(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978038
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】漏れ検出装置およびこれを有する流体制御器
(51)【国際特許分類】
G01M 3/24 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
G01M3/24 A
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-162244(P2012-162244)
(22)【出願日】2012年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-21029(P2014-21029A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】土肥 亮介
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】銅 敏男
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3142304(JP,B2)
【文献】
特開平03−130637(JP,A)
【文献】
特開平02−291937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の漏れを検出する漏れ検出装置であって、センサ保持体と、漏れ検出対象部材に設けられて漏れ検出対象部材内の密封部分と外部とを連通するリークポートに対向するようにセンサ保持体に保持された超音波センサと、超音波センサのセンサ面とリークポートとの間に設けられた超音波通路と、超音波センサで得られた超音波を処理する処理回路とを備えていることを特徴とする漏れ検出装置。
【請求項2】
流体の流れを制御する流体制御器本体と、流体制御器本体内の流体の漏れを検出する漏れ検出装置とからなり、流体制御器本体に、流体制御器本体内の密封部分と外部とを連通するリークポートが設けられており、漏れ検出装置が請求項1に記載のものとされていることを特徴とする流体制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の漏れを検出する漏れ検出装置およびこれを有する流体制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
漏れ検出装置が設けられた流体制御器として、流体制御器本体に振動ピックアップが取り付けられたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、流体制御器の漏れを検出する装置として、超音波センサを使用したものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−8850号公報
【特許文献2】特開2001−305005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のものでは、流体の漏れの検出精度が悪いという問題がある。特許文献2のように、超音波センサを使用することで、漏れ検出の精度が向上する。特許文献2の漏れ検出装置は、必要に応じて、漏れを検出するもので、常時監視するものではない。常時監視するためには、漏れ検出装置を流体制御器本体に常時取り付けておくことが必要であり、そのためには、小型化することが課題となっている。
【0006】
この発明の目的は、小型化して流体制御器などの漏れ検出対象部材に常時取り付けておくことができ、これにより、流体の漏れを常時監視することが可能となる漏れ検出装置およびこれを有する流体制御器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による漏れ検出装置は、流体の漏れを検出する漏れ検出装置であって、センサ保持体と、漏れ検出対象部材に設けられて漏れ検出対象部材内の密封部分と外部とを連通するリークポートに対向するようにセンサ保持体に保持された超音波センサと、超音波センサのセンサ面とリークポートとの間に設けられた超音波通路と、超音波センサで得られた超音波を処理する処理回路とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明による流体制御器は、流体の流れを制御する流体制御器本体と、流体制御器本体内の流体の漏れを検出する漏れ検出装置とからなり、流体制御器本体に、流体制御器本体内の密封部分と外部とを連通するリークポートが設けられており、漏れ検出装置が上記のものとされていることを特徴とするものである。
【0009】
流体制御器本体は、例えば、公知のダイヤフラム弁とされ、通常、漏れ検知のためのリークポートが設けられている。ダイヤフラムの破損などにより、流体制御器本体内の密封性が破壊されると、リークポートから流体が漏れる。この漏れによって、超音波(約40kHz)が発生し、超音波センサによって、超音波の発生の有無、すなわち、漏れの有無が検出できる。処理回路では、超音波を継続して検出した場合に、アラームを発生するようになされる。漏れ検出装置は、超音波発生箇所であるリークポートを利用するように取り付けられ、これにより、精度よく漏れの有無が検出でき、漏れ検出装置を小型化することができる。小型化された漏れ検出装置は、センサ保持体を介して流体制御器本体に容易に取り付けることができ、こうして得られた流体制御器では、流体制御器内の漏れを常時監視することが可能となる。
【0010】
