(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触部材は、前記第1の端子部と接触する第1の可撓アーム部と、前記第2の端子部と接触する第2の可撓アーム部を備え、弾性撓み変形した前記第1の可撓アーム部と前記第2の可撓アーム部で前記第1の端子部及び前記第2の端子部を挟み込み、該第1の端子部と該第2の端子部との間を通電させることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコネクタ構造について、添付図面を参照して説明する。本発明に係るコネクタ構造は、車室内のフロアパネルを貫通する開口の両側から一対のコネクタを嵌合し、双方のコネクタに内設された端子部同士を通電させるものである。一対のコネクタは、各コネクタに繋げられた電装品(自動車等の車両に搭載された電気機器)間を通電させる電気回路を形成する。なお、電装品としては、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載される電動モータと、該電動モータに電力を供給する電源装置(電池ユニット)を一例として想定することができる。例えば、ハイブリッド自動車の場合、電動モータはエンジン及びインバータとともにエンジンルーム内に搭載され、電源装置は電気接続箱(ジャンクションボックス)とともにエンジンルーム外(車両後部や車両底部、車室内等)に搭載されている。そして、電動モータに繋げられたコネクタと電源装置に繋げられたコネクタを車室内のフロアパネル(車室の底部を構成する板金部材)を貫通する開口の両側から嵌合させ、双方のコネクタに内設された端子部同士を通電させている。
【0013】
図1には、本発明の一実施形態に係るコネクタ構造の全体構成を示す。
図1は、コネクタ構造の全体を示す斜視図であって、同図(a)は、コネクタ構造を構成部材に分解して示す斜視図、同図(b)は、同図(a)に示す構成部材を組み付けた状態を示す全体斜視図である。
図2は、コネクタ構造の構成部材である一方のコネクタ(第1のコネクタ)を示す斜視図である。また、
図3は、コネクタ構造の構成部材である他方のコネクタ(第2のコネクタ)を示す図であって、同図(a)は、かかるコネクタを示す斜視図、同図(b)は、同図(a)の矢印A31部分における横断面を矢印方向から示す図である。なお、以下の説明においては、
図1(a)に矢印A11で示す方向を前後方向、同図に矢印A12で示す方向を左右方向、同図に矢印A13で示す方向を上下方向という。また、前後方向及び左右方向において、フロアパネルの開口中心により近接する側を内側、より離隔する側を外側という。そして、上下方向においては、特に断わらない限り、各図の上方(車室側に相当)を上側、下方(路面側に相当)を下側という。ただし、これらの前後方向、左右方向及び上下方向は、コネクタ構造が実際に車載された状態における各方向(例えば、自動車の前後方向、左右方向や上下方向)と必ずしも一致していなくともよい。
【0014】
本実施形態に係るコネクタ構造は、フロアパネル1の開口11(
図4参照)に挿通されて車室内(
図1においては上下方向の上側に相当)へ突出する第1の端子部20が設けられた第1のコネクタ2と、第1のコネクタ2と嵌合された状態で、第1の端子部20と対向して位置付けられる第2の端子部30が設けられた第2のコネクタ3を備えている。この場合、フロアパネル1には、前後方向及び左右方向がなす平面と平行に延在する平坦部(以下、コネクタ組付部という。)12が設けられ、コネクタ組付部12を上下方向に貫通するように開口(換言すれば、貫通孔)11が形成されている。そして、
図4及び
図5に示すように、上下方向に対してコネクタ組付部12を挟んで下側(路面側)に位置付けられた第1のコネクタ2と、上側(車室側)に位置付けられた第2のコネクタ3を、開口11において上下方向に嵌合させることで、第1の端子部20と第2の端子部30が相互に接続して通電可能な状態となるように位置付けられている。なお、
図4は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させる前の状態を前後方向に対する一部縦断面で示す斜視図である。また、
