(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のスリッタ装置は、
図12に示すように、ホルダーユニットに、上刃と皿バネとが備えられ、帯状の被切断部材を長さ方向に沿って(多数条に)切断する。
図13は、
図12のA部を拡大した図である。
図13に示すように、被切断部材が切断面の品質を保って最適に切断されるように、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を設定しなければならない。
【0003】
また、従来のスリッタ装置には、
図14に示すように、上刃と皿バネとを刃物ホルダーに組み込んだホルダーユニットを単体で予め組み立てておき、ホルダーユニットを回転軸に複数個装着し、切断幅に応じてホルダーユニットを移動させて使用するものがある。このようなスリッタ装置においては、ホルダーユニットを移動させた後に、その都度、下丸刃の刃先に上丸刃を押し付けて(圧接して)、所定の圧接力が得られるように刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整しなければならないという問題があった。
【0004】
刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する手法として、
図15に示すように、従来のスリッタ装置は、回転軸を軸方向に移動させるための上刃軸移動量調整手段と、刃物ホルダーを軸方向に移動させるためのホルダー移動量調整手段(刃物ホルダー固定用ねじ)と、刃物ホルダーに配設された付勢部材(皿バネ)を軸方向に移動させるための付勢部材移動量調整手段(ナット)を備える(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する手法として、
図16に示すように、従来のスリッタ装置は、下刃40の外周面41aに当接可能な外周当接面72と、この外周当接面72の一部から突出し、下刃40の下刃先端40aに当接可能な当接凸部76と、上刃30の腹部33に当接可能な腹部当接面73とを設けて構成した冶具を使用して、刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整する手法として、
図17に示すように、従来のスリッタ装置は、上刃を下刃に接触させた後、さらに押付けていく量を検出するセンサーを用いて、側圧を自動制御する(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示すスリッタ装置は、上下刃を装置に組込んだ後に、側圧を測りながら個々に刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整しなければならない。また、切断条数が増えれば側圧測定に手間がかかる。さらに、切断幅が狭い場合は、付勢部材移動量調整手段(ナット)を回すのが困難で、且つ刃先が作業者の近くにあり危険が伴う。
【0009】
特許文献2に示すスリッタ装置は、上下刃を装置に組込んだ後に、刃先の圧接位置(圧接寸法)の調整を行わなければならない。また、下刃の幅寸法T(
図16)は冶具の基準となるので、全ての下刃は、再研磨された際も幅寸法Tになるように、精度よく加工されなければならない。さらに、上下の回転軸間距離を大きく動かせない場合や回転軸間距離を大きく取れない場合は、冶具を挿入できず、冶具が使用できない。
【0010】
特許文献3に示すスリッタ装置は、駆動手段や伝達手段が必要であり、構造が複雑になるとともに、制御装置が高コストとなる。また、切断幅が狭い場合は、センサーを取り付ける空間を確保するのが困難となる。
【0011】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができるスリッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のスリッタ装置は、回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸方向に移動可能である回転刃と、前記回転軸に取り付けられ、前記回転刃と嵌合するホルダーと、前記回転軸の周方向に回転可能であり、前記軸方向に凹部又は凸部を含む回転部と
、前記回転刃を前記軸方向に押圧する押圧部とを備え、
前記凹部又は前記凸部は、前記押圧部に接し、前記回転部が回転することにより、
前記押圧部と接する位置において、前記凹部又は前記凸部の厚さが
前記軸方向で変化し、前記厚さの変化に応じて、前記回転刃が前記軸方向に移動する。
【0015】
この構成によれば、回転部が回転することにより、押圧部と接する位置において、凹部又は凸部の厚さが軸方向で変化し、凹部又は凸部の厚さの変化に応じて、回転刃が軸方向に移動するので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0016】
本発明のスリッタ装置では、前記押圧部は、前記ホルダーの貫通孔を貫通して、前記押圧部の端部が前記回転刃と接することにより、前記回転刃を押圧する。
【0017】
