特許第5977977号(P5977977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5977977
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】シート材及び屋根下地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20160817BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   E04B1/70 E
   E04B1/76 100D
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-72044(P2012-72044)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-204251(P2013-204251A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】森 周一
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−138444(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3059101(JP,U)
【文献】 特開2001−040789(JP,A)
【文献】 特開平07−119263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/70
E04B 1/76
E04D 3/40
E04D 3/35
E04D 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横並びの複数の垂木に亘って架設されるシート材であって、
少なくとも片面側に熱反射面を有し、
前記複数の垂木それぞれに載せるための、硬質材からなる複数の載置部と、
それぞれ下方に凸となるように変形可能であって横並びの前記垂木間の距離よりも長い幅の複数の通気用仕切り部と、を備え、
前記載置部と前記通気用仕切り部とが1つずつ交互に並んで設けられており、
前記複数の通気用仕切部のそれぞれは、横並びの前記垂木間で当該横並びの方向に谷型をなすための折り目を有することを特徴とするシート材。
【請求項2】
前記通気用仕切部は、自重で変形可能な軟質材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート材。
【請求項3】
前記載置部は、前記垂木に載せられる側の面に粘着部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート材。
【請求項4】
少なくとも片面側に熱反射面を有するシート材を、横並びの複数の垂木に亘って架設させてなる屋根下地構造であって、
前記シート材は、
硬質材からなる複数の載置部と、
屈曲自在な複数の通気用仕切り部と、を備え、
前記載置部と前記通気用仕切り部とが1つずつ交互に並んで設けられており、
前記複数の載置部は、前記複数の垂木にそれぞれ載せてあり、
前記複数の前記通気用仕切り部のそれぞれは、折り目を有し、横並びの前記垂木間で当該横並びの方向に谷型をなしていることを特徴とする屋根下地構造。
【請求項5】
前記通気用仕切り部は自重で変形可能な軟質材で形成されていることを特徴とする請求項4に記載の屋根下地構造。
【請求項6】
前記載置部は、前記垂木に載せられる側の面に粘着部を有し、前記垂木に粘着されていることを特徴とする請求項4または5に記載の屋根下地構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の屋根部分の遮熱及び通気を図るために用いられるシート材及び屋根下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の屋根部分の遮熱及び通気を図るために、瓦等の屋根材の下地となる野地板が載置される横並びの複数の垂木2上に、図4に示すように、断熱パネル9を架設することが提案されている(特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1の断熱パネル9は、2つの支持片91と、その間に位置する凹溝90とを備えている。凹溝90は、横並びの垂木2間の距離に合わせて所定のサイズで形成されている。凹溝90の上面には、熱を反射する熱反射シート92が貼付されている。断熱パネル9は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の硬質材を用いて形成されている。
【0004】
この断熱パネル9は、横並びの垂木2に2つの支持片91をそれぞれ載せ、この横並びの垂木2間に凹溝90を配置することによって、屋根部分の遮熱及び通気を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−90088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した断熱パネル9は、サイズが1つに決まっているため、横並びの垂木2間の距離によっては、取り付けることができない。
