特許第5977906号(P5977906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977906
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】処置具挿入補助具
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/04 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   A61B10/04
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-518789(P2016-518789)
(86)(22)【出願日】2015年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2015062064
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-183513(P2014-183513)
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】橋口 敏彦
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−225950(JP,A)
【文献】 特表2009−538691(JP,A)
【文献】 特開2012−16530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体挿入具のチャンネルに接続される接続部と、
前記接続部を介して前記チャンネルに挿入される処置具の導入口と、
前記導入口から前記接続部にかけて先細りとなる筒状の誘導部と、
前記導入口の外周縁に設けられた、前記接続部側から前記導入口側に向けて拡径するとともに、前記接続部側に凹んだ形状を有する複数の凹部と、
を具備することを特徴とする処置具挿入補助具。
【請求項2】
前記導入口において前記導入口の周方向において前記凹部同士に挟まれた前記誘導部の凸状部位と、前記凹部とは、前記導入口の径方向において前記導入口の中心を挟んで対向していることを特徴とする請求項1に記載の処置具挿入補助具。
【請求項3】
前記凹部の数は3以上の奇数であり、前記凹部は前記導入口に対し、前記周方向において等間隔に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の処置具挿入補助具。
【請求項4】
前記凹部の数は、5であることを特徴とする請求項3に記載の処置具挿入補助具。
【請求項5】
前記凹部の数は、6であることを特徴とする請求項1に記載の処置具挿入補助具。
【請求項6】
前記誘導部における前記凹部と連通する部位の外周面に、前記誘導部の径方向の内側に凹む前記処置具を前記凹部へと案内する第1案内面が形成されていることを特徴とする請求項に記載の処置具挿入補助具。
【請求項7】
前記誘導部における前記凹部と連通する前記部位の内周面に、前記径方向の内側に凸となる前記処置具の第2案内面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の処置具挿入補助具。
【請求項8】
前記誘導部において、前記導入口の周方向において前記凹部同士に挟まれた凸状部位に連通する部位の内周面に、前記処置具を前記導入口から前記接続口へと案内する第3案内面が形成されており、
前記第2案内面は、前記処置具を前記第3案内面に案内する形状を有していることを特徴とする請求項に記載の処置具挿入補助具。
【請求項9】
前記凸状部位は複数から構成されており、
複数の前記凸状部位の内、いずれかが周方向に長く形成されていることを特徴とする請求項8に記載の処置具挿入補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体挿入具のチャンネルに処置具を挿入させる処置具挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
硬性鏡のチャンネルに処置具を挿入し、処置具により被検体内の処置を行う構成及び手法が周知である。
【0003】
一例として、尿道を介して前立腺内の超音波画像を取得する超音波プローブまたは前立腺内の光学像を取得する硬性鏡のチャンネルに、生検針を挿入するとともに生検針をチャンネルの先端から突出させ、前立腺の生検処置を行う構成及び手法が周知である。
【0004】
ここで、生検針が、細長く形成されている場合、チャンネル挿入前において生検針の操作部が術者によって把持されている状態においては、生検針における針の先端側は振動しやすい。
【0005】
針の先端側が振動してしまうと、一方の手で超音波プローブを把持し、他方の手で生検針の操作部を把持する術者は、1人にて、硬性鏡のチャンネルの開口に対して生検針の先端側を挿入する作業が行い難いといった問題があった。
【0006】
