(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1)質量測定装置100の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る質量測定装置100の概略構成図である。
図1において、質量測定装置100は、力センサ1と、吸着部2と、ロボットアーム3と、加速度センサ4とを備えている。
【0020】
力センサ1は移動中の物品Qに作用する力を検出する。また、力センサ1には、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。歪みゲージ式ロードセルは、移動によって自由端側が固定端側に対して相対的に変位し、それによって自由端側に作用する力を検出することができる。
【0021】
吸着部2は、物品Qを保持する。また、吸着部2には、エアー吸着機構、或いは、エアーチャック機構が採用される。なお、吸着部2は、エアー吸着機構やエアーチャック機構などに限定されるものではなく、モータ駆動のフィンガー機構であってもよい。
【0022】
ロボットアーム3は、吸着部2を3次元的に移動させる。また、ロボットアーム3は、所定の回転軸CAを中心にしてCW方向およびCCW方向に回転することもできる。なお、ロボットアーム3としては、例えば、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボット、あるいは、パラレルリンクロボット等が適切である。
【0023】
加速度センサ4は、物品Qに作用する加速度を検出する。また、加速度センサ4としては、例えば、歪みゲージ式ロードセル、MEMS型の小型加速度センサ、及び一般的な市販の加速度センサのいずれかが適宜採用される。
【0024】
なお、力センサ1は吸着部2とロボットアーム3との間に設けられ、加速度センサ4は吸着部2に隣接するように設けられる。以下で説明する実施形態では、力センサ1及び加速度センサ4ともに歪みゲージ式ロードセルが採用され、力センサ1及び加速度センサ4は水平方向に移動する物品Qに作用する力と加速度を検出する。
【0025】
(2)質量測定の原理
図2は、
図1の質量測定装置100をばね−質量系で表わしたときの当該質量測定装置の2自由度モデルである。
【0026】
図2において、mは物品Qの質量、M
1は力センサ1の自由端側の質量と吸着部2の質量および加速度センサ4の固定端側の質量の和、M
2は加速度センサ4の自由端の質量である。また、k
1は力センサ1のばね定数、k
2は加速度センサ4のばね定数である。x
1は力センサ1の変位量、x
2は加速度センサ4の変位量とする。
【0027】
物品Qに加速度が作用したときの運動方程式は、
(m+M
1)d
2x
1/dt
2=−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2) (1)
M
2d
2x
2/dt
2=−k
2(x
2−x
1) (2)
として表される。また(1)式を変形すると、
m=[−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2)]/(d
2x
1/dt
2)−M
1 (3)
となる。さらに、加速度センサ4の剛性が大きいことを考慮すると、
d
2x
1/dt
2≒d
2x
2/dt
2 (4)
として近似できる。それゆえ、(3)及び(4)式より、
m=[−k
1(x
1−y)+k
2(x
1−x
2)]/(d
2x
2/dt
2)−M
1 (5)
が導き出される。また、(2)式を変形すると、
d
2x
2/dt
2=−k
2(x
2−x
1)/M
2 (6)
となるので、(5)、(6)式より、
m=[−k
1(x
1−y)/−k
2(x
2−x
1)]M
2+M
2−M
1 (7)
が導き出される。
【0028】
ここで、−k
1(x
1−y)は力センサ1の出力、−k
2(x
2−x
1)は加速度センサ4の出力である。
【0029】
図3は、零点調整のために、吸着部2に何も保持させない状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。
