(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る表示制御装置、表示制御方法、およびプログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態では、三次元構造物が建物であり、表示制御装置100が建物のメンテナンス等の工事履歴をアニメーション表示する場合について説明する。実施形態1に係る表示制御装置100は、物理的には、
図1に示すように、制御部1と、記憶部2と、入出力部3と、バス4と、を備える。
【0023】
制御部1は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)と、を備える。ROMは、本実施形態に係る表示制御プログラム、及び、各種初期設定、ハードウェアの検査、プログラムのロード等を行うための初期プログラム等を記憶する。RAMは、CPUが実行する各種ソフトウェアプログラム、これらのソフトウェアプログラムの実行に必要なデータ等を一時的に記憶するワークエリアとして機能する。CPUは、各種ソフトウェアプログラムを実行し、様々な処理及び演算を実行する中央演算処理部である。
【0024】
記憶部2は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備える。記憶部2は、建物情報、工事履歴情報、建物を3D画像で表示するための画像処理プログラム等の各種のプログラムを記憶する。
【0025】
入出力部3は、建物情報、工事履歴情報等を取得するためのCD(Compact Disc)ドライブ、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等を備える。また、入出力部3は、後述する重み係数を取得するキーボード又はキーパッド等の文字入力デバイスも備える。また、入出力部3は、表示制御部190が作成した画像信号を外部の表示装置200に供給する。
【0026】
バス4は、制御部1と、記憶部2と、入出力部3と、を接続する。
【0027】
表示制御装置100は、機能的には、
図2に示すように、建物情報取得部110と、工事履歴情報取得部120と、工事情報記憶部130と、工事部位対応付け部140と、視点候補設定部150と、評価部160と、視点選択部170と、重み係数設定部180と、表示制御部190と、の機能を含む。また、表示制御部190は、再生時間マッピング部191の機能を含む。
【0028】
建物情報取得部110は、入出力部3を介して工事履歴を表示する対象となる建物の図面情報を取得する。具体的には、建物情報取得部110は、
図3に示すような建物の外観を3D表示可能な建物のCADデータ等の図面情報を取得する。
【0029】
工事履歴情報取得部120は、入出力部3を介して工事履歴情報を取得する。具体的には、工事履歴情報取得部120は、
図4に示すような建物をメンテナンスした工事時期と工事部位を示す工事名称とを取得する。また、工事履歴情報には、工事部位の積算情報が含まれる。積算情報とは、建築物の工事部位の寸法情報と、工事に必要な材料などのコスト情報などである。例えば、屋上部位の一部に対して防水工事をした場合は、工事履歴情報には、防水工事を行った範囲を特定する工事部位の情報が含まれる。バルコニー部位の補修工事を行った場合は、工事履歴情報には、補修工事を行ったバルコニー部位の範囲を特定する工事部位の情報が含まれる。
【0030】
工事情報記憶部130は、建物情報取得部110と工事履歴情報取得部120が取得した情報を記憶する。工事情報記憶部130は、記憶部2の記憶領域に構築される。
【0031】
工事部位対応付け部140は、工事部位を含む工事履歴情報と、工事を行った建物の図面情報と、を対応付ける。具体的には、工事部位対応付け部140は、
図5に示すように、
図4に示す項番1から項番3の工事部位と
図3に示す図面情報とを対応付ける。より具体的には、工事部位対応付け部140は、
図4の項番1の屋上防水工事部位と、
図5の屋上部位301とを対応付ける。工事部位対応付け部140は、
図4の項番2のバルコニー補修工事部位と、
図5のバルコニー部位302(302a、302b、302c、302d)と、を対応付ける。工事部位対応付け部140は、
図4の項番3の周辺通路補修工事部位と、
図5の周辺通路部位303とを対応付ける。
【0032】
視点候補設定部150は、建物を外観する視点位置の候補を設定する。具体的には、視点候補設定部150は、対象となる建物を包含する半径の異なる複数の球面を設定し、その球面上に視点位置の候補を設定する。より具体的には、視点候補設定部150は、建物に外接する半径r1の球面、半径r1の1.5倍の半径の球面、半径r1の2倍の半径の球面、半径r1の3倍の半径の球面、と複数の球面を設定する。
