特許第5977908号(P5977908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5977908把持処置ユニット、把持処置具及び把持処置システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977908
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】把持処置ユニット、把持処置具及び把持処置システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   A61B18/08
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-520118(P2016-520118)
(86)(22)【出願日】2015年7月22日
(86)【国際出願番号】JP2015070886
(87)【国際公開番号】WO2016035471
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-181414(P2014-181414)
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】高篠 智之
(72)【発明者】
【氏名】武井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】田中 千博
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−144183(JP,A)
【文献】 特表2008−503290(JP,A)
【文献】 特開2001−198137(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2535013(EP,A1)
【文献】 米国特許第4527560(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08 ― 18/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を把持して処置する把持処置ユニットにおいて、
基端部から先端部に向かって延設され、外部に対して露出する外表面を有する第1のジョーと、
基端部から先端部に向かって延設され、前記第1のジョーとの間が開閉可能な第2のジョーと、
前記第1のジョーにおいて前記基端部から前記先端部までの範囲に渡って設置され、延設方向について一端である第1の延設端から他端である第2の延設端まで分岐することなく連続するとともに、電流が流れることにより前記第1の延設端から前記第2の延設端までの全長に渡って熱が発生する発熱線を備え、前記発熱線から前記熱が発生する状態において、単位面積あたりでの発熱量が前記第1のジョーの前記基端部より前記先端部で大きくなる発熱部と、
前記第1のジョーの前記外表面において前記第2のジョーに対して対向する処置面を備え、前記処置面において少なくとも先端部には、前記処置面の他の部位に比べて前記第2のジョーに向かって突出する突出部及び傾斜面が形成され、前記発熱部から伝達される伝熱量が基端部より先端部で大きくなる状態で前記処置面は前記生体組織を処置し、前記処置面に伝達された前記熱によって前記生体組織を切開するブレードと、
を具備する、把持処置ユニット。
【請求項2】
前記第1のジョーの前記ブレードは、前記処置面を形成するとともに、前記処置面に伝達された前記熱によって前記生体組織を切開する切開部を備える、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項3】
前記発熱線で前記熱が発生した前記状態での前記処置面の温度が、200℃以上350℃以下となる、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項4】
前記発熱部では、前記単位面積あたりでの前記発熱線の前記延設方向に沿った経路長が、前記第1のジョーの前記基端部より前記先端部で長くなる、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項5】
前記発熱部では、前記発熱線の前記延設方向に垂直な断面積が、前記第1のジョーの前記基端部より前記先端部で小さくなる、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項6】
前記発熱部では、前記発熱線を形成する材料の電気抵抗が、前記第1のジョーの前記基端部より前記先端部で高くなる、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項7】
前記発熱部では、前記第1のジョーの前記基端部から前記先端部に向に向かって、前記単位面積あたりでの前記発熱線からの前記発熱量が漸増する、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項8】
前記第1のジョーにおいて長手方向についての中間位置を規定した場合に、前記発熱部では、前記中間位置より基端部側の領域に比べて前記中間位置より先端部側の領域で、前記単位面積あたりでの前記発熱線からの前記発熱量が大きくなる、請求項1の把持処置ユニット。
【請求項9】
前記発熱部は、前記単位面積あたりでの前記発熱線からの前記発熱量が互いに対して異なる3以上の領域に長手方向について分割され、
前記3以上の領域では、先端部側に位置する領域ほど、前記単位面積あたりでの前記発熱線からの前記発熱量が大きくなる、
請求項1の把持処置ユニット。
【請求項10】
前記発熱線は、前記第1の延設端と前記第2の延設端との間に折返し位置を有し、
前記発熱線の前記第1の延設端及び前記第2の延設端は、前記第1のジョーにおいて前記基端部に位置し、
前記発熱線の前記折返し位置は、前記第1のジョーにおいて前記先端部に位置し、
前記発熱線は、前記第1の延設端から前記折返し位置まで先端部側に向かって延設され、前記折返し位置から前記第2の延設端まで基端部側に向かって延設される、
請求項1の把持処置ユニット。
【請求項11】
請求項1の把持処置ユニットと、
前記把持処置ユニットより基端方向側に設けられ、保持可能な保持ユニットと、
前記保持ユニットに設けられ、前記把持処置ユニットの前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間を開く又は閉じる開閉操作が入力される開閉操作入力部と、
を具備する把持処置具。
【請求項12】
請求項1の把持処置ユニットと、
前記第1の延設端及び前記第2の延設端を通して前記発熱線に供給される電力を出力し、前記電力を出力することにより、前記発熱線に前記電流を流すエネルギー源と、
を具備する把持処置システム。
【請求項13】
前記処置面の前記先端部の温度を検出する温度検出部と、
検出された前記処置面の前記先端部の前記温度に基づいて、前記処置面の前記先端部の前記温度が目標温度になる状態に、前記エネルギー源からの前記電力の出力状態を制御する制御部と、
