(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体に固定されたシャフト(100)と、前記シャフト(100)の外周に回転可能に位置し、回転力を入力されるドライバ(200)及び回転力を出力させるハブシェル(300)と;
前記ハブシェル(300)の内部に設けられる太陽歯車、遊星歯車(412)、キャリア(413)、リングギア(414)からなる遊星歯車セット(410)と、一方向クラッチとして前記キャリア(413)と前記ハブシェル(300)との間に設けられる第1出力クラッチ(420)と、所定の位相角度の違いを持つように一体に構成された2つの一方向クラッチとして、前記ドライバ(200)と前記リングギア(414)との間及び前記リングギア(414)と前記ハブシェル(300)との間に設けられ、回転速度の違いに応じて前記ドライバ(200)の回転力を前記リングギア(414)に伝達したり、または前記リングギア(414)の回転力を前記ハブシェル(300)に伝達する第2出力クラッチ(430)を有し、前記ドライバ(200)に入力される回転力を変速させて変速させた回転力を前記ハブシェル(300)に出力させる変速部(400)と;
変速レバーの操作に応じて円周方向に回転し、前記シャフト(100)の外周面に形成されたポール座部に位置する多数のポールをコントロールして前記太陽歯車の回転を選択的に制限する円周方向ポール制御部材(510)と、変速レバーの操作に応じて軸方向に移動し、前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールをコントロールして前記ドライバ(200)の回転を前記キャリア(413)に選択的に伝達させる軸方向ポール制御部材(520)を有し、前記変速部(400)の変速を制御する制御部(500)と;
を備えることを特徴とするハブ内蔵型の多段変速機。
前記遊星歯車(412)は、1段遊星歯車、または、2段以上の多段遊星歯車で構成され、前記ポール及び前記太陽歯車は、前記遊星歯車の段数に応じて追加に構成され、「(2×遊星歯車の段数)+1」の変速段数で出力され得る
ことを特徴とする請求項2に記載のハブ内蔵型の多段変速機。
前記軸方向ポール制御部材(520)は、外周面が前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールと接触するように、軸方向に傾斜した表面部位(523、524)及び軸方向にそって継続した円形の表面部位とを備える略円形の外周部を有し、前記軸方向ポール制御部材(520)の一方向の移動時に前記軸方向ポール制御部材(520)が前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールから離隔され、前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールが立つことが許容され、軸方向のリターンスプリング(801)によって前記軸方向ポール制御部材(520)が逆方向に復帰する時に、前記傾斜した表面部位(523、524)によって前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールが倒され、外周面の円形の表面部位によって前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールを倒れた状態で維持する
ことを特徴とする請求項4に記載のハブ内蔵型の多段変速機。
前記軸方向のポール制御部材(520)には、多角形になるように放射状に配置されて前記外周面の円形の表面部位に至るポール収容溝部(521)が形成され、前記ポール収容溝部(521)が立てられた状態の前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールを収容し、前記ポールを前記外周面の円形の表面部位に案内することにより、回転する前記ドライバ(200)の内周面に設けられたポールを強制的に倒す、軸方向強制変速手段を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のハブ内蔵型の多段変速機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面に基づき、本発明の好適な実施例について詳述する。
【0017】
図1は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機を示す斜視図であり、
図2は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機を示す正面図である。
【0018】
そして、
図3は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例を示す正断面図として、軸方向ポール制御部材が左側に移動した状態を示す図であり、
図4は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例を示す正断面図として、軸方向ポール制御部材が右側に移動した状態を示す図である。
【0019】
また、
図5は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例をハブシェルの内部が表示されるように部分的に分離した分解斜視図であり、
図6は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、遊星歯車セットを分離した分解斜視図であり、
図7は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、ドライバを分離した分解斜視図である。
【0020】
そして、
図8は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、第2出力クラッチを分離した分解斜視図であり、
図9及び
図10は、それぞれ、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、制御部を示す斜視図として、
図9は、右側から見た斜視図であり、
図10は、左側から見た斜視図である。
【0021】
また、
図11は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、制御部を分離した分解斜視図であり、
図12は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、円周方向ポール制御部材の回転に応じたポールの制御を示す右側面図として、
図12の(a)は1段、
図12の(b)は2段、
図12の(c)は4段、そして
図12の(d)は5段をそれぞれ示す。
【0022】
そして、
図13は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、ドライバの内周面に設けられたポールが倒れた状態を示す図として、
図13の(a)は斜視図であり、
図13の(b)は右側面図である。
【0023】
同じように、
図14は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、ドライバの内周面に設けられたポールが立てられた状態を示す図として、
図14の(a)は斜視図であり、
図14の(b)は右側面図である。
【0024】
そして、
図15は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、第1出力クラッチ及び第2出力クラッチを示す図として、
図15の(a)は第1出力クラッチを示し、
