【実施例】
【0039】
図1に示す如く、実施例の排紙装置10は、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて外形形状が矩形状に形成されて、画像形成装置1から用紙排出方向に排出させた用紙を排出位置から順次落下させてこの用紙Pを積載する排紙台11と、用紙Pの排出位置と排紙台11上に積載された最上層の用紙Pとの間に設定された用紙落下高さH1が略一定となるように排紙台11を用紙Pの積載量に応じて上下方向に昇降させる排紙台昇降機構部20と、を備えている。
【0040】
この際、上記した用紙落下高さH1は例えば100mm程度に設定されている。
【0041】
また、排紙装置10は、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されて、排紙台11の上方に設けた不図示の天板に用紙排出方向に沿って移動可能に懸架された状態で用紙Pの排出方向と直交して設けられ、画像形成装置1から排出されて排紙台11上に落下する画像形成済みの用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制する第1の用紙突き当て部材(エンドフェンス)12と、第1の用紙突き当て部材12を用紙Pの長さ寸法に応じて用紙排出方向に沿って移動させる第1の用紙突き当て部材移動機構部30と、を備えている。
【0042】
また、排紙装置10は、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されて、排紙台11の上方に設けた不図示の天板に用紙排出方向と直交する用紙幅方向に沿って移動可能に懸架された状態で用紙Pの排出方向と平行に互いに間隔を隔てて対向して左右対称に設けられ、画像形成装置1から排出されて排紙台11上に落下する画像形成済みの用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pcを排出方向に沿って案内しながら規制する左右一対の用紙幅方向規制板(サイドフェンス)13L,13Rと、左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rを用紙Pの幅寸法に応じて用紙幅方向に沿って移動させる用紙幅方向規制板移動機構部40と、を備えている。
【0043】
また、排紙装置10は、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されて、画像形成装置1の後側板2に用紙Pの排出方向と直交する用紙幅方向に沿って所定の間隔を隔てて複数本に分けて垂直方向に取り付けられ、画像形成装置1から排出されて排紙台11上に落下する画像形成済みの用紙Pの排出方向の後端部Pdを突き当てて規制する第2の用紙突き当て部材14を備えている。
【0044】
また、排紙装置10は、画像形成装置1の後側板2中で用紙幅方向の略中央部位に取り付けられ、用紙Pの排出位置と排紙台11上に積載される最上層の用紙Pとの間に設定された用紙落下高さH1の位置(用紙落下高さ位置)を検出する光反射型の用紙落下高さ位置検出用センサ15と、用紙落下高さ位置よりも下方の位置に用紙幅方向に沿い且つ接地された状態で第2の用紙突き当て部材14の近傍となる画像形成装置1の後側板2に取り付けられており、排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの排出方向の後端部Pdを第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに用紙落下高さ位置まで引き寄せる導電性部材16と、を備えている。
【0045】
更に、排紙装置10は、この装置を全体的に制御する制御部50を備えている。
【0046】
ここで、排紙装置10内の各部について順を追って具体的に説明する。
【0047】
まず、上記した排紙台11は、用紙Pの排出方向の下流側に位置する前面11aと、用紙Pの幅方向の左右に位置する左側面11b及び右側面11cと、用紙Pの排出方向の上流側に位置する後面11dとに囲まれて外形形状が矩形状に形成されている。
【0048】
また、排紙台11は、左右の側面11b,11c間の略中央部位に用紙Pを平坦に積載する平坦な上面11eが前面11aと後面11dとに連接するように用紙排出方向に沿って形成されていると共に、この平坦な上面11eが画像形成装置1の後側板2に対して直交して水平になっている。
【0049】
また、排紙台11は、平坦な上面11eの左右に連接して用紙Pの幅方向の左右側に対して適正な形状に腰付けして積載するための傾斜面11f,11gが左右の側面11b,11cに向って高さが徐々に高くなるように傾斜して形成されている。