この構成によれば、押圧部は、ホルダーの貫通孔を貫通して、押圧部の端部が回転刃と接することにより、回転刃を押圧するので、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0018】
本発明のスリッタ装置では、前記押圧部は、前記ホルダーの周方向に複数備えられ、複数の前記凹部又は前記凸部は、前記複数の押圧部にそれぞれ接し、前記回転部が回転することにより、それぞれの前記押圧部と接する位置において、前記凹部又は前記凸部の厚さが同じ厚さになるように変化する。
【0019】
この構成によれば、複数の押圧部を用いて、同じ厚さ変化で上丸刃(回転刃)を押圧することで、上丸刃(回転刃)の軸方向の移動距離を正確且つ均一に調整することができる。
【0020】
本発明のスリッタ装置は、
回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸方向に移動可能である回転刃と、前記回転軸に取り付けられ、前記回転刃と嵌合するホルダーと、前記回転軸の周方向に回転可能であり、前記軸方向に凹部又は凸部を含む回転部と、前記ホルダーに固定される固定突起部
とを備え、前記凹部又は前記凸部は、前記固定突起部に接し、前記回転部が回転することにより、前記固定突起部と接する位置において、前記凹部又は前記凸部の厚さが前記軸方向で変化し、前記厚さの変化に応じて、前記回転刃が前記軸方向に移動する。
【0021】
この構成によれば、回転部が回転することにより、固定突起部と接する位置において、凹部又は凸部の厚さが軸方向で変化し、凹部又は凸部の厚さの変化に応じて、回転刃が軸方向に移動するので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0022】
本発明のスリッタ装置では、前記固定突起部は、前記ホルダーの周方向に複数備えられ、複数の前記凹部又は前記凸部は、前記複数の固定突起部にそれぞれ接し、前記回転部が回転することにより、それぞれの前記固定突起部と接する位置において、前記凹部又は前記凸部の厚さが略同じ厚さになるように変化する。
【0023】
この構成によれば、複数の固定突起部を用いて、同じ厚さ変化で上丸刃(回転刃)を押圧することで、上丸刃(回転刃)の軸方向の移動距離を正確且つ均一に調整することができる。
【0034】
本発明のスリッタ装置は、回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸方向に移動可能である回転刃と、前記回転軸に取り付けられ、前記回転刃と嵌合するホルダーと、複数の前記ホルダーの間に取り付けられ、前記回転軸の周方向に回転可能であり、前記軸方向の両面に凹部又は凸部を含む回転部とを備え、前記回転部が回転することにより、前記両面の前記凹部又は前記凸部の厚さが変化し、前記厚さの変化に応じて、前記複数のホルダーの前記回転刃が前記軸方向にそれぞれ移動する。
【0035】
この構成によれば、回転部が回転させることにより、凹部又は凸部の厚さが両面で同時に変化するので、対向する回転刃を圧接位置で同時に圧接させることができ、同時に圧接状態を解除させることができる。
【0036】
本発明のスリッタ装置は、前記複数のホルダーの前記回転刃をそれぞれ前記軸方向に押圧する複数の押圧部を備え、前記両面の前記凹部又は前記凸部は、前記複数の押圧部にそれぞれ接し、前記回転部が回転することにより、前記複数の押圧部とそれぞれ接する位置において、前記両面の前記凹部又は前記凸部の厚さが前記軸方向でそれぞれ変化し、前記厚さの変化に応じて、前記複数のホルダーの前記回転刃が前記軸方向にそれぞれ移動する。
【0037】
この構成によれば、回転部が回転することにより、押圧部と接する位置において、両面の凹部又は凸部の厚さが軸方向で変化し、両面の凹部又は凸部の厚さの変化に応じて、対向する回転刃が軸方向に同時に移動するので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0038】
本発明のスリッタ装置は、前記複数のホルダーの間に取り付けられ、前記回転部を前記軸方向で挟むスペーサを備え、前記複数の押圧部は、前記スペーサの貫通孔を貫通して、前記複数の押圧部の端部が前記複数のホルダーの前記回転刃とそれぞれ接することにより、前記複数のホルダーの前記回転刃をそれぞれ押圧する。
【0039】
この構成によれば、押圧部は、スペーサの貫通孔を貫通して、押圧部の端部が回転刃と接することにより、回転刃を押圧するので、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、回転部が回転することにより、凹部又は凸部の厚さが軸方向で変化し、凹部又は凸部の厚さの変化に応じて、上刃(回転刃)が軸方向に移動するので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができるという効果を有するスリッタ装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態のスリッタ装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態のスリッタ装置に用いられるホルダーユニット1の一例を示した分解図である。ホルダーユニット1は、単体で予め組み立てられ、
