(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の質量測定装置も、物品に作用する重力によってロードセルが垂直方向へ変位することを利用しているので、ロードセルが重力によっては、変位しない状態になる場合、物品の質量を検出することができなくなる。
【0004】
それゆえ、例えば、マニピュレータやロボットハンドのように、物品を持ち上げて移動させる先端部にロードセルを取り付けて、持ち上げた物品を移動している最中に、その物品の質量を測定しようとしても、従来技術では困難である。
【0005】
そこで、出願人は、物品を移動させ、その際に物品に作用する力および加速度から物品の質量を算出する質量測定装置を開発した。つまり、この装置では、力センサによって水平に移動する物品に作用する力が測定されると共に、水平に移動する物品に作用する加速度が加速度センサによって測定され、これら各センサの測定データに基づいて、物品の質量が算出される。
【0006】
しかしながら、力センサや加速度センサは、個々に周波数特性を有している。この周波数特性は、各センサの測定データに対し位相のずれを生じさせ、物品の質量の算出に悪影響を及ぼす場合がある。その結果、算出された物品の質量が、実際の物品の質量とは異なってしまう虞がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、センサが有する周波数特性の影響をあまり受けずに、移動中の物品の質量を精度良く測定できる質量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
質量測定装置は、物品を移動させ、その際に物品に作用する力および加速度から物品の質量を算出する。この質量測定装置は、保持機構と、移動機構と、力測定部と加速度把握部と、制御部とを備える。保持機構は、物品を保持する。移動機構は、保持機構を移動させる。力測定部は、保持機構と移動機構との間に設けられて、移動時の物品に作用する力を測定する。加速度把握部は、移動時の物品に作用する加速度を把握する。制御部は、保持機構および移動機構を運転制御し、力測定部の測定結果を示す力測定データ及び加速度把握部の把握した加速度データに基づいて、物品の質量を算出する。そして、
制御部は、力測定データの極値
、あるいは、加速度データの極値
、あるいは、力測定データの極値及び加速度データの極値、から物品の質量を算出する。
【0009】
この質量測定装置では、物品の質量を算出する際、加速度データの極値及び力測定データの極値の少なくとも1つが用いられる。仮に、力測定部及び加速度把握部が共にセンサで構成されているとすると、各センサの測定データが極値を採る時は、測定データの経時的変位量が最も小さくなる。従って、各測定データの極値を物品の質量算出に用いることによって、各センサの周波数特性による位相のずれの影響をあまり受けていない物品の質量が算出されることとなり、その結果計量精度が高まる。
【0010】
また、力測定データが極値を採る時刻は、加速度データが極値を採る時刻とずれており、物品の質量の算出では、力測定データの極値及び加速度データの極値の両方が用いられることが好ましい。
【0011】
ここでは、各データは互いに異なる時刻に極値となるが、物品の質量の算出には、力測定データにおける極値と加速度データにおける極値との両方が用いられる。これにより、より精度の高い物品の質量の算出が可能となる。
【0012】
また、力測定データが極値を採る時刻は、加速度データが極値を採る時刻とずれており、物品の質量の算出にて力測定データの極値が用いられる場合、該データが極値を採る時刻での加速度データの値が、更に物品の質量の算出にて用いられる。そして、物品の質量の算出にて加速度データの極値が用いられる場合、該データが極値を採る時刻での力測定データの値が、更に物品の質量の算出にて用いられることが好ましい。
【0013】
ここでは、加速度データ及び力測定データのいずれか一方として極値が用いられ、かつその時刻での他方のデータが用いられる。これにより、一条件が物品に課された瞬間での各データが用いられるため、各データが共に極値となる場合を待たなくとも、物品の質量の算出が素早くできる。
【0014】
また、制御部は、力測定データのうち、該データの極値を含む第1所定範囲内に該当する第1データを抽出する。制御部は、加速度データのうち、該データの極値を含む第2所定範囲内に該当する第2データを抽出する。そして、制御部は、抽出した第1データ及び第2データを対象とする重み付け平均を計算し、その結果を物品の質量の算出に用いることが好ましい。
