特許第5978018号(P5978018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978018
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】ポータブルトイレ
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20160817BHJP
   A47K 13/00 20060101ALI20160817BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   A47K11/04
   A47K13/00
   E03D9/08 F
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-135355(P2012-135355)
(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公開番号】特開2014-108(P2014-108A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】滝藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢俊
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−156140(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3083539(JP,U)
【文献】 特開2006−000491(JP,A)
【文献】 特開2012−016469(JP,A)
【文献】 特開2010−240165(JP,A)
【文献】 特開2010−121339(JP,A)
【文献】 特開2003−093269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00−17/02
E03D 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を収容する容器が形成された便器部と、
前記便器部上に設けられ、前記容器の上方に位置する開口が形成された便座と、
前記便座の前記開口の左斜め上および右斜め上に配置された左右の肘掛けと、
前記便座の前記開口の後方に配置された背もたれと、
水を噴射する噴射口が形成された洗浄ノズルと、前記噴射口が前記便座の前記開口の下方に位置する噴射位置と前記噴射位置よりも後方の退避位置との間で前記洗浄ノズルを進退させる洗浄ノズル駆動機構と、を有する局部洗浄装置と、を備え、
前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右に変更可能なように前記洗浄ノズルを駆動するように構成され、
前記便座の前記開口の左右の最大間隔は18cm〜21cmであり、
前記左右の肘掛けの左右の最大間隔は38cm〜50cmであり、
前記便座の後方に設けられた他の便座に、使用者の臀部を支持する凹部が形成されている、ポータブルトイレ。
【請求項2】
前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右にスライド可能なように前記洗浄ノズルを駆動するように構成されている、請求項1に記載のポータブルトイレ。
【請求項3】
前記洗浄ノズルは、前記便座の上方から見て前方に延びるように配置され、
前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルを前記洗浄ノズルの軸心まわりに回転させるように構成されている、請求項1に記載のポータブルトイレ。
【請求項4】
前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右方向に2cm以上変更可能なように構成されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載のポータブルトイレ。
【請求項5】
前記便座の前記開口の両側部分は、前記便座の左右の中央側に行くほど下方に向かうように傾斜している、請求項1〜4のいずれか一つに記載のポータブルトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主に高齢者および身障者等のいわゆる要介護者によって使用され介護に好適なポータブルトイレが知られている。ポータブルトイレに対しては、使用者の排泄中の負担を軽減することや、使用者や介護者の排泄後の処理の負担を軽減するべく、様々な機能が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、排泄後に肛門等(以下、局部ともいう)を清潔にするために、洗浄水を噴射するノズル(以下、洗浄ノズルという)を有する局部洗浄装置を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−156140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗浄ノズルは局部的に水を噴射するものであるので、使用者が適正な位置に座っていない場合、洗浄ノズルから噴射された水を局部に適切に当てることができない虞がある。
【0006】
