特許第5978013号(P5978013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978013
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20160817BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20160817BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20160817BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160817BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160817BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A61K8/55
   A61K8/44
   A61K8/36
   A61K8/37
   A61K8/34
   A61Q19/00
   A61Q19/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-129416(P2012-129416)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-253034(P2013-253034A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】清野 綾子
(72)【発明者】
【氏名】露木 萌
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213632(JP,A)
【文献】 特開2013−249289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/55
A61K 8/34
A61K 8/36
A61K 8/37
A61K 8/44
A61Q 19/00
A61Q 19/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記一般式(化1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、
2)0.01〜2質量%のレシチン、
3)0.1〜5質量%のステアリン酸、
4)0.1〜5質量%のバチルアルコール、
5)0.01〜3質量%のイソステアリン酸、及び
6)イソノナン酸2−エチルヘキシル、を含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【化1】
[式中、Rは、水素原子を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、及びビフェニル基からなる群から選択される基を表し、nは、1又は2の整数、mは、0の整数を表す。]
【請求項2】
前記1)一般式(化1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的許容される塩の含有量が、0.1〜5質量%である、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
前記6)イソノナン酸2−エチルヘキシルの含有量が、1〜20質量%である、請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物に関し、更に詳細には、美白成分を含有する皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シワ、しみ、たるみ等の皮膚症状は、遺伝的な要因に加え、温度変化、紫外線及び化学物質暴露などの物理的刺激の蓄積により、加齢と共に顕在化する皮膚老化症状である。この様な皮膚症状は、他人が抱く見た目の印象に大きく影響を与えるため、肌の美観を美しく保つことは人々にとっては重要な関心事である。これらの皮膚症状の内、しみ、そばかす、日焼け後の色素沈着などの皮膚症状は、皮膚に存在する色素細胞(メラノサイト)の活性化によりメラニン産生が亢進することにより生じることが明らかにされている。また、メラノサイトにおける過剰又は慢性的なメラニン産生亢進は、角化細胞(ケラチノサイト)へのメラニンの過剰輸送、蓄積及び排出遅延などの現象を引き起こし、ケラチノサイトの細胞機能を不活性化させることにより、治り難いしみ、くすみ、重層剥離等の肌症状の悪化を伴う色素沈着を引き起こす。この様なメラニン産生亢進が原因で生じる肌症状の悪化を含む色素沈着を予防又は改善するために、様々な有効成分の研究開発がなされている。特に、美白作用を有する成分の開発は盛んに行われおり、例えば、アスコルビン酸、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン、カテコ−ル類などの美白剤が知られ、当該成分を配合した皮膚外用剤も広く使用されている。また、美白剤の研究と共に、色素沈着メカニズムに関する詳細な研究もなされ、それらの成果に基づく多様な作用機序を有する美白剤、例えば、メラニン産生抑制剤(特許文献1)、チロシナ−ゼ酵素阻害剤(特許文献2)、チロシナ−ゼ酵素遺伝子発現抑制剤、α−MSH阻害剤(特許文献3)、抗酸化剤(特許文献4)等が報告されている。
【0003】
一方、ケラチノサイトの細胞機能低下が関与する色素沈着においては、その美白効果は、十分であるとは言い難かった。しかし美白成分と立体的に嵩高い芳香族基又は複素芳香族基(特に、ジフェニルメチル基またはトリフェニルメチル基)を有する化合物の組成物が、メラニン産生亢進によるケラチノサイトへのメラニンの過剰輸送、蓄積及び排出遅延などの現象により生じる治り難いしみ、くすみ、肌荒れ症状を伴う色素沈着に対し、有効であることが近年分ってきた(特許文献5)。
【0004】
他方、より高い美白効果を達成しようとする試みとしては、処方成分を工夫することにより、皮膚透過性又は貯留性(特許文献6)を高める研究などが行われている。また、水酸化リン脂質等を用いた方法で、皮膚透過性をコントロールすることが報告されている(特許文献7)。しかしながら、これらの方法においても、化学構造が立体的に嵩高い分岐構造を有し、かつ水溶性である化合物の場合、皮膚透過が限定的または速効性が低く、高い美白効果が得にくい状況であった。そのため、これら化合物においても、高い経皮吸収が実現できる処方、剤形が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開2008−208073号公報
