特許第5977910号(P5977910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977910
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】保持機構と挿入機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   A61B1/00 334B
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-522124(P2016-522124)
(86)(22)【出願日】2015年9月4日
(86)【国際出願番号】JP2015075208
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-212824(P2014-212824)
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】工藤 亮太
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/086876(WO,A2)
【文献】 国際公開第99/059664(WO,A1)
【文献】 特開2003−116777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内に挿入される挿入機器の挿入部を通じて前記管腔内に挿入される処置具を案内するためのガイド部材を保持する保持機構であって、
前記ガイド部材が挿通する前記挿入機器の挿入口部から外部に露出した前記ガイド部材の一部分が前記挿入口部に対して屈曲している屈曲状態で、前記ガイド部材が挿通する開口部と、
前記保持機構の一部が前記挿入口部の中心軸の放射方向に切り欠かれることによって配設され、前記ガイド部材を前記挿入口部から前記開口部内に導く切り欠き面を有する隙間部と、
前記放射方向において配設され、前記一部分が前記屈曲状態を維持するように、前記開口部を挿通した前記ガイド部材を前記挿入口部の中心軸方向における位置が互いに異なる2カ所で係止する係止機構と、
を具備する保持機構。
【請求項2】
前記係止機構は、前記挿入口部の中心軸方向において前記挿入口部から離間する位置にて配設される請求項1に記載の保持機構。
【請求項3】
前記係止機構の中心軸方向は、前記挿入口部の中心軸方向に対して平行である請求項1に記載の保持機構。
【請求項4】
前記係止機構は、
前記開口部と連続する第一溝部に配設され、前記ガイド部材を摺動させて導入させる係止導入部と、
前記係止導入部の一部に配設され、前記ガイド部材の一部を係止する第一係止部と、
前記第一溝部と連続する第二溝部に配設され、且つ前記放射方向において前記第一係止部よりも離れた位置に配設され、前記ガイド部材の別の部分を係止する第二係止部と、
を有する請求項1に記載の保持機構。
【請求項5】
前記第一係止部は、屈曲している前記ガイド部材が前記挿入口部の中心軸方向に沿って直線状態に延出するように、前記挿入口部から延出された前記ガイド部材を屈曲させて係止する位置に配設され、
前記第二係止部は、前記第一係止部によって屈曲した前記ガイド部材が直線状態に復元する動作を規制する側に配設される請求項4に記載の保持機構。
【請求項6】
前記第一溝部と前記第二溝部とは、前記挿入口部の中心軸方向において前記保持機構を貫通し、
前記第一係止部は、前記挿入口部に近い側における前記第一溝部の縁部に配設され、
前記第二係止部は、前記第一係止部よりも前記挿入口部から離れた前記第二溝部の縁部に配設され、
前記ガイド部材は、前記第一係止部と前記第二係止部とによってせん断されるように係止される請求項5に記載の保持機構。
【請求項7】
前記係止導入部は、
前記開口部に隣接して配設される第一ガイド面部と、
前記第一ガイド面部と連続し、前記開口部と対向し、前記第一係止部が配設される第二ガイド面部と、
前記第二ガイド面部と連続し、前記ガイド部材を前記第二係止部に案内する第三ガイド面部と、
を有する請求項4に記載の保持機構。
【請求項8】
前記挿入口部から外部に露出した前記一部分が前記挿入口部に対して圧接されている圧接状態で、前記ガイド部材は前記開口部を挿通し、
前記係止機構は、前記ガイド部材が前記屈曲状態と前記圧接状態とを維持するように、前記開口部を挿通した前記ガイド部材を係止する請求項1に記載の保持機構。
【請求項9】
前記開口部と前記係止機構とを有する保持ユニットは複数配設され、
複数の前記ガイド部材は、前記保持ユニット毎にそれぞれ保持される請求項1に記載の保持機構。
【請求項10】
前記挿入機器は、前記挿入部の基端部に連結される操作部を有し、
前記保持機構は、前記挿入口部を有する前記操作部、または前記操作部に配設され且つ前記挿入口部を有する鉗子栓部に配設される請求項1に記載の保持機構。
【請求項11】
前記保持機構は、前記操作部に対して一体または着脱自在な別体である、または前記鉗子栓部に対して一体または着脱自在な別体である請求項10に記載の保持機構。
【請求項12】
請求項1に記載の保持機構を具備する挿入機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に処置具を案内するガイド部材を保持する保持機構と、保持機構を有する挿入機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、処置具を被検体に案内するガイド部材を保持する保持部材を開示している。保持部材がガイド部材を保持した際、ガイド部材が位置決め固定され、ガイド部材の位置ずれが防止される。保持部材は、内視鏡とは別体であり、内視鏡の処置具挿入口部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−116777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、ガイド部材を保持部材に固定する作業は、手間がかかる。保持部材がガイド部材をせん断するように、保持部材はガイド部材を固定する。このとき、固定する方向は、ガイド部材が保持部材に挿入される方向と同一である。よって、ガイド部材が動くと、ガイド部材は保持部材から脱落する虞が生じる。
このためガイド部材を簡単且つ安定して固定できることが求められる。
【0005】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、ガイド部材を簡単且つ安定して固定できる保持機構と挿入機器とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保持機構の一態様は、管腔内に挿入される挿入機器の挿入部を通じて前記管腔内に挿入される処置具を案内するためのガイド部材を保持する保持機構であって、前記ガイド部材が挿通する前記挿入機器の挿入口部から外部に露出した前記ガイド部材の一部分が前記挿入口部に対して屈曲している屈曲状態で、前記ガイド部材が挿通する開口部と、前記保持機構の一部が前記挿入口部の中心軸の放射方向に切り欠かれることによって配設され、前記ガイド部材を前記挿入口部から前記開口部内に導く切り欠き面を有する隙間部と、前記放射方向において配設され、前記ガイド部材の一部分が前記屈曲状態を維持するように、前記開口部を挿通した前記ガイド部材を前記挿入口部の中心軸方向における位置が互いに異なる2カ所で係止する係止機構とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ガイド部材を簡単且つ安定して固定できる保持機構と挿入機器とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に係る挿入機器の概略斜視図である。
図1B図1Bは、ガイド部材を保持している保持機構周辺の斜視図である。
図1C図1Cは、ガイド部材を保持していない保持機構周辺の斜視図である。
図1D図1Dは、図1Cに示す保持機構周辺の側面図である。