【0050】
そして、排紙台11の上面11e及び左右の傾斜面11f,11g上に、A3サイズ,A4サイズなどのいずれか1種類の用紙Pが4000枚程度大量に積載可能になっている。
【0051】
尚、この実施例では、用紙Pの幅方向の左右側を腰付けするために排紙台11の上面11eの左右に傾斜面11f,11gを形成しているが、用紙Pの幅方向の左右側を腰付けする必要がなければ、排紙台11の上面を全て平坦な用紙積載面に形成すれば良い。
【0052】
次に、排紙台11を昇降させる排紙台昇降機構部20は、排紙台11の右側面11c側に設けられており、且つ、排紙台11上に用紙Pを4000枚程度大量に積載する場合に、排紙台11の昇降量が400mm〜500mm程度に設定されている。
【0053】
この排紙台昇降機構部20では、排紙台11の右側面11cの前後に、一対のブラケット21,22が間隔を離して前後対称に垂直に取り付けらており、且つ、一対のブラケット21,22間の上下に補強用の連結棒23,23が横架されている。
【0054】
また、後方のブラケット22にステッピングモータ24が取り付けられており、このステッピングモータ24の回転が不図示のギア列を介して一対のブラケット21,22間に横架されたシャフト25の一端に取り付けた一方のギア26と、シャフト25の他端に取り付けた他方のギア26とに伝達されている。
【0055】
更に、一方のギア26及び他方のギア26は、一対のブラケット21,22の側方に垂設された一対のラック(27…図示せず),27に噛合している。
【0056】
そして、ステッピングモータ24を作動して、ラック(27),27に沿ってギア26,26を正転又は逆転させると、一対のブラケット21,22と一体に排紙台11が水平状態を維持しながら上下方向に昇降できるようになっている。
【0057】
また、画像形成装置1の後側板2には、光反射型の用紙落下高さ位置検出用センサ15が排出位置となる後側板2の上方部位から用紙落下高さH1だけ下がった位置に取り付けられている。
【0058】
尚、光反射型の用紙落下高さ位置検出用センサ15に代えて光透過型の用紙落下高さ位置検出用センサ(図示せず)を用いる場合には、画像形成装置1の後側板2と、この後側板2と対向して排紙台11の前面11aの前方に不図示の側板とを設けて、後側板2と不図示の側板とに発光部,受光部を有する1組の光透過型の光センサをそれぞれ取り付ければ良いものである。
【0059】
上記した用紙落下高さ位置検出用センサ15は、用紙Pが積載されていない排紙台11の平坦な上面11eの高さ位置、又は、排紙台11の平坦な上面11e上に積載された用紙Pのうちで最上層の用紙Pの高さ位置を検出している。
【0060】
これにより、画像形成装置1から順次排紙される用紙Pが排紙台11上に落下するときに、用紙Pが排出される排出位置と、用紙Pが積載されていない排紙台11の平坦な上面11e、又は、排紙台11の平坦な上面11e上に積載された最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さH1が略一定になるように用紙落下高さ位置検出用センサ15で検出している。
【0061】
従って、制御部50は、用紙落下高さ位置検出用センサ15からの検出結果に基づいてステッピングモータ24を介して排紙台11を用紙Pの積載量に応じて用紙落下高さ位置に至るように昇降させているので、画像形成装置1から排紙された用紙Pが落下するときの用紙落下高さH1を略一定に維持することにより、排紙台11上に大量の用紙Pを積載することが可能になる。
【0062】
尚、ラック27の下方部位には、排紙台11上に用紙Pが満載されて排紙台11が最下降位置に至ったことを検出するための用紙満載検出用センサ(図示せず)が設置されている。
【0063】
次に、排紙台11上で用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制する第1の用紙突き当て部材12は、前述したように、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されており、この第1の用紙突き当て部材12は排紙台11から切り離された状態で用紙Pの排出方向と直交して設けられている。
【0064】
また、第1の用紙突き当て部材12は、画像形成装置1から排出した用紙Pが落下するときに、この用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制する用紙規制面12aが非導電性を有する平坦面に形成されている。
