特許第5977856号(P5977856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977856インクまたはトナー組成物、使用方法および当該方法から得られる生産物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977856
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】インクまたはトナー組成物、使用方法および当該方法から得られる生産物
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/28 20060101AFI20160817BHJP
   G03G 9/083 20060101ALI20160817BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20160817BHJP
   H01F 1/37 20060101ALI20160817BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20160817BHJP
【FI】
   H01F1/28
   G03G9/08 301
   G03G9/08 302
   G03G9/08 391
   H01F1/37
   C09D11/037
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-76235(P2015-76235)
(22)【出願日】2015年4月2日
(62)【分割の表示】特願2010-510623(P2010-510623)の分割
【原出願日】2008年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-173267(P2015-173267A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】60/924,919
(32)【優先日】2007年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509332028
【氏名又は名称】バンク オブ カナダ
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ヴイ・ファース
(72)【発明者】
【氏名】テオドロス・ガランゾティス
【審査官】 小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−040241(JP,A)
【文献】 特開平10−067503(JP,A)
【文献】 特開2001−049146(JP,A)
【文献】 特開2002−179947(JP,A)
【文献】 特開平06−110247(JP,A)
【文献】 特開平2−059769(JP,A)
【文献】 特開昭62−229160(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0208303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/20 − 1/375
G03G 9/08 − 9/083
C09D 11/037
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定された少なくとも50のHunter Lab colour scaleのL値を有する磁性粒子であって、各磁性粒子は10,000nm以下の直径を有し、および各磁性粒子は、
a.Fe、Ni、Co、還元性金属酸化物、酸化第一鉄、酸化ニッケル、及び化学式MFe(Mは、二価金属イオンまたは二価金属イオンの混合物)のフェライトからなる群から選ばれた少なくとも1の磁性材料を含むコア;および
b.1つの不透明なコーティングであって、
(i)該コアを完全に包み;
(ii)金属化合物および/または有機ポリマーを含み;
(iii)5乃至200nmの平均厚さを有し;および
(iv)光散乱により、該コアを完全に隠し、磁性粒子に測定された少なくとも50のHunter Lab colour scaleのL値を与える、該コーティング
を含む、磁性粒子。
【請求項2】
各磁性粒子は、更に、
c.前記コアと前記コーティングとの間に配置され、および/または前記コーティングを包む1またはそれ以上の追加的コーティング
を含む、請求項1に記載の磁性粒子。
【請求項3】
前記金属化合物は、シリカ[SiO]、チョーク[炭酸カルシウム、CaCO]、チタニア[二酸化チタン、TiO]、ジルコニア[二酸化ジルコニウム、ZrO]、バライタ[硫酸バリウム、BaSO]、石こう[硫酸カルシウム、CaSO]、ガラス粉、酸化亜鉛[ZnO]および硫化亜鉛[ZnS]からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の磁性粒子。
【請求項4】
前記有機ポリマーは、官能化されていてよいポリイソブチレン、官能化されていてよいポリエチレン、官能化されていてよいポリスチレンおよびラテックスからなる群から選択される、請求項1に記載の磁性粒子。
【請求項5】
請求項1に記載の磁性粒子を含む、磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項6】
1またはそれ以上の染料または顔料を更に含む、請求項5に記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項7】
水性または有機の液相を含み、該液相は前記粒子を懸濁状態で含む、請求項5または6に記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項8】
基材上へ付着した前記磁性粒子を含む磁性層の形態での、請求項5または6に記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項9】
懸濁され或いは付着した前記粒子は、その目視検査の際に白色に見える、請求項5乃至8のいずれかに記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項10】
懸濁され或いは付着した前記粒子は、少なくとも80のHunter Lab colour scaleのL値を有する、請求項9に記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項11】
懸濁され或いは付着した前記粒子は、その目視検査の際に、各コアの磁性材料とは異なる色彩を有する、請求項5乃至8のいずれかに記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項12】
第2のインクまたはトナー組成物と更に混合し、該第2のインクまたはトナー組成物の色彩または色相を明るくする、請求項5乃至8のいずれかに記載の磁性インクまたはトナー組成物。
【請求項13】
付着により基材上に形成された、請求項1に記載の磁性粒子の磁性層。
【請求項14】
白色に見え、または、磁性層を構成する各磁性粒子の磁性コア材料とは異なる色彩を有する、請求項13に記載の磁性層。
【請求項15】
請求項5乃至12のいずれかに記載の磁性インクまたはトナー組成物の、物品上にセキュリティ機能を形成するための使用。
【請求項16】
物品は紙幣である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
物品上にセキュリティ機能を形成するための方法であって、
請求項5乃至12のいずれかに記載の磁性インクまたはトナー組成物を物品の基材に塗布し、ここで、前記粒子は基材材料に付着して磁性層を形成し;および
