特許第5978035号(P5978035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978035
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】流体制御器用アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   F16K31/122
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-157051(P2012-157051)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-20398(P2014-20398A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
(72)【発明者】
【氏名】谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】石橋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慎一郎
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6059259(US,A)
【文献】 米国特許第6547214(US,B2)
【文献】 特開平03−107602(JP,A)
【文献】 実開昭61−066274(JP,U)
【文献】 特開2012−042033(JP,A)
【文献】 特開昭62−274182(JP,A)
【文献】 米国特許第2675204(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/122
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディの上方に取り付けられるケーシングと、中央部に貫通孔を有する複数枚の円盤状ダイヤフラムスプリングからなり、貫通孔の下側周縁部によって弁棒を下方に付勢する付勢部材と、付勢部材の貫通孔の上側周縁部を下方に押圧する内側ばね押さえと、付勢部材の外周縁部を下方に押圧する外側ばね押さえと、操作エアが導入されることで外側ばね押さえを下方に押圧する操作エア導入室とを備えており、付勢部材は、操作エアが操作エア導入室に導入されていない状態で、自然状態の下方に凸の形状に対して凸の量が小さくなるように弾性変形させられて、弁棒を下方に、外側ばね押さえを上方にそれぞれ付勢しており、操作エアが操作エア導入室に導入されることにより、外側ばね押さえが下方に押圧されて、付勢部材が上方に凸の形状に変形するようになされている流体制御器用アクチュエータにおいて、
内側ばね押さえは、軸部と、軸部の下端部に設けられた円筒部とを有し、円筒部の下端によって付勢部材の貫通孔の上側周縁部を押圧しており、軸部は、外側ばね押さえ部材を貫通して上方にのびており、ケーシング頂壁に、下端が内側ばね押さえの軸部の上面に当接させられることで内側ばね押さえを位置決めする調整ねじがねじ合わされていることを特徴とする流体制御器用アクチュエータ。
【請求項2】
ケーシングに、外側ばね押さえよりも上方位置に、カウンタプレートが固定されており、ケーシングの頂壁とカウンタプレートとの間に、内側ばね押さえの軸部が挿通される貫通孔が設けられたピストンが配置されており、ピストンは、カウンタプレートを貫通して下面が外側ばね押さえの上面に当接する下方突出部を有しており、操作エアが導入される操作エア導入室は、ピストンの上側に設けられており、操作エア導入室内の操作エアは、内側ばね押さえの軸部の外周面とピストンの貫通孔の周面との間に形成された隙間から外側ばね押さえの上面上側に流入可能とされており、操作エア導入時には、ピストンおよび外側ばね押さえの両方が操作エアによって下方に押圧されることを特徴とする請求項1の流体制御器用アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体制御器用アクチュエータに関し、特に、流体制御器において流体通路を開閉するために上下移動させられる弁棒を駆動するための流体制御器用アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
流体制御器は、通常、流体通路が設けられたボディと、流体通路を開閉する弁体と、上昇または下降することにより弁体を開または閉方向に移動させる弁棒と、弁棒を駆動するアクチュエータとを備えている。
【0003】
流体制御器用アクチュエータは、弁棒を上方または下方に付勢する付勢部材、弁棒を上方または下方に移動させるピストンなどから構成される。
【0004】