よって、従来は、針の先端側を介助者に把持して貰い、介助者によって、針の先端側をチャンネルの開口に誘導して貰う手法が用いられていたが、この手法では、介助者に高度な挿入技術が要求される他、処置時間が長くなってしまうばかりか、処置人数が増えるため処置費用が高くなってしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、日本国第特開2003−79565号公報には、硬性鏡のチャンネルの開口に、処置具を挿入しやすくする筒状の処置具挿入補助具の接続部が接続された構成が開示されている。
【0008】
ここで、日本国第特開2003−79565号公報に開示された処置具挿入補助具を用いて生検針の針を、被検体挿入具のチャンネルの開口に挿入する場合、先ず、振動している針の一部を、処置具挿入補助具の導入口の外周縁に接触させることにより針の先端側の振動を止め、この状態にて、生検針の先端を導入口よりも若干後方に引き、その後、生検針の先端を、導入口を介して処置具挿入補助具内に押し込むことにより、処置具挿入補助具を介して生検針の先端側をチャンネルに挿入させる手法が考えられる。
【0009】
しかしながら、針の先端側の振動を止めるため、針の一部を導入口の外周縁に当接させた際、導入口の外周縁は円弧状を有しているため、針の一部が、導入口の外周縁に沿って滑りながら移動してしまい処置具挿入補助具から滑り落ちてしまう可能性があった。
【0010】
尚、日本国第特開2003−79565号公報には、導入口の外周縁においてチャンネルに挿入中の処置具の一部を係止させる係止部が設けられた構成が開示されていることから、係止部に針の一部を当接させることにより振動を止めるとともに、係止部によって導入口の外周縁に沿った針の滑りを防ぐ構成も考えられる。
【0011】
ところが、前立腺の生検処置は、超音波プローブ、即ち超音波プローブに固定された処置具挿入補助具を所定の角度周方向に回転させながら、チャンネルの先端から突出する生検針の位置を変えて前立腺の複数箇所に対して行うのが一般的である。よって、処置具挿入補助具を回転させる毎に、係止部の位置が周方向にずれてしまい、係止部に対して針の一部を当接させる作業が行い難くなってしまうといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためものであり、被検体挿入具のチャンネルに処置具を挿入して複数箇所の処置を行う際、術者1人でも処置具を容易に被検体挿入具のチャンネルに挿入させやすい構成を有する処置具挿入補助具を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による処置具挿入補助具は、被検体挿入具のチャンネルに接続される接続部と、前記接続部を介して前記チャンネルに挿入される処置具の導入口と、前記導入口から前記接続部にかけて先細りとなる筒状の誘導部と、前記導入口の外周縁に設けられた、前記接続部側から前記導入口側に向けて拡径するとともに、前記接続部側に凹んだ形状を有する複数の凹部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施の形態の処置具挿入補助具を被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図
図2図1の処置具挿入補助具が接続された被検体挿入具を示す斜視図
図3図2の被検体挿入具における挿入部のチャンネルに生検針の針が処置具挿入補助具を介して挿入され、生検針の先端側がチャンネルの先端から突出している状態を示す斜視図
図4図2の被検体挿入具の挿入部が超音波プローブのチャンネルに挿入されている状態を示す斜視図
図5図4の被検体挿入具の挿入部のチャンネルに、処置具挿入補助具を介して生検針の針が挿入され、生検針の先端側が超音波プローブのチャンネルの先端から突出している状態を示す斜視図
図6図1の凹部を偶数から非等間隔に構成した処置具挿入補助具の変形例を、被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図
図7】第2実施の形態の処置具挿入補助具を被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図
図8図7の処置具挿入補助具が接続された被検体挿入具を示す斜視図
図9】前立腺の生検処置を、12箇所行う場合の針の穿刺位置を概略的に示す図
図10】処置具挿入補助具の複数の凹部の変形例を、被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の処置具挿入補助具を被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図、図2は、図1の処置具挿入補助具が接続された被検体挿入具を示す斜視図、図3は、図2の被検体挿入具における挿入部のチャンネルに生検針の針が処置具挿入補助具を介して挿入され、生検針の先端側がチャンネルの先端から突出している状態を示す斜視図である。
【0017】
また、図4は、図2の被検体挿入具の挿入部が超音波プローブのチャンネルに挿入されている状態を示す斜視図、図5は、図4の被検体挿入具の挿入部のチャンネルに、処置具挿入補助具を介して生検針の針が挿入され、生検針の先端側が超音波プローブのチャンネルの先端から突出している状態を示す斜視図である。
【0018】