【0065】
次に、第1の用紙突き当て部材12を用紙排出方向に沿って移動させる第1の用紙突き当て部材移動機構部30は、画像形成装置1の後側板2側と排紙台11の前面11a側との間で不図示の天板にユニット化して懸架された状態で取り付けられている。
【0066】
この第1の用紙突き当て部材移動機構部30は、板金材を用いて形成した第1の支持板31に第1の用紙突き当て部材12が垂直に取り付けられている。
【0067】
また、第1の支持板31の上方には、第1のブラケット32が不図示の天板に取り付けられており、この第1のブラケット32に駆動源となる第1のモータ33が取り付けられている。
【0068】
また、第1の支持板31の左右と、画像形成装置1の後側板2の用紙幅方向中央部位の左右との間に、2本の長尺な第1のガイドシャフト34,34が用紙排出方向に沿って平行に掛け渡されている。
【0069】
また、第1のブラケット32の下面に取り付けた第1のタイミングプーリ35と、画像形成装置1の後側板2の用紙幅方向中央部に取り付けた第2タイミングプーリ36との間に第1のタイミングベルト37が掛け渡されている。
【0070】
そして、第1のモータ33の回転を前側の第1のタイミングプーリ35に伝達することで、第1の支持板31と一体に第1の用紙突き当て部材12が用紙の長さ寸法に応じて用紙排出方向に沿って移動可能になっている。
【0071】
尚、排紙台11上に積載される用紙Pは、薄紙,普通紙,厚紙のうち1種類であり、1種類の用紙Pの長さ寸法は決められているので、第1の用紙突き当て部材12は排紙台11上に積載される用紙Pの長さ位置に停止している。
【0072】
次に、排紙台11上で用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pcを規制する左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rは、前述したように、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されており、これら左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rは排紙台11から切り離された状態で用紙Pの排出方向と平行に互いに間隔を隔てて対向して左右対称に設けられている。
【0073】
また、左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rは、画像形成装置1から排出した用紙Pが落下するときに、この用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pcを排出方向に沿って案内しながら規制する用紙規制面13a,13aが非導電性を有する平坦面に形成されている共に、軽量化を図るために両規制板13L,13Rの内部に複数の孔13b,13bがそれぞれ貫通して形成されている。
【0074】
次に、左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rを用紙幅方向に沿って移動させる用紙幅方向規制板移動機構部40は、排紙台11の左側面11b側と右側面11c側との間で不図示の天板にユニット化して懸架された状態で取り付けられている。
【0075】
この用紙幅方向規制板移動機構部40では、板金材を用いて形成した左右一対の第2の支持板41L,41Rに左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rが垂直に取り付けられている。
【0076】
また、右側の第2の支持板41Rの上方には、第2のブラケット42が不図示の天板に取り付けられており、この第2のブラケット42に駆動源となる第2のモータ43が取り付けられている。
【0077】
また、左側の第2の支持板41Lと、右側の第2の支持板41Rとの間に、2本の長尺な第2のガイドシャフト44,44が用紙幅方向に沿って平行に掛け渡されている。
【0078】
また、左側の第2の支持板41Lに取り付けた第3のタイミングプーリ45と、右側の第2の支持板41Rに取り付けた第4のタイミングプーリ46との間に第2のタイミングベルト47が掛け渡されている。
【0079】
そして、第2のモータ43の回転を右側の第4のタイミングプーリ46に伝達することで、左右一対の第2の支持板41L,42Rと一体に左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rが用紙の幅寸法に応じて用紙幅方向に沿って移動可能になっている。