図2A図2Aは、保持機構周辺の上面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す状態から第一屈曲圧接部位が形成され、被保持部位が接触部に接触した図である。
図2C図2Cは、図2Bに示す状態から被保持部位が導入部に当接した図である。
図2D図2Dは、図2Cに示す状態から被保持部位が係止機構によって係止された図である。
図3A図3Aは、ガイド部材を保持していない保持機構周辺の斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aに示す状態から第一屈曲圧接部位が形成され、被保持部位が接触部に接触した図である。
図3C図3Cは、図3Bに示す状態から被保持部位が導入部に当接した図である。
図3D図3Dは、図3Bに示す状態から被保持部位が起上し開口部を挿通して係止導入部に挿入された図である。
図3E図3Eは、図3Dに示す状態から被保持部位が係止導入部を摺動した図である。
図3F図3Fは、図3Eに示す状態から被保持部位が第一係止部と第二係止部とに係止された図である。
図4図4は、図3Fの状態における係止機構の横断面図である。
図5A図5Aは、保持機構の変形例1を示し、鉗子栓部に配設されている保持機構の斜視図である。
図5B図5Bは、保持機構の変形例2を示し、2つの保持ユニットを有する保持機構周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[一実施形態]
[構成]
図1A図1B図1C図1D図2A図2B図2C図2D図3A図3B図3C図3D図3E図3F図4とを参照して、一実施形態について説明する。なお例えば図1Aにおいて鉗子栓部36と保持機構500との図示を省略するように、一部の図面では、図示の明瞭化のために、一部の部材の図示を省略している。
【0010】
[挿入機器10]
図1Aに示すような挿入機器10は、例えば、体腔内の管腔に挿入される内視鏡として機能する。本実施形態の挿入機器10は、例えば、十二指腸乳頭または胆膵に処置具400を挿入させる側視型の内視鏡である。なお本実施形態の挿入機器10は、直視型の内視鏡であってもよいし、前記した部位以外の部位に処置具400を挿入させる内視鏡であってもよい。
本実施形態に係る挿入機器10は、例えば医療用の内視鏡として説明するが、これに限定される必要はない。挿入機器10は、医療用の内視鏡の他、工業用の内視鏡、照明光学系及び観察光学系を有しない、例えばカテーテルなどの挿入器具であることも好適である。このカテーテルは、ガイド部材を管腔に挿入するカテーテルであってもよい。
【0011】
図1Aに示すように挿入機器10は、管腔内に挿入される中空の細長い挿入部20と、挿入部20の基端部に連結され、挿入機器10を操作する操作部30とを有する。
【0012】
[挿入部20]
図1Aに示すように、挿入部20は、挿入部20の先端部側から挿入部20の基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有する。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部に連結され、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部に連結される。
先端硬質部21は、挿入部20の先端部であり、硬く、曲がらない。挿入機器10が側視型の内視鏡である場合、先端硬質部21は、図示しない既存の構成を有する。つまり、先端硬質部21は、先端硬質部21の側面に配設される図示しない先端開口部と、先端開口部に収納され、手元側の起上操作に応じて、遠隔的に揺動操作可能な図示しない処置具起上台とを有する。処置具起上台は、先端硬質部21の本体部に対して倒置され、且つ先端硬質部21に収納される収納位置と、先端開口部から突出(起上)する起上位置との間を揺動する。処置具起上台は、起上操作に応じて揺動されて、処置具400を先端開口部から先端硬質部21の側方に突出誘導させる。先端硬質部は、送気・送水ノズルと、撮像ユニットと、照明ユニットとを有する。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部37の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わる。そして、図示しない照明光が観察対象物に照明され、観察対象物が観察視野内に捉えられる。この観察対象物とは、例えば、被検体(例えば体腔)内における患部及び病変部である。
可撓管部25は、所望の可撓性を有する。よって可撓管部25は、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部30における後述する本体部31から延出される管状部材である。
【0013】
[操作部30]
図1Aに示すように、操作部30は、可撓管部25が延出している本体部31と、本体部31の基端部に連結され、挿入機器10を操作する操作者によって把持される把持部33と、把持部33に接続されるユニバーサルコード41とを有する。
【0014】
[把持部33]
図1Aに示すように、把持部33は、処置具挿入部35と、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部37と、スイッチ部39とを有する。処置具挿入部35は把持部33の先端部側に配設され、湾曲操作部37とスイッチ部39とは把持部33の基端部側に配設される。
【0015】
[処置具挿入部35]
図1Aに示すように、処置具挿入部35は、把持部33に対して分岐している。このため、処置具挿入部35の中心軸C2方向は、把持部33の中心軸C3方向に対して傾斜している。
図1Aに示すように、処置具挿入部35は、処置具挿入部35の端部に配設され、後述するガイド部材300と処置具400とが挿入機器10に挿入されるための処置具挿入口部35aを有する。
【0016】
処置具挿入口部35aは、図示しない処置具挿通チャンネルの基端部に連結される。処置具挿通チャンネルは、挿入部20の内部に配設され、可撓管部25から湾曲部23を介して先端硬質部21に渡って配設される。処置具挿通チャンネルの先端部は、先端硬質部21に配設されている先端開口部と連通する。処置具挿入口部35aは、ガイド部材300と処置具400とを処置具挿通チャンネルに挿入するための挿入口である。
図1Aに示すように、処置具挿入口部35aの中心軸C1は、処置具挿入部35の中心軸C2と同軸に配設されており、このため把持部33の中心軸C3に対して傾斜している。処置具挿入口部35aの中心軸C1方向は、把持部33の中心軸C3方向に対して傾斜している。
【0017】
図1Bに示すように、処置具挿入部35は、処置具挿入部35に着脱自在に配設される筒形状の鉗子栓部36を有する。鉗子栓部36は、例えばゴムなどの樹脂製である。鉗子栓部36の中心軸C4は、処置具挿入口部35aの中心軸C1と同軸に配設される。このため、鉗子栓部36は、把持部33に対して傾斜している。鉗子栓部36が処置具挿入部35に配設された際、鉗子栓部36は処置具挿入口部35aを介して処置具挿通チャンネルと連通する。筒状の鉗子栓部36は、ガイド部材300と処置具400とを、挿入機器10の内部に、詳細には処置具挿通チャンネルに挿入させる挿入口部36aを有する。挿入口部36aの中心軸C5は、鉗子栓部36の中心軸C4と同軸に配設される。
【0018】
図1Bに示すガイド部材300と処置具400とは、挿入口部36aから鉗子栓部36と処置具挿入口部35aとを介して処置具挿通チャンネルに挿入され、先端硬質部21側まで押し込まれる。そしてガイド部材300と処置具400とは、先端開口部から突出される。
【0019】
[湾曲操作部37]
図1Aに示すように、湾曲操作部37は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ37aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ37bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ37cとを有する。
