特許第5977891号(P5977891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977891
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】回転型電気部品
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/20 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   H01H19/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-535178(P2015-535178)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2013005264
(87)【国際公開番号】WO2015033373
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】福永 太郎
(72)【発明者】
【氏名】福嶌 肇
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−143268(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0298494(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第1147674(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00−21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネと、
前記バネを収容する凹部を有する回転体と、
前記回転体とともに回転し、前記バネにより前記回転体の外側方向に付勢されるクリック駒と、
側面の一部が円弧状凹面であって、溝が形成された従動部を有し、前記回転体の回転を規制するレバーと、
側面の一部が円弧状凸面である原動部とピンとを有し、前記ピンが前記レバーの溝に係合して前記レバーを回転させるとともに、前記ピンが前記レバーの溝から離脱した状態では前記原動部の円弧状凸面と前記レバーの従動部の円弧状凹面とが係合して前記レバーの回転を規制するゼネバ機構を構成する規制部材と、
内周面の周方向に前記バネによりクリック駒が押し当てられる凹凸部を有し、前記回転体、前記クリック駒、前記レバー、および、前記規制部材を収容するハウジング部と、
を具備する回転型電気部品。
【請求項2】
前記レバーの溝において、前記ピンが接する壁面部分の法線方向が、前記ピンの移動方向に対して斜めである請求項1に記載の回転型電気部品。
【請求項3】
前記レバーの溝は平行な壁面を有し、前記ピンは、前記平行な壁面の間に遊びを伴って収容される請求項2に記載の回転型電気部品。
【請求項4】
バネと、
前記バネを収容する凹部を有する回転体と、
前記回転体とともに回転し、前記バネにより前記回転体の外側方向に付勢されるクリック駒と、
ピン、および、該ピンを支持する平板状の従動部を有し、前記回転体の回転を規制するレバーと、
側面の一部が円弧状凸面であって、溝が形成された原動部を有し、前記溝に前記レバーの平板状の従動部が係合して前記レバーを回転させるとともに、前記レバーの平板状の従動部が前記溝から離脱した状態では前記原動部の円弧状凸面と前記レバーの平板状の従動部の側面とが摺動して前記レバーの回転を規制する規制部材と、
内周面の周方向に前記バネによりクリック駒が押し当てられる凹凸部を有し、前記回転体、前記クリック駒、前記レバー、および、前記規制部材を収容するハウジング部と、
を具備する回転型電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作軸を回してスイッチングを行うロータリースイッチなどの回転型電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の接点を切り替えることができるロータリースイッチが幅広く利用されている。例えば、通信機器においては、ロータリースイッチは、電源スイッチやボリューム調整、チャネル変更などの機能を実現するために利用されている。
【0003】
ロータリースイッチが電源スイッチの機能を実現するために用いられる場合、ロータリースイッチは、電源がオン、または、オフにされたことをユーザに明瞭に知らせるため、ユーザにクリック感を与えるように設計される。
【0004】
例えば、特許文献1には、電源オン時、電源オフ時に一度ずつクリック感が得られるロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチが開示されている。図9図10は、特許文献1に示されたロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ100の分解組み立て図である。
【0005】
このロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ100は、ノブ101、シャフト102、ケーシング103、駆動部材104、キャリア部材105、摩擦部材106、順応性部材107、レバー108、プレート109を備える。
【0006】