【0080】
尚、左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rは、排紙台11上に積載される用紙Pの幅位置に停止している。
【0081】
次に、排紙台11上で用紙Pの排出方向の後端部Pdを規制する第2の用紙突き当て部材14は、前述したように、剛性を有し且つ非導電性を有する樹脂材などを用いて矩形板状に形成されており、この第2の用紙突き当て部材14は排紙台11から切り離された状態で用紙Pの排出方向と直交して設けられている。
【0082】
また、第2の用紙突き当て部材14は、画像形成装置1の後側板2に用紙幅方向に沿って所定の間隔を隔てて複数本に分けて垂直方向に取り付けられており、各1本は、横幅寸法がBで、用紙排出方向と対応する奥行き方向の厚みがT1に形成され、且つ、垂直方向の長さ寸法は画像形成装置1の後側板2の高さ(図示せず)に形成されている。
【0083】
この際、第2の用紙突き当て部材14を複数本に分けて画像形成装置1の後側板2に取り付けることで、第2の用紙突き当て部材14の軽量化とコストダウンを図っている。
【0084】
また、複数本の第2の用紙突き当て部材14それぞれは、画像形成装置1から排出した用紙Pが落下するときに、この用紙Pの排出方向の後端部Pdを突き当てて規制する各用紙規制面14aが非導電性を有する平坦面に形成されている。
【0085】
次に、画像形成装置1の後側板2には、実施例の要部となる導電性部材16が接地された状態で取り付けられており、この導電性部材16は、後述するように、排紙台11上に積層される最上層の用紙Pの排出方向の後端部Pdを第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに用紙落下高さ位置まで引き寄せる機能を有している。
【0086】
この実施例では、導電性部材16としては、例えば、可撓性を有し且つ導電性を有する極細のステンレス線や導電性カーボン線を用いた導電性ブラシを用いているが、これに限ることなく、良好な導電性を有する金属材を用いても良い。
【0087】
この際、上記した導電性部材(導電性ブラシ)16は、画像形成装置1の後側板2の用紙幅方向に沿いながら複数本の第2の用紙突き当て部材14間に分けて取り付けられていると共に、排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの位置と等価である用紙落下高さH1の位置(用紙落下高さ位置)よりも下方の位置に取り付けられており、具体的には、用紙落下高さH1が例えば100mm程度であると、用紙落下高さH1よりも例えば高さH2が5mm程度下方に下がった位置に取り付けられている。
【0088】
この際、用紙Pの幅方向の左右側を腰付けするために、排紙台11の左右に傾斜面11f,11gが形成されている場合には、導電性部材16を最上層の用紙Pの高さ位置以下の位置で最上層の用紙Pの後端部Pdの用紙幅方向に沿うように左右を傾斜させて取り付ければ良い。
【0089】
一方、用紙Pの幅方向の左右側を腰付けしない場合に、排紙台11の上面が平坦な用紙積載面であるので、導電性部材16を最上層の用紙Pの高さ位置以下の位置に水平に取り付ければ良い。
【0090】
また、導電性部材16は、用紙排出方向と対応する奥行き方向の厚みがT2に形成されており、且つ、この奥行き方向の厚みT2は、第2の用紙突き当て部材14の奥行き方向の厚みT1より小さく(T2<T1)設定されているために、第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aよりも引込んでいる。
【0091】
従って、導電性部材16は、第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aよりも内側に位置している。
【0092】
ここで、本発明の要部となる導電性部材16の作用について、先に示した
図1と、新たな
図2〜
図5とを併用して詳述する。
【0093】
尚、
図2〜
図5中において、
図1に示した左右一対の用紙幅方向規制板(サイドフェンス)13L,13Rの図示を省略している。
【0094】
また、
図2〜
図5中において、排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの位置を画像形成装置1の後側板2上で用紙落下高さH1の位置に取り付けた光反射型の用紙落下高さ位置検出用センサ15で検出して、上下方向に昇降可能な排紙台11を最上層の用紙Pの位置が用紙落下高さH1の位置(用紙落下高さ位置)になるように用紙Pの積載量に応じて下降させている。