をさらに具備する、請求項12の把持処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部(発熱体)で発生する熱を用いて把持された処置対象を処置する把持処置ユニットに関する。また、その把持処置ユニットを備える把持処置具及び把持処置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つのジョー(把持部)の間で処置対象を把持する把持処置具が開示されている。この把持処置具では、ジョーの間が開閉可能であり、一方のジョーには、複数の発熱体(発熱線)が設けられている。発熱体(発熱部)で発生した熱を用いて、ジョーの間で把持された処置対象が処置される。また、発熱体が設けられるジョーには、温度検出部として測温チップが設けられている。測温チップによって、発熱体が設けられるジョーでの温度が検出される。測温チップでの検出結果に基づいて、発熱体での発熱量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−161565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱を用いて2つのジョーの間で把持される処置対象(生体組織)を処置する一例として、長手方向についてジョーの先端部(例えば、ジョーの先端からジョーの全長の3分の1程度の寸法に渡る範囲)のみを処置対象に接触させ、熱を用いて処置対象を切開する処置(スモール・バイト・メソッド)がある。この処置では、ジョーの先端部のみが処置対象と接触するため、発熱体(発熱部)が設けられるジョーにおいて、先端部の外表面からのみ処置対象に熱が放熱され、先端部からの放熱量が大きくなる。このため、ジョーの先端部において温度が低くなり、処置対象の切開性が低下するため、処置に長時間を要してしまう。
【0005】
前記特許文献1では、発熱体に供給される電力を大きくすることにより、発熱体が設けられるジョーの全体で温度が高くなる。これにより、処置(スモール・バイト・メソッド)において処置対象と接触しない(すなわち、処置対象へ熱が放熱されない)ジョーの基端部では、過度に温度が高くなってしまう。
【0006】
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、発熱体が設けられるジョーにおいて先端部でのみ発熱体からの発熱量を大きくすることが、容易な構成で実現される把持処置ユニット、把持処置具及び把持処置システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のある態様は、生体組織を把持して処置する把持処置ユニットにおいて、基端部から先端部に向かって延設され、外部に対して露出する外表面を有する第1のジョーと、基端部から先端部に向かって延設され、前記第1のジョーとの間が開閉可能な第2のジョーと、前記第1のジョーにおいて前記基端部から前記先端部までの範囲に渡って設置され、延設方向について一端である第1の延設端から他端である第2の延設端まで分岐することなく連続するとともに、電流が流れることにより前記第1の延設端から前記第2の延設端までの全長に渡って熱が発生する発熱線を備え、前記発熱線から前記熱が発生する状態において、単位面積あたりでの発熱量が前記第1のジョーの前記基端部より前記先端部で大きくなる発熱部と、前記第1のジョーの前記外表面において前記第2のジョーに対して対向する処置面を備え、前記処置面において少なくとも先端部には、前記処置面の他の部位に比べて前記第2のジョーに向かって突出する突出部及び傾斜面が形成され、前記発熱部から伝達される伝熱量が基端部より先端部で大きくなる状態で前記処置面は前記生体組織を処置し、前記処置面に伝達された前記熱によって前記生体組織を切開するブレードと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発熱体が設けられるジョーにおいて先端部でのみ発熱体からの発熱量を大きくすることが、容易な構成で実現される把持処置ユニット、把持処置具及び把持処置システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る把持処置システムを示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る把持処置ユニットを含む把持処置具の先端部の構成を、第1のジョーと第2のジョーとの間が開いた状態で概略的に示す断面図である。
図3】第1の実施形態に係る第1のジョー及び第2のジョーを長手軸に垂直な断面で概略的に示す断面図である。
図4】第1の実施形態に係る第2のジョーの構成を部材ごとに分解して概略的に示す斜視図である。
図5】第1の実施形態に係る発熱線(発熱部)の構成を示す概略図である。
図6】第1の実施形態に係る発熱線の第1の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図7】第1の実施形態に係る発熱線の第2の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図8】第1の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図9】第1の変形例に係る発熱線の第1の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図10】第1の変形例に係る発熱線の第2の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図11】第2の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図12】第2の変形例に係る発熱線の第1の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図13】第2の変形例に係る発熱線の第2の発熱領域での延設状態を示す概略図である。
図14】第3の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図15】第4の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図16】第5の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図17】第6の変形例に係る発熱線の構成を示す概略図である。
図18】第7の変形例に係る第1のジョー及び第2のジョーを長手軸に垂直な断面で概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。
【0011】
図1は、把持処置システム1を示す図である。図1に示すように、把持処置システム1は、把持処置具2を備える。把持処置具2は、長手軸Cを有する。ここで、長手軸Cに平行な2方向の一方が先端方向(図1の矢印C1の方向)であり、先端方向とは反対方向が基端方向(図1の矢印C2)の方向となる。本実施形態では、把持処置具2は、エネルギーとして熱を用いて生体組織等の処置対象を処置する熱処置具であるとともに、高周波電力(高周波電流)を用いて処置対象を処置する高周波処置具である。
【0012】
把持処置具2は、保持ユニット(ハンドルユニット)3と、保持ユニット3の先端方向側に連結される筒状のシャフト(シース)5と、を備える。本実施形態では、シャフト5の中心軸が長手軸Cとなる。保持ユニット3は、長手軸Cに沿って延設される筒状ケース部6と、長手軸Cに対して交差するある1つの方向へ向かって筒状ケース部6から延設される固定ハンドル7と、を備える。本実施形態では、筒状ケース部6は、シャフト5と同軸に設けられ、シャフト5は、先端方向側から筒状ケース部6の内部に挿入されることにより、保持ユニット3に取付けられる。固定ハンドル7は、筒状ケース部6と一体に形成されている。また、保持ユニット3は、筒状ケース部6に回動可能に取付けられる可動ハンドル8を備える。可動ハンドル8を筒状ケース部6に対して回動させることにより、可動ハンドル8が固定ハンドル7に対して開動作又は閉動作を行う。
【0013】
保持ユニット3(筒状ケース部6)には、ケーブル11の一端が接続されている。把持処置システム1は、例えば電力生成器であるエネルギー源ユニット10を備える。ケーブル11の他端は、エネルギー源ユニット10に接続されている。本実施形態では、エネルギー源ユニット10は、熱エネルギー源(エネルギー源)12と、高周波エネルギー源13と、制御部15と、を備える。熱エネルギー源12及び高周波エネルギー源13は、例えば、電気エネルギーを出力する出力回路である。制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えるプロセッサから形成されている。また、エネルギー源ユニット10は、フットスイッチ等のエネルギー操作入力部16に電気的に接続されている。
