(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バッテリケーブルの外周に熱融着テープを設置し、この熱融着テープが設置された熱融着テープ設置部位を電流センサのハウジングとホルダとで挟み込んで圧縮して、前記熱融着テープ設置部位を変形させて前記ハウジングに固定した後、熱を加えて前記熱融着テープを軟化させ、この軟化後に前記熱融着テープを硬化させた状態になっており、前記ハウジングと前記ホルダとによる挟み込みを止めても、熱融着テープ設置部位の形状が、前記ハウジングと前記ホルダとによる挟み込みをしていたときの形状を維持するように構成されていることを特徴とするバッテリケーブルへの電流センサ取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来のバッテリケーブルへの電流センサ取付構造300では、コア312を用いて電流を検出しているので、バッテリケーブル302を設置したときにバッテリケーブル302の位置ずれがあっても、この位置ずれによって影響される電流値の検出誤差は小さい(許容範囲内である)。
【0008】
しかし、コアレス仕様の電流センサを用いて、バッテリケーブルを流れる電流によって発生する磁界を測定するとなると、電流センサに対するバッテリケーブルの位置ずれによって、電流センサの検出誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
なお、コアレス仕様の電流センサとは、環状のコアを用いることなくバッテリケーブルを流れる電流を検出するセンサである。
【0010】
コアレス仕様の電流センサでは、バッテリケーブルを流れる電流によって発生する磁界を、バッテリケーブルの近傍に設置されている小さな平板状の電流検出部(コア312に比べて小さな電流検出部)で直接検出し、この検出したものを、IC等を用いて増幅する構成になっている。
【0011】
なお、上記問題は、コアレス仕様の電流センサを用いた場合だけでなく、コアを用いた電流センサ等の他の電流センサを用いた場合においても、程度の差こそあれ発生する場合がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリケーブルの太さや形状のバラツキに影響されることなく、バッテリケーブルに電流センサを設置したときに、バッテリケーブルと電流センサとの位置関係を正確なものにすることができるバッテリケーブルへの電流センサ取付構造を提供することを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、バッテリケーブルの外周に熱融着テープを設置し、この熱融着テープが設置された熱融着テープ設置部位を電流センサのハウジングとホルダとで挟み込んで圧縮して、前記熱融着テープ設置部位を
変形させて前記ハウジングに固定した後、熱を加えて前記熱融着テープを軟化させ、この軟化後に前記熱融着テープを硬化させた状態になっており、前記ハウジングと前記ホルダとによる挟み込みを止めても、熱融着テープ設置部位の形状が、前記ハウジングと前記ホルダとによる挟み込みをしていたときの形状を維持するように構成されているバッテリケーブルへの電流センサ取付構造である。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバッテリケーブルへの電流センサ取付構造において、前記ハウジングは、前記バッテリケーブルを流れる電流を検出する電流検出部が設けられているハウジング本体と、前記電流検出部から離れ前記電流検出部を覆うようにして前記ハウジング本体に設置されているカバーとを備えて構成されており、
前記熱融着テープ設置部位は、前記ホルダと前記ハウジング本体に設置されているカバーとで挟まれているバッテリケーブルへの電流センサ取付構造である。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバッテリケーブルへの電流センサ取付構造において、前記電流検出部と前記カバーとの間は、軟質充填材が充填されているバッテリケーブルへの電流センサ取付構造である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、バッテリケーブルを流れる電流を検出する電流検出部が設けられているハウジングと、前記バッテリケーブルの外周に巻かれている熱融着テープと、前記熱融着テープが巻かれている熱融着テープ設置部位を、前記ハウジングと協働して挟み込んで圧縮し、
