特許第5978084号(P5978084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5978084-パワーオンリセット回路 図000002
  • 特許5978084-パワーオンリセット回路 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978084
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】パワーオンリセット回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   H03K17/22 E
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-211308(P2012-211308)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2013-179561(P2013-179561A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年7月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-17053(P2012-17053)
(32)【優先日】2012年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡 智博
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−023127(JP,A)
【文献】 特開平11−068539(JP,A)
【文献】 特開2010−166110(JP,A)
【文献】 特開平02−029118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースが第二の電源端子に接続され、ゲートがドレインに接続されたNMOSトランジスタと、
ソースが前記NMOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインが第一の電源端子に接続され、ゲートが前記第二の電源端子に接続された、しきい値電圧が負の空乏型NMOSトランジスタと、
ソースが前記第一の電源端子に接続され、ゲートが前記NMOSトランジスタのドレインに接続されたPMOSトランジスタと、
前記PMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、他端が前記第二の電源端子に接続されたキャパシタと、
前記PMOSトランジスタのドレインに入力端子が接続され、出力端子よりパワーオンリセット信号として出力する波形整形回路と、
を備えたパワーオンリセット回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CMOS半導体集積回路のパワーオンリセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
リセット端子を有しないCMOS半導体集積回路では、電源が接続された際に内部のロジック回路やアナログ回路を初期化するパワーオンリセット回路が内蔵されている。
【0003】
従来のパワーオンリセット回路について、図2を用いて説明する。
電源電圧が立ち上がると、容量111のカップリングにより、ノードBの電圧も電源電圧になっていく。すると、インバータ121により、ノードCの電圧はローレベルになる。ノードCの電圧は、波形整形回路107によって波形整形され、ノードDにローレベルのリセット信号を出力する。このリセット信号は、ノードDに接続された回路を初期化する。また、ノードCの電圧がローレベルになると、NMOSトランジスタ103はオフする。
【0004】
制御回路100は入力端子がローレベルになると、出力端子にハイレベルの信号を出力する。NMOSトランジスタ102は、ゲート電圧が高くなるのでオンし、容量111に蓄積された電荷が空乏型NMOSトランジスタ101を介して放電される。ノードBの電圧がインバータ121の反転電圧まで下がると、ノードCの電圧はハイレベルになる。ノードCの電圧は、波形整形回路107によって波形整形され、ノードDのリセット信号は解除される。また、ノードCの電圧がハイレベルになると、NMOSトランジスタ103がオンして容量111を放電することで、ノードBの電圧は接地電圧になる。
【0005】
ここで、従来のパワーオンリセット回路は、ノードCにプルダウン素子122が設けられているので、電源電圧の立ち上がり速度が遅い場合や電源電圧が接地電圧以外の電圧から立ち上げられる場合でも、ノードCの電圧が不定になりにくい、という特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−152735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のパワーオンリセット回路は、内部電圧が不定となる場合は正常に動作しないおそれがある。特に、電源電圧が負の状態から立ち上がった場合に、ノードBは接地電圧を下回らないにもかかわらず、ノードCは接地電圧を下回る。従って、その後波形整形回路の電源が立ち上がっても、波形整形回路はパワーオンリセット信号を出力することが出来ない。