【0033】
本実施形態では、理解を容易にするために、視点候補設定部150が、建物に外接する球面の半径r1の約1.5倍の半径の球面だけを設定する場合について説明する。視点候補設定部150は、
図6に示すように、対象となる建物を包含する球面311を設定する。次に、視点候補設定部150は、球面311を地面の高さで切断した円周312、球面311を建物の中心の高さで切断した円周313、球面311を建物の中心から約30°の角度をなす高さで切断した円周314、球面311を建物の中心から約60°の角度をなす高さで切断した円周315、を設定する。次に、視点候補設定部150は、設定した各円周を8等分する位置に視点位置の候補を設定する。具体的には、視点候補設定部150は、円周312の円周上にP41、P42、P43、P44、P45、P46、P47、P48の8個の視点位置の候補を設定する。同様にして、円周313の円周上にP31からP38の8個の視点位置の候補を設定する。同様にして、円周314の円周上にP21からP28の8個の視点位置の候補を設定する。同様にして、円周315の円周上にP11からP18の8個の視点位置の候補を設定する。したがって、視点候補設定部150は、合計32個の視点位置の候補を設定する。
【0034】
図2に戻って、評価部160は、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補から外観した建物の見やすさを視点位置の候補ごとに評価する。具体的には、評価部160は、複数の工事部位を工事履歴に基づいて連続的にアニメーション表示した場合における、それぞれの工事部位の見やすさと、それぞれの工事部位間の位置関係の見やすさと、を評価する。より具体的には、評価部160は、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補から抽出した視点位置の組み合わせについて下記の基準に基づいて評価する。視点位置の組み合わせとは、
図7に示す工事部位を外観する視点位置の組み合わせである。
【0035】
(1)表示装置200に表示された建物の画像面積に占める注目する工事部位の面積比率が高くなる視点位置を高く評価する。
(2)第1の工事部位(第1の注目する部位)を外観する画像を作成するために使用する視点位置から、第2の工事部位(第2の注目する部位)を外観する画像を作成するために使用する視点位置までの、視点位置の移動量が小さい視点位置を高く評価する。
(3)注目する工事部位が複数の部位で構成される場合、複数の部位の中の任意の部位の画像面積と他の任意の部位の画像面積との差が小さくなる視点位置を高く評価する。
なお、注目する工事部位とは、
図4に示す工事履歴の各工事の対象となる工事部位である。
【0036】
評価部160は、工事履歴の対象となる工事部位の見やすさを上記の基準に基づいて評価するために、式1を用いて評価する。Wa,Ws,Weは重み係数である。この重み係数の設定により、どの評価パラメータを重要視したアニメーション表示にするかを決めることが出来る。なお、式1を用いた評価では、評価点Eが小さいほど良い評価となる。
【0037】
E=Wa/Area+Ws*Smoothness+We*Equivalence ・・・(式1)
【0038】
式1のAreaは、画像に投影される工事部位の面積比率を示すパラメータである。画像に投影される工事部位の面積比率が高いほど見やすいので、面積比率が高いほどWa/Areaの値が小さくなるように定める。例えば、画像面積に対する工事部位の面積比率が30%である場合、Area=30とし、画像面積に対する工事部位の面積比率が50%である場合、Area=50とする。
【0039】
式1のSmoothnessは、前回の工事の工事部位(第1の注目する部位)を外観する視点位置Piから、今回の工事部位(第2の注目する部位)を外観する視点位置Pjまでの視点位置の移動量(視点Piと視点Pjの距離)を示すパラメータである。前回の工事部位を外観する視点位置Piと今回の工事部位を外観する視点位置Pjとが近いほど画像間の位置関係は見やすくなるので、視点位置の移動量が小さいほどWs*Smoothnessの値が小さくなるように定める。例えば、
図8において、P31からP35までの距離が20mであった場合、P31からP35に視点位置を移動した場合、Smoothness=20とする。
【0040】
式1のEquivalenceは、注目する工事部位が複数の部位に分かれている場合に、それぞれの部位の画像面積の差を示すパラメータである。工事部位が複数の部位に分かれている場合、分かれた工事部位の画像面積の差が小さいほど工事部位を比較して見やすくなる。そこで、複数に分かれた部位の画像面積の差が小さいほどWe*Equivalenceの値が小さくなるように定める。例えば、
