(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャップ31、51は、炭酸飲料を充てんした容器20に用いられるため、容器20の内圧が高くなることから、高い密封性能が要求される。
しかしながら、容器20は、環境温度の変化により口元部21の寸法(内径、外径等)が変動することがあり、これがキャップ31、51の密封性能に影響を及ぼすことがあった。また、外部からの衝撃が加えられた場合に、外側シール突起44のシール性が低下し、密封性能が低くなることがあった。
また、キャップ31、51には、通常、開栓性および閉栓性の適正化のため滑剤(エルカ酸アミド等)が添加されるが、容器20への内容液の充てんに先立つ洗浄工程において、キャップ31、51表面の滑剤が洗い流されてしまい、十分な滑剤の効果が得られないことがあった。また、キャップ31、51表面の滑剤のブリード量は、製造されてからの時間や季節等により変動しやすいため、滑剤の機能を適正に発揮させるのは容易ではない。
このため、滑剤を添加しなくても良好な開栓性および閉栓性が得られるキャップが要望されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、環境温度の変化や外部からの衝撃による密封性能の低下が起こらず、かつ滑剤を添加しなくても良好な開栓性および閉栓性が得られる炭酸飲料充てん容器用のキャップ、このキャップを用いた閉止装置および飲料入り閉止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、炭酸飲料が充てんされた容器の口元部に装着される合成樹脂製キャップであって、天板部とその周縁から垂下した筒部とを備え、前記天板部の内面に、前記口元部内に嵌入される内側シール突起と、
前記口元部の開口端面に当接する環状の開口端シール突起と、前記口元部の外面に当接する外側シール突起とが形成され、前記内側シール突起の外面には、前記口元部の開口端部から容器本体側に離れた位置で、前記口元部の内面に当接して前記容器をシールする当接凸部が形成され、前記外側シール突起は、先端に向けて内径が小さくなる内面を有
し、先端に向けて徐々に厚みを減じる板状とされ、前記開口端シール突起から径方向外方に離れた位置に形成され、前記内面の下端である最小内径部が、
前記内側シール突起の当接凸部の最大外径部より高い位置にあり、前記口元部の開口端部から容器本体側に離れた位置で、前記口元部の外面に当接
し、前記外側シール突起の先端面は、前記内面の下端から徐々に拡径する湾曲凸状とされている炭酸飲料充てん容器用合成樹脂製キャップを提供する。
前記最小内径部と前記最大外径部との高低差は、2.5mm以下であることが好ましい。
前記外側シール突起は、基端部から前記最小内径部までの平均厚さが0.5〜2mmであることが好ましい。
前記内側シール突起の基端部に近接した位置に、他の部分より厚みが薄い薄肉部が形成されていることが好ましい。
本発明は、前記炭酸飲料充てん容器用合成樹脂製キャップであって、滑材が添加されていない炭酸飲料充てん容器用合成樹脂製キャップを提供する。
【0007】
本発明は、炭酸飲料が充てんされる容器と、その口元部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた閉止装置であって、前記合成樹脂製キャップが、前記のものである閉止装置を提供する。
本発明は、炭酸飲料が充填された容器と、その口元部に装着される合成樹脂製キャップとを備えた飲料入り閉止装置であって、前記合成樹脂製キャップが、前記のものである飲料入り閉止装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外側シール突起が、先端に向けて内径が小さくなる内面を有し、その下端で口元部外面に当接するので、外側シール突起に追従変形性を与えることができる。従って、外部から衝撃が加えられた場合でも口元部外面に対する当接状態を維持し、密封性能の低下を防ぐことができる。
炭酸飲料用キャップでは、容器内圧上昇による膨出変形を考慮して内側シール突起の容器当接位置が比較的低く設計されるため、容器の口元部の内方変形が起こりやすい。これに対し、本発明によれば、外側シール突起の口元部外面に対する当接位置が低くなるため、外側シール突起と内側シール突起との口元部押圧位置の高低差を小さくできることから、環境温度が高くなった場合でも容器の口元部の内方変形を防止でき、密封性能の低下を防止できる。
本発明によれば、外側シール突起は、基端部より先端側で口元部に接するため、当接位置が基端部である場合に比べて口元部に対する押圧力を低く設定しやすい。このため、外側シール突起と内側シール突起の押圧力の比を適正化し、口元部の内方変形を防止する点で好ましい。