図15の(b)及び(c)は第2出力クラッチをそれぞれ示す。
【0025】
また、
図16は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、制御部の要部を示す分解斜視図であり、
図17は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、円周方向強制変速機能を示す図として、
図17の(a)は2段を示し、
図17の(b)は変速レバーを1段に操作したが、第2ポール502が第1太陽歯車411aの内歯車に強く噛み合わされて、角度制御部材550と円周方向ポール制御部材510との間に位相角度の違いが発生した状態を示し、
図17の(c)は、円周方向の強制変速機能により、1段に変速された状態を示す図である。
【0026】
そして、
図18は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の一実施例において、軸方向強制変速機能を示す図として、
図18の(a)は軸方向ポール制御部材520が右側に移動して、第3ポール503が完全に立てられた状態を示し、
図18の(d)は軸方向ポール制御部材520が左側に完全に移動して、第3ポール503が完全に倒れた状態を示す。
【0027】
最後に、
図19及び
図20は、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機の異なる実施例を示す正断面図として、
図19は、1段の遊星歯車セットが適用された実施例を示し、
図20は、3段の遊星歯車セットが適用された実施例を示す。
【0028】
本発明のハブ内蔵型の多段変速機の特徴により、1段または2段以上の多段遊星歯車セット及び2重一方向クラッチを利用して、多段変速が可能なコンパクトなハブ内蔵型の多段変速機が提供され、慣性走行時にオーバーランニング機能を与えるとともに、駆動走行の状態であっても強制変速の機能を利用して、変速レバーの小さない操作力であっても速い変速が行われて、変速の正確性を大きく向上させることができる。
【0029】
本発明の実施例について、添付図を参照して、以下に詳述する。
【0030】
まず、本発明のハブ内蔵型の多段変速機は、車体に固定されたシャフト100と、前記シャフト100の外周に回転可能に位置する。回転力を入力されるドライバ200及び回転力を出力させるハブシェル300と;前記ハブシェル300の内部に設けられる太陽歯車、遊星歯車412、キャリア413、リングギア414からなる遊星歯車セット410と、一方向クラッチとして前記キャリア413と前記ハブシェル300との間に設けられる第1出力クラッチ420と、所定の位相角度の違いを持つように一体に構成された2つの一方向クラッチとして、前記ドライバ200と前記リングギア414との間及び前記リングギア414と前記ハブシェル300との間に設けられて、回転速度の違いに応じて前記ドライバ200の回転力を前記リングギア414に伝達したり、または前記リングギア414の回転力を前記ハブシェル300に伝達する第2出力クラッチ430を含み、前記ドライバ200から入力される回転力を変速させて前記ハブシェル300に変速された回転力を出力させる変速部400と;変速レバーの操作に応じて円周方向に回転しながら前記シャフト100の外周面に形成されたポール座部に位置する多数のポールをコントロールして前記太陽歯車の回転を選択的に制限する円周方向ポール制御部材510と、変速レバーの操作に応じて、軸方向に移動しながら前記ドライバ200の内周面に設けられたポールをコントロールして前記ドライバ200の回転を前記キャリア413に選択的に伝達させる軸方向ポール制御部材520を含む、前記変速部400の変速を制御する制御部500と;を備えている。
【0031】
本発明のハブ内蔵型の多段変速機は、
図1乃至
図4に示すように、大別して、シャフト100と、ドライバ200と、ハブシェル300と、変速部400と、そして制御部500とを備えている。
【0032】
まず、前記シャフト100は、変速が要求されるスクーター、自転車、人力車など(以下、「走行装置」という)の本体に、その両端が固定ナットなどの締結手段によって回転不可能に固定支持される。
【0033】
この際、前記シャフト100は、
図11のように、部位によって互いに異なる直径で形成され、特に、前記シャフト100の中央の外周面には多数のポール座部が所定の位相角度の違いを持って凹に形成されており、以下に説明するポールがそれぞれ前記ポール座部の内に位置する。
【0034】
このシャフト100は、本発明の骨格をなすもので、以下で説明する構成要素はすべて前記シャフト100の外周に回転可能に、あるいは回転不可能に設けられる。
【0035】
次に、ドライバ200は、走行装置から人力または電動力などの回転力を、本発明のハブ内蔵型の多段変速機が受けるためのものであり、で入力される構成で、前記シャフト100の一側に回転可能に設けられる。
【0036】
これらの図面の右側に示される前記ドライバ200の内周面に、前記シャフト100に結合したコーンナット902と軸受904が設けられて、前記ドライバ200は、前記シャフト100から独立的に回転可能に支持される。
【0037】
特に、前記ドライバ200には、スプロケット210が一体に回転するように固定されて、前記スプロケット210は、例えば、チェーンのような動力伝達手段を介して外部から駆動力を入力されて(受け取って)前記ドライバ200を一体に回転させる。
【0038】
そして、ハブシェル300は、前記シャフト100の最外郭に位置して、変速された従動力を走行装置の車輪などに出力させる構成である。
【0039】
このハブシェル300は、大略筒状になされたもので、その外周に車輪のスポークを連結できる多数の穴(ホール)301が形成され、その内部に各種構成要素を挿入して組み立てることができる。
【0040】
ここで、図面の左側に示されるように、前記ハブシェル300の内周面には、前記シャフト100に結合したコーンナット901と軸受903が設けられて、前記ハブシェル300は、前記シャフト100から独立的に回転可能に支持される。
【0041】
次に、変速部400は、前記ハブシェル300の内に位置して前記ドライバ200を介して入力される回転力を多段に変速した後、前記ハブシェル300を介して変速後の回転力を出力させる。変速部400は、遊星歯車セット410と、第1出力クラッチ420と、そして第2出力クラッチ430とを含む。
【0042】
本発明においては、前記遊星歯車セット410によって実質的な変速が行われ、そして、前記第1出力クラッチ420または第2出力クラッチ430を介して変速された回転力がハブシェル300に出力される。
【0043】
前記遊星歯車セット410は、太陽歯車、遊星歯車412、キャリア413、リングギア414で構成され、前記遊星歯車412は、前記キャリア413に回転可能に支持される。前記キャリア413の内側には、太陽歯車が位置し、太陽歯車は、前記遊星歯車412の内側に位置する部位に噛み合う。前記キャリア413の外側には、リングギア414が設けられ、リングギア414は、前記遊星歯車412の外側に位置する部分に噛み合う。
【0044】
これにより、回転力は、リングギア414またはキャリア413から入力され、遊星歯車412を経て、キャリア413またはリングギア414に出力され、加速または減速のような変速が行われる。
【0045】
例えば、回転力が、リングギア414から入力され、遊星歯車412を介して、キャリア413に出力させる場合には、減速が行われる。反対に、回転力が、前記キャリア413から入力され、 遊星歯車412を経て、リングギア414に出力させる場合には、加速が行われる。