その場合、例えば、足腰が丈夫な人ならば、洗浄中にお尻をずらし、適正な位置に直ちに座り直すことによって局部の位置を変更し、洗浄ノズルから噴射された水を局部に適切に当てることができるかもしれない。しかし、高齢者および身障者等の要介護者は、局部の洗浄中に上記のような動作を行うことが困難である可能性がある。そのため、洗浄ノズルから噴出された水を不適切な部位に当て続け、良好な局部の洗浄ができない虞がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、要介護者等にとって負担なく局部を良好に洗浄できるポータブルトイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るポータブルトイレは、汚物を収容する容器が形成された便器部と、前記便器部上に設けられ、前記容器の上方に位置する開口が形成された便座と、前記便座の前記開口の左斜め上および右斜め上に配置された左右の肘掛けと、前記便座の前記開口の後方に配置された背もたれと、局部洗浄装置と、を備えている。前記局部洗浄装置は、水を噴射する噴射口が形成された洗浄ノズルと、前記噴射口が前記便座の前記開口の下方に位置する噴射位置と前記噴射位置よりも後方の退避位置との間で前記洗浄ノズルを進退させる洗浄ノズル駆動機構と、を有する。そして、前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右に変更可能なように前記洗浄ノズルを駆動するように構成されている。前記便座の前記開口の左右の最大間隔は18cm〜21cmである。前記左右の肘掛けの左右の最大間隔は38cm〜50cmである。前記便座の後方に設けられた他の便座に、使用者の臀部を支持する凹部が形成されている。
【0009】
上記構成のポータブルトイレによると、便座の開口の左右の最大間隔が18cm〜21cmに設定されているので、座骨結節が適切に開いて排便が容易となり、かつ、お尻が開口内に大きく落ち込むことが防止される。また、肘掛けの左右の最大間隔が38cm〜50cmなので、背もたれにもたれた状態で肘掛けに肘を置くことにより、使用者の体は適切な位置に保たれ、洗浄に適した位置に局部を誘導することができる。また、洗浄ノズルの噴射口の噴射位置は左右に変更可能であるので、局部の位置が左右に若干ずれたとしても、噴射位置を調整することによって局部を良好に洗浄することができる。したがって、使用者が洗浄中に座り直す必要はなく、使用者が要介護者等であっても、負担なく局部を良好に洗浄できるようになる。また、臀部が凹部上に位置するように座ることにより、使用者の位置が適切な位置に保たれる。その結果、使用者の座る位置を適切な位置に誘導しやすくなる。
【0010】
また、ここで開示されるポータブルトイレの一態様では、前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右にスライド可能なように前記洗浄ノズルを駆動するように構成されている。
【0011】
このことによって、噴射位置を左右に変更しても、左右にスライドするように洗浄ノズルが駆動するのみのため、噴射位置の前後の位置は変更されない。そのため、局部に対する噴射位置の調整が容易となる。
【0012】
また、ここで開示されるポータブルトイレの他の一態様では、前記洗浄ノズルは、前記便座の上方から見て前方に延びるように配置され、前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルを前記洗浄ノズルの軸心まわりに回転させるように構成されている。
【0013】
このことによって、噴射位置を左右に変更しても、洗浄ノズルが洗浄ノズルの軸心まわりに回転するのみのため、噴射位置の前後の位置は変更されない。そのため、局部に対する噴射位置の調整が容易となる。
【0014】
また、ここで開示されるポータブルトイレの他の一態様では、前記洗浄ノズル駆動機構は、前記洗浄ノズルの前記噴射口の噴射位置が左右方向に2cm以上変更可能なように構成されている。
【0015】
このことによって、局部の位置が適切な位置からずれたとしても、局部を良好に洗浄することができる。また、局部の周囲も良好に洗浄することができる。
【0016】
また、ここで開示されるポータブルトイレの他の一態様では、前記便座の前記開口の両側部分は、前記便座の左右の中央側に行くほど下方に向かうように傾斜している。
【0017】
このことによって、使用者の座る位置を適切な位置(中央の位置)により誘導しやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、要介護者等にとって負担なく局部を良好に洗浄できるポータブルトイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るポータブルトイレの前方斜視図である。
図2】第1実施形態に係るポータブルトイレの左側面図である。
図3】第1実施形態に係る便座等の平面図である。
図4】第1実施形態に係る便座の左側面図である。
図5図3における便座のV−V線断面図であり、便座と座骨結節との関係を表した図である。
図6図2のVI部分の拡大図であり、噴射位置にある洗浄ノズルの位置を表す図である。
図7】噴射位置にある洗浄ノズルの平面図である。
図8】第1実施形態に係る遠隔操作部を表す図である。