図7に示すスリッタ装置の第1の回転軸に取り付けられる。ホルダーユニット1の上刃は、第2の回転軸に取り付けられる下刃に圧接し、第1及び第2の回転軸が回転することにより、帯状の被切断部材を周方向に沿って(多数条に)切断する。ホルダーユニット1は、第1の回転軸に複数個装着される。
【0043】
図1に示すように、ホルダーユニット1は、上丸刃(回転刃)2、刃物ホルダー(ホルダー)3、皿バネ4、蓋5、及び端面カム(回転部)6を備える。刃物ホルダー(ホルダー)3は、フランジ部7、小径段部8、小径段部9、スリット10、留め具11、貫通孔12、押圧ピン(押圧部)13、及び固定孔14を備える。蓋5は、固定孔16及び固定具17を備える。端面カム(回転部)6は、凹部18、凸部19、ボールプランジャー(突起部)20、ボールプランジャー孔(貫通孔)21、及びカム回転用冶具(ハンドル)22を備える。
【0044】
刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部8は、フランジ部7よりも径が小さくなっており、上丸刃(回転刃)2の内径と略一致する。上丸刃(回転刃)2は、小径段部8に挿入され、径方向の平面部がフランジ部7の側面に当接することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。
【0045】
皿バネ4の内径は、小径段部8と略一致する。皿バネ4は、上丸刃(回転刃)2とともに、小径段部8に挿入されて刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合し、上丸刃(回転刃)2を押圧する。蓋5の内径は、小径段部8と略一致する。蓋5は、皿バネ4及び上丸刃(回転刃)2とともに、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合し、径方向の平面部が皿バネ4に当接することにより、皿バネ4及び上丸刃(回転刃)2を刃物ホルダー(ホルダー)3内に保持する。固定具17を蓋5側から固定孔14,16に挿入することにより、上丸刃(回転刃)2、皿バネ4、及び蓋5が刃物ホルダー(ホルダー)3に固定される。なお、固定孔14は、小径段部8の径方向の平面部に設けられ、固定孔16は、蓋5の径方向の平面部に設けられる。
【0046】
貫通孔12は、フランジ部7の径方向の平面部に設けられ、刃物ホルダー(ホルダー)3を貫通する。押圧ピン(押圧部)13は、刃物ホルダー(ホルダー)3の貫通孔12を貫通して、押圧ピン(押圧部)13の端部が上丸刃(回転刃)2と接することにより、上丸刃(回転刃)2を回転軸(第1の回転軸)の軸方向に押圧する。
【0047】
刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部9は、フランジ部7よりも径が小さくなっており、端面カム(回転部)6の内径と略一致する。端面カム(回転部)6は、押圧ピン(押圧部)13とともに、小径段部9に挿入され、凸部19がフランジ部7の側面に当接することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。
【0048】
端面カム(回転部)6が刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合した状態で、ボールプランジャー(突起部)20が、ボールプランジャー孔(貫通孔)21から挿入される。ボールプランジャー(突起部)20のボール部が、小径段部9の周方向(外周面)に設けられる溝部(回転ガイド溝)23(
図2に示す)に沿って移動する。端面カム(回転部)6は、ボールプランジャー(突起部)20が溝部(回転ガイド溝)23に沿って移動することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3の外周面に沿って回転する。
【0049】
端面カム(回転部)6は、回転軸(第1の回転軸)の周方向に回転可能であり、回転軸(第1の回転軸)軸方向に凹部18又は凸部19を含む。凹部18又は凸部19は、端面カム(回転部)6の径方向の平面部に設けられ、押圧ピン(押圧部)13に接する。端面カム(回転部)6が回転することにより、押圧ピン(押圧部)13と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが回転軸(第1の回転軸)の軸方向で変化する。
【0050】
カム回転用冶具(ハンドル)22は、操作者が回転力を与えることにより、端面カム(回転部)6を回転軸(第1の回転軸)の周方向に回転させる。
【0051】
このように、ホルダーユニット1が単体として組み立てられる。組み立てられたホルダーユニット1は、第1の回転軸に複数個装着される。留め具11を緩めて、スリット10のスリット幅を大きくし、ホルダーユニット1を回転軸(第1の回転軸)に挿入する。ホルダーユニット1の位置が決まったら、留め具11を締めて、スリット10のスリット幅を小さくし、ホルダーユニット1を回転軸(第1の回転軸)に固定する。