本発明では、前述の外側シール突起の構造により、密封性能を低下させずに外側シール突起の内方押圧力を低くできるため、開栓トルクおよび閉栓トルクを抑え、開栓性および閉栓性を良好にすることができる。このため、滑剤が不要である。滑剤は、その機能(例えば開栓トルクおよび閉栓トルクの抑制)を適正に発揮させるのが容易ではないが、本発明では滑剤が不要であるため、安定的な開栓性および閉栓性が得られる。
さらに、本発明では、開栓時に炭酸飲料が激しく発泡して口元部からあふれ出る現象が起こらない。本発明によって、炭酸飲料があふれ出る現象を防止できる理由は明らかではないが、滑剤が不要であることと関連がある可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および
図2は、本発明の合成樹脂製キャップおよび閉止装置の一実施形態を示すもので、ここに示す閉止装置は、容器20と、その口元部21に装着される合成樹脂製キャップ1(以下、単にキャップ1という)とから構成されている。
図1(a)は口元部21に装着していない状態のキャップ1であり、
図1(b)は口元部21に装着した状態のキャップ1である。
図2における符号C1はキャップ1の中心軸を示す。以下の説明において、上下方向とは
図1および
図2における上下方向であり、中心軸C1に沿う方向である。高さ方向も
図1および
図2における高さ方向であり、中心軸C1に沿う方向である。
【0011】
容器20は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂からなり、飲料が充てんされる容器本体24と、その上部に形成された口元部21とを有する。
口元部21の外面21cには雄ネジ22が形成されている。雄ネジ22の下方に形成された係止段部23は、径方向外方に突出する環状突起である。
図示例の内面21aおよび外面21cは、容器20の軸方向に沿う面である。開口端面21bは容器20の軸方向に垂直な面である。
【0012】
キャップ1は、円形の天板部2と、その周縁から垂下した筒部3とを備えている。
筒部3は、スコア6(弱化部)によって、主部8と、ブリッジ7(
図2参照)によって主部8に連結されたタンパーエビデンスリング部(TEリング部)9とに区画されている。
主部8の内周面には、容器20の雄ネジ22に螺合するネジ部10が形成されている。ネジ部10は、1条または複数条の螺旋状に形成された突条である。
【0013】
図1に示すように、天板部2には、容器20の口元部21に嵌入して口元部21の内面21aに当接する環状の内側シール突起12と、口元部21の開口端面21bに当接する環状の開口端シール突起13と、口元部21の外面21cに当接する環状の外側シール突起14とが形成されている。
【0014】
内側シール突起12は、天板部2の内面2a(下面)から下方に延出して形成されている。
内側シール突起12の外面12fには、基端部12eから下方に(すなわち内側シール突起12の延出方向に)離れた位置に、容器内面21aに当接する環状の当接凸部12aが形成されている。当接凸部12aの断面形状は、略円弧形、略楕円弧形などとすることができる。
内側シール突起12は、口元部21内に嵌入した際に、当接凸部12aの最大外径部12bが、開口端面21bから容器本体24側に離れた位置で全周にわたって内面21aに隙間なく当接し、容器20を密封(シール)できるように形成されている。最大外径部12bの外径は、口元部21内径より若干大きいことが好ましい。これによって、内側シール突起12は、わずかに内方に弾性的に曲げ変形した状態で内面21aに当接するため、十分な押圧力で内面21aに当接する。
【0015】
内側シール突起12の基端部12e近傍の外面12fには、全周にわたって弱化凹部12cが形成されており、この弱化凹部12cが形成された部分の内側シール突起12は、他の部分に比べ厚みが薄い薄肉部12dとなっている。薄肉部12dは、基端部12eに近接した位置に形成することができる。
薄肉部12dの厚さ、すなわち
図1に示す厚さT1は、1〜2.2mm(好ましくは1.2〜2mm、さらに好ましくは1.4〜1.8mm)が好適である。薄肉部12dの厚さを前記範囲とすることによって、薄肉部12dに可撓性を与えることができるため、容器20の内圧上昇時において天板部2が上方に膨出変形した場合でも、内側シール突起12が内方変位しにくくなり、内側シール突起12のシール性が高められる。
また、薄肉部12dの厚さを前記範囲とすることによって、口元部21に嵌入される際に変形(座屈変形など)が起こらない程度の剛性を内側シール突起12に与えることができる。
