(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の収容部は、前記第1の収容部によって前記弾性部材の両端部分を抑えるように前記第1の収容部の中途部分に連通しており、前記第1の収容部よりも長手方向の長さが短いことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明である内視鏡について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0014】
なお、以下の構成説明における内視鏡は、生体の上部または下部の消化器官に挿入するため挿入部が可撓性のある所謂軟性鏡を例に挙げて説明するが、これに限定されることなく、外科用に用いられる挿入部が硬質な所謂硬性鏡にも適用できる技術である。
【0015】
(第1の実施の形態)
先ず、図面に基づいて本発明の一態様の内視鏡の部品固定構造を説明する。
図1は、本発明の一態様の内視鏡の全体構成を示す平面図、
図2は挿入部の構成を示す斜視図、
図3は先端部の構成を示す分解斜視図、
図4は送気送水ノズルの構成を示す斜視図、
図5は先端硬性部に形成されたノズル用保持孔、ピンが設置されるピン設置溝およびピン逃がし溝の構成を示す斜視図、
図6は送気送水ノズルが先端部に装着される前の状態を示す断面図、
図7は送気送水ノズルが先端部に装着されている途中の状態を示す断面図、
図8は送気送水ノズルが先端部に装着された状態を示す断面図、
図9は第1の変形例の送気送水ノズルの構成を示す斜視図、
図10は第2の変形例の送気送水ノズルが先端部に装着された状態を示す断面図、
図11は第3の変形例の送気送水ノズルが装着された先端部を部分的に示した斜視図である。
【0016】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、この挿入部2の基端側に連設された操作部3と、この操作部3から延出されたユニバーサルコード8と、このユニバーサルコード8の延出端に設けられたコネクタ9と、を具備して構成されている。
【0017】
なお、内視鏡1は、コネクタ9を介して、ビデオプロセッサなどの制御装置および照明装置である図示しない外部装置と電気的に接続される。
【0018】
操作部3には、挿入部2の湾曲部12を上下方向に湾曲させる上下用湾曲操作ノブ4と、湾曲部12を左右方向に湾曲させる左右用湾曲操作ノブ5とが設けられている。
【0019】
さらに、操作部3には、上下用湾曲操作ノブ4の回動位置を固定する固定レバー6と、左右用湾曲操作ノブ5の回動位置を固定する固定ノブ7とが設けられている。
【0020】
挿入部2は、先端側から順に、先端部11、湾曲部12および可撓管部13が連接されており、被検体に挿入し易いように細長に形成されている。
【0021】
湾曲部12は、上下用湾曲操作ノブ4および左右用湾曲操作ノブ5の回動操作により、例えば上下左右の4方向に湾曲されることにより、先端部11内に設けられた図示しない撮像ユニットの観察方向を可変したり、被検体内における先端部11の挿入性を向上させたりするものである。
【0022】
図2に示すように先端部11に設けられた先端カバー25の先端面には、観察光学系を構成する観察レンズ21、照明光学系を構成する例えば複数の照明レンズ22、22および流体噴射ノズルとしての送気送水ノズル23が設けられ、処置具が導出される処置具チャンネルの開口24が形成されている。
【0023】
なお、挿入部2の先端部11は、
図3に示すように、内蔵物を保持する保持部材としての先端硬性部26を有し、この先端硬性部26の先端面に上述の先端カバー25が接着剤などによって固定される。
【0024】
先端部11に設けられる先端カバー25は、一例として円板状であって、例えば、樹脂製である。この先端カバー25には、観察光学系用貫通孔31、ここでは2つの照明光学系用貫通孔32、ノズル用貫通孔33およびチャンネル用貫通孔34が設けられている。
【0025】
観察光学系用貫通孔31には、観察レンズ21が水密を保持して固設され、照明光学系用貫通孔32には、照明レンズ22が水密を保持して固設されるようになっている。また、ノズル用貫通孔33には、送気送水ノズル23が水密を保持して挿嵌される。
【0026】
なお、本実施形態においては、観察光学系用貫通孔31、ノズル用貫通孔33およびチャンネル用貫通孔34の断面形状を円形で示し、2つの照明光学系用貫通孔32の断面形状を矩形で示している。なお、各貫通孔の断面形状は、これらの形状に限定されるものでは無く、貫通孔内に配設される部材の形状に合わせて適宜設定されるものである。
【0027】
先端硬性部26は、略円柱形状であって、例えば、硬質な樹脂または金属から形成されている。
【0028】