【0015】
これにより、より精度の高い物品の質量の算出が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る質量測定装置によると、力測定部や加速度把握部の周波数特性による位相のずれの影響をあまり受けていない物品の質量が算出されることとなり、その結果計量精度が高まる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1)質量測定装置100の構成
(1−1)駆動系
図1は、本発明の一実施形態に係る質量測定装置100の概略構成図であって、特に質量測定装置100の駆動系を表している。
図1において、質量測定装置100は、駆動系の構成要素として、力センサ1(力測定部に相当)と、吸着部2(保持機構に相当)と、ロボットアーム3(移動機構に相当)と、加速度センサ4(加速度把握部に相当)とを備えている。
【0020】
力センサ1は移動中の物品Qに作用する力を検出する。また、力センサ1には、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。歪みゲージ式ロードセルは、移動によって自由端側が固定端側に対して相対的に変位し、それによって自由端側に作用する力を検出することができる。
【0021】
吸着部2は、物品Qを保持する。また、吸着部2には、エアー吸着機構、或いは、エアーチャック機構が採用される。なお、吸着部2は、エアー吸着機構やエアーチャック機構などに限定されるものではなく、モータ駆動のフィンガー機構であってもよい。
【0022】
ロボットアーム3は、吸着部2を三次元的に移動させる。また、ロボットアーム3は、所定の回転軸CAを中心にしてCW方向およびCCW方向に回転することもできる。なお、ロボットアーム3としては、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボット、あるいは、パラレルリンクロボット等が適切である。
【0023】
加速度センサ4は、物品Qに作用する加速度を検出する。また、加速度センサ4としては、例えば、歪みゲージ式ロードセル、MEMS型の小型加速度センサ、及び一般的な市販の加速度センサのいずれかが適宜採用される。
【0024】
なお、力センサ1は吸着部2とロボットアーム3との間に設けられ、加速度センサ4は吸着部2に隣接するように設けられる。以下で説明する実施形態では、力センサ1及び加速度センサ4ともに歪みゲージ式ロードセルが採用され、力センサ1及び加速度センサ4は水平方向に移動する物品Qに作用する力と加速度を検出する。
【0025】
(1−2)制御系
図2は、力センサ1及び加速度センサ4によって検出された信号を処理する信号処理回路図であって、特に、質量測定装置100の制御系を表している。
図2において、質量測定装置100は、更に制御系の構成要素として、増幅器31a,31b、ローパスフィルタ32a,32b、A/D変換器33a,33b、及び制御部40を備えている。
【0026】
なお、以下では、説明の便宜上、力センサ1の出力である検出信号を「力測定データ」といい、加速度センサ4の出力である検出信号を「加速度データ」と言う。
【0027】
図2において、力センサ1及び加速度センサ4には、それぞれ増幅器31a,31bが接続されており、これらの増幅器31a,31bは、力センサ1及び加速度センサ4から入力された検出信号である力測定データ及び加速度データそれぞれを増幅する。また、各増幅器31a,31bには、それぞれローパスフィルタ32a,32bが接続されている。このローパスフィルタ32a,32bは、入力された検出信号である力測定データ及び加速度データから一定周波数以上のノイズ成分を除去する。また、各ローパスフィルタ32a,32bには、それぞれA/D変換器33a,33bが接続されており、そのA/D変換器33a,33bは、入力されたアナログ信号(具体的には、各測定データ)をディジタル信号に変換する。また、各A/D変換器33a,33bは、制御部40に接続されている。なお、制御部40としては、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)やマイクロコンピュータ等を使用することができる。
【0028】