ここで、ノブ101はシャフト102と連結されており、シャフト102は駆動部材104と連結されている。そのため、ノブ101を回転させると、駆動部材104が回転する。駆動部材104には駆動ピン110が設けられており、この駆動ピン110はレバー108の下部に形成された溝111(図10を参照)に係合される。これにより、駆動部材104が回転すると、レバー108が回転することになる。
【0007】
一方、レバー108の上部にも、溝112が形成されている。この溝112には、キャリア部材105に設けられたキャリアピン113が係合される。これにより、レバー108が回転すると、キャリア部材105が回転することになる。
【0008】
ここで、摩耗部材106は、順応性部材107によりケーシング103に形成されている節度機構114に押し付けられる。そのため、ノブ101をユーザが回転させた際、キャリア部材105が回転することによって、そのユーザにクリック感を感じさせることが可能となる。
【0009】
図11は、特許文献1に示された別のロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ200の分解組み立て図である。このロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ200は、ノブ201、シャフト202、ケーシング203、駆動部材204、キャリア部材205、摩擦部材206、レバー207、プレート208を備える。
【0010】
ノブ201はシャフト202と連結されており、シャフト202は駆動部材204と連結されている。そのため、ノブ201を回転させると、駆動部材204が回転する。駆動部材204にはフック機構209が設けられており、このフック機構209にレバー207の下部に設けられたレバーピン210が係合される。これにより、駆動部材204が時計回りに回転すると、レバー207が反時計回りに回転することになる。
【0011】
一方、レバー207の上部には、溝211が形成されている。この溝211には、キャリア部材205に設けられたキャリアピン212が係合される。これにより、レバー207が回転すると、キャリア部材205が回転することになる。
【0012】
ここで、摩耗部材206は、図示しない順応性部材によりケーシング203に形成されている節度機構213に押し付けられる。そのため、ノブ201をユーザが回転させた際、キャリア部材205が回転することによって、そのユーザにクリック感を感じさせることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0298494号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した特許文献1の従来技術では、ロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ100、200の耐久性に課題がある。
【0015】
具体的には、図9図10に示したロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ100では、駆動部材104とレバー108とが駆動ピン110で結合されている。この駆動ピン110は、ノブ101が反時計回りに大きく回転すると、レバー108の下部に形成された溝111から離脱する。そして、ノブ101が時計回りに回転すると、駆動ピン110は再び溝111に係合される。
【0016】
ここで、レバー108とキャリア部材105とは、キャリアピン113がレバー108の上部に形成された溝112に係合されることにより連結される。しかし、溝112の壁面の摩耗が進むと、ノブ101が反時計回りに大きく回転し、レバー108の下部に形成された溝111から駆動ピン110が離脱した際、キャリアピン113まで溝112から離脱することがある。
【0017】
この場合、レバー108の回転角度が定まらなくなり、ノブ101が時計回りに回転した場合に、駆動ピン110がレバー108の側面に衝突して、駆動ピン110が破損する可能性がある。
【0018】
他方、図11に示したロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ200では、駆動部材204とレバー207とがレバーピン210で結合されている。この場合も、ノブ201が勢いよく時計回りに回転した場合、レバーピン210が駆動部材204に形成されたフック機構209の壁面に激しく衝突し、レバーピン210が破損する可能性がある。
【0019】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、駆動部材とレバーとの係合部分が破損することを容易に防止することができる回転型電気部品を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の回転型電気部品は、バネと、バネを収容する凹部を有する回転体と、回転体とともに回転し、バネにより回転体の外側方向に付勢されるクリック駒と、側面の一部が円弧状凹面であって、溝が形成された従動部を有し、回転体の回転を規制するレバーと、側面の一部が円弧状凸面である原動部とピンとを有し、ピンがレバーの溝に係合してレバーを回転させるとともに、ピンがレバーの溝から離脱した状態では原動部の円弧状凸面とレバーの従動部の円弧状凹面とが係合してレバーの回転を規制するゼネバ機構を構成する規制部材と、内周面の周方向にバネによりクリック駒が押し当てられる凹凸部を有し、回転体、クリック駒、レバー、および、規制部材を収容するハウジング部と、を具備する。