要すれば、該付着粒子を該基材と架橋させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性顔料、インクおよびトナー組成物の分野に関するとともに、表面または内部に顔料、インクまたはトナーが印刷またはその他の方法で塗布された生産物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷用の磁性組成物は、従来よりよく知られている。伝統的に、インク調製の使用に適した磁気および電気特性を有する磁性材料には、一般にミクロン範囲またはそれより大きい粒径を有する、鉄、ニッケル、コバルト、二酸化クロム、ガンマ鉄酸化物およびフェライトの金属微粉が含まれる。その他の応用においては、セキュリティ機能を与えるために粒子状の磁性材料(例えば、トナー組成物など)を基材に付着させることが望ましい。例えば、ある紙幣は、その表面に磁性材料の目立たない線や模様を有する。その場合、磁性材料の存在を確認するために、磁気センサが使用される。
【0003】
磁性インクは、一般に暗いまたは黒い色彩を有し、そのため、それらは本質的に、暗いまたは黒いイメージの生成のみに最適なものとなっている。そのような磁性粒子には、磁性材料固有の暗い色彩のため、純粋色、特に明るい色相を作り出す可能性を与える余地がない。
【0004】
しかしながら、ここ数年、黒以外の色彩または色相を持つ磁性材料を有するトナー組成物の提供に関して、進展を見せている。例えば、コア磁性粒子を覆い隠す1またはそれ以上の塗工層を有する磁性材料が開発され、それにより表面特性を全体構造に与えて、色彩の提供を可能にする。そのような被覆粒子構造は、磁性コアの初期準備に続き、予め形成された粒子状のカムフラージュ粒子(camouflaging particles)を添加してコアに付着させることによって用意される。しかしながら、そのようなカムフラージュ層において、磁性材料コアの暗いまたは黒い色彩を適当に覆い隠すのに十分な厚さで形成することは難しいと考えられる。また、二層の固着が、十分な耐久性を示さない可能性もある。
【0005】
その他の例では、磁性コアの暗いまたは黒い色彩が、例えば粒状の磁性材料を、その他の明るい色彩または色相のバインダで混合することにより、和らげまたは明るくされ、その結果、許容できる色彩または色相、あるいは1またはそれ以上の表面被覆により少なくとも容易に隠せる色彩または色相を持つ異種磁性コア組成物を生成することができる。そのような粒子材料は、磁性材料の減少したコア密度を含み、それは、粒子の磁気特性に悪影響をもたらすとともに、依然不十分な色彩特性を有する。
【0006】
磁性粒子の色彩を覆い隠すさらに代替的な方法も従来より知られている。一実施例では、粒子状の磁性材料が、化学的蒸着プロセスを介して付着されて、磁性薄膜構造を形成する。次いで、薄膜は、内部磁性薄膜の存在を視覚的に覆い隠すために、非磁性薄膜で被覆される。このような積層技術は、相対的に製造コストが高くて、依然不十分な色彩特性を有するインクの形成をもたらす。
【0007】
殆どの磁性材料において一般的な暗いまたは黒い色彩または色相以外の色彩または色相を有する改良された磁性インク、トナー、顔料またはその組成物を開発する必要性が従来より存在することを示す一つの明確な指標は、色彩マグネトグラフィーの欠如である(参考文献「Handbook of Printed Media」,Helmut Kipphan,Springer,2001年)。白色または実質的な白色を含む明るく彩色または着色された、または基材に直接適用(例えば、直接印刷)するのに適当なように彩色された磁性インク、トナーまたは顔料を開発する更なる必要性が従来より存在する。また、白色磁性インク、トナーまたは顔料は、その他の磁性または非磁性インク、トナーまたは顔料と混合して、その色彩、審美性または磁性を変えるのに有用であろう。例えば、紙幣のセキュリティの分野において、そのようなインク、トナーまたは顔料は、例えば、複雑な磁気記号(complex magnetic signature)や、その他の機械読み取り可能であるが肉眼で容易に視認できない隠れた磁性特性など、より高度なセキュリティ機能を紙幣に組み込むことを可能にするであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一つの目的は、少なくとも選択された実施形態において、基材(基質、支持材:substrate)への塗布に適した組成物を提供して、基材上および/または当該基材と一体に磁性層を生成することである。
【0009】
本発明の別の目的は、少なくとも選択された実施形態において、磁性層を生成する方法を提供することである。
【0010】
ある例示的な実施形態は、基材上および/または当該基材と一体に、色素性の磁性層(pigmented magnetic layer)を生成するために、前記基材に塗布される組成物を提供するものであり、当該組成物は、
(1)粒子であって、各々が(i)本質的に磁性材料から構成されるコアと、(ii)前記コアを少なくとも実質的に覆い隠して、基材に塗布されたときに、前記粒子に、Hunter Lab colour scaleのL値が少なくとも50の色素性の磁性層を形成させるコーティングと、(iii)任意には、前記コアと前記コーティングとの間に配置され、且つ/または前記コーティングを少なくとも実質的に覆い隠す1またはそれ以上の追加的コーティングとを有する粒子と、
(2)任意には、前記粒子を、それが存在する場合に、浮遊状態で少なくとも部分的に保持する液相と、
(3)任意には、1またはそれ以上のその他の磁性または非磁性インクまたはトナーとを備える。
【0011】
その他のある例示的な実施形態は、粒子を基材または基材材料に付着させて、前記粒子を前記基材に固着させるとともに、任意にはそれら粒子を前記基材上で相互に固着させることにより、前記基材上または前記基材と一体化された色素性の磁性層を生成するための、本明細書に開示された組成物の利用法を提供する。
【0012】
その他のある例示的な実施形態は、色素性の磁性層を生成するための方法を提供するものであり、当該方法は、本明細書に開示された組成物を基材に塗布するステップを有し、粒子が基材または基材材料に固着されるとともに、任意には相互に固着されて、それにより、色素性の磁性層が形成される。
【0013】
その他のある例示的な実施形態は、本明細書に記載の組成物を基材に付着させることによって生成される色素性の磁性層を提供するものであり、前記粒子が前記基材に固着されるとともに、任意にはそれら粒子が前記基材上で相互に固着される。
【0014】
その他のある例示的な実施形態は、基材と、当該基材に付着された、本明細書に記載の色素性の磁性層とを有する物品を提供する。
【0015】
その他のある例示的な実施形態は、紙幣(bank note)にセキュリティ機能(security feature)を提供するものであり、前記セキュリティ機能は、本明細書に記載の色素性の磁性層を備える。
【0016】
その他のある例示的な実施形態は、基材上および/または当該基材と一体に、色素性の磁性層を生成するために、前記基材に塗布される組成物を提供するものであり、当該組成物は、
(1)粒子であって、その各々が(i)本質的に磁性材料から構成されるコアと、(ii)前記コアを少なくとも実質的に覆い隠して、基材に塗布されたときに、前記粒子に、前記コアの磁性材料とは異なる色彩または色相を持たせるコーティングと、(iii)任意には、前記コアと前記コーティングとの間に配置され、且つ/または前記コーティングを少なくとも実質的に覆い隠す1またはそれ以上の追加的コーティングとを有する粒子と、
(2)任意には、前記粒子を、それが存在する場合に、浮遊状態で少なくとも部分的に保持する液相と、