【0046】
したがって、本発明は、伝達される回転力の経路と前記太陽歯車が回転されるのかに応じて、前記遊星歯車セット410で減速または加速が行われる。
【0047】
前記太陽歯車が回転されるか否かを決定するポールの制御については、以下の制御部500で詳しく説明する。
【0048】
次に、前記変速部400に設けられる第1出力クラッチ420は、前記遊星歯車セット410のキャリア413の外周面と前記ハブシェル300の内周面との間に設けられて減速または直結された回転力を出力させる役割をする。
【0049】
前記第1出力クラッチ420は、ただ一方向に回転力を伝達する一方向クラッチであり、
図6及び
図15の(a)に示すように、前記キャリア413の外周面に形成される一方向に傾斜した凹溝413bと、前記一方向に傾斜した凹溝413bの内に位置する多数のローラー421を回転可能に支持するケージ422で構成される。
【0050】
この第1出力クラッチ420内側に位置するキャリア413の回転速度が第1出力クラッチ420の外側に位置するハブシェル300の回転速度よりも速い場合、ローラー421が、前記キャリア413の外周面に形成された一方向に傾斜した凹溝413bと前記ハブシェル300の内周面との間に噛み合うことにより、第1クラッチ420の内側に位置するキャリア413の回転力を第1クラッチ420の外側に位置するハブシェル300に伝達できる。
【0051】
反対に、前記第1出力クラッチ420の内側に位置するキャリア413の回転速度が、第1出力クラッチ420の外側に位置するハブシェル300の回転速度よりも遅い場合、前記ローラー421が、単純に一方向に傾斜した凹溝413bの内に位置することにより、第1出力クラッチ420の内側に位置するキャリア413の回転力を、第1出力クラッチ420の外側に位置するハブシェル300に伝達できない。
【0052】
前記変速部400に設けられる第2出力クラッチ430は、一体に構成される、2つの一方向クラッチで構成され、
図8及び
図15の(b)、(c)に示すように、前記リングギア414が2つの一方向クラッチの間に位置するように前記ドライバ200の外周面と前記ハブシェル300の内周面との間に設けられ、単純に前記回転力を伝達する役割をしたり、または加速のための回転力を出力させる役割をする。
【0053】
即ち、前記ドライバ200の外周面と前記リングギア414の内周面との間及び前記リングギア414の外周面と前記ハブシェル300の内周面との間にそれぞれ位置する2つの一方向クラッチが互いに所定の位相角度の違いを持って一体に形成された第2出力クラッチ430は、回転速度の差に応じて、前記ドライバ200の回転力を前記リングギア414に伝達したり、前記リングギア414の回転力を前記ハブシェル300に伝達する。
【0054】
言い替えれば、前記第2出力クラッチ430が、前記ドライバ200の回転力を前記リングギア414に伝達するときには、2つの一方向クラッチの間に存在する所定の位相角度の違いにより前記ドライバ200の回転力の前記ハブシェル300への出力は行われず、逆に、前記第2出力クラッチ430が、前記リングギア414の回転力を前記ハブシェル300に伝達するときには、そのリングギア414の回転力が前記ドライバ200に伝達されない。
【0055】
これにより、減速または前記変速部400の直結を介した回転力のための最終回転力は、前記第1出力クラッチ420を介してキャリア413からハブシェル300に出力され、加速のための回転力は、前記第2出力クラッチ430を介してリングギア414からハブシェル300に出力される。
【0056】
最後に、前記変速部400の変速を制御する制御部500は、大別して、円周方向ポール制御部材510と軸方向ポール制御部材520を含む。
【0057】
前記円周方向ポール制御部材510は、変速レバーの操作に応じて、円周方向に回転して前記シャフト100の外周面に設けられた多数のポールをコントロールして前記太陽歯車の回転を選択的に制限する。
【0058】
そして、前記軸方向ポール制御部材520は、変速レバーの操作に応じて軸方向に移動して前記ドライバ200の内周面に設けられたポールをコントロールして前記ドライバ200の回転を前記キャリア413に選択的に直結させる。
【0059】
詳細に、上述したように、運転者の変速レバーの操作に応じて、円周方向ポール制御部材510は、シャフト100のポール座部に設けられたポールを制御し、軸方向ポール制御部材520は、ドライバ200の内周面に設けられたポールを制御することにより、回転力の伝達経路を変更して、遊星歯車セット410で変速を行った後、第1出力クラッチ420または第2出力クラッチ430を介して、より速く回転するように変速された回転力のみをハブシェル300に出力させる。
【0060】
特に、本発明において、前記第2出力クラッチ430は、
図8と
図15の(b)及び(c)に示すように、前記リングギア414の内周面及び外周面に所定の位相角度の違いを持って形成される一方向に傾斜した凹溝414a、414bと;前記一方向に傾斜した凹溝414a、414bの内に位置する多数のローラー431a、431bを回転可能に支持し、内周に位置するローラー431aと外周に位置するローラー431bが所定の位相角度の違いを維持するように一体に形成されたケージ433を備え;前記ドライバ200の外周面と前記リングギア414の内周面との間に内側の一方向クラッチを形成し、前記リングギア414の外周面と前記ハブシェル300の内周面との間に外側の一方向クラッチを形成する2重一方向クラッチで;構成されることが好ましい。
【0061】
この第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチ内側に位置するドライバ200の時計方向の回転速度が、内側の一方向クラッチの外側に位置するリングギア414の回転速度よりも速い場合、
図15の(c)に黒く示したように、前記ケージ433の内周に設けられたローラー431aが、前記ドライバ200の外周面と前記リングギア414の内周面に形成された一方向に傾斜した凹溝414aとの間に噛み合うことにより、第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチが、内側の一方向クラッチの内側に位置するドライバ200の回転力を、内側の一方向クラッチの外側に位置するリングギア414に伝達する。
【0062】
これにより、前記ケージ433も時計方向に回転する。このような場合、前記ケージ433は、その内周に設けられたローラー431aと、その外周に設けられたローラー431bとの間に所定の位相角度の違いを維持する。
【0063】
その結果、前記ケージ433の外周に設けられたローラー431bが前記リングギア414の外周に形成された一方向に傾斜した凹溝414bの内に位置することにより、第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチは、前記リングギア414の回転力を前記ハブシェル300に伝達させない。
【0064】
しかし、リングギア414の回転速度がドライバ200の時計方向の回転速度よりも速い場合、前記ケージ433の内周に設けられたローラー431aが前記リングギア414の内周面に形成された一方向に傾斜した凹溝414a内に位置することにより、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチは、前記ドライバ200に回転力を伝達できない。
【0065】
反対に、