【0007】
ここで、垂木2は、棟から軒先にわたす長い木材であり、複数の垂木2を、屋根部分に横並びに等間隔で配置する施工には手間がかかる。
【0008】
また、垂木2間の距離に合わせて様々なサイズの断熱パネル9を形成するのは、製造コストが嵩む。
【0009】
そこで、上記事情を鑑みて、本発明は、横並びの垂木間の距離に関わらず設置できて、屋根部分の遮熱と通気を図ることができるシート材及び屋根下地構造を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のシート材は、横並びの複数の垂木に亘って架設されるシート材であって、少なくとも片面側に熱反射面を有し、前記複数の垂木それぞれに載せるための、硬質材からなる複数の載置部と、それぞれ下方に凸となるように変形可能であって横並びの前記垂木間の距離よりも長い幅の複数の通気用仕切り部と、を備え、前記載置部と前記通気用仕切り部とが1つずつ交互に並んで設けられており、前記複数の通気用仕切部のそれぞれは、横並びの前記垂木間で当該横並びの方向に谷型をなすための折り目を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記通気用仕切り部は自重で変形可能な軟質材で形成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記載置部は、前記垂木に載せられる側の面に粘着部を有することが好ましい。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明の屋根下地構造は、少なくとも片面側に熱反射面を有するシート材を、横並びの複数の垂木に亘って架設させてなる屋根下地構造であって、前記シート材は、硬質材からなる複数の載置部と、屈曲自在な複数の通気用仕切り部と、を備え、前記載置部と前記通気用仕切り部とが1つずつ交互に並んで設けられており、前記複数の載置部は、前記複数の垂木にそれぞれ載せてあり前記複数の前記通気用仕切り部のそれぞれは、折り目を有し、横並びの前記垂木間で当該横並びの方向に谷型をなしていることを特徴とする。
【0016】
また、前記通気用仕切り部は自重で変形可能な軟質材で形成されていることが好ましい。
【0017】
また、前記載置部は、前記垂木に載せられる側の面に粘着部を有し、前記垂木に粘着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、シート材の通気用仕切り部の屈曲量を、横並びの垂木間の距離に合わせて調整することで、垂木上に載置される横並びの載置部間の距離を調整することができる。これにより、本発明は、横並びの垂木間の距離に関わらず設置できる。また、シート材は熱反射面を備え、下方に屈曲させた通気用仕切り部の上方に通気用の空間を形成することができる。これにより、本発明は、屋根部分の遮熱及び通気を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明の第一実施形態の屋根下地構造に、野地板、ルーフィング、及び屋根材を載せた状態を示す正面図であり、(b)はこの屋根下地構造に用いられるシート材の平面図である。
図2】同上の屋根下地構造を示す斜視図である。
図3】本発明の第二実施形態の屋根下地構造に、野地板、ルーフィング、及び屋根材を載せた状態を示す正面図である。
図4】従来例の屋根下地構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0021】
第一実施形態の屋根下地構造は、図1(a)に示すように、横並びに配置された複数の垂木2と、この複数の垂木2に亘って架設されるシート材1からなる。この屋根下地構造は、建物の屋根部分に用いられ、この屋根部分の遮熱と通気を図るものである。なお、この屋根下地構造は、新築用としてもリフォーム用としても用いることができる。
【0022】
シート材1が架設された横並びの複数の垂木2には、合板等の野地板20が載置され、その上に防水用のルーフィング21が敷かれ、その上に瓦等の屋根材22が敷かれることで、建物の屋根部分が形成される。ルーフィング21は、防水シートであり、例えば、フェルトにアスファルトを染み込ませたシートが用いられる。
【0023】
垂木2は、棟から軒先にわたす長い木材である。図1(a)に示す実施形態では、垂木2が横並びに複数(図では6本)配置されている。この横並びの垂木2間の距離は、一定であることが好ましいが、本実施形態では、垂木2間の距離をL1とした箇所と、垂木2間の距離をL2(L1>L2)とした箇所とを設けている。この垂木2間の距離L1,L2は、例えば250mm〜450mmである。なお、垂木2間の距離は、棟側から軒先側に亘って一定となるように、垂木2を配置することが好ましいが、棟側と軒先側とで差があってもよい。
【0024】