前記熱融着テープ設置部位を変形させて前記ハウジングに固定した後、熱を加えて前記熱融着テープを軟化させ、この軟化後に前記熱融着テープを硬化させた状態にしていることで、前記熱融着テープ設置部位の断面形状を楕円状に変形させているホルダとを有し、前記ハウジングと前記ホルダとによる圧縮を解除したときに、前記熱融着テープ設置部位の断面形状が前記楕円状を維持するように構成されており、前記ハウジングと前記ホルダとによる圧縮がされている状態では、前記ケーブルの楕円の短軸方向が、前記ケーブルと前記電流検出部とがならんでいる方向と一致しているケーブルへの電流センサ取付構造である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリケーブルの太さや形状のバラツキに影響されることなく、バッテリケーブルに電流センサを設置したときに、バッテリケーブルと電流センサとの位置関係を正確なものにすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係るバッテリケーブルへの電流センサ取付構造(電流センサ取付構造)1で使用される電流センサ3は、
図1等で示すように、ハウジング(筐体)5とホルダ(固定材)7とを備えて構成されている。ハウジング5には、車両等のバッテリケーブル9の芯線を流れる電流を検出する電流検出部11が設けられている。
【0020】
バッテリケーブル9は、導電性の芯線(図示せず)と絶縁性の被覆部(図示せず)とを備えて構成されており、ある程度の可撓性を備えている。芯線は、たとえば、複数本の素線(銅等の金属で構成された素線)が撚られて形成されている。被覆部は、たとえばポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなり、芯線を被覆している。
【0021】
バッテリケーブル9の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、常態では(たとえば、電流センサ3が設置されていない状態では)円形状になっている。さらに説明すると、芯線の断面は、概ね円形状になっており、被覆部の断面は、内径が芯線の外径と等しい円環状になっている。被覆部の外周がバッテリケーブルの外周になっている。
【0022】
なお、本実施形態では、バッテリケーブル9を例に掲げて説明するが、バッテリケーブル以外のケーブル(電線)に、電流センサ取付構造1を適用してもよい。
【0023】
電流センサ取付構造1では、まず、
図4で示すように、バッテリケーブル9の外周に熱融着テープ13を設置し(たとえば巻き)、この熱融着テープ13が設置された熱融着テープ設置部位15を電流センサ(たとえば、コアレス仕様の電流センサ)3のハウジング5とホルダ(ホルダアッシー;ホルダ組立体)7とで挟み込んで(ホルダ7をハウジング5に一体的に設置することで挟み込んで)圧縮している。
【0024】
図1で示すように、熱融着テープ設置部位15をハウジング5とホルダ7とに固定(電流センサ3を熱融着テープ設置部位15に固定)した後(一体的に設けた後)、たとえば、熱風を吹きつけることで熱を加え熱融着テープ13を一旦軟化させ、この軟化後に熱融着テープ13を冷まして硬化させている。このようにして、電流センサ取付構造1が構成されている。
【0025】
電流センサ3は、バッテリケーブル9の長手方向の端部近傍もしくは中間部に設置されるようになっている。そして、上述したように、熱融着テープ設置部位15をハウジング5とホルダ7とで挟み込んで電流センサ3をバッテリケーブル9に固定し、熱融着テープ13を軟化し硬化した後に、バッテリケーブル9の芯線を流れる電流を電流検出部11が検出するようになっている。
【0026】
なお、電流検出部11が検出した電流値は、ハウジング5の基板17の回路等で増幅されて、コネクタ部19(
図6参照)に接続されたケーブル(図示せず)を介して出力されるようになっている。
【0027】
熱融着テープ13は、バッテリケーブル9の被覆部を覆うようにして設置されている。すなわち、熱融着テープ設置部位15では、芯線が被覆部で覆われており、被覆部が熱融着テープ13で覆われている。なお、バッテリケーブル9で所定の長さにわたって被覆部を除去して芯線を露出させ、この露出している芯線の外周に、熱融着テープ13を直接巻く等して設けた構成であってもよい。
【0028】