図15の(b)に黒く示すように、前記ケージ433の外周に設けられたローラー431bが前記リングギア414の外周面に形成された一方向に傾斜した凹溝414bと前記ハブシェル300の内周面との間に噛み合うことにより、前記第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチは、外側の一方向クラッチの内側に位置するリングギア414の回転力を外側の一方向クラッチの外側に位置するハブシェル300に伝達する。
【0066】
即ち、歯車の選択的な噛合に応じて前記リングギア414の回転がドライバ200の回転よりも遅い減速条件である場合、
図15の(c)に示すように、前記第2出力クラッチ430内側の一方向クラッチは、ドライバ200の回転力をリングギア414に伝達するが、内側の一方向クラッチと外側の一方向クラッチの所定の位相角度の違いによって前記リングギア414の回転力が前記ハブシェル300に出力されることを遮断する。
【0067】
しかし、前記リングギア414の回転がドライバ200の回転よりも速い加速条件である場合、
図15の(b)に示すように、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチが前記リングギア414を、前記ドライバ200に関してオーバーラン(over running)させ、一方、前記第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチが前記リングギア414の回転を、前記ハブシェル300に出力される。
【0068】
また、慣性走行によって前記ハブシェル300の回転速度が前記リングギア414の回転速度よりも速い場合には、前記第2出力クラッチ430によって、ハブシェル300の回転力が前記リングギア414又はドライバ200には伝達されない。
【0069】
特に、本発明において、前記遊星歯車412は、1段の遊星歯車または2段以上の多段遊星歯車で構成され、前記ポール及び前記太陽歯車は、前記遊星歯車の段数に応じて追加に構成され、「(2×遊星歯車の段数)+1」の変速段数で;出力させることが可能である。
【0070】
即ち、前記遊星歯車セット410に設けられる遊星歯車412を
図19に示すように、ただ1つの直径で形成された1段の遊星歯車412で構成することもでき、
図3乃至
図18に示すように、大径部412aと小径部412bの2段の遊星歯車412で構成することもでき、
図20に示すように、3つの直径で形成された3段の遊星歯車412で構成することもできる。図示していないが、4段以上の遊星歯車を採用することも可能である。
【0071】
例えば、
図19に示すように、1段の遊星歯車412を採用する場合には、シャフト100のポール座部に2つのポールが設けられて、ただ1つの太陽歯車411が設けられ、減速、直結、そして加速の3段の変速比を具現することが可能となる。
【0072】
また、
図3乃至
図18に示すように、2段の遊星歯車412を採用すれば、シャフト100のポール座部には、4つのポールが設けられて、遊星歯車412の大径部412aと小径部412bに対応して2つの太陽歯車411a、411bを持つようにされて、減速2段、直結、加速2段の全5段の変速比を具現することができる。
【0073】
もちろん、
図20に示すように3段の遊星歯車412を採用し、それに応じてポールの数と太陽歯車411a、411b、411cの数をそれぞれ6個と3個に増加し、減速3段、直結、加速3段の全7段の変速比を具現することも可能となり、これと同じ様に、4段以上の多段遊星歯車を適用することも可能である。
【0074】
即ち、遊星歯車セット410に多段遊星歯車412を適用することにより、加速と減速について、それぞれ多段の異なる変速比を得ることが可能となる。
【0075】
以下では、説明の便宜のために大径部412aと小径部412bの2段の遊星歯車412が適用された遊星歯車セット410に基づいて、図面を参照して、変速部400と制御部500の詳細な構成及び作用について説明することにし、1段の遊星歯車や3段以上の遊星歯車が適用された実施例の説明は省略する。
【0076】
したがって、本発明の一実施例において、2段の遊星歯車412を採用したことにより、前記太陽歯車が前記遊星歯車412の大径部412aに噛み合う第1太陽歯車411aと、前記遊星歯車412の小径部412bに噛み合う第2太陽歯車411bで構成され、第1ポール501、第2ポール502、第3ポール503、第4ポール504、そして第5ポール505の5種類のポールが設けられる。
【0077】
前記第1太陽歯車411aの回転は、前記円周方向のポール制御部材510の制御に応じて、第2ポール502または第4ポール504によって選択的に制限され、前記第2太陽歯車411bの回転は、前記円周方向ポール制御部材510の制御に応じて、第1ポール501または第5ポール505によって選択的に制限される。
【0078】
そして、前記キャリア413は、軸方向ポール制御部材520の制御に応じて前記ドライバ200に設けられた第3ポール503によって前記ドライバ200に選択的に直結される。
【0079】
即ち、前記シャフト100には、第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、そして第5ポール505がポール座部101、102、104、105の内に位置し、これらのポールは、図示しないリングスプリングによって弾力的に立てられるように設けられる。
【0080】
このように設けられたポール501、502、504、505の外側には、
図11に示すように、その内周縁に溝部511、512、514、515が凹に形成された前記円周方向ポール制御部材510が位置し、前記円周方向ポール制御部材510の円周方向の回転角度に応じて、ポール501、502、504、505の外側に 当該溝部511、512、514、515が位置する場合、ポール501、502、504、505が立てられる。一方、溝部511、512、514、515がポール501、502、504、505の外側に位置していない場合、ポール501、502、504、505が倒れて、ポール座部101、102、104、105の内に位置する。
【0081】
前記溝部511、512、514、515は、
図12に示すように、円周方向ポール制御部材510を時計方向に回転させるときに、ポールを抑え付ける傾斜面と、円周方向ポール制御部材510反時計方向に回転させるときに、ポールを抑え付ける傾斜面と、ポールが溝部の傾斜面を通って溝部で位置するときに、ポールがリングスプリングによって自由に立てられるようにする余裕空間で構成される。
【0082】
そして、前記ポール501、502、504、505が立てられる場合、その外側に位置する太陽歯車411a、411bの内歯車にポール501、502、504、505が噛み合わされて、当該太陽歯車411a、411bの回転を制限することによって変速制御が行われる。
【0083】
前記円周方向ポール制御部材510によって制御されるそれぞれの第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、そして第5ポール505には、制御部位と係止部位が互いに異なる間隔を持って形成されている。
図11に示すように、制御部位は図中で第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、そして第5ポール505の右端近くに形成されており、この制御部位の外側に前記円周方向ポール制御部材510が位置する。
【0084】
そして、このような制御部位から図中の左側に向けて所定の間隔離隔されて係止部位が形成される。
【0085】