本実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1は、図1(b)に示すように、横並びの複数の垂木2にそれぞれ載置するための複数の載置部4と、横並びの載置部4間にそれぞれ位置する屈曲自在な複数の通気用仕切り部5とを備えている。載置部4と通気用仕切り部5とは横方向に交互に配置されている。シート材1は、平面視矩形状をなし、載置部4と通気用仕切り部5が並ぶ方向が長さ方向となっており、この長さ方向に直交する方向が幅方向となっている。以下、載置部4と通気用仕切り部5と垂木2についても、シート材1の長さ方向と幅方向とを用いて説明する。本実施形態の載置部4と通気用仕切り部5とは、平面視矩形状をなし、シート材1の長さ方向の長さよりも、シート材1の幅方向の長さが長いものとなっている。本実施形態のシート材1は、幅方向の長さが、垂木2の幅方向(長手方向)の長さよりも短くなるように形成されている。そのため、横並びの複数の垂木2には、軒先側から棟側にかけて、複数枚のシート材1が架設される。なお、シート材1は、幅方向の長さが垂木2の幅方向(長手方向)長さと同じ、またはそれ以上のものであってもよい。
【0025】
本実施形態のシート材1では、複数の載置部4は、合成樹脂等の硬質材で形成されている。そして、複数の通気用仕切り部5は、樹脂フィルムや、不織布、紙等の自重によって変形可能な軟質材で形成されている。なお、通気用仕切り部5は、樹脂フィルムで形成することで、防水性に優れたものとすることができる。
【0026】
本実施形態では、通気用仕切り部5の上面に、アルミ蒸着が為されて、熱を反射するための熱反射面3が形成されている。このアルミ蒸着された通気用仕切り部5の厚みは、例えば1mm程度である。なお、熱反射面3は、熱を反射すればよく、このアルミ蒸着によって得られるものに限定されない。また、本実施形態では、通気用仕切り部5の上面にだけ熱反射面3を形成しているが、載置部4の上面にも熱反射面3を形成してもよいし、通気用仕切り部5の下面と載置部4の下面にも熱反射面3を形成してもよい。つまり、シート材1は、少なくとも片面側に熱反射面3を有していればよい。
【0027】
また、本実施形態のシート材1には、横並びの複数の垂木2に亘って架設した際に、横並びの垂木2間で通気用仕切り部5が谷型をなすように、通気用仕切り部5には、シート材1の長さ方向の両端と、その中央部にシート材1の幅方向に亘って折り目6が形成されている。この両端の折り目6は山型に折れ曲がるように設けられており、中央部の折り目6は谷型に折れ曲がるように設けられている。なお、折り目6の形成方法としては、例えば、その部分を少なくとも1回折り曲げて所定の方向に折り曲がるように癖を付ける方法や、その折り目6部分の厚みを他の部分と比べて薄く形成することで所定の方向に折れ曲がり易くする方法が挙げられる。この通気用仕切り部5のシート材1の長さ方向の両端の折り目6は、載置部4との境界線となっている。
【0028】
また、本実施形態では、載置部4のシート材1の長さ方向の長さが、垂木2の長さ方向(短手方向)の長さと同じか、あるいはそれよりも若干長くなるように形成されている。複数の載置部4のシート材1の長さ方向の長さは同一となるように形成されている。また、通気用仕切り部5のシート材1の長さ方向の長さL3は、設置先である横並びの垂木2間の距離よりも長くなるように形成されている。この通気用仕切り部5の長さL3は、例えば500mm程度である。複数の通気用仕切り部5のシート材1の長さ方向の長さは、同一となるように形成されている。
【0029】
また、本実施形態のシート材1では、載置部4の下面(垂木2に載せられる側の面)に、粘着部7が形成されている。粘着部7としては、粘着剤や粘着テープ等が挙げられる。
【0030】
続いて、上述したシート材1を横並びの複数の垂木2に亘って架設する施工手順の一例について説明する。
【0031】
まず、建物の屋根部分に、複数の垂木2を横並びに配置する。次いで、この横並びの複数の垂木2に亘ってシート材1を架設する。このとき、シート材1の複数の載置部4をそれぞれ横並びの複数の垂木2に載置し、この横並びの載置部4間の通気用仕切り部5を、横並びの垂木2間で下方に谷型をなすように屈曲させて配置する。載置部4は、粘着部7によって垂木2に粘着させる。
【0032】
以上のようにしてシート材1を、横並びの複数の垂木2の軒先側に架設した後、次の新しいシート材1を、この架設済のシート材1の棟側に架設する。このとき、図2に示すように、軒先側のシート材1の棟側の端部に、棟側のシート材1の軒先側の端部を上から重ねて配置する。このようにすることで、防水性が向上する。
【0033】
以上のようにシート材1が架設された横並びの複数の垂木2に、野地板20を載せ、この野地板20の上にルーフィング21を敷き、このルーフィング21の上に屋根材22を載せる。このようにすることで、図1(a)に示す、垂木2とシート材1とからなる屋根下地構造の上に、野地板20とルーフィング21と屋根材22を配した屋根構造が形成される。
【0034】
上述した屋根構造では、通気用仕切り部5は、横並びの垂木2間の距離に応じて、下方への屈曲量が調整される。すなわち、図1(a)に示すように、横並びの垂木2間の距離がL2の箇所では、垂木2間の距離がL1(L1>L2)の箇所よりも、通気用仕切り部5が下方へ大きく屈曲する。このように、横並びの垂木2間の距離に応じて、通気用仕切り部5の屈曲量が変化することで、垂木2上に載置される横並びの載置部4間の距離を自在に調節することができる。これにより、本実施形態のシート材1は、横並びの垂木2間の距離に関わらず、この垂木2上に設置できるものとなっている。
【0035】