図1に示すように、処置具挿入補助具1は、接続部2と、導入口3と、導入口3から接続部2にかけて先細りとなる筒状の誘導部4とを具備する略円錐形状を有している。
【0019】
尚、処置具挿入補助具1は、本実施の形態においては、例えば樹脂から均一の厚みに形成された略円錐形状を有している。
【0020】
接続部2は、被検体挿入具のチャンネルに接続されるものである。尚、本実施の形態においては、被検体挿入具は、図2図3に示すマンドリン50を例に挙げて説明する。ただし、本発明における被検体挿入具はマンドリンに限定されず、尿道鏡、硬性鏡、または軟性超音波内視鏡など被検体に挿入される医療器具を適用することができる。
【0021】
具体的には、図2図3に示すように、接続部2は、マンドリン50の補助具接続部20に接続されることにより、マンドリン50の挿入部30内に設けられたチャンネル31の方向Nの基端に接続される。
【0022】
導入口3は、接続部2を介してチャンネル31に挿入される処置具を処置具挿入補助具1内に導入させる開口となっている。
【0023】
尚、本実施の形態においては、処置具は、図3に示すように、針61と、針61の方向Nの基端に接続された操作部62とを具備する生検針60を例に挙げて説明する。
【0024】
針61は、例えば前立腺の生検処置を行うものであり、方向Nにおいて細長く、かつ小径に形成されている。一例としては、方向Nにおいて略200mmの長さに形成されているとともに、1、2mm〜1、3mmの直径に形成されている。
【0025】
尚、針61は、操作部62に対して着脱自在であっても構わない。尚、針61は、穿刺後、組織を回収するため2重構造を有しているが、詳しい構成は周知であるためその説明は省略する。
【0026】
また、誘導部4が略円錐形状を有しているのは、内周面4nに接触する針61の針先を、内周面4nの傾斜面による楔効果により接続部2に誘導しやすくするためである。
【0027】
操作部62は、術者に把持される部位である他、例えば前立腺の生検処置を行う際、針61を方向Nの前方に突出させて前立腺に穿刺する際に操作されるものである。尚、生検針60の詳しい構成は周知であるため、これ以上の説明は省略する。
【0028】
図1に戻って、処置具挿入補助具1の導入口3の外周縁に、方向Nにおいて接続部2側から導入口3側に向けて拡径するとともに接続部2側にN1だけ凹んだ形状を有する複数の凹部5が設けられている。
【0029】
尚、方向Nにおいて接続部2側から導入口3側に向けて拡径するとともに接続部2側に凹んだ形状としては、図1に示すような半楕円状が挙げられるが、これに限らず、三角状であっても構わない。
【0030】
具体的には、複数の凹部5は、導入口3の外周縁において、3以上の奇数にて設けられているとともに、導入口3の周方向Cにおいて等間隔に設けられている。
【0031】
尚、図1に示すように、本実施の形態においては、一例として、複数の凹部5は、導入口3の外周縁において5つ設けられている。
【0032】
複数の凹部5は、処置具挿入補助具1を介して針61をマンドリン50のチャンネル31に挿入する際、各凹部5の縁部に針61の一部が接触されることにより、針61の先端側の振動を止めるとともに、導入口3の外周縁に沿って、針61が周方向Cに滑り落ちてしまうことを防ぐものである。
【0033】
尚、各凹部5の縁部に接触される部位としては、針61の基端側が好ましい。これは、針61の基端側は振動が少ないため、凹部5の縁部に接触させやすいためである。
【0034】
また、複数の凹部5は、複数の凹部5により振動が止められた針61の先端側を、針61の方向Nにおける後方への移動に伴い、処置具挿入補助具1内に落として導入させるものである。
【0035】
また、誘導部4の外周面4gにおいて、複数の凹部5と方向Nにおいて連通する部位4gaに、それぞれ誘導部4の径方向Kの内側に凹む複数の第1案内面7が形成されている。
【0036】
尚、各第1案内面7は、それぞれ方向Nに沿って一定の長さに形成されているとともに、各第1案内面7の周方向Cの中央に向かってそれぞれ傾斜する凹形状を有している。
【0037】
また、各第1案内面7の周方向Cの中央位置は、それぞれ上述したように半楕円状をする各凹部5の周方向Cの中央位置に一致している。
【0038】
複数の第1案内面7は、処置具挿入補助具1を介して針61をマンドリン50のチャンネル31に挿入する際、複数の凹部5とともに、針61の一部が接触されることにより、針61の先端側の振動を止めるとともに、凹形状を有していることにより誘導部4の外周面4gにおいて針61が周方向Cに沿って滑り落ちてしまうことを防ぎ、さらに、針61の先端側を凹部5へと案内するものである。
【0039】
また、誘導部4の内周面4nにおける複数の凹部5と方向Nにおいて連通する部位4naに、複数の第1案内面7に起因して径方向Kの内側に凸となる針61の複数の第2案内面8が形成されている。
【0040】
さらに、誘導部4の内周面4nにおいて、後述する複数の凸状部位6に方向Nにおいて連通する部位4nbに、針61を、導入口3から接続部2へと案内する複数の第3案内面9が形成されている。
【0041】