(3)任意には、1またはそれ以上のその他の磁性または非磁性インクまたはトナーとを備える。
【0017】
[定義]
“黒”とは、特定の参照的基準(specified reference standard)に関して、Hunter Lab colour scaleで10または10未満の値を有する暗い色彩または色相のことをいう。
【0018】
“コーティング”とは、粒子を覆い隠すため、あるいは粒子を実質的に被覆するために、磁性コアを有する粒子に塗布される任意の層、あるいは磁性コアを有する粒子を少なくとも部分的に覆い隠す任意の層のことをいう。コーティングは、粒子のコアに直接的に塗布するものであっても、または粒子に予め塗布されたその他のコーティングに塗布するものであっても、あるいは例えば化学反応によって既存のコーティングとコアとの間にその場で形成するものであってもよい。すべてではないが、選択された実施形態において、コーティングは、その直下に位置する材料、例えば、磁性コアの表面の色彩または色相を実質的に覆い隠すか、または実質的に見えなくするのに十分に不透明なものとすることができる。
【0019】
“色彩”/“着色”とは、黒、灰、白、赤、橙、黄、緑、青、紫、影、それらのバリエーションまたは混合色を含む任意の色彩または色相のことをいう。色彩は、黒および白を含む他、Hunter Lab colour scale内で表現される色彩または色相、あるいは可視光のある波長の材料による選択吸収および/または透過の結果として目視検査上で表れる色彩または色相を含む。色知覚は、典型的には、因子(factor)または人間の視覚、あるいは光学的検出装置に接続されたコンピュータなどの人工システムによる色知覚である。
【0020】
“架橋”とは、本発明の組成物の粒子の基材への固着を引き起こすのに適したまたは改善するのに適した、従来より知られている任意の架橋技術のことをいう。そのような架橋は、酸化技術によって、あるいは紫外線放射のような電磁放射の適用を通じて発生する。
【0021】
“付着”/“付着する”/“塗布”/“塗布する”といった置き換え可能な用語は、組成物、トナーまたはインクが基材または基材材料に少なくとも部分的に固着あるいは少なくとも部分的に混合されるように、本発明の組成物または任意の形式のトナーまたはインクを基材または基材材料の表面または内部に塗布する任意の方法または手段のことをいう。望ましくは、本発明の教示によれば、付着または塗布は、基材または基材材料の少なくとも表面層に固着する磁性粒子をもたらすものであり、選択された実施形態においては、基材上での磁性粒子相互の固着を伴い、それにより磁性層を形成するものである。結果として得られる磁性層は、例えば、基材材料の吸収性、気孔率または構造(例えば、積層または化合物構造)に応じて、基材または基材材料の表面、またはそれらの実質的に表面、または部分的にそれらの内部に形成されるものである。しかしながら、代替的な実施形態においては、“付着”または“塗布”が、磁性粒子の基材、基材材料または基材の表面層への混合を包含する。混合された基材材料および磁性粒子は、印刷、押出、または磁性粒子/基材材料ミックスのその他の応用を介して、それに続く磁性層の形成を可能にする。したがって、本発明の方法、かかる方法の生産物は、組成物またはその中の粒子の基材表面への直接的な塗布、および/または、任意には次の処理における、粒子と基材材料との混合の両方を包含する。これは、基材材料内に埋め込まれた磁性層、さもなければ基材材料よって隠された磁性をもたらすこともできる。
【0022】
“定着”とは、例えば印刷の目的で、インクまたはトナーの基材への付着を引き起こすこと、またはその程度を改善することをいう。定着には、少なくとも選択された実施形態において、基材および付着材料の加熱、紫外線放射、基材と材料間の化学反応の誘起を含むようにしてもよい。例えば、機械的定着など、その他の定着技術も従来より知られている。
【0023】
“Hunter Lab colour scale”とは、特定の物質または材料の色彩または色相の程度の特性のために従来より知られているスキームのことをいう。その基準は、白と黒の間の個別の色彩または色相についての追加的値とともに、白色度または黒色度の程度に対する特性値についてのパラメータを含む。Hunter Lab colour scaleのより詳細を提供する参考文献例としては、それに限定される訳ではないが、文献(「The Measurement of Appearance」,by Richard S.Hunter,published by John Wiley & Sons,Publishers,New York,N.Y.−1975年)が含まれ、当該文献は参照により本明細書に援用されるものとする。Hunter Lab colour scaleに関する情報は、アメリカ合衆国バージニア州のthe Hunter Associates Laboratory Inc(www.hunterlab.com)から取得することも可能である。
【0024】
“インク”とは、固体基材の色彩、色相またはその他の外観(例えば、反射率、光沢度など)を変化させるためにその固体基材に塗布するのに適した任意の色彩、色相または物質の任意の液体のことをいう。好ましくは、インクは、本発明の教示に係る粒子状の磁性材料を含む。本定義は、従来より一般に知られているその他の定義から逸れるものでも、置換するものでもない。インクは、エマルジョンまたは混濁液であってもよく、またクリア、透明または、例えば染料またはニス等のように半透明なものであってもよい。
【0025】
“磁性”とは、材料の物理的特性のことをいう。使用できる代表的な磁性または磁化可能材料には、コバルト、鉄およびニッケルのような金属と、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、鉛、マグネシウム、ニッケル、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムおよびそれらの混合物のような金属合金と、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化マグネシウムのような金属酸化物を含む金属化合物と、フェライトと、それらの混合物とが含まれる。磁性材料は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル;Ni−CoまたはNd−Fe−Bのような磁性合金;Fe、Fe、二酸化クロムCrO、フェライトMFe(Mは、Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Mn2+,Co2+,Fe2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+等からなる群から選択されるイオンまたはイオンの混合物である)、ガーネットA12(Aは、三価希土類イオンまたは三価希土類イオンの混合物であり、Bは、Al3+,Cr3+,Fe3+,Ga3+,Bi3+等からなる群から選択されるイオンまたはイオンの混合物である)、ヘキサフェライトMFe1219(Mは、Ca2+,Sr2+,Ba2+等の二価イオンの群から選択される)、ペロブスカイトなどの無機酸化物化合物など、任意の種類の磁性材料であってもよい。本発明のコンテクストにおいては、任意の種類の材料を、注目すべきことに、本明細書に開示の粒子に特定の磁気特性を与えるために使用することができる。その磁気特性は、例えば、強い(強力な)常磁性、強磁性、フェリ磁性、反強磁性、反フェリ磁性などである。材料は、常磁性体であっても、反磁性体であってもよい。材料は、軟磁性、低保磁力、中保磁力または硬質磁性タイプであってもよく、また、バルクハウゼン効果による検出のための広げられたものであってもよい。磁気特性は、0エルステッドから最高で10,000エルステッドの高さの磁場を含む残留磁化をさらにもたらすものであってもよい。
