(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチはトランジスタおよび前記トランジスタのゲートおよびエミッタにそれぞれ接続されたゲート端子(324)およびエミッタ端子(326)を備える端子を備える、請求項1に記載のパワーユニット。
前記ハウジング内で第2の遠隔搭載された駆動回路(314)に2つまたはそれ以上の第2のワイヤリードを介して電気的に結合されるように構成された第2のスイッチ、および前記第2のスイッチの端子におよび前記第2スイッチと並列に電気的に結合された第2のクランプ回路をさらに備え、前記第2のクランプ回路は前記ハウジング内または前記ハウジングの外表面上に配置され、および前記第2のスイッチの両端の電圧を制限するように構成され、前記第1および第2のスイッチは直列に接続される、請求項1または2に記載のパワーユニット。
第2のハウジング内で第2の遠隔搭載された駆動回路(314)に2つまたはそれ以上の第2のワイヤリードを介して電気的に結合されるように構成された第2のスイッチ、および前記第2のスイッチの端子におよび前記第2のスイッチと並列に電気的に結合された第2のクランプ回路をさらに備え、前記第2のクランプ回路は前記第2のハウジング内または前記第2のハウジングの外表面上に配置され、および前記第2のスイッチの両端の電圧を制限するように構成され、前記第1および第2のスイッチは直列に接続される、請求項1または2に記載のパワーユニット。
各スイッチはそれぞれのトランジスタおよびそれぞれのトランジスタのゲートおよびエミッタに接続されたゲート端子(324)およびエミッタ端子(326)を備える各スイッチの前記端子を備える、請求項1から4のいずれかに記載のパワーユニット。
モータを駆動するための交流出力波形を生成する制御可能なインバータモジュールであって、前記インバータモジュールはスイッチハウジング(313)内に含まれるクランプ回路(328)およびトランジスタスイッチを備える、インバータモジュールと、
前記駆動回路(314)の第1の端子を前記トランジスタスイッチのゲート端子(324)に結合する第1のワイヤリードおよび前記駆動回路(314)の第2の端子を前記トランジスタスイッチのエミッタ端子(326)に結合する第2のワイヤリードを介して前記トランジスタスイッチに動作可能に結合された駆動回路(314)と、
を備え、
前記クランプ回路(328)は前記ゲート端子(324)およびエミッタ端子(326)間の電圧を制限するために前記ゲート端子(324)およびエミッタ端子(326)との間に前記トランジスタスイッチと並列に配置され、前記クランプ回路(328)は前記スイッチハウジング(313)内または前記スイッチハウジング(313)の外表面上に配置され、
前記クランプ回路(328)はダイオードの第2のセットと直列に配置されたダイオードの第1のセットを備え、前記ダイオードの第1のセットは互いに平行に配置された複数のツェナーダイオード(400)を備え、前記ダイオードの第2のセットは互いに平行に配置された複数のショットキーダイオード(402)を備え、
前記クランプ回路(328)は、直列接続された前記ダイオードの第1のセットおよび前記ダイオードの第2のセットと並列に配置されたキャパシタ(320、606)を備える、
パワーシステム(200)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の例示的な実施形態は一般的にインバータなどの電子機器の信頼性を向上させるためのシステムおよび方法に関する。且つ又、そのような例示的な実施形態はインバータスイッチを挟むゲート−エミッタ間電圧を制限するための改良されたクランプ回路に関連してもよい。移動型および固定型実装は本発明の実施形態と共に使用するのに適しているが、例を簡単にするために移動型実装が詳細に開示される。そして、移動型実装に関しては、特定のアセット、すなわちディーゼル電気機関車が本発明の特定の実施形態の開示のための説明の明確化のために選択されている。機関車以外の他の適切な車両は、オンロード車両、オフハイウェイ車両、鉱山機械、建設機械、産業機器、および船舶を含め適切な移動型アセットとして考慮される。
【0013】
本明細書で使用されるクランプ回路は、ダイオードがいくつかの回路内での特定の点での電位が一定値以上に上昇するまたはそうではなく一定値以下に下降する際はいつでも低い抵抗値を提供する、または交流回路における電圧の正または負の極端なある一定値を維持する回路である。本明細書で使用される場合、スイッチという用語はとりわけ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、逆導通IGBT、および双モード絶縁ゲートトランジスタ(BIGTs)などのハイパワー半導体スイッチを含んでいてもよい。他の適切なスイッチはサイリスタおよびバイポーラトランジスタを含んでいてもよい。区別はスイッチの種類の中に留意される。例えば、多数キャリアデバイス(ショットキーダイオード、MOSFET)および少数キャリアデバイス(サイリスタ、バイポーラトランジスタ、IGBT)がある。少数キャリアデバイスが両方(すなわち、電子および正孔)を使用する一方、多数キャリアデバイスは電荷キャリアの1種類のみを使用する。区別をする特徴に含まれるのは、多数キャリアデバイスは比較的高速であるが、少数キャリアデバイスの電荷注入は比較的良好なオン状態性能を可能にする場合があることである。本明細書で使用されるインバータは直流(DC)を交流(AC)に変換する電気機器であり;変換されたACは選択された変圧器、スイッチ、および制御回路を用いて決定された電圧および周波数であることができる。本明細書で使用されるキャパシタは、正電荷を1つのプレート上に集め、負電荷を別のプレート上に集めることを生じさせる、導体の両端の電位差(電圧)、誘電体の両端に静電場を発生するようにした、誘電体(絶縁体)により分離された一対の導体を含む受動電子部品である。このように、キャパシタは静電界にエネルギーを蓄積することができる。いくつかの適切なキャパシタは交流を通過することを可能にしながら、直流をブロックしてもよい。
【0014】
図1は本発明の1つまたは複数の実施形態を示すディーゼル電気機関車のブロック図である。簡略化された部分断面図に示されている機関車は参照番号100で示される。
図1に表示しない複数のトラクションモータは駆動輪102の後方に位置し、駆動する関係において車軸104に結合される。
