(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977902
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】たばこシートを組み合わせるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A24C 5/00 20060101AFI20160817BHJP
B65H 19/18 20060101ALI20160817BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
A24C5/00
B65H19/18
A24B3/14
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-563025(P2015-563025)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(86)【国際出願番号】EP2015060533
(87)【国際公開番号】WO2015173275
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】14168262.5
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドラ ピエール−イヴ
(72)【発明者】
【氏名】メトランゴロ アレッサンドロ
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5018535(US,A)
【文献】
独国実用新案第8434172(DE,U1)
【文献】
米国特許第4371418(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/00
A24B 3/14
B65H 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこシートを組み合わせるための装置であって、前記装置が、
−たばこシートの第一のボビンを運ぶ第一のシャフトおよびたばこシートの第二のボビンを運ぶ第二のシャフトと、
−前記第一のボビンからのたばこシートの末端部分を前記第二のボビンからのたばこシートの先端部分に組み合わせるためのスプライシングユニットを備え、ここで前記スプライシングユニットが、
−前記第一のボビンおよび前記第二のボビンからの前記たばこシートに補完的な切り込みを提供するためなどの、前記たばこシートを切断するための切断装置と、
−少なくとも一つの前記たばこシートに水をかけるための分配装置と、
−前記たばこシートに力をかけてそれによって継ぎ合わされたたばこシートを製造するための組み合わせ装置とを含む、装置。
【請求項2】
前記切断装置が、前記スプライシングユニットの支持面に対してある切断角で配列されている切断端を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切断角が約20度〜約50度の範囲であり、好ましくは約25度〜約40度の範囲、例えば30度である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記組み合わせ装置が、約200ニュートン以上、好ましくは約250ニュートン以上の圧力をたばこシートにかける能力を持つ、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第一および前記第二のシャフトを含むボビンホルダーをさらに備え、前記ボビンホルダー上の前記第一および前記第二のシャフトが、前記第一および前記第二のシャフトの位置が相互に互換性があるように移動可能である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記継ぎ合わされたたばこシートを乾燥させるための乾燥ユニットをさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記スプライシングユニットの下流に配列されたバファーユニットをさらに備え、前記バファーユニットはある量の継ぎ合わされたたばこシートを貯蔵するためのものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
たばこシートを組み合わせるための方法であって、前記方法が、
−第一のたばこシートを提供し第二のたばこシートを提供する工程と、
−前記第一および前記第二のたばこシートに補完的な切り込みを提供するためなど、前記第一および前記第二のたばこシートを整列し切断する工程と、