図3において、力センサ1の出力のピーク値をFmz、加速度センサ4の出力のピーク値をFazとしたとき、(7)式より、
0=M
2・C・(Fmz/Faz)+M
2−M
1 (8)
となる。但し、加速度は0でない場合を想定している。なお、Cは換算係数である。
【0030】
図4は、スパン調整用の既知の分銅を吸着部2に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。
図4において、スパン質量をms、力センサ1の出力のピーク値をFms、加速度センサ4の出力のピーク値をFasとしたとき、(7)式より、
ms=M
2・C・(Fms/Fas)+M
2−M
1 (9)
となる。そして、(8)−(9)式より、
C=ms/M
2{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (10)
が導き出される。(10)式より、M
2は固定係数として、スパン係数をSとすると、
S=C・M
2=ms/{(Fms/Fas)−(Fmz/Faz)} (11)
である。
【0031】
図5は、質量mの被測定物を吸着部に保持させた状態で力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号を示すグラフである。
図5において、力センサ1の出力のピーク値をFm、加速度センサ4の出力のピーク値をFaとしたとき、(11)式より、
m=S{(Fm/Fa)−(Fmz/Faz)} (12)
となる。
【0032】
(3)制御系
図6は、質量測定装置100の制御系のブロック図である。
図6において、制御部40及び記憶部49を含む制御回路50には、力センサ1、吸着部2、ロボットアーム3、加速度センサ4、入力部7及びディスプレイ8が電気的に接続されている。なお、力センサ1、吸着部2、ロボットアーム3、及び加速度センサ4については、既に説明しているので、ここでは言及しない。
【0033】
入力部7は、質量測定装置100の始動前に、オペレータが力センサ1の定格や、被測定物の測定範囲などを入力するための機器であり、具体的には、キーボード、或いは、タッチパネルである。
【0034】
ディスプレイ8は、質量測定装置100の動作状況を逐次表示するための機器であり、力センサ1及び加速度センサ4の異常や、吸着部2及びロボットアーム3の動作異常が発生したときには、エラー表示を行う。
【0035】
記憶部49は、質量測定装置100に搭載可能な力センサ1の定格、及び被測定物の質量範囲ごとに設定された被測定物に作用させるべき適用加速度を予め記憶している。
【0036】
例えば、質量測定装置100が、物品Qが搬送される工程で、「吸着部2によって物品Qを吸着し、ロボットアーム3によって物品Qを梱包容器まで移動させ、その間に質量を測定し、物品Qを梱包容器に納める」という動作を行う場合、オペレータは質量測定装置100の始動前に、物品Qの質量測定範囲(例えば、m±0.5g)を入力する。
【0037】
記憶部49は、予め質量m程度の物品Qの質量を測定するときに物品Qに作用させるべき最適加速度を記憶している。制御部40は、入力された質量測定範囲に対応する適用加速度を記憶部49から読み取り、ロボットアーム3を介して物品Qにその適用加速度を作用させ、そのときの力センサ1の出力を読み取る。なお、制御部40としては、DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)やマイコン等が採用される。
【0038】
図7は、力センサ1及び加速度センサ4によって検出された信号を処理する信号処理回路図である。
図7において、力センサ1と加速度センサ4には、それぞれ増幅器31a、31bが接続されており、これらの増幅器31a、31bは、力センサ1及び加速度センサ4から入力された検出信号を増幅する。また、増幅器31a、31bには、それぞれA/D変換器33a、33bが接続されている。そのA/D変換器33a、33bは、入力されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0039】