【0026】
“磁性層”は、粒子の付着または塗布により基材上または基材内(例えば、基材の一部を形成する)に生成される任意の層、または周知の付着または塗布技術によって基材上に形成される本発明の組成物、あるいは本発明の組成物または粒子と基材材料との混合物のことをいう。任意には、磁性層は、基材材料を含み、また、積層または化合物構造内の基材層またはその他の層の下方または上端に位置するものであってもよい。磁性層は、一般的に、それが構成される粒子材料の磁気的性質により、磁気特性を保有する。磁性層は、基材に単一の粒子層を備えるものであっても、基材上または基材内における粒子相互の固着により複数層を含むものであってもよい。また、磁性層は、本発明の組成物と基材材料との混合により形成されるものであってもよく、任意には、その後に、それに限定される訳ではないが、付着、印刷または押出のような更なるある種の処理が続くものであってもよい。
【0027】
“実質的に黒”/“黒に近い色”とは、特定の参照的基準に関して、Hunter Lab colour scaleで30または30未満の値を有する暗い色彩または色相のことをいう。
【0028】
“粒子”とは、0.1から10,000nmまでの直径を有する任意の粒子のことをいい、(i)少量のその他の物質または不純物を含む可能性のある、本質的に磁性材料からなるコアと、(ii)コアを実質的に覆い隠すとともに、コアの材料とは異なる色彩または色相を有するコーティングと、(iii)任意には、コアとコーティングとの間に配置され、且つ/またはコーティングを実質的に覆い隠す1またはそれ以上の追加コーティングとを有する。本発明によれば、粒子は、ナノメートル領域、好ましくは1乃至1000nmの平均直径を有する。しかしながら、粒子のサイズは、1000nmより大きくても、1nmより小さくてもよい。そのサイズに関わらず、それら粒子を本明細書では“ナノ粒子”と称することとする。
【0029】
“顔料(色素)”とは、白または黒、あるいはHunter Lab colour scaleで指定される任意の色彩を含む任意の所望の色彩または色相を有する任意の物質のことをいう。代替的には、顔料は、紫外線または赤外線反射率特性のような、可視光の域を超える電磁スペクトルのその他の領域の色彩または色相を有するものであってもよい。顔料の光学的特性(例えば、吸収、透過、放射特性)は、顔料の用途に依存するものであってもよい。ある例示的な実施形態においては、本発明の教示に従って基材に塗布される塗料、エナメル、インクまたは組成物の使用に適した程度の細分(subdivision)を有する粒子状固体のことを、顔料というようにしてもよい。本発明の選択された実施形態において、粉末固体は粒子形状であり、その粒子は、磁性材料を有するコアと、粒子に所望の色彩または色相を与えるコーティングとを備える。顔料の色彩または色相は、白または実質的に白であっても、あるいは、それに限定される訳ではないが、以下に述べるような、より明確な色彩を有するものであってもよい。
【0030】
“青色顔料”としては、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS,BC)、インジゴなどがある。
【0031】
“紫色顔料”としては、コバルトパープル、マンガンパープル、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどがある。
【0032】
“緑色顔料”としては、クロムグリーン、亜鉛緑、酸化クロム、ビリジアン、エメラルドグリーン、緑色顔料B、ナフトールグリーンB、緑金、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどがある。
【0033】
“赤色顔料”としては、ベンガラ、鉛丹、銀朱色、カドミウムレッド、水銀カドミウムレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイアレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ウエスタンヴァーミリアン、ブリリアントカルミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB、リソールレッド、レーキレッド(C,D)、アンソシンB(Anthocin B)、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGK、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカルミン6B、緋色顔料3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、BONマルーンライト、BONマルーンミディアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーンなどがある。
【0034】
“黄色顔料”としては、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G,5G,G)、カドミウムイエロー、黄鉄、イエローオーカー、雄黄、シアナミド鉛、鉛酸カルシウム、ハンザイエロー(GR,A,RN,R)、黄色顔料L、ベンジンイエロー(G,GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G,R)、タルトラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アントラセンイエローBGLなどがある。着色染料は、上述したような色彩と、これに限定される訳ではないが、金属酸化物または有機ポリマーのような白色物質とを混合または結合させることにより生成されるものであってもよく、それにより、磁性コア粒子に塗布するコーティングを形成するのに適した物質を生成するようにしてもよい。代替的には、着色層は、コア材料に対して、白色コーティングの下方または上面の何れかに存在するように、粒子に塗布するようにしてもよい。任意の顔料を、例えば、磁性コア上のコーティング用のコーティング材料またはその一部を形成するために、あるいは本発明の組成物に使用される粒子を形成するために、本明細書の教示に従って使用することができる。
【0035】
“色素性の磁性層”とは、本明細書に開示される粒子を有する組成物を使用して基材上に形成される任意の層のことをいい、それら粒子は、基材への固着が引き起こされるか、任意には、基材上で粒子が相互に固着されて層を形成する。層は、磁気的特性を示すとともに、多くの場合、層を形成するために使用される粒子またはコア材料の色彩とは異なる色彩を有することもある。
【0036】
“望ましくは(好ましくは)”とは、本発明の最も広い実施形態の中の望ましい実施形態のこと、またはその言及に先行するものをいう。
【0037】
“実質的に黒”/“黒に近い色”とは、特定の参照的基準に関して、Hunter Lab colour scaleで30または30未満の値を有する暗い色彩または色相のことをいう。
【0038】
“実質的に白”/“白に近い色”とは、特定の参照的基準に関して、Hunter Lab colour scaleで70または70より大きい値を有する明るい色彩または色相のことをいう。
【0039】
“基材”とは、基材粒子に塗布して基材上に磁性層を生成することおよび/または磁性層を基材と一体化することを目的として、本発明の組成物の塗布に適した、任意の構造または構成の少なくとも1層を有する任意の固体または実質的に固体の材料のことをいう。基材は、任意の表面改質または層構造を有する任意の材料を備えるものであってもよい。例えば、基材は、1またはそれ以上から選択された材料、例えば、それに限定される訳ではないが、紙、プラスチック、金属、金属合金、木材、ガラス、樹脂およびゴムを備えるものであってもよい。