【0052】
図2は、組み立てられたホルダーユニット1の押圧ピン(押圧部)13における軸方向の断面図である。
図2(a)に示すように、押圧ピン(押圧部)13は、図示しない付勢手段によって端面カム(回転部)6側に付勢され、押圧ピン(押圧部)13が上丸刃(回転刃)2を押圧しない非押圧状態では、端面カム(回転部)6の凹部18が、押圧ピン(押圧部)13の頭部25に接している。また、上丸刃(回転刃)2と押圧ピン(押圧部)13の端部24とは、その間に僅かに隙間が設けられているか、非押圧状態で接している。
図2(b)に示すように、押圧ピン(押圧部)13が上丸刃(回転刃)2を押圧する押圧状態では、端面カム(回転部)6の凸部19が、押圧ピン(押圧部)13の頭部25に接している。
【0053】
端面カム(回転部)6が回転することにより、凹部18又は凸部19の厚さが、回転軸(第1の回転軸)の軸方向で変化し、厚さの変化(変化厚さ)に応じて、上丸刃(回転刃)2が軸方向に移動する。皿バネ4は、凹部18又は凸部19の反対側から上丸刃(回転刃)2を押圧するが、皿バネ4は軸方向に弾性を有するので、上丸刃(回転刃)2は、軸方向に移動可能である。
【0054】
端面カム(回転部)6は、ボールプランジャー(突起部)20が溝部(回転ガイド溝)23に沿って移動することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3の外周面に沿って回転する。端面カム(回転部)6が回転することにより、凹部18(非押圧状態)から凸部19(押圧状態)に切り替わり、端面カム(回転部)6の軸方向の厚さが変化する。端面カム(回転部)6の径方向の平面部が押圧ピン(押圧部)13の頭部25に接しているので、端面カム(回転部)6の軸方向の厚さが変化することにより、押圧ピン(押圧部)13の端部24の位置が変化し、押圧ピン(押圧部)13の端部24が上丸刃(回転刃)2を押圧する。
【0055】
なお、端面カム(回転部)6の凹部18又は凸部19の厚さを調整することにより、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を調整することができる。また、
図1では、凹部18及び凸部19がそれぞれ1つずつ設けられているが、厚さが異なる複数の凹部18又は凸部19を設け、複数の凹部18又は凸部19の厚さが、軸方向で多段階に変化してもよい。この結果、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を多段階に調整することができる。
【0056】
また、
図1では、押圧ピン(押圧部)13が1つ設けられているが、押圧ピン(押圧部)13は、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に複数備えられてもよい。この場合、複数の凹部18又は凸部19が、複数の押圧ピン(押圧部)13にそれぞれ接し、端面カム(回転部)6が回転することにより、それぞれの押圧ピン(押圧部)13と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが同じ厚さになるように変化してもよい。
図3は、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に、複数の凹部18又は凸部19が設けられた端面カム(回転部)6を示した図である。
図3に示すように、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に、120度角の間隔で、3つの凹部18が設けられている。3つの凹部18の間には、3つの凸部19がそれぞれ設けられている。凹部18及び凸部19の厚さは、それぞれ同じ厚さである。この場合、フランジ部7には、凹部18に対応する位置に、120度角の間隔で、3つの貫通孔12及び3つの押圧ピン(押圧部)13が設けられる。3つの凹部18が、3つの押圧ピン(押圧部)13に同時にそれぞれ接し、端面カム(回転部)6が回転することにより、3つの凸部19が、3つの押圧ピン(押圧部)13に同時にそれぞれ接するように切り替わる。この結果、複数の凹部18又は凸部19がそれぞれの押圧ピン(押圧部)13と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが同じ厚さになるように変化する。このように、複数の押圧ピン(押圧部)13を用いて、同じ厚さ変化で上丸刃(回転刃)2を押圧することにより、皿バネ4の弾性力に均一に対抗することができ、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を正確且つ均一に調整することができる。
【0057】