【0014】
シャフト5の先端方向側には、把持処置ユニット20が連結されている。把持処置ユニット20は、第1の把持部である第1のジョー21と、第2の把持部である第2のジョー22と、を備える。把持処置ユニット20では、第1のジョー21と第2のジョー22との間が開閉可能である。すなわち、第1のジョー21及び第2のジョー22は、相対的に開閉可能である。
【0015】
図2は、把持処置ユニット20を含む把持処置具2の先端部の構成を示す図である。図2は、第1のジョー21と第2のジョー22との間が開いた状態を示している。図3は、第1のジョー21及び第2のジョー22を長手軸Cに垂直な断面で示す図である。図3は、第1のジョー21と第2のジョー22との間が閉じた状態を示している。
【0016】
図2及び図3に示すように、第1のジョー21は、第1のジョー軸J1を有する。第1のジョー軸J1は、第1のジョー21の中心軸であり、第1のジョー(第1の把持部)21は、基端部から先端部へ向かって第1のジョー軸J1に沿って延設されている。ここで、第1のジョー軸J1に平行な2方向が第1のジョー21のジョー長手方向(第1のジョー長手方向)となる。そして、ジョー長手方向(長手方向)の一方が第1のジョー21のジョー先端方向(第1のジョー先端方向)となり、ジョー先端方向(第1のジョー先端方向)とは反対方向が第1のジョー21のジョー基端方向(第1のジョー基端方向)となる。第1のジョー21のジョー先端方向は、第1のジョー21において先端部に向かう方向と一致し、第1のジョー21のジョー基端方向は、第1のジョー21において基端部に向かう方向と一致する。
【0017】
また、第2のジョー22は、第2のジョー軸J2を有する。第2のジョー軸J2は、第2のジョー22の中心軸であり、第2のジョー(第2の把持部)22は、基端部から先端部へ向かって第2のジョー軸J2に沿って延設されている。ここで、第2のジョー軸J2に平行な2方向が第2のジョー22のジョー長手方向(第2のジョー長手方向)となる。そして、ジョー長手方向(長手方向)の一方が第2のジョー22のジョー先端方向(第2のジョー先端方向)となり、ジョー先端方向(第2のジョー先端方向)とは反対方向が第2のジョー22のジョー基端方向(第2のジョー基端方向)となる。第2のジョー22のジョー先端方向は、第2のジョー22において先端部に向かう方向と一致し、第2のジョー22のジョー基端方向は、第2のジョー22において基端部に向かう方向と一致する。
【0018】
本実施形態では、第2のジョー22は、シャフト5の先端部で、シャフト5に対して固定されている。第2のジョー軸J2は、シャフト5の長手軸Cに対して略平行となる。第1のジョー21は、シャフト5の先端部に支点ピン23を介して取付けられている。第1のジョー21は、支点ピン23を中心としてシャフト5に対して回動可能である。また、シャフト5の内部には、棒状のロッド25が基端方向側から先端方向側に向かって延設されている。ロッド25は、シャフト5に対して長手軸Cに沿って移動可能である。ロッド25の基端部は、筒状ケース部6の内部において可動ハンドル8に連結されている。ロッド25の先端部は、接続ピン26を介して第1のジョー21に接続されている。可動ハンドル8を固定ハンドル7に対して開動作又は閉動作させることにより、ロッド25がシャフト5に対して長手軸Cに沿って移動する。これにより、第1のジョー21がシャフト5に対して回動し、第1のジョー21が第2のジョー22に対して開動作又は閉動作する。この際、第2のジョー22はシャフト5に固定されているため、第2のジョー22は、第1のジョー21に対して開く又は閉じる。すなわち、ロッド25のシャフト5に対する移動によって、把持処置ユニット20において第1のジョー21と第2のジョー22との間が開く又は閉じる。したがって、可動ハンドル8は、第1のジョー(第1の把持部)21と第2のジョー(第2の把持部)22との間を開く又は閉じる開閉操作が入力される開閉操作入力部となる。
【0019】
ここで、第1のジョー21において第2のジョー22に向かう方向が第1のジョー21の閉方向(図2及び図3において矢印Y1の方向)となり、第1のジョー21において第2のジョー22から離れる方向が第1のジョー21のジョー開方向(図2及び図3において矢印Y2の方向)となる。第1のジョー21のジョー閉方向(第1のジョー閉方向)は、第1のジョー軸J1に対して交差する(垂直な)ある1つの方向であり、第1のジョー21のジョー開方向(第1のジョー開方向)はジョー閉方向とは反対方向である。また、第2のジョー22において第1のジョー21に向かう方向が第2のジョー22のジョー閉方向(図2及び図3において矢印Y3の方向)となり、第2のジョー22において第1のジョー21から離れる方向を第2のジョー22のジョー開方向(図2及び図3において矢印Y4の方向)となる。第2のジョー22のジョー閉方向(第2のジョー閉方向)は、第2のジョー軸J2に対して交差する(垂直な)ある1つの方向であり、第2のジョー22のジョー開方向(第2のジョー開方向)はジョー閉方向とは反対方向である。そして、第1のジョー軸J1に対して交差し(垂直で)、かつ、第1のジョー21のジョー開方向及びジョー閉方向に垂直な2方向がジョー幅方向(図3の矢印W1の方向及び矢印W2の方向)となる。ジョー幅方向は、第2のジョー軸J2に対して交差し(垂直で)、かつ、第2のジョー22のジョー開方向及びジョー閉方向に垂直な方向である。
【0020】
第2のジョー22は、シャフト5に固定される支持部材(第2の支持部材)31と、支持部材31に固定される受け部材32と、を備える。支持部材31及び受け部材32は、第2のジョー21の基端部から先端部に渡って第2のジョー軸J2に沿って延設されている。支持部材31によって、第2のジョー22の外表面においてジョー開方向(第2のジョー開方向)を向くジョー背面(第2のジョー背面)27が形成されている。また、第2のジョー22では、支持部材31のジョー閉方向側に、受け部材32が固定されている。受け部材32は、電気的に絶縁材料から形成されている。受け部材32は、ジョー閉方向を向く基底面33と、基底面33から第2のジョー22のジョー閉方向へ向かって突出する突出部35と、を備える。突出部35は、第2のジョー22の基端部から先端部に渡って第2のジョー軸J2に沿って延設されている。ここで、第2のジョー22の外表面とは、第2のジョー22において外部に対して露出する表面である。
【0021】
第2のジョー22は、基底面33で受け部材32に固定される電極部材(第2の電極部材)36を備える。電極部材36は、第2のジョー22のジョー閉方向側から受け部材32の基底面33に固定されている。また、電極部材36は、導電材料から形成されている。電極部材36は、第2のジョー22の基端部から先端部に渡って第2のジョー軸J2に沿って延設され、受け部材32の突出部35を囲むリング状に形成されている。
【0022】
電極部材36の基端部には、電気配線等から形成される電力供給ライン(第2の高周波電力供給ライン)37の一端が接続されている。電力供給ライン37は、シャフト5とロッド25との間の空間、筒状ケース部6の内部、ケーブル11の内部を通って延設され、他端がエネルギー源ユニット10の高周波エネルギー源13に接続されている。高周波エネルギー源13から出力される高周波電力は、電力供給ライン37を通して、第2のジョー22の電極部材36に供給される。電極部材36に電力が供給されることにより、電極部材36は高周波電力の一方の電極(第2の電極)として機能する。なお、受け部材32が電気的に絶縁材料から形成されるため、支持部材31及び受け部材32には、高周波電力は供給(伝達)されない。