【0016】
内側シール突起12の最大外径部12bの高さ位置は、最大外径部12bと開口端シール突起13下端(突出端)との高低差H1が1〜4mm(好ましくは1.5〜3mm)となるように設定するのが好適である。
高低差H1が小さすぎれば、
図1に2点鎖線で示すように、容器20の内圧上昇により天板部2が上方に膨出変形して内側シール突起12が上方移動した場合にタンパーエビデンス性が低下する。高低差H1が大きすぎれば、環境温度が変動したときに口元部21の内方変形が起こりやすくなる。なお、口元部21の内方変形とは、開口端面21bが径方向内方に移動する方向の曲げ変形である。
高低差H1を前記範囲とすることで、十分なタンパーエビデンス性を確保し、かつ口元部21の内方変形を防止し、密封性能を高めることができる。
【0017】
開口端シール突起13は、天板部2の内面2a(下面)から下方に突出して形成されている。開口端シール突起13の断面形状は、例えば半円形、円弧形、楕円弧形とすることができる。
【0018】
外側シール突起14は、天板部2の内面2a(下面)から先端方向に徐々に内径が小さくなりつつ下方に延出して形成されている。外側シール突起14は、円筒形の板状とすることができる。外側シール突起14は、先端に向けて徐々に厚みを減じるように形成することができる。
外側シール突起14の内面14aは、先端に向けて徐々に内径が小さくなるように傾斜する傾斜面となっている。内面14aは、一定の角度で傾斜していることが望ましい。
内面14aの下端は、外側シール突起14の最小内径部14dである。
【0019】
外側シール突起14は、最小内径部14dが開口端面21bから容器本体24側に離れた位置で、全周にわたって外面21cに隙間なく当接し、容器20を密封できるように形成されている。
外側シール突起14は、開口端面21bから離れた位置で外面21cに当接するため、外側シール突起14の先端が径方向内方および外方に移動するように追従変形が可能となる。このため、外部から衝撃が加えられた場合でも外面21cに対する当接状態を維持し、密封性能の低下を防ぐことができる。
また、外側シール突起14の外面21cに対する当接位置が低くなるため、この外側シール突起14の当接位置と、内側シール突起12の当接位置との高低差が小さくなることから、環境温度が高くなった場合でも、容器20の口元部21の内方変形を起こりにくくし、密封性能の低下を防止できる。
最大外径部14dの内径は、口元部21外径より若干小さいことが好ましい。これによって、外側シール突起14は、わずかに外方に弾性的に曲げ変形した状態で外面21cに当接するため、十分な押圧力で外面21cに当接する。
【0020】
外側シール突起14の最小内径部14dの高さ位置は、例えば、内側シール突起12の最大外径部12bと同等またはこれより高い位置にある。
最小内径部14dの高さ位置は、最小内径部14dと開口端シール突起13下端(突出端)との高低差H2が0.5〜2mm(好ましくは1〜1.5mm)となるように設定するのが好適である。
高低差H2が小さすぎれば、環境温度が変動したときに口元部21の内方変形が起こりやすくなる。高低差H2が大きすぎれば、外側シール突起14の内方押圧力が不十分となることがある。
高低差H2を前記範囲とすることで、外側シール突起14のシール性を高め、かつ環境温度が高くなった場合でも口元部21の内方変形を防止できる。
【0021】
外側シール突起14の最小内径部14dと、内側シール突起12の最大外径部12bとの高低差H3は、2.5mm以下(好ましくは2mm以下)が好適である。高低差H3は0mm以上が好ましい。
高低差H3を前記範囲とすることで、環境温度が高くなった場合でも容器20の口元部21の内方変形を防止できる。
【0022】
外側シール突起14の先端面14bは、内面14aの下端から外面14c側に向けて徐々に拡径して形成されている。先端面14bの断面形状は、例えば略円弧形または略楕円弧形の凸状とすることができる。
外側シール突起14の外面14cは、先端に向けて徐々に外径が小さくなるように傾斜する傾斜面となっている。外面14cは、一定の角度で傾斜していることが望ましい。
【0023】
外側シール突起14の平均厚さ(基端部14eから最小内径部14dまでの範囲の平均厚さ、すなわち
図1に示す厚さT2)は、0.5〜2mm(好ましくは1〜1.5mm)が好ましい。
外側シール突起14の平均厚さを前記範囲とすることによって、外側シール突起14に可撓性を与えて外側シール突起14の衝撃吸収性能を高め、かつ十分なシール性を得ることができる。