前記第2ポール502及び第4ポール504のそれぞれにおいて、制御部位と係止部位が隣接するが、前記第1ポール501及び第5ポール505においては、制御部位と係止部位が前記第2ポール502や第4ポール504に比べてやや間隔を持って離れて形成される。
【0086】
ここで、前記第2ポール502及び第4ポール504の係止部位の外側に前記第1太陽歯車411aが位置し、前記円周方向ポール制御部材510に隣接する。反対に、前記第1ポール501及び第5ポール505の係止部位の外側に前記第2太陽歯車411bが位置し、前記円周方向ポール制御部材510からやや離れて位置する。
【0087】
すなわち、前記第1ポール501と第5ポール505は、互いに同一形状を有して、互いに対向するように、前記シャフト100のポール座部101、105内に位置し、前記第2ポール502と第4ポール504は、互いに同一形状を有して、互いに対向するように、前記シャフト100のポール座部102、104内にそれぞれ位置する。
【0088】
これにより、それぞれのポール501、502、504、505に形成された制御部位の外側には、前記円周方向ポール制御部材510が位置し、それぞれのポール501、502、504、505に形成された係止部位の外側には、前記第1太陽歯車411aと第2太陽歯車411bがそれぞれ位置する。
【0089】
これにより、前記円周方向ポール制御部材510の回転角度に応じて弾力的に立てられていこうとするポール501、502、504、505の制御部位が溝部511、512、514、515に位置する場合、当該ポール501、502、504、505の係止部位が立てられて、太陽歯車411a、411bの内周面に形成された内歯車に噛み合わされて、当該太陽歯車411a、411bの回転を制限する。
【0090】
上述した第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、第5ポール505は、それぞれ1つずつシャフト100の外周面に位置するのに対し、2つの第3ポール503は、
図13及び
図14に示すように、前記ドライバ200の内周面に形成されたポール座部203の内に位置する。このような第3ポール503また、図示しないリングスプリングによって弾力的に立てられるように設けられる。
【0091】
これらの前記第3ポール503は、所定の長さに形成され、
図3及び
図4に示すように、図中において第3ポール503の右側の内周縁には、軸方向ポール制御部材520が選択的に位置し、図中において第3ポール503の左側の内周縁には、遊星歯車セット410のキャリア413が位置する。
【0092】
前記軸方向ポール制御部材520は、以後に説明する制御部500によって軸方向に移動可能な構成要素である。
図3のように、前記軸方向ポール制御部材520が左側に移動した状態では、前記第3ポール503が、
図13に示すように、前記軸方向ポール制御部材520によって倒れその状態を維持し、前記ドライバ200から前記キャリア413に直接回転力を伝達できない。
【0093】
反対に、
図4に示すように、前記軸方向ポール制御部材520が図中において右側に移動し第3ポールから離隔されると、前記第3ポール503が
図14に示すように内側に立てられ、第3ポールが前記キャリア413の外周縁に形成された歯車413aに噛み合うことにより、前記ドライバ200から前記キャリア413に直接回転力を伝達することができる。
【0094】
このような制御のためのユーザーの変速操作が前記円周方向ポール制御部材510及び前記軸方向ポール制御部材520にどのように伝達されるかについて以下で説明する。
【0095】
本発明において、前記制御部500は、
図16に示すように、変速レバーの操作に応じて引き出されるケーブルが連結されて前記シャフト100の外周面に回転可能に支持されるケーブル連結部材530と;前記ケーブル連結部材530の内周面に係合して一体に回転する中間連結部材532と;前記中間連結部材532の内周面に組み立てられて一体に回転し、復帰スプリング803によって一方向に弾性回転する貫通連結部材540と;前記貫通連結部材540に嵌合されて一体で回転するように制御され、一側にヘリカル傾斜面が形成された角度制御部材550と;前記角度制御部材550に連結されて前記角度制御部材550の回転に応じて前記シャフト100のポール座部に位置する多数のポールを制御する円周方向ポール制御部材510と;前記シャフト100に固定されたガイド部材560の軸方向ガイド溝561に案内されて軸方向に移動可能であり、前記角度制御部材550の回転に応じて前記ヘリカル傾斜面551に乗って(沿って)軸方向に移動し、前記ドライバ200の内周面に設けられたポールを制御する軸方向ポール制御部材520を含む。
【0096】
前記ケーブル連結部材530には、変速レバーの操作により、引かれる図示しないケーブルが連結されており、変速レバーの操作時、前記ケーブル連結部材530が、右側面から見たとき、反時計方向に回転する。
【0097】
そして、このケーブル連結部材530の内周面には、中間連結部材532が位置し、前記ケーブル連結部材530の内周面と前記中間連結部材532の外周面は、互いに噛み合わされているために、一体に回転する。
【0098】
これに加え、前記中間連結部材532の内周面には、貫通連結部材540が設けられている。
【0099】
即ち、前記貫通連結部材540の右端には、2つの突起542が形成され、その2つの突起542は、前記中間連結部材532の内周面に形成された結合溝532a内に嵌合され、前記中間連結部材532と前記貫通連結部材540は、一体に回転する。
【0100】
また、前記貫通連結部材540の左端には、また他の2つの突起541が形成され、その2つの突起542は、角度制御部材550の内周面に形成された結合溝552の内に嵌合され、前記貫通連結部材540と前記角度制御部材550は、前記シャフト100の外周で一体に回転する。
【0101】
図面で、前記角度制御部材550の右側にはヘリカル傾斜面551が所定の間隔を持って放射状に多数形成される。
【0102】
これと共に、前記貫通連結部材540の外周側には、前記シャフト100に固定されて回転不可能なガイド部材560が位置する。このガイド部材560には、軸方向に所定の深さで形成される、軸方向ガイド溝561が設けられる。
【0103】
これにより、前記角度制御部材550とガイド部材560との間に軸方向ポール制御部材520が位置する。
【0104】
前記軸方向ポール制御部材520は、その内側に形成されたリム部522を備え、リム部522は、前記ガイド部材560の軸方向ガイド溝561の内に位置する。これらのリム部522の末端は、傾斜に形成されて前記角度制御部材550のヘリカル傾斜面551と接触する。
【0105】
これにより、前記角度制御部材550が所定の角度以上で反時計方向に回転する場合、前記軸方向ポール制御部材520は、前記シャフト100に固定されたガイド部材560によって回転せず、前記ガイド部材560の軸方向ガイド溝561に沿って軸方向、すなわち図面の右側に移動する。
【0106】
そして、前記ガイド部材560と前記軸方向ポール制御部材520との間には、軸方向リターンスプリング801が設けられて、上述したように、リターンスプリング801が、右側に移動した軸方向ポール制御部材520を左側に復帰させる役割をする。
【0107】