また、端面カム(回転部)6は、回転軸(第1の回転軸)の軸方向に傾斜部を含んでもよい。端面カム(回転部)6が回転することにより、傾斜部の厚さに対応する端面カム(回転部)6の厚さが軸方向で変化し、厚さの変化に応じて、上丸刃(回転刃)2が軸方向に移動する。この結果、端面カム(回転部)6の厚さが軸方向で無段階に変化し、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を無段階に調整することができる。この場合、皿バネ4の弾性力によって、端面カム(回転部)6は、傾斜部の厚さが小さくなる方向に回転しようとするので、端面カム(回転部)6を刃物ホルダー(ホルダー)3に保持する保持部を設け、上丸刃(回転刃)2の圧接位置(圧接寸法)が調整された状態で、端面カム(回転部)6を刃物ホルダー(ホルダー)3に保持してもよい。
【0058】
以上のように、本実施の形態によれば、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、端面カム(回転部)6を回転させることにより、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。例えば、上丸刃(回転刃)を下丸刃(下刃)に接触させて、刃物ホルダー(回転部)6を回転軸(第1の回転軸)に固定した後、刃物ホルダー(回転部)6を回転させることにより、上丸刃と下丸刃が所定の圧接力で圧接することになる。
【0059】
本実施の形態によれば、回転部が回転することにより、凹部又は凸部の厚さが軸方向で変化するので、予め凹部と凸部の厚さの差を被切断部材を切断するための最適な圧接寸法として加工しておけば、回転軸に組込む前の回転刃と回転部をホルダーに装着した状態で、回転部を回転させて回転刃を軸方向に移動させることで、前もって回転刃を上下刃先の圧接位置(圧接寸法)にしておくことができる。この状態で、回転軸に組込んだ後は、回転刃の刃先を下刃の刃先に軽く接触させた位置でホルダーを回転軸に固定し、その後回転軸を回転させてやれば、回転刃は、圧接位置で圧接する。凹部又は凸部にワンタッチで切り替えるだけでよいので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0060】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態にかかるスリッタ装置について、図面を用いて説明する。特に言及しない場合は、他の構成は、第1の実施の形態のスリッタ装置と同様である。
図4は、本発明の実施の形態のスリッタ装置に用いられるホルダーユニット1の一例を示した分解図である。
図4に示すように、刃物ホルダー(ホルダー)3は、フランジ部7、小径段部28、小径段部29、及び固定ピン(固定突起部)30を備える。固定ピン(固定突起部)30は、フランジ部7の径方向の平面部に備えられ、刃物ホルダー(ホルダー)3に固定されている。固定ピン(固定突起部)30は、ボールプランジャーなどの突起部であればよい。また、固定ピン(固定突起部)30は、刃物ホルダー(ホルダー)3に埋め込まれたものではなく、刃物ホルダー(ホルダー)3自体の形状として形成されてもよい。
【0061】
刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部28は、フランジ部7よりも径が小さくなっており、端面カム(回転部)6の内径と略一致する。端面カム(回転部)6は、小径段部28に挿入され、径方向の平面部がフランジ部7の側面(固定ピン30)に当接することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。
【0062】
小径段部29は、小径段部28よりも径が小さくなっており、上丸刃(回転刃)2の内径と略一致する。上丸刃(回転刃)2は、小径段部29に挿入され、径方向の平面部が端面カム(回転部)6の側面27に当接することにより、端面カム(回転部)6とともに、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。
【0063】
皿バネ4の内径は、小径段部29と略一致する。皿バネ4は、上丸刃(回転刃)2とともに、小径段部29に挿入されて刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合し、上丸刃(回転刃)2を押圧する。蓋5の内径は、小径段部29と略一致する。蓋5は、皿バネ4、上丸刃(回転刃)2、及び端面カム(回転部)6とともに、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合し、径方向の平面部が皿バネ4に当接することにより、皿バネ4及び上丸刃(回転刃)2を刃物ホルダー(ホルダー)3内に保持する。固定具17を蓋5側から固定孔14,16に挿入することにより、上丸刃(回転刃)2、皿バネ4、蓋5、及び端面カム(回転部)6が刃物ホルダー(ホルダー)3に固定される。
【0064】
図5は、組み立てられたホルダーユニット1の固定ピン(固定突起部)30における軸方向の断面図である。
図5(a)に示すように、端面カム(回転部)6が上丸刃(回転刃)2を押圧しない非押圧状態では、端面カム(回転部)6の凹部18が、固定ピン(固定突起部)30の端部26に接している。
図5(b)に示すように、端面カム(回転部)6が上丸刃(回転刃)2を押圧する押圧状態では、端面カム(回転部)6の凸部19が、固定ピン(固定突起部)30の端部26に接している。
【0065】