−少なくとも前記第一または前記第二のたばこシートに水をかける工程と、
−前記補完的な切り込みが相対するように、前記第一および前記第二のたばこシートの前記補完的な切り込みを整列する工程と、
−切断した領域内の前記第一および前記第二のたばこシートに圧力をかけて、それによって、前記第一および前記第二のたばこシートを組み合わせて、継ぎ合わされたたばこシートを形成する工程とを含む、方法。
【請求項9】
前記第一および前記第二のたばこシートを切断する工程が、前記たばこシートを約20度〜約50度の範囲の切断角で、好ましくは約25度〜約40度の範囲、例えば30度の切断角で切断する工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
圧力をかける工程を実施する前に、前記第一および前記第二のたばこシートを4ミリメートル以上、好ましくは6ミリメートル以上、例えば8ミリメートル重ね合わせる工程をさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
水をかける工程が、下側に横たわるたばこシートのみに、好ましくは前記下側に横たわるたばこシートの切断面のみに水をかける工程を含む、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
圧力をかける工程を実施する前に、前記第一のたばこシートの切断した廃物の末端部分を除去し、前記第二のたばこシートの切断した廃物の先端部分を除去する工程をさらに含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法であって、さらに、
−前記第一および前記第二のたばこシートを組み合わせた後で、前記第二のたばこシートを伴う第二のボビンの位置を前記第一のたばこシートを伴う第一のボビンの位置に変える工程およびその逆の工程と、
−前記第一のボビンをさらなるボビンで置き換える工程と、−第二のたばこシートと組み合わせるために前記さらなるボビンからたばこシートを供給する工程とを含む、方法。
【請求項14】
前記継ぎ合わされたたばこシートを圧着するために前記組み合わされたたばこシートを圧着装置に導入する工程をさらに含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
喫煙物品の製造における請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の使用、および請求項8〜14のいずれか1項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこシートを組み合わせるための、特に喫煙物品の製造に使用するための装置および方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するのではなくむしろ蒸発する、熱源を備えた喫煙物品では、たばこプラグはたばこシートから製造されうる。このシート材料は重く、ボビンのサイズには制限がある。こうして、高速の製造では新しいボビンを数分毎にまたはそれよりも頻繁に装填しなければならない。これは時間のかかるプロセスであり、製造速度が低下することがある。さらに、たばこシート加工ライン内の一部の加工工程は、2つの後続のたばこシートの従来型の結合方法を許容していない。例えば、接着剤などの結合材料が最終製品の味覚に影響を及ぼしうる一方、テープ貼りやステープル止めは効果的でなかったり、またはシートにさらなる材料を追加したりすることになるが、多くの場合その程度は、例えば結合したシート材料の送り込みや圧着が妨げられるかまたは不可能になる程度である。
【0003】
よって、たばこシートの信頼できる結合のための装置および方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、たばこシートを組み合わせるための装置が提供されている。装置は、たばこシートの第一のボビンを運ぶ第一のシャフトおよびたばこシートの第二のボビンを運ぶ第二のシャフトを備える。装置は第一のボビンからのたばこシートの末端部分を第二のボビンからのたばこシートの先端部分に組み合わせるためのスプライシングユニットをさらに備える。スプライシングユニットは、第一のボビンおよび第二のボビンからのたばこシートに補完的な切り込みを設けるように、たばこシートを切断するための切断装置を備える。スプライシングユニットは、少なくとも一つのたばこシートに水をかけるための分配装置を備え、またさらにたばこシートに力をかけてそれによって継ぎ合わされたたばこシートを製造するための組み合わせ装置を備える。