特に、前記軸方向のポール制御部材520は、前記ドライバ200の内周面に設けられたポールと接触するように、軸方向に傾斜した表面部位523、524と、外周面の軸方向に沿って継続した円形の表面部位を備えた外周面を持ち、一方向の軸方向ポール制御部材520の移動時に、軸方向ポール制御部材520が前記ドライバ200の内周面に設けられたポールから離隔され、前記ドライバ200の内周面に設けられたポールが立つことを許容され、軸方向リターンスプリング801による軸方向ポール制御部材520のその逆方向への復帰時に、前記傾斜した表面部位523、524によって前記ドライバ200の内周面に設けられたポールが倒され、前記外周面の円形の表面部位によって前記ドライバ200の内周面に設けられたポールを倒れた状態で維持することが好ましい。
【0108】
即ち、前記の角度制御部材550の回転によってヘリカル傾斜面551に乗って前記軸方向ポール制御部材520が図面の右側に移動することにより、
図14のように、軸方向のポール制御部材520は、前記第3ポール503から離隔されて前記第3ポール503が立てられる。これにより、前記第3ポール503がキャリア413に形成された歯車413aに噛み合うことにより、ドライバ200の回転力をキャリア413に変速せずに直接伝達することができる。
【0109】
逆に、前記軸方向ポール制御部材520が軸方向リターンスプリング801によって図面の左側に移動するときには、立てられた前記第3ポール503が、前記傾斜した表面部位523、524に乗って移動し、軸方向ポール制御部材520の外周面の前記円形の表面部位に接触して、
図13のように倒れることにより、第3ポール503とキャリア413の噛合を解除させて、ドライバ200とキャリア413の直結が解除される。
【0110】
これに加え、
図16のように、前記ガイド部材560と前記貫通連結部材540との間には、リターンスプリング803が設けられて、前記リターンスプリング803の端は折り曲げられて前記ガイド部材560に形成された組立孔562に挿入され、リターンスプリング803の他端は、折り曲げられて前記貫通連結部材540に形成された組立孔543に挿入される。これにより、前記貫通連結部材540は、前記ガイド部材560に関して右側から見たとき時計方向に回転するように弾性的に支持される。
【0111】
これにより、変速レバーの加速操作時に、反時計方向に回転していた貫通連結部材540を前記リターンスプリング803が、減速操作時に、時計方向に弾性的に回転させる。
【0112】
これに加え、図中において、前記角度制御部材550の左側には、円周方向ポール制御部材510が連結されており、前記角度制御部材550の回転に応じて前記円周方向ポール制御部材510が回転し、第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、第5ポール505を選択的に立てることができる。
【0113】
前記円周方向ポール制御部材510の内周面には、溝部511、512、514、515が形成されて、前記円周方向ポール制御部材510の回転によって、第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、第5ポール505がそれぞれ順次に前記溝部511、512、514、515から抜け出て、それぞれのポール501、502、504、505が立てられ、前記軸方向ポール制御部材520の変位は、前記第4ポール504が、前記溝部514から抜け出る前に発生することが好ましい。
【0114】
即ち、前記円周方向ポール制御部材510の回転により、1段、2段の変速比で変速され、3段の変速比で前記軸方向ポール制御部材520が軸方向に移動し、以後に4段、5段の変速比で変速が行われる。
【0115】
しかし、負荷駆動の状態では、前記第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、第5ポール505が太陽歯車の内歯車に強く噛み合わされている場合、ポール501、502、504、505がシャフト100のポール座部101、102、104、105内に倒れないか、または前記第3ポール503がキャリア413の歯車413aに強く噛み合わされている場合、第3ポール503がドライバ200の内周面に形成されたポール座部203内に倒れず、変速が円滑に行われない現象が発生する。
【0116】
これに備えて、本発明によるハブ内蔵型の多段変速機には、さらに、前記第1ポール501、第2ポール502、第4ポール504、第5ポール505によって強制的に変速するための円周方向強制変速手段と、前記第3ポール503によって強制的に変速するための軸方向強制変速手段が備えられる。
【0117】
- 円周方向強制変速手段
以下では、2段から1段への減速操作時を例にして説明する。この減速操作は、5段から4段へ、4段から3段へのすべての減速操作に同じく適用でき、重複された説明は省略する。
【0118】
本発明において、ハブ内蔵型の多段変速機の制御部500は、円周方向強制変速手段を含むことが好ましい。
図17に示されるように、円周方向強制変速手段は、前記円周方向ポール制御部材510の外周面に多数形成された回転制限突起516及び一方向傾斜凹溝517と;前記角度制御部材550の外周縁に形成されて所定の遊びを持って前記回転制限突起516を収容する回転制限凹部553と;前記角度制御部材550に半径方向に移動できる態様で支持される多数のローラー554と;前記円周方向ポール制御部材510と前記角度制御部材550との間に連結され、前記円周方向ポール制御部材510を制御部500に関して一方向に回転するように弾性的に支持する円周方向リターンスプリング802を含む。ハブ内蔵型の多段変速機は、好ましくは、前記角度制御部材550と前記円周方向ポール制御部材510との間に位相角度の違いが発生することによって、前記ローラー554がその内周に位置して回転する前記円周方向ポール制御部材510の外周面に形成された一方向傾斜凹溝517から外側に強制的に移動され、前記キャリア413の内周面に接触する強制変速クラッチを形成し、前記円周方向ポール制御部材510を強制的に回転させて前記シャフト100のポール座部に位置する多数のポールのいずれか一つを強制的に倒す円周方向強制変速機能を有する。
【0119】
即ち、前記円周方向ポール制御部材510の外周縁に形成された回転制限突起516は、その幅が前記角度制御部材550の回転制限凹部553よりもやや狭く形成されており、前記円周方向ポール制御部材510と前記角度制御部材550との間には、所定の位相差が発生することができる。
【0120】
前記円周方向ポール制御部材510に形成された組立孔518と前記角度制御部材550に形成された組立孔555とには、
図16のように、それぞれ円周方向リターンスプリング802の両端が直角に折り曲げられて挿入される。
【0121】
これにより、前記円周方向ポール制御部材510は、前記角度制御部材550について、常に時計方向に回転するように弾性的に支持され、前記回転制限突起516は、前記回転制限凹部553の内に位置して、別途の外力が作用していない限り、常に時計方向に回転して、
図17の(a)のように接触した状態を維持する。
【0122】
このような状態で、低速変速のために変速レバーを操作する場合、前記角度制御部材550は、上述したリターンスプリング803によって時計方向に回転する。前記角度制御部材550が時計方向に回転することにより、前記円周方向リターンスプリング802によって前記円周方向ポール制御部材510も時計方向に回転して減速変速が行われる。
【0123】
しかし、第2ポール502が第1太陽歯車411aの内歯車に強く噛み合わされている場合、
図17の(b)のように前記円周方向のポール制御部材510が前記角度制御部材550と共に回転できず、所定の位相角度の違いが発生し得る。この場合、前記ローラー554が前記一方向の傾斜凹溝517に接触して外側に突出され、ローラー554が、その外側で回転するキャリア413の内周面に接触する。