制御部40は、入力された検出信号、つまりは力測定データ及び加速度データに基づいて、各種の処理を実行する。先ず、制御部40は、力センサ1及び加速度センサ4の各測定データに含まれるノイズ周波数成分をローパスフィルタ32a,32bにより除去する処理を行う。そして、制御部40は、除算器41として機能することで、そのノイズ周波数成分が除去された力センサ1の力測定データを加速度センサ4の加速度データで除算する処理を行う。その後、制御部40は、減算器42として機能することで、該除算結果から風袋質量を減算して質量mを算出する処理を行う。即ち、制御部40は、力センサ1及び加速度センサ4の各測定データに基づいて、物品Qの質量mを算出する。なお、風袋質量とは、力センサ1に負荷される風袋質量と吸着部2の質量と加速度センサ4の質量との和である。
【0029】
更に、制御部40は、吸着部2による物品Qの吸着動作の制御や、ロボットアーム3の運転制御等も行う。
【0030】
(2)質量測定の原理
図3は、
図1の質量測定装置100をばね−質量系で表わしたときの当該質量測定装置の2自由度モデルである。
【0031】
図3において、mは物品Qの質量、M
1は力センサ1の自由端側の質量と吸着部2の質量および加速度センサ4の固定端側の質量との和、M
2は加速度センサ4の自由端の質量である。また、k
1は力センサ1のばね定数、k
2は加速度センサ4のばね定数である。x
1は力センサ1の変位量、x
2は加速度センサ4の変位量とする。
【0032】
物品Qに加速度が作用したときの運動方程式は、
(m+M
1)d
2x
1/dt
2=−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2) (1)
M
2d
2x
2/dt
2=−k
2(x
2−x
1) (2)
として表される。また(1)式を変形すると、
m=[−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2)]/(d
2x
1/dt
2)−M
1 (3)
となる。さらに、加速度センサ4の剛性が大きいことを考慮すると、
d
2x
1/dt
2≒d
2x
2/dt
2 (4)
として近似できる。それゆえ、(3)及び(4)式より、
m=[−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2)]/(d
2x
2/dt
2)−M
1 (5)
が導き出される。また、(2)式を変形すると、
d
2x
2/dt
2=−k
2(x
2−x
1)/M
2 (6)
となるので、(5)、(6)式より、
m=[−k
1(x
1−y)/−k
2(x
2−x
1)]M
2+M
2−M
1 (7)
が導き出される。
【0033】
ここで、−k
1(x
1−y)は力センサ1の出力、−k
2(x
2−x
1)は加速度センサ4の出力である。
【0034】
図4は、零点調整のために、吸着部2に何も保持させない状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた各測定データを示すグラフである。
図4において、力センサ1の力測定データのピーク値をFmz、加速度センサ4の加速度データのピーク値をFazとしたとき、(7)式より、
0=M
2・C・(Fmz/Faz)+M
2−M
1 (8)
となる。但し、加速度は0でない場合を想定している。なお、Cは換算係数である。
【0035】
図5は、スパン調整用の既知の分銅を吸着部2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた各測定データを示すグラフである。
図5において、力センサ1の力測定データのピーク値をFms、加速度センサ4の加速度データのピーク値をFasとしたとき、(5)式より、
ms=M
2・C・(Fms/Fas)M
2−M
1 (9)
となる。そして、(8)−(9)式より、
C=ms/M
2{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (10)
が導き出される。(10)式より、M
2は固定係数として、スパン係数をSとすると、
S=C・M
2=ms/{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (11)
である。
【0036】
図6は、質量mの被測定物(即ち、物品Q)を吸着部2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた各測定データを示すグラフである。
図6において、力センサ1の力測定データのピーク値をFm、加速度センサ4の加速度データのピーク値をFaとしたとき、(11)式より、
m=S{(Fm/Fa)−(Fmz/Faz)} (12)