図5は、
図4の矢印A4の方向から第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させる前の状態を示す縦断面図である。
【0015】
第1のコネクタ2は、上下方向に対してフロアパネル1の下側(路面側)でコネクタ組付部12に沿って略平行に配索された導電線(以下、床下導電線という。)4の先端側(以下、端末部という。)4aに配設されている。なお、床下導電線4は、その基端側(端末部4aとは反対側)がインバータ(図示省略)と接続されており、該インバータは、図示しないエンジンルーム内に配索された導電線(以下、モータケーブルという。)を介して電動モータ(図示省略)と接続されている。これにより、第1のコネクタ2は、床下導電線4、インバータ及びモータケーブルを順に介して電動モータまで繋げられている。床下導電線4は、エンジンルームから引き出され、フロアパネル1の下側で路面との間に配索されているため、路面からの距離を確保できるように低背化を図った構造をなしている。また、床下導電線4は、内部絶縁体42で被覆された内部導体41と、該内部絶縁体42の外周を包囲して内部導体41と同軸上に外部絶縁体44で被覆された外部導体43を備えたいわゆる同軸電線として構成されている。この場合、内部導体42及び外部導体43は任意の態様とすることができ、例えば、内部導体41は撚り線、外部導体43は編組線や箔などを想定可能である。また、内部絶縁体42及び外部絶縁体44は、絶縁材(例えば、ポリエチレン、塩化ビニル、シリコン等の樹脂)で構成すればよい。
【0016】
本実施形態において、第1のコネクタ2は、第1の端子部20と、第1の保持部23と、第1のコネクタハウジング24と、シールドシェル25と、シール部材26と、コネクタ嵌合部27を備えて構成されている。
【0017】
第1の端子部20は、2つの第1端子構成体21,22が一対をなして構成されており、それぞれの第1端子構成体21,22が床下導電線4の端末部4aに接続される第1端子基端部21a,22aと、フロアパネル1の開口11から車室内へ突出する第1端子先端部21b,22bを有した構造となっている。一方の第1端子構成体21の第1端子基端部21aは、床下導電線4の端末部4aに沿って平板状に延在しており、該端末部4aにおいて外部絶縁体44、外部導体43及び内部絶縁体42が剥離された内部導体41の外周部に接合され、該内部導体41と電気的に接続されている。また、かかる第1端子構成体21の第1端子先端部21bは、第1端子基端部21aの端部に連続し、該端部から上下方向の上側(車室側)へ略垂直に屈曲して平板状に延在している。これに対し、他方の第1端子構成体22の第1端子基端部22aは、床下導電線4の端末部4aに沿って円筒状に延在しており、該端末部4aにおいて外部絶縁体44のみが剥離された外部導体43の外周部に接合され、該外部導体43と電気的に接続されている。また、かかる第1端子構成体22の第1端子先端部22bは、第1端子基端部22aの端部に連続し、該端部から上下方向の上側(車室側)へ略垂直に屈曲して平板状に延在している。そして、これらの第1端子構成体21及び第1端子構成体22は、互いの第1端子先端部21b,22bを対向させるとともに、互いの第1端子基端部21a,22aが前後方向の逆方向へ延出するように配置され、第1の端子部20を構成している。その際、第1端子構成体21と第1端子構成体22は、第1端子基端部21aが第1端子先端部21bとの連続端部から前後方向の後ろ向き(床下導電線4の端末部4a側)に延在するとともに、第1端子基端部22aが第1端子先端部22bとの連続端部から前後方向の前向き(床下導電線4の基端側)に延在する向きで相互に位置付けられている。
【0018】
なお、本実施形態において、第1端子構成体21,22は、バスバモジュールとして構成されている。例えば、第1端子構成体21,22は、導電性を有する金属製の板材を打ち抜き加工や折り曲げ加工等してなるバスバを絶縁基板上に配索して構成することができる。その際には、第1端子基端部21a,22aと第1端子先端部21b,22bが一体をなすように形成すればよい。ただし、第1端子基端部と第1端子先端部を別体構成とすることも可能である。また、第1端子先端部21b,22bは、互いに略同一の高さ(上下方向に対する寸法)となるように、第1端子基端部21a,22aから延出させればよい。
