特許第5977907号(P5977907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977907カプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977907
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】カプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160817BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20160817BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160817BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20160817BHJP
   H04N 5/243 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A61B1/00 320B
   A61B1/04 362J
   A61B1/04 370
   H04N5/225 F
   H04N5/232 Z
   H04N5/243
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-520117(P2016-520117)
(86)(22)【出願日】2015年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2015077074
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-240323(P2014-240323)
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】三津橋 桂
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013-511320(JP,A)
【文献】 特開2008-264539(JP,A)
【文献】 特開2005-20755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 5/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部で取得された明るさ情報を記憶する記憶部と、
前記撮像部で取得された明るさ情報と、前記明るさ情報を取得する直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された明るさ情報とを比較し、比較結果が閾以下である場合、前記撮像部で明るさ情報を取得、取得された前記明るさ情報と、直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報と比較し、比した結果が前記閾値より大きい場合、前記撮像部画像撮像させ、撮像された前記画像を前記記憶部に記憶する、または、前記カプセル型内視鏡に設けられた送信部によって前記カプセル型内視鏡の外部に前記画像を送信させるように制御する制御部と、
を備えることを特徴とするカプセル型内視鏡。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像の前記記憶あるいは前記送信の終了に続いて、前記撮像部で明るさ情報を取得、取得された前記明るさ情報と、直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報と比較することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項3】
前記制御部は、前記撮像部で取得された明るさ情報と、前記明るさ情報を取得する直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報とを所定の間隔で比較し、前記比較結果が前記閾値以下である場合、前記撮像部での画像の撮像、及び、前記送信部による送信を行わないように制御することを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項4】
前記明るさ情報は、前記撮像の中心画素を含む前記撮像の一部の画素から取得されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項5】
前記明るさ情報は、前記撮像の撮像画素が配置されている面の4隅近傍の4つの部分の画素である前記撮像の一部の画素から取得されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項6】
前記明るさ情報は、前記撮像の画素のうち表示に使用される画素の周辺に位置し、画面に再生表示されない位置に相当する画素から取得されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項7】
前記撮像は、第1の画素群と第2の画素群とを有し、