【特許文献2】特開2009−196895号公報
【特許文献3】特開2001−220347号公報
【特許文献4】特開2010−037299号公報
【特許文献5】国際公開2011/087006号公報
【特許文献6】特開2007−332115号公報
【特許文献7】特開2008−115109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化学構造が立体的に嵩高い分岐構造を有し、かつ水溶性である美白効果のある化合物においても、高い経皮吸収性を実現でき、かつ製剤としても安定性が高く、使用感も優れた皮膚外用組成物の提供を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、経皮吸収の効果や製剤安定性において非常に影響が大きい、乳化剤、界面活性剤、油剤に着目し、化粧品分野で使用できうるこれら原料を検討し、新たな皮膚外用組成物を目指して鋭意研究した結果、以下に示すような新たな皮膚外用組成物が、該課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下に示すとおりである。
【0008】
<1> 1)下記一般式(化1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩と、2)リン脂質を含有することを特徴とする皮膚外用組成物。
【化1】
[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、Rは、水素原子、無置換又は置換基を有する芳香族基、無置換又は置換基を有する芳香族基により置換された炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、無置換又は置換基を有する芳香族基を表し、nは、1又は2の整数、mは、0〜3の整数を表す。]
<2> ステアリン酸を含有することを特徴とする<1>に記載の皮膚外用組成物。
<3> バチルアルコールを含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の皮膚外用組成物。
<4> イソステアリン酸を含有することを特徴とする<1>〜<3>何れか1つに記載の皮膚外用組成物。
<5> イソノナン酸2−エチルヘキシルを含有することを特徴とする<1>〜<4>何れか1つに記載の皮膚外用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、化学構造が立体的に嵩高い分岐構造を有し、かつ水溶性である美白効果のある化合物においても、高い経皮吸収性を実現でき、かつ製剤としても安定性が高く、使用感も優れた皮膚外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明に用いる一般式(化1)に表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩>
前記一般式(化1)に表される化合物の内、N−(o−トルイル)システイン酸、N−(m−トルイル)システイン酸、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸、(N−ビフェニルカルボニル)システイン酸、N−(p−トルイル)ホモシステイン酸及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩が好適に例示され、N−(p−トルイル)システイン酸、N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩がより好適に例示出来る。製造方法としては、既に特許文献WO2010―058730で公開され、一般に知られている。本発明の皮膚外用組成物においては、該化合物のうち一種を単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。皮膚外用組成物中に、好ましくは総量で0.01〜5質量%、より好ましくは総量で0.1〜2質量%含有させることがよい。
【0011】
【化2】
N−(p−トルイル)システイン酸
【0012】
【化3】
N−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸
【0013】
<本発明に用いるリン脂質>
本発明の皮膚外用組成物に用いられるリン脂質としては、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、及びこれらのリゾ体が例示でき、レシチンがより好ましい。これらは天然型であっても、水添されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。またリン脂質を含有する混合物でも良く、NIKKOL
ニコリピッド 81S(日本ケミカルズ社製)などを例示することができる。本発明の皮膚外用組成物においては、リン脂質を好ましくは総量で0.01〜2質量%、より好ましくは総量で0.1〜0.3質量%含有させることがよい。
【0014】
<本発明に用いるステアリン酸>
ステアリン酸は、既に市販されている物もあり、皮膚外用組成物などで使用されているものであれば特段の限定なく使用することが出来る。本発明の皮膚外用組成物においては、ステアリン酸を好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%含有させることがよい。
【0015】
<本発明に用いるバチルアルコール>
バチルアルコールは、既に市販されている物もあり、皮膚外用組成物などで使用されているものであれば特段の限定なく使用することが出来る。本発明の皮膚外用組成物においては、バチルアルコールを好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%含有させることがよい。
【0016】
<本発明に用いるイソステアリン酸>
イソステアリン酸は、既に市販されている物もあり、皮膚外用組成物などで使用されているものであれば特段の限定なく使用することが出来る。本発明の皮膚外用組成物においては、イソステアリン酸を好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有させることがよい。
【0017】
<本発明に用いるイソノナン酸2−エチルヘキシル>