特許文献1には、流体制御器用アクチュエータにおいて、複数枚の円盤状ダイヤフラムスプリングからなる付勢部材を使用することが開示されている。具体的には、特許文献1の流体制御器用アクチュエータは、ボディの上方に取り付けられるケーシングと、中央部に貫通孔を有する複数枚の円盤状ダイヤフラムスプリングからなり、貫通孔の下側周縁部によって弁棒を下方に付勢する付勢部材と、弁棒上端面に配置された円柱状可動部材と、円柱状可動部材の外周に相対的に上下移動可能に嵌め合わされて付勢部材の貫通孔の下側周縁部を受けるばね受けと、付勢部材の貫通孔の上側周縁部を下方に押圧する内側ばね押さえと、内側ばね押さえをケーシングに固定する複数のボルトと、付勢部材の外周縁部を下方に押圧する外側ばね押さえと、操作エアが導入されることで外側ばね押さえを下方に押圧する操作エア導入室とを備えている。そして、付勢部材は、操作エアが操作エア導入室に導入されていない状態で、自然状態の下方に凸の形状に対して凸の量が小さくなるように弾性変形させられて、弁棒を下方に、外側ばね押さえリングを上方にそれぞれ付勢しており、操作エアが操作エア導入室に導入されることにより、外側ばね押さえが下方に押圧されて、付勢部材が上方に凸の形状に変形するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許6,059,259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の流体制御器用アクチュエータによると、複数のボルトによって内側ばね押さえをケーシングに固定する必要があり、構成が複雑であり、組立てに手間がかかるという問題があった。また、組立て後に、外部から付勢部材の付勢力を調整することができないという問題もあった。
【0007】
この発明の目的は、内側ばね押さえをケーシングに固定するための複数のボルトが不要であり、したがって、構成が簡単でかつ組立てに手間がかからず、しかも、組立て後に、外部から付勢部材の付勢力を調整することが可能な流体制御器用アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による流体制御器用アクチュエータは、ボディの上方に取り付けられるケーシングと、中央部に貫通孔を有する複数枚の円盤状ダイヤフラムスプリングからなり、貫通孔の下側周縁部によって弁棒を下方に付勢する付勢部材と、付勢部材の貫通孔の上側周縁部を下方に押圧する内側ばね押さえと、付勢部材の外周縁部を下方に押圧する外側ばね押さえと、操作エアが導入されることで外側ばね押さえを下方に押圧する操作エア導入室とを備えており、付勢部材は、操作エアが操作エア導入室に導入されていない状態で、自然状態の下方に凸の形状に対して凸の量が小さくなるように弾性変形させられて、弁棒を下方に、外側ばね押さえリングを上方にそれぞれ付勢しており、操作エアが操作エア導入室に導入されることにより、外側ばね押さえが下方に押圧されて、付勢部材が上方に凸の形状に変形するようになされている流体制御器用アクチュエータにおいて、内側ばね押さえは、軸部と、軸部の下端部に設けられた円筒部とを有し、円筒部の下端によって付勢部材の貫通孔の上側周縁部を押圧しており、軸部は、外側ばね押さえ部材を貫通して上方にのびており、ケーシング頂壁に、下端が内側ばね押さえの軸部の上面に当接させられることで内側ばね押さえを位置決めする調整ねじがねじ合わされていることを特徴とするものである。
【0009】
内側ばね押さえの円筒部の下端が付勢部材を押圧し、内側ばね押さえの軸部の上面が調整ねじによって位置決めされていることにより、内側ばね押さえは、調整ねじと付勢部材との間に挟持される。これにより、内側ばね部材を固定するための複数のボルトが不要となり、したがって、構成が簡単であり、組立てに手間がかからない。また、組立て後に、調整ねじのねじ込み量を変更することで、外部から付勢部材の付勢力を調整することが可能であり、流体流入通路を閉鎖するために必要な圧力を安定して得ることができる。
【0010】
ケーシングに、外側ばね押さえよりも上方位置に、カウンタプレートが固定されており、ケーシングの頂壁とカウンタプレートとの間に、内側ばね押さえの軸部が挿通される貫通孔が設けられたピストンが配置されており、ピストンは、カウンタプレートを貫通して下面が外側ばね押さえの上面に当接する下方突出部を有しており、操作エアが導入される操作エア導入室は、ピストンの上側に設けられており、操作エア導入室内の操作エアは、内側ばね押さえの軸部の外周面とピストンの貫通孔の周面との間に形成された隙間から外側ばね押さえの上面上側に流入可能とされており、操作エア導入時には、ピストンおよび外側ばね押さえの両方が操作エアによって下方に押圧されることが好ましい。
【0011】
このようにすると、操作エア導入室は、ピストンの上側に設けられたもの1つだけとすることができ、構造を簡素化することができる。そして、操作エア導入室内の操作エアが外側ばね押さえの上面上側に流入することで、外側ばね押さえが操作エアによって下方に押圧され、ピストンおよび外側ばね押さえを下方に押圧する力を大きくすることができ、流体通路の閉操作を確実に行うために、付勢部材の付勢力を大きくした場合であっても、小さいアクチュエータの出力(操作エアの圧力など)で流体通路の開操作を確実に行うことができる。