図4の項番2のバルコニー補修工事の場合、
図5に示すように、バルコニー部位302は302a、302b、302c、302dの4つの部位に分かれている。この4つの部位の画像面積の差が小さくなる視点位置を高く評価する。
【0041】
そのために、例えば、Equivalenceを分散の式を用いて評価する。具体的な例で説明する。例えば、バルコニー部位302a、302b、302c、302dの部位の画像面積が、それぞれSa=10m
2、Sb=12m
2、Sc=14m
2、Sd=16m
2であったとする。この場合、4つの画像面積の平均は、13m
2である。このとき、Equivalenceの値は式2を用いて計算する。
Equivalence={(13-10)
2+(13-12)
2+(13-14)
2+(13-16)
2}/4 ・・・(式2)
【0042】
次に、評価部160が行う視点位置の評価方法について、
図7を参照しながら具体的に説明する。工事部位を1つの視点位置から見渡せる場合、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補数をn、アニメーション表示する工事履歴の工事回数をkとすると、k回の工事の履歴を表示するための視点位置の組み合わせの数は、nのk乗(n
k)だけ存在する。本実施形態では、
図6を用いて説明したように、円周の数は4個であり、各円周上に設定した視点位置の候補数は8個であるので、視点候補設定部150は、32個の視点位置の候補を設定する。また、
図4の項番1から項番3の工事履歴をアニメーション表示する場合、k=3となる。したがって、視点位置の候補の組み合わせ数は、32,768(=32
3)通りとなる。評価部160は、
図7に示すように、このn
k通りの視点位置の組み合わせについて、式1に基づいて評価点を計算する。
【0043】
ところで、
図8に示す例では、周辺通路部位303は、どの視点位置の候補から外観しても建物の陰になる部分が存在するため、1つの視点位置から周辺道路部位303の全てを外観することは出来ない。このような場合、評価部160は、工事部位を分割して、最初に選択した視点位置から外観できなかった残りの工事部位を外観できる視点位置を追加して評価する。例えば、評価部160は、周辺通路部位303を外観する視点位置として
図8に示すP35を最初に選択した場合、P35の視点位置からは建物の陰になって見えない周辺道路部位303の残りの部分を外観できる、例えばP32を追加して評価する。このように1つの工事部位を外観する視点位置として複数の視点位置を採用した場合、評価部160は、複数の視点位置の評価点の平均値を評価点として処理する。
【0044】
図2に戻って、視点選択部170は、評価部160の評価結果に基づいて、建物を外観する視点位置の候補の中から、工事部位のそれぞれを外観しやすい視点位置を選択する。具体的には、視点選択部170は、
図7に示す建物を外観する視点位置の組み合わせの中から、評価部160が計算した評価点の中で最も評価点が良い視点位置の組み合わせを、工事履歴をアニメーション表示するための視点位置の組み合わせとして選択する。
【0045】
重み係数設定部180は、式1に使用する重み係数を評価部160に供給する。重み係数は、予め記憶部2に記憶しておく。また、ユーザが入出力部3から変更設定するようにしてもよい。
【0046】
表示制御部190は、画像処理プログラムを用いて、視点選択部170が選択した視点位置から外観した建物の3D画像を作成し、表示制御装置100に接続された表示装置200に作成した3D画像をアニメーション表示する。また、表示制御部190は、建物の3D画像を作成する際に、工事部位ごとに色を変えて作成する。また、表示制御部190は、建物の3D画像に加えて、工事時期と工事名称とを表示装置200に表示する。
【0047】
再生時間マッピング部191は、工事履歴のアニメーションを再生するユーザが指定した再生時間に合わせて、表示制御部190が作成した3D画像の表示時間を調整する。例えば、再生時間マッピング部191は、表示制御部190が
図8に示すP35、P32、P22、P12の4つの視点位置から外観した4つの3D画像を作成し、ユーザからアニメーションの再生時間を40秒に設定された場合、それぞれの3D画像の再生時間を例えば10秒ずつに割り振る。そして、表示制御部190は、
図9に示すように、それぞれの工事部位ごとに視点位置を変えた3D画像を10秒ずつ表示するようにアニメーション表示する。その際に、表示制御部190は、注目している工事部位を識別しやすくするために、それぞれの工事部位の色を変えて表示する。
【0048】
次に、以上のような構成を有する表示制御装置100が実行する工事履歴画像の作成処理について、
図10と
図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。本実施形態では、