【0020】
[スイッチ部39]
図1Aに示すように、スイッチ部39は、吸引スイッチ39aと、送気・送水スイッチ39bと、内視鏡撮影用の各種スイッチ39cとを有する。吸引スイッチ39aと送気・送水スイッチ39bと各種スイッチ39cとは、把持部33が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。
吸引スイッチ39aは、吸引開口部を兼ねる前記した先端開口部から吸引チャンネルを兼ねる処置具挿通チャンネルを介して、粘液を含む流体を挿入機器10が吸引するときに、操作される。
送気・送水スイッチ39bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野を確保するために、図示しない送気チューブと図示しない送気・送水チューブとから流体が送気されるときと、送水チューブと送気・送水チューブとから流体が送水されるときとに操作される。流体は、水及び気体を含む。
送気チューブと、送水チューブと、送気・送水チューブとは、挿入機器10の内部において、挿入部20から本体部31と把持部33とを介してユニバーサルコード41にまで配設される。
【0021】
[ユニバーサルコード41]
図1Aに示すように、ユニバーサルコード41は、把持部33の側面から延出される。
【0022】
[ガイド部材300と処置具400と保持機構500]
図1Bに示すように、挿入機器10は、挿入機器10とは別体であるガイド部材300及び処置具400と共に使用される。このため挿入機器10は、ガイド部材300を保持する保持機構500を有する。ガイド部材300は、挿入口部36aから鉗子栓部36を介して処置具挿通チャンネルに挿入され、先端開口部から突出して被検体にまで到達し、処置具400を被検体にまで案内する。このように保持機構500は、管腔内に挿入される挿入機器10の挿入部20を通じて管腔内に挿入される処置具400を案内するためのガイド部材300を保持する。ガイド部材300が挿入部20の先端に配設されている先端開口部から突出した状態でガイド部材300の軸方向に移動可能となるように、ガイド部材300は配置される。ガイド部材300は、この配置によって処置具400を案内することとなる。
【0023】
[ガイド部材300]
図1Bに示すように、ガイド部材300は、挿入口部36aから鉗子栓部36と処置具挿入口部35aとを介して処置具挿通チャンネルに挿入される。そして、ガイド部材300の先端部は、処置具挿通チャンネルを挿通し、先端開口部から突出する。先端開口部は側面に配設されるため、ガイド部材300の先端部は挿入部20の先端部の側方に向かって突出する。そして、ガイド部材300の先端部は、被検体に到達する。なおガイド部材300の先端部が先端開口部から外部に突出している状態で、ガイド部材300の基端部301は挿入口部36aから挿入機器10の外部に露出している。
【0024】
図1Bに示すように、露出している基端部301において、挿入口部36aから外部に露出した直後のガイド部材300の一部分303は、挿入口部36aから操作部30の例えば把持部33に向かって例えば略S字形状に屈曲している。一部分303は、屈曲状態で鉗子栓部36及び保持機構500に圧接される。この点について以下に説明する。
【0025】
図1Bに示すように、露出している基端部301において、挿入口部36aから外部に露出した直後のガイド部材300の一部分303は、挿入口部36aから操作部30の例えば把持部33に向かって屈曲している屈曲状態且つ挿入口部36aを含む鉗子栓部36に圧接されている圧接状態となっている。
この部位を、説明の便宜上、第一屈曲圧接部位305と称する。なお屈曲状態と圧接状態との詳細は、後述する。
別の一部分303は、第一屈曲圧接部位305と連続しており、第一屈曲圧接部位305と隣接し、保持機構500によって保持される。
この部位を、説明の便宜上、被保持部位307と称する。
被保持部位307は、第二屈曲圧接部位307aと圧接部位307bとを有する。第二屈曲圧接部位307aは、屈曲し且つ屈曲によって保持機構500に圧接されている部位である。圧接部位307bは、屈曲している第二屈曲圧接部位307aがガイド部材300の復元力によって直線状に復元しようとする際に、保持機構500に圧接される部位である。復元力は、ガイド部材300の弾発性を含む。第二屈曲圧接部位307aと圧接部位307bとは、保持機構500の内部に配設される。
なお第二屈曲圧接部位307aは、第一屈曲圧接部位305よりもガイド部材300の基端側に配設される。第二屈曲圧接部位307aは、第一屈曲圧接部位305と直線状に連続している。圧接部位307bは、第二屈曲圧接部位307aよりもガイド部材300の基端側に配設される。圧接部位307bは、第二屈曲圧接部位307aと直線状に連続している。
別の一部分303は、被保持部位307と連続しており、被保持部位307と隣接し、操作部30の例えば把持部33の手前に向かって直線状に延びるように延出されている。

この部位を、説明の便宜上、延出部位309と称する。延出部位309は、保持機構500によって保持されておらず、保持機構500から保持機構500の外部に向かって延びている部位である。延出部位309は、ガイド部材300の弾発性によって直線状に形成される。延出部位309は、把持部33の中心軸C3と処置具挿入口部35aの中心軸C1との間に形成される角度の内部に位置する。
【0026】
図1Bに示すように、このように露出している基端部301は、第一屈曲圧接部位305と被保持部位307と延出部位309とを有する。基端部301において、ガイド部材300の先端部から基端部301に向かって、第一屈曲圧接部位305、被保持部位307、延出部位309の順で並んでいる。前記したように、第一屈曲圧接部位305と被保持部位307と延出部位309とは、それぞれ別部位である。延出部位309は、第一屈曲圧接部位305と被保持部位307とよりも長い。被保持部位307と延出部位309とは、第一屈曲圧接部位305よりも把持部33側に配設される。
【0027】
ガイド部材300は、術式に応じて、処置具400と同時または処置具400よりも前に、挿入口部36aから鉗子栓部36を介して処置具挿通チャンネルに挿入される。そしてガイド部材300は、処置具400を被検体に案内する。
【0028】
このようなガイド部材300は、例えば細い線状部材によって形成される。線状部材は、例えば、強い弾発性を有する硬質な金属のワイヤを有する。弾発性のために、曲り癖がガイド部材300に作用することが抑制される。なお曲り癖とは、例えば、ガイド部材300が曲がった際にガイド部材300が曲がった状態を維持することを示す。そして弾発性のために、ガイド部材300は、曲がったとしても、例えば直線状態に復元しようとする。前記した金属は、例えば、ニッケルチタン合金とステンレスとの少なくとも一方を含む。線状部材は、例えば、ニッケルチタン線と、ニッケルチタン線の表面にコーティングされる例えばフッ素樹脂とを有してもよい。ガイド部材300は、例えば、ディスポーザブルとなっている。
【0029】
[処置具400]
図1Bに示すような処置具400は、例えば、胆管などの被検体を処置するために用いられる。このような処置具400は、例えば、Endoscopic sphincterotomy(以下、EST)用ナイフ等を有する。処置具400は、例えば細い線状部材によって形成される。
【0030】
処置具400は、術式に応じた所望するタイミングでガイド部材300によって被検体まで案内される。
【0031】
[保持機構500]