【0012】
なお、この明細書において、上下は図の上下をいう(流体制御器のボディ側を下、流体制御器用アクチュエータのケーシング側を上という)ものとするが、この上下は、便宜的なものであり、上下が逆になったり、上下が左右になったりして使用されることもある。
【発明の効果】
【0013】
この発明の流体制御器用アクチュエータによると、内側ばね押さえは、調整ねじと付勢部材との間に挟持されるので、内側ばね部材を固定するための複数のボルトが不要であり、したがって、構成が簡単であり、組立てに手間がかからない。また、組立て後に、調整ねじのねじ込み量を変更することで、外部から付勢部材の付勢力を調整することが可能であり、流体流入通路を閉鎖するために必要な圧力を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、この発明による流体制御器用アクチュエータの1実施形態を示す垂直断面図で、流体通路が閉の状態を示している。
図2図2は、図1から弁棒が上方に移動して流体通路が開になった状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0016】
図1および図2は、この発明による流体制御器用アクチュエータをダイヤフラム弁に適用した1実施形態を示している。
【0017】
ダイヤフラム弁(1)は、流体流入通路(2a)および流体流出通路(2b)が設けられたボディ(2)と、ボディ(2)の上方にボンネットナット(4)によって固定されたボンネット(3)と、流体流入通路(2a)の周縁に設けられた環状弁座(5)と、環状弁座(5)に押圧または離間されて流体通路(2a)を開閉するダイヤフラム(弁体)(6)と、ボンネット(3)内に移動可能に配置されて上昇または下降することによりダイヤフラム(6)を開または閉方向に移動させる弁棒(7)と、弁棒(7)下端部に設けられてダイヤフラム(6)を下方に押圧するダイヤフラム押さえ(8)と、流体制御器用アクチュエータ(9)とを備えている。
【0018】
流体制御器用アクチュエータ(9)は、ボンネット(3)を介してボディ(2)に取り付けられたケーシング(11)と、弁棒(7)の上端部が挿通されている貫通孔(12a)を中央部に有しケーシング(11)内の下端部近くに配置された円盤状の付勢部材(12)と、弁棒(7)の上端部近くに一体に設けられて付勢部材(12)の貫通孔(12a)の下側周縁部を受けるフランジ部(13)と、付勢部材(12)の貫通孔(12a)の下側周縁部に下側から対向する環状のばね受け(14)と、付勢部材(12)の貫通孔(12a)の上側周縁部を下方に押圧する内側ばね押さえ(15)と、付勢部材(12)の外周縁部を下方に押圧する外側ばね押さえ(16)とを備えている。
【0019】
ケーシング(11)は、ボンネット(3)の上端部にねじ合わされて固定された下部ケーシング(11a)と、下部ケーシング(11a)にねじ合わされた上部ケーシング(11b)とからなる。下部ケーシング(11a)と上部ケーシング(11b)との結合部分には、カウンタプレート(17)が配置されている。カウンタプレート(17)は、円板状の本体(17a)と、本体(17a)の外周縁部から下方にのびる円筒状突出部(17b)とからなる。円筒状突出部(17b)の外周面にはおねじ部が設けられており、円筒状突出部(17b)の下部が下部ケーシング(11a)に設けられめねじ部にねじ合わされ、さらに、上部ケーシング(11b)に設けられめねじ部が円筒状突出部(17b)の上部にねじ合わされることにより、下部ケーシング(11a)と上部ケーシング(11b)とがカウンタプレート(17)を介して結合されている。
【0020】
付勢部材(12)は、複数枚(図示は3枚)の円盤状ダイヤフラムスプリング(21)からなる。各ダイヤフラムスプリング(21)は、自然状態の形状が円錐状とされており、中央部に貫通孔(21a)が設けられ、貫通孔(21a)から放射状に複数のスロット(図示略)が設けられている。各ダイヤフラムスプリング(21)を凸の状態から平坦または凸の量が小さくなるように変形させることにより、ダイヤフラムスプリング(21)には、元の凸の状態に戻ろうとする弾性力が付与される。図1に示す各円盤状ダイヤフラムスプリング(21)は、中央部が周縁部に対して凸の形状とされた自然状態に対し、凸の量が小さくなるように弾性変形させられている。
【0021】
ばね受け(14)は、弁棒(7)のフランジ部(13)の外周に相対的に上下移動可能に嵌め合わされており、ケーシング(11)の底壁に設けられた環状凹所(11c)に嵌め入れられて固定されている。ばね受け(14)の上面(14a)は、径方向外方に行くにしたがって上方に移動するテーパ面とされている。図1に示した状態では、付勢部材(12)の貫通孔(12a)の下側周縁部は、弁棒(7)のフランジ部(13)の上面に当接しており、付勢部材(12)の貫通孔(12a)の下側周縁部とばね受け(14)の上面(14a)との間には、僅かな隙間が形成されている。