複数の第2案内面8は、それぞれ方向Nに沿って一定の長さに形成されているとともに、各第2案内面8の周方向Cの中央から第3案内面9に向けてそれぞれ傾斜する凸状形状を有している。このことにより、各第2案内面8は、針61を第3案内面9に案内する形状を有している。
【0042】
ここで、複数の凹部5は、奇数、例えば5つから周方向Cにおいて等間隔に構成されていることにより、導入口3における周方向Cにおいて凹部5同士に挟まれた誘導部4の複数の凸状部位6に対し、導入口3の径方向Kにおいて導入口3の中心を挟んで対向している。即ち、複数の凹部5は、径方向Kにおいて第3案内面9に対向している。
【0043】
このことにより、複数の凹部5及び複数の第1案内面7のいずれかにより、振動が止められた針61の先端側を、凹部5により処置具挿入補助具1内に落とした際、凹部5には第3案内面9が対向していることから、第3案内面9に凹部5にて落とされた針61の先端側が接触し、第3案内面9にて針61の先端側を受け止めることができる。
【0044】
これは、径方向Kにおいて凹部5に凹部5が対向していると、凹部5を介して径方向Kの内側に針61の先端側を落とした際、対向する凹部5を介して、針61の先端が処置具挿入補助具1の径方向Kの外側へと落ちてしまう可能性があるためである。
【0045】
尚、上述したように、各凹部5が、半楕円状や三角状に形成され、各第1案内面7が、各第1案内面7の周方向Cの中央に向かって傾斜する凹形状を有しているのは、いずれか1つの第1案内面7及び凹部5に接触された針61を、第1案内面7及び凹部5の周方向Cの中央に位置させることにより、凹部5を介して径方向Kの内側に針61の先端側と落とした際、確実に針61の先端側が第3案内面9に接触するよう、針61の先端側の落とし位置の調整に用いるためである。
【0046】
また、凹部5を介して径方向Kの内側に針61の先端側を落とした際、仮に、針61の先端側が第3案内面9ではなく、第2案内面8に接触したとしても、上述したように、第2案内面8は、第2案内面8の中央から第3案内面9に傾斜する凸形状を有していることから、針61の先端側は、第3案内面9へと誘導される。
【0047】
さらに、図1に示すように、各凸状部位6の第3案内面9を有する内周面4nの部位4nbは、受け皿形状に形成されているとともに、第3案内面9は、周方向Cにおいて2つの第2案内面8に挟まれていることから、第3案内面9に誘導された針61の先端側が、周方向Cの外側に位置する凹部5側に落ちてしまうことが防がれている。
【0048】
以上の理由から、複数の凹部5は、奇数、例えば5つから構成されている。よって、凹部5は、奇数であればいくつでも良いが、数が多すぎてしまうと周方向Cにおける凸状部位6の幅、即ち第3案内面9の幅が狭くなってしまうため、凹部5により落とされた針61の先端側が受け止め難くなってしまい好ましくない。よって、現実的には、凹部5は、3つ、5つ、7つのいずれかから構成されていることが好ましい。
【0049】
尚、凹部5は、1つから構成されていても良いが、この場合、術者が、針61の先端側を凹部5に接触させる作業が、3つ以上ある場合よりも1つだけの凹部5に向けて狙いを定めなければならないことから行い難しくなるため好ましくない。
【0050】
次に、マンドリン50、超音波プローブ100の構成について、簡単に説明する。図2に示すように、マンドリン50は、細長な挿入部30と該挿入部30の方向Nの基端に設けられた補助具接続部20とを具備している。
【0051】
補助具接続部20は、上述したように処置具挿入補助具1の接続部2が接続される部材となっている。
【0052】
挿入部30は、方向Nにおける先端及び基端が開口されたチャンネル31を内部に具備している。チャンネル31には、図3に示すように、処置具挿入補助具1の導入口3、接続部2を介して生検針60の針61が挿入される。
【0053】
尚、挿入部30は、図3に示すように、チャンネル31に針61が挿入され、処置具挿入補助具1の導入口3の近傍まで操作部62の先端が近接された状態において、針61の先端側が挿入部30の先端よりも方向Nにおける前方に飛び出る長さに形成されている。針61の先端側の挿入部30の先端からの突出長さは、操作部62に固定される針61の長さを可変することによって可変自在となる。
【0054】
挿入部30は、図5に示すように、例えば超音波プローブ100のチャンネル104に挿入される。
【0055】
図4に示すように、超音波プローブ100は、方向Nの先端側に超音波振動子105を有する挿入部101と、挿入部101の方向Nの基端に設けられた取り付け部106と、取り付け部106に設けられた灌流ポート102と、取り付け部106から分岐する信号ケーブル引き出し部103とを具備して主要部が構成されている。
【0056】
挿入部101は、例えば生検針60を用いて前立腺の生検処置を行う際、尿道内に挿入されるものであり、内部に先端及び基端が開口されたチャンネル104が形成されている。
【0057】
尚、上述したように、チャンネル104には、マンドリン50の挿入部30が挿入される。よって、チャンネル104の方向Nにおける長さは、チャンネル104の先端から針61が飛び出すよう、針61よりも短く、挿入部30と略同じ長さに形成されている。
【0058】