【0019】
第1の保持部23は、床下導電線4の端末部4aを第1のコネクタハウジング24に対して位置決め保持する端末保持部23aと、第1の端子部20(第1端子構成体21,22)をかかる端末部4aに対して位置決め保持する端子保持部23bを有している。これらの端末保持部23a及び端子保持部23bにより、床下導電線4の端末部4a及び第1の端子部20は、第1のコネクタ2において位置決め保持される。
【0020】
第1のコネクタハウジング24は、絶縁材(例えば、ポリエチレン、塩化ビニル、シリコン等の樹脂)で形成され、床下導電線4の端末部4a及び第1の端子部20(第1端子構成体21,22)を収容するための筺体部材として構成されている。具体的には、第1の保持部23の端末保持部23aによって保持された床下導電線4の端末部4aを収容して位置決めするとともに、かかる端末部4aに対して第1の保持部23の端子保持部23bによって位置決め保持された第1端子構成体21,22の第1端子基端部21a,22aを収容するように、第1のコネクタハウジング24は構成されている。なお、かかる第1端子構成体21,22の第1端子先端部21b,22bは、第1のコネクタハウジング24よりも上下方向の上側(車室側)へ延在している。このように、第1のコネクタハウジング24で床下導電線4の端末部4a及び第1の端子部20(第1端子構成体21,22)を収容することにより、第1のコネクタ2は、外観形状が略L字状をなすコネクタ(L型コネクタ)として構成される。
【0021】
シールドシェル25は、第1のコネクタ2をフロアパネル1に固定するフロアパネル固定部25aと、床下導電線4の端末部4aにおいて編組線と接続する編組線接続部25bを有している。フロアパネル固定部25aは、第1の端子部20の第1端子先端部21b,22bを前後方向及び左右方向がなす平面に沿って取り囲むように延在している。換言すれば、第1端子先端部21b,22bは、フロアパネル固定部25aを越えて上下方向の上側(車室側)へ延在している。また、フロアパネル固定部25aには、フロアパネル1との固定用部材を挿通する孔25cが穿孔されている。本実施形態においては、フロアパネル1のコネクタ組付部12に第1のコネクタ2を固定するためのボルト13が設けられており、該ボルト13をフロアパネル固定部25aの孔25cに挿通してナット14で締結することで、フロアパネル固定部25aがコネクタ組付部12に締結固定される。これにより、第2のコネクタ3と嵌合させた第1のコネクタ2をフロアパネル1に組み付けることができる(第1のコネクタ2と第2のコネクタ3の嵌合については後述)。編組線接続部25bは、フロアパネル固定部25aに外装されるとともに、第1の保持部23(端末保持部23a及び端子保持部23b)に外装されるように、段付きの略円筒状に形成されている。そして、編組線接続部25bには、第1の保持部23に外装される小径部位の外周に配された床下導電線4の編組線に固定リング25dが被冠され、該編組線が圧着接続されている。これにより、編組線接続部25bは、フロアパネル固定部25aを介してかかる編組線をフロアパネル1に接地させ、床下導電線4のシールド処理を行う構成となっている。なお、シールドシェル25を構成するフロアパネル固定部25a及び編組線接続部25bは、導電性を有する金属製の板材を打ち抜き加工や折り曲げ加工等することにより形成すればよい。
【0022】
シール部材26は、フロアパネル1の開口11の周縁と密着し、開口11を液密に封止するための部材(いわゆるパッキン)として構成されている。この場合、シール部材26は、エラストマ等の弾性材で形成され、フロアパネル固定部25aにおける第1端子先端部21b,22bの取り囲み部位に対し、かかる部位の周縁を覆うように配設されている。
【0023】
コネクタ嵌合部27は、フロアパネル1の開口11に挿通され、後述する第2のコネクタ3の第2の端子部30(第2端子構成体31,32)と嵌合される部材として構成されている。別の捉え方をすれば、コネクタ嵌合部27は、第1端子先端部21b,22bとともにフロアパネル1の開口11から車室内へ突出する部材(
