特許第5977911号(P5977911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5977911
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160817BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A61B1/00 300U
   A61B1/00 300Y
   G02B23/26 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-522825(P2016-522825)
(86)(22)【出願日】2015年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2015076155
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-14664(P2015-14664)
(32)【優先日】2015年1月28日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】金子 浩之
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007-289355(JP,A)
【文献】 特開2009-207529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
G02B 23/24−23/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のファイバ素線を束ねて予め定めた形状に形成され、長手軸に対して90度未満の角度で傾いて形成された照明光を出射する第1の平面を先端部に設けたライトガイドファイバと、
前記ライトガイドファイバの先端部側が固設される貫通孔を有し、先端面には前記第1の平面と同一な平面に成り得る第1面を有するパイプと、
前記パイプの先端側の端部が配置されるパイプ配設穴及び予め定めた配光を得るための照射レンズ系を構成する凹部を有する照明光学系用の底付き穴を設けた先端部材と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記パイプは、前記貫通孔の中心軸に直交する平面である第2面を有し、
前記パイプ配設穴は、前記パイプの第2面の少なくとも一部が当接する当接面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記凹部は、前記パイプ配設穴の当接面より先端側に位置する前記底付き穴の底面であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記先端部材は、先端カバー部材であって少なくとも
撮像光学部を配置するための撮像光学系挿通孔と、
前記撮像光学系挿通孔に対して予め定めた位置に配置される少なくとも1つの照明光学系用の底付き穴と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記パイプの第2面は、前記第1面の突端部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記パイプは、外周面に前記貫通孔の中心軸に沿って設けられた少なくとも一つの平面を有し、
前記パイプ配設穴は、前記照明レンズ系に対する第1面の向きを規定する、前記パイプの平面が当接する平面である規定面を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記凹部の周縁部の開口は、前記パイプの貫通孔内に配設されたファイバの外形より大きく、該パイプの外形より小さく設定されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記凹部の周縁部の開口の領域は、前記ライトガイドファイバの第1の平面における光の照射領域よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトガイドファイバの出射端面を有する端部を透明な樹脂部材で形成された照明窓部に対応する凹部内に固設して構成される内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療分野及び工業分野で広く利用されている。内視鏡による診断の対象、或いは、観察の対象は、生体内、プラント内、等である。このため、内視鏡装置においては、診断対象、或いは、観察対象を照明する光源が必要である。
【0003】
一般的な内視鏡装置は、内視鏡と、内視鏡外部装置としての光源装置と、を備えている。光源装置は、照明光を出射するランプ或いは発光素子等の発光源を内蔵している。