【0021】
また、本発明の回転型電気部品は、バネと、バネを収容する凹部を有する回転体と、回転体とともに回転し、バネにより回転体の外側方向に付勢されるクリック駒と、ピン、および、ピンを支持する平板状の従動部を有し、回転体の回転を規制するレバーと、側面の一部が円弧状凸面であって、溝が形成された原動部を有し、溝にレバーの平板状の従動部が係合してレバーを回転させるとともに、レバーの平板状の従動部が溝から離脱した状態では原動部の円弧状凸面とレバーの平板状の従動部の側面とが摺動してレバーの回転を規制する規制部材と、内周面の周方向にバネによりクリック駒が押し当てられる凹凸部を有し、回転体、クリック駒、レバー、および、規制部材を収容するハウジング部と、を具備する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、駆動部材とレバーとの係合部分が破損することを容易に防止することができる回転型電気部品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1に係る回転型電気部品の構成の一例を示す分解組み立て図
図2】本発明の実施の形態1に係る回転型電気部品の構成の一例を示す分解組み立て図
図3】規制部材のピンがレバーの溝から離脱する際のゼネバ機構の動作の一例を示す図
図4】規制部材のピンがレバーの溝に係合する際のゼネバ機構の動作の一例を示す図
図5】ピンが接するレバーの溝の壁面部分の法線方向Nとピンの移動方向Mとの間の関係を示す図
図6】本発明の実施の形態2に係る回転型電気部品の構成の一例を示す分解組み立て図
図7】本発明の実施の形態2に係る回転型電気部品の構成の一例を示す分解組み立て図
図8】回転型電気部品が備える回転機構の動作の一例を示す図
図9】特許文献1に示されたロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチの分解組み立て図
図10】特許文献1に示されたロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチの分解組み立て図
図11】特許文献1に示された別のロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチの分解組み立て図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1図2は、本発明の実施の形態1に係る回転型電気部品10の構成の一例を示す分解組み立て図である。回転型電気部品10は、例えば、図示しないノブを回した際にクリック感を生じさせるロータリースイッチなどの部品である。
【0026】
この回転型電気部品10は、ハウジング部11、規制部材12、レバー13、回転体14、クリック駒15、バネ16を備える。
【0027】
ハウジング部11は、規制部材12やレバー13、回転体14、クリック駒15、バネ16を収容する部材である。ハウジング部11は、クリック駒15がバネ16により押し当てられる凹凸部26と、レバー13が回転自在に取り付けられる支柱27を備える(図2を参照)。
【0028】
規制部材12は、レバー13の回転を規制する部材である。規制部材12は、図示しないシャフトと結合され、シャフトの回転に応じて回転する。このシャフトは、例えば、電源のオンオフ、ボリューム調整、チャネル変更などを行う際にユーザが回転させる図示しないノブと結合されている。規制部材12とレバー13とを組み合わせることにより、ゼネバ機構が構成される。
【0029】
具体的には、規制部材12は、ピン17、原動部18を備える。原動部18は、側面の一部が円弧状凸面18aとなっている。
【0030】
また、レバー13は、側面の一部が円弧状凹面20aであって、溝19が形成された従動部20、ピン21、支柱用穴部22を備える。支柱用穴部22にハウジング部11の支柱27が係合することにより、ハウジング部11にレバー13が回転自在に取り付けられる。
【0031】
そして、規制部材12が回転し、ピン17がレバー13の溝19に係合すると、支柱27を中心としてレバー13が回転する。一方、ピン17がレバー13の溝19から離脱した状態では、規制部材12の原動部18の円弧状凸面18aと、レバー13の従動部20の円弧状凹面20aとが係合して、支柱27を中心としたレバー13の回転を規制する。このようなゼネバ機構の動作については、後に図3図4を用いて詳しく説明する。
【0032】
回転体14には、溝23、開口部24、凹部25が形成されている。溝23には、レバー13のピン21が係合する。そして、レバー13が支柱27を中心として回転すると、回転軸14も回転体14の中心軸の周りに回転する。
【0033】
また、開口部24には、クリック駒15が配置される。そして、クリック駒15を回転体14の外側方向に付勢するように、バネ16が凹部25に配置される。これにより、ハウジング部11の凹凸部26には、クリック駒15が押し当てられ、回転体14が回転する際に、クリック感が得られるようになる。
【0034】