【0005】
2つのシャフトを提供することで、たばこシートを伴った第二のボビンを、たばこシートを伴った第一のボビンが末端に来る前に供給しうる。さらに、たばこシートが加工ライン、例えば、圧着ユニットまたはロッドを形成する装置に連続的に供給される間に、たばこシートを相互にしっかりと接続させうる。これは、ボビンの取り替えが多頻度で行われる必要があり加工ラインを減速させるべきではない製造が高速で行われる加工ライン、例えばたばこロッド圧着ラインで特に都合がよい。
【0006】
たばこシートの切断により、前のたばこシートの画定された末端部分および後続のたばこシートの画定された先端部分が提供され、これらが組み合わされて継続的な連続したたばこシートが提供されることになる。こうして、たばこシートが組み合わされる部分の横方向の拡張部も画定され、またサイズを制限することができ、これにより重なり合う領域が除去される場合には廃物を減少させうる。
【0007】
たばこシートに対する切断は後続の方法で行うことができる。切断は両方のたばこシートについて同時に行うことが好ましい。切断プロセスのために、シートは相互に隣接して配列してもよく相互に重ねてもよい。たばこシートは、たばこシートの長軸方向中心線に沿って中央を揃え相互に重ねて整列させることが好ましい。切断によって、そこで2つのたばこシートが相互に接触することもまた相互に結合することもできる、明確に画定された接触領域を提供する補完的な切り込みが提供される。これによってさらに、たばこシート間の良好な接続がサポートされる。切断は、ある角度で行うこともできる。これにより、たばこシートの切断面を広げることができ、こうしてさらにたばこシートの接続がサポートされる。さらに、傾斜した切り込みにより、組み合わされたシートのたばこシートの重なり合った領域に全くあるいは実質的に全く厚さを加えることなく、たばこシートを相互に重ね合わせうる。2つのたばこシートは切断面でのみ重なり合わせることが好ましい。
【0008】
少なくとも一つのたばこシートに水を加えることで、たばこシートの材料が湿り軟らかくなる。たばこシートの材料はそれ自体である一定の粘着性を持ちうるが、そうした粘着性は水を加えることで促進されうる。水は切断面にのみ、できれば1つのたばこシートのみに加えられることが好ましい。これにより、接続に悪影響を与える可能性のある余分な水を使うことなく、加えられた水はシートの接触領域でのたばこシートの組み合わせプロセスをサポートしうる。
【0009】
たばこシートの少なくとも重なった領域にその後かけられる力が、2つのたばこシート間の強力な接続を提供する。組み合わせ装置は、シートが静止した状態で、またはシートがさらに移動方向に沿って移動する間に、組み合わされたたばこシートに作用しうる。組み合わせ装置は、例えば静止したプレス機、または例えば加圧成形ローラーを備えうる。かけられる力の量は良好な接続が提供されるように適応されるが、重なった領域でたばこシートを薄くしない、または実質的に薄くしないことが好ましい。
【0010】
本発明による装置では、味覚に影響を与える可能性のある添加物または追加的な材料なしに、強力な接続が提供されうる。さらに、たばこシート加工ラインでのスプライシングプロセスの後に続くプロセスに全く影響を与えないか、または影響が低減される接続を提供しうる。こうした後続のプロセスは、例えば後続の圧着プロセスまたはロッド形成プロセスとしうる。本発明による装置では、加工ラインは高速で連続運転することができ、継続的な一定の品質で製品が製造される。さらに、生じる可能性のある廃物材料は最小限に保たれうる。
【0011】
キャストリーフたばこは、たばこ粒子、繊維粒子、エアロゾル形成体、風味、および結合剤を含むスラリーから形成される再構成たばこの一形態である。たばこ粒子は、望ましいシートの厚さおよびキャスティングギャップに応じて、微粒子サイズが約30〜80ミクロンまたは約100〜250ミクロン程度であることが好ましいたばこダストの形態としうる。繊維粒子は、たばこの幹材料、茎またはその他のたばこ植物材料、およびその他のセルロース系繊維(リグニン含有量の低い木材繊維など)を含みうる。繊維粒子は低い含有率(例えば、およそ2〜15%の率)に対してキャストリーフに十分な引張強さをもたらす要求に応じて選択しうる。別の方法としてまたは追加的に、繊維(植物繊維など)を上述の繊維とともにまたは代替として使用しうるが、これには大麻および竹などが含まれる。
【0012】