図9】第1実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図10】第1実施形態に係る洗浄ノズルの噴射口の噴射位置を模式的に示した図である。
図11】第2実施形態に係るポータブルトイレの便座と洗浄ノズルとの関係を示した図である。
図12】他の実施形態に係る便座の平面図である。
図13】洗浄ノズル駆動機構の連続洗浄機能の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0023】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係るポータブルトイレの第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aの前方斜視図である。図2は、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aの左側面図である。
【0024】
本実施形態に係るポータブルトイレ1Aは、主に高齢者および身障者等のいわゆる要介護者に使用されるものであり、介護用に好適に使用されるトイレである。また、ポータブルトイレ1Aは、床に固定されるトイレではなく、移動可能式のトイレである。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aは、主として本体部5および便器部10から構成されている。本体部5は、開口32が形成された便座30、後述する制御部100(図9参照)等を収容する本体収容部7(図2参照)、背もたれ70、および肘掛け50、51等の外部構成と、制御部100等の内部構成とを含む。便器部10は、本体収容部7の前方に位置し、主として汚物を収容する容器12および容器12を収容する容器受部6から構成されている。なお、本明細書では、前、後、左、右とは、便座30に座った使用者から見た前、後、左、右をそれぞれ意味するものとする。図面に付した符号F、Re、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を表す。
【0026】
本体収容部7の内部には、制御部100、排泄物の臭いを逃がすための脱臭ユニット120(図9参照)、脱臭ダクトおよび脱臭吸気口、使用者のお尻を乾燥させるための乾燥ユニット122(図9参照)、乾燥ダクトおよび乾燥吸気口、洗浄ノズル20(図6参照)の噴射口22(図6参照)から噴射される水の温度を調整するための温水器ユニット126(図9参照)等が備えられている。また、本体収容部7の右側面には、コンセント130(図3参照)に接続された電源コード130A(図3参照)が接続されている。コンセント130を電源につなぐことにより、ポータブルトイレ1Aに電力が供給される。
【0027】
容器受部6の左側および右側には、フレーム77がそれぞれ取り付けられている。詳しくは、フレーム77は、容器受部6の左側面および右側面にそれぞれ固定されている。そして、左右のフレーム77の上部に背もたれ70が取り付けられている。すなわち、容器受部6の上方に、背もたれ70が配置されている。背もたれ70は、便座30の開口32の後方に配置されている。
【0028】
フレーム77の下面には、本体部5および便器部10を支える脚部71が連結されている。脚部71は、左右のフレーム77の下面にそれぞれ取り付けられている。本実施形態では、脚部71は2個取り付けられている。ただし、脚部71の取り付け位置、形状または個数等は特に限定されず、例えば脚部71は4個であってもよい。脚部71は容器受部6の下面に取り付けられていてもよい。左右の脚部71の後部には、それぞれキャスター72が取り付けられている。キャスター72は、ポータブルトイレ1Aを移動する際に使用される。ポータブルトイレ1Aの前部を持ち上げる等によってポータブルトイレ1Aを前上がり状に傾倒させ、キャスター72を床面に接触させることにより、キャスター72を床面上で転がすことができる。ポータブルトイレ1Aを床面上で滑らせることによって、ポータブルトイレ1Aが容易に移動可能となる。キャスター72の取り付け位置または個数等も本発明を特に限定するものではなく、例えば、左右の脚部71の前部および後部にそれぞれキャスター72を取り付けてもよい。また、キャスター72は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
【0029】
肘掛け50および51は、便座30の開口32の右斜め上および左斜め上に配置されている。詳しくは、肘掛け50は、便座30の右端部よりも右側、すなわち、便座30の右端部の右斜め上に配置されている。肘掛け51は、便座30の左端部よりも左側、すなわち、便座30の左端部の左斜め上に配置されている。肘掛け50および51の形状は特に限定されないが、本実施形態では略平板形状である。左右の肘掛け50および51の後部は、それぞれはねあげ機構53を介してフレーム77に取り付けられている。左右の肘掛け50および51の下面の前部には、それぞれレバー52が取り付けられている。レバー52は、肘掛け50および51のロックを解除し、はねあげを許容するものである。レバー52を押すことによって、肘掛け50および51ははねあげ機構53によって回転可能となり、肘掛け50および51の前面が上方またはほぼ上方を向く位置まで回転可能となる。言い換えると、肘掛け50および51は、レバー52を押すことによって、ポータブルトイレ1Aの左側面からみて時計回りに約90度まで回転可能となる。また、はねあげ機構53は、フレーム77に対して上下方向に移動可能である。言い換えると、肘掛け50および51は、フレーム77に対して上下方向に移動可能である。肘掛け50および51の内寸の最大間隔L5、すなわち、肘掛け50の左側面から肘掛け51の右側面までの最大間隔L5は、例えば38cm〜50cmである。本実施形態では、肘掛け50および51の内側の側面および外側の側面は鉛直面であり、肘掛け50の左側面と肘掛け51の右側面との間隔は、前後の位置によって変わることはない。ただし、肘掛け50および51の形状によっては、前後の位置によって上記間隔が異なる場合があり得る。「最大間隔L5」は、前後の位置によって上記間隔が異なる場合、それらのうちの最大の間隔を意味する。