端面カム(回転部)6が回転することにより、凹部18又は凸部19の厚さが、回転軸(第1の回転軸)の軸方向で変化し、厚さの変化(変化厚さ)に応じて、上丸刃(回転刃)2が軸方向に移動する。皿バネ4は、端面カム(回転部)6の反対側から上丸刃(回転刃)2を押圧するが、皿バネ4は軸方向に弾性を有するので、上丸刃(回転刃)2は、軸方向に移動可能である。
【0066】
端面カム(回転部)6は、フランジ部7と上丸刃(回転刃)2に挟まれているので、第1の実施の形態のような溝部(回転ガイド溝)23がなくても、刃物ホルダー(ホルダー)3の外周面に沿って回転する。端面カム(回転部)6が回転することにより、凹部18(非押圧状態)から凸部19(押圧状態)に切り替わり、端面カム(回転部)6の軸方向の厚さが変化する。凹部18又は凸部19が固定ピン30の端部26に接しているので、端面カム(回転部)6の軸方向の厚さが変化することにより、端面カム(回転部)6の側面27の位置が変化し、端面カム(回転部)6の側面27が上丸刃(回転刃)2を押圧する。
【0067】
固定ピン(固定突起部)30は、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に複数備えられてもよい。この場合、複数の凹部18又は凸部19が、複数の固定ピン(固定突起部)30にそれぞれ接し、端面カム(回転部)6が回転することにより、それぞれの固定ピン(固定突起部)30と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが同じ厚さになるように変化してもよい。
図6は、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に、複数の凹部18又は凸部19が設けられた端面カム(回転部)6を示した図である。
図6に示すように、刃物ホルダー(ホルダー)3の周方向に、120度角の間隔で、3つの凹部18が設けられている。3つの凹部18の間には、3つの凸部19がそれぞれ設けられている。凹部18及び凸部19の厚さは、それぞれ同じ厚さである。この場合、フランジ部7には、凹部18に対応する位置に、120度角の間隔で、3つの固定ピン(固定突起部)30が設けられる。3つの凹部18が、3つの固定ピン(固定突起部)30に同時にそれぞれ接し、端面カム(回転部)6が回転することにより、3つの凸部19が、3つの固定ピン(固定突起部)30に同時にそれぞれ接するように切り替わる。この結果、複数の凹部18又は凸部19がそれぞれの固定ピン(固定突起部)30と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが同じ厚さになるように変化する。このように、複数の固定ピン(固定突起部)30を用いて、同じ厚さ変化で上丸刃(回転刃)2を押圧することにより、皿バネ4の弾性力に均一に対抗することができ、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を正確且つ均一に調整することができる。
【0068】
なお、端面カム(回転部)6の凹部18又は凸部19の厚さを調整することにより、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を調整することができる。また、厚さが異なる複数の凹部18又は凸部19を設け、複数の凹部18又は凸部19の厚さが、軸方向で多段階に変化してもよい。この結果、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を多段階に調整することができる。
【0069】
図7は、多段階の凹部18又は凸部19を含む端面カム(回転部)6を示した図である。端面カム(回転部)6は、凹部18と厚さが異なる凸部19(第1段及び第2段)とを含み、凹部18及び凸部19(第1段及び第2段)の厚さが、軸方向で多段階に変化する。この結果、上丸刃(回転刃)2の軸方向の移動距離を多段階(凸部の第1段及び第2段)に調整することができる。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、スリッタ装置を組み立てる際や被切断部材の切断幅を変更する際に、端面カム(回転部)6を回転させることにより、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。
【0071】
以上、本発明にかかる実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0072】
例えば、
図8に示すように、ホルダーユニット100は、上丸刃(回転刃)2、刃物ホルダー(ホルダー)3、皿バネ4、端面カム(回転部)6、押圧ピン(押圧部)13、及び上スペーサ(スペーサ)101を備える。上丸刃(回転刃)2は、回転軸(第1の回転軸)に取り付けられ、回転軸の軸方向に移動可能である。刃物ホルダー(ホルダー)3は、回転軸(第1の回転軸)に取り付けられ、上丸刃(回転刃)2と嵌合する。端面カム(回転部)6は、複数の刃物ホルダー(ホルダー)3の間に取り付けられ、回転軸(第1の回転軸)の周方向に回転可能であり、軸方向の両面に凹部18又は凸部19を含む。操作者がカム回転用冶具(ハンドル)22に回転力を与えることにより、端面カム(回転部)6が回転軸(第1の回転軸)の周方向に回転する。押圧ピン(押圧部)13は、複数の刃物ホルダー(ホルダー)3の上丸刃(回転刃)2をそれぞれ軸方向に押圧する。