前記明るさ情報は、前記第1の画素群から得られた情報に対してゲインアップを行わない第1の情報が生成され、前記第2の画素群から得られた情報に対して第1の量のゲインアップを行った第2の情報が生成され、前記第1の情報及び前記第2の情報に基づいて取得されることを特徴とする請求項1に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項8】
前記撮像は、さらに第3の画素群を有し、
前記明るさ情報は、前記第3の画素群から得られた情報に対して前記第1の量のゲインアップより多い第2の量のゲインアップを行った第3の情報が生成され、前記第1の情報、前記第2の情報及び前記第3の情報に基づいて取得されることを特徴とする請求項7に記載のカプセル型内視鏡。
【請求項9】
撮像部と、前記撮像部で取得された明るさ情報を記憶する記憶部と、前記撮像部で取得された明るさ情報と、前記明るさ情報を取得する直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された明るさ情報とを比較し、比較結果が閾以下である場合、前記撮像部で明るさ情報を取得、取得された前記明るさ情報と、直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報と比較し、比した結果が前記閾値より大きい場合、前記撮像部画像撮像させ、撮像された前記画像を前記記憶部に記憶する、または、前記カプセル型内視鏡に設けられた送信部によって前記カプセル型内視鏡の外部に前記画像を送信させるように制御する制御部と、を有するカプセル型内視鏡と、
記送信部により外部に送信された前記画像を受信する受信部と、前記受信部で受信された前記画像を記憶する外部記憶部と、を有する外部装置と、
を備えることを特徴とするカプセル型内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の内部に導入され、生体内の情報を取得可能なカプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野における内視鏡は、生体内の観察等の用途において従来用いられている。この内視鏡の1つとして、被検体が嚥下することにより体腔内に配置され、蠕動運動に伴って体腔内を移動しつつ被検体の像を撮像し、撮像した被検体の像を撮像信号として外部に無線伝送可能なカプセル型内視鏡が近年提案されている。
【0003】
このようなカプセル型内視鏡は、通常、1秒間に2コマの撮影を行うことが多い。1秒間に2コマの撮影が設定されるのは、カプセル型内視鏡が体腔内に位置する時間は非常に長い一方、カプセル型内視鏡に内蔵されているバッテリ容量には限界があるためである。
【0004】
ところで、カプセル型内視鏡の体腔内での移動は、蠕動運動等に依存しているため、体腔内の特定の場所に長時間滞留することは十分に起こり得る。一方、画像の撮像は、この滞留中であっても定期的に行われるため、全く同一の画像が繰り返し取得されることとなるが、診断に寄与する画像はこの画像のうち1コマだけでよく、それ以外の画像は無駄となってしまう。
【0005】
そのため、特開2005−20755号公報には、撮影された画像を先に伝送された画像と比較し、例えば、先に撮影された画像とは実質的に異なる撮影画像だけを外部の受信装置に伝送することで、消費するエネルギを節約するカプセル型内視鏡が提案されている。
【0006】
しかしながら、特開2005−20755号公報のカプセル型内視鏡では、先に伝送された画像と同一の画像は伝送されないが、このような画像を撮像すること自体が完全に無駄な画像を撮像することになる。また、このような伝送されない無駄な画像を撮像することは、電力の無駄になるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、無駄な画像の撮像を防止し、消費電力を低減することができるカプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のカプセル型内視鏡は、撮像部と、前記撮像部で取得された明るさ情報を記憶する記憶部と、前記撮像部で取得された明るさ情報と、前記明るさ情報を取得する直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された明るさ情報とを比較し、比較結果が閾以下である場合、前記撮像部で明るさ情報を取得、取得された前記明るさ情報と、直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報と比較し、比した結果が前記閾値より大きい場合、前記撮像部画像撮像させ、撮像された前記画像を前記記憶部に記憶する、または、前記カプセル型内視鏡に設けられた送信部によって前記カプセル型内視鏡の外部に前記画像を送信させるように制御する制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様のカプセル型内視鏡システムは、撮像部と、前記撮像部で取得された明るさ情報を記憶する記憶部と、前記撮像部で取得された明るさ情報と、前記明るさ情報を取得する直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された明るさ情報とを比較し、比較結果が閾