【0008】
本発明は上記課題を解決し、電源起動の状態にかかわらず、確実にパワーオンリセット信号を出力することが出来るパワーオンリセット回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパワーオンリセット回路は、ソースが第二の電源端子に接続され、ゲートがドレインに接続されたNMOSトランジスタと、ソースが前記NMOSトランジスタのドレインに接続され、ドレインが第一の電源端子に接続され、ゲートが前記第二の電源端子に接続された空乏型NMOSトランジスタと、ソースが前記第一の電源端子に接続され、ゲートが前記NMOSトランジスタのドレインに接続されたPMOSトランジスタと、前記PMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、他端が前記第二の電源端子に接続されたキャパシタと、前記PMOSトランジスタのドレインに入力端子が接続され、出力端子よりパワーオンリセット信号として出力する波形整形回路とからなり、第一と第二の電源端子の間に充分な電位差がないときはPMOSトランジスタがカットオフ状態となっているが、前記電源端子の間に充分な電位差が生じるとPMOSトランジスタがオンし、前記キャパシタに充電され、その後波形整形回路によりパワーオンリセット信号が出力される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、いかなる電源電圧からの立ち上がりにおいても確実なパワーオンリセット信号出力が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
図2】従来のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
パワーオンリセット回路は、空乏型NMOSトランジスタ3、NMOSトランジスタ4、PMOSトランジスタ5、キャパシタ6、波形整形回路7および第一の電源端子1と第二の電源端子2で構成されている。
【0013】
NMOSトランジスタ4のソースは第二の電源端子2に接続され、ゲートはドレインに接続される。空乏型NMOSトランジスタ3のドレインは第一の電源端子1に接続され、ソースはNMOSトランジスタ4のドレインに接続され、ゲートは第二の電源端子2に接続される。PMOSトランジスタ5のソースは第一の電源端子1に接続され、ゲートはNMOSトランジスタ4のドレインに接続され、ドレインはキャパシタ6の一方の端子に接続される。キャパシタ6の他方の端子は第二の電源端子2に接続される。波形整形回路7の入力端子はPMOSトランジスタ5のドレインに接続され、パワーオンリセット信号8を出力する。
【0014】
上記のように構成された本発明のパワーオンリセット回路は、以下のように動作して確実にパワーオンリセット信号を出力する。
第一の電源端子1と第二の電源端子2の間の電位差が空乏型NMOSトランジスタ3のしきい値電圧の絶対値よりも小さいときは、空乏型NMOSトランジスタ3がオン状態となり飽和結線されたNMOSトランジスタ4のドレイン電圧は第一の電源端子1と等しくなる。
【0015】
電源電圧が上昇していくとNMOSトランジスタ4のドレイン電圧はNMOSトランジスタ4のしきい値電圧または空乏型NMOSトランジスタ3のしきい値電圧の絶対値のいずれか小さい電圧まで上昇する。
【0016】
NMOSトランジスタ4のドレイン電圧は、PMOSトランジスタのゲート電圧として入力されているため、PMOSトランジスタ5は電源電圧が上昇して行くに従いカットオフ状態からオン状態へと遷移する。オン状態へ遷移したPMOSトランジスタ5は、キャパシタ6への充電を開始し、充分な電荷がキャパシタへ充電されると、波形整形回路7によりパワーオンリセット信号8が解除される。
【0017】
第一の電源端子の電圧が第二の電源端子の電圧を下回った場合にも、空乏型NMOSトランジスタ3がオン状態を維持するとともに、PMOSトランジスタ5をオフ状態または寄生ダイオードにより第一の電源端子よりもやや高い電圧がキャパシタ6との間の端子に現れる。
【0018】
その後、第一の電源端子と第二の電源端子の電位差がゼロとなり第一の電源端子の電圧が第二の電源端子よりも高くなっていく過程においては空乏型NMOSトランジスタ3がオン状態である領域では飽和結線されたNMOSトランジスタ4のドレイン電圧は第一の電源端子の電圧と等しく、カットオフ状態となった後の動作については通常の電電立ち上がり動作と同様となる。
【0019】
以上説明したように、本発明のパワーオンリセット回路によれば、電源起動の状態にかかわらず、確実にパワーオンリセット信号を出力することが出来る。
【符号の説明】
【0020】
1 第一の電源端子
2 第二の電源端子
3 空乏型NMOSトランジスタ
4 NMOSトランジスタ
5 PMOSトランジスタ
6 キャパシタ
7 波形整形回路
8 パワーオンリセット信号
図1
図2