キャストリーフたばこを形成するスラリーに、エアロゾル形成体を追加しうる。機能上、エアロゾル形成体は、キャストリーフたばこがたばこ製品内で使用されることが意図される温度範囲内で気化する能力を備えているべきであり、かつエアロゾル形成体がその気化温度よりも高く加熱された時にエアロゾル中のニコチンおよび/または風味の運搬を促進する。エアロゾル形成体は、室温温度かその付近の温度で化学的に安定しキャストリーフたばこ内で本質的に静止した状態を保つがそれより高い温度、例えば40〜450℃で気化することができるその能力に基づき選択されることが好ましい。
【0013】
エアロゾルという用語は本明細書で使用される時、固体粒子または液体粒子および気相を含むコロイドを意味する。エアロゾルは、固体粒子および気相から構成される固体エアロゾルでもよく、液体粒子および気相を含む液体エアロゾルでもよい。エアロゾルは、気相中に固体粒子および液体粒子の両方を含みうる。ガスおよび蒸気の両方は本明細書で使用される時、ガスであると考えられる。
【0014】
エアロゾル形成体は極性があり、かつキャストリーフたばこ内で望ましい範囲内に水分を保つのに役立つことができる湿潤剤としての機能を持つことが好ましい。
【0015】
エアロゾル形成体は、ポリオール、グリコールエーテル、ポリオールエステル、エステル、および脂肪酸から選択することができ、またグリセリン、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレン炭素塩、ラウリン酸エチル、トリアセチン、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、ジエチルスベリン酸塩、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ベンジルフェニル酢酸塩、エチルバニリン酸塩、トリブチリン、ラウリル酢酸塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびプロピレングリコールといった化合物のうち一つ以上を含みうる。
【0016】
一つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせて、組み合わされたエアロゾル形成体の一つ以上の属性を利用しうる。例えば、トリアセチンをグリセリンおよび水と組み合わせて、有効成分を運搬するトリアセチンの能力とグリセリンの湿潤性を利用しうる。
【0017】
本発明による装置の一態様によれば、切断装置はスプライシングユニットの支持面に対してある切断角で配列された切り刃を備える。これにより、たばこシート全体にわたる平面に対してある角度でたばこシートが切断される。たばこシートはその切断面と重ね合わせうる。切断面が相互に正確に重なり合う場合、重なり合ったたばこシートの厚さは単一のたばこシートの厚さよりも厚くはない。たばこシートが相互の切断面のみで部分的に重なり合う場合も、継ぎ合わされたたばこシートの厚さは、相互に重ね合わされた2つのたばこシートの厚さよりも薄い。重なり合いを切断面だけに正確に制限しないことにより、継ぎ合わされたたばこシートの厚みを倍化することなく、重なり合った領域を強化しうる。
【0018】
さらに、たばこシートが切断される切断角を含めることで、たばこシート全体にわたる平面と直角を成す垂直の切断と比較して、たばこシートの切断面を拡張しうる。2つの刻みたばこシートを2つの切断面が相互に支えられるように整列することで、2つのたばこシート間の接触面積を広げ、こうしてスプライシングプロセスがサポートされる。このことは、重なり合ってはいるがまだしっかりと継ぎ合わされていないたばこシートが、例えば組み合わせ装置に移動した場合に、特に都合がよい。
【0019】
たばこシートは水平方向に配列され、スプライシングユニットの支持面に沿って案内されることが好ましい。
【0020】
本発明による装置の一部の好ましい実施形態で、切断角は約20度〜約50度の範囲にあり、約25度〜約40度、例えば30度であることが好ましい。こうした切断角は、例えば刃物によって切断するのに便利である。これらは大きな切断面も提供し、これによって、継ぎ合わされたたばこシートの厚みが単一のたばこシートの厚みに好ましくは実質的に対応する状態の保持がなおも許容されることで、大きな重なり合った領域が許容される。
【0021】