以下である場合、前記撮像部で明るさ情報を取得、取得された前記明るさ情報と、直前に前記撮像部で取得され前記記憶部に記憶された前記明るさ情報と比較し、比した結果が前記閾値より大きい場合、前記撮像部画像撮像させ、撮像された前記画像を前記記憶部に記憶する、または、前記カプセル型内視鏡に設けられた送信部によって前記カプセル型内視鏡の外部に前記画像を送信させるように制御する制御部と、を有するカプセル型内視鏡と、前記送信部により外部に送信された前記画像を受信する受信部と、前記受信部で受信された前記画像を記憶する外部記憶部と、を有する外部装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る内視鏡システムの使用形態を説明するための図である。
図2】第1の実施形態の係るカプセル型内視鏡及び受信装置の詳細な構成を説明するための図である。
図3】プレ露光を行うプレ露光エリアについて説明するための図である。
図4】露光タイミングについて説明するための図である。
図5A】プレ露光の間隔について説明するための図である。
図5B】プレ露光の間隔について説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係るカプセル型内視鏡10の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】プレ露光エリア13aの拡大図である。
図8】第2の実施形態に係るカプセル型内視鏡10の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、図1図5Bを用いて本発明の第1の実施形態の内視鏡システムの構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る内視鏡システムの使用形態を説明するための図であり、図2は、第1の実施形態の係るカプセル型内視鏡及び受信装置の詳細な構成を説明するための図であり、図3は、プレ露光を行うプレ露光エリアについて説明するための図であり、図4は、露光タイミングについて説明するための図であり、図5A及び図5Bは、プレ露光の間隔について説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、カプセル型内視鏡システムである内視鏡システム1は、カプセル型内視鏡10と、外部装置としての受信装置20とを有して構成されている。
【0014】
カプセル型内視鏡10は、被験者2が嚥下することにより体内の消化器管腔に導入される。カプセル型内視鏡10は、例えば、図2に示すように、電池11と、被写体を照明する照明部12と、被写体を撮像する撮像部としての撮像素子13と、撮像された撮像信号(内視鏡画像)を無線送信する画像送信部14と、後述する測光結果を一時的に記憶する記憶部としてのメモリ15と、カプセル型内視鏡10全体の制御を行う制御部16とを有し、これらが筐体内に収容されて要部が構成されている。
【0015】
一方、被験者2の体外に配置する受信装置20は、カプセル型内視鏡10からの撮像信号を受信するアンテナユニット21と、被験者2が例えば腰部に装着する本体部25と、を有する。本体部25は、図2に示すように、カプセル型内視鏡10から無線送信された撮像信号(内視鏡画像)を、アンテナユニット21を介して受信する画像受信部22と、アンテナユニット21を介して画像受信部22が受信した内視鏡画像を記憶する外部記憶部としての外部メモリ23と、画像受信部22で受信した内視鏡画像または外部メモリ23に記憶された内視鏡画像を表示する表示部24と、を有して構成されている。
【0016】
本実施形態のカプセル型内視鏡10は、画像の撮像を行う前にプレ露光を行って測光を行う。すなわち、制御部16は、カプセル型内視鏡10に設けられている照明部12を発光するとともに、撮像素子13により撮像を行う。制御部16は、この撮像において、撮像素子13の全ての画素情報を使用せず、後述するプレ露光エリアの一部の画素情報のみから、画像の明るさ情報を取得する(すなわち、測光を行う)ものである。なお、以下の説明では、プレ露光エリアの画素情報で行う測光をプレ測光ともいう。
【0017】
図3に示すように、撮像素子13の中心画素を含むようにプレ露光エリア13aを設け、制御部16は、この一部の画素情報、すなわち、プレ露光エリア13aから得られる情報に基づいて、明るさ情報を取得する。なお、撮像素子13に設けられるプレ露光エリアは、中心画素を含むように設けられたプレ露光エリア13aに限定されるものではない。
【0018】
例えば、撮像素子13が配置されている面の4隅近傍に4つのプレ露光エリア13bを設け、制御部16は、これらの4つのプレ露光エリア13bから得られる情報に基づいて、明るさ情報を取得するようにしてもよい。
【0019】
また、撮像素子13の画素のうち表示に使用される画素領域13dの周辺に位置し、モニタ画面に再生表示されない位置に4つのプレ露光エリア13cを設け、制御部16は、これらの4つのプレ露光エリア13cから得られる情報に基づいて、明るさ情報を取得するようにしてもよい。すなわち、プレ露光エリア13cは、表示に使用される画素領域13dの外側に設けられた、黒を検出するためのオプティカルブラックと呼ばれる領域に設けられる。