つぎに、回転型電気部品10が備えるゼネバ機構の動作について説明する。図3は、規制部材12のピン17がレバー13の溝19から離脱する際のゼネバ機構の動作の一例を示す図である。図3B図3Dは、図3Aの状態から規制部材12が反時計回りにそれぞれ10度、20度、30度だけ回転した状態を示す。
【0035】
図3A図3Dに示すように、規制部材12が反時計回りに回転する場合、規制部材12のピン17は、レバー13の溝19の右側の壁面を押し出す。これにより、レバー13は支柱27を中心として時計回りに回転する。
【0036】
そして、図3Dの状態の後、ピン17がレバー13の溝19から離脱すると、規制部材12が回転したとしても、レバー13は回転しなくなる。また、規制部材12の原動部18の円弧状凸面18aと、レバー13の従動部20の円弧状凹面20aとが係合して、レバー13の支柱27を中心とした回転が抑制される。
【0037】
すなわち、レバー13はこれ以上回転しないので、図1図2に示した回転体14もこれ以上回転することはなく、クリック駒15と凹凸部26により生じるクリック感の発生回数が1回に制限される。
【0038】
図4は、規制部材12のピン17がレバー13の溝19に係合する際のゼネバ機構の動作の一例を示す図である。図4B図4Dは、図4Aの状態から規制部材12が時計回りにそれぞれ10度、20度、30度だけ回転した状態を示す。なお、図4Dの状態は、図3Aの状態と同じである。
【0039】
図4A図4Dに示すように、規制部材12が時計回りに回転すると、ピン17がレバー13の溝19に係合する。その際、ピン17がレバー13の溝19の左側の壁面を押し出し、レバー13は支柱27を中心として反時計回りに回転する。これにより、回転体14が時計回りに回転し、クリック駒15と凹凸部26により1回だけクリック感が発生する。
【0040】
ここで、ピン17がレバー13の溝19に係合している状態において、ピン17が接するレバー13の溝19の壁面部分の法線方向が、ピン17の移動方向に対して斜めとなるように溝19を形成することとしてもよい。
【0041】
図5は、ピン17が接するレバー13の溝19の壁面部分の法線方向Nとピン17の移動方向Mとの間の関係を示す図である。例えば、図3Aに示したレバー13の回転開始時点において、ピン17が接するレバー13の溝19の壁面部分の法線方向が、ピン17の移動方向に対して180度の角度とならないように溝19の壁面を形成する。これにより、レバー13の回転を開始させるために必要な力を小さくすることができる。
【0042】
また、図3Aの状態だけでなく、図3B図3D図4A図4Cに示したようなレバー13の回転開始後の各状態においても、ピン17が接するレバー13の溝19の壁面部分の法線方向が、ピン17の移動方向に対して斜めとなるように溝19の壁面を形成してもよい。これにより、レバー13の回転を継続するために必要な力を小さくすることができる。
【0043】
さらに、レバー13を挟む溝19の壁面を、互いに平行な壁面とし、ピン17が、その平行な壁面の間に遊びを伴って収容されることとしてもよい。
【0044】
これにより、ピン17がレバー13の溝19から離脱する場合と、ピン17がレバー13の溝19に係合する場合とで、クリック感が得られるレバー13の回転時の位置を略等しくすることができる。そのため、ユーザが違和感なくノブを操作することができる。
【0045】
また、上記構成により、図5に示したような、レバー13の移動方向とレバー13が接する溝19の壁面部分の法線方向との間の関係を、ピン17がレバー13の溝19から離脱する場合と、ピン17がレバー13の溝19に係合する場合とで略等しくすることができる。
【0046】
その結果、ピン17がレバー13の溝19から離脱する際にレバー13を回転させるために要する力と、ピン17がレバー13の溝19に係合する際にレバー13を回転させるために要する力とが略等しくなる。これによっても、ユーザは違和感なくノブを操作することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態1によれば、ピン17がレバー13の溝19から離脱した状態において、原動部18の円弧状凸面18aとレバー13の従動部20の円弧状凹面20aとが係合して、レバー13の回転を規制するゼネバ機構を形成している。
【0048】
そのため、ピン17がレバー13の溝19から離脱後、その溝19に再び係合する際に、ピン17がレバー13の側面に衝突して、規制部材12とレバー13とを係合する係合部分であるピン17が折れてしまうような事態が生じないようにすることができる。
【0049】
(実施の形態2)
図6、7は、本発明の実施の形態2に係る回転型電気部品30の構成の一例を示す分解組み立て図である。この回転型電気部品30も、実施の形態1に係る回転型電気部品30と同様に、例えば、図示しないノブを回した際にクリック感を生じさせるロータリースイッチなどの部品である。
【0050】
回転型電気部品30は、ハウジング部31、規制部材32、レバー33、回転体34、クリック駒35、バネ36を備える。
【0051】
ハウジング部31は、規制部材32やレバー33、回転体34、クリック駒35、バネ36を収容する部材である。ハウジング部31は、クリック駒35がバネ36により押し当てられる凹凸部45と、レバー33が回転自在に取り付けられる支柱46を備える(図7を参照)。
【0052】