図2の破線円で示すフロアパネル貫通部材)として構成されている。この場合、コネクタ嵌合部27は、後述する第2の端子部30の第2端子構成体31の外側で該第2端子構成体31と嵌合されるコネクタ嵌合部構成体27aと、後述する第2の端子部30の第2端子構成体32の外側で該第2端子構成体32と嵌合されるコネクタ嵌合部構成体27bを有して構成されている。コネクタ嵌合部構成体27aは、第1端子構成体21の第1端子先端部21bの内側に沿って該第1端子先端部21bよりも上下方向の上側(車室側)へ突出するように第1の保持部23(端子保持部23b)から立設されている。換言すれば、コネクタ嵌合部構成体27aは、その外側に第1端子先端部21bが延在するように構成されている。一方、コネクタ嵌合部構成体27bは、第1端子構成体22の第1端子先端部22bの内側に沿って該第1端子先端部22bよりも上下方向の上側(車室側)へ突出するように第1の保持部23(端子保持部23b)から立設されている。換言すれば、コネクタ嵌合部構成体27bは、その外側に第1端子先端部22bが延在するように構成されている。なお、コネクタ嵌合部構成体27a,27bは、互いに略同一の高さ(上下方向に対する寸法)となるように、第1の保持部23(端子保持部23b)に立設すればよい。
【0024】
そして、これらのコネクタ嵌合部構成体27a,27bは、後述する第2端子構成体31と第2端子構成体32の外側面同士の間隔、別の捉え方をすれば、第1端子先端部21bと第1端子先端部22bの内側面同士の間隔に対応して対向配置されている。換言すれば、コネクタ嵌合部構成体27aは、第1端子先端部21bと第2端子構成体31の間に介在するように配置され、コネクタ嵌合部構成体27bは、第1端子先端部22bと第2端子構成体32の間に介在するように配置されている。
【0025】
また、コネクタ嵌合部27には、コネクタ嵌合部構成体27a,27bの立設基端部の内側に、第2端子構成体31,32の下端部(上下方向の下側(路面側)の端部)を嵌合させるために該第2端子構成体31,32の肉厚と略同寸の溝幅を有する嵌合溝27c,27dが形成されている。したがって、コネクタ嵌合部構成体27a,27bを開口11へ挿通して車室内へ突出させるように、第1のコネクタ2をコネクタ組付部12を挟んで上下方向の下側(路面側)に位置付けることで、上側(車室側)に位置付けられた第2のコネクタ3の第2端子構成体31,32の下端部を嵌合溝27c,27dに嵌合させることが可能となる。端的には、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させることが可能となる(
図4及び
図5に示す状態)。そして、
図6及び
図7に示すように、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させた状態においては、コネクタ嵌合部構成体27aが第1端子先端部21bと第2端子構成体31の間に介在してこれらを非接触状態に保ち、コネクタ嵌合部構成体27bが第1端子先端部22bと第2端子構成体32の間に介在してこれらを非接触状態に保っている。なお、
図6は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させた後、接触保障プラグ6(後述)を間口部35(同)へ取り付ける前の状態を前後方向に対する一部縦断面で示す斜視図である。また、
図7は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させた後の状態を示す図であって、同図(a)は、
図6の矢印A6の方向から接触保障プラグ6を間口部35へ取り付ける前の状態を示す縦断面図、同図(b)は、同図(a)の円内を拡大して示す図である。
【0026】