ハウジング5とホルダ7とを熱融着テープ設置部位15に固定した状態では、
図1で示すように、ハウジング5とホルダ7とで圧縮されることで、熱融着テープ設置部位15の断面形状(熱融着テープ13とバッテリケーブル9との断面形状;バッテリケーブル9の長手方向に対して直交する平面による断面の形状)は、円をつぶした楕円状の形状になっている。さらに説明すると、バッテリケーブル9の被覆部が楕円のリング状になって楕円状の芯線を囲んでおり、熱融着テープ13が楕円のリング状になって楕円状のバッテリケーブル9を囲んでいる。
【0029】
ハウジング5とホルダ7とで圧縮された熱融着テープ設置部位15の楕円の形状は、熱融着テープ13を加熱して軟化させてもほとんど変化せず、さらに、熱融着テープ13を冷まして硬化させてもほとんど変化していない。
【0030】
また、熱融着テープ13を冷まして硬化させた状態でも、バッテリケーブル9と熱融着テープ13とは、ハウジング5とホルダ7とで挟み込まれており、ハウジング5とホルダ7とは、熱融着テープ設置部位15(熱融着テープ13)に固定されている。
【0031】
なお、熱融着テープ13は、バッテリケーブル9の長手方向から見たときに、一部に非設置部位が存在する「C」字状に設置されているが、バッテリケーブル9に熱融着テープ13を一重もしくは多重に巻いて設けた構成(熱融着テープ13を円筒状に設けた構成)であってもよい。
【0032】
電流センサ取付構造1についてさらに説明すると、電流センサ取付構造1は、前述したように、ハウジング5と熱融着テープ13とホルダ7とを備えて構成されている。
【0033】
ハウジング5には、バッテリケーブル9の芯線を流れる電流を検出する電流検出部11が設けられている。熱融着テープ13は、バッテリケーブル9の外周に巻かれている。
【0034】
ホルダ7は、熱融着テープ13が巻かれている熱融着テープ設置部位15を、ハウジング5と協働して挟み込んで圧縮し、熱融着テープ設置部位15の断面形状(バッテリケーブル9の長手方向に対して直交する平面による断面の形状)を楕円状に変形させている。
【0035】
そして、電流センサ取付構造1では、ハウジング5とホルダ7とによる上記圧縮を解除したときに、熱融着テープ設置部位15の断面形状が楕円状を維持するように構成されている。
【0036】
すなわち、電流センサ取付構造1では、熱融着テープ設置部位15がハウジング5とホルダ7とで挟まれて変形している状態からホルダ7をハウジング5から離すことで熱融着テープ設置部位15の挟み込みを止めて熱融着テープ設置部位15の圧縮を無くしても、熱融着テープ設置部位15の断面形状が僅かには変形するが挟まれていたときの楕円状をほぼ維持するようになっている。
【0037】
この楕円状をほぼ維持する現象は、たとえば、上述したような、熱融着テープ13の軟化と硬化で発生するのである。すなわち、ハウジング5とホルダ7とで挟まれ熱融着テープ設置部位15が変形している状態で、熱融着テープ13に熱を加えて軟化させこの軟化後に熱融着テープ13を硬化させていることで、熱融着テープ13の内部応力が変化して、上述した現象が発生するのである。
【0038】
ところで、電流センサ取付構造1では、ハウジング5は、ハウジング本体(筐体本体)21とカバー23とを備えて構成されている。バッテリケーブル9の芯線を流れる電流を検出する電流検出部11は、ハウジング本体21に設けられている。
【0039】
カバー23は、電流検出部11から離れ電流検出部11を覆うようにしてハウジング本体21に一体的に設置されている。
【0040】
熱融着テープ設置部位15は、ホルダ7と、ハウジング本体21に一体的に設置されているカバー23とで挟まれている。これによって、電流センサ3が、バッテリケーブル9に一体的に設置されている。
【0041】
また、電流センサ取付構造1では、たとえば、ハウジング本体21の内側における、電流検出部11とカバー23との間は、軟質充填材(軟質性充填材;たとえば柔らかい合成樹脂や軟質ゴム)41が充填されている。
【0042】
電流センサ取付構造1についてさらに詳しく説明する。説明の便宜のために、空間における所定の一方向を横方向とし、この横方向に対して直交する一方向を縦方向とし、横方向と縦方向とに直交する方向を長さ方向(バッテリケーブル9の長さ方向と一致している方向)とする。
【0043】
電流センサ3は、上述したように、ハウジング5とホルダ7と電流検出部11と基板17とを備えて構成されている。
【0044】