【0022】
内側ばね押さえ(15)は、軸部(22)と、軸部(22)の下端部に設けられた円筒部(23)とからなる。円筒部(23)の下面(23a)は、径方向外方に行くにしたがって下方に移動するテーパ面とされている。円筒部(23)の外径は、ばね受け(14)の外径とほぼ等しくなされている。内側ばね押さえ(15)は、円筒部(23)の下面(23a)の外周部(円筒部(23)の下端)によって付勢部材(12)を下方に押圧している。
【0023】
外側ばね押さえ(16)は、カウンタプレート(17)の下側に配置されており、円筒部(24)と、円筒部(24)の上端開口を閉鎖する頂部(25)とからなる。頂部(25)には、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)を挿通するための貫通孔(25a)が設けられている。
【0024】
カウンタプレート(17)の上側には、ピストン(18)が配置されている。ピストン(18)は、円板部(26)と、円板部(26)の下面に設けられた円筒状下方突出部(27)とからなる。円板部(26)および下方突出部(27)の全長にわたって、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)を挿通するための貫通孔(18a)が設けられている。ピストン(18)の下方突出部(27)は、カウンタプレート(17)を貫通して下面が外側ばね押さえ(16)の上面に当接させられている。
【0025】
内側ばね押さえ(15)の軸部(22)は、外側ばね押さえ部材(16)、カウンタプレート(17)およびピストン(18)を貫通して上方にのびている。ケーシング(11)の頂壁(11d)の中央部に、貫通孔(14)が設けられており、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)の上端部は、貫通孔(14)の下部に嵌め入れられている。貫通孔(14)の上部は、下部よりも大径とされて、ここに、めねじ部(14a)が設けられている。めねじ部(14a)に、下端が内側ばね押さえ(15)の軸部(22)の上端面に当接させられることで内側ばね押さえ(15)を位置決めする調整ねじ(19)がねじ合わされている。調整ねじ(19)は、ロックナット(28)によって、通常時には緩むことがないように固定されている。調整ねじ(19)およびロックナット(28)は、カバー(29)で覆われている。
【0026】
ケーシング(11)の頂壁(11d)とピストン(18)の上面との間が操作エア導入室(20)とされており、ケーシング(11)の頂壁(11d)には、操作エア導入室(20)に操作エアを導入するための導入口(20a)が設けられている。
【0027】
操作エア導入室(20)内の操作エアは、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)の外周面とピストン(18)の貫通孔(18a)の周面との間に形成された隙間から外側ばね押さえ(16)の上面上側に流入可能とされている。したがって、導入口(20a)からの操作エア導入時には、ピストン(18)および外側ばね押さえ(16)の両方が操作エアによって下方に押圧される。
【0028】
外側ばね押さえ(16)の頂部(25)の貫通孔(25a)と内側ばね押さえ(15)の軸部(22)との間に、Oリング(31)が設けられている。外側ばね押さえ(16)の頂部(25)とカウンタプレート(17)の円筒状突出部(17b)との間にも、Oリング(32)が設けられている。これにより、外側ばね押さえ(16)の上面上側にある操作エアがこれより下方に導入されることが防止されて、外側ばね押さえ(16)が内側ばね押さえ(15)およびカウンタプレート(17)に対して、下方に移動可能とされている。
【0029】
また、ピストン(18)の円板部(26)の外周と上部ケーシング(11b)との間にも、Oリング(33)が設けられている。カウンタプレート(17)の貫通孔とピストン(18)の下方突出部(27)の外周との間にも、Oリング(34)が設けられている。これにより、ピストン(18)の円板部(26)の下面とカウンタプレート(17)の上面との間に操作エアが導入されることなく、ピストン(18)が上部ケーシング(11b)およびカウンタプレート(17)に対して、下方に移動可能とされている。
【0030】
また、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)の上端部とケーシング(11)の頂壁(11d)の貫通孔(14)との間にもOリング(35)が設けられている。これにより、内側ばね押さえ(15)の位置調整を行った場合でも、操作エア導入室(20)内の操作エアが外部に漏れることが防止されている。
【0031】