【0030】
また、容器受部6の上側には、座部74が取り付けられている。座部74は、使用者が腰掛けて座るための部材である。座部74は、便座30および容器12の上方に位置するとき、使用者は座部74の上に腰掛けて座ることができる。また、図2に示すように、座部74は、前方部75および後方部76から構成されており、前方部75および後方部76は、図示しないヒンジ部材で山折りになるように連結されている。座部74を使用しないとき、図2に示すように座部74を折り畳むことができる。
【0031】
図2に示すように、容器12は、汚物を収容する容器である。容器12は、容器受部6内に収容されている。容器12の形状は、上方が開口しており、汚物を収容できれば特に限定されない。本実施形態に係る容器12は、略円筒状の有底の容器、すなわち、るつぼ状の容器である。ポータブルトイレ1Aを使用しないとき、容器12の上側には、容器12内の臭いを外部に逃さないための図示しない蓋が配置されている。
【0032】
次に、本実施形態に係る便座30について詳細に説明する。図3は、便座30の平面図である。図4は、便座30の左側面図である。図5は、図3における便座30のV−V線断面図であり、便座30と座骨結節150との関係を表した図である。
【0033】
便座30は、便器部10上に設けられている。言い換えると、便座30は、容器12の上方に位置する。図3に示すように、便座30の後方には他の便座40が配置されている。便座30は、回転軸11を介して他の便座40に回転自在に取り付けられている。回転軸11は左右方向に延びている。便座30は、回転軸11を中心として回転可能であり、回転することによって跳ね上げられる。便座30には、使用者が便座30に座っているかどうかを判別するための着座センサ110(図9参照)を内蔵させてもよい。また、便座30は、使用者のお尻を暖めるための保温ユニット124(図9参照)を備えていてもよい。他の便座40は、本体収容部7の上部に固定されている。他の便座40前部中央には、凹部41が形成されている。凹部41は、使用者の臀部を支持するための部位である。凹部41は後方に凹んでいる。詳しくは、凹部41は円弧状に凹んでいる。
【0034】
便座30の左右の縁は直線状である。便座30の前縁は、前方に膨らむ曲線状である。開口32は、便座30の左右の中央かつ前後の中央に形成されている。
【0035】
開口32は、前縁33と後縁34と中間縁35とから形成されている。前縁33および後縁34の形状は、円弧状である。前縁33は、前方に向かって凹む曲線状に形成されている。前縁33の左右方向の間隔は、後方に行くほど大きくなっている。後縁34は、後方に向かって凹む曲線状に形成されている。後縁34の左右方向の間隔は、前方に行くほど大きくなっている。後縁34の左右方向の最大間隔は、前縁33の左右方向の最大間隔より大きい。前縁33の曲率半径R1は、例えば3cm〜5cmである。後縁34の曲率半径R2は、例えば9cm〜10cmである。そして、前縁33の後端33bと後縁34の前端34fとは、中間縁35によってつながっている。本実施形態では、中間縁35は直線状である。中間縁35は、前方に行くほど中央側に向かうように傾斜している。後縁34の左右の最大間隔L1が開口32の左右の最大間隔となっている。開口32の左右の最大間隔L1は、例えば18cm〜21cmである。最大間隔L1の上記範囲は、図5に示すように、座骨結節150(なお、座骨結節150の幅Wは、通常、7cm〜14cmである。)が開口32内に収まることができるように設定されている。また、最大間隔L1の上記範囲は、座骨結節150が適切に開き、かつ、お尻160が大きく落ち込まないように設定されている。開口32の前後方向の長さL2、すなわち、後縁34の後端から前縁33の前端までの長さL2は、例えば28cm〜32cmである。後縁34の前端34fから前縁33の前端までの長さ(言い換えると、中間縁35および前縁33の合計の前後方向長さ)L3は、例えば19cm〜21cmである。なお、使用者がお尻を容易に拭くことができるように、便座30の開口32の後方中央部分、すなわち、後縁34の後方中央部分の一部に、凹部36を設けてもよい。
【0036】
図5に示すように、便座30の上面30aは、便座30の左右の中央側に行くほど下方に向かうように傾斜している。便座30の中間縁35の外側部分は、便座30の左右の中央側に行くほど下方に向かうように傾斜している。便座30の下面30bの形状は、特に限定するものではないが、水平な平面である。
【0037】
図6は、図2のVI部分の拡大図であり、洗浄ノズル20が噴射位置にある状態を表す図である。図7は、噴射位置にある洗浄ノズル20を上方から見た図である。