【0073】
2つの上丸刃(回転刃)2の間には、2つの上スペーサ(スペーサ)101が位置するように、上スペーサ(スペーサ)101が回転軸(第1の回転軸)に装着される。2つの上スペーサ(スペーサ)101の間には、端面カム(回転部)6が位置するように、端面カム(回転部)6が回転軸(第1の回転軸)に装着される。これにより、上スペーサ(スペーサ)101は、複数の刃物ホルダー(ホルダー)3の間に取り付けられ、端面カム(回転部)6を軸方向で挟む。
【0074】
上スペーサ(スペーサ)101は、貫通孔12、押圧ピン(押圧部)13、フランジ部107、及び小径段部108を備える。貫通孔12は、フランジ部107の径方向の平面部に設けられ、上スペーサ(スペーサ)101を軸方向に貫通する。押圧ピン(押圧部)13は、上スペーサ(スペーサ)101の貫通孔12を貫通して、押圧ピン(押圧部)13の端部が上丸刃(回転刃)2と接することにより、上丸刃(回転刃)2を回転軸(第1の回転軸)の軸方向に押圧する。
【0075】
皿バネ4は、刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部8に挿入され、皿型の底部(または内周縁)がフランジ部7の側面に当接することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。上丸刃(回転刃)2は、刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部8に挿入され、径方向の平面部が皿バネ4の外周縁に当接することにより、刃物ホルダー(ホルダー)3と嵌合する。皿バネ4は、ホルダー6と嵌合し、凹部18又は凸部19の反対側から上丸刃(回転刃)2を押圧する。
【0076】
上スペーサ(スペーサ)101は、径方向の平面部が刃物ホルダー(ホルダー)3の小径段部8に当接することにより、皿バネ4及び上丸刃(回転刃)2を刃物ホルダー(ホルダー)3内に保持する。この場合、押圧ピン(押圧部)13の端部は、上丸刃(回転刃)2の側面に当接する。端面カム(回転部)6は、小径段部108に挿入され、端面カム(回転部)6の径方向の平面部(凹部18及び凸部19)がフランジ部107の側面及び押圧ピン(押圧部)13の頭部に当接することにより、上スペーサ(スペーサ)101と嵌合する。
【0077】
2つの上スペーサ(スペーサ)101の間に端面カム(回転部)6が位置するように、対向する2つの上スペーサ(スペーサ)101が小径段部108で互いに当接する。これにより、端面カム(回転部)6が2つの上スペーサ(スペーサ)101のフランジ部107に挟まれた状態で、回転軸(第1の回転軸)に装着される。そして、端面カム(回転部)6を中心として対称的に、上丸刃(回転刃)2、皿バネ4、刃物ホルダー(ホルダー)3、及び上スペーサ(スペーサ)101が回転軸(第1の回転軸)に装着される。
【0078】
図9は、端面カム(回転部)6を示した図である。
図9(a)は、端面カム(回転部)6を一方の側面から見た斜視図であり、
図9(b)は、端面カム(回転部)6を他方の側面から見た斜視図である。
図9に示すように、端面カム(回転部)6は、径方向の両面に複数の凹部18又は凸部19が設けられている。両面の凹部18及び凸部19は、端面カム(回転部)6の回転軸(第1の回転軸)方向に対称に形成されている。つまり、凹部18及び凸部19は、両面の同じ位置に形成されている。凹部18は、端面カム(回転部)6の周方向に、120度角の間隔で、3つの凹部18が設けられている。なお、本実施の形態では、端面カム(回転部)6の両面の凹部18及び凸部19が対称に形成されていることを説明したが、これに限定されず、押圧ピン13と接する凹部18の位置が両面で同期していれば、両面の凹部18及び凸部19は、回転方向に位相をずらした位置に形成されてもよい。つまり、押圧ピン(押圧部)13と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが回転軸(第1の回転軸)の軸方向で同期して変化すればよい。
【0079】
端面カム(回転部)6は、回転軸(第1の回転軸)の周方向に回転可能であり、端面カム(回転部)6の径方向の平面部に設けられた凹部18又は凸部19は、押圧ピン(押圧部)13に接する。端面カム(回転部)6が回転することにより、押圧ピン(押圧部)13と接する位置において、凹部18又は凸部19の厚さが回転軸(第1の回転軸)の軸方向で変化する。
【0080】
図10は、ホルダーユニット100の上丸刃2が第2の回転軸に取り付けられる下丸刃(下刃)102に圧接した状態を示した図である。
図11は、ホルダーユニット100の上丸刃2が、第2の回転軸に取り付けられる下丸刃(下刃)102から解除され、径方向に移動した状態を示した図である。