この場合、コネクタ嵌合部27には、嵌合溝27c,27dに第2端子構成体31,32を嵌合させる際、該第2端子構成体31,32を嵌合溝27c,27dへガイドするガイド部材(以下、第2端子構成体拾い部という。)27e,27fが設けられている。第2端子構成体拾い部27eは、第2端子構成体31を嵌合溝27cへガイドし、第2端子構成体拾い部27fは、第2端子構成体32を嵌合溝27dへガイドする。これらの第2端子構成体拾い部27e,27fは、嵌合溝27c,27dの内側溝壁に連続して上下方向の上側(車室側)へ延在し、互いに対向するとともにコネクタ嵌合部構成体27a,27bとも対向する構成となっている。この場合、これらの第2端子構成体拾い部27e,27fは、互いの対向間隔を狭めるように、延出端へ向かって先細り状に内側へ傾斜した構成となっている。これにより、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させる際、第2端子構成体31,32の下端部を第2端子構成体拾い部27e,27fの先細り部位に当接させ、該先細り部位に沿って第2端子構成体31,32をガイドする(摺動させる)ことができ、嵌合溝27c,27dへスムーズに嵌合させることができる。
【0027】
さらに、コネクタ嵌合部27には、コネクタ嵌合部構成体27a,27bの立設基端部の外側に、後述する接触保障プラグ6(具体的には、ホルダ部64の外壁部66)を当接させて支持する台座部27g,27hが設けられている。台座部27g,27hは、接触保障プラグ6を後述する第2のコネクタ3の間口部35へ取り付ける場合に、ホルダ部64の外壁部66を当接させることで、接触保障プラグ6の間口部35に対する姿勢を適正に支持する。
【0028】
次に、第2のコネクタ3について説明する。第2のコネクタ3は、上下方向に対してフロアパネル1の上側(車室側)、具体的には、フロアパネル1の開口11の真上に位置付けられるようにコネクタ組付部12に設けられている。本実施形態においては、第2のコネクタ3を、車室内に搭載された電源装置(図示省略)が備える一部材として、もしくは、電源装置の電気接続箱(図示省略)が備える一部材として構成している。かかる第2のコネクタ3は、電源装置もしくは電気接続箱に基端側を接続させた導電線(以下、車室内導電線という。)5の先端側(端末部)に設けられている。これにより、第2のコネクタ3は、車室内導電線5を介して電源装置や電気接続箱まで繋げられる。この場合、車室内導電線5は、2本(本数は不問)の導電線51,52を備えている。例えば、各導電線51,52は、絶縁体で被覆された導体からなる高圧電線として構成することができる。なお、かかる導体としては、素線を撚り合わせた撚り線などを想定可能である。
【0029】
本実施形態において、第2のコネクタ3は、第2の端子部30と、第2のコネクタハウジング33を備えて構成されている。
【0030】
第2の端子部30は、第1の端子部20の2つの第1端子構成体21,22と対応するように、2つの第2端子構成体31,32が一対をなして構成されている。なお、第1の端子部20が有する第1端子構成体の数と第2の端子部30が有する第2端子構成体の数は、同数であれば特に限定されない。これらの第2端子構成体31,32は、2本の導電線51,52の端末部51a,52aにおいて絶縁体が剥離された導体に固定されている。本実施形態では、
図3(b)に示すように、第2端子構成体31,32に加締部31a,32aを設け、該加締部31a,32aを絶縁体が剥離された導体に被冠して加締めることで、第2端子構成体31,32を導電線51,52に圧着接続させている。また、第2端子構成体31,32は、第1端子構成体21,22の対向間隔よりも狭い間隔で対向配置されている。具体的には、外側面同士の対向間隔がコネクタ嵌合部構成体27a,27bの内側面同士の対向間隔と略同寸をなすように、第2端子構成体31,32が対向配置されている。
【0031】