【0040】
“懸濁液”とは、粒子状固形物と液体との混合物であって、粒子状固形物が、重力の影響下で液体を介して極端に落下することなく、液体内に一定時間浮遊したままとなる粒子を少なくともある程度含むものである。そのため、そのような粒子は、浮力あるいは液体によって粒子に加えられるその他の力で支持されるものであってもよい。任意の懸濁液において、粒子の一部またはすべては、重力またはその他の力の影響下で懸濁液の“底部”に沈降するものであってもよい。これは、混合物が依然懸濁液であるという事実を損なうものではない。
【0041】
“トナー”とは、本発明であるか従来技術であるかに関わらず、磁場により影響を受けるように磁気的特性を有するとともに、印刷の目的のために、少なくとも部分的に基材への定着、または基材上への付着にさらに適している任意の粒子状材料のことをいう。トナーは、乾性粒子状であっても、懸濁液中の粒子状物質の少なくとも一部を保持するのに適した液相を含むものであってもよい。本発明の定義は、従来より一般に知られているその他の定義から逸れるものでも、置き換えるものでもない。
【0042】
“白”とは、特定の参照的基準に関して、Hunter Lab colour scaleで90または90より大きい値を有する明るい色彩または色相のことをいう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
非常に独創的な工夫にも関わらず、本発明の発明者等は、基材上のまたは基材と一体化された色素性の磁性層を生成するのに適した磁性インクまたはトナーとして用いる組成物の開発に成功した。その組成物は、少なくとも基材に塗布されたときに、既知の多くの磁性材料が有する暗いまたは黒い色彩とは異なる表面色彩または色相を有する磁性粒子を備える。実際に、本発明の組成物は、本質的に磁性材料からなるコアを有する磁性粒子を備えるとともに、磁性材料の色彩を有効に覆い隠すコア上のコーティングを備える。結果として得られる組成物は、基材に付着させて磁性層を形成するのに非常に適しているが、少なくとも選択された実施形態において、白色、実質的に白色、または着色されている。本発明者等は、トナーとして基材への印刷またはその他の付着で用いるのに望ましい磁気的特性と結合した、同じ白色度または色彩属性を示すその他の組成物を知らない。
【0044】
本発明の組成物の磁性粒子は、望ましくは、殆どがナノメートルサイズ域に入るように0.1乃至10,000nmの平均直径を有する粒子である(すなわち、それらは“ナノ粒子”と考えられる)。そのような粒子の使用は、ミクロンサイズの粒子の利点を与える。その利点には、それに限定される訳ではないが、液体中に懸濁されるときにおける粒子の沈殿の減少が含まれ、それは、同時に、さらなる改良およびその後の応用のような溶解プロセスに、より適した材料をもたらす。粒子は、磁性物質からなるコア、または少量のその他の物質または不純物を含む可能性のある、実質的に磁性物質からなるコアを備える。多くの磁性材料は、黒いまたは暗い色彩を呈し、特に硬質磁性材料を有するものとして従来知られている。粒子は、コアを実質的に覆い隠す少なくとも1のコーティングを含み、当該コーティングは、基材に塗布されて基材上に層を形成すると、コアの磁性材料のそれとは異なる色彩を有する。その層は、例えば、色彩または色相が少なくとも実質的に白色に見えるようにしても、あるいはそれよりも暗い色彩を有するものであってもよい。このため、選択された実施形態において、粒子上のコーティングは、コアの磁性材料の任意の暗いまたは黒い色彩または色相を実質的に見えないようにするのに十分な厚さを有する。
【0045】
その他のコーティング層は、望ましい表面固着または光学特性を粒子に与える必要に応じて、コアと実質的に白または着色層との間の何れかに存在するようにしても、実質的に白または着色層を覆い隠すものであってもよい。しかしながら、かような追加コーティング層は、望ましい色彩特性を与えるために、本発明の組成物内の粒子に対しても、あるいは基材上に形成される磁性層に対しても、必ずしも必要とされるものではないと考えられる。それ故に、少なくとも本発明の選択された実施形態において、組成物は、単に磁性コアと単一コーティング層とを有する、構造が非常に簡素な粒子を備え、単一コーティング層は、コア材料により与えられる粒子の磁気的特性を損なうことなく、粒子(および、特に、粒子の基材材料への塗布により形成される磁性層)に所望の色彩または視覚的特徴を与えるのに十分なものである。本発明は、少なくとも部分的には、それら粒子が、例えば、内科治療、診断または研究用途以外の応用に適しているという認識を含むものであり、実際には、基材への付着を通じた印刷等の目的のための磁性層の形成に利用することができる。
【0046】
予想外にも、本発明の組成物は、例えば、既知の印刷またはその他の技術を使用して高品質で耐久性のある磁性層を形成できるという特性など、基材に塗布したときに所望の特性を見せる。粒子は、それらの低質量が付着に必要な慣性を減少させるが、基材への付着、固着または定着のための十分な磁場強度を運ぶこととなる。そのため、磁性層の形成は急速で効率的なものとすることができる。選択された実施形態において、コーティングの原理に起因する、粒子の色彩または色相は、印刷用途の広い範囲に適した本発明の組成物を作り出す。粒子は、その色彩がコーティングに起因することとなる天然型で使用されるものであってもよい。任意には、そのような粒子はその他の磁性または非磁性インクまたは着色粒子状材料と混合されて、様々なその他の色彩または色相を与えるものであってもよい。このように、本発明の組成物は、既存の着色インクまたは粒子状材料を変える(例えば、明るくするまたは暗くする)可能性を提供して、色域を増加させる。
【0047】
選択された実施形態において、本発明の組成物は、印刷、インクおよびトナー工業における、より明るい色彩または実質的に白色の磁性トナーおよびインクのための必要な条件を満たす。単一のコーティングは、それ自体、下方の磁性コア材料の色彩を少なくとも実質的に隠すのに十分に不透明であってもよく、これは、従来技術に対して著しい前進を見せる。例えば、本発明の組成物内の粒子は、磁性コア材料の暗い色彩を覆い隠すのに十分な、明るい色彩の単一のコーティングまたは白色の単一のコーティングを備えるようにしてもよい。このため、白色、実質的に白色または明るい色彩の磁性層は、より複雑で製造に費用のかかる従来知られた多層の粒子またはその他の種類の粒子を備える組成物を必要とせずに、本発明の組成物を使用して実現することができる。
【0048】
その他の実施形態において、粒子は、白色または実質的に白色のコーティングより暗い色彩を有し、実質的に磁性物質からなるコア材料の暗いまたは黒い色彩を見えなくするものであってもよい。本明細書に記載の選択された実施形態は、白色または実質的に白色のコーティングを持つ粒子を有する組成物または顔料であって、色彩が白色または実質的に白色の磁性層をもたらすものについて言及するが、本発明はこれに限定されるものではない。実際に、本発明は、本質的に磁性材料から構成される粒子と、白色または実質的に白色のコーティングと、あるいは十分な不透明さまたは厚さまたは磁性材料の色彩を見えないようにする性質または実質的に見えないようにする性質を有するより暗い色彩のコーティングと、あるいは白色または実質的に白色の層または着色層の直下に配置される層とを備える任意の組成物または顔料を包含する。本発明者等は、覆い隠す層と組み合わせた、そのような小さい磁性コア粒子の併用は、本発明の組成物および顔料に極めて望ましい特性を与えるのに十分であり、それにより、それらを広い範囲の付着および印刷技術に非常に適したものとすることを見出している。本発明の組成物および顔料によって現れる望ましい特徴は、少なくとも部分的には、磁場強度の強さに対して相対的に小さい粒子のサイズに起因するものである。