図4に示す項番1から項番3の3つの工事履歴をアニメーション表示する場合について説明する。建物のCADデータを含む図面情報と工事履歴情報とは、予め工事情報記憶部130に記憶されているものとする。ユーザが表示制御装置100に予めインストールされた表示制御プログラムを起動することにより、
図10に示すフローチャートは開始する。
【0049】
制御部1は、表示制御プログラムを起動すると、まず、工事情報記憶部130に記憶してある建物のCADデータを取得し、表示装置200にその建物の3Dモデルを表示する(ステップS11)。次に、制御部1は、工事情報記憶部130に記憶してある工事履歴情報を取得する(ステップS12)。次に、工事部位対応付け部140は、
図5を用いて説明したように、取得した工事履歴情報と図面情報との対応付けを行う(ステップS13)。
【0050】
工事履歴情報と建物情報との対応付けを終了すると、評価部160は、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補の中から工事部位を外観しやすい視点位置の組み合わせを選択するために、視点位置の組み合わせに含まれる視点位置のそれぞれから工事部位を外観した見やすさを評価する。そのために、評価部160は、式1を用いて視点評価計算処理を行う(ステップS14)。
【0051】
視点評価計算処理について、
図11を参照しながら説明する。評価部160は、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補の中から、3つの工事部位を外観するための3つの視点位置を任意に選択する(ステップS21)。具体的には、評価部160は、
図7に示す視点位置のすべての組み合わせ(32
3通り)の中から1つの組み合わせを抽出する。
【0052】
任意の視点位置の組み合わせを抽出すると、評価部160は、それぞれの視点位置から外観できる工事部位を特定する(ステップS22)。評価部160は、工事部位を特定する際に、単一の視点位置から工事部位の全てを外観できるか否かを判別する(ステップS23)。例えば、
図8に示す例では、屋上部位301については、P11等の1つの視点位置から全ての屋上部位301を外観することができる。しかし、周辺通路部位303については、建物の影となるので1つの視点位置から周辺通路部位303の全てを外観することはできない。この場合(ステップS23:No)、評価部160は、工事部位を分割して残りの工事部位を外観することができる視点位置を追加する(ステップS24)。例えば、評価部160は、周辺通路部位303を外観する視点位置として最初にP35を選択した場合、例えば建物の反対側から周辺通路部位303を外観する視点位置であるP32を追加することにより、P35から外観出来なかった周辺通路部位303の残りの工事部位を外観出来るようにする。
【0053】
評価部160は、視点位置の組み合わせを抽出すると、式1を用いてその視点位置の組み合わせについて評価点の計算を行う(ステップS25)。ステップS24により視点位置を追加した場合は、評価部160は、追加した視点位置について計算した評価点の平均値をその視点位置の組み合わせの評価点とする。
【0054】
次に、評価部160は、
図7に示す視点位置の組み合わせの全てについて評価点の計算が終了しているか否かを判別する(ステップS26)。すべての組み合わせについての評価計算が終了していない場合(ステップS26:No)、評価部160は、視点位置の組み合わせを変更して(ステップS27)、評価点の計算を行う。
【0055】
すべての組み合わせについて評価計算が終了した場合(ステップS26:Yes)、視点選択部170は、評価点が最も良い視点位置の組み合わせを工事履歴を表示する画像の視点位置の組み合わせとして選択し(ステップS28)、表示制御装置100の処理は
図10のステップS15に遷移する。
【0056】
図10に戻って、表示制御部190は、視点選択部170が選択した視点位置の組み合わせに含まれる視点位置のそれぞれから工事部位を外観した3D画像を画像処理プログラムを用いて作成する(ステップS15)。例えば、視点選択部170が、P35、P32、P22、P12の4つの視点位置の組み合わせを選択した場合、表示制御部190は、P35、P32、P22、P12から工事部位のそれぞれを外観する4つの3D画像を作成する。
【0057】
表示制御部190が工事履歴を表示する3D画像の作成を完了すると、再生時間マッピング部191は、工事履歴のアニメーション表示がユーザの設定した再生時間に収まるように、それぞれの工事に対応する3D画像の表示時間を割り振るマッピング処理を行う(ステップS16)。そして、表示制御部190は、再生時間に収まるように時間配分されたそれぞれの工事部位を外観する4つの3D画像を、