図1に表示しない複数の補助モータは機関車上の様々な部位に位置し、ブロワーまたはラジエータファンのような様々な補助負荷に結合される。モータは交流(AC)電動モータであってもよい。以下に詳細に説明するように、機関車100はモータへの電力を制御するための複数の電気的なインバータ回路を含んでいてもよい。
【0015】
図2は実施形態によるパワーシステムのブロック図である。参照番号200で示されるパワーシステムは負荷へのACパワーを制御するために使用されてもよい。パワーシステム200はディーゼルエンジン(図示せず)などのオンボード内燃機関により駆動されるオルタネータ202を含んでいてもよい。オルタネータ202のパワー出力はフィールド制御204により示されるフィールド励磁制御により調節される。オルタネータ202からの電力は整流器206によって整流され、および1つまたは複数のインバータ208に結合される。インバータ208は、1つまたは複数のACモータ210に適用するために直流パワーを可変周波数および可変電圧振幅を有する交流パワーに変換するハイパワー半導体スイッチを使用してもよい。2つのモータが示されているが、機関車は、例えば個々のインバータによりそれぞれが制御される4つから6つのAC電気モータを含んでいてもよい。
【0016】
再度
図1を参照すると、電力回路は少なくとも部分的に機器室106内に配置される。インバータ208およびフィールド制御204用の制御電子機器並びに他の電子部品は機器室106内のラックに保持された回路基板上に配置されてもよい。機器室106内で、パワーコンバータは空冷ヒートシンク108に搭載されてもよい。
【0017】
AC波形を生成するために使用されるインバータ208は1つまたは複数のスイッチを含んでいてもよい。使用される特定のスイッチはアプリケーション固有のパラメータを参照して選択されてもよい。
【0018】
インバータスイッチのオンおよびオフを切り替えるために使用される駆動回路はインバータモジュールから遠隔操作してもよい。例えば、駆動回路は駆動回路の出力を対応するインバータモジュールスイッチのゲートに結合するのに使用されるワイヤリードとともに、インバータモジュールのハウジングから外側に遠隔して位置するリモート回路基板上に配置されてもよい。駆動回路およびスイッチとの間のワイヤリードは、特定の状況下でスイッチのゲート端子およびエミッタ端子間の電圧上昇に寄与することができるインダクタンスのレベルを導入する。例えば、10cmのワイヤード接続は100nH以上の良好なインダクタンスを導入してもよい。そのような発生の可能性を低減するために、いくつかのインバータモジュールは駆動回路がインバータモジュールスイッチに搭載され、および高インダクタンスワイヤリードが除去されるように構成される。このような構成はパワーシステム上のパッケージングデザインの制約を強いる場合がある。実施形態によれば、駆動回路は駆動回路をインバータスイッチに結合するワイヤリードとともにインバータスイッチから遠隔配置され、およびクランプ回路はワイヤリードにより導入された高インダクタンスの影響を軽減するために使用される。駆動回路およびスイッチに比べて小さいサイズであるクランプ回路は、クランプおよびスイッチ入力との間の低インダクタンス接続を提供するスイッチデバイスと一体化されてもよい。インダクタンスを切り替える一般的なクランプは数nHの範囲である。このように、パワーシステムのための非常に柔軟なパッケージングデザインを可能にしながら、クランプはスイッチが過電圧状態を経験する可能性を低減する。
【0019】
図3は実施形態によるクランプ回路を有するインバータ位相レグのブロック図である。
図3に示すように、インバータ位相レグ300はスイッチ302および304の対を含む。スイッチは本明細書では上側スイッチ302および下側スイッチ304と呼ばれる。本明細書では上側ダイオード306と呼ばれる第1のダイオードは上側スイッチ302のコレクタおよびエミッタ間に反平行に配置される。本明細書では下側ダイオード308と呼ばれる第2のダイオードは下側スイッチ304のコレクタおよびエミッタ間に反平行に配置される。ダイオード306および308は、電流伝導スイッチがオフされる際に回路および負荷のインダクタンスにより生成される電流である、フリーホイーリング電流のための導電性パスを提供する。上側ダイオード306は、下側スイッチ304がオフされた際に結果として生じる場合のあるフリーホイーリング電流のための導電性パスを提供する。下側ダイオード308は、上側スイッチ302がオフされた際に結果として生じる場合のあるフリーホイーリング電流のための導電性パスを提供する。上側スイッチ302および下側スイッチ304は上部レール電圧310および下部レール電圧312との間に直列に配置される。実施形態において、各スイッチ302および304およびそれに対応するダイオード306および308はそれ自身の個別のスイッチハウジング313内に配置される。実施形態において、スイッチ302および304とダイオード306および308は同じハウジング内に配置される。簡略化のために、単相出力318を生成するための単一のインバータ位相レグ300が示される。しかしながら、実施形態によるインバータモジュールは2つ、3つ、またはそれ以上のインバータ位相レグ300を含んでいてもよく、各々が特定の位相のための出力AC波形を提供することが理解されるであろう。例えば、3つのインバータ位相レグ300が三相AC出力波形を生成するために使用されてもよい。さらに、実施形態はまた直列接続されたレグの対、3レベルおよびマルチレベルインバータ、H−ブリッジ等を有するコンバータなどのコンバータを含んでいてもよい。
【0020】
各スイッチ302および304は少なくとも対応するスイッチ302および304のゲートおよびエミッタに動作可能に結合された駆動回路314により駆動される。制御回路316はスイッチ302および304の活性化を調整するために駆動回路314に動作可能に結合されてもよい。制御回路316はスイッチ302および304を位相出力318でAC波形を生成するために交互にオンおよびオフにパルス化することを引き起こさせてもよい。実施形態において、ゲート−エミッタ間のキャパシタ320は各スイッチ302および304と並列に、換言すると各スイッチ302および304のゲートおよびエミッタ間に配置されてもよい。本説明の目的のために、3端子デバイスに関して使用される場合、用語「平行」は3端子デバイスのいずれか2つの端子と共通の接続を参照するものとして使用される。ゲート−エミッタ間のキャパシタ320は対応するスイッチ302および304のスイッチタイミング特性を制御する大きさである。実施形態において、ゲート−エミッタ間のキャパシタ320は