【0049】
一実施形態において、本発明は、基材上および/または当該基材と一体に、色素性の磁性層を生成するために、基材に塗布される組成物を提供するものであり、当該組成物が、(1)粒子であって、各々が(i)本質的に磁性材料から構成されるコアと、(ii)コアを少なくとも実質的に覆い隠して、基材に塗布されたときに、粒子に、コアの磁性材料とは異なる色彩または色相を有する色素性の磁性層を基材上に形成させるコーティングとを有する粒子を備える。選択された更なる実施形態において、コアを少なくとも実質的に覆い隠すコーティングは、基材に塗布されたときに、粒子に、Hunter Lab colour scaleで少なくとも50、あるいは少なくとも80、若しくは少なくとも95のL値を有する色素性の磁性層を形成させる。実際はシンプルであるが、そのような組成物は、基材上に色素性の磁性層を形成する印刷およびその他の技術に対して優れた条件を提供するものであり、それにも関わらず、そのような組成物は、相対的に製造および使用し易い。さらに、本発明の組成物は、白色、実質的に白色または粒子状コア材料と比較して明るい色彩を有する優れた色素性の磁性層の形成を可能にする。この重要な開発は、有用性と、信頼できる白色または白に近い色のインクまたはトナー組成物に対する、従来技術における長年の切実な要求を満たすものである。本発明者等は、本発明に開示の組成物が、1層のみのコーティングを有する粒子を備えるときに、白色、白に近い色または明るい色彩のインクおよびトナーを必要とする印刷用途に適していることを見出した。驚くべきことに、単一のコーティングは、粒子の磁性コア材料の暗い色彩または色相を少なくとも実質的に覆い隠すのに十分なものとすることができる。
【0050】
選択された実施形態において、所望の表面色、反射率または粒子に対するその他の特性または品質を実現するために、1またはそれ以上の追加コーティングは、コアとコーティングの間にそれぞれ配置することができ、且つ/または、前記追加コーティングは、白色コーティングを実質的に覆い隠すことができる。その他の実施形態において、表面コーティングは、懸濁液中の粒子の性能を改善するために、あるいは乾燥型または懸濁液中の粒子の流動性を改善するために、提供されるものであってもよい。
【0051】
上述した粒子を有する本発明の組成物は、従来の多くの典型的なトナーがそうであるように、乾燥型であっても、あるいは代替的には、液相と混合されて、懸濁液を形成するか、または液相中の粒子の少なくとも一部を懸濁するものであってもよい。液相の必要性は、付着の性質および方法、組成物が付着されることとなる基材に依存するであろう。従来より、乾燥型または液体懸濁液型の何れかのトナーまたはインクを基材に付着させるための数多くの技術が知られており、本発明の組成物は、すべてではなくても殆どの技術に適したものであると考えられる。
【0052】
さらに、本発明の組成物において使用される粒子は、任意の適当な方法によって製造することができる。例えば、粒子のコアは、選択された造粒技術によって生成するようにしても、あるいは代替的には、成長抑制物質によってサイズが制限された可溶性前駆体(soluble precursors)から生成するようにしてもよい。可溶性前駆体の場合、固体粒子材料への変換は、例えば、熱、音響化学分解、あるいは化学的または電気的還元によって実現することができる。そのような技術の説明に役立つ2つの実例は、文献(Burke et al,2002年,Chem.Mater.14,4752−4761)とその引用文献によって説明されているが、それらは、参照により本明細書に援用されるものとする。本発明の教示に従って使用される被覆粒子を生産する方法の説明に役立つ実例は、文献(Burke et al,2002年,Chem.Mater.14,4752−4761)および文献(Vestal and Zhang,2003年,Nano Letters,3(12),1739−1743)により与えられるが、それらも参照により本明細書に援用されるものとする。一般に、そのような被覆粒子を生産するための技術は、溶液または懸濁液中における反応を伴う。溶液または懸濁液を伴わないその他の技術も、従来より知られている。そのような技術は、例えば化学蒸着による、例えば顔料材料の乾性付着を伴うものであってもよい。
【0053】
本発明の組成物は、例えば、粒子の色彩または色相以外の色彩または色相を有する1またはそれ以上のその他の磁性または非磁性インクまたはトナーをさらに含むものであってもよい。本明細書に開示の組成物をその他のインクまたはトナー組成物と混合することにより、乾性粒子であると液体形態であるとに関わらず、その他の色彩、色相または反射率特性を有する磁性層を製造することが可能になる。そのため、本発明は、上述したように被覆粒子を備える本発明のすべての組成物を包含するとともに、かような被覆粒子とその他のインク、染料、希釈剤および賦形剤等とのすべての混合物を包含する。
【0054】
本発明の磁性層の製造用に白色または実質的に白色の粒子を使用することにより、特に望ましい特性が見られるようになる。独創性のあるインクおよびトナー組成物の粒子は、望ましくは、実質的に白色のコーティングであって、少なくとも粒子の目視検査の際に、磁性コアの色彩を隠すのに十分に不透明、または白色コーティングの直下に配置される(存在する場合には)任意の追加コーティングの色彩を隠すのに十分に不透明である白色コーティングを含む。本発明は、白色(Hunter Lab colour scaleで100のL値を有する)、オフホワイトに見える色(例えば、Hunter Lab colour scaleで少なくとも95のL値を有する)または実質的に白色(例えば、Hunter Lab colour scaleで少なくとも70のL値を有する)、それよりも白色度が落ちる色(例えば、Hunter Lab colour scaleで50乃至70のL値を有する)に見せるコーティングを含む粒子を使用することを包含する。このため、実質的に白色のコーティングにより磁性粒子に与えられる白さの程度は、大幅に変化する。本発明は、Hunter Lab colour scaleで少なくとも50のL値を有する少なくとも1層のコーティング層が形成された粒子を有する組成物と、その利用法とを包含する。さらに、本発明は、基材に塗布されてその上に磁性層を形成するときに、Hunter Lab colour scaleで少なくとも50のL値を有する磁性層を生成する少なくとも1層のコーティング層を有する粒子を備える組成物も包含する。
【0055】
粒子は、任意の不規則な形状および形態を有するようにしてもよく、代替的には、実質的に球状であってもよい。典型的には、各粒子は、0.1乃至10,000nmのサイズ範囲の直径を有するようにしてもよく、10乃至80nmの直径を有することが望ましい。各粒子の白色、実質的に白色または着色コーティングは、粒子に、または粒子を含む組成物を基材に塗布することによって形成される磁性層に、所望の美的特性を与えるのに適した任意の厚さを有するようにしてもよい。望ましくは、コーティングは、1乃至200nmの平均厚さを有し、さらに望ましくは、5乃至50nmの平均厚さを有する。そのような望ましいコーティングの厚さは、特に望ましい色彩および磁気的特性を有する粒子を生じさせるように思われる。
【0056】