【0023】
図3に示すように、本実施形態では、受け部材32の突出部35及び電極部材36によって、第2のジョー22の外表面において第1のジョー21と対向する処置面(第2の処置面)28が、形成されている。処置面(第2の処置面)28は、第2のジョー22の外表面の一部であり、第2のジョー22のジョー閉方向(第2のジョー閉方向)を向いている。
【0024】
図4は、第1のジョー21を部材ごとに分解して示す図である。図2乃至図4に示すように、第1のジョー21は、シャフト5及びロッド25に取付けられる支持部材(第1の支持部材)41と、支持部材41に固定される断熱部材42と、を備える。支持部材41及び断熱部材42は、第1のジョー21の基端部から先端部に渡って第1のジョー軸J1に沿って延設されている。支持部材41によって、第1のジョー21の外表面においてジョー開方向(第1のジョー開方向)を向くジョー背面(第1のジョー背面)51が形成されている。また、第1のジョー21では、支持部材41のジョー閉方向側に、断熱部材42が固定されている。断熱部材42は、電気的に絶縁材料から形成されている。ここで、第1のジョー21の外表面とは、第1のジョー21において外部に対して露出する表面である。
【0025】
また、第1のジョー21では、断熱部材42のジョー閉方向側(第1のジョー閉方向側)にブレード(電極部材)43が固定されている。ブレード43は、熱伝達性が高い導電材料から形成されている。ジョー開方向(開方向)及びジョー閉方向(閉方向)について、断熱部材42とブレード43との間には、空洞45が形成されている。空洞45は、断熱部材42及びブレード43によって囲まれている。本実施形態では、ブレード43によって、第1のジョー21の外表面において第2のジョー22の処置面(第2の処置面)28と対向する位置に、処置面(第1の処置面)52が形成されている。処置面(第1の処置面)52は、第1のジョー21の外表面の一部であり、第1のジョー21のジョー閉方向(第1のジョー閉方向)を向いている。
【0026】
ブレード(切開部)43の基端部には、電気配線等から形成される電力供給ライン(第1の高周波電力供給ライン)53の一端が接続されている。電力供給ライン53は、シャフト5とロッド25との間の空間、筒状ケース部6の内部、ケーブル11の内部を通って延設され、他端がエネルギー源ユニット10の高周波エネルギー源13に接続されている。高周波エネルギー源13から出力される高周波電力(高周波電気エネルギー)は、電力供給ライン53を通して、第1のジョー21のブレード43に供給される。ブレード43に電力が供給されることにより、ブレード43は電極部材36とは電位が異なる高周波電力の電極(第1の電極)として機能する。なお、断熱部材42が電気的に絶縁材料から形成されるため、支持部材41及び断熱部材42には、高周波電力は供給(伝達)されない。
【0027】
ブレード43によって形成される処置面(把持面)52には、第1のジョー21と第2のジョー22との間を閉じた状態において、受け部材32の突出部35に当接可能な当接面(当接部)55が、設けられている。したがって、受け部材32には、当接面55を受ける受け面38が形成されている。受け面38は、処置面(把持面)28の一部であり、受け部材32のみから形成されている。第1のジョー21と第2のジョー22との間に処置対象がない状態で第1のジョー21と第2のジョー22との間を閉じることにより、当接面55が受け面38に当接する。当接面55が受け面38に当接した状態では、ブレード43は、第2のジョー22の電極部材36とは接触せず、ブレード43と電極部材36との間には隙間を有する。これにより、互いに対して電位の異なる第2のジョー22の電極部材36と第1のジョー21のブレード43との接触が、防止される。
【0028】
また、第1のジョー21のジョー幅方向の一方を第1のジョー幅方向(図3の矢印W1の方向)とし、第1のジョー幅方向とは反対方向を第2のジョー幅方向(図3の矢印W2)の方向とする。第1のジョー21の処置面(第1の処置面)52では、当接面55の第1のジョー幅方向側に傾斜面(第1の傾斜面)57Aが設けられ、当接面55の第2のジョー幅方向側に傾斜面(第2の傾斜面)57Bが設けられている。傾斜面(離間部)57Aでは、第2のジョー幅方向に向かうほど、第2のジョー22の処置面(把持面)28からの距離が小さくなる。また、傾斜面(離間部)57Bでは、第1のジョー幅方向に向かうほど、第2のジョー22の処置面28からの距離が小さくなる。ブレード43は、当接面55が傾斜面57A,57Bから第2のジョー22(第1のジョー閉方向側)に向かって突出する形状に形成されている。
【0029】
第1のジョー21では、断熱部材42とブレード43との間の空洞45に、発熱部40が設けられている。発熱部40は、発熱体である発熱線(ヒータ線)50を備える。発熱部40は、断熱部材42に固定されるとともに、ブレード43に固定されている。発熱部40の外装は、電気的に絶縁材料から形成されている。このため、ブレード43に供給される高周波電力は、発熱線50に供給されない。発熱部40(発熱線50)は、断熱部材42の設置面46とブレード43の設置面47との間に設置されている。すなわち、設置面(接触面)46,47に、発熱線50を含む発熱部40が設置され、発熱部40は設置面46,47と接触している。また、2つの把持部(21,22)の一方に発熱部40(発熱線50)が設けられる場合は、発熱部40が設けられる一方を第1のジョー(第1の把持部)21とし、発熱部40が設けられない他方を第2のジョー(第2の把持部)22とする。発熱ジョー(発熱把持部)である第1のジョー21には、発熱線50は1本のみ設けられ、発熱線が複数設けられているわけではない。
【0030】
図5は、発熱線50(発熱部40)の構成を示す図である。図4及び図5に示すように、発熱線50は、延設方向について発熱線50の両端となる第1の延設端E1及び第2の延設端E2を有し、第1の延設端E1から第2の延設端E2まで分岐することなく連続している。すなわち、発熱線50は、延設方向について一端である第1の延設端E1から他端である第2の延設端E2まで、分岐することなく連続している。第1の延設端E1及び第2の延設端E2は、第1のジョー(発熱ジョー)21の基端部に位置している。また、発熱線50は、第1の延設端E1と第2の延設端E2との間に折返し位置E3を有する。折返し位置E3は、第1のジョー21の先端部に位置している。発熱線50は、第1の延設端E1から折返し位置E3まで先端部側(ジョー先端方向)に向かって延設され、折返しE3から第2の延設端E2まで基端部側(ジョー基端方向)に向かって延設されている。したがって、折返し位置E3が、第1の延設端E1と第2の延設端E2との略中間位置となる。前述のように発熱線50が延設されるため、第1のジョー(発熱把持部)21では、ジョー長手方向について基端部から先端部までの範囲に渡って発熱線が50設けられている。このため、第1のジョー21では、設置面(断熱部材42の設置面46及びブレード43の設置面47)に、ジョー長手方向について基端部から先端部までの範囲に渡って発熱部40(発熱線50)が設置されている。
【0031】