【0038】
図6に示すように、局部洗浄装置18は、噴射口22が形成された洗浄ノズル20と、洗浄ノズル駆動機構19(図9参照)とを有している。洗浄ノズル駆動機構19には、周知の各種機構を用いることができる。洗浄ノズル駆動機構19の構成は周知であるので、その説明は省略する。局部洗浄装置18の使用時、洗浄ノズル20は、開口32の下方に位置する。言い換えると、洗浄ノズル20は、局部洗浄装置18の使用時、容器12内に位置する。洗浄ノズル20は、開口32の後縁34の左右方向の中心に位置する。洗浄ノズル20の後端部は本体収容部7の前部に取り付けられている。洗浄ノズル20は、本体収容部7に対して、前方斜め下に延びるようにして取り付けられている。噴射口22は、洗浄ノズル20の前端部の上部に形成されている。噴射口22は、局部へ水を噴射するものである。本実施形態では、噴射口22は1つ設けられているが、噴射口22は複数あってもよい。また、洗浄ノズル駆動機構19によって、洗浄ノズル20は前後方向または左右方向に移動可能となる。
【0039】
洗浄ノズル駆動機構19は、噴射口22の噴射位置が前後に変更可能なように洗浄ノズル20を駆動するように構成されている。具体的には、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20をA方向に移動させる。洗浄ノズル駆動機構19は、少なくとも噴射位置A1と退避位置A2との間で洗浄ノズル20を進退させる。噴射位置A1は、便座30の開口32の下方に位置する。退避位置A2は、噴射位置A1よりも後方に位置する。洗浄ノズル20の待機時、すなわち、洗浄ノズル20を使用していないときには、洗浄ノズル20は退避位置A2に位置する。一方、洗浄ノズル20の使用時は、洗浄ノズル20は噴射位置A1に位置し、このとき噴射口22から水が噴射される。洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置は、前後方向に対してそれぞれ距離B1の間隔で調整可能である。言い換えると、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置は、前後方向に距離B2の範囲内で変更可能である。また、噴射口22の噴射位置は、基準点(洗浄ノズル20が噴射位置A1に位置するときの噴射口22の位置)に対して前後方向にそれぞれ2回の移動をすることが可能である。すなわち、噴射口22の噴射位置は、前後方向に対して5段階の変更が可能である。例えば、距離B1は10mm〜20mm(例えば15mm)であり、距離B2は40mm〜80mm(例えば60mm)である。
【0040】
また、図7に示すように、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置は、左右の方向に調整可能である。洗浄ノズル駆動機構19は、噴射口22の噴射位置が左右に変更可能なように洗浄ノズル20を駆動するように構成されている。洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置を左右にスライド可能なように洗浄ノズル20を駆動するように構成されている。具体的には、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置は、左右方向にそれぞれ距離C1の範囲内で変更可能である。言い換えると、噴射口22の噴射位置は、左右方向に距離C2の範囲内で変更可能である。例えば距離C1は1cm以上であり、距離C2は2cm以上である。
【0041】
図3に示すように、本体収容部7の上面には、操作部80が設けられている。操作部80には、特に限定しないが、例えば、電源ボタン、使用電力を抑える節電ボタン、および電源が自動的に切れるまでの時間を設定するタイマーボタン等が配置されている。また、操作部80には、洗浄ノズル20を操作するための噴射開始ボタン、噴射停止ボタン、噴射の強弱調整ボタン、噴射位置調整ボタン、噴出される水の温度を調整する水温調整ボタン、および便座30の温度調整ボタン等が配置されていてもよい。操作部80は、制御部100と電気的に接続されており、上述した各種ボタンを押すことで、洗浄ノズル20等を操作することができる。
【0042】
図8は、ポータブルトイレ1Aの遠隔操作部81を表す図である。図8に示すように、ポータブルトイレ1Aは、操作部80とは別に、使用者が操作しやすいように、本体収容部7から分離された遠隔操作部81を備えていてもよい。遠隔操作部81はいわゆるリモートコントローラであり、特に限定しないが、例えば赤外線センサなどの無線通信手段を通じて制御部100と電気的に接続している。また、遠隔操作部81は、有線を通じて制御部100と電気的に接続されていてもよい。遠隔操作部81の具体的構成は、特に限定するものではないが、例えば、遠隔操作部81は、使用者が介護者等を呼ぶため等の呼出ボタン85、洗浄ノズル駆動機構19を制御するための噴射停止ボタン86、噴射開始ボタン87、噴射位置調整部88、噴射移動ボタン89、局部を乾燥させるための乾燥ボタン90、噴射口22から噴射される水の勢いを調整する水勢調整部91、便座温度調整部92、および水温調整部93等を備えている。上記各種ボタンを押すことにより、洗浄ノズル20等を操作することができる。
【0043】