ハウジング5は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21とはたとえば別体で構成されたカバー23とを備えて構成されている。
【0045】
ハウジング本体21やカバー23は、絶縁性の合成樹脂等の材料を一体成形することで形成されている。
【0046】
ハウジング本体21は、ハウジング本体部25とコネクタ部19と係止部27とストッパ部当接部29とカバー当接部31とを備えて構成されている。
【0047】
ハウジング本体21(ハウジング本体部25)の中央部には、たとえば矩形状(直方体状)の凹部33が形成されており、この凹部33内に、基板17と電流検出部11とが設けられている。基板17と電流検出部11とは、ハウジング本体21に一体的に設置されている。
【0048】
凹部33は、縦方向の一端部側で開口しており、電流検出部11の電流検出部位が、縦方向の一端部側(
図1や
図2等の上側)を向いている。
【0049】
コネクタ部19は、
図6で示すように、ハウジング本体21の長手方向で、ハウジング本体部25から突出している。
【0050】
係止部27は、
図6で示すように、凹部33のたとえば四隅の近傍に設けられている。係止部27詳細は後述する。ストッパ部当接部29は、
図1で示すように、ハウジング本体21の横方向の両側で、ハウジング本体部25から突出している。
【0051】
カバー当接部31は、
図1で示すように、凹部33内に形成されている。カバー当接部31は、ハウジング本体21の横方向の両側で、凹部33の内壁から凹部33の中心側に突出して、たとえば、一対で形成されている。カバー当接部31の上面35は、平面状になっており、凹部33の開口部37よりも凹んでいる。そして、凹部33の開口部37と、カバー当接部31の上面35とで段差が形成されている。なお、カバー当接部31が、ハウジング本体21の横方向の両側に設けられていることに代えてもしくは加えて、ハウジング本体21の長さ方向の両側で、凹部33の内壁から凹部33の中心側に突出して設けられていてもよい。
【0052】
カバー23は、平板状に形成されているが、厚さ方向の一方の面(
図4等では縦方向の一端側の面)に、楕円弧状(円弧状でもよい)の凹み39が形成されている。カバー23の横方向の寸法は、凹部33(カバー当接部31が形成されていない開口部37近傍の部位)の横方向の寸法とほぼ等しくなっている。
【0053】
そして、カバー23の厚さ方向の他方の面が、ハウジング本体部25の凹部33と対向するようにして、カバー23をハウジング本体部25の凹部33に設置すると(
図2参照)、カバー23の横方向の両端部近傍の面(厚さ方向の他方の面の一部)が、カバー当接部31に当接し、カバー23の横方向の両端面が、凹部33の壁面に当接して、カバー23が、ハウジング本体21に嵌り込み、カバー23がハウジング本体21(ハウジング本体部25)に一体的に設置されるようになっている。
【0054】
カバー23がハウジング本体21に設置された状態では、カバー23の凹み39は、長さ方向に延びており、カバー23と、電流検出部11との間には、間隙が形成されており、この間隙がたとえば軟質充填材41で充填されている。
【0055】
また、カバー23がハウジング本体21に設置された状態では、カバー23は、凹部33の開口部よりの僅かに突出しており、カバー23は、カバー当接部31により、それ以上、凹部33の底側(縦方向の他端側;
図1や
図2の下側)には、移動できないようになっている。
【0056】
ホルダ7は、
図5で示すように、ホルダ本体(固定材本体)43とこのホルダ本体43に一体的に設けられたシールド材(たとえばシールド板)45とを備えて構成されている。
【0057】
ホルダ7は、上述したように、ハウジング5に一体的に設置され、ハウジング5と協働してバッテリケーブル9を挟み込むようになっている。
【0058】
なお、ホルダ本体43とシールド板45とは、予め一体化されてホルダ7が形成されており、このホルダ7がハウジング5に設置されるようになっている。
【0059】
ホルダ7(たとえばホルダ本体43)には被係止部47が設けられている。そして、ホルダ7をハウジング5に一体的に設置する途中の状態では(ホルダ7がハウジング5から離れている状態からホルダ7をハウジング5に一体的に設置すべくホルダ7をハウジング5に近づく方向に直線的に移動するときには)、ホルダ7の被係止部47がハウジング5の係止部27に当接して被係止部47が弾性変形するようになっている。