【0020】
さらに、制御部16は、プレ露光エリア13a、13bまたは13cから得られる情報に基づいて明るさ情報を取得することに限定されることなく、例えば、プレ露光エリア13a及び4つのプレ露光エリア13bを組み合わせ、これらのプレ露光エリア13a及び13bから得られる情報に基づいて、明るさ情報を取得するようにしてもよい。
【0021】
制御部16は、このように取得された明るさ情報(プレ測光結果)をメモリ15に一時的に記憶する。そして、制御部16は、図4に示すように、プレ測光動作が終了すると、次のプレ露光及びプレ測光動作を行う。プレ露光及びプレ測光動作は、上述した内容であり、同じプレ露光及びプレ測光動作が行わることになる。
【0022】
ここで、プレ露光の間隔について図5A及び図5Bを用いて説明する。本実施形態では、プレ露光の間隔について以下の2つのパターンを想定しているが、これに限定されることなく、他のパターンであってもよい。
【0023】
1つ目のパターンは、図5Aに示すように、プレ露光の間隔を最少、すなわち、可能な限り短くするパターンである。このように、プレ露光の間隔を最少にすることにより、カプセル型内視鏡10の動きを見逃さないようにすることができる。
【0024】
すなわち、従来のカプセル型内視鏡は、1秒間に2フレームの撮像画像を取得するが、図5Aでは、プレ露光の間隔を最少にすることにより、カプセル型内視鏡10の動きがある場合、1秒間に3フレーム以上の撮像画像を取得することも可能となり、病変部等の見逃しを防止することができる。
【0025】
2つ目のパターンは、図5Bに示すように、プレ露光の間隔を所定の間隔にするパターンである。なお、図5Bの例では、プレ露光の間隔を2fpsとしているが、これに限定されることなく、他の間隔であってもよい。図5Bの例の場合、カプセル型内視鏡10に動きがある場合、従来と同様に1秒間に2フレームの撮像画像を取得するが、カプセル型内視鏡10に動きがない場合、1秒間に1フレームの撮像画像が取得される、あるいは、撮像画像の取得が全く行われないため、従来に比べてカプセル型内視鏡10の消費電力を低減することができる。
【0026】
制御部16は、この2回目のプレ測光で得られた明るさ情報を、メモリ15に記憶された前回の明るさ情報と比較する。具体的には、制御部16は、例えば、2回目のプレ露光で得られた明るさ情報とメモリ15に記憶された前回の明るさ情報との差分を算出する。制御部16は、比較結果が所定の閾値以内であれば、カプセル型内視鏡10は2回の測光動作の間において、動いていない(滞留している)と判断する。制御部16は、カプセル型内視鏡10が動いていないと判断した場合、さらに次のプレ露光及びプレ測光動作に進む。制御部16は、このようなプレ露光及びプレ測光動作を繰り返しているうちに、最新の明るさ情報と前回の明るさ情報との比較結果が所定の閾値より大きくなった場合、カプセル型内視鏡10が動いたと判断する。
【0027】
なお、制御部16は、例えばプレ露光エリア13bまたは13cのように、プレ露光エリアが複数ある場合、各プレ露光エリアの明るさ情報の変化からカプセル型内視鏡10の動きを判定する。制御部16は、各プレ露光エリアでの明るさ情報が少なくとも1箇所でも変化した場合、カプセル型内視鏡10に動きがあったと判定する。なお、制御部16は、各プレ露光エリアでの明るさ情報の全てが変化した場合に、カプセル型内視鏡10に動きがあったと判定してもよい。
【0028】
例えば、図4に示すように、時間t1の後のプレ露光から得られた明るさ情報と前回の明るさ情報との比較結果が所定の閾値より大きくなった場合、制御部16は、カプセル型内視鏡10が動いたと判断し、プレ測光動作に続いて、画像の撮像、すなわち、本露光を行う。画像の撮像は、撮像素子13の全ての画素情報、ここでは、モニタに表示される画像となる画素全てを含んだ撮像素子13の略全ての画素情報を取得する。
【0029】
制御部16は、撮像素子13により取得された画素情報に所定の信号処理を施して得られた画像信号を画像送信部14に出力する。画像送信部14は、制御部16により所定の信号処理が施された画像信号を外部の受信装置20に向けて無線送信する。なお、画像送信部14は、画像信号を外部の受信装置20に送信しているが、制御部16を介してカプセル型内視鏡10内のメモリ15に記憶するようにしてもよい。
【0030】
無線送信された画像信号は、外部のアンテナユニット21を介して画像受信部22により受信される。画像受信部22は、受信した画像信号を外部メモリ23に記憶したり、表示部24に出力して内視鏡画像を表示する。なお、受信装置20は、カプセル型内視鏡10から画像信号(内視鏡画像)を受信した際に、内視鏡画像にタイムスタンプを付加して外部メモリ23に記憶するようにしてもよい。
【0031】
制御部16は、このような画像の撮像から画像の送信までの一連の処理が終了すると、再度、プレ露光及びプレ測光動作を開始し、上述した処理を繰り返すことになる。すなわち、制御部16は、プレ測光の結果得られた明るさ情報がメモリ15に記憶された明るさ情報、ここでは、直前に画像の撮像が行われているため、その画像の撮像を行うと判断した最新の明るさ情報と比較し、カプセル型内視鏡10が動いているか否かを判定する。制御部16は、カプセル型内視鏡10が動いていないと判定した場合、プレ露光及びプレ測光動作を継続し、カプセル型内視鏡10が動いていると判定した場合、本露光により画像の撮像を行い、得られた画像信号のデータ送信を行う。