本発明による装置の別の態様によれば、組み合わせ装置は約200ニュートンを超える、好ましくは約250ニュートンを超える圧力をたばこシートにかける能力を持つ。2つの重なり合ったたばこシートにかけられるこうした範囲の力は、シートを損傷することなく、または重なった領域でたばこシートが薄くなることなく、もしくは実質的に薄くなることなく、たばこシート間での安定した接続を提供してきた。当該技術分野の当業者にとっては、かけられる最小限の力はまた、継ぎ合わされるたばこシートの速度にも依存することがあり、そのためにスプライシングプロセスの速度に適応されうることが明白である。組み合わせ装置は例えば、組み合わされたたばこシートが通過する1つまたは2つのローラーとして実現しうる。ローラーによって、組み合わせは組み合わされたたばこシートがプロセスの方向にさらに移動する間に実行されうる。さらに、ローラーによって、組み合わせプロセス中の剪断力が最小化または除去されうる。
【0022】
本発明による装置のなおも別の態様によれば、装置はさらに、第一および第二のシャフトを含むボビンホルダーを備え、ここでボビンホルダー上の第一および第二のシャフトは、第一および第二のシャフトの位置は相互に互換性があるように移動可能である。シャフトは、ボビンホルダー上に移動可能な方法で配列しうるか、またはボビンホルダー上に固定的に配列しうる。後者の場合、第二のボビンが第一のボビンの前の位置に位置することができ、またその逆もできるように、ボビンホルダーは移動可能、例えば回転可能である。これにより、たばこシートは同じ角度でのスプライシングの後でスプライシングユニットを通して供給されうる。さらに、第一のボビンは、たばこシートの供給がまだ進行中である時に交換しうる。なおもさらに、第一のボビンを置き換える新しいボビンからのたばこシートは、供給がまだ進行中である時にスプライシングのために所定位置に置かれうる。ボビンホルダーはまた、同一の方法での新しいたばこシート(使用時に継ぎ合わされてたばこシートとなる)の供給を可能にすることで、ボビン取り替えプロセスの再現性をサポートしうる。例えば、新しいたばこシートの供給方向は同じに保つことができ、またスプライシングプロセスの速度も同一に保ちうる。さらに、新しいボビンの装填位置が常に同じである場合、新しいボビンの装填は、例えばグリッパーおよびリフトによって自動化されるまたはサポートされることができ、使用済みのボビンが除去され、装填される新しいボビンがボビンホルダーに持ち上げられる。
【0023】
2つのボビン用に2つのシャフトを提供することによって装置を説明してきたが、ボビンホルダーはまた、たばこシートの1つまたはいくつかのさらなるボビン用に1つまたはいくつかのさらなるシャフトを提供することもできる。シャフトと互換性のあるその他の機構が実現可能であるが、複数のシャフトの位置は、ボビンホルダーの回転時にまたはボビンホルダー上のシャフトを回転させることにより、それぞれ相互の位置に来ることが好ましい。
【0024】
本発明による装置はまた、近づきつつあるボビンの末端を検出するためのセンサーを備えうる。それぞれの信号は制御ユニットに送信され、次にこれがスプライシングプロセスを開始しうる。
【0025】
本発明による装置のさらなる態様によれば、装置は継ぎ合わされたたばこシートを乾燥するための乾燥ユニットを備える。乾燥は少なくとも重なり合った領域に、または水がたばこシートにかけられた領域に提供されることが好ましい。乾燥は、シートを結合する前にたばこシートにかけられた水がある場合にそれを除去するプロセスの速度を上げることで、スプライシングプロセスをサポートしうる。乾燥ユニットは、例えば高温の空気または赤外線加熱によるものなど、ヒーターを備えることが好ましい。
【0026】
本発明による装置のさらなる態様によれば、装置はさらに、スプライシングユニットの下流に配列されたバファーユニットを備えるが、このバファーユニットは、ある量の継ぎ合わされたたばこシートを貯蔵するためである。バファーユニットは、たばこシートの移動速度の変化を補正しうる。こうした移動速度の変化は、加工ライン内のたばこシートの初期供給の側、スプライシングユニット内でまたはさらに下流で、例えば圧着またはロッド形成プロセスで発生しうる。例えば、バファーユニット内に貯蔵されたたばこシートは、スプライシングプロセスを実施するためにたばこシートの供給を停止したり減速したりしなければならない場合に、速度の変化を補う。
【0027】