図9に示すように表示装置200にアニメーション表示する(ステップS17)。以上で、工事履歴画像の作成処理の説明を終了する。
【0058】
以上説明したように、実施形態1に係る表示制御装置100は、対象とする建物を包含する半径の異なる複数の球面上に複数の視点位置の候補を設定し、式1に基づいて、視点位置の候補のそれぞれから工事部位を外観した見やすさを視点位置の組み合わせごとに評価する。そして、表示制御装置100は、それぞれの工事部位を外観しやすい視点位置の組み合わせを選択して、選択した視点位置から工事部位を外観した3D画像を時系列的にアニメーション表示する。これにより、表示制御装置100は、それぞれの工事部位を見やすく、また、工事部位間の位置関係をわかりやすいように、工事履歴を時系列でアニメーション表示することが出来る。つまり、表示制御装置100が工事部位を外観しやすい視点位置を選択するので、工事部位を3D表示するための視点位置をユーザが試行錯誤しながら設定する必要がない。したがって、表示制御装置100を用いることにより、工事履歴を直感的に把握しやすい効果的なプレゼンテーション用画像を容易に作成することができる。
【0059】
なお、実施形態1の説明では、視点候補設定部150は、設定した球面を切断する4つの円周を設定し、その円周の各々に8個の視点位置の候補を設定した。しかし、視点候補設定部150は、もっと多くの円周を設定するようにしてもよい。また、円周は球面の任意の位置を切断するように設定してもよい。また、各々の円周に8個以上の視点位置の候補を設定するようにしてもよい。また、8個の視点位置の候補の数を減らしてもよい。また、アニメーション表示した画像の見やすさと処理時間とをグレード付けし、ユーザが指定した見やすさのグレードと処理時間のグレードとに基づいて、表示制御装置100が、設定する球面の数、設定する円周の数、円周ごとに設定する視点位置の候補の数を決定するようにしてもよい。
【0060】
また、上記の説明では、視点位置の候補を球面上に設定する説明をしたが、視点位置の設定位置は球面上に限定する必要はない。例えば、楕円体、立方体、直方体等の面上に設定するようにしてもよい。
【0061】
また、上記の説明では、視点候補設定部150が予め設定した視点位置の候補から評価部160が視点位置を選択した。他の方法としては、選択した視点位置を微調整することもできる。具体的には、視点候補選択部150は、評価部160が選択した視点位置の周囲に第2の視点位置の候補を追加設定し、評価部160は、第2の視点位置の候補について式1を用いて評価を行う。そして、視点選択部170は、第2の視点位置の候補を含めて、最も評価の良い視点位置の組み合わせを選択する。これにより、視点位置の微調整ができ、さらに見やすい視点位置の組み合わせを選択することができる。また、最初から視点位置の候補数を多く設定するよりも計算処理量を少なくすることができる。
【0062】
また、実施形態1の説明では、式1のEquivalenceを分散の式を用いて評価する説明をした。しかし、Equivalenceの評価はこれに限定する必要は無い。例えば、各部位の画像面積の中で最も大きい画像面積と最も小さい画像面積との比で評価を行ってもよい。この場合、この比が1に近いほど良い評価となる。
【0063】
また、実施形態1の説明では、工事部位の見やすさを式1を用いて評価したが、他の評価式を用いて評価してもよい。例えば、式1の重み係数Wa,Ws,Weの何れかの値を「0」としてもよい。また、他の評価パラメータを追加してもよい。
【0064】
また、以上の説明では、評価点が最も良い視点位置の組み合わせを選択して、その視点位置から外観した3D画像をアニメーション表示する説明をした。しかし、本発明はこれに限定する必要は無く、1つの工事部位について異なる複数の視点位置から外観した複数の3D画像を表示するようにしてもよい。例えば、工事部位のそれぞれについて、評価点が良かった複数の視点位置から外観した複数の3D画像を表示するようにしてもよい。
【0065】
また、以上の説明では、複数の注目する部位を連続してアニメーション表示する場合について説明したが、表示制御装置100は、1つの注目する部位の画像を表示する場合にも適用できる。この場合、式1の重み係数Wsを「0」に設定する。
【0066】
また、以上の説明では、重み係数を固定した場合について説明したが、重み係数を変動させて工事履歴画像を作成することも出来る。例えば、重み係数Wa,Ws,Weの値を複数設定したテーブルを予め記憶部2に記憶しておき、評価部160は、重み係数Wa,Ws,Weの値の組み合わせごとに式1を用いて評価点を求める。そして、視点選択部170は、重み係数の組み合わせを変えて計算した視点位置の組み合わせの中から、最も評価点が良い視点位置の組み合わせを選択するようにしてもよい。