【0032】
次に、このように構成されたカプセル型内視鏡10の動作について説明する。
【0033】
図6は、第1の実施形態に係るカプセル型内視鏡10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0034】
まず、調光の目標値及びエリアが設定され(ステップS1)、プレ露光エリアが設定される(ステップS2)。次に、調光の目標値及びエリアと、プレ露光エリアとにより調光の目標値が算出される(ステップS3)。次に、プレ露光が実行され(ステップS4)、プレ測光が実行される(ステップS5)。
【0035】
プレ測光値と直前のプレ測光値との差分が所定の閾値以内か否かが判定される(ステップS6)。プレ測光値と直前のプレ測光値との差分が所定の閾値以内の場合、YESとなり、ステップS4に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、プレ測光値と直前のプレ測光値との差分が所定の閾値より大きい場合、NOとなり、プレ測光値と調光の目標値との差分が算出され、露光量が算出及び設定される(ステップS7)。
【0036】
次に、設定された露光量により本露光が実行され(ステップS8)、ステップS8で取得された内視鏡画像のデータが送信され(ステップS9)、ステップS4に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0037】
以上のように、カプセル型内視鏡10が動いていると判定された場合には、画像が所定の間隔で連続的に撮像され、カプセル型内視鏡10が動いていないと判定された場合には、画像の撮像が行われない状態が継続する。この結果、カプセル型内視鏡10により撮像された画像群は、例えば1秒間で2コマというような概念に全く拘束されることなく、ランダムな時間間隔で撮像されることになる。
【0038】
また、本実施形態のカプセル型内視鏡10は、プレ露光及びプレ測光を行うことにより明るさを測定し、この明るさ情報を前回測定された明るさ情報と比較することで、カプセル型内視鏡10の動きを検出した後に画像の撮像を行うようにしている。そのため、カプセル型内視鏡10は、無駄な画像を撮像することなく、消費電力を低減することができる。
【0039】
さらに、カプセル型内視鏡10は、撮像素子13の一部の領域であるプレ露光エリア13aにおいてプレ露光を実行することで、露光の時間を短縮するとともに、露光エリアを小さくすることでプレ測光の時間を短縮することができる。また、プレ露光及びプレ測光は、本露光より短い時間で実行することができるため、カプセル型内視鏡10の動きをより高速に検出し、最適なタイミングで画像の撮像を行うことができる。
【0040】
よって、本実施形態のカプセル型内視鏡及びカプセル型内視鏡システムによれば、無駄な画像の撮像を防止し、消費電力を低減することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態のカプセル型内視鏡10では、例えば、撮像する対象部位が暗い場合から明るい場合までの幅が広い際、すなわち、明るさ量が非常に小さいまたは非常に大きい場合には、測光値が非常に小さくまたは非常に大きくなり、正確な明るさ情報を取得できない虞がある。そこで、第2の実施形態では、撮像する対象部位が暗い場合から明るい場合までの幅が広い際でも、正確に明るさ情報を取得することができるカプセル型内視鏡10について説明する。
【0042】
なお、第2の実施形態のカプセル型内視鏡10の全体構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と異なる構成についてのみ説明する。第2の実施形態では、プレ露光エリアに複数の画素エリアを設けるようにしている。以下の説明では、図3のプレ露光エリア13aについて説明するが、プレ露光エリア13b及び13cについても同様に構成することができる。
【0043】
図7は、プレ露光エリア13aの拡大図である。図7に示すように、プレ露光エリア13aは、4つの画素エリア13a1、13a2、13a3、及び、13a4を有して構成されており、これらの画素エリア13a1、13a2、13a3、及び、13a4がモザイク状に配置されている。なお、プレ露光エリア13aは、4つの画素エリア13a1、13a2、13a3、及び、13a4を有して構成されているが、これに限定されることなく、少なくとも2つ以上の画素エリアを有していればよい。また、画素エリア13a1、13a2、13a3、及び、13a4は、モザイク状の配置に限定されることなく、例えば並列に配置されていてもよい。
【0044】
これらの画素エリア13a1、13a2、13a3、及び、13a4は、それぞれ異なるゲインが設定されている。画素エリア13a1は、ゲインアップを全く行わないゲイン0dbのエリアであり、画素エリア13a2は、6dbのゲインアップを行うエリアである。また、画素エリア13a3は、12dbのゲインアップを行うエリアであり、画素エリア13a4は、18dbのゲインアップを行うエリアである。なお、ゲインアップ量は、上述した6db、12db、18dbに限定されることなく、他のゲインアップ量であってもよい。