次に、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aの制御部100について説明する。図9は、制御部100のブロック図である。制御部100は、主としてデジタルコンピュータから構成されており、ポータブルトイレ1Aの制御装置として機能する。制御部100は、例えば、読み込み専用の記憶装置であるROM、読み書き可能な記憶装置であるRAM、および任意の演算や判別を行うCPU等を有している。
【0044】
図9に示すように、制御部100は、入力ポート101および出力ポート102を有している。制御部100は、操作部80、遠隔操作部81、着座センサ110、洗浄ノズル駆動機構19、脱臭ユニット120、乾燥ユニット122、保温ユニット124、および温水器ユニット126等と電気的に接続されている。そして、制御部100は、入力ポート101を介して、操作部80、遠隔操作部81または着座センサ110等から送られた入力信号を受信する。一方、制御部100は、出力ポート102を介して、洗浄ノズル駆動機構19、脱臭ユニット120、乾燥ユニット122、保温ユニット124、または温水器ユニット126等へ出力信号を送信する。
【0045】
次に、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aの動作について説明する。
図10は、ポータブルトイレ1Aにおける洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置を模式的に示す図である。
【0046】
使用者は、局部の洗浄を行う際に、遠隔操作部81の噴射開始ボタン87を押す。このとき、遠隔操作部81からの噴射開始信号が入力ポート101を介して制御部100に送信される。そして、上記信号を受信した制御部100は、上記噴射開始信号に基づいて、洗浄ノズル駆動機構19に対して噴射開始制御信号を送信する。上記信号を受信した洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20を噴射位置A1(図6参照)まで駆動させた後(洗浄ノズル20を前進させた後)、噴射口22から水を噴射させる。これにより、局部の洗浄が行われる。
【0047】
使用者は、局部の洗浄を停止する際に、遠隔操作部81の噴射停止ボタン86を押す。このとき、遠隔操作部81からの噴射停止信号が入力ポート101を介して制御部100に送信される。そして、上記信号を受信した制御部100は、上記噴射停止信号に基づいて、洗浄ノズル駆動機構19に対して噴射停止制御信号を送信する。上記信号を受信した洗浄ノズル駆動機構19は、噴射口22からの水の噴射を停止した後、洗浄ノズル20を退避位置A2(図6参照)まで駆動させる(洗浄ノズル20を後退させる)。
【0048】
初期設定の状態では、噴射時の噴射口22の位置(噴射口22が複数ある場合には、それらの平均位置)は、左右方向の中央に設定されている。ただし、洗浄ノズル20は左右方向に移動可能であるので、噴射時の噴射口22の左右の位置は設定変更が可能である。また、洗浄ノズル20は前後方向にも移動可能である。そのため、噴射時の噴射口22の前後の位置も設定変更が可能である。使用者は、遠隔操作部81等を用いて、噴射時の噴射口22の位置(以下、噴射位置という)を適宜に設定変更することができる。制御部100は、設定変更された噴射位置を記憶することができる。そのため使用者は、いったん設定変更を行えば、その後、局部洗浄装置18を使用する度に噴射位置の変更を行う必要がない。
【0049】
また、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aは、洗浄ノズル駆動機構19を介して、水の噴射中に噴射位置を変更することも可能である。例えば、使用者は、お尻の局部を洗浄中に噴射位置を右側に変更したいときには、遠隔操作部81の噴射位置調整部88における右移動ボタン88R(図8参照)を押す。このとき、噴射位置変更信号が制御部100に対して送信される。そして、制御部100は、噴射位置変更信号に基づいて、洗浄ノズル駆動機構19を制御する。洗浄ノズル駆動機構19は、図10に示すように、洗浄ノズル20を右方向へ予め定められた距離C1’分移動させる。この結果、噴射位置が右側に変更される。このとき、噴射位置などを遠隔操作部81または操作部80等に表示させてもよい。同様に、使用者は、噴射位置を左側に変更したいときには、左移動ボタン88Lを押す。その結果、洗浄ノズル20が左方向に距離C1’分移動し、噴射位置は左側に変更される。また、使用者は、お尻の局部を洗浄中に噴射位置を前側または後側に移動させたいときも同様に、遠隔操作部81の噴射位置調整部88の前移動ボタン88Fまたは後移動ボタン88Reを押す。このとき、噴射位置変更信号が制御部100に対して送信される。そして、制御部100は、噴射位置変更信号に基づいて、洗浄ノズル駆動機構19を制御する。洗浄ノズル駆動機構19は、図10に示すように、洗浄ノズル20を前方向または後方向へ予め定められた距離B1’分移動させる。この結果、噴射位置が前側または後側に変更される。
【0050】