この先端硬性部26には、複数の内蔵物保持孔となる貫通孔として、例えば観察光学ユニット(不図示)が挿嵌固定される観察光学系用保持孔35、照明光学ユニット(不図示)が挿嵌固定される、ここでは2つの照明光学系用保持孔36、送気送水ノズル23が挿嵌固定されるノズル用保持孔37および処置具チャンネル(不図示)に接続されるチャンネル口金(不図示)が挿嵌固定されるチャンネル用保持孔38が形成されている。
【0029】
なお、先端硬性部26は、硬質な部材であれば、樹脂または金属に限定されるものでは無く、セラミックなどであってもよい。
【0030】
ここで、先端部11に固定される被固定部材である筒状部材としての送気送水ノズル23の構成について、以下に詳しく説明する。
送気送水ノズル23は、
図4に示すように、流体噴出口51が形成されたノズルヘッド52と、このノズルヘッド52から延設され、ノズルヘッド52よりも小径となる略筒状の胴部53と、を有して構成されている。
【0031】
胴部53は、ノズルヘッド52に接するように上端部分に配設されたOリングなどの水密保持用のシールゴム54と、このシールゴム54の下方側の中途に形成された溝部であるV溝55と、ノズルヘッド52の流体噴出口51の方向を位置決めするための所謂Dカットとなるように形成された平面部56と、これらV溝55および平面部56が形成された部位よりも若干小径の筒状部57と、この筒状部57の下端に設けられた水密保持用の筒状のシールゴム58と、を有して構成されている。
【0032】
なお、平面部56は、ここでは胴部53における流体噴出口51側となる前方側と、その反対側の後方側と、の前後方向に2つ形成されたダブルDカット形状とした二面取りに形成されている。また、平面部56は、勿論1つでもよい。
【0033】
次に、送気送水ノズル23を先端部11に固定するために先端硬性部26および先端カバー25に設けられる内視鏡の部品固定構造について、以下に詳しく説明する。
先端硬性部26の表面には、
図5に示すように、送気送水ノズル23が挿嵌固定されるノズル用保持孔37の外周部に僅か0.1〜0.2mm程度で干渉する位置に例えばステンレス製の棒体である弾性部材としてのピン41を設置するための長穴状の第1の収容部としてのピン設置溝42と、このピン設置溝42の中途部分に連通し、ピン設置溝42よりも長手方向の長さが短い凹部状に形成されたピン逃げ部としての第2の収容部としてのピン逃がし溝43と、が形成されている。
【0034】
なお、ピン設置溝42は、ノズル用保持孔37の孔軸(不図示)に対して直交する方向に長手軸を有するように形成されている。
【0035】
また、ノズル用保持孔37には、送気送水ノズル23の2つの平面部56のそれぞれが面接触して、送気送水ノズル23の挿嵌時にノズルヘッド52の流体噴出口51の方向を位置決めするための孔平面部39が対向するように形成されている。
【0036】
そして、先端硬性部26は、
図6に示すように、ピン41がピン設置溝42に設置された後、先端カバー25が先端面に固着される。なお、このとき、先端カバー25のノズル用貫通孔33と先端硬性部26のノズル用保持孔37の孔軸(不図示)が略一致した状態となっている。
【0037】
この状態において、先端カバー25のノズル用貫通孔33に向けて、送気送水ノズル23が胴部53側から挿入される。なお、送気送水ノズル23は、2つの平面部56のそれぞれがノズル用保持孔37の孔平面部39と面接触する方向に合わせられて挿入される。
【0038】
なお、送気送水ノズル23は、送気送水ノズル23の筒状部57がノズル用保持孔37と当接することで、送気送水ノズル23とノズル用保持孔37を同軸に位置決めする構造となっている。
【0039】
このとき、ピン41は、
図7に示すように、送気送水ノズル23の外周部に接触して、送気送水ノズル23の外径方向に押圧されて撓み、ピン逃がし溝43内に入り込む。即ち、ピン41は、ピン設置溝42よりも短い長さのピン逃がし溝43に入り込むことで、両端部分が抑えられた状態となって弾性変形して撓み、元に戻ろうとする復元力によってバネの役割をはたす構成となる。
【0040】
そして、送気送水ノズル23は、先端カバー25のノズル用貫通孔33に形成された内向フランジを構成する段部33aにノズルヘッド52の外向フランジを構成する端面部52aが突き当たるまで挿入される。
【0041】
また、送気送水ノズル23が突き当たるまでノズル用貫通孔33に挿入されて止まると同時にV溝55にピン41が係入される。
【0042】
なお、ピン41は、係入するV溝55に落ち込んだとき、V溝55の斜面に当接して送気送水ノズル23をノズル用保持孔37の深部(挿入)方向に押し付ける分力を付加する。
【0043】