上述した屋根構造では、シート材1の通気用仕切り部5の上面に熱反射面3が形成されているため、この熱反射面3によって、太陽熱や太陽熱によって温められた屋根材22や野地板20の輻射熱を反射して、屋根部分の遮熱を行うことができる。
【0036】
また、上述した屋根構造では、シート材1の下方に屈曲した通気用仕切り部5と、野地板20の間に、通気用の空間8を形成することができる。そのため、この空間8に空気の流れを発生させることによって、野地板20や、この空間8の温度を下げることができる。なお、空間8の空気は太陽熱や輻射熱や反射熱によって温められると上方へと流れ、これにより、垂木2の軒先側から棟側へと流れる空気の流れが発生することとなり、この空間8に温かい空気が滞留することを抑制できる。以上のように、上述した実施形態の屋根構造では、屋根部分の通気を行うことができる。
【0037】
加えて、本実施形態では、野地板20と垂木2とで挟まれる載置部4を硬質材で形成して、強度を高めたことで、シート材1が痛み難く、長期に亘って使用できるものとなっている。また、この載置部4と通気用仕切り部5との間に折り目6を形成するとともに、載置部4を硬質材で形成し通気用仕切り部5を軟質材で形成したことで、載置部4と通気用仕切り部5の区切り目がわかり易く、施工しやすいものとなっている。また、通気用仕切り部5のシート材1の長さ方向の中央部に折り目6を設けたことで、通気用仕切り部5の屈曲可能な上下幅を最大限(通気用仕切り部5の長さL3の半分)まで広げることができている。
【0038】
上述した第一実施形態の屋根下地構造では、シート材1の通気用仕切り部5を、可撓性の軟質材で形成した例について説明したが、通気用仕切り部5は、載置部4と同様に硬質材で形成されていてもよい。その場合、通気用仕切り部5のシート材1の長さ方向の両端部とその中央部の折り目6部分がヒンジとして機能するように、この折り目6部分の厚みを薄くする等して、通気用仕切り部5を屈曲自在なものとすればよい。このように硬質材で形成された屈曲自在な通気用仕切り部5を備えるシート材1は、全体的な強度が増しており、長期に亘って使用することができる。
【0039】
続いて、図3に示す第二実施形態の屋根下地構造について説明する。第二実施形態の屋根下地構造は、第一実施形態の屋根下地構造とは、使用されるシート材1が異なる。第一実施形態の屋根下地構造と同じ構成については図中に同じ符号を付けて説明を省略し、異なる構成について詳しく説明する。
【0040】
第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1では、載置部4が硬質材で形成され、通気用仕切り部5が、樹脂フィルムや、不織布、紙等の自重によって変形自在な(屈曲自在な)軟質材で形成されている。そして、載置部4の下面には粘着部7が形成されており、通気用仕切り部5の上面には熱反射面3が形成されている。この通気用仕切り部5には、折り目が形成されていない。
【0041】
そのため、第二実施形態の屋根下地構造では、図3に示すように、シート材1を横並びの複数の垂木2に亘って架設した際に、横並びの垂木2間で、シート材1の通気用仕切り部5が下方に凸となる円弧状に撓む(屈曲する)。
【0042】
この通気用仕切り部5の撓む量(屈曲量)は、横並びの垂木2間の距離に応じて自動的に調整される。つまり、垂木2上に載置される横並びの載置部4間の距離を自在に調節することができる。これにより、第二実施形態のシート材1は、横並びの垂木2間の距離に関わらず、垂木2に設置することができる。
【0043】
加えて、第二実施形態のシート材1には、折り目を形成しなくてもよいので、第一実施形態のシート材1に比べて、製造コストを抑えることができる。また、第二実施形態のシート材1は、折り目を備えていないため、ロール状態にしやすく、搬送等の際、嵩張りにくい。
【0044】
以上まとめると、第一及び第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1は、横並びの複数の垂木2に亘って架設されるシート材1である。このシート材1は、少なくとも片面側に熱反射面3を有し、複数の垂木2それぞれに載せるための複数の載置部4と、横並びの載置部4間に位置する屈曲自在な通気用仕切り部5と、を備えている。
【0045】
上述のシート材1は、横並びの複数の垂木2に亘って架設させる際に、複数の載置部4を横並びの複数の垂木2にそれぞれ載せ、横並びの垂木2間に通気用仕切り部5を下方に屈曲させて配置することができる。しかもこのとき、通気用仕切り部5の屈曲させる量を、横並びの垂木2間の距離に応じて調整することができる。つまり、垂木2上に載置される横並びの載置部4間の距離を自在に調節することができる。これにより、第一及び第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1は、横並びの垂木2間の距離に関わらず設置できる。また、このシート材1は、熱反射面3を有し、下方に屈曲させた通気用仕切り部5の上方に(通気仕切り部5と垂木2に載置される野地板20等との間に)通気用の空間8を形成することができる。そのため、第一及び第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1は、屋根部分の遮熱及び通気を図ることができる。