【0124】
これにより、前記ローラー554と一方向傾斜凹溝517は、強制変速クラッチを構成し、前記キャリア413の回転力が前記円周方向ポール制御部材510に伝達されて、前記円周方向ポール制御部材510を、
図17の(c)のように、時計方向に強く回転させる。
【0125】
その結果、前記円周方向ポール制御部材510が時計方向に回転して、第1太陽歯車411aの内歯車に強く噛み合わされていた第2ポール502を強制的に倒し、円周方向強制変速機能を持つことになる。
【0126】
- 軸方向強制変速手段
軸方向強制変速機能は、本実施例において、3段から2段への変速時にのみ発生する。
【0127】
本発明によるハブ内蔵型の多段変速機では、前記軸方向ポール制御部材520には、多角形になるように放射状に配置されて前記外周面の円形の表面部位に至るポール収容溝部521が形成され、ポール収容溝部521が立てられた状態の前記ドライバ200の内周面に設けられたポールを収容して前記外周面の円形の表面部位に案内し、回転する前記ドライバ200の内周面に設けられたポールを強制的に倒す、軸方向強制変速手段を;備えることが最も好ましい。
【0128】
即ち、前記軸方向ポール制御部材520には、基本的に前記第3ポール503を倒すための傾斜した表面部位523、524が形成されており、軸方向ポール制御部材520が角度制御部材550のヘリカル傾斜面551に乗って移動したが、軸方向のリターンスプリング801によって復帰するとき、立てられている第3ポール503を倒す。
【0129】
しかし、前記第3ポール503がキャリア413の歯車413aに強く噛み合わされている場合には、軸方向リターンスプリング801の弾性力だけでは前記軸方向ポール制御部材520が復帰できない場合が発生する。
【0130】
これに備えて、前記軸方向ポール制御部材520には、立てられた第3ポール503を収容して前記外周面の円形の表面部位で案内するためのポール収容溝部521が追加に設けられる。
【0131】
前記ポール収容溝部521は、
図13及び
図14に示すように円形の外周面に概ね内接する多角形で構成される。
【0132】
これにより、前記軸方向ポール制御部材520の外側に立てられた状態で回転する前記第3ポール503が、
図18の(a)のように、前記ポール収容溝部521の内部に入る。そして、以後、前記第3ポール503が
図18の(b)及び(c)のように回転すると、次第に前記第3ポール503は、前記ポール収容溝部521の角(端)に向かって移動し、次第に倒れる。
【0133】
以後、前記第3ポール503が、前記ポール収容溝部521の角(端)に近寄ると、第3ポール503が前記ポール収容溝部521から抜け出て、互いに隣り合う前記ポール収容溝部521の間に形成された外周面の円形の表面部位に案内されて、
図18の(d)のように、第3ポールが完全に倒れる状態となる。
【0134】
したがって、前記ポール収容溝部521は、立てられた第3ポール503とキャリア413が強く噛み合わされている場合に、第3ポール503がまず挿入され、第3ポール503とドライバ200が一体に回転されて、第3ポール503とキャリア413の噛合を強制的に解除し、軸方向ポール制御部材520の左側への移動が容易に行われることができる。
【0135】
前記軸方向のポール制御部材520に形成されたポール収容溝部521には、第3ポール503をポール収容溝部521から容易に押し出すことができように傾斜面を多数個形成することが好ましく、本発明においては、8つのポール収容溝部521が形成されたことを例示した。
【0136】
上述した円周方向ポール制御部材510と軸方向ポール制御部材520の制御角度に応じて前記第1ポール501、第2ポール502、第3ポール503、第4ポール504、第5ポール505の制御状態は、
図12に示されており、これを図表に整理すれば次の通りである。
【0137】
下の表1には、2段の遊星歯車セット410が適用された実施例において、それぞれポールが動作するかどうかに応じ、第1出力クラッチ420と第2出力クラッチ430が回転力の伝達を行うかどうかがまた、表示されている。
【0138】
【表1】
ここで、Fは自由状態、O.R.はオーバーランニング状態、OはOn状態、XはOff状態、そしてOXはOnまたはOffの状態を意味する。
【0139】
これに加え、前記ハブシェル300と前記ドライバ200は、その間に位置する軸受905によって相互に独立的に回転可能に設けられ、ダストカバー310によって異物質が侵入することを防止する。
【0140】
上述した軸受903、904、905は、ボールベアリングを例示したが、すべり軸受などその種類に限定されない。
【0141】
以下、図面を参照して、本発明のハブ内蔵型の多段変速機において、2段の遊星歯車セット410が適用された実施例の作用を、最低速の1段から低速の2段、変速がない3段、高速の4段、そして最高速の5段に至るまで区分して説明すると、次の通りである。
【0142】
- 1段
1段は変速レバーの操作がない初期状態で、第1ポール501だけが立てられた状態で、第2太陽歯車411bが拘束された状態であり、軸方向ポール制御部材520は、図面の左側に移動した位置にある。
【0143】
このような状態で、スプロケット210を介して駆動力が伝達されると、ドライバ200が回転する。
【0144】
前記ドライバ200に設けられた第3ポール503は、前記軸方向ポール制御部材520の外周面に触れて回転するだけで、前記ドライバ200の回転力を遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達できない。
【0145】
これにより、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチを介して前記ドライバ200の回転力が遊星歯車セット410のリングギア414に伝達され、外側の一方向クラッチは、所定の位相角度の違いによって回転力を伝達できない。以後、遊星歯車412の小径部412bが固定された第2太陽歯車411bと噛み合わされ、前記遊星歯車412が回転する。
【0146】
前記キャリア413は、減速して最低速で回転し、これは第1出力クラッチ420を介してハブシェル300の内周面に伝達されて出力が行われる。
【0147】
整理すると、1段では、第1ポール501が第2太陽歯車411bを拘束することにより、スプロケット210→ドライバ200→第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチ→リングギア414→遊星歯車412の小径部412b→キャリア413→第1出力クラッチ420→ハブシェル300を介して回転力が伝達されて最低速への減速が行われる。
【0148】
- 2段
2段は、変速レバーの操作によって円周方向ポール制御部材510が一定角度を回転した状態で、第2ポール502が立てられた状態で、第1太陽歯車411aが拘束された状態であり、軸方向のポール制御部材520は、図面の左側に移動した位置にそのまま位置している。
【0149】
このような状態で、スプロケット210を介して駆動力が伝達されると、ドライバ200が回転する。
【0150】
このときにも、前記ドライバ200に設けられた第3ポール503は、前記軸方向ポール制御部材520の外周面に触れて回転するだけで、前記ドライバ200の回転力を遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達できない。
【0151】