発光源から出射された照明光は、内視鏡に設けられたライトガイドファイバによって伝送され、挿入部先端に設けられた照明窓を通過して観察対象を照明する。
【0004】
例えば、日本国特開2009−207529号公報には十分な光量や良好な配光を得ることができ、光量のロスを防止でき、細径な先端を有する内視鏡が示されている。この内視鏡において、先端部は、照明光が透過する透明な透明部材によって形成されている。そして、先端部には、観察光学系を挿通する挿通部およびライトガイドファイバが挿入される挿入部が設けられている。挿入部の先端部には予め定めた機能を有するレンズ系が形成されている。
【0005】
日本国特開2009−207529号公報において、挿入部は、挿通部を囲むように略円環状に配置されている。このため、ライトガイドファイバ及びレンズ系も観察光学系を囲むように略円環状に配置される。また、挿入部には、ライトガイドファイバの先端がレンズ系の先端側にまで挿入されることを防止し、該ファイバをレンズ系の基端側に配置させる防止部が基端側に設けられている。
【0006】
この構成によれば、ライトガイドファイバを挿入部に挿入した際、該ファイバの先端は、防止部に突き当たることによって基端側の予め定めた位置に配置されてレンズ系に対峙する。
【0007】
この結果、光源装置が照射光を出射すると、ライトガイドファイバは、先端から照射光を照射する。先端から照射された照射光は、レンズ系によって拡散されて先端部を透過して先端面側から前方に照射されるとともに、先端部を透過して斜面部に入射し斜面部側から照射されて体腔内を照射して良好な観察を行える。
しかしながら、日本国特開2009−207529号公報の内視鏡において、ライトガイドファイバが観察光学系を囲むように円環状に配置される。このため、観察光学系を囲むライトガイドファイバは、挿入部の外径を太径にする要因に成り得る。また、ライトガイドファイバの先端を防止部に突き当っていることにより、ファイバ先端から照射された照明光の一部がレンズ系を通さずに直接先端部内に侵入して光学性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡の挿入部の細径化を図りつつ誤組立を防止して確実且つ容易に意図した光学性能を実現する内視鏡を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の内視鏡は、複数本のファイバ素線を束ねて予め定めた形状に形成され、長手軸に対して90度未満の角度で傾いて形成された照明光を出射する第1の平面を先端部に設けたライトガイドファイバと、前記ライトガイドファイバの先端部側が固設される貫通孔を有し、先端面には前記第1の平面と同一な平面に成り得る第1面を有するパイプと、前記パイプの先端側の端部が配置されるパイプ配設穴及び予め定めた配光を得るための照射レンズ系を構成する凹部を有する照明光学系用の底付き穴を設けた先端部材と、を具備している。
【0010】
以上に記載の本発明によれば、内視鏡の挿入部の細径化を図りつつ誤組立を防止して確実且つ容易に意図した光学性能を実現する内視鏡を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】内視鏡を説明する図
図2図3の矢印Y2−Y2線断面図
図3】挿入部先端面の正面図
図4図3の矢印Y4−Y4線断面図
図5A】ライトガイドファイバを説明する図
図5B】ライトガイドファイバの正面図
図6A】ライトガイドファイバの先端部分を配設したパイプを定められた向きで止り穴のパイプ配設穴に配設する工程を説明する図
図6B】ライトガイドファイバの先端部分を配設したパイプを定められた向きで止り穴のパイプ配設穴に配設した状態の図
図7図2の矢印Y7−Y7線断面図
図8図2の矢印Y8−Y8線断面図
図9図2の矢印Y9−Y9線断面図
図10A】ライトガイドファイバの先端部分を配設したパイプを誤った向きで止り穴のパイプ配設穴に配設した場合を説明する図
図10B】ライトガイドファイバの先端部分を配設したパイプを誤った向きで止り穴のパイプ配設穴に配設した状態の図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図において、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。また、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0013】
図1に示す内視鏡10は、例えば、腎盂尿管鏡であって、挿入部11と、操作部12と、接眼部13と、を設けて主に構成されている。接眼部13は、操作部12の基端側に設けられている。
符号14は、ユニバーサルコードであり、ユニバーサルコード14の接続コネクタ14cは、操作部12の側部に設けられたライトガイド接続口(不図示)に着脱自在である。 挿入部11は、先端側から順に、硬質な先端部15、上下方向に湾曲するように構成され湾曲部16、及び可撓性を備えたチューブ体である可撓管部17を連設して構成されている。