となる。
【0037】
(3)各センサ1,4の有する周波数特性に関係なく質量mを求める手段
図7は、位相のずれが生じている場合の、力センサ1及び加速度センサ4それぞれの測定データを表している。なお、
図7の縦軸は、力測定データの値が示す物品Qに作用する力もしくは加速度データの値が示す物品Qの加速度を表し、横軸は、時間を表す。
【0038】
各センサ1,4の周波数特性によっては、
図7に示すように、力測定データ及び加速度データの間で位相差が生じてしまい、その結果、力測定データが極値を採る時刻と、加速度データが極値を採る時刻とが、互いに異なることとなる。
【0039】
そこで、本実施形態に係る質量測定装置100の制御部40は、上記の質量測定の原理にて説明した物品Qの質量mの算出において、力センサ1の力測定データの極値及び加速度センサ4の加速度データの極値の少なくとも1つを用いる。特に、本実施形態では、力測定データの極値及び加速度データの極値の両方が、物品Qの質量mの算出に用いられる。
【0040】
具体的には、
図7において、力センサ1の力測定データは、物品Qが水平方向に加速している時に該物品Qに作用する力が最大となる極値a1と、逆に減速している時に物品Qに作用する力が最大となる極値a2との、2つの極値を有する。加速度センサ4の加速度データは、物品Qが水平方向に加速している時の物品Qの加速度合いが最大となる極値b1と、逆に減速している時の物品Qの減速度合いが最大となる極値b2との、2つの極値を有する。この場合、質量測定装置100が物品Qの質量mの算出において用いる力測定データ及び加速度データの組み合わせとしては、力測定データの極値a1と加速度データの極値b1、力測定データの極値a2と加速度データの極値b2等が挙げられる。
【0041】
このような物品Qの質量mの算出にあたり、制御部40は、物品Qの水平方向への移動の際、力センサ1の力測定データ及び加速度センサ4の加速度データ全てを、記憶部(図示せず)に記憶する。そして、制御部40は、この記憶した全データの中から、互いに極値となる力測定データ及び加速度データの組み合わせを抽出し、これを上記の質量測定の原理にて使用して、物品Qの質量mを算出する。
【0042】
このように、各センサ1,4の測定データが極値を採る時、たとえ各センサ1,4が周波数特性を有していても、各測定データの経時的変位量は最も低くなる。そのため、各センサ1,4の測定データの極値を物品Qの質量mの算出に用いることにより、制御部40は、周波数特性によって測定データに位相のずれが生じているとしても、この影響を比較的受けていない、精度の良い物品Qの質量mを求めることができる。
【0043】
なお、上述した各測定データの極値においては、極値付近の測定データ、つまりは約極値の測定データをも含むものとする。
【0044】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態に係る質量測定装置100は、物品Qの質量mを算出する際、加速度データの極値及び力測定データの極値の少なくとも1つを用いる。力センサ1や加速度センサ4の測定データが極値を採る時は、該データの経時的変位量が最も小さくなる。従って、力センサ1や加速度センサ4の測定データの極値を物品Qの質量mの算出に用いることによって、各センサ1,4の周波数特性による位相のずれの影響をあまり受けていない物品Qの質量mが算出されることとなり、その結果計量精度が高まる。
【0045】
(4−2)
特に、
図7に示すように、力測定データ及び加速度データは、互いに異なる時刻に極値となるが、本実施形態に係る制御部40は、物品Qの質量mの算出において、力測定データにおける極値と加速度データにおける極値との両方を用いている。これにより、より精度の高い物品Qの質量mの算出が可能となる。
【0046】
(5)変形例
(5−1)変形例A
上記実施形態では、物品Qの質量mの算出にあたり、力センサ1の力測定データの極値及び加速度センサ4の加速度データの極値の両方が用いられる場合について説明した。しかし、物品Qの質量mの算出に用いられる力測定データ及び加速度データは、いずれか一方が極値であってもよい。
【0047】
即ち、力測定データの極値が用いられる場合、この力測定データの極値と、該データが極値を採る時刻での加速度データの値とが、物品Qの質量mの算出に用いられる。逆に、加速度データの極値が用いられる場合、この加速度データの極値と、該データが極値を採る時刻での力測定データの極値とが、物品Qの質量mの算出に用いられる。具体的には、