発熱線50の第1の延設端E1には、電気配線等から形成される電力供給ライン(第1の熱電力供給ライン)58Aの一端が接続され、発熱線50の第2の延設端E2には、電気配線等から形成される電力供給ライン(第2の熱電力供給ライン)58Bの一端が接続されている。電力供給ライン58A,58Bは、シャフト5とロッド25との間の空間、筒状ケース部6の内部、ケーブル11の内部を通って延設され、他端がエネルギー源ユニット10の熱エネルギー源12に接続されている。熱エネルギー源(エネルギー源)12から出力される電力(熱電気エネルギー)は、電力供給ライン58A,58Bを通して、第1のジョー21の発熱線50に供給される。発熱線50に電力が供給されることにより、第1の延設端E1と第2の延設端E2との間に電圧(電位差)が発生し、発熱線(ヒータ線)50に電流が流れる。この際、発熱線50では、第1の延設端E1と第2の延設端E2との間で分流することなく電流が流れる。発熱線50に電流が流れることにより、発熱線50の熱抵抗によって、熱が発生する。この際、発熱線50の延設方向について第1の延設端E1から第2の延設端E2までの発熱線50の全長に渡って、熱が発生する。
【0032】
発熱線50で発生した熱は、設置面47を介してブレード43の処置面(第1の処置面)52に伝達される。処置面(把持面)52に伝達された熱によって、処置対象が処置される。本実施形態では、処置面52の先端部の温度を検出する温度検出部である温度センサ(熱電対)61がブレード43に取付けられている。温度センサ61には、電気信号線等から形成される信号ライン62A,62Bの一端が接続されている。信号ライン62A,62Bは、シャフト5とロッド25との間の空間、筒状ケース部6の内部、ケーブル11の内部を通って延設され、他端がエネルギー源ユニット10の制御部15に接続されている。温度センサ61での検出結果に基づく検出信号が、信号ライン62A,62Bを介して制御部15に伝達される。制御部15は、検出された処置面52の先端部の温度に基づいて、熱エネルギー源12からの電力の出力状態を制御する。
【0033】
発熱線50は、第1の発熱領域63と、第1の発熱領域63の基端部側(ジョー基端方向側)に設けられる第2の発熱領域65と、を備える。本実施形態では、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65との間で、発熱線50の延設状態が変化する。すなわち、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65との境界位置X1で、発熱線50の延設状態が変化する。第1の発熱領域63は、第1のジョー21の先端部から境界位置X1までの範囲に渡って設けられ、第2の発熱領域65は、第1のジョー21の基端部から境界位置X1までの範囲に渡って設けられている。したがって、発熱線50の第1の延設端E1及び第2の延設端E2は、第2の発熱領域65に位置し、発熱線50の折返し位置E3は、第1の発熱領域63に位置している。ある実施例では、境界位置X1は、第1のジョー(発熱把持部)21の長手方向についての中間位置と、一致する。また、別のある実施例では、境界位置X1は、第1のジョー(発熱ジョー)21の長手方向についての全長の3分の1の寸法だけ、第1のジョー21の先端から基端部側に離れて位置する。
【0034】
図6は、第1の発熱領域63での発熱線50の延設状態を示し、図7は、第2の発熱領域65での発熱線50の延設状態を示している。図6及び図7に示すように、本実施形態では、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線幅は、B0で均一であり、例えば、0.1mmである。また、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線厚も、均一である。ここで、発熱線50の線幅とは、発熱線50の延設方向に垂直で、かつ、断熱部材42の設置面46(ブレード43の設置面47)に平行な方向(すなわち、発熱線50の幅方向)についての、発熱線50の寸法である。また、発熱線50の線厚とは、発熱線50の延設方向に垂直で、かつ、断熱部材42の設置面46(ブレード43の設置面47)に垂直な方向(すなわち、発熱線50の厚さ方向)についての、発熱線50の寸法である。
【0035】
また、発熱線50では、複数の延設パターン67が繰返し連続している。本実施形態では、第1の発熱領域63での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P1が、第2の発熱領域65での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P2より、小さくなる。例えば、第1の発熱領域63での延設パターン67のピッチP1が0.3mmであるのに対し、第2の発熱領域65での延設パターン67のピッチP2が0.5mmとなる。
【0036】
第1の発熱領域63では延設パターン67のピッチP1が小さくなるため、ブレード43の設置面47の単位面積ΔSあたりでの第1の発熱領域63の延設パターン67の数密度(数)は、ブレード43の設置面47の単位面積ΔSあたりでの第2の発熱領域65の延設パターン67の数密度(数)より、高くなる。これにより、第1の発熱領域63(第1のジョー21の先端部)では第2の発熱領域65(第1のジョー21の基端部)に比べて、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、長くなる。第1の発熱領域63では、発熱線50の経路長が長くなるため、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第2の発熱領域65に比べて大きくなる。すなわち、第1のジョー(発熱把持部)21では、発熱線50(発熱部40)から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。また、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65との境界位置X1が第1のジョー(発熱ジョー)21の長手方向についての中間位置と一致する実施例では、第1のジョー21の中間位置より基端部側の領域(第2の発熱領域65)に比べて、中間位置より先端部側の領域(第1の発熱領域63)で、設置面(46,47)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が大きくなる。第1のジョー21では、基端部に比べて先端部で単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が大きくなるため、処置面(第1の処置面)52では、基端部に比べて先端部で、発熱部40から伝達される伝熱量が大きくなる。
【0037】
次に、本実施形態の把持処置ユニット20、把持処置具2及び把持処置システム1の作用及び効果について説明する。把持処置システム1を用いて生体組織等の処置対象を処置する際には、把持処置ユニット20(第1のジョー21及び第2のジョー22)を体内に挿入し、第1のジョー21と第2のジョー22との間に処置対象を配置する。そして、可動ハンドル8を固定ハンドル7に対して閉動作させ、把持処置ユニット20の開閉操作が入力される。これにより、第1のジョー21と第2のジョー22との間が閉じ、第1のジョー21と第2のジョー22との間で処置対象が把持される。処置対象が把持された状態で、エネルギー操作入力部16でエネルギー操作が入力する。これにより、制御部15での制御によって、熱エネルギー源12から電力(熱電気エネルギー)が出力されるとともに、高周波エネルギー源13から高周波電力(高周波電気エネルギー)が出力される。
【0038】
そして、熱エネルギー源12から発熱線50に電力が供給されることにより、発熱線50で熱が発生し、発生した熱が第1のジョー21のブレード43に形成される処置面(第1の処置面)52に伝達される。これにより、処置面(把持面)52に当接する処置対象が灼熱され、処置対象が切開される。ここで、発熱線50での発熱量を小さくし、処置面52の温度を低くすることにより、処置対象が凝固される。発熱線50での発熱量は、発熱線50に供給される電力を調整することにより、調整可能である。処置対象を切開する際には、処置面52の温度は230℃〜350℃程度であり、250℃〜300℃程度となることが好ましい。処置対象を凝固する際には、処置面52の温度は200℃程度となる。したがって、発熱線50で発生する熱を用いた処置においては、処置面52の温度は、200℃以上350℃以下となる。