そのため、送気送水ノズル23は、先端カバー25の段部33aに端面部52aが突き当った状態を保持して、ガタ付くことなく装着される。
【0044】
即ち、ピン41は、送気送水ノズル23をガタ付くことなく装着位置を保つと共に、送気送水ノズル23が抜けないような所定の必要強度、例えば1kgの引っ張り強度に耐えるように設定されている。
【0045】
なお、送気送水ノズル23は、所定の必要強度、例えば1kg以上の力量で引っ張られると、ピン41がV溝55から外れて弾性変形により撓んでピン逃がし溝43に入り込みノズル用保持孔37から抜けるように構成されている。
【0046】
なお、上述では、送気送水ノズル23を先端部11に固定する構造を例に挙げて説明したが、先端部11に装着脱される構成要素に対しても適用可能な技術である。
【0047】
このように本実施の形態の内視鏡1は、ここでは送気送水ノズル23を例示して説明したが、挿入部2の先端部11に装着脱される照明ユニット、撮像ユニットなどの筒状部材をピン41の弾性変形によって所定の必要強度でネジ部材を用いずに先端部11に固定する構造となっている。
【0048】
これにより、内視鏡1は、筒状部材を先端部11に着脱するときに、先端カバー25または先端硬性部26を損傷することなく、容易にワンタッチで装着脱することができ、修理、メンテナンスなどの費用が高くなることを防止することができる。
【0049】
さらに、先端硬性部26の表面に第1収容部及び第2収容部を形成することによって、先端硬性部26の加工性を向上させることができる。
【0050】
以上の説明により本実施の形態の内視鏡1は、先端カバー25または先端硬性部26を損傷することなく、修理、メンテナンスなどの費用を低減すると共に、先端部11へ装着される部品を容易にワンタッチで着脱自在にできる構成とすることができる。
【0051】
(第1の変形例)
図9に示すように、送気送水ノズル23に形成されるV溝55は、ピン41に対向する位置のみに形成してもよい。
【0052】
(第2の変形例)
図10に示すように、先端硬性部26の表面と同様に、先端カバー25の裏面にもピン設置溝44およびピン逃がし溝45を形成してもよい。
【0053】
なお、先端カバー25のピン設置溝44およびピン逃がし溝45は、先端カバー25が先端硬性部26に装着された状態において、先端硬性部26のピン設置溝42およびピン逃がし溝43と対向する位置に形成されている。
【0054】
また、これらピン設置溝42,44およびピン逃がし溝43,45は、重なった状態の空間内にピン41を収容できれば良いため深さ方向の寸法が浅く形成される。
【0055】
(第3の変形例)
図11に示すように、先端硬性部26は、ピン41を挿入するためのピン設置溝42に連通する横孔47が形成されていてもよい。
【0056】
なお、この横孔47は、一端が先端硬性部26の外周部で開口し、他端がピン設置溝42の多一端面で開口するように形成されており、先端カバー25が先端硬性部26に装着された後でもピン41を挿入および抜去することができる。
【0057】
さらに、送気送水ノズル23は、図示しないが、水密保持用のシールゴム54,58を設けなくとも、先端カバー25および先端硬性部26との水密をエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの接着剤で得てもよい。
【0058】
また、ピン41は、図示しないが、ピン設置溝42に収容された状態において、両端部を遊ばせ両端支持状態によるバネ性を調整してもよい。
【0059】
(第1の参考例)
図12は送気送水ノズルが装着された先端部を部分的に示した斜視図、
図13は送気送水ノズルを先端部に固定するピンが挿入された状態を示す断面図である。
【0060】
ところで、上述した実施の形態において、修理、組立などのときに送気送水ノズル23を着脱できるようにノズルを固定するピン41が撓むスペースとして、ピン逃がし溝43を設けているが、先端硬性部26と先端カバー25を接着する工程において、ピン設置溝42に挿入されたピン41が確実に撓むスペースを確保するためピン逃がし溝43に接着剤が流れ込まないようにする必要がある。
【0061】
しかし、先端硬性部26の外周側から流れ込む接着剤をストレート丸棒状のピン41で抑制することが困難である。
【0062】
そこで、本参考例では、
図12に示すように、ピン41の一端部に断面Dカット形状の突起部46を設けた構成となっている。
【0063】
具体的には、突起部46は、ピン41よりも外径が大きく突起しており、その一部にピン41の外径と同面となる位置に断面Dカットとした平面部46aが形成されている。
【0064】
また、先端硬性部26には、ピン設置溝42に連通するように外周部まで凹部状に形成されて、ピン41の突起部46を収容する収容溝48が設けられている。