図10に示すように、本実施形態では、洗浄ノズル20の噴射位置は、左右方向に対してそれぞれ距離C1’の間隔で移動可能であり、前後方向に対してそれぞれ距離B1’の間隔で移動可能である。また、噴射位置は、基準点Pに対して左右方向にそれぞれ1回、前後方向にそれぞれ2回の移動をすることが可能である。また、距離C1’は、例えば距離C1(図7参照)に設定し、距離B1’は、例えば距離B1(図6参照)に設定することができる。ただし、洗浄ノズル20の噴射位置の左右方向および前後方向への移動回数は特に限定されない。また、本実施形態では、噴射位置は段階的に変更可能であるが、噴射位置は連続的に変更可能であってもよい。洗浄ノズル20の移動可能な範囲内において、噴射位置は任意に設定可能であってもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態に係るポータブルトイレ1Aによれば、便座30の開口32の左右の最大間隔L1は18cm〜21cmである。使用者が便座30に座ったとき、使用者の座骨結節150と便座30との位置関係は慨ね図5のようになる。通常、座骨結節150の幅Wは、7cm〜14cmである。開口32の左右の最大間隔L1を上記範囲内とすることで、座骨結節150が開口32内に収まることができ、座骨結節150が適切に開くため排泄が容易となり、かつ、お尻が大きく落ち込むことが防止される。また、お尻が便座30の左側または右側に偏りにくくなる。よって、便座30の開口32の形状によって局部を適切な位置に誘導しやすくなる。
【0052】
また、図5に示すように、本実施形態によれば、便座30の開口32の両側部分は、便座30の左右の中央側に行くほど下方に向かうように傾斜している。このことによって、より好適に使用者の座る位置を適切な位置(中央の位置)に誘導しやすくなる。
【0053】
また、図3に示すように、本実施形態によれば、便座30の開口32の後方に設けられた他の便座40に、使用者の臀部を支持する凹部41が形成されている。このことにより、臀部が凹部41上に位置するように座ることにより、使用者の位置が適切な位置に保たれる。その結果、使用者の座る位置を適切な位置に誘導しやすくなる。
【0054】
図1に示すように、本実施形態における左右の肘掛け50および51の左右の最大間隔は38cm以上50cm以下である。左右の肘掛け50および51の左右の最大間隔を上記範囲内にすることによって、背もたれ70にもたれた状態で肘掛け50および51に肘を置くことにより、使用者の体は適切な位置に保たれ、洗浄に適した位置に局部を誘導することができる。
【0055】
図7に示すように、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置が左右に変更可能である。そのため、使用者の局部の位置が左右に若干ずれたとしても、噴射位置を調整することによって局部を良好に洗浄することができる。したがって、使用者が洗浄中に座り直す必要はなく、使用者が要介護者等であっても、負担なく局部を良好に洗浄できるようになる。
【0056】
本実施形態によれば、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20を左右にスライドさせるように構成されている。洗浄ノズル20の噴射口22は、左右にスライド可能である。そのため、噴射口22の噴射位置を左右に変更しても、噴射口22の前後の位置は変更されない。したがって、噴射位置の設定が容易となる。ただし、洗浄ノズル20の駆動方法は特に限定されない。例えば、洗浄ノズル20は、洗浄ノズル20の後端部を中心として左右に揺動可能に構成されていてもよい。ただし、その場合は、噴射口22の左右の位置を変更すると、噴射口22の前後の位置も変化することとなる。
【0057】
本実施形態では、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置が左右方向に2cm以上変更可能なように構成されている。このことによって、局部の位置が適切な位置からずれたとしても、局部を良好に洗浄することができる。また、局部の周囲も良好に洗浄することができる。
【0058】
以上、第1実施形態に係るポータブルトイレ1Aについて説明した。なお、本発明に係るポータブルトイレ1Aは、第1実施形態のポータブルトイレ1Aに限らず、他に種々の形態で実施することができる。次に、ポータブルトイレの他の実施形態について簡単に説明する。
【0059】
<第2実施形態>
上述した実施形態では、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20を左右にスライドさせることにより、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置を左右に変更可能なように構成されていた。しかし、本発明に係るポータブルトイレは、上記構成に限定されない。下記に示すような第2実施形態の構成のポータブルトイレであってもよい。
【0060】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成箇所には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。図11は、第2実施形態に係るポータブルトイレ1Bの便座30と洗浄ノズル20との関係を模式的に示した図である。
【0061】