A/D変換器33a、33bには、それぞれローパスフィルタ37a、37bが接続されている。このローパスフィルタ37a、37bは、入力された検出信号から一定周波数以上のノイズ成分を除去する。また、ローパスフィルタ37a、37bは、制御部40に接続されている。
【0040】
制御部40は、入力された検出信号に基づいて各種の処理を実行する。先ず、制御部40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に含まれるノイズ周波数成分をローパスフィルタ37a、37bにより除去する処理を行う。そして、そのノイズ周波数成分が除去された力センサ1の検出信号を除算器41により加速度センサ4の検出信号で除算する処理を行い、その後、制御部40は、減算器43として機能することで、その除算結果を用いて式(12)の演算を行い、質量mを算出する処理を行う。即ち、制御部40は、力センサ1及び加速度センサ4の検出信号に基づいて、物品Qの質量mを算出する。
【0041】
(4)物品Qに作用する重力の影響
上記の質量測定の原理で説明した力センサ1は感度方向が水平に取り付けられているので、水平移動時の出力に重力の影響は現れない。しかしながら、力センサ1の感度方向を厳密に水平に取り付けることは容易ではなく、ある程度傾いた状態で取り付けられる。
【0042】
図8は、力センサ1が水平に対して角度θだけ傾いた状態で取り付けられたときの重力の分力方向を表す説明図である。また、
図9Aは、水平に対して角度θだけ傾いた状態で取り付けられた力センサ1から得られた検出信号を示すグラフである。
【0043】
図8及び
図9Aにおいて、力センサ1は水平に対して角度θだけ傾いているので、吸着部2が質量mの物品Qを保持した際に、力センサ1の出力に物品Qに作用する重力の分力(mg・sinθ)が現れる。その結果、
図9Aに示すように、吸着部2が物品Qを保持せず水平移動したときの力センサ1から得られる出力に対して、物品Qを保持して水平移動したときの力センサ1から得られる出力は基準点がmg・sinθだけマイナス方向に変化する。
【0044】
例えば、物品Qの質量mが力センサ1の出力のピーク値を加速度センサ4の出力のピーク値で除算して算出される場合には、基準点から視た力センサ1の出力のピーク値は重力の分力(mg・sinθ)を含んでいるので、物品Qの質量mが正確に測定されない。
【0045】
(5)物品Qに作用する重力の影響を排除する手段
前述の(12)式では、力センサ1の出力のピーク値Fmと加速度センサ4の出力のピーク値Faとの出力比[Fm/Fa]から質量mを算出したが、(12)式の[Fm/Fa]の部分は、力センサ1の任意の2点における出力値の差と、連動する加速度センサ4の2点における出力値の差との比率であっても成り立つ。以下、その根拠を説明する。
【0046】
図9Bは、力センサ1及び加速度センサ4から得られた検出信号の任意の2点を示すグラフである。すなわち、
図9Bに示す任意の2点K、Jにおいても、(12)式は成立する。
図9Bに示すように2点K、Jの力センサ1の出力をそれぞれFmk、Fmjとし、その力センサ1に連動して得られる加速度センサ4の出力をそれぞれFak、Fajとする。2点K、Jにおいても(12)式は成り立つので、力センサ1の出力値と、連動する加速度センサ4の出力値の比率をMとすると、
Fmk/Fak=Fmj/Faj=M (13)
が成り立ち、(13)式を変形すると、
M・Fak=Fmk (14)
M・Faj=Fmj (15)
となる。そして、(14)−(15)式より
M・(Fak−Faj)=Fmk−Fmj (16)
(16)式を変形すると
M=(Fmk−Fmj)/(Fak−Faj) (17)
したがって、(12)式の[Fm/Fa]の部分は、力センサ1の任意の2点における出力値の差と、連動する加速度センサ4の2点における出力値の差の比率であってもよい。
【0047】
例えば、力センサ1の任意の2点K、Jにおける出力値が重力の分力を含んでいる場合の値をFmkg、Fmjgとすると、重力の分力を含んでいない場合の出力値は
図9BにおけるFmk,Fmjであるので、Fmkg=Fmk+mg・sinθ、Fmjg=Fmj+mg・sinθ、となる。
【0048】