【0065】
さらに、先端カバー25の内面には、先端硬性部26の外周部から突起するピン41の突起部46を収容する凹部状の穴部25aが形成されている。
【0066】
このように構成された本変形例の内視鏡1において、ピン41をピン設置溝42に設置するとき、突起部46の平面部46aが先端硬性部26の先端面26aに合わさるように収容溝48に収容させる。
【0067】
このとき、突起部46は、丸棒状のピン41の延出側の突出面46bを収容溝48の端面48aに当接するように収容される。そして、先端カバー25が先端硬性部26に接着固定される。
【0068】
この状態において、
図13に示すように、先端カバー25の内面25bと、先端硬性部26の先端面26aおよび突起部46の平面部46aが当接する。
【0069】
そして、ピン設置溝42へ先端硬性部26の先端面26a側からの接着剤の侵入が先端カバー25によって防がれると共に、先端硬性部26の外周方向からの接着剤の侵入が突起部46の突出面46bと収容溝48の端面48aとの当接によって防止される。
【0070】
このような構成により、先端カバー25を先端硬性部26に接着する工程において、ピン設置溝42へ接着剤の流入を内視鏡1の挿入部2に設けられる先端部11の長手軸方向および径方向である短手軸方向のいずれからも抑制して、ピン逃がし溝43に接着剤が流れ込まないようにすることができる。
【0071】
その結果、内視鏡1は、ピン逃がし溝43が接着剤で塞がれることが防止され、ピン41が撓むスペースが確保されるため、修理、組立などのときにおいても、先端部11から送気送水ノズル23を着脱できるようにすることができる。
【0072】
なお、突起部46は断面Dカット形状だけでなく、矩形形状や丸棒形状等でもよい。また、突起部46とストレート丸棒状のピン41の間に形成される段部はテーパ形状でもよい。
【0073】
(第2の参考例)
図14は撮像ユニットの側面図、
図15は
図14の撮像ユニットの矢視XIVの正面図、
図16は
図15の撮像ユニットのXVI−XVI線断面図、
図17は撮像ユニットの先端部分を示す斜視図、
図18は撮像ユニットを先端硬質部に装着する状態を示す分解斜視図、
図19は固定ピンの構成を示す斜視図、
図20は固定ピンの構成を示す断面図、
図21は治具の構成を示す斜視図、
図22は先端構成部に撮像ユニットに固定する固定ピンが挿入された状態を示す部分断面図、
図23は先端構成部の段部から突出する固定ピンの頭部を治具で回転させる前の状態を示す斜視図、
図24は治具が固定ピンの頭部に嵌め込まれた状態を示す斜視図、
図25は治具により固定ピンを回転させた状態を示す斜視図、
図26は固定ピンが回転されて、先端構成部に撮像ユニットが固定された状態を示す部分断面図、
図27は固定ピンが撮像ユニットを固定した状態を示す斜視図、
図28は固定ピンが撮像ユニットを固定した状態を示す断面図である。
【0074】
上述した実施の形態および変形例のように、送気送水ノズル23を先端部11に着脱自在に固定する構成とは別に、先端部11に撮像装置を固定する一例について以下に説明する。
【0075】
例えば、撮像装置を保持部材である枠部材としての先端硬性部26に固定する構成において、Dカット付のピン部材を回転してピン部材を変形させて嵌合固定する形態が知られている。
【0076】
このような構成において、ピン部材を回転して固定するときに、ピン部材が変形する方向が定まらないと、撮像装置に対するピン部材の当接範囲にバラツキが生じ、撮像装置を先端硬性部26に固定する固定力にもバラ付が生じる。
【0077】
そこで、本変形例の構成について、以下に詳しく説明する。
内視鏡1の挿入部2の先端部11には、
図14から
図17に示す、内視鏡用撮像ユニット(以下、単に撮像ユニットという)130が内蔵されている。
この撮像ユニット130は、
図14から
図16に示すように、対物レンズユニット138、撮像素子保持枠135および補強枠136を有し、補強枠136の基端から撮像ケーブル137が延出している。
【0078】
対物レンズユニット138は、略管状のレンズ枠131を有している。このレンズ枠131の後方には、撮像素子保持枠135が外嵌されている。この撮像素子保持枠135の後方には、補強枠136が外嵌されている。
【0079】
レンズ枠131は、ここではステンレスなどの金属製であって、
図16に示すように、対物光学系である対物レンズ群141を保持するレンズ固定枠であって、先端側から順に観察窓保持部132と、この観察窓保持部132よりも外周部分が拡径した外向フランジ形状の胴部133と、この胴部133に連設されて撮像素子保持枠135の先端部分が外挿して嵌着される嵌合部134と、を有して構成されている。