保持機構500は、把持部33が術者の右手で把持された状態で、術者の左手の操作によって保持機構500が被保持部位307を保持または保持を解放できるように、操作部30に配設される。言い換えると、保持機構500は、把持部33が術者の右手で把持された状態で、術者の左手の操作によって被保持部位307が保持機構500を介して把持部33に取りつけ可能または取り外し可能となるように、操作部30に配設される。このように保持機構500は、保持機構500が挿入機器10を把持する術者の右手の操作の邪魔にならないように、且つ左手の操作によってガイド部材300と処置具400と保持機構500とが操作可能となるように、操作部30に配設される。
【0032】
なお一般的に、処置具400は、把持部33が術者の左手で把持された状態で、術者の右手の操作によって処置具400の軸方向に沿って進退する。本実施形態では、把持部33が右手で把持された状態で、術者の左手の操作によって被保持部位307が保持機構500を介して把持部33に取りつけられる。この後、術者は、把持部33を右手から左手に持ち替えて、把持部33を左手で把持する。
【0033】
図1B図1C図1D図3Aとに示すように、保持機構500は、挿入部20の基端部に連結される操作部30に配設される。この場合、保持機構500は、図1Bに示すように、挿入口部36a詳細には鉗子栓部36に隣り合って配設される。保持機構500は、鉗子栓部36と把持部33との間に配設される。保持機構500の中心軸C6は、保持機構500の中心軸C6が把持部33の中心軸C3と挿入口部36a(鉗子栓部36)の中心軸C5との間に配設されるように、挿入口部36a(鉗子栓部36)の中心軸C5に対してオフセットされている。言い換えると、保持機構500の中心軸C6は、挿入口部36aの中心軸C5に対して略平行である。
【0034】
保持機構500は、図1B図1C図1D図3Aとに示すように、操作部30の例えば把持部33と処置具挿入部35とに対して一体、または図示は省略するが操作部30に対して着脱自在な別体となっている。
図1B図1C図1D図3Aとに示すように、保持機構500が操作部30に対して一体となっている場合、例えば、保持機構500は、把持部33の側面と、鉗子栓部36が配設される処置具挿入部35の平面とに一体である。このような保持機構500は、把持部33とともにインサート成形される。
図示はしないが保持機構500が操作部30に対して別体である場合、保持機構500は、例えば把持部33と処置具挿入部35とに着脱自在に取り付けられる。この場合、保持機構500は、接着によって把持部33と処置具挿入部35とに取付けられてもよい。
【0035】
図1B図1C図1D図3Aに示すように、保持機構500は、1つの保持ユニット501を有する。保持ユニット501は、鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、把持部33の中心軸C3よりも右側に配設されている。
【0036】
図1B図1C図1D図2A図3Aとに示すように、保持ユニット501は、接触部511と導入部513とを有するガイド部510と、開口部530と、係止機構550と、隙間部571とを有する。ガイド部510と、開口部530と、係止機構550と、隙間部571とは、保持機構500の肉厚部が切り欠かれることによって形成される。ガイド部510は係止機構550と連続し、開口部530はガイド部510と係止機構550との間に配設される。接触部511と導入部513と係止機構550とは、連続した保持機構500の周面となっており、ガイド部材300はこれらを摺動することとなる。言い換えると、ガイド部材300は、これらに沿ってこれらを移動することとなる。この状態において、ガイド部材300の保持の経路は、隙間部571、接触部511、導入部513、開口部530、係止機構550の順番となっている。以下に、各部位について説明する。
【0037】
図2A図2B図3A図3Bとに示すように、ガイド部510は、挿入口部36aから外部に露出した直後のガイド部材300の一部分303(第一屈曲圧接部位305)が挿入口部36aに対して屈曲している屈曲状態且つ挿入口部36aを含む鉗子栓部36に圧接されている圧接状態で、露出している別の一部分303(被保持部位307と延出部位309の一部)がガイド部510に接触するように、配設される。言い換えると、ガイド部510は、第一屈曲圧接部位305が形成されている状態で、被保持部位307と延出部位309の一部とがガイド部510に接触するように、配設される。ガイド部510は、ガイド部510に接触した被保持部位307と延出部位309の一部とを、係止機構550の係止導入部551に向けて案内する。ガイド部510は、被保持部位307と延出部位309の一部とを含むガイド部材300の基端部301が摺動する滑らかな摺動面として機能する。ガイド部510は、挿入口部36aの第1の径方向R1(保持機構500の長さ方向)において例えば鉗子栓部36と把持部33との間に配設される。
【0038】
図1B図2B図3Bとに示すように、前記した屈曲状態は、例えば、一部分303の第一屈曲圧接部位305が挿入口部36a(鉗子栓部36)の中心軸C5方向から中心軸C5方向に略直交する略直交方向に例えば弧字状に屈曲し、さらに一部分303の第一屈曲圧接部位305が挿入口部36a(鉗子栓部36)から操作部30の例えば把持部33に向かって屈曲することを示す。
図1B図2B図3Bとに示すように、前記した圧接状態は、屈曲している一部分303(第一屈曲圧接部位305)が挿入口部36a(鉗子栓部36)から操作部30の例えば把持部33に向かって挿入口部36a(鉗子栓部36)の内周面と上端側の内周縁とに圧接され、さらに、屈曲している一部分303が挿入口部36a(鉗子栓部36)の上方から挿入口部36aが配設される平面である鉗子栓部36の上端面に向かって上端面に圧接され、圧接により位置決め固定されていることを示す。
【0039】
図1B図1C図2B図2C図3B図3Cとに示すように、ガイド部510は、被保持部位307と延出部位309の一部とが接触する接触部511と、ガイド方向において接触部511と係止機構550との間に介在しており、接触部511と係止機構550とに連続している導入部513とを有する。ガイド部510は、接触部511から導入部513を介して係止機構550に向かって被保持部位307と延出部位309の一部とを案内する。
【0040】
図1B図1Cとに示すように、接触部511は、保持機構500の肉厚部が挿入口部36aの第1の径方向R1において鉗子栓部36から把持部33に向かって切り欠かれることによって形成される。このため、挿入口部36aの中心軸C5方向において、係止機構550と接触部511との間には、切り欠き面を有する隙間部571が形成される。切り欠き面は、保持機構500の一部が挿入口部36aの中心軸C5の放射方向C7に切り欠かれることによって配設され、ガイド部材300を挿入口部36aから開口部530内に導く。切り欠き面は、例えば、接触部511と、導入部513とを有する。放射方向C7は、例えば、挿入口部36aの第1の径方向R1及び第2の径方向R2を含む平面方向である。
【0041】
接触部511は、第1の径方向R1に直交する挿入口部36aの第2の径方向R2(保持機構500の幅方向)において、保持機構500の肉厚部を貫通している。接触部511は、鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、把持部33の中心軸C3と鉗子栓部36の中心軸C4とよりも右側に配設されていればよい。接触部511は、鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、保持機構500の右側方と上方と手前とを介して外部に対して露出する。
【0042】
図1B図1C図1Dとに示すように、接触部511は、挿入口部36aの第1の径方向R1と第2の径方向R2との間に形成される平面である。接触部511は、ガイド部510の底面として機能する。接触部511の最も低い部分は、鉗子栓部36の上端部よりも高い位置に配設される。接触部511の最も低い部分は、挿入口部36aの第1の径方向R1において、鉗子栓部36に隣り合う。接触部511は、鉗子栓部36の上端面に対して傾斜している。接触部511は、挿入口部36aの第1の径方向R1において、鉗子栓部36から把持部33に向かって屈曲している。接触部511全体は、傾斜面として形成されている。挿入口部36aの第1の径方向R1において、鉗子栓部36と、接触部511の最も低い部分と、接触部511と、接触部511の最も高い部分と、把持部33とが、順に並んでいる。