図4に示すようにクランプの一部として含まれていてもよい。実施形態において、ゲート−エミッタ間のキャパシタ320は
図3に示すように別個の構成要素であってもよい。
【0021】
実施形態において、駆動回路314はインバータ位相レグ300およびスイッチ302および304から遠隔配置される。駆動回路314が「遠隔」配置されているとの記述は、例えば駆動回路314をスイッチハウジング313に直接搭載することにより達成されてもよいような、駆動回路314が低インダクタンス接続(例えば、10nH以下)または非常に低インダクタンスの接続(例えば、5nH以下)を介してスイッチ302および304に結合されていないことを意味する。(1つの態様によれば、より一般的には、それらの間の電気的接続が低インダクタンスの接続ではない場合、例えばそれらの間の電気的接続が10nHを超える場合、2つの回路または他のデバイスが遠隔接続される。別の態様によれば、それらの間の電気的接続が非常に低インダクタンスの接続ではない場合、例えばそれらの間の電気的接続が5nHを超える場合、2つの回路または他のデバイスが遠隔接続される。)駆動回路314は、それぞれがスイッチハウジング313上に配置された駆動回路314の出力端子および入力端子との間に配置されたワイヤリード322を介してスイッチ306および308に結合されてもよい。具体的には、一対のワイヤリード322のワイヤの一方はスイッチハウジング313のゲート端子324に結合されてもよく、および他のワイヤリード322はスイッチハウジング313のエミッタ端子326に結合されてもよい。図示していないが、駆動回路314およびスイッチハウジング313との間に他の機能的ワイヤが存在してもよく、例えば、ワイヤリードが駆動回路314を上側スイッチ302のセンシングコレクタ端子に結合する。ゲート端子324およびエミッタ端子326はスイッチハウジング313の外側に配置されてもよく、例えばネジ端子またはハウジングの他の外部端子(ハウジングの外側からアクセス可能な、ハウジングに接続された端子と呼ばれる、および外部デバイスおよびハウジング内の構成要素との間の電気的接続を確立するための「外部」端子)であってもよい。実施形態において、ワイヤリード322は外部ソースからの電磁妨害から保護するためにツイストペア構成で配置されてもよい。
【0022】
各駆動回路314はスイッチ302または304のゲート端子およびエミッタ端子間に正の電圧を供給することによりその制御下でスイッチ302または304をオンにするように構成されてもよい。本記述の目的のために、スイッチ302または304をオンするために使用される電圧レベルは約15ボルトであってもよい。しかしながら、特定の実装に使用されるスイッチ302および304の設計に応じて、任意の適切な電圧レベルが使用されてもよいことが理解されるであろう。特定の障害条件の下で、スイッチを損傷する恐れがある過度のレベルをスイッチ302または304のエミッタおよびコレクタ間の電圧用に設けることが可能であってもよい。例えば、「シュートスルー(shoot through)」としても知られる故障状態の一種は、2つのスイッチ302および304を介して上部レール電圧310および下部レール電圧312との間に短絡を作成する、両方のスイッチ302および304が同時にオンしている場合に起こり得る。インバータ位相レグ300の構成要素のいずれかに損傷を与える可能性を低減するために、駆動回路314は故障状態を検出し、および故障状態が検出された際にその制御下でスイッチ302または304をオフにするように構成されてもよい。しかしながら、スイッチ302または304の1つをオフにする過程において、スイッチ302または304を損傷するのに十分な大きさの電圧スパイクがスイッチ302または304のゲートおよびエミッタ間に現れる場合がある。ワイヤリード322の高インダクタンス接続はこのような電圧上昇に寄与する場合がある。
【0023】
障害状態が発生した場合にスイッチの損傷に対するさらなる保護を提供するために、インバータ位相レグ300は各スイッチハウジング313のゲート端子324およびエミッタ端子326、および各対応するスイッチ302および304と並列に電気的に結合されるクランプ回路328を含む。(インバータモジュールは各スイッチ302および304にそのようなクランプ回路328が1つずつに提供されていてもよい。)実施形態において、クランプ回路328はゲート端子324およびエミッタ端子326に近接するスイッチハウジング313の外側に搭載される。実施形態において、クランプ回路328はスイッチハウジング313内に配置されてもよい。クランプ回路328および対応するスイッチ302または304との間の電気的接続はスイッチ302または304への近接に起因する低インダクタンス接続である。
【0024】
クランプ回路328は、スイッチ302または304が損傷を受ける可能性以上の電圧限界を超えることから、本明細書で「ゲート−エミッタ間電圧」と呼ばれる、上側スイッチ302のゲートおよびエミッタ間の電圧を防止するように構成されてもよい。電圧制限は特定の実施において使用される特定のスイッチの製造業者により指定されてもよい。例えば、スイッチ302または304の種類および設計特性に応じて、電圧制限値は約20ボルトであってもよい。通常動作時には、クランプ回路328はゲート−エミッタ間の電圧に有意に影響を与えず、ゲート−エミッタ間の電圧がスイッチ302または304の指定されたターンオン電圧に達するかまたは超えることを可能としない。クランプ回路328は、ゲート−エミッタ間電圧が本明細書で「クランプ閾値電圧」と呼ばれる電圧を超える際に、スイッチ302または304両端のゲート−エミッタ間の電圧を減少させるように構成されてもよい。クランプ閾値電圧を超えると、クランプ回路は活性化されてもよく、このようにスイッチ302または304間の過剰電圧上昇を防止する。クランプ閾値電圧はスイッチのターンオン電圧およびスイッチ302または304のために指定された電圧限界の間であってもよい。実施形態において、クランプ回路328はショットキーダイオード、ツェナーダイオード、キャパシタ等の受動構成要素を含む。様々なクランプ回路が
図4−6に関連してさらに説明される。
【0025】
図4は実施形態によるクランプ回路の概略図である。