外側シール突起14の平均厚さが小さすぎれば、弾性力が小さくなるため、外面21cに対する押圧力が小さくなり、シール性が低下する。外側シール突起14の平均厚さが大きすぎれば、追従変形性が劣り、例えば外面21cに破損等により形成された凹部がある場合にキャップ1に衝撃が加えられると密封性能が低下しやすくなる。
【0024】
外側シール突起14の外面21cに対する内方押圧力Foと、内側シール突起12の内面21aに対する外方押圧力Fiとの比は、Fo:Fi=0.5:1〜3:1(好ましくは1:1〜3:1)が好適である。この比を前記範囲とすることで、口元部21に加えられる内方または外方の力が過剰になるのを防ぎ、環境温度が高くなった場合でも、口元部21の変形(特に内方変形)を防ぐことができる。
なお、外側シール突起14の内方押圧力とは、
図1において外面21cに対し垂直な方向(
図1の左右方向)の押圧力である。内側シール突起12の外方押圧力は、
図1において内面21aに対し垂直な方向(
図1の左右方向)の押圧力である。
【0025】
TEリング部9の内周面には、開栓時に容器20の係止段部23に係止してTEリング部9の移動を阻止する係止突起である係止突起11が形成されている。
係止突起11は、TEリング部9の内周面から内方に突出して形成されている。
【0026】
キャップ1は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で構成することができる。キャップ1は、滑剤(エルカ酸アミド等)を添加しなくても開栓性および閉栓性を適正化できる。
【0027】
口元部21に装着されたキャップ1を開栓方向に回すと、回転に従ってキャップ1は上昇する。
係止突起11が係止段部23の下端に達した状態でキャップ1をさらに開栓方向に回すと、主部8は回転に従って上昇する一方、係止突起11が係止段部23に係止するためTEリング部9の上方移動は阻止される。
その結果、主部8とTEリング部9とを連結しているブリッジ7に引張力が作用し、ブリッジ7が破断し、TEリング部9が主部8から切り離される。
これによって、キャップ1が開栓されたことが明示される。
【0028】
キャップ1では、外側シール突起14が、先端に向けて徐々に内径が小さくなるように傾斜する内面14aを有し、内面14aの下端の最小内径部14dで、開口端面21bから離れた位置で外面21cに当接するため、外側シール突起14に追従変形性を与えることができる。
従って、外部から衝撃が加えられた場合でも外面21cに対する当接状態を維持し、密封性能の低下を防ぐことができる。
一般に、炭酸飲料充てん容器用のキャップは、炭酸飲料による容器内圧上昇を原因とする天板部の膨出変形(
図1に2点鎖線参照)を考慮して、内側シール突起は比較的低い位置で口元部に接するように設計される。このため、外側シール突起と内側シール突起との口元部押圧位置の高低差が大きくなり、環境温度が高くなったときに口元部の内方変形が起こりやすくなる。
これに対し、キャップ1では、外側シール突起14の口元部21に対する当接位置が低くなるため、外側シール突起14と内側シール突起12との口元部21押圧位置の高低差を小さくできることから、環境温度が高くなった場合でも、容器20の口元部21の内方変形を防止でき、密封性能の低下を防止できる。
また、外側シール突起14は基端部ではなく先端側の最小内径部14dで口元部21に接するため、口元部21の外径のばらつきがあった場合でも、押圧力が過小または過大になるのを防止できる。
外側シール突起14が、基端部ではなく、これより先端側の最小内径部14dで口元部21に接する構造は、当接位置が基端部である場合に比べて口元部21に対する外側シール突起14の押圧力を低く設定しやすい構造である。従って、この構造は、外側シール突起14の押圧力と内側シール突起12の押圧力との比を適正化し、容器20の口元部21の内方変形を防止する効果の点で好適である。
【0029】
キャップ1は、前述の外側シール突起14の構造により、密封性能を低下させずに外側シール突起14の内方押圧力を低くできるため、開栓トルクおよび閉栓トルクを抑え、開栓性および閉栓性を良好にすることができる。このため、滑剤が不要である。
滑剤を使用する場合は、滑剤のブリード量が変動しやすいなどの理由により、その機能(例えば開栓トルクおよび閉栓トルクの抑制)を適正に発揮させるのは容易ではないが、キャップ1では滑剤が不要であるため、安定的な開栓性および閉栓性が得られる。
さらに、キャップ1では、開栓時に炭酸飲料が激しく発泡して口元部21からあふれ出る現象が起こらない。キャップ1によって、炭酸飲料があふれ出る現象を防止できる理由は明らかではないが、滑剤が不要であることと関連がある可能性がある。
【0030】