【0014】
可撓管部17の基端側には予め定めた弾性力を有する折れ止め部18が設けられている。折れ止め部18は、可撓管部17の基端部を覆うように設けられて該可撓管部17の座屈を防止すると共に、当該可撓管部17と操作部12の先端側との水密を保持して固設されている。
【0015】
操作部12には、漏水検知口金19、処置具挿通口20、及び湾曲操作レバー21等が設けられている。湾曲操作レバー21は、回動自在である。湾曲部16は、該レバー21の回動操作に伴って湾曲ワイヤー(不図示)が牽引弛緩されることによって、上下の2方向に湾曲する。
【0016】
なお、湾曲部16を湾曲ワイヤーの牽引弛緩によって湾曲動作する能動湾曲部と、外力を受けることによって湾曲する受動湾曲部とを設けて構成するようにしてもよい。また、内視鏡10は、腎盂尿管鏡に限定されるものでは無い。
【0017】
本実施形態において、内視鏡10の挿入部11の先端部15は、図2及び図3に示すように円筒形状の先端部材であって、透明な樹脂部材で先端構成部材30として構成されている。
【0018】
先端構成部材30には、図2に示す中心軸30aに平行な第1軸31aを有する第1の貫通孔31及び第2軸32aを有する第2の貫通孔32と、図3に示す2つの止り穴33、34とが形成されている。符号33aは中心軸30aに平行な第3軸であり、符号34aは中心軸30aに平行な第4軸である。
【0019】
図2に示す第1の貫通孔31は、段付き形状の撮像光学系挿通孔であって、撮像光学部40の先端側部分が固設される。第2の貫通孔32は、処置具チャンネル孔であって、先端開口32mを有する。図3の破線で示す止り穴33、34は、照明光学系用の底付き穴であって、図4に示す凹部37とパイプ配設穴38とを有する。
【0020】
図2に示すように撮像光学部40は、観察レンズ41、対物光学系42、撮像装置43等を有して主に構成される。符号44は第1レンズ枠、符号45は第2レンズ枠、符号46は撮像枠である。
【0021】
第1レンズ枠44には、光学部材として複数種類の光学レンズ47、間隔環(不図示)、絞り(不図示)等が配設されている。第2レンズ枠45には観察レンズ41及び第1レンズ枠44の先端部側が固設される。撮像枠46には、光学部材であるカバーガラス48及び第1レンズ枠44の基端部側が固設される。
【0022】
撮像装置43は、CCD、C−MOS等の個体撮像素子49と、複数の電子部品50を搭載した回路基板51と、回路基板51に接続される複数の信号線52を一纏めにした信号ケーブル53等を有して構成されている。
符号54は、CCD、C−MOS等の個体撮像素子49の保護ガラスであって、保護ガラス54の先端面は、カバーガラス48に透明な接着剤で接着固定され、保護ガラス54の基端面は個体撮像素子49の撮像面側に透明な接着剤で接着固定されている。
【0023】
第2の貫通孔32内にはチューブ用口金22の先端部が固設されている。チューブ用口金22の基端部にはチャンネルチューブ23の先端部が外嵌固定されている。図1の処置具挿通口20から図2のチャンネルチューブ23内に導入された生検針等の処置具は、チューブ用口金22内を通過して第2の貫通孔32に導入された後、先端開口32mから目的部位に向かって導出される。
【0024】
図3に示すように先端構成部材30の先端面30fの予め定めた位置には撮像光学部40の観察レンズ41を固設した第2レンズ枠45が配設されている。また、先端面30fの予め定めた位置には先端開口32m、及び予め定めた形状であって例えば一対の照明窓部35、36が設けられている。一対の照明窓部35、36は、撮像光学部40を挟んで予め定めた位置に配置されている。
なお、照明窓部を2つ以上設ける構成、或いは、1つだけ設ける構成であってもよい。 第1照明窓部35は、後述する第1ファイバ61の照射平面である第1の平面61fに対応して設けられており、第2照明窓部36は後述する第2ファイバ62の照射平面である第1の平面62fに対応して設けられている。符号70は、後述するパイプである。
【0025】
図5(A)に示すようにライトガイドファイバ60は、中途部で例えば第1ファイバ61と第2ファイバ62とに分岐している。
図3図5(B)に示すように第1ファイバ61の先端部分61p及び第2ファイバ62の先端部分62pは、複数本の素線を束ね配光性を考慮して予め定めた形状に形作られており、例えば両端部を構成する半円部と、半円部の間に位置する長方形形状部と、を有する、長円形状である。
【0026】
図4図5(A)に示すように先端部分61p、62pの照明光を出射する先端面は、角度θで傾く第1の平面61f、62fとして形成されている。第1の平面61f、62fは、長手軸61a、62aに対して90度未満の角度で傾く斜面である。