【0039】
また、高周波エネルギー源13から第2のジョー22の電極部材36及び第1のジョー21のブレード43に高周波電力が供給されることにより、電極部材36及びブレード43が互いに対して電位が異なる電極として機能する。これにより、第1のジョー21と第2のジョー22との間で把持された処置対象(生体組織)を通して、電極部材36とブレード43との間で高周波電流が流れる。高周波電流によって、処置対象が変性され、凝固が促進される。
【0040】
また、把持処置具2では、それぞれの第1のジョー21及び第2のジョー22の先端部(例えば、それぞれの第1のジョー21及び第2のジョー22において、先端からジョー長手方向についての全長の3分の1程度の寸法に渡る範囲)のみを処置対象に接触させ、熱を用いて処置対象を繰返し切開する処置(スモール・バイト・メソッド)が行われる。この処置では、発熱線50(発熱部40)が設けられる第1のジョー(発熱ジョー)21において、先端部のみが処置対象と接触する。このため、第1のジョー21では、先端部の外表面(処置面52の先端部)からのみ処置対象に熱が放熱され、処置面(把持面)52の先端部先端部からの放熱量が大きくなる。
【0041】
本実施形態の第1のジョー(発熱把持部)21では、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、基端部(第2の発熱領域65)に比べて先端部(第1の発熱領域63)で長くなる。このため、第1のジョー(発熱把持部)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。したがって、処置面(第1の処置面)52では、基端部に比べて先端部で、発熱部40から伝達される伝熱量が大きくなる。これにより、第1のジョー21の先端部での放熱量が大きくなる処置(スモール・バイト・メソッド)においても、処置面(第1の処置面)52の先端部に伝達される伝熱量が大きくなるため、処置面52の先端部(第1のジョー21の先端部)において温度が低下することが抑制される。処置面(把持面)52の先端部の温度が低下することなく維持されるため、処置対象の切開性が確保され、処置を迅速に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態では、発熱線50への電力を大きくすることにより、第1のジョー21の先端部での発熱線50からの発熱量が大きくなるわけではない。すなわち、第1のジョー21の先端部で発熱線50からの発熱量が大きくなる状態において、第1のジョー21の基端部では、発熱線50からの発熱量が小さく維持される。したがって、処置(スモール・バイト・メソッド)において、処置対象と接触しない(すなわち、処置対象へ熱が放熱されない)第1のジョー21の基端部での温度が、過度に高くなることが、抑制される。
【0043】
また、本実施形態では、第1のジョー(発熱ジョー)21に1本のみ設けられる発熱線50に電流を流すだけで、第1のジョー21の先端部(第1の発熱領域63)でのみ発熱線50からの発熱量を大きくすることが可能となる。例えば、第1のジョー(21)に複数の発熱線(発熱体)を設け、それぞれの発熱線への対応する電力供給ラインを通しての電力の供給状態を制御することにより、第1のジョー(22)において先端部のみ発熱量(温度)を高くすることは可能である。しかし、この場合、それぞれの発熱体と電力源との間の配線等の構成が複雑になるとともに、電力源からの電力の出力状態の制御も複雑になる。すなわち、本実施形態では、容易な構成及び容易な電力の出力制御で、第1のジョー21の先端部(第1の発熱領域63)でのみ発熱線50からの発熱量を大きくすることが、実現される。
【0044】
また、本実施形態では、処置面(第1の処置面)52の先端部の温度を温度センサ61によって検出し、温度の検出結果に基づいて、制御部18が熱エネルギー源12からの電力の出力状態を制御している。このため、熱エネルギー源12からの電力の出力状態を制御することにより、処置面(把持面)52の先端部の温度を処置(スモール・バイト・メソッド)に適した目標温度(例えば250℃)に容易に調整することができる。なお、エネルギー源ユニット10にメモリ(図示しない)等が設けられ、目標温度、電力と処置面52の先端部の温度との関係が記憶されていてもよい。
【0045】
(変形例)
なお、第1の実施形態では、第1の発熱領域63での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P1を、第2の発熱領域65での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P2より、小さくしているが、これに限るものではない。例えば、第1の変形例を図8乃至図10を参照にして、説明する。図8は、本変形例の発熱線50(発熱部40)の構成を示す図である。また、図9は、本変形例の第1の発熱領域63での発熱線50の延設状態を示し、図10は、本変形例の第2の発熱領域65での発熱線50の延設状態を示している。図8乃至図10に示すように、本変形例では第1の実施形態と同様に、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線幅は、B0で均一であり、例えば、0.1mmである。また、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線厚も、均一である。
【0046】
また、発熱線50では、複数の延設パターン67が繰返し連続している。ただし、本変形例では第1の実施形態とは異なり、第1の発熱領域63での延設パターン67のピッチ及び第2の発熱領域65での延設パターン67のピッチがP0で均一であり、例えば0.4mmとなる。本変形例では、第1のジョー(発熱ジョー)21のジョー幅方向(図8の矢印W1の方向及び矢印W2の方向)についての寸法が、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65とで異なる。すなわち、本変形例では、ジョー幅方向についての第1の発熱領域63の寸法L1が、ジョー幅方向についての第2の発熱領域65の寸法L2より、大きくなる。例えば、ジョー幅方向についての第1の発熱領域63の寸法L1が0.8mmであるのに対し、ジョー幅方向についての第2の発熱領域65の寸法L2は、0.6mmとなる。
【0047】
第1の発熱領域63のジョー幅方向についての寸法が大きくなるため、第1の発熱領域63(第1のジョー21の先端部)では第2の発熱領域65(第1のジョー21の基端部)に比べて、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、長くなる。第1の発熱領域63では、発熱線50の経路長が長くなるため、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第2の発熱領域65に比べて大きくなる。したがって、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱把持部)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0048】
また、図11乃至図13に示す第2の変形例では、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65で均一になる。したがって、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65では、延設パターン67のピッチがP0で均一であり、例えば0.4mmとなる。また、ジョー幅方向についての第1の発熱領域63の寸法は、ジョー幅方向についての第2の発熱領域65の寸法と同一である。図11は、本変形例の発熱線50(発熱部40)の構成を示す図である。また、図12は、本変形例の第1の発熱領域63での発熱線50の延設状態を示し、図13は、本変形例の第2の発熱領域65での発熱線50の延設状態を示している。