たばこシート内の重なった領域は、製品(例えば、喫煙物品中のたばこプラグなど)内で使用されるたばこシート材料の仕様を満たさないことがありうる。こうして、重なった領域(すなわち、結合された2つのシートの接続部)を含むロッド部分は不合格となり、さらなる製品製造から除外されうる。これは例えば、たばこシート加工ラインのさらに下流、例えばロッドが形成された後に個別のたばこセグメントに切断される位置などにリジェクターを提供することによって実施しうる。重なった領域の識別は、適切な制御または検出の手段によって、例えば光学検出システムによって実施しうる。これは例えば、たばこシート中の重なった領域の位置を検出して、制御ユニット内に保存することができる。これは例えば、接続が形成されている場所(例えば、スプライシングユニット内)としうる。スプライシングユニットからある距離だけロッド切断位置に移動した重なった領域を含むたばこシートの部分が、その後除去される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、たばこシートを組み合わせるための方法が提供されている。方法は、第一のたばこシートを提供し第二のたばこシートを提供する工程と、第一および第二のたばこシートに補完的な切り込みを提供するために第一および第二のたばこシートを整列し切断する工程とを含む。方法はさらに、少なくとも第一または第二のたばこシートに水をかける工程と、補完的な切り込みが相対するように第一および第二のたばこシートの補完的な切り込みを整列する工程とを含む。なおもさらに、切断した領域内の第一および第二のたばこシートに圧力をかけて、それによって第一および第二のたばこシートを組み合わせ、継ぎ合わされたたばこシートを形成する工程を含む。
【0029】
本発明による方法の一態様によれば、第一および第二のたばこシートを切断する工程は、たばこシートを約20度〜約50度の範囲の切断角で、好ましくは約25度〜約40度の範囲で、例えば30度の切断角で切断する工程を含む。
【0030】
方法のいくつかの態様および利点は、本発明による装置に関連して説明してきた。よって、それらは反復されない。
【0031】
本発明による方法のさらなる態様によれば、方法はさらに、圧力をかける工程を実施する前に、第一および第二のたばこシートを4ミリメートル以上、好ましくは6ミリメートル以上、例えば8ミリメートル重ね合わせる工程を含む。この重なりは切断領域に限定され、すなわち補完的な切り込みの完全または部分的な重なりに限定されることが好ましい。これにより、2つのたばこシートの厚さは、1つのたばこシートの厚さを超えないか、または実質的に超えないようになり、また相互に重なり合う両方のたばこシートの切断領域の外側にあるセクションの厚さよりも小さい。
【0032】
本発明による方法の別の態様によれば、水をかける工程は、下側に横たわるたばこシートのみに、好ましくは下側に横たわるたばこシートの切断面のみに水をかける工程を含む。かけられる水の量は最小限に保つことができ、また接続を形成するために必要な場所に限定しうる。水はまた、重力を使用してかけてもよい。さらに、下側に横たわるたばこシートにかけられた水は、流れたりシートから垂れたりする傾向はない。
【0033】
たばこシートは、相互に重ね合わさっている間にたばこシートを供給することにより、加工・継ぎ合わせされることが好ましい。こうして、切断、水かけ、および組み合わせは、2つのたばこシートを配列し直す必要なく実施される。これらの実施形態の一部では、切断の後、第一のたばこシートの切断された廃物の末端部分が除去され、第二のたばこシートの切断された廃物の先端部分は圧力をかける工程を実施する前に除去される。重なり合う2つのたばこシートを切断すると、「取り替えられる」たばこシートの廃物の末端部分および「新しい」たばこシートの廃物の先端部分が切り取られる。これらの廃物の切り取り部分を除去することで、結合される2つのたばこシートの末端部分および先端部分の2つの切断領域に力をかける工程が促進される。さらに、廃物の部分を除去することにより、先端部分および末端部分は自動的に互いに隣接して配列されることができ、それ以上の整列は一切必要としない。
【0034】
本発明による方法のなおも別の態様によれば、方法はさらに、第一および第二のたばこシートを組み合わせた後で、第二のたばこシートを伴う第二のボビンの位置を第一のたばこシートを伴う第一のボビンの位置に変える工程およびその逆の工程と、第一のボビンをさらなるボビンで置き換える工程と、第二のたばこシートと組み合わせるためにさらなるボビンからたばこシートを供給する工程を含む。位置を変える工程は同一方向に、好ましくはボビンの回転により実施されることが好ましい。
【0035】
本発明による方法のさらなる態様によれば、方法はさらに継ぎ合わされたたばこシートを圧着するために組み合わされたたばこシートを圧着装置に導入する工程を含む。
【0036】
本発明による装置および方法は、熱源およびたばこプラグを含む喫煙物品であって、たばこが燃焼ではなく気化するものなど、喫煙物品の製造で使用されることが好ましい。
【0037】