【0027】
本実施形態において、第1ファイバ61の先端部分61p及び第2ファイバ62の先端部分62pは、それぞれ図4及び図5(A)、(B)に示すようにパイプ70の貫通孔71内に接着によって固設される。
【0028】
貫通孔71は、先端部分61p、62pが係入配置されるように形成されている。すなわち、本実施形態において、パイプ70の外形形状は、長円形状であって、平面部分は位置決め面72である。
【0029】
図5(A)、(B)に示すようにパイプ70の先端面73は、第1面73aと第2面73bとを有している。第1面73aは、図5(A)中の先端部拡大図に示すように貫通孔71内に配設された先端部分61pの第1の平面61f及び先端部分62pの第1の平面62fと角度θで同一な一つの平面として構成され得る平面である。
これに対して、第2面73bは、パイプ70の最先端を構成する突端部に設けられ、貫通孔71の中心軸71aに直交する平面である。
【0030】
ここで、第1止まり穴33及び第2止まり穴34の構成を説明する。
なお、第1止まり穴33と第2止まり穴34との構成は同様である。このため、図4図6(A)を参照して第2止まり穴34の構成を説明して、第1止まり穴33の説明は省略する。
【0031】
図4図6(A)に示すように第2止り穴34は、凹部37とパイプ配設穴38とを有する。
パイプ配設穴38には規定面38f1及び当接面38f2が予め定めた位置に形成されている。規定面38f1は、パイプ70の配置位置及び向きを規定する。当接面38f2は、規定面38f1の先端位置に設けられ、第4軸34a方向の配置位置を規定する。
【0032】
当接面38f2は、先端構成部材30の外周面側(図3のハッチングに示す部分)に位置するように形成されている。撮像光学部40側には当接面38f2より予め定めた距離離間した位置に第1面当接面38f3が形成されている。
なお、第1面73aは、第1面当接面38f3の稜線に当接するように形成されている。
【0033】
当接面38f2は、先端面73の第2面73bが当接する平面であり、規定面38f1は、位置決め面72が当接する平面である。
【0034】
凹部37は、当接面38fよりも第2照明窓部36側に位置して設けられる。第2照明窓部36の表面側の形状及び凹部37の底面の形状は、配光性を考慮して予め定めた形状に形成されている。透明な先端構成部材30に第2照明窓部36と凹部37とを設けることによって予め定めた配光特性を有する照射レンズ系が構成される。
【0035】
凹部37の周縁部37aの開口は、パイプ70の貫通孔71内に配設される第2ファイバ62の外形より大きく、パイプ70の外形より小さく設定されている。言い替えれば、凹部37の周縁部開口領域は、第1の平面62fの照明光照射領域よりも広く設定してある。
【0036】
そして、図6(A)に示すように貫通孔71内に第2ファイバ62の先端部分62pを配設したパイプ70は第2面73bを図に示すように先端構成部材30外周側に向けて、矢印Y6Aに示すように第2止り穴34のパイプ配設穴38内に挿通されていく。
【0037】
当接面38f2が先端構成部材30の外周面側に位置することにより、図6(B)に示すように第2面73bが当接面38f2に当接配置されたことを外周面側から目視にて確認したなら、接着剤によって第2ファイバ62の先端部分62pが設けられたパイプ70を先端構成部材30に固設する。
【0038】
この固設状態において、パイプ70内に配設された第2ファイバ62の先端部分62pの第1の平面62fが凹部37の底面に対して予め定めた所定の状態で配設される。つまり、照明レンズ系に対して、第1の平面62fの向きが規定される。
【0039】
そして、第1ファイバ61と第2ファイバ62とは、図7図9に示すように挿入部11の内周面に沿って配設されている。
【0040】
光源装置から照射光が出射されると、照明光は、内視鏡10に設けられたライトガイドファイバ60によって挿入部11の先端側に所定の状態に設けられているファイバ61、62の先端部分61p、62pに伝送され、第1の平面61f、第1の平面62fからそれぞれ照射される。
【0041】
第1の平面61f、62fからそれぞれ照射された照明光は、照射レンズ系である凹部37によって拡散されて透明な先端構成部材30内を透過して照明窓部35、36から体腔内に照射されて観察部位を適切な配光で照らす。
【0042】
この結果、照明光によって照らされた観察部位を撮像光学部40が撮像することによって、意図した光学性能が実現されて、良好な内視鏡画像が図示しない表示装置の画面上に表示される。
【0043】
なお、図10(A)に示すように貫通孔71内に第2ファイバ62の先端部分62pを配設したパイプ70の向きを、図6(A)で示した向きとは異なる例えば撮像光学部40側に向けた状態で矢印Y10Aに示すように第2止り穴34のパイプ配設穴38内に挿通した場合、図10(B)に示すように第1面73aが当接面38f2に当接配置されること無く、距離G離間して配置される。このため、先端構成部材30の外周面側から隙間の有無を目視にて確認して誤組立であるか否かの判断を容易に行えるようになっている。