【0049】
ただし、本変形例では、第1の発熱領域63での発熱線50の線幅B1が、第2の発熱領域65での発熱線50の線幅B2より、小さくなる。例えば、第1の発熱領域63での発熱線50の線幅B1が0.05mmであるのに対し、第2の発熱領域65での発熱線50の線幅B2は0.1mmとなる。本変形例では、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線厚は、均一である。このため、第1の発熱領域63(第1のジョー21の先端部)では第2の発熱領域65(第1のジョー21の基端部)に比べて、発熱線50の延設方向に垂直な断面積が、小さくなる。第1の発熱領域63では、発熱線50の断面積が小さくなるため、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第2の発熱領域65に比べて大きくなる。したがって、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱ジョー)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0050】
また、図14に示す第3の変形例では、第1の発熱領域63での発熱線50の線厚T1が、第2の発熱領域65での発熱線50の線厚T2より、小さくなる。例えば、第1の発熱領域63での発熱線50の線厚T1が0.01mmであるのに対し、第2の発熱領域65での発熱線50の線厚T2は0.02mmとなる。本変形例では、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65において、発熱線50の線幅は、B0で均一であり、例えば0.1mmである。本変形例でも第2の変形例と同様に、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65で均一になる。
【0051】
前述のような構成であるため、本変形例でも第2の変形例と同様に、第1の発熱領域63(第1のジョー21の先端部)では第2の発熱領域65(第1のジョー21の基端部)に比べて、発熱線50の延設方向に垂直な断面積が、小さくなる。第1の発熱領域63では、発熱線50の断面積が小さくなるため、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第2の発熱領域65に比べて大きくなる。したがって、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱ジョー)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0052】
また、図15に示す第4の変形例では、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長、及び、発熱線50の延設方向に垂直な断面積が、第1の発熱領域63及び第2の発熱領域65で均一になる。ただし、本変形例では、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65とで、発熱線50を形成する材料が変化する。すなわち、第1のジョー(発熱把持部)21では、発熱線50を形成する材料の電気抵抗が、第1の発熱領域63(先端部)で第2の発熱領域65(基端部)より高くなる。例えば、第2の発熱領域65ではステンレスから発熱線50が形成されるのに対し、第1の発熱領域63ではステンレスより電気抵抗が高いニクロムから発熱線50が形成されている。なお、図15に示す発熱線50では、第1の発熱領域63をドット状のハッチングで示し、第2の発熱領域をハッチングなしの無地で示している。
【0053】
本変形例では、第1の発熱領域63において、発熱線50の電気抵抗が高くなるため、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第2の発熱領域65に比べて大きくなる。したがって、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱ジョー)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0054】
また、前述の実施形態等では、第1の発熱領域63と第2の発熱領域65との境界位置X1で、発熱線50の延設状態、発熱線50の断面積等が変化するが、これに限るものではない。例えば、第5の変形例として図16に示すように、第1のジョー(発熱ジョー)21の発熱線50において、基端部(ジョー基端方向)から先端部(ジョー先端方向)へ向かって、延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)Pが、徐々に小さくなってもよい(すなわち、漸減してもよい。)。なお、図16では、発熱線50が線状で示されているが、本変形例でも前述の実施形態等と同様に、発熱線50は線幅を有する。
【0055】
本変形例では、第1のジョー21の基端部から先端部に向かって延設パターン67のピッチPが漸減するため、ブレード43の設置面47の単位面積ΔSあたりでの延設パターン67の数密度(数)は、第1のジョー21の基端部から先端部に向かって、徐々に高くなる。これにより、第1のジョー21の発熱線50では、ブレード43の設置面47(断熱部材42の設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50の延設方向に沿った経路長が、ジョー基端方向からジョー先端方向へ向かって徐々に長くなる。したがって、第1のジョー(発熱把持部)21では、基端部から先端部に向かって、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、漸増する(徐々に大きくなる。)。前述のように構成にすることにより、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱ジョー)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0056】
なお、第1の変形例乃至第4の変形例のいずれかの発熱線50の構成を適用することにより、第1のジョー(発熱ジョー)21において、基端部から先端部に向かって、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量を、漸増させてもよい。例えば、第2の変形例の発熱線50の構成を適用した場合、第1のジョー(発熱把持部)21において、基端部から先端部に向かって発熱線50の線幅を漸減させることにより、基端部から先端部に向かって、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、漸増する(徐々に大きくなる。)。
【0057】
また、第6の変形例として図17に示すように、第1のジョー(発熱ジョー)21のジョー長手方向(長手方向)について発熱線50が、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が互いに対して異なる3つの発熱領域(領域)71〜73に分割されてもよい。本変形例では、第1の発熱領域71が第1のジョー21の先端部に位置し、第2の発熱領域72が第1の発熱領域71のジョー基端方向側に連続している。そして、第3の発熱領域73は、第2の発熱領域72のジョー基端方向側に連続し、第1のジョー21の基端部に位置している。なお、図17では、発熱線50が線状で示されているが、本変形例でも前述の実施形態等と同様に、発熱線50は線幅を有する。