一方の第2端子構成体31は、加締部31aで導電線51に圧着接続され、該加締部31aから上下方向の上側(車室側)へ屈曲して第1端子構成体21の第1端子先端部21bに沿って平板状に延在しており、第2のコネクタ3が第1のコネクタ2と嵌合された状態(つまり、第2端子構成体31の下端部をコネクタ嵌合部構成体27aの嵌合溝27cに嵌合させた状態)において、かかる延在部分(平板部分)が第1端子先端部21bと対向して位置付けられる構成となっている。これに対し、他方の第2端子構成体32は、加締部32aで導電線52に圧着接続され、該加締部32aから上下方向の上側(車室側)へ屈曲して第1端子構成体22の第1端子先端部22bに沿って平板状に延在しており、第2のコネクタ3が第1のコネクタ2と嵌合された状態(つまり、第2端子構成体32の下端部をコネクタ嵌合部構成体27bの嵌合溝27dに嵌合させた状態)において、かかる延在部分(平板部分)が第1端子先端部22bと対向して位置付けられる構成となっている。
【0032】
なお、本実施形態において、第2端子構成体31,32は、バスバモジュールとして構成されている。例えば、第2端子構成体31,32は、導電性を有する金属製の板材を打ち抜き加工や折り曲げ加工等してなるバスバを絶縁基板上に配索して構成することができる。これらの第2端子構成体31,32は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3の嵌合時の誤差、つまり、第2端子構成体31,32の下端部と嵌合溝27c,27dとの嵌合時の誤差を吸収するため、前後方向(
図3(b)における上下方向(矢印A11で示す方向)に相当)に対して僅かに位置変動可能となるように遊び(同図に矢印A32で示すガタつき)を設けて後述する第2のコネクタハウジング33の保持部34に保持されている(
図3(b)参照)。
【0033】
第2のコネクタハウジング33は、絶縁材(例えば、ポリエチレン、塩化ビニル、シリコン等の樹脂)で形成され、第2の端子部30(第2端子構成体31,32)の外側を覆うように、フロアパネル1のコネクタ組付部12、具体的には、開口11の周縁及びその近傍から上下方向の上側(車室側)へ向けて立設されている。この場合、第2のコネクタハウジング33は、第2端子構成体31を覆う第2コネクタハウジング構成体33aと、第2端子構成体32を覆う第2コネクタハウジング構成体33bを有して構成されている。第2コネクタハウジング構成体33aは、第2端子構成体31の外側を覆うようにコネクタ組付部12から上下方向の上側へ向けて立設されている。一方、第2コネクタハウジング構成体33bは、第2端子構成体32の外側を覆うようにコネクタ組付部12から上側へ向けて立設されている。すなわち、第2コネクタハウジング構成体33a,33bは、その内側に第2の端子部30の第2端子構成体31,32が延在するように構成されている。
【0034】
また、第2のコネクタハウジング33は、第2の端子部30(第2端子構成体31,32)をフロアパネル1のコネクタ組付部12(別の捉え方をすれば、開口11)に対して位置決め保持する保持部34を備えている。保持部34は、第2端子構成体31をコネクタ組付部12に対して位置決め保持する保持部構成体34aと、第2端子構成体32をコネクタ組付部12に対して位置決め保持する保持部構成体34bを有した構成となっている。保持部構成体34aは、第2端子構成体31を、コネクタ嵌合部構成体27aを挟んで第1端子構成体21の第1端子先端部21bと対向させるように位置決め保持し、保持部構成体34bは、第2端子構成体32を、コネクタ嵌合部構成体27bを挟んで第1端子構成体22の第1端子先端部22bと対向させるように位置決め保持する。別の捉え方をすれば、これらの保持部構成体34a,34bは、第2端子構成体31と第2端子構成体32を第1端子先端部21bと第1端子先端部22bの対向間隔よりも狭い間隔、具体的には、コネクタ嵌合部構成体27a,27bの内側面同士と略同一間隔で対向させるように保持する。これにより、第2端子構成体31と第1端子先端部21bの間にコネクタ嵌合部構成体27aを介在させることができるとともに、第2端子構成体32と第1端子先端部22bの間にコネクタ嵌合部構成体27bを介在させることができる。つまり、第2端子構成体31,32の下端部を嵌合溝27c,27dと嵌合させた状態において、かかる第2端子構成体31,32をコネクタ嵌合部構成体27a,27bを挟んで第1端子先端部21b,22bと対向させる(非接触状態とする)ことが可能となる。
【0035】