【0067】
別の表示制御方法としては、重み係数Wa,Ws,Weの値を複数設定したテーブルを予め記憶部2に記憶しておき、評価部160は、重み係数Wa,Ws,Weの値の組み合わせごとに式1を用いて評価点を求める。そして、視点選択部170は、重み係数の組み合わせごとに評価点が最も良くなる視点位置の組み合わせを選択する。そして、表示制御部190は、重み係数の組み合わせごとに作成した工事履歴画像を順次表示装置200に表示する。これにより、表示制御装置100は、いろんな評価視点に基づいて工事履歴画像を表示することが出来る。
【0068】
また、ある工事部位を外観する視点位置と次の工事部位を外観する視点位置とが離れている場合、2つの工事部位の位置関係を把握しにくいアニメーション表示となる場合がある。このような場合、表示制御部190は、2つの視点位置の途中に他の視点位置を追加して、追加した視点位置から外観した3D画像を追加してアニメーション表示をするようにしてもよい。例えば、周辺通路部位303を外観する視点位置として
図8に示すP35とP32を選択した場合、表示制御部190は、P35とP32の間に位置するP34、P33の視点位置を追加し、追加した視点位置から外観する3D画像を追加してアニメーション表示を行うようにしてもよい。
【0069】
(実施形態2)
実施形態1の説明では、
図7を用いて説明したように、評価部160は、視点位置の候補の全ての組み合わせについて、式1を用いて評価計算を行った。しかし、視点位置の候補を増やすと評価する視点位置の候補の組み合わせ数は指数関数的に増加し、処理負荷が大きくなる。実施形態2では、この計算処理を軽減する技術について
図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0070】
実施形態2に係る表示制御装置100の構成は、実施形態1において説明した構成と同様である。実施形態1で
図10に示すフローチャートを用いて説明した工事履歴画像作成処理のフローチャートも同じである。しかし、
図11を用いて説明した視点評価計算処理のフローチャートの一部を変更する。実施形態2に係る視点評価計算処理について、
図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0071】
実施形態2に係る視点評価計算処理では、ステップS22の後に、工事部位を視認できない視点位置の候補を削除する工程を設ける(ステップS30)。具体的には、視点候補設定部150は、屋上部位301を外観する視点位置の候補から、屋上の高さよりも低い視点位置を削除する。屋上の高さよりも低い視点位置からは屋上部位301を外観することができないからである。同様に、視点候補設定部150は、バルコニー部位302を外観できない視点位置を候補から削除し、周辺通路部位303を外観できない視点位置を候補から削除する。
【0072】
より具体的には、
図4の項番1の屋上防水工事においては、屋上部位301を外観することができる視点位置の候補がP11からP18の8個であった場合、項番1の視点位置の候補を32個から8個に絞り込むことができ、計算処理量を25%に削減できる。同様に、
図4の項番2のバルコニー修復工事においては、バルコニー部位302を外観することができる視点位置の候補が、P22、P23、P24、P32、P33、P34、P42、P43、P44の9個だけであった場合、項番2の視点位置の候補を32個から9個に絞り込むことができ、計算処理量を30%以下に削減することができる。同様に、
図4の項番3の周辺通路修復工事においては、P11からP18の8か所の視点位置からは周辺通路部位303を外観することができないので、項番3の視点位置の候補を32個から24個に絞り込むことができ、計算処理量を75%以下に低減することができる。合計では、8×9×24=1,728となり、計算量を6%(8×9×24/32
3)以下に低減することができる。
【0073】
なお、実施形態2の説明で、工事部位を視認できない視点位置を視点位置の候補から除外して処理負荷を軽減する方法について説明をしたが、視点位置の候補の数を削減する方法はこれに限定する必要は無い。例えば、
(1)表示装置200に表示された建物の画像面積に占める注目する工事部位の面積比率が所定の閾値以下である視点位置を候補から除外するようにしてもよい。
(2)第1の工事部位を外観する画像を作成するために使用する視点位置から、第2の工事部位を外観する画像を作成するために使用する視点位置までの、視点位置の移動量が所定の閾値以上である視点位置を候補から除外するようにしてもよい。
(3)注目する工事部位が複数の部位で構成される場合、複数の部位の中の任意の部位の画像面積と他の任意の部位の画像面積との差が、所定の閾値以上となる視点位置を候補から除外するようにしてもよい。