また、チャンネル104には、マンドリン50の挿入部30の他、図示しない硬性鏡の挿入部等も挿抜自在となっている。
【0059】
尚、マンドリン50や、硬性鏡は、チャンネル104に挿入後、ネジ等や摩擦力等により一時的に超音波プローブ100に固定される。
【0060】
ここで、前立腺の生検処置を行う際、直接、針61をチャンネル104に挿入せずに、マンドリン50を介して行うのは、チャンネル104は、通常、上述したように、硬性鏡の挿入部も挿抜できるよう、2.3mm程度の直径に形成されている。これは、硬性鏡の挿入部において最も小径の挿入部の直径は、現状では2mm程度だからである。
【0061】
しかしながら、チャンネル104内に、1.2mm〜1.3mm程度の直径を有する針61を直接挿入してしまうと、チャンネル104内において針61が径方向Kにおいてガタ付いてしまうことから、チャンネル104の先端から飛び出た針61の先端側の位置が定まらず、生検処置が行い難くなってしまう。
【0062】
そこで、針61を、先ず、マンドリン50のチャンネル31に挿入した後、マンドリン50の挿入部30を、チャンネル104に挿入する構成を用いている。
【0063】
即ち、マンドリン50の挿入部30は、チャンネル104の直径と、針61の直径との差によって生じる両者間の隙間を埋めることにより、針61のガタ付きを無くすものである。
【0064】
よって、チャンネル104に硬性鏡の挿入部を挿入する必要が無く、針61のみ挿入すれば良い構成においては、チャンネル104を小径に形成すれば良いため、マンドリン50を用いる必要が無くなる。
【0065】
即ち、このような構成においては、上述した処置具挿入補助具1の接続部2は、チャンネル104の基端に接続される構成でも良く、この場合、超音波プローブ100が被検体挿入具となる。
【0066】
また、超音波プローブ100の代わりに、図示しない硬性鏡の挿入部のチャンネルに、針61を挿入する構成であっても良い。このような構成においては、上述した処置具挿入補助具1の接続部2は、硬性鏡のチャンネルの基端に接続すれば良く、この場合、硬性鏡が被検体挿入具となる。
【0067】
灌流ポート102は、チャンネル104に連通している。灌流ポート102は、チャンネル104に硬性鏡の挿入部を挿入して被検体内の光学観察を行っている際、硬性鏡の視野を確保するため、チャンネル104を介して被検体内に生理食塩水等の灌流液を供給する灌流液の供給源が接続されるものである。
【0068】
ケーブル引き出し部103の延出端は、図示しない観察装置に接続自在となっている。このことにより、超音波振動子105によって得られる被検体内の超音波観察画像は、観察装置にて表示される。
【0069】
尚、その他のマンドリン50及び超音波プローブ100構成は、周知であるため、その詳しい説明は省略する。
【0070】
次に、本実施の形態の作用について簡単に説明する。
【0071】
先ず、前立腺の生検処置を行う際は、術者は、尿道に超音波プローブ100の挿入部101を挿入し、超音波振動子105にて前立腺の位置を超音波観察画像にて確認する。この際、チャンネル104に硬性鏡の挿入部を挿入して、光学観察を行いながら前立腺の位置を確認しても良い。
【0072】
次いで、術者は、チャンネル104の先端開口を、前立腺の処置位置に対向させた後、チャンネル104に、処置具挿入補助具1が接続されたマンドリン50の挿入部30を、補助具接続部20の先端がチャンネル104の基端の開口近傍に位置するまで挿入する。
【0073】
その結果、挿入部30の先端は、チャンネル104の先端近傍に位置する。尚、光学観察を行わない場合は、尿道に挿入部101を挿入する前に、チャンネル104に挿入部30を挿入しておいても良い。
【0074】
この状態において、術者は、マンドリン50のチャンネル31に生検針60の針61を挿入する。
【0075】
具体的には、術者は、先ず、一方の手で超音波プローブ100を把持した状態において、他方の手で生検針60の操作部62を把持する。その結果、上述したように、生検針60の針61は細長く小径なことから、針61の先端側は振動してしまう。
【0076】
次いで、術者は、操作部62を移動させ、針61の一部を、複数の凹部5の内、いずれか1つの凹部5の縁部に接触させる。尚、この際、針61の一部を、第1案内面7にも沿わす。その結果、針61は、いずれか1つの凹部5の縁部及び第1案内面7の周方向Cの中央部位において方向Nに沿って接触し、先端側の振動が止まる。
【0077】
また、この状態においては、凹部5及び第1案内面7の形状により、導入口3の外周縁において、針61が周方向Cに沿って滑ってしまうことがない。
【0078】
その後、術者は、操作部62を方向Nの後方に移動させることにより、振動の止まった針61の先端を凹部5よりも後方に移動させる。その結果、針61の先端側は、凹部5により径方向Kの内側に落ち、第3案内面9に接触する。
【0079】
尚、この際、針61の先端側が第2案内面8に接触したとしても、上述したように、第2案内面8の形状により、針61の先端側は、第3案内面9へと案内される。
【0080】