また、Fmkg−Fmjg=Fmk+mg・sinθ−(Fmj+mg・sinθ)であるので、mg・sinθは相殺され、Fmkg−Fmjg=Fmk−Fmjとなる。つまり、力センサ1の出力値に重力の分力(mg・sinθ)が含まれていても、力センサ1から得られる出力の2点の差を用いることによって、基準点出力を求めなくても質量を算出することができる。
【0049】
但し、出力の値が接近した2点では、信号量に対する誤差量の割合が増加して、質量算出の精度を低下させる懸念がある。そこで、考え得る力センサ1の出力パターンを想定し、その出力パターン毎に最適な2点を選択することが好ましい。以下、各出力パターンの最適な2点について説明する。
【0050】
(5−1)時間に対する変化率の小さい2点
図10は、力センサ1の第1の出力パターンを示すグラフである。
図10において、B
1点及びB
2点は共に時間に対する力の変化率が小さい点である。力センサ1と加速度センサ4との間には位相差があるので、精度良く質量を算出するためには位相差分を補償しなければならないが、位相差は常に一定ではないので、完全な補償は困難である。
【0051】
しかし、時間に対する力の変化率が小さい2点であれば、補償しきれない位相差があっても測定データの経時的変化量が小さい分だけ誤差が小さくなる。したがって、位相差の影響を受け難い。
【0052】
なお、変化率が小さい2点として、力センサ1で得られる出力の微分値がゼロに近い点が優先的に選択されるが、力センサ1で得られる出力のうち絶対値が大きく、且つ、微分値が小さい点がより好ましい。
【0053】
(5−2)2つの極値点
図11は、力センサ1の第2の出力パターンを示すグラフである。
図11において、D
1点及びD
2点は極値点である。極値点を選択するメリットは、力センサ1の出力の極値点に対応する加速度センサ4の出力の極値点が特定し易いことである。なぜなら、力センサ1と加速度センサ4との間にある位相差は数μs〜数msであるので、その差内に複数の極値点が存在することは確率的に極めて小さい。それゆえ、力センサ1の出力の極値点に対応する加速度センサ4の出力の極値点は特定し易い。したがって、位相差の影響を受け難い。
【0054】
(5−3)最小値点と最大値点
図12は、力センサ1の第3の出力パターンを示すグラフである。
図12において、E
1点とE
2点とは、最小値点と最大値点とである。最小値点と最大値点とを選択するメリットは、S/N比が大きくなり、質量算出の精度が向上することである。
【0055】
雑音量Nが一定である場合、信号量Sが大きいほど信号量に対する雑音量(誤差量)の割合が減少する。ここでは、信号量S=[最大値―最小値]>[他の任意の2点の差]であり、他のどの2点を取るよりも誤差量の割合が小さくなる、すなわち、S/N比が大きくなる。したがって、質量算出の精度が向上する。
【0056】
(5−4)測定値の差が所定値以上となる2点
図13は、力センサ1の第4の出力パターンを示すグラフである。
図13において、H
1点とH
2点とは、測定値の差が所定値以上となる2点である。測定値の差が所定値以上となる2点を選択するメリットは、S/N比が大きくなり、質量算出の精度が向上することである。
【0057】
上段で述べたように、雑音量Nが一定である場合、信号量Sが大きいほど信号量に対する雑音量(誤差量)の割合が減少するので、S/N比が大きくなる。H
1点とH
2点とは、測定値の差が所定値以上となる2点であるので、信号量Sは所定値以上になる。所定値を雑音量(誤差量)Nに対して十分に大きく設定すればS/N比が大きくなる。したがって、質量算出の精度が向上する。
【0058】
(6)特徴
(6−1)
質量測定装置100では、制御部40が力センサ1で得られる2点の力測定値の差と、力センサ1に連動して加速度センサ4で得られる2点の加速度測定値の差とを用いて物品Qの質量を算出するので、力センサ1及び加速度センサ4の基準点出力を必要としない。その結果、質量測定時に基準点出力のばらつきの影響、つまり、重力の影響が排除されるので、質量算出の精度が向上する。
【0059】
(6−2)
質量測定装置100では、力センサ1で得られる2点を時間に対する変化率が小さい2点とすることによって、力センサ1および加速度センサ4それぞれの出力に位相差が発生していても、その位相差の影響を小さくできる。