【0080】
レンズ枠131の観察窓保持部132は、対物レンズ群141の最先端に配置されて観察窓となる対物レンズ141aを保持している(
図15および
図16参照)。レンズ枠131の胴部133は、
図14、
図16および
図17に示すように、先端側に当接面としての斜面部133aが周方向に形成された周溝133bが形成されている。
【0081】
ここでの斜面部133aは、
図14および
図16に示すように、撮像ユニット130の前後方向に対して、基端側に向けて内径方向に鋭角の所定の角度θ、例えば45°(θ=45°)に傾斜する部分錐面となっている。
【0082】
即ち、周溝133bは、基端側に向けて内径方向に傾斜するように、撮像ユニット130の前後方向に沿った長手軸X(
図15参照)に対して、例えば45°の所定の角度θを有する鋭角な斜面部133aが先端側に形成された形状をしている。なお、斜面部133aは、断面直線に限定されることなく、凸曲面または凹曲面としてもよい。
【0083】
レンズ枠131の撮像素子保持枠135は、基端部に光学部材142を保持している(
図16参照)。この光学部材142の後面には、カバーガラス143の前面が光学接着剤により固着されている。このカバーガラスの後面には、CCD、CMOSなどの撮像手段である固体撮像素子144が光学接着剤により固着されている。
【0084】
固体撮像素子144は、撮像基板145と電気的に接続されている。撮像素子保持枠135に保持された光学部材142、固体撮像素子144および撮像基板145は、補強枠136に覆われている。固体撮像素子144および撮像基板145の周囲は、防湿、絶縁などのために補強枠136内において接着剤などの充填剤(不図示)により覆われている。
【0085】
このように構成された撮像ユニット130は、対物レンズ群141に入光する光軸O(
図16参照)の撮影光(被写体像)が固体撮像素子144の受光部で結像されるようになっている。この固体撮像素子144は、撮影光を光電変換して、被写体の撮像データを撮像基板145に出力する。
【0086】
そして、撮像基板145は、撮像データを適正に電気的に処理して、電気的に接続された通信ケーブル(不図示)に出力する。この通信ケーブルは、内視鏡1に挿通配置され、外部機器である図示しないビデオプロセッサと、
図1に示したコネクタ9に接続される図示しない電気コネクタを介して電気的に接続される。
【0087】
ところで、挿入部2の先端部11には、
図18に示す、ここでは合成樹脂製の略円柱状ブロックである先端部本体としての上述の先端硬性部26と同様の先端構成部121が設けられている。この先端構成部121には、ここでの機能部材である撮像ユニット130が内挿されるユニット設置用孔部122が形成されており、このユニット設置用孔部122の先端側に、撮像ユニット130の観察窓保持部132が内挿される観察用孔部122aが設けられている。
【0088】
そして、撮像ユニット130は、ユニット設置用孔部122に基端側から挿入され、観察用孔部122aの後端に位置して段形成され、ユニット設置用孔部122を形成する先端構成部121の後方端面に外径方向に突起した胴部133の前面が突当てられた状態となるように挿嵌固定される。
【0089】
ここで、撮像ユニット130を先端部11に設けられる先端構成部121に固定する内視鏡1の部品固定構造について、以下に詳しく説明する。
ここでの第1の被固定部材となる先端構成部121の一側周部には、ここでの第2の被固定部材となる撮像ユニット130が装着されたときに胴部133の斜面部133aが配置される位置に合わせて、先端構成部121の内径方向に向けてユニット設置用孔部122と中途部分が連通して穿孔されたユニット固定用孔部123が形成されている。
【0090】
なお、このユニット固定用孔部123は、撮像ユニット130が装着されたときに、その撮像ユニット130の長手軸Xに直交し、レンズ枠131の外周部に対する接線方向に先端構成部121に形成されている。
【0091】
換言すると、ユニット固定用孔部123は、ユニット設置用孔部122の孔軸に直交すると共に、ユニット設置用孔部122に配設される撮像ユニット130の斜面部133aに対する接線方向に孔軸を有するように形成されている。
【0092】
そして、先端構成部121は、ユニット固定用孔部123の開口部が形成される外周部分に長手方向に沿って断面がL字状となるような段部124が形成されている。この段部124は、ユニット固定用孔部123よりも大きな曲率半径の円弧状の凹部124aと、この凹部124aの前後方向に長手方向に沿った壁面部124b,124cが形成されている。
【0093】