また、この際、第3案内面9を有する凸状部位6は内周面4nの部位4nbにおいて受け皿状を有しおり、第3案内面9は、周方向Cにおいて第2案内面8に挟まれていることから、針61の先端側が第3案内面9から周方向Cの外側に位置する凹部5を介して滑り落ちてしまうことがない。
【0081】
最後に、術者は、針61の先端が第3案内面9に接触している状態にて操作部62を方向Nの前方に押し込む。その結果、針61は、接続部2を介して、チャンネル31に挿入され、針61の先端側が、チャンネル31、104の各先端開口を介して、前立腺内に突出される。
【0082】
この状態にて、術者が操作部62を操作することによって、針61がさらに前方に、例えば20mm程度飛び出ることにより、前立腺の生検処置が行われる。生検処置具後は、術者は、導入口3を介して、先端に前立腺の組織が採取された針61を引き抜く。
【0083】
尚、生検処置は、複数箇所に対して行われる。即ち、針61を、処置具挿入補助具1を介してチャンネル31に挿入する作業は、生検毎に行われる。
【0084】
このように、本実施の形態においては、処置具挿入補助具1の導入口3の外周縁において、接続部2側から導入口3に向けて拡径するとともに接続部2側に凹んだ形状を有する複数の凹部5が形成されていると示した。
【0085】
このことによれば、術者は、生検針60の針61の一部を、複数の凹部5の内、いずれか1つの任意の凹部5の縁部に接触させるのみで、針61の先端側の振動を止めることができるとともに、針61が導入口3の外周縁に沿って周方向Cに滑り落ちてしまうことを凹部5により確実に防ぐことができる。
【0086】
また、凹部5の縁部に針61の一部を接触させた状態にて、針61を後方に移動させるのみにより、針61の先端は、凹部5を介して処置具挿入補助具1内に落ち、誘導部4の内周面4nに接触することから、その後、針61を押し込むだけで、容易に針61をマンドリン50のチャンネル31に挿入することができる。
【0087】
また、本実施の形態においては、複数の凹部5は、導入口3の外周縁において、等間隔に奇数設けられていることにより、凹部5は、径方向Kにおいて凸状部位6に対向していると示した。
【0088】
このことによれば、針61の先端側の振動を凹部5にて止め、針61を後方に引いて、針61の先端を内周面4nに落とした際、針61の先端側は、必ず、凸状部位6の内周面4nの部位4nbに設けられた第3案内面9に接触することから、針61が処置具挿入補助具1外に滑り落ちてしまうことがない。
【0089】
以上から、被検体挿入具のチャンネルに処置具を挿入して複数箇所の処置を行う際、術者1人でも処置具を容易に被検体挿入具のチャンネルに挿入させやすい構成を有する処置具挿入補助具1を提供することができる。
【0090】
尚、以下、変形例を、図6を用いて示す。図6は、図1の凹部を偶数から非等間隔に構成した処置具挿入補助具の変形例を、被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図である。
【0091】
上述した本実施の形態においては、複数の凹部5は、奇数から周方向Cにおいて等間隔に構成されていることにより、導入口3における周方向Cにおいて凹部5同士に挟まれた誘導部4の複数の凸状部位6に対し、凹部5は、径方向Kにおいて導入口3の中心を挟んで対向していると示した。
【0092】
これに限らず、図6に示すように、複数の凸状部位6の内、いずれか1つの凸状部位6lのみを、周方向Cに長く形成することにより、複数の凹部5を偶数、例えば4つから構成し、周方向Cにおいて非等間隔に形成しても良い。
【0093】
このような構成によれば、径方向Kにおいて、凸状部位6は、凹部5に対向することから、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。尚、その他の効果は、上述した本実施の形態と同じである。
【0094】
(第2実施の形態)
図7は、本実施の形態の処置具挿入補助具を被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図、図8は、図7の処置具挿入補助具が接続された被検体挿入具を示す斜視図、図9は、前立腺の生検処置を、12箇所行う場合の針の穿刺位置を概略的に示す図である。
【0095】
この第2実施の形態の処置具挿入補助具の構成は、上述した図1図5に示した第1実施の形態の処置具挿入補助具と比して、複数の凹部の凹む長さと、複数の凹部が6つから構成されている点が異なる。
【0096】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0097】
図7図8に示すように、本実施の形態においては、処置具挿入補助具1の導入口3の外周縁に設けられる複数の凹部5は、方向Nにおいて接続部2側から導入口3側に向けて拡径するとともに接続部2側にN1よりも小さいN2(N2<N1)だけ凹んだ形状を有している。
【0098】
また、複数の凹部5は、導入口3の外周縁において、6つ設けられているとともに、導入口3の周方向Cにおいて60°間隔にて等間隔に設けられている。
【0099】
よって、本実施の形態においては、凹部5は、径方向Kにおいて導入口3の中心を挟んで凹部5に対向している。
【0100】
尚、その他の構成は、上述した第1実施の形態と同じである。