【0043】
図1B図1Cとに示すように、導入部513は、挿入口部36aの第1の径方向R1と挿入口部36aの中心軸C5方向との間に形成される平面である。導入部513は、保持機構500の右側面として機能する。導入部513は、挿入口部36aの第1の径方向R1において、鉗子栓部36と把持部33との間に配設される。導入部513は、挿入口部36aの第1の径方向R1において直線状に配設される。挿入口部36aの中心軸C5と把持部33の中心軸C3とを結ぶ直線に対する導入部513の傾き(導入部513の向き)は、所望に調整されている。このように導入部513は、挿入口部36aの中心軸C5に対して傾斜している。
【0044】
図2C図3C図3Dとに示すように、導入部513は、被保持部位307と延出部位309の一部とを接触部511から係止機構550に向かって導入させる。このとき、導入部513は、挿入口部36aの第1の径方向R1に沿って配設されている被保持部位307と延出部位309の一部とが挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って起上するように、被保持部位307と延出部位309の一部とが摺動する起上摺動面として機能する。
【0045】
図1B図1Cとに示すように、開口部530と係止機構550とは、導入部513よりも手前(鉗子栓部36)側に配設される。言い換えると、開口部530と係止機構550とは、挿入口部36aの第1の径方向R1において導入部513と鉗子栓部36との間に配設される。開口部530と係止機構550とは、J字形状の溝部として形成される。このため、挿入口部36aの第1の径方向R1において、開口部530及び係止機構550と、鉗子栓部36との間には、保持機構500の肉厚部が配設される。
【0046】
図1B図1Cとに示すように、開口部530と係止機構550とは、挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って配設されており、挿入口部36aの中心軸C5方向において保持機構500の肉厚部を貫通している。よって、開口部530及び係止機構550の下方には、接触部511の一部が配設される。
【0047】
図3C図3Dとに示すように、開口部530は、被保持部位307が係止機構550に挿抜されるために配設される連通路として機能する。挿入口部36aから外部に露出した直後のガイド部材300の基端側における一部分303の第一屈曲圧接部位305が挿入口部36aに対して屈曲している屈曲状態且つ挿入口部36aに圧接されている圧接状態で、一部分303は開口部530を挿通する。
【0048】
図1B図2D図3Dとに示すように、係止機構550は、開口部530と連続している。係止機構550には、開口部530を挿通した被保持部位307が挿入される。係止機構550は、挿入口部36aの中心軸C5の放射方向C7において配設される。詳細には、係止機構550は、挿入口部36aの中心軸C5方向において挿入口部36aから離間する位置に配設される。係止機構550は、挿入口部36aよりも高い位置にて、挿入口部36aに隣り合い且つ挿入口部36aの中心軸C5の放射方向C7上に配設される。係止機構550の中心軸は、挿入口部36aの中心軸C5方向に対して平行である。鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、係止機構550は、鉗子栓部36と把持部33との間に配設される。
【0049】
図1B図2D図3F図4とに示すように、係止機構550は、ガイド部材300の一部分303(第一屈曲圧接部位305)が屈曲状態を維持するように、開口部530を挿通したガイド部材300を挿入口部36aの中心軸C5方向における位置が互いに異なる2カ所で係止する。言い換えると、係止機構550は、屈曲状態と圧接状態とが維持されるように、係止機構550に挿入された被保持部位307を高さ位置が異なる二か所で係止する。係止機構550は、ガイド部材300が屈曲状態と圧接状態とを維持するように、開口部530を挿通したガイド部材300を係止する。
【0050】
図1B図1C図3F図4とに示すように、係止機構550は、開口部530と連続する第一溝部573の内周面に配設され、一部分303の被保持部位307が摺動する摺動面として機能し、一部分303の被保持部位307を摺動させて導入させる係止導入部551を有する。係止機構550は、係止導入部551の一部に配設され、一部分303の一部である被保持部位307の第二屈曲圧接部位307aを係止する第一係止部553を有する。係止機構550は、第一溝部573と連続する第二溝部575に配設され、且つ挿入口部36aの中心軸C5の放射方向C7に第一係止部553よりも離れた位置に配設される第二係止部555を有する。第二係止部555は、一部分303の別の一部である被保持部位307の圧接部位307bを係止する。第一溝部573と第二溝部575とは、挿入口部36aの中心軸C5方向(保持機構500の高さ方向)において、保持機構500の肉厚部が切り欠かれることによって形成される。つまり、第一溝部573と第二溝部575とは、挿入口部36aの中心軸C5方向(保持機構500の高さ方向)において保持機構500の肉厚部を貫通する。第一溝部573と第二溝部575とは、互いに対して同じ高さ位置に配設される。第二係止部555は、保持機構500の高さ方向において、第一係止部553よりも高い位置に配設されている。
【0051】
第一溝部573の中心軸方向は、例えば、挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って配設される。詳細には、第一溝部573の内周面は、例えば、挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って配設される。なお第一溝部573の中心軸方向(第一溝部573の内周面)は、挿入口部36aの中心軸C5方向に対して傾斜してもよい。第一溝部573の中心軸は、挿入口部36aの第1の径方向R1において、挿入口部36aの中心軸C5に対してずれて配設される。第一溝部573の内周面は、例えば滑らかとなっている。
前記した内容は、第二溝部575についても同様である。
【0052】
第二溝部575は、挿入口部36aの第1の径方向R1において第一溝部573と把持部33との間に配設されており、鉗子栓部36から第二溝部575を見た際に第一溝部573の奥に配設される。第二溝部575は、例えば、V字形状、矩形形状、台形形状、パラボラ形状のいずれかを有する。なお第二溝部575は、挿入口部36aから離れるに従って、先細となっていることが好適である。言い換えると、第二溝部575は、後述するように復元力が圧接部位307bにかかる方向に従って、さらに言い換えると復元する方向に従って、先細となっていることが好適である。第二溝部575の形状は、特に限定されない。第二溝部575は、例えば1mmの直径を有するガイド部材300が第二溝部575に嵌まり込むように、ガイド部材300の直径と略同一の直径を有する。
【0053】
図2D図3Eとに示すように、係止導入部551には、被保持部位307が摺動する。被保持部位307が係止導入部551を摺動することによって、係止導入部551は被保持部位307を第一係止部553に導入させる。
【0054】