当該技術分野の当業者にとっては、最小限の重なりおよびかけられる最小限の力はまた、組み合わされたたばこシートが加工される速度にも依存すること、またそのためスプライシングプロセスの速度にも依存することが明白である。
【0038】
本発明についてはさらに、実施形態に関して説明するが、これを下記の図表によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1はスプライシングプロセスの実施形態を示す。
【
図2-4】
図2は、たばこシートの整列(
図2)、水かけ(
図3)およびたばこシートの継ぎ合わせ(
図4)を伴うスプライシングプロセスの工程を示す。
【
図5】
図5はボビンホルダーおよびバファーユニットを含む装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1では、第一および第二のたばこシート3、4がそれぞれのボビン30、40からスプライシングユニット2に供給されている。第一のたばこシート4は使用中であり、スプライシングユニット2を通して実質的に直線の方向に通過する。これは、さらに下流に配列されたたばこシート加工ユニット(図示せず)にさらに移動される。こうした加工ユニットは例えば、圧着ユニットまたはロッド形成ユニットとしうる。ボビン40上のたばこシート4が末端に来る前に、第二のボビン30からのたばこシート3は案内プーリー22を経由して案内され、(ここでは、使用中の下のたばこシート4から)スプライシングユニット2に供給される。両方のたばこシート3、4は相互に重なりあって配列され、スプライシングユニットの支持面21上に整列される。その後、切断ナイフ20によって切断角αで切断される。その切断によって、第一のたばこシート3の明確に画定された末端部分および第二のたばこシート4の明確に画定された先端部分が提供される。廃物の末端部分および廃物の先端部分は、たばこシート3、4を切断した後で除去されうる。切断は必ずしも整列したたばこシートで実施する必要はないが、スプライシングプロセスはそうする必要がある。
図2〜4で分かる通り、切断されたたばこシート3、4はその後、相互に重ね合わせて整列され、それらの切断面42、32が相互に重ね合わされる。
図2〜4での切断方向は、
図1の切断ナイフ20の切断方向に対しては逆である一方、スプライシングプロセスは同一である。切断角αは両方の図で約30度である。
【0041】
分配ユニット23では、
図3に示す通り、水は下側に横たわるたばこシート4(異なる切断方向であるため、
図1ではたばこシート3)上に、かつ切断面42のみに分配される。1つのたばこシートのみにかけられた薄い水の層230により、水はシート3、4の重なり合った領域35での良好な相互接続をサポートするように、たばこシート3、4の材料を少なくとも切断面32、42の領域で軟化させうる。ところが、水の量はたばこシートを分解しない程度に十分少量であり、これが結合部の形成を困難にしたり妨げたりする可能性がある。
【0042】
そのように重なり合いかつ湿らせたたばこシート3、4は次に、圧縮ローラー24を通して案内される。シートは圧縮するローラー間を通過することで圧縮され、これにより、2つの切断面42、32および2つのたばこシート3、4が相互にしっかりと固定される。短いながらもしっかりとした接続部430が
図4に示す通り形成される。結合部の形成をサポートするために、加熱ユニット25(例えば、高温の空気源または放熱源)が、圧縮ローラー24の下流に隣接して配列される。継ぎ合わされたばかりのたばこシート43がさらに下流に配列された加工ユニットに引き続き供給されうるように、熱によって接続部が急速に乾燥される。スプライシングのための添加物は何も使用されないため、また重なった領域35のサイズによっては継ぎ合わされたシートの厚さの有意な増大または減少は存在しないため、継ぎ合わされたたばこシートは、接続部430を含めて全体的に使用されうる。ところが、接続部430のある重なった領域35は、同一の製品仕様を確保するために後の段階で除去することもできる。
【0043】
本発明によるスプライシングプロセスによって、たばこシート処理ラインを、好ましくは例えば最大200メートル/秒といった一定の高速度で連続運転しうるように、たばこシート3、4のスプライシングを高速かつ確実な方法で実施しうる。高速での連続運転をさらにサポートするために、スプライシングプロセスはさらに、自動ボビン変更装置を提供して自動化しうる。
【0044】