先端構成部121に形成されたユニット固定用孔部123には、撮像ユニット130を先端構成部121に固定するための固定部材としての固定ピン150が挿入される。即ち、撮像ユニット130および先端構成部121は、固定ピン150によって互いに固定される被固定部材を構成している。
【0094】
なお、ここでの固定ピン150は、撮像ユニット130のレンズ枠131に用いられる金属(ステンレス)よりも柔らかい、例えば、レンズ枠131に用いられるステンレス種よりも低硬度のステンレス種、リン青銅などの金属から形成されている。
【0095】
固定ピン150は、
図19および
図20に示すように、ピン本体151と、このピン本体151の一端に形成された頭部152と、を有している。ピン本体151は、円柱棒体を断面D状となるようにDカット面が形成されており、長手軸方向に沿って非当接部としての平面部153が外周一部に形成されている。
【0096】
なお、Dカット面である平面部153は2つ以上形成されていてもよく、各平面部153の成す角は任意に設定できる。また、平面部153はピン本体151の長手軸方向に沿った外周全長でなくてもよく、少なくとも固定ピン150がユニット固定用孔部123に挿入されて撮像ユニット130の胴部133の斜面部133aに接触する位置からピン本体151の他端まで形成されていればよい。
【0097】
さらに、固定ピン150には、断面V字状の周溝155が軸方向の沿った所定の距離で離間した位置に2つ設けられている。
【0098】
なお、頭部152は、所定の幅を有して平行となる2つの平面部152aが形成されており、これら2つの平面部152aを貫通するように穿孔された孔部154を有している。なお、ここでの固定ピン150は、使用都度交換部材(ディスポーザブル)となっている。
【0099】
なお、2つの平面部152aは平行でなくてもよく、2つの平面部152aの成す角度は任意に設定できる。
【0100】
また、固定ピン150は、ユニット固定用孔部123に所定の軸回り方向が規定されて、挿入された後、撮像ユニット130を先端構成部121に固定するために回転される。このとき、固定ピン150を回転するために、
図21に示すような治具160が用いられる。
【0101】
この治具160は、先端部161に対向する2つの面を有するように、2つの腕部162を形成する凹部163が設けられている。また、治具160は、先端部161に対して、太径となる筒体164が外挿するように固定されており、この筒体164の先端一部から延設された突起部165を有している。
【0102】
このように構成された治具160は、2つの腕部162の対向する面が頭部152の平面部152aに面接触するように、凹部163に固定ピン150の頭部152が係入されることで固定ピン150を軸心回りに回転するときに用いられる。
【0103】
ここで、内視鏡1において、先端構成部121への撮像ユニット130を固定する構成について、以下に詳しく説明する。
先ず、撮像ユニット130は、先端側となるレンズ枠131の観察窓保持部132側が先端構成部121の後方側からユニット設置用孔部122に挿嵌される(
図18参照)。
【0104】
そして、撮像ユニット130は、観察窓保持部132が観察用孔部122aに挿入されて、ユニット設置用孔部122を形成する先端構成部121の端面に胴部133の前面が突当てられる。
【0105】
その後、撮像ユニット130は、先端構成部121に対して、取得する撮影像の方向(上下左右方向)に応じて予め設定された所定の位置に回転調整される。
【0106】
このようにユニット設置用孔部122内に配置された撮像ユニット130は、胴部133に形成された周溝133bがユニット固定用孔部123の中途部分に位置する。このとき周溝133bの先端側に形成された斜面部133aは、ユニット設置用孔部122内において、ユニット固定用孔部123の中途部分内に位置した状態となっている。
【0107】
この状態から、先端構成部121のユニット固定用孔部123に固定ピン150がピン本体151側から挿入される。このとき、固定ピン150のピン本体151は、
図22に示すように、撮像ユニット130の斜面部133aに平面部153が対向して非接触となるように軸回りの回転位置が合わせてユニット固定用孔部123に挿入される。
【0108】
なお、固定ピン150は、
図23に示すように、頭部152が先端構成部121の段部124から突出した状態となる。即ち、固定ピン150は、ユニット固定用孔部123の長さに対して、頭部152が先端構成部121の段部124で突出し、頭部152が先端構成部121の外周部分から突出しないように凹部124a内に収まる所定の長さが設定されている。
【0109】
この状態から、