【0060】
また、ホルダ7をハウジング5に一体的に設置し終えたときには(直線移動が終了して設置が完了したときには)、被係止部47が復元し被係止部47が係止部27に係止されてホルダ7がハウジング5に一体的に設置され、バッテリケーブル9の挟み込み(ホルダ7とハウジング5とによる挟み込み)がなされるように構成されている。
【0061】
ハウジング5の係止部(ハウジング5に設けられている係止部)27は、
図6で示すよに、ハウジング5(ハウジング本体部25)を、縦方向に貫通しているたとえば4つの貫通孔(被係止部挿入孔)49と、これらの貫通孔49の両端の開口部のまわりでハウジング本体部25に形成されている一対の平面状部(被係止部の爪部の当接部、係止部のストッパ部当接部)51とを備えて構成されている。
【0062】
貫通孔49は、ハウジング本体部25の凹部33の外側で4隅の近傍に設けられており、縦方向でハウジング本体部25を貫通している。
【0063】
ホルダ7の被係止部(たとえばホルダ本体43に設けられている被係止部)47は、ホルダ7から突出している弾性部53と、この弾性部53の先端に設けられている爪部(スナップフィット部)55と、弾性部53の基端側でホルダ7に設けられているストッパ部57とを備えて構成されている。
【0064】
ホルダ7についてさらに説明すると、シールド板45は、
図5で示すように、金属等の導電性材料で構成された矩形な平板状の素材を、2箇所で折り曲げることで「コ」字状に形成されている。シールド板45の天板部59には貫通孔61が形成されている。
【0065】
ホルダ本体43も、概ね「コ」字状に形成されている。さらに説明すると、ホルダ本体43は、矩形な枡状に形成されているホルダ本体部63と、楕円弧状部(凹部)65と、突起67とを備えて構成さている。楕円弧状部65は、ホルダ本体部63の開口部側で(ホルダ本体部63の縦方向の他端部側で)、ホルダ7の長さ方向の両端に存在している一対の側壁部(ホルダ本体部63の側壁部)に形成されている。
【0066】
弾性部53は、棒状に形成されており、ホルダ本体部63の四隅から、ホルダ本体部63の開口部側へ(ホルダ本体部63の縦方向の他端部側へ)突出している。
【0067】
ホルダ本体部63の天板部には、突起67が設けられている。突起67は、枡状のホルダ本体部63の内側に存在している。
【0068】
ホルダ本体43内に、シールド板45を挿入し、突起67を貫通孔61に通した後、たとえば超音波によって突起67の先端をカシメることで、ホルダ本体43とシールド板45とが一体化して概ね「コ」字状のホルダ7が形成される。
【0069】
ホルダ7では、この長さ方向で、弾性部53がシールド板45から離れている。したがって、弾性部53は、ホルダ7の長さ方向に撓むことで(
図5(a)の矢印ARの方向に撓むことで)弾性変形することができるようになっている。また、爪部55は、ホルダ7の長さ方向で、弾性部53よりもホルダ7の外側に突出している。
【0070】
そして、ホルダ7をハウジング5に一体的に設置する途中の状態では、爪部55と弾性部53の先端側部位とが貫通孔49に挿入されてハウジング5から受ける反力で弾性部53が弾性変形(ホルダ7の内側に撓んで弾性変形)するようになっている。
【0071】
また、ホルダ7をハウジング5に一体的に設置し終えたときには、爪部55が貫通孔49から抜け出て一対の平面状部51のうちの一方の平面状部に当接し、弾性部53が復元するととともに貫通孔49内に位置し、ストッパ部57が一対の平面状部51のうちの他方の平面状部に当接して、爪部55とストッパ部57とでハウジング5(ハウジング本体21)を挟み込み、ホルダ7がハウジング5に一体的に設置されるように構成されている。
【0072】
ここで、電流センサ3のバッテリケーブル9への設置動作について説明する。
【0073】
なお、ホルダ7は、
図5で示す態様で予め組み立てられているものとする。
【0074】
図2や
図3で示すように、ホルダ本体43にカバー23を設置する。電流センサ3が設置されるバッテリケーブル9の部位に、熱融着テープ13を設置する。
【0075】
熱融着テープ13が設置された熱融着テープ設置部位15を、
図4で示すように、ホルダ7(カバー23)の凹み39に載置する。続いて、
図4や
図6で示すように、ホルダ7をハウジング5に近づけて、ホルダ7をハウジング5に設置し、ホルダ7とハウジング5とで、熱融着テープ設置部位15を挟み込んで押圧する(