図5では、回転可能なボビンホルダー1が、2つのたばこシート3、4をスプライシングするためのスプライシングユニット2の上流に配列されている。ボビンホルダー1には、2つのたばこシート3、4を運ぶ2つのボビン30、40が提供されている。たばこシート3は、ボビン30からスプライシングユニット2へ、またそれを通過して連続的に供給される。
【0045】
第一のボビン30はほぼ使い尽くされ、ボビンホルダーによってスプライシングユニット2から離れて反時計方向(矢印で示す)に回転してきた。同じ回転動作により、第二のボビン40はスプライシングユニット4に近づくように移動してきた。第二のボビン40からのたばこシート4は、案内プーリー22を経由してスプライシングユニットに案内され、そこでスプライシングが実施されうる。スプライシングユニット内で切断された後、その時に切り取られた第一のたばこシート3は、ボビンホルダー1からボビン30とともに除去されうる。ボビンは新しいボビンで置き換えられうる。ボビン40が末端に来るとすぐに、このプロセスが再開されうる。
【0046】
このプロセスにより、新しいボビンが提供され、新しいボビン上のたばこシートが使用中のたばこシートと継ぎ合わされるように準備され、その一方でたばこシートがたばこ加工ラインに連続的に供給される。
【0047】
スプライシングユニット2の下流には、2つの加速ローラー5の形態の加速ユニットが配列されている。スプライシングユニット2を通過しつつあるたばこシートは、加速ユニット5によって加速または減速されうる。たばこシートは、たばこシートの連続的な速度を確保するために、2つの加速ローラー5間を通過する際に連続的に加速されうる。スプライシングプロセスでは、たばこシートは加速ローラー5によって減速または停止されうることが好ましい。スプライシングプロセスの後、継ぎ合わされたたばこシートはプロセスの速度へと再び加速されうる。バファーユニット6は加速ユニット5のさらに下流に配列されている。バファーユニット6は一連のアイドラプーリーであり、たばこシートはこの周りを案内されてたばこシートのループを形成する。一部のアイドラプーリーは、スプライシングユニット2から、またはボビン30、40からの供給が中断または減少した場合でも、たばこシート材料をさらに下流方向に供給できるようにするために、たばこシートのループを拡大したり小さくしたりするなど移動可能な方法で配列されている。
【0048】
バファーユニット6の下流では、引抜ユニット7がたばこシートをバファーユニットから引き出し、好ましくは、たばこシートを一定の速度で、さらに下流に配列されたたばこシート加工ユニットに送る。
【0049】
ボビンホルダーは新しいたばこシートが上から供給されうるように回転することが好ましい。これにより、それらとともに結合されるために使用中のたばこシートの上側面での新しいたばこシートの位置合わせが簡単になる。
【0050】
機械的ダンサーおよびプーリーロール10、11の配列がボビンホルダー1上に提供されている。それらは、それぞれのボビン30、40の隣に配列されている。たばこシート30、40はロール10、11を超えて案内され、その後でスプライシングユニットに供給される。機械的ダンサーおよびプーリー10、11を提供することにより、制御されたたばこシートの案内とたばこシートの一定の締め付けとが達成されうる。これは、大きなまたは不規則な引き裂き力や引き抜き力がかかると割れたり破損したりする傾向にあるたばこシートにとって特に有利である。特に、ロールは、ボビンホルダー上でのボビンの回転に伴い、変動する引き抜き力の補正をする。
【0051】
装置およびプロセスは、たばこシート処理ラインへのたばこシートの供給を自動化する。これによって、新しいボビンの提供が許容されるだけでなく、たばこ加工ラインにたばこシートが連続的に供給される。また、これによって2つのたばこシートの継ぎ合わせも許容され、その一方でたばこシートがたばこ加工ラインに連続的に供給されうる。これにより、例えばたばこロッド圧着ラインの製造速度は、一定の高速レベルに保持されうる。
【要約】
たばこシートを組み合わせるための装置は、たばこシートの第一のボビンを運ぶ第一のシャフトおよびたばこシートの第二のボビンを運ぶ第二のシャフトを備える。装置はまた、第一のボビンからのたばこシートの末端部分を第二のボビンからのたばこシートの先端部分に組み合わせるためのスプライシングユニットを備える。スプライシングユニットは、例えば第一のボビンおよび第二のボビンからのたばこシートに補完的な切り込みを提供するといった、たばこシートを切断するための切断装置と、少なくとも一つのたばこシートに水をかけるための分配装置と、たばこシートに力をかけてそれによって継ぎ合わされたたばこシートを製造するための組み合わせ装置とを備える。
【選択図】
図1