各粒子のコアは、磁気的特性を示す任意の材料を有するものであってもよい。かかる材料は、それに限定される訳ではないが、Fe、Ni、Co、還元性金属酸化物、酸化第一鉄、酸化ニッケル、化学式MFe(Mは、二価金属イオンまたは二価金属イオンの混合物)のフェライトからなる群から選ばれた少なくとも1の物質を含む。望ましくは、コアは、磁性材料または磁性材料の混合物からなる。しかしながら、コアは、例えば、粒子製造プロセスから生じる少量のその他の物質または不純物を含むようにしてもよい。
【0057】
各粒子を実質的に覆い隠すコーティングは、十分な効率で磁性コア(または中間層)に固着するとともに、要求されるようにHunter Lab colour scaleである程度の白色度または色彩を有する、任意の物質、混合物、化合物または成分を含むようにしてもよい。かかる材料には、それに限定される訳ではないが、金属化合物(例えば、シリカ[SiO]、チョーク[炭酸カルシウム、CaCO]、チタニア[二酸化チタン、TiO]、ジルコニア[二酸化ジルコニウム、ZrO]、バライタ[硫酸バリウム、BaSO]、石こう[硫酸カルシウム、CaSO]、ガラス粉、酸化亜鉛[ZnO]および硫化亜鉛[ZnS])および有機ポリマー(例えば、任意には官能性ポリイソブチレン、任意には官能性ポリエチレン、任意には官能性ポリスチレン、ラテックス)が含まれる。白色コーティング材料のその他の例には、樹脂、セラミックス等が含まれる。それら任意のコーティング材料は、本明細書に記載されているように、あるいは従来より知られているように、任意の顔料と混合、あるいは置換することができる。
【0058】
選択された実施形態において、各粒子のコーティングは、高屈折率を有する材料、高隠蔽力を有する材料、高光散乱効果を有する材料、非常に不透明な材料、金属酸化物または有機ポリマーを備えるようにしてもよい。
【0059】
さらに、本発明の組成物において、液相は、少なくとも部分的懸濁液中で粒子を保持するのに適した、任意の液体材料またはその混合物を備えるようにしてもよい。液相は、それに限定される訳ではないが、任意の水性または有機溶媒を含むようにしてもよく、溶媒は、腐食することなく、また粒子の基材への塗布を阻害しないことが望ましい。
【0060】
更なる実施形態において、本発明は、本発明の組成物を使用して、例えば、組成物の粒子を基材に付着させることにより、色素性の磁性層を基材上に生成または基材と一体化することを含む。そのような使用法は、本明細書に記載されるように、本発明の組成物の何れにも拡張される。この使用法によれば、適当な基材は、粒子を固着して上面に磁性層を形成するのに適した任意のマトリクスを有する任意の対象物を含むことができる。例えば、基材材料は、紙、プラスチック、金属、金属合金、木材、ガラス、樹脂およびゴムを含む非限定的な群から選択することができる。紙、プラスチックおよびその他の材料の場合、基材は、最終的に、例えば、紙幣として使用することを目的とするものであってもよく、その場合、磁性層が紙幣にセキュリティ機能を与えることができる。
【0061】
更なる実施形態において、本発明は、色素性の磁性層を生成する方法であって、本明細書に開示の組成物を基材に塗布するステップを有し、粒子を、基材または基材材料に固着するとともに、任意には、それら粒子を相互に固着させて、それにより、色素性の磁性層を形成する方法を提供する。
【0062】
上記塗布ステップは、従来より知られた任意の種類の塗布方法を伴うものであってもよい。例えば、塗布ステップは、
必要な場合に、粒子を液体と混合して、粒子を前記液体中で少なくとも部分的に浮遊状態にして、それにより懸濁液を形成するステップと、
懸濁液を基材または基材材料に接触させるステップであって、任意には、その接触を磁場の存在下で行うステップと、
塗布された懸濁液から少なくとも液体の部分を除去するステップと、
必要な場合に、粒子を基材に定着させるステップとを備えるものであってもよい。
【0063】
上記除去ステップは、例えば、加熱、冷却、吸引、マイクロ波照射などを含む能動的なステップであっても、または代替的には、例えば、蒸発または毛細管現象を含む受動的なステップであってもよい。したがって、上記除去ステップは、最終的に懸濁液の液相の存在下で除去をもたらす任意の作用を含むものであってよい。
【0064】
代替的には、上記塗布ステップは、少なくとも実質的に乾燥状態の粒子を基材に接触させるステップであって、任意には、その接触を磁場の存在下で行うステップと、必要な場合に、粒子を基材にまたはその内部に定着させるステップとを含むものであってもよい。
代替的には、上記塗布ステップは、粒子を基材と架橋させるステップであって、望ましくはそれを酸化または紫外線架橋で行うステップを備えるものであってもよい。
【0065】
本明細書に開示の任意の方法において、各定着ステップは、例えば、基材および付着粒子を加熱することを含むものであってよい。その他の定着技術には、それに限定される訳ではないが、化学的または静電作用により粒子を基材に固着するものが含まれるものであってよい。定着は、粒子と基材の固着および/または粒子どうしの固着を引き起こすもの、あるいはその固着の程度または強さを改善するものであってよい。
【0066】
さらに別に実施形態において、本発明は、磁性層であって、本明細書に開示の組成物を基材上に塗布して、組成物の粒子を基材に固着させるとともに、任意には、それら粒子を基材上で相互に固着させることによって製造される磁性層を包含する。本発明の磁性層は、粒子状磁性物質の任意の既知の付着方法を、本発明の組成物に適用することにより製造されるものであってもよい。その一例を挙げると、その方法は、インクを乗せた隆起表面を利用して必要なイメージを形成する、従来より非常によく知られた凸版印刷技術を伴うものであってもよい。多くのその他の印刷技術が従来より知られており、その大部分は、本発明の教示に係る粒子の基材への付着に適用できる。
【0067】
本発明は、さらに、基材と、その上に形成された本発明の色素性の磁性層とを有する物品を包含する。望ましい実施形態において、基材が紙幣で、磁性層が紙幣にセキュリティ機能を与えるものであってもよい。例えば、磁性層は、黒いまたは暗い色彩以外の色彩または色相を有し、紙幣の構造体内またはその表面に便宜上目立たないように組み込まれるものであってもよい。
【0068】
当然のことながら、セキュリティ機能を紙幣上に生成するための本発明の磁性層は、特定のインクまたはトナー色、または特定の形状、模様または構成を有するものに限定されるものではない。実際に、本発明の磁性層を使用して生成された紙幣のセキュリティ機能は、任意の考え得る形状、模様または構成、任意の考え得るインクまたはトナーの色彩および色相の組合せを備えることができる。例えば、紙幣のセキュリティ機能は、例えば、小売業者への流通に適した、特別に事前設定された磁気記号リーダで検知(“読取り”)のみ可能な磁性インクの特有の模様を含むものであってもよい。その他の実施形態において、本発明の磁性層を有する紙幣のセキュリティ特性は、複数の色彩、または本発明の磁性層の複数のまたは互いに重なり合う層を有し、それにより、例えば、彩色画または模擬写真の形式等で配置された、より複雑なセキュリティ特性を与えるものであってもよい。使用される組成物の色彩および/または色相は、紙幣上のセキュリティ機能の顕著性の程度を変えるために調整するようにしてもよい。
【0069】
さらに別の実施形態において、本発明は、本出願に開示または検討された任意の組成物または粒子を備える顔料、またはそれら任意の組成物または粒子からなる顔料を包含する。実際に、顔料は、粒子を被覆するのに使用される材料に応じて、白色、実質的に白色とされるか、または着色されるようにしてもよい。本発明の顔料は、乾燥状態で使用するようにしても、あるいは所望の顔料用途に必要な任意の担体、希釈剤または賦形剤物質と混合するようにしてもよい。
【0070】