上記の漏れ検出装置は、リークポートが設けられている部材であれば適用することができ、漏れ検出対象部材の他の例としては、ナット側面にリークポートが形成された継手がある。継手の種類は、特に限定されるものではなく、漏れ検出装置は、ガスケットを用いてシールするものや、フェルール(リング)等を用いて固定する方法等、リークポートが設けられたナットを用いる種々の継手に適用できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の漏れ検出装置によると、漏れ検出対象部材に設けられたリークポートを使用して、リークポートに超音波センサを臨ませることで、流体の漏れの検出精度が向上し、超音波センサの小型化が可能となる。これにより、超音波センサをセンサ保持体を介して漏れ検出対象部材に常時取り付けておくことができ、漏れ検出対象部材内の漏れを常時監視することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、この発明による漏れ検出装置およびこれを有する流体制御器の1実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
【
図4】
図4は、漏れ検出装置のセンサ保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下および左右は、
図1の上下および左右をいうものとする。
【0014】
図1および
図2に示すように、流体制御器(1)は、流体の流れを制御(遮断開放、流量調整など)する流体制御器本体(漏れ検出対象部材)(2)と、流体制御器本体(2)内の流体の漏れを検出する漏れ検出装置(3)とからなる。
【0015】
流体制御器本体(2)は、公知のダイヤフラム弁で、内部構成を省略しているが、
図3にも示すように、入口管継手部(12)および出口管継手部(13)が設けられたボディ(11)と、ボディ(11)上部に嵌め被せられた略円筒状のボンネット(14)と、ボンネット(14)上方に取り付けられたケーシング(15)とを備えている。
【0016】
流体制御器本体(2)のボンネット(14)には、流体制御器本体(2)内の密封部分と外部とを連通しており、漏れを検知するためのリークポート(16)が設けられている。
【0017】
漏れ検出装置(3)は、超音波センサを利用して、流体制御器本体(2)に設けられたリークポート(16)からの漏れを検出するもので、流体制御器本体(2)に取り付けられたセンサ保持体(21)と、リークポート(16)に所定間隔をおいて対向するようにセンサ保持体(21)に保持された超音波センサ(22)と、超音波センサ(22)のセンサ面とリークポート(16)との間に設けられた直線状の超音波通路(23)と、超音波センサ(22)で得られた超音波を処理する処理回路(24)とを備えている。
【0018】
センサ保持体(21)は、
図4にも示すように、ボンネット(14)に嵌め入れられる貫通孔(31a)が設けられた水平部(31)と、ボンネット(14)およびケーシング(15)に側面から当てられる垂直部(32)とからなる。センサ保持体(21)の垂直部(32)の下部(32a)に、超音波センサ(22)が設けられており、センサ保持体(21)の垂直部(32)の上部(32b)に、処理回路(24)が設けられている。センサ保持体(21)は、既存の流体制御器本体(2)に着脱自在に取り付けることができるようになされている。センサ保持体(21)は、必要に応じて、複数の部材に分割されて、ねじなどで結合することにより組み立てられる。
【0019】
超音波センサ(22)は、約40kHzの周波数の超音波の大きさを測定可能なものとされている。超音波センサ(22)のセンサ面は、超音波通路(23)を介して、リークポート(16)に臨まされている。
【0020】
処理回路(24)は、超音波センサ(22)の出力を処理し、超音波を継続して検出した場合に、漏れが生じていると判定して、アラームを発生する。
【0021】
この実施形態の流体制御器(1)によると、ダイヤフラムの破損などにより、流体制御器本体(2)内の密封性が破壊されると、リークポート(16)から流体が漏れる。この漏れによって、超音波(約40kHz)が発生し、超音波センサ(22)によって、超音波の発生の有無、すなわち、漏れの有無が検出される。漏れ検出装置(3)は、超音波発生箇所であるリークポート(16)を利用するように取り付けられているので、精度よく漏れの有無が検出できる。したがって、超音波センサ(22)を大型化しなくても、漏れの検出が可能となり、漏れ検出装置(3)を小型化できる。小型化された漏れ検出装置(3)は、センサ保持体(21)を介して流体制御器本体(2)に容易に取り付けることができる。こうして得られた流体制御器(1)によると、流体制御器(1)内の漏れを常時監視することが可能となる。
【0022】
なお、上記において、流体制御器本体(2)として、ダイヤフラム弁を例示したが、流体制御器本体(2)は、これに限られるものではなく、種々の流体制御を行うものであってよく、漏れを検知するためのリークポート(16)を有していれば、形状等については、限定されない。センサ保持体(21)は、流体制御器本体(2)に適合する形状に作成される。リークポート(16)は、流体制御器本体(2)の適宜な位置に後加工で設けるようにしてもよい。
【0023】
また、配管途中に設けられた継手に使用されているナットには、通常、その側面にリークポートが設けられており、漏れ検出装置(3)は、このようなナットを有している継手に適用することもできる。
【0024】
この場合の継手は、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の継手部材と、両継手部材の突き合わせ部をシールするシール手段と、継手部材同士を結合するナットとを備えている管継手本体と、継手本体内の流体の漏れを検出する漏れ検出装置(3)とからなり、ナットに、管継手本体内の密封部分と外部とを連通するリークポート(16)が設けられており、漏れ検出装置(3)は、ナットに取り付けられたセンサ保持体(21)と、リークポート(16)に対向するようにセンサ保持体(21)に設けられた超音波センサ(22)と、超音波センサ(22)のセンサ面とリークポート(16)との間に設けられた超音波通路(23)と、超音波センサ(22)で得られた超音波を処理する処理回路(24)とを備えているものとされる。
【符号の説明】
【0025】
(1):流体制御器、(2):流体制御器本体、(3):漏れ検出装置、(16):リークポート、(21):センサ保持体、(22):超音波センサ、(23):超音波通路、(24):処理回路