図4に示すように、クランプ回路328はショットキーダイオード402のセットと直列に配置されたツェナーダイオード400のセットを含んでいてもよい。本明細書で使用される時、用語「セット」は1つまたは複数を指すことができる。ツェナーダイオード400のセットは互いに平行に配置されてもよい。
図4に示すように、各ツェナーダイオード400のカソードはスイッチのゲートに電気的に結合されてもよく、および各ツェナーダイオード400のアノードはショットキーダイオード402それぞれのアノードに電気的に結合されてもよい。またショットキーダイオード402は、互いに平行に配置されてもよい。各ショットキーダイオード402のカソードはスイッチのエミッタに電気的に結合されてもよく、および各ショットキーダイオード402のアノードはツェナーダイオード400それぞれのアノードに電気的に結合されてもよい。典型的なツェナーダイオードは、ツェナーダイオードの両端の電圧がツェナーダイオードの降伏電圧よりも大きい場合、アノードからカソードへの順方向の電流を可能とし、またカソードからアノードへの逆方向の電流をも可能にする。
図4に示す実施形態において、クランプ閾値電圧はツェナーダイオード400の降伏電圧にショットキーダイオード402のセット間の順方向バイアス電圧を合わせたものにほぼ等しくなるであろう。インバータの通常の動作中は、ゲート−エミッタ間の電圧はツェナーダイオード400の降伏電圧を超えず、およびツェナーダイオード400はゲートおよびエミッタ間に開回路を提示する。このように、クランプ回路328は通常動作時のゲート−エミッタ間の電圧にほとんどまたは全く影響を及ぼさない。ゲート−エミッタ間の電圧がツェナーダイオード400の降伏電圧を超える場合、ツェナーダイオード400はゲートからエミッタへの逆方向の電流を可能にし、それによってスイッチ302または304のゲートおよびエミッタ間の電圧レベルを低下させる。このようにして、故障状態の場合にスイッチが保護される。スイッチ306または308が負にバイアスされる際、換言するとエミッタ電圧がゲート電圧よりも高い際には、ショットキーダイオード402はクランプ回路328を介して電流をブロックする。実施形態において、他の種類のダイオードがシリコンダイオード、ゲルマニウムダイオード等などのショットキーダイオードの代わりに使用されてもよい。ダイオードの選択はアプリケーション固有のパラメータを参照して行われてもよい。
【0026】
4つのツェナーダイオード400および4つのショットキーダイオード402が示されているが、クランプ回路328は適切な数のツェナーおよびショットキーダイオードを含んでいてもよい。例えば、クランプ回路328は1つ、2つ、3つ、5つ、またはそれ以上の各タイプのダイオードを含んでいてもよい。さらに、ツェナーダイオード400の数はショットキーダイオード402の数と異なっていてもよい。例えば、クランプ回路は4つのショットキーダイオード402および2つのツェナーダイオード400、3つのツェナーダイオード400および1つのショットキーダイオード402、または任意の他の適切な組み合わせを含んでいてもよい。クランプ回路がアクティブである際には、ダイオード400および402の各々はゲート−エミッタ間の電圧のわずかな増加に寄与してもよい抵抗の小さいレベルを提示する。4つのツェナーダイオード400および4つのショットキーダイオード402を並列に含むことにより、クランプ回路328の全体的な抵抗は減少され、それによってクランプ回路328がアクティブの際、例えばシュートスルー故障事象または他の高速過渡事象の間、ゲート−エミッタ間の電圧をさらに制限する。
【0027】
図5は実施形態によるクランプ回路の概略図である。
図5に示すように、クランプ回路328はショットキーダイオード402のセットと直列に配置されたツェナーダイオード400のセットを含んでいてもよい。
図4に示すクランプ回路と同様に、ツェナーダイオード400のセットはスイッチのゲートに電気的に結合された各ツェナーダイオード400のカソードとともに互いに平行に配置されてもよい。
図4のクランプ回路とは異なり、各ツェナーダイオード400のアノードはショットキーダイオード402の1つのアノードに電気的に結合され、およびショットキーダイオード402はアノードからカソードへ互いに直列に配置されてもよい。各ショットキーダイオード402のカソードはスイッチ302または304のエミッタに向けて配置されてもよく、および各ショットキーダイオード402のアノードは各ツェナーダイオード400のアノードに向けて配置されてもよい。実施形態において、ツェナーダイオード400のセットおよびショットキーダイオード402のセットの位置は
図5に示されるものと比較して交換されてもよい。
【0028】
図5のクランプ回路は
図4のクランプ回路と同様に動作する。インバータの通常の動作中は、ゲート−エミッタ間の電圧はツェナーダイオード400の降伏電圧を超えず、ツェナーダイオード400はゲートおよびエミッタ間に開回路を提示し、クランプ回路328はゲート−エミッタ間の電圧にほとんどまたは全く影響を与えない。ゲート−エミッタ間の電圧がツェナーダイオード400の降伏電圧を超える場合、ツェナーダイオード400はエミッタからコレクタに逆方向の電流を可能にし、それによってスイッチのゲートおよびエミッタ間の電圧レベルを低下させる。ショットキーダイオード402はスイッチ302または304が負にバイアスされる際にはクランプ回路328を介して電流をブロックする。
【0029】
一般的に、ダイオード400および402の特性、したがってクランプ回路328のクランプ閾値電圧は温度によって異なる場合がある。例えば、ツェナーダイオードの降伏電圧はより低い温度でより低くなる場合がある。依って、クランプ回路328は予想される動作温度の全範囲で確実に動作するように構成されてもよい。例えば、クランプ回路で使用されるダイオードの数および種類はスイッチ302または304のターンオン電圧よりも低いクランプ閾値電圧で活性化されることからクランプ回路328を防ぐように選択することができる。上述したように、クランプ閾値電圧はツェナーダイオード400の降伏電圧にショットキーダイオード402のセット間の順方向バイアス電圧を合わせたものにほぼ等しくなるであろう。2つのショットキーダイオード402を直列に配置することにより、ショットキーダイオード402のセット間の全体的な電圧は増加されてもよく、このようにクランプ回路328のクランプ閾値電圧を増加させる。このように、クランプ回路328は予想される動作温度範囲に渡って適切なクランプ閾値電圧を提供するように調整されてもよい。さらに、クランプ回路328は特定の実装のために所望のクランプ閾値電圧に依存して3つ、4つ、またはそれ以上のショットキーダイオードを含んでいてもよい。さらに、シリコンダイオード、およびゲルマニウムダイオードなどの、より高い順方向バイアス電圧を有する他の種類のダイオードをショットキーダイオードの代わりに、またはそれらと組み合わせて使用されてもよい。加えて、5つのツェナーダイオード400が示されているが、クランプ回路328は任意の適切な数のツェナーダイオード400、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、6つ、またはそれ以上のツェナーダイオード400を含んでいてもよいことが理解されるであろう。