図3(b)に示すように、保持部構成体34a,34bは、第2端子構成体31,32を左右方向の両端で前後方向から挟み付けるように保持している。その際、各保持部構成体34a,34bが第2端子構成体31,32を前後方向へ挟持する間隔は、第2端子構成体31,32の肉厚に多少の余裕(遊び)を持たせた間隔に設定している。これにより、第2端子構成体31,32を保持部構成体34a,34bで挟持しつつ、前後方向に対して遊びの範囲内で位置変動させる(
図3(b)に矢印A32で示す方向へガタつかせる)ことができる。この結果、第2端子構成体31,32と嵌合溝27c,27dの嵌合時の誤差(例えば、コネクタ嵌合部27のコネクタ嵌合部構成体27a,27bの位置ずれなど)を第2端子構成体31,32の遊び(ガタつき)で吸収することができる。すなわち、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3をスムーズに嵌合させることができる。
【0036】
また、第2のコネクタハウジング33は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3が嵌合された状態で対向する第1の端子部20及び第2の端子部30を外部へ臨ませる間口部35を有している。
図8及び
図9に示すように、間口部35には、第1の端子部20及び第2の端子部30に接触し、これら第1の端子部20と第2の端子部30との間を通電させる接触部材(以下、接触保障プラグという。)6が着脱可能に取り付けられている。なお、
図8は、接触保障プラグ6を間口部35へ取り付けた後の状態を前後方向に対する一部縦断面で示す斜視図である。また、
図9は、接触保障プラグ6を間口部35へ取り付けた後の状態を示す図であって、同図(a)は、
図8に示す矢印A8の方向から示す縦断面図、同図(b)は、同図(a)の円内を拡大して示す図である。
【0037】
かかる接触保障プラグ6は、第1の端子部20及び第2の端子部30と接触してこれらを通電させる端子接触部60と、該端子接触部60を保持するホルダ部64を備えて構成されている。端子接触部60は、第1の端子部20と接触する第1の可撓アーム部61と、第2の端子部30と接触する第2の可撓アーム部62を有している。第1の端子部20と第2の端子部30との間を通電させる際、端子接触部60は、弾性撓み変形させた第1の可撓アーム部61と第2の可撓アーム部62で第1の端子部20及び第2の端子部30を挟み込み、これら第1の端子部20と第2の端子部30との間を通電させている。なお、間口部35に接触保障プラグ6を取り付けた状態では、かかる接触保障プラグ6によって間口部35は封鎖される。したがって、接触保障プラグ6は、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3が嵌合された状態で対向する第1の端子部20及び第2の端子部30を外部から絶縁させる機能も有する。
【0038】
端子接触部60は、導電性を有する金属製の板材を打ち抜き加工や折り曲げ加工等することで、該板材を湾曲させて形成されており、湾曲部分(以下、連結部63という。)から同一方向へ延出する2つの対向部位の一方を第1の可撓アーム部61(図示では、61a,61b)、他方を第2の可撓アーム部62(同、62a,62b)として構成されている。これらの第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62は、連結部63(同、63a,63b)から徐々に近接するように傾斜して延出するとともに、その延出端まで徐々に離間するように傾斜して延出する屈曲構造(いわゆるバネ構造)をなしている。すなわち、第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62は、互いに離間する方向へ弾性撓み変形可能に構成されるとともに、互いに近接する方向へ弾性撓み復帰変形可能に構成される。なお、第1の可撓アーム部61と第2の可撓アーム部62の対向間隔は、第1の端子部20と第2の端子部30の間隔、具体的には、第1端子構成体21,22の第1端子先端部21b,21bの外側面と第2端子構成体31,32の内側面との間隔よりも小寸に設定されている。
【0039】