【0095】
まず、
図2は、実施例の排紙装置10に対する比較例として、排紙台11の上面11eを水平に設置し、且つ、第2の用紙突き当て部材14’に金属材を用いた場合を模式的に示した図である。
【0096】
この比較例では、用紙Pの排出時に、排紙台11上で用紙搬送方向の上流側を基準として用紙Pを積載する場合に、用紙Pの排出方向の後端部Pdを突き当てて規制する第2の用紙突き当て部材14’に金属材を用いて、用紙規制面14a’が導電性を有する平坦面に形成されている。
【0097】
また、先に実施例で説明した導電性部材16は、第2の用紙突き当て部材14’の近傍に取り付けられていない。
【0098】
ここで、画像形成装置1から上下一対の用紙搬送ローラ4A,4Bを介して排出されて、除電ブラシ7により除電された用紙Pは、排紙台11上に落下する。
【0099】
この時に、除電ブラシ7により完全に除電されず、静電気が一部残ったまま排紙台11上に積載される最上層の用紙Pのうちで普通紙や厚紙の場合には、先に背景技術で説明したと略同様に、最上層の用紙Pの後端部Pdが静電誘導時のクーロン力により金属材を用いて形成した第2の用紙突き当て部材14’の用紙規制面14a’に引き付けられても、重量があり且つ剛性がある普通紙や厚紙は、第2の用紙突き当て部材14’からの引き付け力に殆ど影響されずに、第2の用紙突き当て部材14’の用紙規制面14a’に接触しながら平坦のまま排紙台11上に積載されるので、普通紙や厚紙に対して排紙台11上で紙揃えを良好に行うことができる。
【0100】
一方、薄紙を用いた場合に、薄紙は重量が軽く且つ剛性が小さいので、薄紙の後端部Pdは、
図2に示したように静電誘導時のクーロン力により金属材を用いて形成した第2の用紙突き当て部材14’の用紙規制面14a’に引き付けられたまま傾いてしまい、薄紙が第2の用紙突き当て部材14’の用紙規制面14a’に寄りかかって排紙台11上に積載されるために、薄紙に対して排紙台11上で紙揃えを良好に行うことができない。
【0101】
更に、薄紙を用いたときに、第2の用紙突き当て部材14’に寄りかかった薄紙上に、この後に排紙される薄紙が衝突したり、重なり合うために、場合によっては排紙ジャムが生じてしまうことがある。
【0102】
上記した比較例における各問題点を解決するために、
図3では、実施例の排紙装置10として、排紙台11の上面11eを水平に設置し、且つ、第1,第2の用紙突き当て部材12,14に非導電性を有する樹脂材などを用い、更に、第2の用紙突き当て部材14の近傍に導電性部材16を取り付けた場合を模式的に示している。
【0103】
この実施例では、先に説明しように、用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制する第1の用紙突き当て部材12と、用紙Pの排出方向の後端部Pdを突き当てて規制する第2の用紙突き当て部材14とが、共に樹脂材などを用いて各用紙規制面12a,14aが非導電性を有する平坦面に形成されている。
【0104】
また、画像形成装置1の後側板2に用紙落下高さH1(=100mm)以下で高さH2(=5mm)だけ低い位置に用紙Pの幅方向に沿って導電性部材(導電性ブラシ)16が取り付けられている。
【0105】
この導電性部材(導電性ブラシ)16は、用紙排出方向と対応する奥行き方向の厚みT2が第2の用紙突き当て部材14の奥行き方向の厚みT1より小さいので、導電性部材16と第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aとの間に僅かな隙間Sが形成されている。
【0106】
ここで、薄紙,普通紙,厚紙など全ての用紙Pのいずれかが画像形成装置1から上下一対の用紙搬送ローラ4A,4Bを介して排出されて、除電ブラシ7により除電された用紙Pが排出方向の前端部Paを先頭にして排紙台11上に落下するときに、除電ブラシ7により完全に除電されず、静電気が一部残ったまま排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの前端部Paは、第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aに突き当たるが、第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aが非導電性の平坦面に形成されているので、最上層の用紙Pの前端部Paが用紙規制面12aに対して傾くことなく略直角な姿勢で当接するために、とくに用紙Pが薄紙であっても用紙Pの前端部Pa側を排紙台11上に整頓性良く積載できる。