【0030】
図6は実施形態によるクランプ回路の概略図である。
図3に関連して説明したように、駆動回路314はスイッチ302または304から遠隔配置され、および駆動回路314の出力端子をスイッチハウジング313の入力端子に接続するワイヤリード322を介してスイッチ302または304に結合されてもよい。前のとおり、クランプ回路328はスイッチハウジング313内またはスイッチハウジング313の外側表面上に配置されてもよい。クランプ回路328および対応するスイッチ302または304との間の電気的接続はマルチキロアンペアパワースイッチ用に数nHのオーダー(例えば、10nH未満、またはいくつかの実施形態では5nH未満)で低インダクタンスの接続である
駆動回路314は電圧源600並びに駆動回路314により供給される電圧レベルおよび信号タイミング特性を制御するように構成された様々な構成要素を含んでいてもよい。実施形態において、駆動回路314はスイッチ302または304に適用可能な電圧制限に応じて、駆動回路314の出力電圧を適切なレベルに制限するように構成された電圧クランプ602を含んでいてもよい。駆動回路314に含まれる電圧クランプ602はスイッチ302または304のゲートに、典型的には10nH/cmの比較的高いインダクタンスワイヤリード322を介して電気的に結合されてもよい。ワイヤリード322に因り、駆動回路314に含まれる電圧クランプ602の有効性はスイッチ302または304のゲートおよびエミッタ間の電圧スパイクを防止することに関して制限されるであろう。
【0031】
前のとおり、クランプ回路328は対応するスイッチ302または304のゲート端子324およびエミッタ端子326との間に配置されてもよい。
図6に示すように、クランプ回路328はキャパシタ606のセットと直列に配置されたショットキーダイオードなどのダイオード604のセットを含んでいてもよい。ダイオード604のセットは単一のダイオード604またはお互いに並列に配置された複数のダイオード604を含んでいてもよい。各ダイオード604のアノードはスイッチハウジング313のゲート端子324に結合され、および各ダイオード604のカソードはキャパシタ606のバンクに結合される。
【0032】
キャパシタ606のセットは低域通過フィルタの機能を提供する。定常状態時には、キャパシタ606のセットはゲートおよびエミッタ間に開回路を提示し、およびゲート−エミッタ間の電圧には有意に影響を与えない。スイッチがターンオンまたはオフされる際のような過渡状態の間、キャパシタ606はスイッチ302または304の定格電圧限界をさもなければ超える可能性のある過渡電圧スパイクを減衰させる。さらに、スイッチに印加されるゲート−エミッタ間の電圧が低下している際には、ダイオード604のセットはキャパシタ606によりゲートから放電されたリターン電流をブロックする。このように、ダイオード604はターンオフ中に通常のスイッチタイミングで干渉からキャパシタ606を防ぐ。キャパシタのセットは1つまたは複数のキャパシタを備えていてもよい。
【0033】
実施形態において、駆動回路314はワイヤリード322を介してスイッチハウジング313に結合された少なくとも3つの出力端子を含む。1つのワイヤリード322は駆動回路314のゲート出力端子をスイッチ302または304のゲート端子324に電気的に結合する。他のワイヤリード322は駆動回路314のエミッタ出力をスイッチ302または304のエミッタ端子326に電気的に結合する。第3のワイヤリード322は駆動回路314をクランプ回路328に結合し、およびキャパシタ606のセットから放電されてもよい電流のためのリターンパスを提供する。
図6に示すように、第3のワイヤリード322はダイオード604のセットおよびキャパシタ606のセットとの間の位置でクランプ回路328に電気的に結合されてもよい。
【0034】
図7はクランプ回路なしのインバータモジュールスイッチのゲート−エミッタ間の電圧のグラフである。具体的には、
図7は故障検出イベントの間の典型的なインバータモジュールスイッチのゲート−エミッタ間の電圧を示す。ゲート−エミッタ間の電圧はスイッチのためのゲート電流およびコレクタ−エミッタ間電流上に重畳される。ゲート−エミッタ間の電圧は実線702により表され、ゲート電流は破線704により表され、コレクタ−エミッタ電流は点線706により表される。X軸はマイクロ秒単位の時間を表し、Y軸は適切にスケーリングされたスイッチに印加されるゲート−エミッタ間の電圧、ゲート電流およびスイッチ電流に対する電圧を示す。
【0035】
図7のグラフは駆動回路によりターンオンされ、そして次に故障状態の検出に応答してターンオフされた後のスイッチの動作を示す。
図7に示すように、ゲート電流は駆動回路によりターンオンされるスイッチに応答して約1マイクロ秒で上昇し始める。ゲート電流の上昇に続いて、ゲート−エミッタ間の電圧およびコレクタ−エミッタ電流もまた上昇し始める。測定されるスイッチについて、通常のゲートのターン−オン電圧は15ボルトであるべきであり、オーバーシュートは表れないはずである。ゲート−エミッタ間の電圧は、ワイヤリードを含む回路のインダクタンスに部分的に起因して、および内部デバイスの物理的性質に部分的に起因して駆動回路が最初に設定した電圧である+15Vを超えて上昇し続ける。
図7に示すように、ゲート−エミッタ間の電圧は多くの種類のスイッチのための指定されたゲート−エミッタ間の電圧限界を超える約27ボルトまでの電圧スパイクを経験する。依って、このような電圧スパイクはスイッチへの損傷を引き起こす可能性がある。駆動回路自体は