【0060】
(6−3)
質量測定装置100では、力センサ1で得られる2点をともに極値点とすることによって、力センサ1の出力の極値点に対応する加速度センサ4の出力の極値点が特定し易くなるので、位相差の影響を受け難い。
【0061】
(6−4)
質量測定装置100では、力センサ1で得られる2点を最大値点および最小値点とすることによって、信号量S=[最大値―最小値]>[他の任意の2点の差]となり、雑音量(誤差量)Nが一定である場合、他のどの2点を取るよりも誤差量の割合が小さく、S/N比が大きくなるので、質量算出の精度が向上する。
【0062】
(6−5)
質量測定装置100では、力センサ1で得られる2点を力測定値の差が所定値以上となる2点とすることによって、信号量Sが所定値以上となる。所定値を雑音量(誤差量)Nに対して十分に大きく設定すればS/N比が大きくなり、その分、質量算出の精度が向上する。
【0063】
(7)変形例
上記実施形態では、制御部40が力センサ1で得られる2点の力測定値の差と、力センサ1に連動して加速度センサ4で得られる2点の加速度測定値の差とを用いて物品Qの質量を算出しているが、これに限定されるものではない。
【0064】
この変形例に係る質量測定装置100では、制御部40が加速度センサ4で得られる2点の加速度測定値の差と、加速度センサ4に連動して力センサ1で得られる2点の力測定値の差とを用いて物品Qの質量を算出する。
【0065】
したがって、上記実施形態と同様、力センサ1の出力値に重力の分力(mg・sinθ)が含まれていても、加速度センサ4から得られる出力の2点の差、及び力センサ1から得られる出力の2点の差を用いることによって、基準点出力を求めなくても質量を算出することができる。
【0066】
また、上記実施形態と同様、出力の値が接近した2点では、信号量に対する誤差量の割合が増加して、質量算出の精度を低下させる懸念があるので、この変形例についても、考え得る加速度センサ4の出力パターンを想定し、その出力パターン毎に最適な2点を選択することが好ましい。以下、各出力パターンの最適な2点について説明する。
【0067】
(7−1)時間に対する変化率の小さい2点
変形例に係る質量測定装置100では、加速度センサ4で得られる2点は、時間に対する変化率が小さい2点である。時間に対する加速度の変化率が小さい2点であれば、補償しきれない位相差があっても測定データの経時的変化量が小さい分だけ誤差が小さくなる。したがって、位相差の影響を受け難い。
【0068】
なお、変化率が小さい2点として、加速度センサ4で得られる出力の微分値がゼロに近い点が優先的に選択されるが、加速度センサ4で得られる出力のうち絶対値が大きく、且つ、微分値が小さい点がより好ましい。
【0069】
(7−2)2つの極値点
変形例に係る質量測定装置100では、加速度センサ4で得られる2点は、極値点である。加速度センサ4と力センサ1との間にある位相差は数μs〜数msであるので、その差内に複数の極値点が存在することは確率的に極めて小さい。それゆえ、加速度センサ4の出力の極値点に対応する力センサ1の出力の極値点は特定し易い。したがって、位相差の影響を受け難い。
【0070】
(7−3)最小値点と最大値点
変形例に係る質量測定装置100では、加速度センサ4で得られる2点は、最小値点と最大値点である。雑音量Nが一定である場合、信号量Sが大きいほど信号量に対する雑音量(誤差量)の割合が減少する。ここでは、信号量S=[最大値―最小値]>[他の任意の2点の差]であり、他のどの2点を取るよりも誤差量の割合が小さくなる、すなわち、S/N比が大きくなる。したがって、質量算出の精度が向上する。
【0071】
(7−4)測定値の差が所定値以上となる2点
変形例に係る質量測定装置100では、加速度センサ4で得られる2点は、測定値の差が所定値以上となる2点である。上段で述べたように、雑音量Nが一定である場合、信号量Sが大きいほど信号量に対する雑音量(誤差量)の割合が減少するので、S/N比が大きくなる。測定値の差が所定値以上となる2点では、信号量Sは所定値以上になる。所定値を雑音量(誤差量)Nに対して十分に大きく設定すればS/N比が大きくなる。したがって、質量算出の精度が向上する。