【0101】
次に、本実施の形態の作用について説明する。尚、第1実施の形態と同じ作用は記載を省略する。
【0102】
術者が、マンドリン50のチャンネル31に生検針60の針61を挿入する際は、操作部62を移動させ、針61の一部を、複数の凹部5の内、いずれか1つの凹部5の縁部に接触させる。
【0103】
尚、この際、針61の一部を、第1案内面7にも沿わす。その結果、針61は、いずれか1つの凹部5の縁部及び第1案内面7の周方向Cの中央部位において方向Nに沿って接触し、先端側の振動が止まる。
【0104】
また、この状態においては、凹部5及び第1案内面7の形状により、導入口3の外周縁において、針61が周方向Cに沿って滑ってしまうことがない。
【0105】
その後、術者は、操作部62を方向Nの後方に移動させることにより、振動の止まった針61の先端を凹部5よりも後方に移動させる。その結果、針61の先端側は、凹部5により径方向Kの内側に落ちる。
【0106】
この際、本実施の形態においては、径方向Kにおいて、凹部5に凹部5が対向してしまっているが、凹部5の方向Nにおける長さがN2と極めて短いことから、径方向Kにおいて処置具挿入補助具1内に落ちた針61の先端側が、凹部5を介して、処置具挿入補助具1外へ落ちてしまうことがなく、第2案内面8へと落ちる。その後、第2案内面8の形状により、針61の先端側は、第3案内面9へと案内される。
【0107】
その後、術者は、針61の先端が第3案内面9に接触している状態にて操作部62を方向Nの前方に押し込む。その結果、針61は、接続部2を介して、チャンネル31に挿入され、針61の先端側が、チャンネル31、104の各先端開口を介して、前立腺内に突出される。
【0108】
この状態にて、術者が操作部62を操作することによって、針61がさらに前方に、例えば20mm程度飛び出ることにより、前立腺の生検処置が行われる。生検処置具後は、術者は、導入口3を介して、先端に前立腺の組織が採取された針61を引き抜く。
【0109】
ここで、図9に示すように、前立腺の生検処置は、複数箇所に対して行われるのが一般的である。
【0110】
具体的には、図9に示すように、術者は超音波プローブ100の挿入部101を60°毎に回転させる度に、針61を前方に突出させ、前立腺における方向Nにおける部位N10にて、6箇所の穿刺を行う既知の六分儀生検を行うとともに、挿入部10をさらに膀胱側に押し込み、前立腺における方向Nにおける部位N20にて、挿入部101を60°毎に回転させる度に、針61を前方に突出させることにより、再度6箇所の六分儀生検を行う、既知の12Core生検を行う手法が周知である。
【0111】
尚、針61を、処置具挿入補助具1を介してチャンネル31に挿入する作業は、1箇所の生検毎に行われる。
【0112】
この12Core生検において、挿入部101を60°毎に回転させると、チャンネル104に挿入されているマンドリン50も60°毎に回転するため、処置具挿入補助具1も60°毎に回転する。
【0113】
ここで、上述したように、本実施の形態においては、導入口3の外周縁において、凹部5が等間隔に6つ設けられている、即ち60°毎に設けられている。
【0114】
このことから、各箇所の生検処置の際、術者は、針61の先端側の振動を止めるため、例えば上方から凹部5の縁部に針61の一部を接触させる手法を用いる場合、上述した第1実施の形態においては、凹部5は5つであることから、凹部5が上方を指向している状態において、処置具挿入補助具1を60°回転させると、次の凹部5は上方を指向せず、凹部5に対する針61の接触作業が行い難くなるばかりか、60°の回転は、術者の感覚にて行うしかない。
【0115】
しかしながら、本実施の形態においては、凹部5は、6つ、60°毎に設けられていることから、処置具挿入補助具1を60°回転させても、次の凹部5は必ず上方に位置する。
【0116】
よって、針61の先端側の振動を止める作業が行いやすくなるばかりか、術者は、回転前、凹部5が上方を指向している状態において、回転後、隣り合う凹部5が、例えば上方を指向していれば、60°回転させていることを容易に認識することができる。
【0117】
以上のように、本実施の形態の構成であっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができる他、第1実施の形態よりも12Core生検作業が行いやすくなる。
【0118】
尚、上述した第1、第2実施の形態においては、処置具は、生検針60を例に挙げて示したが、これに限らず、処置具は、細長く径の小さい他の外科分野で使用される基本的には金属製で剛性を有する硬性処置具である吸引菅や探触子等であっても良いことは勿論であるが、チューブ等の軟性処置具であっても良い。
【0119】
また、上述した第1、第2実施の形態においては、処置具挿入補助具1は、樹脂から形成されていると示した。この場合、処置具挿入補助具を形成する際、加工しやすくなる利点があるが、処置具挿入補助具1の内周面に針61の針先が引っ掛かりやすくなってしまうといった欠点もあり、生検処置が行い難くなってしまう。
【0120】