【0044】
このように、撮像光学部40を囲むようにライトガイドファイバ60を円環状に配設すること無く、撮像光学部40を挟んで予め定めた位置に複数の照明窓部を設けることによって挿入部11の細径化を実現することができる。
【0045】
また、透明な先端構成部材30の表面側に照明窓部35、36を設け、先端構成部材30に設ける止り穴33、34の底面に照明窓部35、36に対応する凹部37を設けて予め定めた配光特性を有する照射レンズ系を構成する。また、止り穴33、34内の予め定めた位置に配光性を考慮したライトガイドファイバ60の先端部分61p、62pを配設したパイプ70を所定の状態に配設する。すわなち、パイプ70の位置決め面72を規定面38f1に当接させ、先端面73の第2面73bを当接面38f2に当接させる。
【0046】
加えて、凹部37の周縁部37aの開口がファイバ61、62の外形より大きく、パイプ70の外形より小さく設定されているので、ファイバ61が当接面38f2上に配置されることが防止されている。つまり、凹部37の周縁部開口領域が第1の平面62fの照明光照射領域よりも広く設定されている。
【0047】
この結果、パイプ70に配設された第1ファイバ61の第1の平面61f及び第2ファイバ62の第1平面62fを照射レンズ系に対して予め定めた状態に配設することができるとともに、ファイバ61、62の第1平面61f、62fから予め設定した照明光がそれぞれ照射されて、照明窓部35、36から適切な配光の照明光を体腔内に照射して観察部位を照らすことができる。
【0048】
また、パイプ70に第2面73bに加えてファイバ61の斜面に一致した平面を形成する第1面73aを設けて先端面73を構成したことによって、第1面73aと当接面38f2との間の隙間の有無を先端構成部材30の外周面側から目視にて確認して、誤組立を未然に防止することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態においては、先端構成部材30を透明部材で構成するとしている。しかし、先端構成部材30を透明な第1の樹脂部材と遮光性を有する第2樹脂部材とで成形するようにしてもよい。この構成においては、照明窓部35、36から凹部37に至る範囲を透明な第1樹脂部材で構成し、その周囲を第2樹脂部材で構成する。
そして、第1樹脂部材と第2樹脂部材とは別体な構成、或いは、二色成形による一体な構成のどちらであってもよい。
【0050】
また、先端部材は、先端構成部材30は、樹脂製に限定されるものでは無く、金属製の先端構成部材に透明部材で構成した、或いは、上述したように二色成形で成形した先端カバー部材を設ける構成であってもよい。
この構成において、止り穴33、34は、先端カバー部材と金属製の先端構成部材とに設けられ、先端カバー部材側の止まり穴33、34に凹部37及び当接面38f2が設けられる。
【0051】
また、上述した実施形態においては、位置決め面72をパイプ70の外周面に2つ設けてパイプ70の外形を長円形状としている。しかし、パイプ70の外形は、長円形状に限定されるものでは無く、例えば、D字形状等であってもよい。
【0052】
すなわち、パイプ70の外周面に少なくとも一つの位置決め面72を設ける構成、或いは、パイプ70の外周面の一方側に設けられる位置決め面と他方側に設けられる位置決め面とが異なる長方形状であってもよい。
【0053】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0054】
本出願は、2015年1月28日に日本国に出願された特願2015−014664号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。
【要約】
内視鏡10は、長手軸61aに対して90度未満の角度で傾いて形成された照明光を出射する第1の平面61fを先端部に設けたライトガイドファイバ60の第1ファイバ61と、第1ファイバ61の先端部分61pが固設される貫通孔71を有し、先端面73には第1の平面61fと同一な平面に成り得る第1面73a及び貫通孔71の中心軸71aに直交する平面である第2面73bを有するパイプ70と、パイプ70の先端側の端部が配置される止り穴34が形成され、止り穴34の底面側にパイプ70の第2面73bの少なくとも一部が当接する当接面38f2、および、当接面38f2より先端側に位置して予め定めた配光を得るための照射レンズ系を構成する凹部37を設けた先端構成部材30と、を具備する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B