図1に示す流体流入通路(2a)が閉鎖されている状態では、操作エア導入室(20)には、操作エアは導入されていない。付勢部材(12)の外周縁部は、外側ばね押さえ(16)を上方に押圧しており、外側ばね押さえ(16)の上面に下方突出部(27)下面が当接しているピストン(18)は、付勢部材(12)の上向きの力によって上方に押し上げられている。外側ばね押さえ(16)は、円筒部(24)の下端部外周に設けられた環状凸部(24a)がカウンタプレート(17)の円筒状突出部(17b)の下端面に当接することで、それ以上の上方への移動が阻止されている。ピストン(18)は、外側ばね押さえ(16)と一体で上方に移動しており、ケーシング(11)の頂壁(11d)に当接することで、それ以上の上方への移動が阻止されている。
【0032】
付勢部材(12)の中央部においては、付勢部材(12)の貫通孔(12a)の下側周縁部が弁棒(7)のフランジ部(13)上面に当接しているとともに、弁棒(7)のフランジ部(13)外周面よりも径方向外側において、上側から内側ばね押さえ(15)の円筒部(23)の下面(23a)の外周縁部が付勢部材(12)の貫通孔(12a)の上側周縁部上面に当接し、上側から外側ばね押さえ(16)の円筒部(24)の下面が付勢部材(12)の外周縁部上面に当接している。
【0033】
各円盤状ダイヤフラムスプリング(21)は、中央部が周縁部に対して凸の形状とされた自然状態に対し、下方に凸の量が小さくなるように弾性変形させられていることにより、下方に凸の量が大きくなるように弾性変形しようとしており、この弾性力によって、弁棒(7)のフランジ部は、下方に強く押圧されている。この押圧力により、ダイヤフラム(6)は、流体流入通路(2a)を閉鎖するように変形させられている。
【0034】
図1に示す流体流入通路(2a)が閉鎖されている状態において、操作エア導入室(20)に操作エアが導入されることにより、図2に示す流体流入通路(2a)が開放されている状態が得られる。図2において、操作エア導入室(20)に操作エアが導入されることにより、ピストン(18)が下方に押し下げられる。これに伴って、外側ばね押さえ(16)の上面に下方突出部(27)の下面が当接しているピストン(18)によって、外側ばね押さえ(16)が下方に押し下げられる。この際、操作エア導入室(20)内の操作エアは、内側ばね押さえ(15)の軸部(22)の外周面とピストン(18)の貫通孔(18a)の周面との間に形成された隙間から外側ばね押さえ(16)の上面上側に流入可能とされているので、外側ばね押さえ(16)の上面が操作エアによって下方に押圧され、ピストン(18)および外側ばね押さえ(16)が一体となって下方に移動する。これにより、付勢部材(12)の外周縁部は、外側ばね押さえ(16)によって、下方に押圧され、図1に示した状態とは逆向きの凸に変形(反転)させられる。この逆向きに凸の変形に対しては、規制する部材がないので、付勢部材(12)の各円盤状ダイヤフラムスプリング(21)は、自然状態の凸の形状まで変形し、これにより、弁棒(7)のフランジ部を下方に付勢している力がほぼゼロになる。付勢部材(12)は、貫通孔(12a)の下側周縁部がばね受け(14)の上面(14a)で受けられた状態で、保持される。
【0035】
こうして、弁棒(7)のフランジ部を下方に付勢している力がほぼゼロになることで、ダイヤフラム(6)は、自身の反発力(使用状況により流体の圧力)によって流体流入通路(2a)を開放するように変形する。
【0036】
ダイヤフラム弁(1)において、高圧流体に対して流体流入通路(2a)を閉鎖するためには、弁棒(7)に大きい下向きの力を付与する必要があり、内側ばね押さえ(15)によって付勢部材(12)の中央部を押圧することにより、高圧流体でも閉止できる大きい下向きの力を得ることができる。発生する力は、内側ばね押さえ(15)と付勢部材(12)との接触位置すなわち支点位置にもより、この接触位置の径は、小さくする方が好ましい。内側ばね押さえ(15)によって付勢部材(12)の中央部を押圧する大きさは、ダイヤフラム弁(1)を分解することなく、調整ねじ(19)のねじ込み量を変更することで調整できる。したがって、組立て後に、外部から付勢部材(12)の付勢力を調整することができ、流体流入通路(2a)を閉鎖するために必要な圧力を安定して得ることができる。
【0037】
なお、上記において、流体制御器としてダイヤフラム弁(1)を例示したが、上記の流体制御器用アクチュエータ(9)は、例示した以外の種々の流体制御器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
(1):ダイヤフラム弁、(2):ボディ、(7):弁棒、(9):流体制御器用アクチュエータ、(11):ケーシング、(11d):頂壁、(12):付勢部材、(12a):貫通孔、(15)内側ばね押さえ、(16):外側ばね押さえ、(19):調整ねじ、(20):操作エア導入室、(21):円盤状ダイヤフラムスプリング、(22):軸部、(23):円筒部
図1
図2