図6に示される電圧クランプ602などの電圧クランプを含んでいてもよいこともまた留意すべきである。しかしながら、駆動回路はインバータモジュールから遠隔搭載されているため、駆動回路内の電圧クランプはスイッチでのゲート−エミッタ間の電圧に制限された効果を有する。
【0036】
図8は実施形態によるクランプ回路を有する例示的なインバータモジュールスイッチのゲート−エミッタ間電圧のグラフである。具体的には、
図8のグラフは障害検出イベント中のインバータモジュールスイッチのゲート−エミッタ間電圧を示しており、クランプ回路328のない従来のパワーシステムと比較してクランプ回路328の有効性を実証することを意図している。
図7のグラフにおいて、ゲート−エミッタ間の電圧はスイッチのゲート電流およびコレクタ−エミッタ間電流上に重畳される。ゲート−エミッタ間の電圧は実線802により表され、ゲート電流は破線804により表され、コレクタ−エミッタ電流は点線806により表される。X軸はマイクロ秒単位の時間を表し、Y軸は適切にスケーリングされたスイッチに印加されるゲート−エミッタ間電圧、ゲート電流および主スイッチ電流に対する電圧を表す。
【0037】
図7のグラフと同様に、
図8のグラフは駆動回路314によりターンオンされ、そして次に故障状態の検出に応答してターンオフされた後のスイッチの動作を示す。
図8に示すように、ゲート電流は駆動回路によりターンオンされるスイッチに応答して約1マイクロ秒で上昇し始める。ゲート電流の上昇に続いて、ゲート−エミッタ間電圧およびコレクタ−エミッタ電流もまた上昇し始める。ゲート−エミッタ間電圧は上昇し続けるが、
図7に反して、約17ボルトのクランプ閾値電圧に到達する際に、クランプ回路328が活性化され、スイッチのゲート−エミッタ間のさらなる電圧上昇を制限する。
図8のグラフに示すように、ゲート−エミッタ間の電圧は首尾よく約17ボルト以下にクランプされ、スイッチへの損傷が回避されてもよい。
図7および
図8のグラフに表されるデータは単に本明細書に記載される実施形態によるクランプ回路328の有効性を実証することを意図し、および限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0038】
実施形態において、クランプ回路はダイオードおよびキャパシタなどの受動部品のみを備える。他の実施形態において、駆動回路の出力およびスイッチ302および304との間に配置された唯一の電子部品は受動部品、例えばクランプ回路およびゲート−エミッタ間のキャパシタ320である。このようにして、クランプ回路はアクティブセンシングまたは制御方策を必要とすることなく本明細書に記載されたインバータの回路保護を提供する。
【0039】
別の実施形態はインバータモジュールに関する。インバータモジュールはハウジングおよびハウジングに取り付けられた第1のスイッチ(例えば、スイッチはハウジングの内部にある、またはハウジングに搭載されていてもよい)を備える。第1のスイッチは第1の遠隔搭載された駆動回路に2つまたはそれ以上の第1のワイヤリードを介して電気的に結合されるように構成される。インバータモジュールは第1のスイッチの端子および並列に第1のスイッチに電気的に結合された第1のクランプ回路をさらに備える。第1のクランプ回路はハウジング内またはハウジングの外表面上に(駆動回路から分離して)配置され、および第1のスイッチの両端の電圧を制限するように構成される。実施形態において、ハウジングはインバータモジュールのスイッチの全てに共通であってもよい(すなわち、ハウジングは複数のスイッチを収容するインバータモジュールハウジングである)。他の実施形態において、ハウジングは単一のスイッチを含むスイッチハウジングである(すなわち、インバータモジュールの各スイッチは別々のハウジング内に収容される)。
【0040】
インバータモジュールの別の実施形態において、スイッチはトランジスタを備え、端子はそれぞれトランジスタのゲートおよびエミッタに接続されたゲート端子およびエミッタ端子を備える。
【0041】
インバータモジュールの別の実施形態において、インバータモジュールは第2の遠隔搭載された駆動回路に2つまたはそれ以上の第2のワイヤリードを介して電気的に結合されるように構成されたハウジング内の第2のスイッチをさらに備える。インバータモジュールは第2のスイッチの端子および並列に第2のスイッチと電気的に結合された第2のクランプ回路をさらに備える。第2のクランプ回路はハウジング内またはハウジングの外表面上に配置され、および第2のスイッチの両端の電圧を制限するように構成される。第1および第2のスイッチは直列に接続される。
【0042】
インバータモジュールの別の実施形態において、各スイッチはそれぞれのトランジスタのゲートおよびエミッタに接続されたゲート端子およびエミッタ端子を備える各スイッチのそれぞれのトランジスタおよび端子を備える。
【0043】
別の実施形態は本明細書に記載されるインバータモジュールおよびハウジングの外側に遠隔搭載される駆動回路を備えるシステムに関する。インバータモジュールの端子は外部端子であり、駆動回路はワイヤリードに電気的に接続され、ワイヤリードは外部端子に電気的および機械的に接続される。
【0044】
別の実施形態はハウジング、ハウジングに取り付けられた(例えば、ハウジングの内側に位置する)第1および第2のトランジスタスイッチ、およびハウジング上またはハウジング内の第1および第2のクランプ回路を備えるインバータモジュールに関する。第1のクランプ回路は第1のトランジスタスイッチのゲート−エミッタ端子間に電気的に接続される。第2のクランプ回路は第2のトランジスタスイッチのゲート−エミッタ端子間に電気的に接続される。各クランプ回路はそれぞれのトランジスタスイッチのゲート−エミッタ端子間の電圧レベルを制限するように構成される。各クランプ回路は:ダイオードの第2のセットと直列に配置されたダイオードの第1のセット;ダイオードの第2のセットと直列に配置された並列接続されたダイオードの第1のセット、並列接続されたまたは直列接続されたかのどちらかの第2のセット;ダイオードの第2のセットと直列に配置されたツェナーダイオードの第1のセット;ダイオードの第2のセットと直列に配置された並列接続されたツェナーダイオードの第1のセット、並列接続されたまたは直列接続されたかのどちらかの第2のセット;ショットキーダイオードを備えるダイオードの第2のセット;および/または互いに平行に配置された4つのツェナーダイオードを備えるダイオードの第1のセット、互いに平行に配置された4つのショットキーダイオードを備えるダイオードの第2のセットを備えていてもよい。別の実施形態において、各クランプ回路はダイオードのセットの1つと直列に接続された少なくとも1つのキャパシタを付加的に備える。別の実施形態において、各クランプ回路は並列接続されたダイオードのセットと直列に接続された少なくとも1つのキャパシタを備える。別の実施形態において、各クランプ回路はダイオードおよびキャパシタなどの受動部品のみを含む。