図10に示すように、押圧ピン(押圧部)13が上丸刃(回転刃)2を押圧しない非押圧状態では、端面カム(回転部)6の凹部18が、押圧ピン(押圧部)13の頭部25に接している。
図11に示すように、押圧ピン(押圧部)13が上丸刃(回転刃)2を押圧する押圧状態では、端面カム(回転部)6の凸部19が、押圧ピン(押圧部)13の頭部25に接している。この場合、上丸刃(回転刃)2と下丸刃(下刃)102との間に隙間tが空き、上丸刃(回転刃)2の圧接が下丸刃(下刃)102から解除される。隙間tが圧接寸法となる。
【0081】
図10に示すように、上スペーサ101と下丸刃(下刃)102が径方向で対向している。上スペーサ101の幅W2は、下丸刃(下刃)102の幅W1より小さくなっているので、軸方向で対向する2つの上丸刃(回転刃)2は、皿バネ4の付勢力(弾性力)によって下丸刃(下刃)102の両側面に所定の圧接力で圧接する。上丸刃(回転刃)2は、所定のオーバーラップ量S1で下丸刃(下刃)102に圧接する。
【0082】
端面カム(回転部)6が2つの上スペーサ(スペーサ)101に挟まれ、端面カム(回転部)6を中心として対称的に、上丸刃(回転刃)2、皿バネ4、及び刃物ホルダー(ホルダー)3が回転軸(第1の回転軸)に装着される。下丸刃(下刃)102は、幅W3の下スペーサ201と交互に回転軸(第2の回転軸)に装着される。下スペーサ201の幅W3は、下丸刃(下刃)102の幅W1と等しいか下丸刃(下刃)102の幅W1より小さくなっている。
【0083】
図10に示すように、端面カム(回転部)6が回転することにより、端面カム(回転部)6の両面の凹部18が2つの上スペーサ101の押圧ピン(押圧部)13に接すると、押圧ピン(押圧部)13に接する位置において、端面カム(回転部)6の両面の厚さが軸方向で小さくなり、対向する2つの上丸刃(回転刃)2は、皿バネ4の付勢力(弾性力)によって下丸刃(下刃)102に所定の圧接力で同時に圧接する。
【0084】
図11に示すように、端面カム(回転部)6が回転することにより、端面カム(回転部)6の両面の凸部19が2つの上スペーサ101の押圧ピン(押圧部)13に接すると、押圧ピン(押圧部)13に接する位置において、端面カム(回転部)6の両面の厚さが軸方向で大きくなり、皿バネ4の付勢力(弾性力)に対する抗力によって、2つの上丸刃(回転刃)2と下丸刃(下刃)102との間に隙間tが空き、対向する2つの上丸刃(回転刃)2の圧接が下丸刃(下刃)102から同時に解除される。そして、上丸刃2の刃先と下丸刃(下刃)102の刃先の相対距離がS2になるまで、上丸刃2又は下丸刃(下刃)102を径方向に移動させる。
【0085】
図11の解除状態から
図10の噛合状態にするためには、2つの上丸刃(回転刃)2と下丸刃(下刃)102との間に隙間tを空けたまま、所定のオーバーラップ量S1になるように、上丸刃(回転刃)2と下丸刃(下刃)102との相対位置を径方向に移動させる。そして、端面カム(回転部)6が回転することにより、端面カム(回転部)6の両面を凸部19から凹部18に切り替え、対向する2つの上丸刃(回転刃)2を皿バネ4の付勢力(弾性力)によって下丸刃(下刃)102に所定の圧接力で同時に圧接させることで、解除状態から噛合状態にすることができる。
【0086】
このように、端面カム(回転部)6が回転することにより、端面カム(回転部)6の両面の凹部18及び凸部19を切り替えることで、端面カム(回転部)6の両面の厚さが回転軸(第1の回転軸)の軸方向で同時に変化する。端面カム(回転部)6の両面に接する押圧ピン(押圧部)13は、上スペーサ(スペーサ)101の貫通孔12を貫通して上丸刃(回転刃)2と接することにより、対向する2つの上丸刃(回転刃)2を回転軸(第1の回転軸)の軸方向に押圧する。凹部18又は凸部19の厚さの変化に応じて、複数の刃物ホルダー(ホルダー)3の上丸刃(回転刃)2が軸方向にそれぞれ移動する。端面カム(回転部)6の両面の凹部18又は凸部19は、複数の押圧ピン(押圧部)13にそれぞれ接し、端面カム(回転部)6が回転することにより、複数の押圧ピン(押圧部)13とそれぞれ接する位置において、端面カム(回転部)6の両面の凹部18又は凸部19の厚さが軸方向でそれぞれ変化し、厚さの変化に応じて、複数の刃物ホルダー(ホルダー)3の上丸刃(回転刃)2が軸方向にそれぞれ移動する。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、端面カム(回転部)6を回転させることにより、凹部18又は凸部19の厚さが両面で同時に変化するので、予め凸部19と下丸刃(下刃)102との厚さの差(隙間t)を最適な圧接寸法として加工しておけば、前もって回転刃を上下刃先の圧接位置(圧接寸法)にしておくことができる。この状態で、所定のオーバーラップ量S1になるように、上丸刃(回転刃)2と下丸刃(下刃)102との相対位置を径方向に移動させて、その後端面カム(回転部)6を回転させてやれば、対向する2つの回転刃は、圧接位置で同時に圧接する。両面の凹部18又は凸部19はワンタッチで切り替えられるので、上下の回転軸間距離を大きく取れない場合や切断幅が狭い場合であっても、簡易な構造で、安全且つ容易に、上下刃先の圧接位置(圧接寸法)を調整することができる。