本発明においては、本発明に係る組成物、その用途、磁性層の製造方法および磁性層自体の特定の実施形態および実施例に関して述べてきたが、当業者であれば、その他のそのような組成物、その用途、磁性層の製造方法および磁性層が、本願に記載および請求された本発明の範囲内に合理的に含まれることを理解するであろう。添付の請求の範囲にすべてのそのような実施形態をさらに含むことを本出願人は意図している。

本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕 基材上および/または当該基材と一体に、色素性の磁性層を生成するために、前記基材に塗布される組成物であって、
(1)粒子であって、各々が(i)本質的に磁性材料から構成されるコアと、(ii)前記コアを少なくとも実質的に覆い隠して、基材に塗布されたときに、前記粒子に、Hunter Lab colour scaleのL値が少なくとも50の色素性の磁性層を形成させるコーティングと、(iii)任意の構成要素として、前記コアと前記コーティングとの間に配置され、且つ/または前記コーティングを少なくとも実質的に覆い隠す1またはそれ以上の追加的コーティングとを有する粒子と、
(2)任意の構成要素として、前記粒子を、それが存在する場合に、浮遊状態で少なくとも部分的に保持する液相と、
(3)任意の構成要素として、1またはそれ以上のその他の磁性または非磁性インクまたはトナーと
を備えることを特徴とする組成物。
〔2〕〔1〕に記載の組成物において、
各粒子の前記コーティングが、少なくとも前記粒子の目視検査の際に、前記コアの色彩、または前記コーティングの下方に任意の追加的コーティングが存在する場合にはその色彩を実質的に隠すのに十分に不透明であることを特徴とする組成物。
〔3〕〔2〕に記載の組成物において、
前記コーティングが、基材に塗布されて色素性の磁性層を形成するときに、前記粒子に、Hunter Lab colour scaleで少なくとも80のL値を持たせることを特徴とする組成物。
〔4〕 〔3〕に記載の組成物において、
前記コーティングが、基材に塗布されて色素性の磁性層を形成するときに、前記粒子に、Hunter Lab colour scaleで少なくとも95のL値を持たせることを特徴とする組成物。
〔5〕 〔1〕に記載の組成物において、
前記粒子が、その目視検査の際に、白色または実質的に白色に見えることを特徴とする組成物。
〔6〕 〔1〕に記載の組成物において、
前記粒子が、その目視検査の際に、着色されて見えることを特徴とする組成物。
〔7〕 〔1〕に記載の組成物において、
各粒子の前記コアが0.1nm乃至10,000nmの直径、望ましくは10nm乃至80nmの直径を有することを特徴とする組成物。
〔8〕 〔1〕に記載の組成物において、
各粒子上の前記コーティングが1nm乃至200nmの平均厚さ、望ましくは5nm乃至50nmの平均厚さを有することを特徴とする組成物。
〔9〕 〔1〕に記載の組成物において、
前記コアが、Fe、Ni、Co、還元性金属酸化物、酸化第一鉄、酸化ニッケル、化学式MFeのフェライト(Mは、二価金属イオンまたは二価金属イオンの混合物)からなる群から選ばれた少なくとも1の物質を含むことを特徴とする組成物。
〔10〕 〔1〕に記載の組成物において、
各粒子の前記コーティングが、高屈折率を有する材料、高隠蔽力を有する材料、高光散乱効果を有する材料、不透明な材料、金属化合物または有機ポリマーを含むことを特徴とする組成物。
〔11〕 〔10〕に記載の組成物において、
前記金属化合物が、シリカ[SiO]、チョーク[炭酸カルシウム、CaCO]、チタニア[二酸化チタン、TiO]、ジルコニア[二酸化ジルコニウム、ZrO]、バライタ[硫酸バリウム、BaSO]、石こう[硫酸カルシウム、CaSO]、ガラス粉、酸化亜鉛[ZnO]および硫化亜鉛[ZnS]の中の少なくとも1から選択されることを特徴とする組成物。
〔12〕 〔10〕に記載の組成物において、
前記ポリマーが、任意には官能性ポリイソブチレン、任意には官能性ポリエチレン、任意には官能性ポリスチレンおよびラテックスから選択される有機ポリマーであることを特徴とする組成物。
〔13〕 〔1〕に記載の組成物において、
前記液相が、水性または有機溶媒を含むことを特徴とする組成物。
〔14〕 〔1〕に記載の組成物の利用法であって、
前記粒子を前記基材または基材材料に付着させて、前記粒子を前記基材に固着させるとともに、任意にはそれら粒子を前記基材上で相互に固着させることにより、前記基材上または前記基材と一体に、色素性の磁性層を生成するための組成物の利用法。
〔15〕 〔14〕に記載の利用法において、
前記基材が、紙、プラスチック、金属、金属合金、木材、ガラス、樹脂およびゴムまたはそれらの任意の組合せから選択される材料を備えることを特徴とする利用法。
〔16〕 〔15〕に記載の利用法において、
前記基材が、紙幣として用いられるものであることを特徴とする利用法。
〔17〕 色素性の磁性層を生成するための方法であって、
〔1〕に記載の組成物を基材に塗布するステップを有し、
前記粒子が、前記基材または基材材料に固着されるとともに、任意には、相互に固着されて、それにより、前記色素性の磁性層が形成されることを特徴とする方法。
〔18〕 〔17〕に記載の方法において、
前記塗布するステップが、
必要な場合に、前記粒子を液体と混合して、前記粒子を前記液体中で少なくとも部分的に浮遊状態にして、それにより懸濁液を形成するステップと、
前記懸濁液を前記基材または基材材料に接触させるステップであって、任意には、その接触を磁場の存在下で行うステップと、
塗布された懸濁液から少なくとも前記液体の部分を除去するステップと、
必要な場合に、前記粒子を前記基材に定着させるステップと
を備えることを特徴とする方法。
〔19〕 〔17〕に記載の方法において、
前記塗布するステップが、
少なくとも実質的に乾燥状態の前記粒子を前記基材に接触させるステップであって、任意には、その接触を磁場の存在下で行うステップと、
必要な場合に、前記粒子を前記基材またはその内部に定着させるステップと
を備えることを特徴とする方法。
〔20〕 〔17〕に記載の方法において、
前記塗布するステップが、
前記粒子を前記基材と架橋させるステップであって、望ましくはそれを酸化または紫外線架橋で行うステップを備えることを特徴とする方法。
〔21〕 〔1〕に記載の組成物を基材に付着させることによって製造される色素性の磁性層であって、
前記粒子が前記基材に固着するとともに、任意には、それら粒子が前記基材上で相互に固着することを特徴とする色素性の磁性層。
〔22〕 基材と、当該基材に付着された〔21〕に記載の色素性の磁性層とを備えることを特徴とする物品。
〔23〕 〔22〕に記載の物品において、
当該物品が紙幣であり、前記磁性層が前記紙幣にセキュリティ機能を提供することを特徴とする物品。
〔24〕 紙幣のためのセキュリティ機能であって、〔21〕に記載の色素性の磁性層を備えることを特徴とするセキュリティ機能。
〔25〕 基材上および/または当該基材と一体に、色素性の磁性層を生成するために、前記基材に塗布される組成物であって、
(1)粒子であって、その各々が(i)本質的に磁性材料から構成されるコアと、(ii)前記コアを少なくとも実質的に覆い隠して、基材に塗布されたときに、前記粒子に、前記コアの磁性材料とは異なる色彩または色相を持たせるコーティングと、(iii)任意の構成要素として、前記コアと前記コーティングとの間に配置され、且つ/または前記コーティングを少なくとも実質的に覆い隠す1またはそれ以上の追加的コーティングとを有する粒子と、
(2)任意の構成要素として、前記固体粒子を、それが存在する場合に、浮遊状態で少なくとも部分的に保持する液相と、
(3)任意の構成要素として、1またはそれ以上のその他の磁性または非磁性インクまたはトナーと
を備えることを特徴とする組成物。