【0045】
制御部16は、各画素エリア13a1〜13a4で取得された測光値と、前回のプレ露光により各画素エリア13a1〜13a4で取得された測光値とを比較し、比較結果がいずれの画素エリア13a1〜13a4でも所定の閾値以内であるか否かを判定し、カプセル型内視鏡10の動きを検出する。
【0046】
制御部16は、いずれの画素エリア13a1〜13a4でも比較結果が所定の閾値以内の場合、カプセル型内視鏡10が動いていないと判定し、1つでも比較結果が所定の閾値より大きい場合、カプセル型内視鏡10が動いていると判定する。
【0047】
次に、このように構成されたカプセル型内視鏡10の動作について説明する。
【0048】
図8は、第2の実施形態に係るカプセル型内視鏡10の動作を説明するためのフローチャートである。なお、図8において、図6と同様の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
ステップS4において、プレ露光が実行されると、各画素エリア13a1〜13a4毎にプレ測光が実行される(ステップS11)。各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値と直前の各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値との差分が所定の閾値以内か否かが判定される(ステップS12)。
【0050】
各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値と直前の各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値との差分が所定の閾値以内と判定された場合、YESとなり、ステップS4に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値と直前の各画素エリア13a1〜13a4のプレ測光値との差分のいずれかが所定の閾値より大きい場合、NOとなり、ステップS7に進み、プレ測光値と調光の目標値との差分が算出され、露光量が算出及び設定される。その後、ステップS8において、設定された露光量により本露光が実行され、ステップS9において、ステップS8で取得された内視鏡画像のデータが送信された後、ステップS4に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0051】
以上のように、本実施形態のカプセル型内視鏡10では、プレ露光エリア13aにそれぞれ異なるゲインの画素エリア13a1〜13a4を設けるようにしている。このような構成により、例えば、撮像する対象部位が暗い場合、ゲイン0dbの画素エリア13a1では明るさ量が非常に小さくなるため、測光値が非常に小さくなってしまい正確な明るさ情報を取得できないが、6db、12db、及び、18dbのゲインアップを行う画素エリア13a2、13a3、及び、13a4をモザイク状に設けることにより、例えば12dbにゲインアップした画素において十分な測光情報(明るさ情報)を得ることができる。
【0052】
また、このような構成により、例えば、撮像する対象部位が明るい場合、6db、12db、及び、18dbのゲインアップを行う画素エリア13a2、13a3、及び、13a4では明るさ情報が非常に大きくなるため、測光値が非常に大きくなってしまい正確な明るさ情報が取得できないが、ゲイン0dbの画素エリア13a1を設けることにより、ゲインアップを行わない画素において十分な測光情報を得ることができる。
【0053】
この結果、本実施形態のカプセル型内視鏡10は、プレ露光の時間を変更または長くすることなく、第1の実施形態に比べてダイナミックレンジを広くすることができるという効果を有するものである。
【0054】
なお、本明細書における各フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0056】
本出願は、2014年11月27日に日本国に出願された特願2014−240323号公報を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
カプセル型内視鏡10は、撮像素子13と、撮像素子13で取得された明るさ情報を記憶するメモリ15と、撮像素子13で取得された明るさ情報と、明るさ情報を取得する直前に撮像素子13で取得されメモリ15に記憶された明るさ情報とを比較し、比較結果が所定の閾値以内の場合、さらに撮像素子13で明るさ情報を取得するとともに、取得された明るさ情報を直前に撮像素子13で取得されメモリ15に記憶された明るさ情報との比較をさらに行う一方、比較結果が所定の閾値より大きい場合、撮像素子13で画像の撮像を行い、撮像された画像をメモリ15に記憶する、または、カプセル型内視鏡10に設けられた画像送信部14によってカプセル型内視鏡10の外部に送信するように制御する制御部16と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8