【0074】
また、上記の説明では、評価部160が全ての視点位置の候補の組み合わせについて式1に基づいて評価を行った後で、視点選択部170が最も良い視点位置の組み合わせを選択する説明を行った。他の方法としては、式1を用いて計算した評価点が任意に定めた閾値以下(良い評価)である視点位置の組み合わせを検出した場合、それ以後の評価を中止して、視点選択部170がその視点位置の組み合わせを選択するようにしてもよい。つまり、評価点が閾値以下の視点位置の候補の組み合わせを検出した場合、その他の視点位置の組み合わせについては評価を省略して処理負荷を軽くするようにしてもよい。
【0075】
(実施形態3)
実施形態1で
図9を用いて行った説明では、複数の工事部位をアニメーション表示する方法について説明した。実施形態3では、アニメーション表示する画面の表示例について
図13を用いて説明する。
【0076】
表示制御部190は、
図13に示すように、
図4に示す工事履歴の項番1から項番3の3つの工事履歴を工事時期の古い順に表示装置200にアニメーション表示する。このとき、例えば、表示制御部190は、工事時期の新しい画像を工事時期の古い画像の上に重ねるように表示制御する。表示制御部190は、工事履歴のそれぞれに対応する画像の中央に、工事部位を色付けした建物の3D画像を表示する。また、表示制御部190は、工事履歴の表示画像の右側に工事履歴を表示し、表示している工事部位に対応する工事履歴の欄を枠で囲って表示する。また、表示制御部190は、工事履歴の表示画像の下側に工事時期を表示し、表示している工事部位に対応する工事時期を矢印で表示する。
【0077】
なお、表示制御装置100は、複数の工事部位をアニメーション表示せずに、それぞれの工事部位を単独に表示することも出来る。例えば、ユーザが画面右側の表示履歴の任意の項目を指定すると、表示制御部190が該当する工事部位を外観する3D画像を表示装置200に表示するようにしてもよい。また、ユーザが画面下側の工事時期の任意の時期を指定すると、表示制御部190が該当する工事時期に行った工事の工事部位を外観する3D画像を表示装置200に表示するようにしてもよい。
【0078】
なお、実施形態1から3の説明では、表示制御装置100が、複数の工事履歴をアニメーション表示する場合について説明した。しかし、本発明の範囲はこれに限定されるものはない。例えば、複数の工事履歴に代えて、建物の複数部位(玄関、東西南北の側面、屋根、ベランダ、庭等)を順に表示する場合にも適用できる。
【0079】
また、以上の説明では、三次元構造物として建物を例に説明したが、本発明の適用は、三次元構造物を建物に限定する必要はない。例えば、三次元構造物を車や電車等の乗り物としてもよいし、服等の装飾品としてもよい。
【0080】
また、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた表示制御装置100として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等を、本発明に係る表示制御装置100として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した表示制御装置100による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等を制御するCPU等が実行できるように適用することで、本発明に係る表示制御装置100として機能させることができる。また、本発明に係る表示制御方法は、表示制御装置100を用いて実施できる。
【0081】
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、コンピュータが読取可能な記録媒体(CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical disc)等)に格納して適用できる他、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより適用することもできる。
【解決手段】表示制御装置100は、三次元構造物を外観する視点位置の候補を複数設定する視点候補設定部150を備える。また、表示制御装置100は、視点候補設定部150が設定した視点位置の候補から外観した三次元構造物の見やすさを評価する評価部160を備える。また、表示制御装置100は、評価部160の評価結果に基づいて、三次元構造物を外観する視点位置の候補の中から、三次元構造物を外観しやすい視点位置を選択する視点選択部170を備える。また、表示制御装置100は、視点選択部170が選択した視点位置から外観した三次元構造物の画像を作成する表示制御部190を備える。