図1B図1C図2Aとに示すように、係止導入部551は、例えば、J字形状を有する。係止導入部551は、第一ガイド面部551aと第二ガイド面部551bと第三ガイド面部551cとを有する。係止導入部551におけるガイド部材300の経路は、第一ガイド面部551a、第二ガイド面部551b、第三ガイド面部551cの順となっている。第一ガイド面部551aは、開口部530に隣接して配設される。第二ガイド面部551bの一部は、第一ガイド面部551aと連続している。第二ガイド面部551bは、開口部530と対向し、第二ガイド面部551bには第一係止部553が配設される。第三ガイド面部551cの一部は、第二ガイド面部551bの別の一部と連続している。第三ガイド面部551cの別の一部は、第二溝部575と連続し、一部分303の被保持部位307を第二係止部555に案内する。第一ガイド面部551aと第二ガイド面部551bと第三ガイド面部551cとは、例えば、挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って配設される。第一ガイド面部551aと第二ガイド面部551bと第三ガイド面部551cとは、挿入口部36aの中心軸C5方向に対して傾斜してもよい。
【0055】
図2Aに示すように、第一ガイド面部551aは、開口部530の脇に配設される。第一ガイド面部551aは、挿入口部36aの第1の径方向R1に対して傾斜している。第一ガイド面部551aは、導入部513の端部に対向しており、導入部513に対して平行に配設される。このため、開口部530は、第一ガイド面部551aと導入部513の端部とによって挟まれている。詳細については後述するが、第二ガイド面部551bは、第2の径方向R2に沿って配設される。第二ガイド面部551bには、鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、鉗子栓部36よりも奥に配設される。第二ガイド面部551bと鉗子栓部36との間には、保持機構500の肉厚部が介在する。第三ガイド面部551cは、挿入口部36aの第1の径方向R1に対して傾斜し、第一ガイド面部551aよりも長い。なお第1の径方向R1に対する第三ガイド面部551cの傾斜角度は、第1の径方向R1に対する第一ガイド面部551aの傾斜角度よりも小さい。
【0056】
図2Aに示すように、第一ガイド面部551aの周囲に配設される保持機構500の肉厚部の長さL1は、屈曲状態と圧接状態とが維持された状態で一部分303が把持部33側に引き倒されるための引き倒し量を確保するために、調整される。
【0057】
図1B図4とに示すように、第一係止部553は、屈曲しているガイド部材300の第一屈曲圧接部位305が挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って直線状態に延出するように、挿入口部36aから延出されたガイド部材300の第二屈曲圧接部位307aを屈曲させて係止する位置に配設されている。言い換えると、第一係止部553は、屈曲状態且つ圧接状態の第一屈曲圧接部位305が直線状態に復元する方向側に配設される。第一屈曲圧接部位305が復元力によって直線状態に復元しようとする際に、第二屈曲圧接部位307aは第一係止部553に復元力によって押し付けられる。この押し付けによって生じる第1方向は、前記した復元する方向であり、挿入口部36aの中心軸C5に向かう方向であり、把持部33から離れる方向である。このとき第二屈曲圧接部位307aは、第一係止部553(第一溝部573の下側縁部)によって屈曲し、第一係止部553に圧接される。これにより、第一係止部553は、被保持部位307の一部である第二屈曲圧接部位307aを係止する。第一係止部553は、屈曲状態の第一屈曲圧接部位305がガイド部材300の復元力(弾発性)によって直線状態に復元する動作を規制する。第一係止部553は、第一溝部573に挿入された第二屈曲圧接部位307aが第一係止部553から挿入口部36aの中心軸C5方向において上方に向かって動作することを防止する。言い換えると、第一係止部553は、第二屈曲圧接部位307aが第一係止部553から挿入口部36aの中心軸C5方向に抜けること及び復元力(弾発性)によって直線状態に復元することを防止するストッパーとして機能する。
【0058】
第一係止部553は、処置具400の引き抜きによって第一屈曲圧接部位305が変形しようとする方向側に配設される。第一係止部553は、処置具400の引き抜きによって屈曲状態と圧接状態とが解放されようとする際に、ガイド部材300の変形を防止する。
【0059】
図1B図4とに示すように、第一係止部553は、挿入口部36aに近い側における第一溝部573の縁部である第一溝部573の下側縁部に配設される。具体的には、第一係止部553は、係止導入部551の一部である第二ガイド面部551bの下端部として機能する。第一係止部553は、挿入口部36aの第1の径方向R1において、挿入口部36aと隣り合うように配設されている。
【0060】
図1B図4とに示すように、第二係止部555は、第一係止部553によって屈曲状態の一部分303の被保持部位307の別の一部(圧接部位307b)が直線状態に復元する動作を規制する側に配設される。例えば、第二係止部555は、第一溝部573の中心軸を挟んで第一係止部553とは反対側に配設される。第一係止部553によって屈曲している圧接部位307bが復元力によって直線状態に復元しようとする際に、圧接部位307bが第二係止部555に復元力によって押し付けられる。この押し付けによって生じる第2方向は、第1方向とは逆向きであり、挿入口部36aの中心軸C5から離れる方向であり、把持部33側に向かう方向である。このとき圧接部位307bは、復元力によって第二係止部555(第二溝部575の上側縁部)に圧接される。これにより、第二係止部555は、圧接部位307bを係止する。第二係止部555は、屈曲状態の圧接部位307bがガイド部材300の復元力(弾発性)によって直線状態に復元する動作を規制する。第二係止部555は、第二溝部575に挿入された圧接部位307bが第二係止部555から挿入口部36aの中心軸C5方向において上方に向かって動作することを防止する。言い換えると、第二係止部555は、第二溝部575に挿入された圧接部位307bが第二係止部555から挿入口部36aの中心軸C5方向に抜けること及び復元力(弾発性)によって直線状態に復元することを防止するストッパーとして機能する。
【0061】
図1B図4とに示すように、第二係止部555は、第一係止部553よりも高い位置に配設される。例えば、第二係止部555は、第一係止部553よりも挿入口部36aから離れた第二溝部575の縁部である第二溝部575の上側縁部に配設される。第二係止部555は、鉗子栓部36から把持部33に向かって保持機構500を見た際に、第一係止部553よりも奥に配設される。このように第二係止部555は、第一係止部553よりも挿入口部36aから離れて配設される。第二係止部555は、挿入口部36aの中心軸C5と第一係止部553とに対して略同一直線上に配設される。
【0062】
係止機構550は、係止導入部551によって導入された被保持部位307が係止機構550に引っ掛かる引っ掛かり部として機能する。具体的には、一部分303は、一部分303が第一係止部553と第二係止部555とによってせん断されるように、第一係止部553と第二係止部555とによって係止される。
【0063】
[作用]
以下に一例として、ガイド部材300が十二指腸乳頭内に処置具400を案内することを説明する。
【0064】
[処置具400のガイド作業]
ガイド部材300は、例えば処置具400の図示しない溝部に係合される。溝部は、処置具400の軸方向に沿って例えば処置具400の全長に渡って配設される。なおガイド部材300の基端部301は、溝部から脱出されており、処置具400とは分離されている。つまり、ガイド部材300及び処置具400の先端側は一体であるが、図1Bに示すように、基端側は互いに対して分離している。
【0065】
この状態で、ガイド部材300と処置具400とは、挿入口部36aから鉗子栓部36と処置具挿入口部35aとを介して挿入機器10の内部に挿入される。ガイド部材300と処置具400とは、処置具挿通チャンネルを挿通して先端開口部から挿入部20の先端部の側方に突出する。そして、ガイド部材300の先端部は、胆管などの被検体に到達し、処置具400を被検体にまで案内することとなる。なおガイド部材300の基端部301と処置具400の基端部とは、挿入口部36aから挿入機器10の外部に露出している。