図1参照)。
【0076】
図4や
図6で示すように、ホルダ7をハウジング5に近づけるとき、カバー23の凹み39とホルダ7の凹部65とで熱融着テープ設置部位15が自動調芯される。
図1に示す状態では、熱融着テープ設置部位15が、カバー23の凹み39とホルダ7の凹部65とに接触している。
【0077】
この場合、凹み39がカバー23の長さ方向の全長にわたって形成されており、凹部65はホルダ7の長さ方向の両端部にしか形成されていない(
図5(a)参照)ので、
図1に示すバッテリケーブル9の上側の部位9Aは、一対の凹部65の間では凹部65が存在していないことで、
図1に示した状態よりも上側に膨らんでいる。つまり、熱融着テープ設置部位15は、この長さ方向で断面形状が変化している。これより、バッテリケーブル9に設置された電流センサ3が、バッテリケーブル9長さ方向でも一層確実に固定されるのである。
【0078】
図1に示す状態で、熱融着テープ13を加熱して軟化させ、この後、熱融着テープ13を硬化し、バッテリケーブル9への電流センサ3の設置が終了し、電流センサ取付構造1が生成される。
【0079】
電流センサ取付構造1によれば、熱融着テープ13を用いて電流センサ3をバッテリケーブル9に設置しているので、バッテリケーブル9の太さや形状のバラツキがあってもこのバラツキに影響されることなく、バッテリケーブル9と電流センサ3(電流検出部11)との位置関係を正確なものにすることができるという効果を奏する。
【0080】
すなわち、バッテリケーブル9の太さや形状のバラツキがあっても、このバラツキが、たとえば熱融着テープ13によって吸収(熱融着テープ13の設置厚さや軟化と硬化によって吸収)されるので、バッテリケーブル9に電流センサ3を設置したときに、バッテリケーブル9と電流センサ3との位置関係を正確なものにすることがでる。そして、電流センサ3の検出精度を安定化させ向上させることができる。
【0081】
また、電流センサ3としてコアレス仕様の電流センサ(コアレス電流センサ)が採用されているので、バッテリケーブル9を保持する部位(ハウジング5のカバー23とホルダ7とで挟まれて固定されているバッテリケーブル9)と電流検出部11との間の距離が従来よりも小さくなっている。これにより、電流センサ3を小型化することができる。
【0082】
また、電流センサ取付構造1によれば、カバー23が設けられており、このカバー23とホルダ7とでバッテリケーブル9を挟み込んでいるので、電流センサ3をバッテリケーブル9に設置したとき後に、バッテリケーブル9が撓む等して電流センサ3に力が加わっても、電流センサ3のカバー23に発生した応力(上記力による応力)が、電流検出部11まで届くことはほとんど無く、電流検出部11を保護することができる。
【0083】
これに対して、
図7に示す従来のバッテリケーブルへの電流センサ取付構造300では、電流検出部316がハウジング304にて位置決めされて、防水・防塵対策にためにウレタン等の樹脂によって埋められている。しかし、バッテリケーブル302が貫通孔306を隙間あけた状態(スカスカの状態)で通っているので、バッテリケーブル302が撓んでも、この撓みによる応力が電流センサの308ハウジング304に発生することはほとんどない。
【0084】
もしも、電流センサ取付構造1において、
図7に示す従来の電流センサ308のように電流検出部をウレタン等の樹脂によって埋めてあるとすると、バッテリケーブルが撓む等して電流センサに力が加わると、電流検出部に応力が伝わってしまう。
【0085】
しかし、上述したようにカバー23が設けられているので、バッテリケーブル9が撓む等して電流センサ3に力が加わっても、この力が、電流検出部11まで届くことはほとんど無いのである。
【0086】
また、電流センサ取付構造1によれば、電流検出部11とカバー23との間の空間が軟質充填材41で充填されているので、電流検出部11を防水・防塵することができるとともに、電流センサ3をバッテリケーブル9に設置したとき後に、バッテリケーブル9が撓む等して電流センサ3に力が加わっても、電流センサ3のカバー23に発生した応力が、軟質充填材41に吸収されて電流検出部11まで届くことがほとんど無くなっている。
【0087】
なお、電流センサ取付構造1において、熱融着テープ13を削除してもよい。この場合、バッテリケーブル9をハウジング5とホルダ7とで挟み込んだ後の加熱と冷却とは不要になる。