図24に示すように、治具160の先端部161に設けられた2つの腕部162で固定ピン150の頭部152を挟むように、治具160の凹部163に頭部152が嵌め込まれる。なお、治具160は、先端部161が先端構成部121の段部124に形成された凹部124aに嵌め込まれ、2つの腕部162の対向する平面が固定ピン150の頭部152の各平面部152aと面接触するように長手軸回りの位置が調整される。
【0110】
即ち、治具160の先端部161の外周形状と先端構成部121の段部124に形成された断面半円状の凹部124aの形状が略同一とした相似の曲率半径が設定されている。このとき、治具160は、筒体164から先端部161側に突起した突起部165の一方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124bに当接した状態となっている。
【0111】
なお、治具160は、固定ピン150がユニット固定用孔部123に挿入されて撮像ユニット130の胴部133の斜面部133aに固定ピン150の平面部153が接触した状態において、頭部152に嵌め込まれる先端部161の凹部163の形成位置に合わせて、突起部165の一方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124bと当接するように設定されている。
【0112】
即ち、治具160は、2つの腕部162と凹部163を有する先端部161に対する突起部165の位置が固定ピン150を回転する前に、凹部163に頭部152を嵌め込むと、突起部165の一方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124bと当接するように設定されている。
【0113】
次に、
図24の状態から
図25に示すように、治具160が突起部165の他方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124cに当接するまで回転される。これにより、固定ピン150は、軸心回りに所定の角度θ、ここでは90°〜135°に回転される。
【0114】
なお、治具160は、筒体164から先端部161側に突起した突起部165が他方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124cに当接することで、固定ピン150の軸心回りの回転量である所定の角度θ(90°〜135°)を規定している。
【0115】
即ち、治具160は、突起部165の一方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124bと当接した状態から突起部165の他方の側壁面が段部124の壁面部124cに当接することで、固定ピン150の回転量である所定の角度θ(90°〜135°)を規定できるように、突起部165の軸心回りの長さ(幅)が設定されている。
【0116】
そして、回転された固定ピン150は、
図26および
図27に示すように、その中途部分が斜面部133aに当接して、変形(塑性変形)して凹状の変形部151aとなる。即ち、固定ピン150は、撮像ユニット130の胴部133を形成する硬質な金属よりも低硬度の金属により形成されているため、胴部133の斜面部133aを傷つけることなく容易に変形する。
【0117】
このとき、固定ピン150を回転させるときに、
図28に示すように、変形部151aが2つの周溝155側へ積極的に変形するため、固定ピンと胴部133の斜面部133aの当接範囲を確保でき、固定力のバラツキを抑制することができる。
【0118】
即ち、固定ピン150は、撮像ユニット130の胴部133の斜面部133aと接触する両側部に周溝155を設けることで、回転時に積極的に変形部151aの両側に設けられた周溝155に向けて変形する。
【0119】
これにより、固定ピン150による撮像ユニット130の胴部133の斜面部133aへの当接範囲を確保できるため、固定力のバラツキを抑えることができる。こうして、撮像ユニット130は、先端構成部121に組み付け固定される。
【0120】
このとき、撮像ユニット130は、胴部133の斜面部133aに変形(塑性変形)された固定ピン150によって、先端側へ押し付けられる応力Faと、内径方向に押し付けられる応力Fbが与えられた状態で先端構成部121に組み付け固定される。
【0121】
このように、撮像ユニット130は、先端構成部121への固定において、胴部133に固定ピン150が接触する斜面部133aを設けることで、先端側へのスラスト方向の応力Faを受けて、胴部133の先端側の端面が先端構成部121のユニット設置用孔部122を形成する観察用孔部122aの後端周囲の端面に胴部133の前面に当て付けられると共に、内径方向へのラジアル方向の応力Fbを受けて、固定ピン150から離反する一方向に向けてユニット設置用孔部122の内周面に胴部133の外周面が当て付けられることでガタ付くことなく所定の位置で固定される。