規制部材32は、レバー33の回転を規制する部材である。規制部材32は、図示しないシャフトと結合され、シャフトの回転に応じて回転する。このシャフトは、例えば、電源のオンオフ、ボリューム調整、チャネル変更などを行う際にユーザが回転させる図示しないノブと結合されている。
【0053】
具体的には、規制部材32は、側面の一部が円弧状凸面38aであって、溝37が形成された原動部38を備える。また、レバー33は、ピン39、ピン39を支持する平板状の従動部40、および、支柱用穴部41を備える。支柱用穴部41にハウジング部31の支柱46が係合することにより、ハウジング部31にレバー33が回転自在に取り付けられる。
【0054】
そして、規制部材32が回転し、規制部材32の溝37にレバー33の平板状の従動部40の先端部分が係合すると、支柱46を中心としてレバー33が回転する。一方、平板状の従動部40の先端部分が規制部材32の溝37から離脱した状態では、原動部38の円弧状凸面38aと平板状の従動部40の側面40aとが摺動して、レバー33の支柱46を中心とした回転を規制する。この回転機構の動作については、後に図8を用いて詳しく説明する。
【0055】
回転体34には、溝42、開口部43、凹部44が形成されている。溝42には、レバー33のピン39が係合する。そして、レバー33が支柱46を中心として回転すると、回転体34も回転体34の中心軸の周りに回転する。
【0056】
また、開口部43には、クリック駒35が配置される。そして、クリック駒35を回転体34の外側方向に付勢するように、バネ36が凹部44に配置される。これにより、ハウジング部31の凹凸部45には、クリック駒35が押し当てられ、回転体34が回転する際に、クリック感が得られるようになる。
【0057】
つぎに、回転型電気部品30が備える回転機構の動作について説明する。図8は、回転型電気部品30が備える回転機構の動作の一例を示す図である。図8では、規制部材32は、回転体34の向こう側に配置されるため、規制部材32を点線で示している。
【0058】
図8A図8Bは、レバー33の平板状の従動部40の先端部分が規制部材32の溝37から離脱する際の回転機構の動作を示している。また、図8C図8Dは、レバー33の平板状の従動部40の先端部分が規制部材32の溝37に係合する際の回転機構の動作を示している。
【0059】
図8A図8Bに示すように、規制部材32が反時計回りに回転する場合、レバー33の平板状の従動部40の先端部分は規制部材32の溝37に係合しているため、レバー33は支柱46を中心として時計回りに回転する。
【0060】
そして、図8Bに示すように、平板状の従動部40の先端部分がレバー33の溝37から離脱すると、回転体34が回転したとしても、レバー33は回転しなくなる。それだけでなく、規制部材32の原動部38の円弧状凸面38aと、レバー33の平板状の従動部40の側面40aとが摺動して、レバー33の支柱46を中心とした回転が抑制される。
【0061】
すなわち、レバー33はこれ以上回転しないので、回転体34もこれ以上回転することはなく、クリック駒35と凹凸部45によるクリックの回数を1回に制限することができる。
【0062】
また、図8C図8Dに示すように、規制部材32が時計回りに回転する場合、レバー33の平板状の従動部40の先端部分が規制部材32の溝37に係合する。その際、レバー33は支柱46を中心として反時計回りに回転する。これにより、回転体34も反時計回りに回転し、クリック駒35と凹凸部45により1回のクリックが発生する。
【0063】
このように、本実施の形態2によれば、規制部材32の溝37にレバー33の平板状の従動部40が係合してレバー33を回転させるとともに、レバー33の平板状の従動部40が溝37から離脱した状態では原動部38の円弧状凸面38aとレバー33の平板状の従動部40の側面40aとが摺動してレバー33の回転を規制することとした。
【0064】
すなわち、本実施の形態2によれば、規制部材32とレバー33とをピンを用いることなく、平板状の従動部40を用いて係合している。これにより、規制部材32とレバー33との係合部分が破損することを容易に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明にかかる回転型電気部品は、駆動部材とレバーとの係合部分が破損することを容易に防止することが求められる回転型電気部品に用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0066】
10,30 回転型電気部品
11,31 ハウジング部
12,32 規制部材
13,33,108 レバー
14,34 回転体
15,35 クリック駒
16,36 バネ
17,21,39 ピン
18,38 原動部
18a,38a 円弧状凸面
19,23,37,42 溝
20 従動部
20a 円弧状凹面
22,41 支柱用穴部
24,43 開口部
25,44 凹部
26,45 凹凸部
27,46 支柱
40 平板状の従動部
40a 側面
100 ロータリー・オン/オフ・コントロールスイッチ
101 ノブ
102 シャフト
103 ケーシング
104 駆動部材
105 キャリア部材
106 摩擦部材
107 順応性部材
109 プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11