【0058】
本変形例では、第1の発熱領域71と第2の発熱領域72との境界位置X2、及び、第2の発熱領域72と第3の発熱領域73との境界位置X3で、発熱線50の延設状態が変化する。すなわち、本変形例では、第1の発熱領域71での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P3が、第2の発熱領域72での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P4より、小さくなる。そして、第2の発熱領域72での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P4が、第3の発熱領域73での延設パターン67のピッチ(繰返し間隔)P5より、小さくなる。
【0059】
このため、本変形例では、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、第1の発熱領域71で第2の発熱領域72より大きくなり、第2の発熱領域72で第3の発熱領域73より大きくなる。すなわち、3つの発熱領域(領域)71〜73の中で先端部側(ジョー先端方向側)に位置する領域ほど、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が大きくなる。前述のように構成にすることにより、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第1のジョー(発熱ジョー)21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0060】
なお、第1の変形例乃至第4の変形例のいずれかの発熱線50の構成を適用することにより、第1のジョー(発熱ジョー)21において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量を、第1の発熱領域71で第2の発熱領域72より大きくし、第2の発熱領域72で第3の発熱領域73より大きくしてもよい。例えば、第2の変形例の発熱線50の構成を適用した場合、第1の発熱領域71と第2の発熱領域72との境界位置X2、及び、第2の発熱領域72と第3の発熱領域73との境界位置X3で発熱線50の線幅を変化させることにより、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量を、第1の発熱領域71で第2の発熱領域72より大きくし、第2の発熱領域72で第3の発熱領域73より大きくしている。
【0061】
また、第1のジョー(発熱ジョー)21のジョー長手方向(長手方向)について発熱線50が、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が互いに対して異なる4つ以上の発熱領域(領域)に分割されてもよい。この場合も、発熱線50が3つの発熱領域71〜73に分割される第6の変形例と同様に、発熱領域(領域)の中で先端部側(ジョー先端方向側)に位置する領域ほど、設置面47の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が大きくなる。
【0062】
また、第7の変形例として図18に示すように、発熱部40が設けられる第1のジョー(第1の把持部)21がシャフト5に固定されてもよい。本変形例では、発熱部40が設けられない第2のジョー22が、シャフト5に対して回動可能に取付けられる。図18に示すように、本変形例でも第1の実施形態と同様に、第2のジョー22は、支持部材31、受け部材32及び電極部材36から形成されている。そして、受け部材32及び電極部材36によって、第1のジョー21に対向する処置面(第2の処置面)28が形成されている。
【0063】
また、第1のジョー21は、第1の実施形態と同様に、支持部材41、断熱部材42、ブレード43及び発熱部40から形成されている。そして、ブレード43によって、第2のジョー22に対向する処置面(第1の処置面)52が形成されている。本変形例でも、第1のジョー(発熱ジョー)21には、発熱線50は一本のみ設けられる。第1のジョー21では、第1の実施形態と同様にして、発熱線50が延設されている。このため、本変形例でも第1の実施形態と同様に、発熱把持部である第1のジョー21では、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。したがって、処置面(第1の処置面)52では、基端部に比べて先端部で、発熱部40から伝達される伝熱量が大きくなる。
【0064】
また、ある変形例では、第1のジョー21及び第2のジョー22の両方が、発熱部(40)が設けられる発熱ジョーとなる。この場合、発熱ジョー(21,22)のそれぞれには、発熱線(50)は1本のみ設けられる。そして、発熱ジョーのそれぞれ(第1のジョー21及び第2のジョー22のそれぞれ)では、前述の実施形態等の第1のジョー21と同様にして、発熱線(50)が延設されている。このため、前述第の実施形態等の第1のジョー21と同様に、発熱ジョー(21,22)のそれぞれでは、発熱線50から熱が発生する状態において、設置面47(設置面46)の単位面積ΔSあたりでの発熱線50からの発熱量が、基端部より先端部で大きくなる。
【0065】
また、前述の実施形態等では、2つのジョー(21,22)の一方(例えば第2のジョー22)は、シャフト5に固定され、2つのジョー(21,22)の他方(例えば第1のジョー21)は、シャフト5に対して回動可能であるが、これに限るものではない。ある変形例では、第1のジョー21及び第2のジョー22の両方が、シャフト5に対して回動可能に取付けられてもよい。この場合、ロッド25を長手軸Cに沿って移動させることにより、第1のジョー21及び第2のジョー22の両方がシャフト5に対して回動する。これにより、把持処置ユニット20において、第1のジョー21と第2のジョー22との間が開く又は閉じる。
【0066】
また、前述の実施形態では、エネルギー源ユニット10に高周波エネルギー源13が設けられているが、これに限るものではない。すなわち、第1のジョー21及び第2のジョー22に高周波電力が供給される必要はない。したがって、2つの把持部(21,22)の一方である第1のジョー21に少なくとも発熱線50が設けられ、エネルギー源ユニット10には、発熱線50に供給される電力を出力する熱エネルギー源12が設けられていればよい。
【0067】
前述の実施形態等(変形例も含む)では、把持処置ユニット(20)において第1のジョー(21)と第2のジョー(22)との間が開閉可能であり、第1のジョー(21)には、基端部から先端部までの範囲に渡って発熱線(50)が設置されている。発熱線(50)は、第1の延設端(E1)から第2の延設端(E2)まで分岐することなく連続するとともに、電流が流れることにより第1の延設端(E1)から第2の延設端(E2)までの全長に渡って熱が発生する。発熱部(40)では、発熱線(50)から熱が発生する状態において、単位面積あたりでの発熱量が第1のジョー(21)の基端部より先端部で大きくなる。このため、第1のジョー(21)において第2のジョー(22)に対して対向する状態で設けられる処置面(52)では、発熱部(40)から伝達される伝熱量が基端部より先端部で大きくなる。
【0068】
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は前述の実施形態等に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形ができることは、もちろんである。
図1
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