【0066】
前記において、ガイド部材300と処置具400とは、把持部33が術者の左手で把持された状態で、術者の右手の操作によって挿入される。
【0067】
[保持作業における屈曲圧接作業]
この状態で、溝部及び挿入機器10の外部から露出しているガイド部材300の基端部301において、一部分303は、保持ユニット501によって保持される。
【0068】
詳細には、図2B図3Bとにおいて実線で示すように、一部分303は、挿入口部36aに対して例えばL字形状に屈曲し、鉗子栓部36側から把持部33側に引っ張られる。これにより、一部分303は、挿入口部36a(鉗子栓部36)の内周面と上端側の内周縁とに圧接され、挿入口部36a(鉗子栓部36)の上方から鉗子栓部36の上端面に向かって上端面に圧接される。そして、第一屈曲圧接部位305が形成され、屈曲状態と圧接状態とが維持される。
なお第一屈曲圧接部位305が形成され、屈曲状態と圧接状態とが維持されれば、ガイド部材300は必ずしも引っ張られる必要はない。
屈曲圧接作業は省略されてもよく、第一屈曲圧接部位305は後述するガイド作業中または係止作業中に形成されてもよい。
【0069】
[保持作業におけるガイド作業と係止作業]
図2C図3Cとに示すように、第一屈曲圧接部位305が形成されている状態で、ガイド部510は、ガイド部510に接触した被保持部位307と延出部位309の一部とを係止機構550に向かって案内する。
【0070】
詳細には、まず図2B図3Bとに示すように、被保持部位307と延出部位309の一部とが外部に対して露出している接触部511に接触する。このとき被保持部位307と延出部位309の一部とは、挿入口部36aの中心軸C5方向に対して把持部33に向かって折り曲げられる。つまり、被保持部位307と延出部位309の一部とは、把持部33側に引き倒される。被保持部位307と延出部位309の一部とは、第一ガイド面部551aの周囲に配設される保持機構500の肉厚部によって、係止機構550における第一溝部573に直接挿入されることが防止される。
【0071】
図2C図3Cとに示すように、被保持部位307と延出部位309の一部とは、導入部513に向かって接触部511を摺動し、導入部513に当接する。このとき、第一屈曲圧接部位305は、第2の径方向R2において、隙間部571を移動する。そして図3Dに示すように、被保持部位307と延出部位309の一部とは、導入部513に沿って起上し、挿入口部36aの中心軸C5方向に沿って配設される。つまり、被保持部位307と延出部位309の一部とは、引き起こされる。
【0072】
図3Dに示すように、被保持部位307は、鉗子栓部36側に向かって引き起こされることによって、導入部513を摺動し、開口部530を挿通し、係止機構550に挿入される。
【0073】
図3E図3Fとに示すように、被保持部位307は、係止機構550において、係止導入部551によって第一係止部553と第二係止部555とに導入される。詳細には、被保持部位307は、係止導入部551の第一ガイド面部551aと第二ガイド面部551bと第三ガイド面部551cとを順に摺動し、第二溝部575に挿入される。
【0074】
そして被保持部位307は、第二ガイド面部551bにおける第一係止部553と、第二溝部575における第二係止部555とによって係止される。
【0075】
図4に示すように、第一係止部553において、第一屈曲圧接部位305が復元力によって直線状態に復元しようとする際に、被保持部位307の一部(第二屈曲圧接部位307a)が復元力によって第一係止部553として機能する第一溝部573の下側縁部に押し付けられる。このとき第二屈曲圧接部位307aは、第一係止部553によって屈曲し、第一係止部553に圧接される。これにより、第一係止部553は、第二屈曲圧接部位307aを係止する。
【0076】
図4に示すように、第二係止部555において、第一係止部553によって屈曲している被保持部位307が復元力によって直線状態に復元しようとする際に、被保持部位307の別の一部(圧接部位307b)が復元力によって第二係止部555として機能する第二溝部575の上側縁部に押し付けられる。第二係止部555における押し付けの前記した第2方向は、第一係止部553における押し付けの前記した第1方向とは逆向きとなっている。このとき圧接部位307bは、復元力によって第二係止部555に圧接される。これにより、第二係止部555は、圧接部位307bを係止する。なお被保持部位307の基端部301が第二係止部555に係合する。これにより、第二係止部555は、被保持部位307の基端部301を係止する。
【0077】
なお第一係止部553は、第二屈曲圧接部位307aを係止する。第二係止部555は、圧接部位307bを係止する。そして、第二係止部555は、挿入口部36aの中心軸C5方向において第一係止部553よりも高い位置に配設され、第一係止部553よりも挿入口部36aから離れて配設される。第二係止部555は、第一係止部553に対して略同一直線上に配設される。このため、第一係止部553と第二係止部555とは、互いの位置関係によって、被保持部位307をせん断するように、被保持部位307を係止する。
【0078】
このようにガイド部材300は、第一屈曲圧接部位305と、被保持部位307の一部である第二屈曲圧接部位307aと、被保持部位307の別の一部である圧接部位307bとの合計3か所で係止される。係止される箇所は、互いに対して異なる高さ位置となっている。
【0079】
なお、第一屈曲圧接部位305は、挿入口部36aの中心軸C5方向において鉗子栓部36に隣り合う接触部511の縁部に引っ掛かってもよい。これにより、係止が強化される。
【0080】
[処置具400の交換作業及び解除作業]
なお、処置具400が別の処置具400の交換される際、処置具400がガイド部材300に対して剥かれるように、処置具400のみが引っ張られる。そして、処置具400は、挿入機器10から抜去される。
【0081】
処置具400が挿入機器10から取り外された後、被保持部位307は、前記した手順とは逆の手順で保持機構500から一度取り外される。このため被保持部位307は、係止導入部551に沿ってこれらを移動するのみである。
このような被保持部位307における係止の解除作業において、解除作業は、被保持部位307が係止導入部551を摺動するのみである。
【0082】
この状態では、ガイド部材300の先端部は、先端開口部から突出されたままの状態である。
【0083】
そしてモノレール部を有する別の処置具400が、モノレール部を介してこのガイド部材300に沿って挿入口部36aから挿入機器10に挿入される。そして別の処置具400は、ガイド部材300に沿って、先端開口部から突出され、被検体に到達する。
このように、交換された処置具400は、ガイド部材300によって、被検体までガイドされる。
【0084】
処置具400がガイドされた後、露出しているガイド部材300の基端部301において、図3A図3Bとに示す前記同様に、一部分303は、保持ユニット501によって再び保持される。
【0085】
交換作業と解除作業とにおいて、ガイド部材300と処置具400とは、把持部33が術者の右手で把持された状態で、術者の左手によって操作される。
【0086】
[交換作業に伴う第一屈曲圧接部位305の変形防止]
前記したように処置具400が交換のために挿入口部36aの第1の径方向R1において把持部33から離れるように引っ張られると、引っ張りに生じる引張力は、挿入口部36aの中心軸C5方向において第一屈曲圧接部位305に作用する。この作用によって屈曲状態と圧接状態とが解放され、第一屈曲圧接部位305が解消及び変形し、鉗子栓部36から露出した直後のガイド部材300の部位に図示しないループ部が形成されようとする。このループ部の形成を含む変形は、挿入機器10に挿入されている処置具400が引張力によって抜去されることによって発生する。この場合、被保持部位307を含むガイド部材300の基端部側は保持機構500によって保持機構500にて位置決め固定されているが、ガイド部材300の先端部は変形によって位置ずれすることがある。つまり先端部が先端開口部から挿入機器10の内部に引っ込むといったように、先端部において位置ずれが発生してしまう。