そこで、処置具挿入補助具1は、金属から形成されていても構わない。尚、金属としては、特に硬度、靱性の高い材料が好ましい。一例として、オーステナイト系のステンレス鋼(JIS規格SUS304)が挙げられる。
【0121】
金属を用いた場合の加工方法としては、機械加工による削り出し、ロストワックス等の鋳造、MIM等の焼結、ステンレス鋼板のプレス加工等が挙げられる。
【0122】
さらに詳しくは、硫黄(S)やセレン(Se)を含む快削ステンレス鋼(JIS規格SUS303)は刃具が食い込みやすく加工し易いだけに針61の針先が引っ掛かりやすくなってしまうため適していない。
【0123】
尚、快削ステンレス鋼であっても、バフ研磨、化学研磨等により、表面の平滑処理を行えば用いることができる。
【0124】
このように、処置具挿入補助具1を金属から形成すれば、材質が特に靱性に優れるため、針61の針先が接触しても容易に引っ掛かってしまうことがない。また、針61よりも硬度が低いことから、針61の針先を損傷してしまうことがない。
【0125】
また、処置具挿入補助具1は、加工や成型の容易さを優先して大部分を樹脂または硬度の低い金属から形成しても構わない。
【0126】
具体的には、樹脂から形成する場合は、樹脂の表面に無電解ニッケルめっきにより金属Niの膜を形成し、ささに、その上に硬質なクロム(Cr)メッキを施せば良い。
【0127】
金属から形成する場合は、アルミニウム(Al)またはマグネシウム(Mg)のダイキャストかロストワックスから構成する。
【0128】
尚、マグネシウムの場合は、チクソモールディングでもよい。この場合、樹脂製と同様、無電解ニッケルめっきの後に、クロムメッキを施せば良い。表面のクロム層は、硬質ではあるが、削り加工に比べ表面が平滑なため、針61の針先が引っ掛かり難い。
【0129】
このような構成によれば、上述したステンレス鋼に比べ、処置具挿入補助具1の加工や成形が容易となる。
【0130】
さらに、上述した第1、第2実施の形態においては、処置具挿入補助具1に、第2案内面8、第3案内面9が設けられた構成を例に挙げて示した。これに限らず、最低限、複数の凹部5が形成されているのみの構成でも、針61の先端側の振動を防ぐことができるとともに、導入口3の外周縁において周方向Cに沿って針61の先端側が滑り落ちてしまうことを防ぐことができる。
【0131】
尚、以下、変形例を、図10を用いて示す。図10は、処置具挿入補助具の複数の凹部の変形例を、被検体挿入具の補助具接続部とともに示す斜視図である。
【0132】
上述した第1、第2実施の形態においては、処置具挿入補助具1において、導入口3の外周縁に形成される複数の凹部5は、接続部2側から導入口3側に向けて拡径するとともに、接続部2側に凹んだ形状を有している、即ち、方向Nにおいて、長さN1またはN2だけ凹んでいると示した。
【0133】
これに限らず、図10に示すように、複数の凹部5’は、導入口3の外周縁のみに、方向Nにおいて延在しないとともに内周面4nに連通することなく形成されていても構わない。
【0134】
一例として、図10に示すように、各凹部5’は、針61の外形の2倍程度の曲率半径を有する円弧状の底面を有するよう、導入口3の外周縁に対して、10°毎に36個形成されていてもよい。尚、凹部5’の底面の大きさ、凹部5’の数は、適宜選択可能である。
【0135】
このように、図10に示す構成においても、針61の一部が凹部5’に接触されることにより、凹部5’は、上述した第1、第2実施の形態の凹部5と同様に、針61の先端側の振動を止めることができるとともに、針61が、導入口3の外周縁において周方向Cに沿って滑り落ちてしまうことを複数の凹部5’により防止することができる。
【0136】
尚、図10に示す構成において、先端側の振動が静止された針61を処置具挿入補助具1内に進入させる際は、術者は、針61を方向Nの後方に針61の先端が導入口3よりも後方に位置するよう引き、その後、針61の先端を、導入口3を介して処置具挿入補助具1内に押し込むことにより、内周面4nの傾斜を利用して行う。このため、凹部5、5’の形状を利用できない分、上述した第1、第2実施の形態よりも針61の先端側を処置具挿入補助具1内に進入させ難い。
【0137】
しかしながら、処置具挿入補助具1の形状が第1、第2実施の形態よりも単純になるため、簡単な機械加工で処置具挿入補助具1を形成することができる。このため、処置具挿入補助具1を形成する材料を、金属にすることが容易に実現できることから、針61の針先の食い込みも容易に防ぐことが可能となる。
【0138】

本出願は、2014年9月9日に日本国に出願された特願2014−183513号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。
【要約】
被検体挿入具のチャンネルに接続される接続部2と、接続部2を介してチャンネルに挿入される処置具の導入口3と、導入口3から接続部2にかけて先細りとなる筒状の誘導部4と、導入口3の外周縁に設けられた、接続部2側から導入口3側に向けて拡径するとともに、接続部2側に凹んだ形状を有する複数の凹部5と、を具備する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10