【0107】
一方、静電気が一部残ったまま排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの後端部Pdは、第2の用紙突き当て部材14を取り付けた金属性の後側板2からの静電力に作用されながら非導電性を有する第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに沿って落下する。
【0108】
このときに、静電気が一部残ったまま排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの後端部Pdが、金属性の後側板2からの静電力により、二点鎖線で示したように非導電性を有する第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに傾いて当接しても、第2の用紙突き当て部材14の近傍に取り付けた導電性部材(導電性ブラシ)16からの静電誘導時のクーロン力により、最上層の用紙Pの後端部Pdが第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに用紙落下高さ位置まで斜め左下方に向って引き寄せられる。
【0109】
この際、導電性部材16は、用紙排出方向と対応する奥行き方向の厚みT2が第2の用紙突き当て部材14の奥行き方向の厚みT1より小さく設定されて、第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aよりも内側に位置しているので、最上層の用紙Pの排出方向の後端部Pdを第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに対して傾くことなく確実に当接させることができる。
【0110】
この結果、排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの後端部Pdは、第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに対して傾くことなく略直角な姿勢で当接するので、用紙Pの後端部Pd側を排紙台11上に整頓性良く積載でき、とくに、用紙Pの重量が軽く且つ剛性が小さい薄紙を用いたときに、排紙台11上で薄紙への整頓性の効果がより一層顕著となる。
【0111】
更に、で薄紙の後端部Pd側が第2の用紙突き当て部材14の用紙規制面14aに寄りかかることなく、排紙台11上に薄紙を整頓性良く積載できるので、薄紙を用いたときに場合によっては生じる排紙ジャムの発生を防止することができる。
【0112】
また、導電性部材(導電性ブラシ)16によって、静電気が一部残ったままの用紙Pを除電することもできる。
【0113】
尚、先に
図1に示した左右一対の用紙幅方向規制板(サイドフェンス)13L,13Rも、用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pcを排出方向に沿って案内しながら規制する各用紙規制面13aが非導電性を有する平坦面に形成されているので、とくに用紙Pが薄紙であっても何等の支障もなく、用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pcが左右一対の用紙幅方向規制板13L,13Rの各用紙規制面13aに対して傾くことなく当接するために、用紙Pの幅方向の左右の端部Pb,Pc側を排紙台11上に整頓性良く積載できる。
【0114】
次に、
図4は、実施例の排紙装置10を一部変形させた変形例1として、排紙台11の上面11e’を左下がりに傾斜させて設置し、且つ、第2の用紙突き当て部材14に非導電性を有する樹脂材などを用い、更に、第2の用紙突き当て部材14の近傍に導電性部材16を取り付けた場合を模式的に示している。
【0115】
この変形例1の場合には、排紙台11の上面11e’が左下がりに傾斜しているので、排紙台11の上面11e’上に積載される用紙Pは重力により左下方に滑るので、用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制する第1の用紙突き当て部材を削除している。
【0116】
一方、用紙Pの後端部Pdを突き当てて規制する第2の用紙突き当て部材14は、実施例と同様に設けられており、且つ、第2の用紙突き当て部材14の近傍に導電性部材(導電性ブラシ)16も実施例と同様に取り付けられている。
【0117】