【0087】
しかしながら第一係止部553は、処置具400の引き抜きによって第一屈曲圧接部位305が変形しようとする方向側に配設される。具体的には、第一係止部553は、第一溝部573の下側縁部に配設され、第二ガイド面部551bの下端部として機能する。第一係止部553は、挿入口部36aと隣り合うように配設され、挿入口部36aよりも高い位置に配設される。よって、処置具400が引き抜かれても、第一屈曲圧接部位305の動作が防止され、且つ屈曲状態と圧接状態とが維持される。処置具400が引き抜かれても、第一屈曲圧接部位305の変形が防止され、第一屈曲圧接部位305に対してループ部の形成が防止される。つまり引張力だけでは、変形は防止され、ループ部の形成は防止され、屈曲状態と圧接状態とは維持される。
ループ部の形成は、前記した第一屈曲圧接部位305と第二屈曲圧接部位307aと圧接部位307bとの3か所の位置決め固定によっても防止される。
【0088】
これにより、ガイド部材300の先端部において、位置ずれの発生は防止される。
【0089】
[効果]
このように本実施形態では、第一屈曲圧接部位305が形成されている状態で、一部分303は、開口部530を挿通し、係止機構550に挿入される。そして一部分303は、挿入口部36aよりも高い位置にて挿入口部36aに隣り合うように挿入口部36aの中心軸C5の放射方向C7上に配設される係止機構550において、高さ位置が互いに対して異なる二か所で係止される。これにより本実施形態では、ガイド部材300を簡単且つ安定して固定できる。
【0090】
本実施形態では、係止導入部551によって一部分303を確実に係止できる。
【0091】
本実施形態では、第一係止部553は、第一溝部573の下側縁部に配設される。第二係止部555は、第二溝部575の上側縁部に配設され、第一係止部553よりも挿入口部36aから離れて配設され、第一係止部553に対して略同一直線上に配設される。よって本実施形態では、保持機構500の構成をシンプルにできる。一部分303は、一部分303が第一係止部553と第二係止部555とによってせん断されるように、第一係止部553と第二係止部555とによって係止される。これにより本実施形態では、一部分303を確実に二か所で逆向きの力で係止できる。
【0092】
本実施形態では、係止導入部551によって、一部分303を確実に第二係止部555に導入できる。
【0093】
本実施形態では、保持機構500は、挿入口部36aに隣り合うように配設され、具体的には、操作部30に配設される。このため本実施形態では、第一屈曲圧接部位305が被保持部位307と連続し隣り合うことができ、屈曲状態と圧接状態とを維持でき、ガイド部材300を、第一屈曲圧接部位305と第二屈曲圧接部位307aと圧接部位307bとの3か所で位置決め固定できる。
【0094】
保持機構500は、操作部30に対して一体または着脱自在な別体となっている。保持機構500が操作部30と一体である場合、保持機構500は操作部30と共に洗浄可能である。保持機構500が操作部30と別体である場合、保持機構500は様々な太さを有する処置具400に対応できる。
【0095】
鉗子栓部36は、リユースタイプでもディスポーザブルタイプであってもどちらでもよい。リユースタイプの鉗子栓部36は、ディスポーザブルタイプの鉗子栓部36よりも硬い。
【0096】
[保持機構500の変形例1]
本実施形態では、保持機構500は操作部30に配設されているが、保持機構500が挿入口部36aに隣り合うように配設されていれば、これに限定される必要はない。例えば、保持機構500は、鉗子栓部36に配設されてもよい。
この場合、保持機構500は、図5Aに示すように鉗子栓部36に対して一体、または図示は省略するが着脱自在な別体となっている。
【0097】
保持機構500が鉗子栓部36に対して一体となっている場合、例えば、保持機構500は、保持機構500が一実施形態で示した位置に配設されるように、挿入機器10に配設される。このような保持機構500は、鉗子栓部36とともにインサート成形される。

保持機構500が鉗子栓部36に対して別体である場合、保持機構500は、例えば鉗子栓部36に着脱自在に取り付けられる。この場合、例えば、保持機構500は、鉗子栓部36に巻き付く帯状部材を有しており、帯状部材によって鉗子栓部36に着脱自在に取付けられる。
【0098】
これにより、保持機構500を鉗子栓部36と共に挿入機器10に自在に着脱できる。保持機構500を鉗子栓部36と共にディスポーザブルにできる。
【0099】
[保持機構500の変形例2]
保持機構500は、少なくとも1つの保持ユニット501を有していればよい。図5Bに示すように、保持ユニット501が複数配設される場合、複数のガイド部材300は保持ユニット501毎にそれぞれ保持される。一方の保持ユニット501が第2の径方向R2において保持機構500の左側に配設され、他方の保持ユニット501が第2の径方向R2において保持機構500の中央に配設されるように、保持ユニット501同士は例えば第2の径方向R2に沿って並んで配設される。
【0100】
接触部511と隙間部571とは、2つの保持ユニット501に共有されており、2つの保持ユニット501において共通の部位である。導入部513と開口部530と係止導入部551と第一係止部553と第二係止部555とを有するユニット同士は、第2の径方向R2において同一直線状に配設され、互いに隣り合うように配設されている。導入部513同士は互いに連続しておらず、ユニット同士の間には保持機構500の肉厚部が介在している。
【0101】
この状態において、ガイド部材300の保持の経路は、接触部511、導入部513、開口部530、係止導入部551、第一係止部553、第二係止部555の順番となっている。接触部511、導入部513、係止導入部551は、連続した保持機構500の周面となっており、ガイド部材300はこれらを摺動することとなる。言い換えると、ガイド部材300は、これらに沿ってこれらを移動することとなる。以下に、各部位を説明する。
【0102】
第2の径方向R2において、保持機構500の中央に配設される保持ユニット501と保持機構500の左側に配設される保持ユニット501との間には、一部分303が挿抜する開口部577が配設される。開口部577は、一部分303が保持機構500の中央に配設される保持ユニット501の接触部511に配設されるための連通路として機能する。この場合、開口部577は、挿入口部36aの第1の径方向R1において鉗子栓部36から把持部33に向かって先細なテーパ状に形成され、ガイド部として機能する。
【0103】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【要約】
保持機構(500)は、挿入口部(36a)から外部に露出したガイド部材(300)の一部分(303)が挿入口部(36a)に対して屈曲している屈曲状態で、ガイド部材(300)が挿通する開口部(530)を有する。保持機構(500)は、保持機構(500)の一部が挿入口部(36a)の中心軸の放射方向に切り欠かれることによって配設され、ガイド部材(300)を挿入口部(36a)から開口部(530)内に導く切り欠き面を有する隙間部(571)を有する。保持機構(500)は、放射方向において配設され、一部分(303)が屈曲状態を維持するように、開口部(530)を挿通したガイド部材(300)を互いに挿入口部(36a)の中心軸方向における位置が互いに異なる2カ所で係止する係止機構(550)を有する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B