【0045】
別の実施形態はすぐ上に記載のインバータモジュールを備えるシステムおよび第1および第2の駆動回路に関する。第1および第2の駆動回路はインバータモジュールから遠隔搭載され、例えばハウジングの外側にハウジングから遠隔して位置する。第1のトランジスタスイッチは第1の駆動回路に2つまたはそれ以上の第1のワイヤリードを介して電気的に接続される。第2のトランジスタスイッチは第2の駆動回路に2つまたはそれ以上の第2のワイヤリードを介して電気的に接続される。
【0046】
別の実施形態において、インバータモジュールはダイオードの逆バイアス(反平行)方向で各トランジスタのコレクタ−エミッタ端子間に接続されたそれぞれのダイオードをさらに含む。
【0047】
実施形態は本明細書ではゲートを有するトランジスタデバイスに関して記載されているが、他の実施形態は一般的にトランジスタに適用されてもよい。このように、特に指定のない限り(特許請求の範囲ように)、本明細書での「ゲート端子」への参照はまた一般的に三端子半導体デバイスの端子(例えば、ゲート、ベース)の制御にも適用可能である。しかしながら、一実施形態において、インバータモジュールのスイッチは高速スイッチング時間および/または電気的特性を有利に有していてもよいIGBTまたは他のゲート駆動されるデバイスを備える。
【0048】
別の実施形態は遠隔搭載された駆動回路に2つまたはそれ以上の第1のワイヤリードを介して電気的に結合可能なトランジスタスイッチを備えるインバータモジュールに関する。インバータモジュールはトランジスタスイッチの第1および第2の端子に電気的に結合され、およびトランジスタスイッチの第1および第2の端子の間の電圧を制限するように構成されたクランプ回路をさらに備える。クランプ回路は第1の端子または第2の端子の一方に接続された並列接続されたダイオードの第1のセットを備える。クランプ回路は:第1のセットと直列に接続され、および第2の端子の第1の端子の他方に接続された少なくとも1つのキャパシタ;または第1のセットと直列に接続され、および第1の端子または第2の端子の他方に接続されたダイオードの第2のセットを付加的に備える。(ダイオードのセットは、本明細書の他の箇所に記載されるように構成されてもよい。)
別の実施形態は方法に関する。方法は車両にインバータモジュールを搭載することを備える。方法は駆動回路の第1の端子をインバータモジュールのゲート端子に電気的に結合すること、および駆動回路の第2の端子をインバータモジュールのエミッタ端子に電気的に結合することをさらに備える。エミッタおよびゲート端子はインバータモジュールのトランジスタスイッチに電気的に接続される。方法は駆動回路をインバータモジュールのトランジスタスイッチから遠隔した車両に搭載することをさらに備える。インバータモジュールはゲート端子およびエミッタ端子間の電圧を制限するためにゲート端子およびエミッタ端子との間のトランジスタスイッチのハウジング上またはハウジング内に配置されたクランプ回路を含む。
【0049】
方法の別の実施形態において、クランプ回路はゲート端子またはエミッタ端子に接続されたダイオードの第1のセットおよびゲート端子またはエミッタ端子の他方に接続された少なくとも1つのキャパシタを備える。少なくとも1つのキャパシタおよびダイオードのセットは直列に接続される。方法は駆動回路の第3の端子から第3のワイヤリードをクランプ回路に電気的に結合することをさらに備える。第3のワイヤリードは少なくとも1つのキャパシタからの電流のリターンパスを提供するように構成される。
【0050】
方法の別の実施形態において、クランプ回路はダイオードの第2のセットと直列にダイオードの第1のセットを備える。ダイオードの第1のセットはツェナーダイオードを備える。
【0051】
方法の別の実施形態において、ダイオードの第1のセットは互いに平行に配置された4つのツェナーダイオードを備え、ダイオードの第2のセットは互いに平行に配置された4つのショットキーダイオードを備える。
【0052】
方法の別の実施形態において、クランプ回路はダイオードの第1のセットおよびダイオードの第2のセットと並列に配置されたキャパシタを備える。
【0053】
方法の別の実施形態において、ダイオードの第1のセットは互いに平行に配置された複数のツェナーダイオードを備え、ダイオードの第2のセットは互いに直列に配置された複数のダイオードを備える。
【0054】
実施形態において、クランプ回路はダイオードの第2のセットと直列に配置されたダイオードの第1のセットを備える。ダイオードの第1のセットはツェナーダイオード、具体的には互いに平行に配置された複数のツェナーダイオードを備える。ダイオードの第2のセットは互いに直列に配置された複数のダイオードを備える。(第2のセットの第2のダイオードと呼ばれてもよい)第2のセットのダイオードは第1のセットのダイオードとは異なり、および第1のセットの一部ではない。
【0055】
別の実施形態はパワーユニット、例えばインバータモジュールに関する。パワーユニットは制御端子および第1および第2のパワー端子を有するソリッドステートスイッチ、およびスイッチを制御可能に活性化するための制御端子に遠隔接続された駆動回路を備える。(制御端子はパワー端子間の電圧を制御するために電圧が印加可能な端末を指し;スイッチがトランジスタである場合、制御端子はゲートまたはベース端子であってもよく、およびパワー端子は、例えばコントローラおよびエミッタ端子またはドレインおよびソース端子であってもよい。)パワーユニットは制御端子および第1または第2のパワー端子の一方との間に電気的に結合されたクランプ回路をさらに備える。クランプ回路は制御端子および(クランプ回路が結合される)パワー端子間の電圧をスイッチのターンオン電圧以上およびスイッチの最大電圧(損傷が発生する電圧)以下となる電圧レベルに制限するように構成される
パワーユニットの別の実施形態において、スイッチはハウジング内に配置され、およびクランプ回路はハウジング内またはハウジングの外表面上に配置される。