本実施形態に係る洗浄ノズル20は、第1実施形態と同様に、便座30の上方から見て前方に延びるように配置されている。そして、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20を洗浄ノズル20の軸心まわりDに回転させるように構成されている。具体的には、図11に示すように、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置が、洗浄ノズル20の軸心まわりDの左右に、それぞれ所定の角度D1の範囲内で変更可能である。言い換えると、洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置が、洗浄ノズル20の軸心まわりDの左右に角度D2の範囲内で変更可能である。なお、例えば、角度D1は5度〜15度であり、角度D2は10度〜30度である。
【0062】
そして、使用者は、例えば、遠隔操作部81または操作部80等に設けられた図示しない噴射角度変更ボタンを通じて、制御部100に対して噴射角度変更信号を送信する。そして、上記信号を受信した制御部100は、上記噴射角度変更信号に基づいて、洗浄ノズル駆動機構19に対して噴射角度制御信号を送信する。上記信号を受信した洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20の角度を変更することで、噴射口22の噴射角度を変更する。
【0063】
以上のように、第2実施形態に係るポータブルトイレ1Bでは、洗浄ノズル駆動機構19は、洗浄ノズル20を洗浄ノズル20の軸心まわりに回転させるように構成されている。このように、噴射位置を左右に変更する際に、洗浄ノズル20が洗浄ノズル20の軸心まわりに回転するのみのため、本実施形態においても、噴射位置を変更する際に噴射口22の前後の位置は変化しない。したがって、局部に対する噴射位置の調整が容易となる。
【0064】
<他の実施形態>
第1実施形態および第2実施形態では、便座30の後方に他の便座40が設けられ、凹部41は他の便座40の前部に形成されていた。しかし、他の便座40の凹部41と共に、あるいは他の便座40の凹部41に代えて、臀部を支持する凹部を便座30に形成するようにしてもよい。便座30と他の便座40とを一体化してもよい。
【0065】
この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、前記各実施形態では、図3に示すように、便座30の開口32は、円弧状の前縁33と、円弧状の後縁34と、前縁33の後端33bと後縁34の前端34fとをつなぐ直線状の中間縁35と、によって形成されていた。しかし、本発明に係るポータブルトイレにおける便座30の開口32の形状は、上記形状に限定されない。
【0067】
図12は、他の実施形態に係る便座30の平面図である。図12に示すように、この実施形態の便座30の開口32も、前縁33と後縁34と中間縁35とから形成されている。前縁33および後縁34の形状は、円弧状である。後縁34の左右方向の最大間隔は、前縁33の左右方向の最大間隔より大きい。そして、前縁33の後端33bと後縁34の前端34fは、中間縁35によってつながっている。本実施形態では、中間縁35は、便座30の左右の中央側に膨出した曲線状に形成されている。なお、前縁33の曲率半径R1、後縁34の曲率半径R2、開口32の左右の最大間隔L1、開口32の前後方向の長さL2、および中間縁35と前縁33との合計の前後方向の長さL3は、上述した実施形態と同様の寸法である。
【0068】
上述した各実施形態では、便座30の左右の外縁は直線状であり、前縁は前方に膨らむ曲線状であった。しかし、便座30の左右の外縁は曲線状であってもよいし、便座30の前縁は直線状であってもよい。
【0069】
上述した各実施形態では、洗浄ノズル20は、前斜め下方に延びている。しかし、洗浄ノズル20は、前向きに水平に延びていてもよい。
【0070】
また、上述した各実施形態について、洗浄ノズル駆動機構19は、連続して洗浄ノズル20の噴射口22の噴射位置を変更する機能、いわゆる、連続洗浄機能を有していてもよい。図13は、洗浄ノズル駆動機構19の連続洗浄機能の一例を表す模式図である。図13の「○」は、洗浄ノズル20の噴射口22の左右方向および前後方向の噴射位置を示している。図13の「→」は、洗浄ノズル20の噴射口22の移動方向を示している。例えば、図13(a)に示すように、洗浄ノズル駆動機構19は、使用者の局部ならびに局部周辺を洗浄するように、噴射口22の噴射位置を連続的に変更するような機構にしてもよい。図13(b)に示すように、局部ならびに局部周辺の一部(例えば、局部の後方の一部)のみを洗浄するように、噴射口22の噴射位置を連続的に変更するような機構にしてもよい。また、図13(c)および(d)のように、噴射口22の噴射位置を前後方向に対して連続的に変更するような機構にしてもよい。また、この連続洗浄機能においては、噴射位置の中心位置Pより離れる位置ほど、噴射口22から噴射される水の勢いを弱めるようにしてもよい。
【0071】
また、制御部100は、頻繁に使用する洗浄ノズル20の噴射位置を記憶し、次回の局部洗浄時には、その頻繁に使用する洗浄ノズル20の噴射位置から局部の洗浄を開始するような構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1A、1B、1C ポータブルトイレ
19 洗浄ノズル駆動機構
20 洗浄ノズル
22 噴射口
30 便座
32 開口
50、51 肘掛け
70 背もたれ
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13