図1等に示す閉止装置は、炭酸飲料を容器20に充填し、口元部21にキャップ1を装着することによって、飲料入り閉止装置とすることができる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
図1に示すキャップ1を作製した。キャップ1は高密度ポリエチレン製とし、滑剤は使用しなかった。このキャップ1を容器20の口元部21に装着し、この閉止装置をヒートサイクル試験に供した。外側シール突起14の外面21cに対する内方押圧力Foと、内側シール突起12の内面21aに対する外方押圧力Fiとの比(Fo:Fi)は1.5:1とした。
ヒートサイクル試験では、容器20およびキャップ1を加熱条件下(55℃)に9時間置き、次いで冷却条件下(22℃)に15時間置く工程を2回繰り返し、次いで、容器20およびキャップ1を5℃の条件下に24時間置いた。
ヒートサイクル試験の前後の容器20の口元部21の外径を測定した結果を
図3に示す。
図3の横軸は、口元部21の開口端面21bから測定箇所までの距離である。例えば0.7mmは、開口端面21bから容器本体24側に0.7mm離れた位置を意味する。
図3の縦軸は、口元部21の外径である。
【0032】
(比較例1)
図7に示すキャップ51を作製した。キャップ51は高密度ポリエチレン製とし、滑剤(エルカ酸アミド。キャップ51への添加量:2000mg/kg)を使用した。
このキャップ51を容器20の口元部21に装着し、この閉止装置を実施例1と同様のヒートサイクル試験に供した。外側シール突起の内方押圧力Foと、内側シール突起外方押圧力Fiとの比(Fo:Fi)は6:1とした。
ヒートサイクル試験の前後の容器20の口元部21の外径を測定した結果を
図4に示す。
図3および
図4より、実施例1では、ヒートサイクル試験による口元部21の外径の変化を抑えることができたことがわかる。
【0033】
(実施例2)
実施例1と同様のキャップ1の巻締め角度を測定した。サンプル数は25個とした。
図5は巻締め角度の分布を示す。
図5の横軸は巻締め角度であり、縦軸はサンプル数である。
巻締め角度とは、キャップ1を所定のトルクで口元部21に装着した際のキャップ1の回転角度をいう。
キャップ1は、製造後、室温に3日間放置した後に、室温下で巻締め角度を測定した。
【0034】
(実施例3)
実施例1と同様のキャップ1を製造後、室温に3日間放置し、次いで加熱条件下(55℃)に24時間置いた後に、室温下でこのキャップ1の巻締め角度を測定した。その他の条件は実施例2と同様とした。結果を
図5に示す。
【0035】
(比較例2)
比較例1と同様のキャップ51を製造後、室温に3日間放置した後に、室温下で巻締め角度を測定した。その他の条件は実施例2と同様とした。結果を
図5に示す。
【0036】
(比較例3)
比較例1と同様のキャップ51を製造後、冬季環境下(平均気温10℃)に3日間放置し、次いで加熱条件下(55℃)に24時間置いた後に、室温下で巻締め角度を測定した。その他の条件は実施例2と同様とした。結果を
図5に示す。
【0037】
(比較例4)
比較例1と同様のキャップ51を製造後、夏季環境下(平均気温40℃)に3日間放置し、次いで加熱条件下(55℃)に24時間置いた後に、室温下で巻締め角度を測定した。その他の条件は実施例2と同様とした。結果を
図5に示す。
【0038】
図5より、実施例2、3では、比較例2〜4に比べて巻締め角度のばらつきが小さく、閉栓性の点で優れていたことがわかる。
また、比較例2〜4のなかでも、比較的高温の条件で放置した比較例4ではばらつきが大きくなった。
巻締め角度のばらつきは、滑剤のブリード量のばらつきを原因として生じたと考えることができる。
【0039】
本発明において、炭酸飲料とは、日本農林規格(JAS)に規定されているように、飲用に適した水に二酸化炭素(炭酸ガス)を圧入したもの、及びこれに甘味料、酸味料、香料などを加えたもののことである。具体例としては、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、グレープ、アップル等の香味を付与した飲料、ジンジャーエール、コーラ、果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、炭酸入りリキュール類(缶チューハイ等)、スパークリングワイン、ビール、発泡酒などが挙げられる。二酸化炭素(炭酸ガス)の分圧は、例えば0.02MPa以上(20℃)である。
なお、滑剤とは、例えば炭化水素系の滑剤(流動パラフィンなど)、脂肪酸系の滑剤(高級脂肪酸など)、脂肪酸アミド系滑剤(脂肪酸アミドなど)、エステル系滑剤(脂肪酸の低級アルコールエステルなど)、アルコール系滑剤(脂肪アルコールなど)、金属石けん系滑剤などである。