【0056】
パワーユニットの別の実施形態において、駆動回路はワイヤにより制御端子に遠隔接続される。
【0057】
パワーユニットの別の実施形態において、駆動回路はクランプ回路に遠隔接続される。
【0058】
パワーユニットの別の実施形態において、クランプ回路および制御端子との間の電気的接続のインダクタンスは10nH以上ではない。
【0059】
パワーユニットの別の実施形態において、スイッチはトランジスタであり、制御端子はトランジスタのゲート端子であり、(クランプ回路が結合される)パワー端子はトランジスタのエミッタ端子である。クランプ回路はショットキーダイオードと直列に接続されたツェナーダイオードを備える。ツェナーダイオードのカソードはゲート端子に電気的に結合され、およびツェナーダイオードのアノードはショットキーダイオードのアノードに電気的に結合され、およびショットキーダイオードのカソードはトランジスタのエミッタ端子に電気的に結合される。
【0060】
別の実施形態は方法に関する。方法は交流出力波形を生成するためにインバータモジュールの第1のトランジスタの制御端子に第1の電圧信号を印加することを備える。第1のトランジスタがオン状態からオフ状態に遷移すると、第1のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間の電圧は第1のトランジスタに損傷を与えるであろう電圧未満に制限される。第1のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間の電圧は第1のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間に電気的に接続された第1のクランプ回路により制限される。(このように電圧を制限するために、クランプ回路はツェナーダイオードを含んでいてもよい。)方法は第1のトランジスタが制御端子およびパワー端子との間で第1の閾値以上で負にバイアスされる際に、第1のクランプ回路を介して電流をブロックすることをさらに備える。(このように電流をブロックするために、クランプ回路は、例えばツェナーダイオードと直列に接続されたショットキーダイオードを含んでいてもよい。)
方法の別の実施形態において、第1の電圧信号は制御端子および第1のクランプ回路に遠隔接続された駆動回路により印加される。
【0061】
方法の別の実施形態において、方法は交流出力波形を生成するためにインバータモジュールの第2のトランジスタの制御端子に第2の電圧信号を印加することをさらに備える。第2のトランジスタがオン状態からオフ状態に遷移するに際し、第2のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間の電圧は第2のトランジスタに損傷を与えるであろう電圧未満に制限される。第2のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間の電圧は第2のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間に電気的に接続された第2のクランプ回路により制限される。方法は第2のトランジスタが第2のトランジスタの制御端子およびパワー端子との間で第2の閾値以上で負にバイアスされる際に、第2のクランプ回路を介して電流をブロックすることをさらに備える。
【0062】
上記の説明は例示であって制限的なものではないことを意図していることを理解すべきである。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は互いに組み合わせて使用されてもよい。加えて、多くの改変はその範囲から逸脱することなく本発明の教示に特定の状況または材料を適合させることであってもよい。本明細書に記載される材料の寸法および種類は本発明の実施形態を説明することを意図しているが、それらは決して限定的なものではなく本質的に例示的なものである。他の実施形態は上記の説明を検討すれば明らかであってもよい。本発明の範囲は、したがって、そのような請求項が権利を与えられる等価物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0063】
添付の特許請求の範囲において、用語「含む」および「ここで(in which)」はそれぞれの用語「備える」および「ここで(wherein)」の平易な英語での等価表現として使用される。且つ又、以下の特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上側」、「下側」、「上部」、「下部」、「上」、「下」などは単にラベルとして使用され、およびそれらの対象に数または位置の要件を課すことを意図するものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の制限はミーンズ・プラス・ファンクション形式(means−plus−function format)で書かれておらず、このような請求項の制限がさらなる構造の機能を欠く文に続いて語句「するための手段(means for)」を明示的に使用しない限りおよびするまで、米国特許法第112条第6段落に基づいて解釈されることを意図していない。
【0064】
本明細書で使用されるように、単数形でおよび単語「a」または「an」で前記され記載される要素またはステップは、そのような除外が明示的に述べられていない限り、前記要素またはステップの複数形を排除しないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への参照は記載された特徴をも組み込んだ付加的な実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。且つ又、明示的に反対の記述がない限り、実施形態はその特性を有しないそのような追加の要素を含んでいてもよい要素または特定の特性を有する複数の要素を「備える」、「含む」、または「有する」。
【0065】
本明細書に関係する本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、特定の変更が上述した実施形態においてなされてもよいので、上記の説明または添付の図面に示される全ての主題は本明細書における本発明の概念を説明するための例としてのみ解釈されるべきであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことが意図される。