これにより、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチを介して前記ドライバ200の回転力が遊星歯車セット410のリングギア414に伝達され、遊星歯車412の大径部412aが固定された第1太陽歯車411aに噛み合わされて前記遊星歯車412が回転する。
【0152】
前記キャリア413は減速して、低速で回転し、これは第1出力クラッチ420を介してハブシェル300の内周面に伝達されて出力が行われる。
【0153】
整理すると、2段では、第2ポール502が第1太陽歯車411aを拘束することにより、スプロケット210→ドライバ200→第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチ→リングギア414→遊星歯車412の大径部412a→キャリア413→第1出力クラッチ420→ハブシェル300を介して回転力が伝達されて低速へ減速が行われる。
【0154】
- 3段
3段は、変速レバーの操作によって円周方向ポール制御部材510が一定の角度でより回転した状態で、第1太陽歯車411a及び第2太陽歯車411bの両方が拘束されていない状態であり、軸方向ポール制御部材520が、
図4のように図面の右側に移動して、第3ポール503が立てられた状態にある。
【0155】
このような状態で、スプロケット210を介して駆動力が伝達されると、ドライバ200が回転する。
【0156】
このとき、前記ドライバ200に設けられた第3ポール503は、図面の右側に移動した前記軸方向のポール制御部材520から離隔されて、前記第3ポール503が立てられる。これにより、前記ドライバ200の回転力を遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達する。
【0157】
これにより、前記第2出力クラッチ430は、別途の回転力を伝達せず、前記キャリア413は、前記ドライバ200に入力される回転力を変化させずに直接受けて回転する。これは第1出力クラッチ420を介してハブシェル300の内周面に伝達されて出力が行われる。
【0158】
整理すると、3段では、第1太陽歯車411a及び第2太陽歯車411bの両方が拘束されず、ただ第3ポール503により、ドライバ200の回転力が遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達されることにより、スプロケット210→ドライバ200→ 第3ポール503→キャリア413→第1出力クラッチ420→ハブシェル300を介して回転力が伝達されて変速なく出力が行われる。
【0159】
- 4段
4段は変速レバーの操作によって、円周方向のポール制御部材510が一定の角度でより回転した状態で、第4ポール504が立てられて第1太陽歯車411aが拘束された状態であり、軸方向ポール制御部材520が図面の右側に移動した状態を維持して、第3ポール503も立てられた状態でそのままある。
【0160】
このような状態で、スプロケット210を介して駆動力が伝達されると、ドライバ200が回転する。
【0161】
このとき、前記ドライバ200に設けられた第3ポール503は、図面の右側に移動した前記軸方向ポール制御部材520から離隔されて前記第3ポール503が立てられた状態を維持する。これにより、前記ドライバ200の回転力を遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達する。
【0162】
回転力は、前記キャリア413に変速せずに直接伝達され、遊星歯車412の大径部412aが固定された第1太陽歯車411aと噛み合わされて、前記遊星歯車412が高速で回転する。
【0163】
この遊星歯車412の回転は、リングギア414に伝達され、前記第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチを介してハブシェル300の内周面に伝達されて、出力が行われる。
【0164】
整理すると、4段では、第1太陽歯車411aが拘束され、第3ポール503によってドライバ200の回転力が遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達されることにより、スプロケット210→ドライバ200→第3ポール503→キャリア413→遊星歯車412の大径部412a→リングギア414→第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチ→ハブシェル300を介して回転力が伝達されて高速に変速されて出力が行われる。
【0165】
このとき、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチは、オーバーランニングによってドライバ200の回転力をリングギア414に伝達できない。
【0166】
- 5段
5段は変速レバーの操作によって円周方向ポール制御部材510が一定の角度でより回転した状態で、第5ポール505が立てられて第2太陽歯車411bが拘束された状態であり、軸方向ポール制御部材520が図面の右側に移動した状態を維持して、第3ポール503も立てられた状態にある。
【0167】
このような状態で、スプロケット210を介して駆動力が伝達されると、ドライバ200が回転する。
【0168】
このとき、前記ドライバ200に設けられた第3ポール503は、図面の右側に移動した前記軸方向ポール制御部材520から離隔された状態をそのまま維持して、前記第3ポール503が立てられた状態を維持することにより、前記ドライバ200の回転力を遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達する。
【0169】
回転力は、前記キャリア413に変速せずに直接伝達され、遊星歯車412の小径部412bが固定された第2太陽歯車411bと噛み合わされて前記遊星歯車412が最速で回転する。
【0170】
この遊星歯車412の回転は、リングギア414に伝達され、前記第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチを介してハブシェル300の内周面に伝達されて出力が行われる。
【0171】
整理すると、5段では、第2太陽歯車411bが拘束され、第3ポール503によってドライバ200の回転力が遊星歯車セット410のキャリア413に直接伝達されることにより、スプロケット210→ドライバ200→第3ポール503→キャリア413→遊星歯車412の小径部412b→リングギア414→第2出力クラッチ430の外側の一方向クラッチ→ハブシェル300を介して回転力が伝達されて最高速に加速されて出力が行われる。
【0172】
このときにも、前記第2出力クラッチ430の内側の一方向クラッチは、オーバーランニングによってドライバ200の回転力をリングギア414に伝達できない。
【0173】
したがって、本発明のハブ内蔵型の多段変速機は、1段または2段以上の多段遊星歯車セット及び2重一方向クラッチを利用して、ハブ内蔵型の多段変速機をコンパクトに具現することができ、製品の商品性を極大化させ、変速レバーの操作に応じて、円周方向ポール制御部材510と軸方向ポール制御部材520を制御して回転力の伝達経路を変更させることで、多様な変速比を得ることができる最大の利点を持っている発明である。
【0174】
また、円周方向及び軸方向の強制変速機能により、減速操作時、ポールを強制的に倒すことができるので変速がスムーズに行われ、変速の正確度を大きく向上させることができる発明である。
【0175】
以上、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、本発明の範囲は、これらの実施例、図面に限定されるものではない。