イソノナン酸2−エチルヘキシルは、既に市販されている物もあり、皮膚外用組成物などで使用されているものであれば特段の限定なく使用することが出来る。本発明の皮膚外用組成物においては、イソノナン酸2−エチルヘキシルを、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%含有させることがよい。
【0018】
本発明でいう皮膚外用組成物とは、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用雑貨等が好適に例示できる。これらの内では、化粧料が特に好ましい。又、本発明の皮膚外用組成物は、通常知られている、乳液剤形、エッセンス剤形、クリーム剤形、粉体含有剤形の何れをも取ることが出来る。化粧料としては、基礎化粧料、毛髪化粧料、メークアップ化粧料の何れもが適用可能であるが、基礎化粧料に適用することが特に好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用組成物に於いては、前記の成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)
、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)
、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩、ビタミンBトリパルミテート、ビタミンBジオクタノエート、ビタミンB又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【実施例】
【0020】
<本発明の皮膚外用組成物の製造例>
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用組成物を作製した。すなわち、表1の実施例1の(A)を60℃で加熱溶解した後、(A)に(B)を添加しながら、乳化機にて5000rpmで5分間、攪拌混合をして、水相1を調製した。そして、(C)を80℃で加熱溶解した後、水相1に徐々に添加し、乳化機にて3000rpmで攪拌混合を10分間実施した。その後、乳化機の攪拌混合を1000rpmに低下させ、30℃まで冷却して、実施例1の乳液を得た。
【0021】
【表1】
【0022】
<本発明の皮膚外用組成物>
実施例1に対し、N−(p−トルイル)システイン酸をN−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸に置換した実施例2を調製した。また実施例1,2に対し、レシチンとステアリン酸とバチルアルコールを削除し、NIKKOLニコリピッド 81Sを配合した実施例3,4も調製した。さらに実施例1,2に対し、レシチンを削除した比較例1,2、レシチンを増量した実施例5,6、比較例3,4、レシチンを水酸化レシチンに置換した比較例5,6、ステアリン酸を削除した比較例7,8、ステアリン酸を増量した実施例7,8、比較例9,10、バチルアルコールを削除した比較例11,12、バチルアルコールを増量した実施例9,10、比較例13,14、バチルアルコールをセチルアルコールに置換した比較例15,16、イソステアリン酸を削除した比較例17,18、イソステアリン酸を増量した実施例11,12、比較例19,20、ステアリン酸とイソステアリン酸を削除した比較例21,22、ステアリン酸とイソステアリン酸をラウリン酸に全置換した比較例23,24、イソノナン酸2−エチルヘキシルを削除した比較例25,26、イソノナン酸2−エチルヘキシルを増量した実施例13,14、イソノナン酸2−エチルヘキシルをトリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンに置換した比較例27,28、イソステアリン酸とイソノナン酸2−エチルヘキシルを削除した比較例29,30も調製した。表1〜3に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
<試験例1 皮膚外用組成物の経皮吸収性評価>
パネル15名の前腕内側部に1cm×1cmの部位を6つ設け、それぞれに前記調製した皮膚外用組成物である試験サンプルを7μL塗布し、1時間20℃で静置した後、テトラヒドロフラン(THF)を含浸させた脱脂綿で皮膚を拭き取り、この脱脂綿を100mlのTHFで3回抽出し、抽出物中のN−(p−トルイル)システイン酸あるいはN−(p−メトキシベンゾイル)システイン酸の回収量を高速液体クロマトグラフィーで定量した。回収率を経皮吸収性とし(値が低いほど経皮吸収性が高い)、各試験サンプルを2回評価し、その平均を表1〜3に示す。
【0026】
<試験例2 皮膚外用組成物の外観、色、においの評価>
試験サンプルを調製した後、50℃に保管した。これを調製してから1週間後に、外観、色、においの評価を行った。ただし評価を行う前日に、50℃に保管した試験サンプルを20℃に24時間保管し、これを評価した。外観においては、絶対評価を、色、においに関しては、5℃で別途保管していたものと比較評価した。各評価の基準は以下に示す。結果は表1〜3に示す。
【0027】
[外観評価]
0 : きれいに乳化している。
1 : 乳化しているが、乳化粒子が大きくなり、透明感が強くなっている。
2 : 乳化不良が見られる(全体の5%未満)。
3 : 乳化が破壊され、油が分離している。
【0028】
[色、におい評価]
0 : 5℃と同じである。
1 : 5℃と比較して、わずかに違いが見られる。5℃と比較しないと分らない程度である。
2 : 5℃と比較して、違いが見られる。5℃と比較しなくても、容易に分かる程度である。
3 : 変色あるいは変臭が著しい。皮膚外用組成物として適当でない。
【0029】
<試験例3 皮膚外用組成物の使用感触評価>
皮膚外用組成物の使用感触に関してアンケートを行った。評価基準を以下に示した。また5名で最も多い結果を表1〜3に示す。
A : ベタツキ感がなく、とてもよい使用感である。
B : ベタツキ感を若干感じるが、比較的よい使用感である。
C : ベタツキ感を感じ、悪い使用感である。
D : ベタツキ感をかなり感じ、非常に悪い使用感である。皮膚外用組成物として適当でない。
【0030】
表1〜3の結果より、本発明によれば、皮膚に対して優れた美白効果を有する立体的に嵩高い分岐構造を有し、かつ水溶性である化合物においても、高い経皮吸収が実現でき、かつ製剤としても安定性が高く、使用感も優れた皮膚外用組成物を提供できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、美白成分を含有する皮膚外用剤に適用できる。