従って、変形例1でも導電性部材(導電性ブラシ)16の作用は、上記した実施例と略同様となるので、用紙Pを排紙台11上に整頓性良く積載できる。
【0118】
次に、
図5は、実施例の排紙装置10を一部変形させた変形例2として、排紙台11の上面11e’’を右下がりに傾斜させて設置し、且つ、第1の用紙突き当て部材12に非導電性を有する樹脂材などを用い、更に、第1の用紙突き当て部材12の近傍に導電性部材16を取り付けた場合を模式的に示している。
【0119】
この変形例2の場合には、排紙台11の上面11e’’が右下がりに傾斜しているので、排紙台11の上面11e’’上に積載される用紙Pは重力により右下方に滑るので、用紙Pの排出方向の後端部Pdを突き当てて規制する第2の用紙突き当て部材を削除している。
【0120】
一方、用紙Pの排出方向の前端部Paを突き当てて規制するために樹脂材などを用いて形成した第1の用紙突き当て部材12は、用紙幅方向を広げて金属板17に取り付けられており、金属板17と一体に第1の用紙突き当て部材12が用紙排出方向に沿って移動自在になっている。
【0121】
また、金属板17には、用紙落下高さH1の位置(用紙落下高さ位置)を検出する光反射型の用紙落下高さ位置検出用センサ15と、用紙落下高さ位置よりも下方の位置に用紙幅方向に沿い且つ接地された状態で第1の用紙突き当て部材12の近傍に取り付けられ、排紙台11上に積載される最上層用紙Pの前端部Paを第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aに用紙落下高さ位置まで引き寄せるために導電性ブラシなどを用いて接地した導電性部材16と、を備えている。
【0122】
従って、変形例2では、静電気が一部残ったまま排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの前端部Paが、金属板17からの静電力により、二点鎖線で示したように非導電性を有する第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aに傾いて当接しても、第1の用紙突き当て部材12の近傍に取り付けた導電性部材(導電性ブラシ)16からの静電誘導時のクーロン力により、最上層の用紙Pの前端部Paが第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aに用紙落下高さ位置まで斜め右下方に向って引き寄せられる。
【0123】
この結果、用紙Pの前端部Paは、第1の用紙突き当て部材12の用紙規制面12aに対して傾くことなく当接するので、用紙Pの前端部Pa側を排紙台11上に整頓性良く積載でき、とくに、用紙Pの重量が軽く且つ剛性が小さい薄紙を用いたときに、排紙台11上で薄紙への整頓性の効果がより一層顕著となる。
【0124】
以上、詳述したように、実施例の排紙装置10及び変形例1,2によれば、用紙排出方向に排出された用紙を排出位置から順次落下させて、この用紙を排紙台上に積載するにあたって、とくに、排紙台11上で用紙Pの排出方向の端部Pd(又はPa)を突き当てて該端部Pd(又はPa)を規制する非導電性の用紙規制面14a(又は12a)を有する用紙突き当て部材14(又は12)と、用紙落下高さ位置よりも下方の位置に用紙幅方向に沿い且つ接地された状態で用紙突き当て部材14(又は12)の近傍に取り付けられており、排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの排出方向の端部Pd(又はPa)を用紙突き当て部材14(又は12)の用紙規制面14a(又は12a)に用紙落下高さ位置まで引き寄せる導電性部材16と、を備えている。
【0125】
これにより、薄紙,普通紙,厚紙など全ての用紙Pに対して排紙台11上に積載される最上層の用紙Pの排出方向の端部Pd(又はPa)が、用紙突き当て部材14(又は12)の近傍に取り付けられた導電性部材(導電性ブラシ)16からの静電誘導時のクーロン力により用紙突き当て部材14(又は12)の用紙規制面14a(又は12a)に用紙落下高さ位置まで引き寄せられるために、最上層の用紙Pの排出方向の端部Pd(又はPa)が用紙突き当て部材14(又は12)の用紙規制面14a(又は12a)に対して傾くことなく当接するので、用紙Pの排出方向の端部Pd(又はPa)側を排紙台11上に整頓性良く積載でき、とくに、用紙Pの重量が軽く且つ剛性が小さい薄紙を用いたときに、排紙台11上で薄紙への整頓性の効果がより一層顕著となる。
【0126】
更に、排紙台11上に薄紙を整頓性良く積載できるので、薄紙を用いたときに場合によっては生じる排紙ジャムの発生を防止することができる。