【0046】
また、第一実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1では、通気用仕切り部5は、横並びの複数の垂木2に亘って架設されたときに谷型をなすための折り目6を有する。
【0047】
このような構成とすることで、シート材1の通気用仕切り部5が、架設の際に、横並びの垂木2間で谷型をなすように折れ曲がりやすく、このシート材1は、横並びの載置部4間の距離の調節がしやすくなっている。
【0048】
また、第一及び第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1では、載置部4は硬質材で形成され、通気用仕切り部5は自重で変形可能な軟質材で形成されている。
【0049】
このような構成とすることで、シート材1のうち、垂木2とその上に載置される野地板20等によって挟まれる部分(載置部4)の強度を高めることができ、垂木2に架設したシート材1を長期に亘って使用することができる。また、通気用仕切り部5を自重で変形可能な軟質材で形成することで、シート材1は複数の載置部4を複数の垂木2にそれぞれ載置することで、横並びの垂木2間で通気用仕切り部5を自動的に下方に屈曲させることができる。しかもこのとき、横並びの垂木2間の距離に合わせて屈曲量が自動的に調整される。これにより、このシート材1は、横並びの垂木2間の距離に関わらず、設置しやすいものとなっている。
【0050】
また、第一及び第二実施形態の屋根下地構造に用いられるシート材1では、載置部4は、垂木2に載せられる側の面に粘着部7を有する。
【0051】
このような構成とすることで、このシート材1は、載置部4を粘着部7によって垂木2に粘着させて載置することができる。そのため、シート材1を、横並びの複数の垂木2に亘って架設する際に、載置部4の位置ズレが起こりにくくて、施工がしやすくなっている。
【0052】
また、第一及び第二実施形態の屋根下地構造は、少なくとも片面側に熱反射面3を有するシート材1を、横並びの複数の垂木2に亘って架設させてなる屋根下地構造である。シート材1は、複数の垂木2それぞれに載せるための複数の載置部4と、横並びの載置部4間に位置する屈曲自在な通気用仕切り部5と、を備える。この屋根下地構造では、シート材1の複数の載置部4を複数の垂木2にそれぞれ載せ、通気用仕切り部5を横並びの垂木2間で下方に屈曲させている。
【0053】
このように屋根下地構造に用いるシート材1の通気用仕切り部5を屈曲自在なものとしたことで、この通気用仕切り部5が配置される横並びの垂木2間の距離に合わせて、通気用仕切り部5の屈曲量を調整することができる。つまり、通気用仕切り部5の両側にある載置部4間の距離を自在に調整することができる。これにより、上述した第一及び第二実施形態の屋根下地構造は、横並びの垂木2間の距離に関わらず適用(設置)することができる。また、シート材1は、熱反射面3を有し、下方に屈曲させた通気用仕切り部5の上方に(通気仕切り部5と垂木2に載置される野地板等との間に)通気用の空間8を形成することができる。そのため、第一及び第二実施形態の屋根下地構造は、屋根部分の遮熱及び通気を図ることもできる。
【0054】
また、第一実施形態の屋根下地構造では、通気用仕切り部5は、折り目6を有し、横並びの垂木2間で谷型をなしている。
【0055】
このように、折り目6によってシート材1の通気用仕切り部5が横並びの垂木2間で谷型をなすように折れ曲がることで、第一実施形態の屋根下地構造では、この下方に屈曲させた通気用仕切り部5の上方に通気用の空間8が形成され、屋根部分の通気を図ることができる。
【0056】
また、第一及び第二実施形態の屋根下地構造では、載置部4は硬質材で形成され、通気用仕切り部5は自重で変形可能な軟質材で形成されている。
【0057】
このような構成とすることで、第一及び第二実施形態の屋根下地構造では、垂木2とその上に載置される野地板20等によって挟まれる部分(載置部4)の強度を高めることができ、シート材1が痛みにくく、長期に亘って使用しやすいものとなっている。また、通気用仕切り部5を自重で変形可能な軟質材で形成することで、シート材1は複数の載置部4を複数の垂木2にそれぞれ載置することで、横並びの垂木2間で通気用仕切り部5を自動的に下方に屈曲させることができる。しかもこのとき、横並びの垂木2間の距離に合わせて屈曲量が自動的に調整される。つまり、このシート材1を用いた第一及び第二実施形態の屋根下地構造は、横並びの垂木2間の距離に関わらず適用(設置)しやすいものとなっている。
【0058】
また、第一及び第二実施形態の屋根下地構造では、載置部4は、垂木2に載せられる側の面に粘着部7を有し、載置部4は垂木2に粘着されている。
【0059】
このような構成とすることで、第一及び第二実施形態の屋根下地構造では、載置部4の位置がズレにくく、載置部4を垂木2に載せた状態を保持しやすいものとなっている。
【0060】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 シート材
2 垂木
3 熱反射面
4 載置部
5 通気用仕切り部
6 折り目
7 粘着部
図1
図2
図3
図4