【0122】
なお、固定ピン150に形成された凹状の変形部151a(
図27参照)が斜面部133aに密着して、撮像ユニット130の長手方向に直交する方向、即ち、固定ピン150の軸心方向に引っ掛かった状態となっており、ピン本体151の平面部153が斜面部133aに対向する元の位置まで回転されないと、固定ピン150がユニット設置用孔部122から抜けないようになる。
【0123】
また、先端構成部121には、ここでは図示しないが各種ユニットが同様に固定されて、前面部分に、樹脂製の上述した先端カバー25が固着される。さらに、先端構成部121は、先端カバー25の基端から外皮が糸巻き接着などによって固着される。
【0124】
ところで、固定ピン150をユニット設置用孔部122から抜くときには、上述したように治具160によって、ピン本体151の平面部153が斜面部133aに対向する元の位置まで回転すればよい。このとき、治具160の突起部165の一方の側壁面が先端構成部121の段部124の壁面部124bと当接した状態がピン本体151の平面部153が斜面部133aに対向する位置となる。そして、固定ピン150をユニット設置用孔部122から抜くとき、頭部152に形成された孔部154にフック針などの工具を引掛けて抜き取ることができる。
【0125】
以上に説明したように、内視鏡1の部品固定構造は、撮像ユニット130の固定箇所となる胴部133に固定ピン150が接触する斜面部133aを設けることで、固定ピン150の中心O1を撮像ユニット130の内径側に寄った位置に配置することができ、胴部133の外径を大きくする必要がなく、その結果、小型化が可能となる。
【0126】
また、固定ピン150の中心O1は、撮像ユニット130のレンズ枠131の胴部133に形成された周溝133b内に位置させることで、先端構成部121への撮像ユニット130をより強固に固定することができる。
【0127】
さらに、上述した内視鏡1の部品固定構造では、先端構成部121に撮像ユニット130を固定する固定部材に撮像ユニット130の固定箇所、ここでは胴部133の外周部の接線方向に挿入して固定する固定ピン150としたことで、この固定ピン150による固定箇所の位置の自由度が大きくなり、且つ先端構成部121の肉厚を抑えることができるため、先端構成部121の小径化が図れ、その結果、小型化が可能となり、先端部11も小型化でき内視鏡1の挿入部2の細径化にも繋がる。
【0128】
即ち、従来のようにセットビスなどを用いて固定する構成では、固定部材を先端構成部121の中心方向(内径方向)に向けて挿入する構成であるため、その肉厚を確保する位置に制約があり、ある程度の肉厚が必要となるため、先端構成部121が大型化する。
【0129】
これに対して、本形態の内視鏡1の部品固定構造では、従来のようにセットビスなどを用いて固定する構成に比して、固定部材に必要な先端構成部121の肉厚が必要でなくなるため、固定ピン150による固定位置の制約が少なく、先端構成部121を小型化することもできる。
【0130】
その結果、先端構成部121への撮像ユニット130を固定する位置の制約も生じないため、撮像ユニット130の固定位置のレイアウトの自由度も大きくなる。
【0131】
また、内視鏡1の部品固定構造では、固定ピン150が撮像ユニット130を固定する箇所の材質よりも硬度の低い材質で形成することで、撮像ユニット130を傷つけることがないため、撮像ユニット130を再利用するときの支障が生じ難い。
【0132】
上述の実施の形態に記載した発明は、その実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0133】
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0134】
本出願は、2015年1月27日に日本国に出願された特願2015−013599号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。
内視鏡1は、挿入部2の先端に設けられる先端カバー25と、先端カバーが装着され、内蔵物を保持する保持部材26と、先端カバー25および保持部材26に挿入される筒状部材23と、筒状部材23の外周部に接触して、筒状部材23を先端カバー25および保持部材26に固定する弾性部材41と、保持部材26の表面に少なくとも形成され、弾性部材41を収容する第1の収容部42,44と、第1の収容部42,44に連通し、筒状部材23の挿脱時に、筒状部材23の溝部55から外れて、筒状部材23の外周部に接触して弾性変形により撓んだ41弾性部材を収容する第2の収容部43,45と、を具備する。