図8において、力センサ1の力測定データは、時刻t3及び時刻t5の時に極値a3,a5を採り、加速度センサ4の加速度データは、時刻t4及び時刻t6の時に極値b4,b6を採る。そこで、制御部40は、力測定データが極値を採る場合として、時刻t3における力測定データの極値a3及び加速度データの値b3の組み合わせ、もしくは、時刻t5における力測定データの極値a5及び加速度データの値b5の組み合わせを、物品Qの質量mの算出に用いる。または、制御部40は、加速度データが極値を採る場合として、時刻t4における力測定データの値a4及び加速度データの極値b4の組み合わせ、もしくは、時刻t6における力測定データの値a6及び加速度データの極値b6の組み合わせを、物品Qの質量mの算出に用いる。
【0048】
なお、
図8においても、
図7と同様、
図8の縦軸は、力測定データの値が示す物品Qに作用する力もしくは加速度データの値が示す物品Qの加速度を表し、横軸は、時間を表す。
【0049】
これにより、上記実施形態の場合に比して物品Qの質量mの算出精度は劣るが、一条件が物品Qに課された瞬間での各測定データが用いられるため、質量測定装置100は、各測定データが共に極値となる場合を待たなくとも、物品Qの質量mの算出が可能となる。従って、いずれか一方のセンサ1,4の測定データにおける極値が物品Qの質量mの算出に用いられるため、ある程度の計量精度を保ちつつ、上記実施形態の場合に比して、物品Qの質量mが素早く算出されるようになる。
【0050】
(5−2)変形例B
上記実施形態及び上記変形例Aにおいて、更に、制御部40は、極値を含む一定閾値内にある複数の力測定データ及び加速度データについて重み付け平均を行い、その結果を上記の質量測定の原理にて説明した物品Qの質量mの算出にて用いても良い。
【0051】
具体的には、制御部40は、
図9に示すように、力センサ1の力測定データのうち、該データの極値a1または極値a2を含む第1所定範囲内に該当するデータ(以下、第1データという)を抽出する。また、制御部40は、
図9に示すように、加速度センサ4の加速度データのうち、該データの極値b1または極値b2を含む第2所定範囲内に該当するデータ(以下、第2データという)を抽出する。そして、制御部40は、抽出した第1データ及び第2データを対象とする重み付け平均を計算し、その結果を物品Qの質量mの算出にて用いることが好ましい。これにより、より精度の高い物品Qの質量mの算出が可能となる。
【0052】
なお、
図9においても、
図7〜8と同様、
図9の縦軸は、力測定データの値が示す物品Qに作用する力もしくは加速度データの値が示す物品Qの加速度を表し、横軸は、時間を表す。
【0053】
ここで、上記第1所定範囲は、力測定データの極値が必ず含まれように設定され、上記第2所定範囲は、加速度データの極値が必ず含まれるように設定されることが好ましい。これらの第1所定範囲及び第2所定範囲は、質量測定装置100(具体的には、ロボットアーム3やセンサ1,4)の仕様などに応じて、机上計算、シミュレーション及び実験等の方法によって、適宜決定される。
【0054】
または、第1所定範囲及び第2所定範囲は、実際に水平方向に物品Qを動かしつつ各測定データ全てが記憶部(図示せず)に取り込まれた後に、該データそれぞれの極値を中心として所定幅を有するように、決定されてもよい。この場合、制御部40は、決定した第1所定範囲及び第2所定範囲それぞれに含まれる各測定データを抽出して重み付け平均を行い、その結果を物品Qの質量mの算出に用いることとなる。
【0055】
また、上記重み付け平均は、
図9に係る各測定データの上側の極値a2,b2または下側の極値a1,b1の、いずれか一方の極値に対してのみ行われてもよい。
【0056】
または、制御部40は、
図9に係る上側の極値a2,b2を含む第1データ及び第2データに対しては重み付けを大きくし、逆に
図9に係る下側の極値a1,b1を含む第1データ及び第2データに対しては重み付けを小さくして重み付け平均を行ってもよい。
【0057】
(5−3)変形例C
上記実施形態では、質量測定装置100が、移動する物品Qの加速度を把握するための機器として、「加速度センサ4」を備えていると説明した。しかし、移動する物品Qの加速度は、実際に加速度センサ4によって検出されるのではなく、例えばロボットアーム3に出力される駆動指令から把握されてもよい。この場合、質量測定装置100は、加速度センサ4を備えなくとも良いが、物品Qの質量mの算出にあたり、力センサ1の力測定データの極値と、該駆動指令から把握した加速度を用いることとなる。