本実施形態において、接触保障プラグ6は、2つの端子接触部60(60a,60b)が1つのホルダ部64に保持された構成となっている。この場合、一方の端子接触部60aは、第1端子構成体21の第1端子先端部21bと接触する第1の可撓アーム部61aと、第2端子構成体31と接触する第2の可撓アーム部62aを有し、これらが連結部63aで相互に連結された構成となっている。これに対し、他方の端子接触部60bは、第1端子構成体22の第1端子先端部22bと接触する第1の可撓アーム部61bと、第2端子構成体32と接触する第2の可撓アーム部62bを有し、これらが連結部63bで相互に連結された構成となっている。
【0040】
ホルダ部64は、端子接触部60の外縁を連結部63側から覆って、第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62を外部に対して絶縁可能に保持する部材である。このため、ホルダ部64は、絶縁材(例えば、ポリエチレン、塩化ビニル、シリコン等の樹脂)で形成され、2つの端子接触部60a,60bを前後方向へ並列させて配置するとともに、これらの端子接触部60a,60bを離隔させて非接触状態に配置する構成となっている。これにより、ホルダ部64は、2つの端子接触部60a,60bを互いに絶縁させつつ、並列配置させている。その際には、第2の可撓アーム部62a,62bが互いに対向するように、つまり、第2の可撓アーム部62a,62bが内側、第1の可撓アーム部61a,61bが外側へ位置付けられるように、2つの端子接触部60a,60bが並列配置される。
【0041】
かかるホルダ部64は、連結部63a,63bを保持するとともに、該連結部63a,63bの上部を覆う天部65と、第1の可撓アーム部61a,61bの外側を覆う外壁部66と、第2の可撓アーム部62a,62bの間に介在する仕切部67を有した構成となっている。この場合、天部65は、連結部63a,63bの上部を覆うように延在している。外壁部66は、天部65における前後方向の両端部に連続し、該連続部位から上下方向の下側へ向けて略垂直に屈曲し、第1の可撓アーム部61a,61bの外側を覆うように一対をなして延在している。仕切部67は、天部65における前後方向の略中間部位に連続し、該中間部位から上下方向の下側へ向けて略垂直に屈曲し、第2の可撓アーム部62a,62bの間を隔てるように延在している。この場合、一対をなす外壁部66は、第2コネクタハウジング構成体33a,33bの対向間隔よりも狭い間隔で対向配置されている。具体的には、外側面同士の対向間隔が第2コネクタハウジング構成体33a,33bの内側面同士の対向間隔よりも小寸となるように、一対の外壁部66が対向配置されている。
【0042】
また、ホルダ部64は、上下方向に対して天部65とは反対側、換言すれば、外壁部66及び仕切部67の延出端側を外部へ開放する開放部(以下、取付口という)68を有している。すなわち、接触保障プラグ6は、端子接触部60の第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62(具体的には、これらの延出端)を取付口68から外部へ臨ませた構成となっている。これにより、接触保障プラグ6を取付口68側から間口部35へ取り付けられるようになっている。
【0043】
ここで、接触保障プラグ6を間口部35へ取り付ける場合の手順の一例を示す。なお、接触保障プラグ6を間口部35へ取り付ける場合には、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3がフロアパネル1の開口11の両側から嵌合された状態となっている。この場合にはまず、取付口68を間口部35と正対させるように、接触保障プラグ6を第2のコネクタ3の上側(上下方向の上方)へ位置付ける(
図7(a)に示す状態)。
【0044】
この状態から、第1の可撓アーム部61と第2の可撓アーム部62の間にコネクタ嵌合部27のコネクタ嵌合部構成体27a,27bを介挿させつつ、接触保障プラグ6に対して下側(上下方向の下方)へ所定の力(以下、押圧力という。)を作用させる。そのまま、押圧力を作用させ、第1の可撓アーム部61を第1の端子部20と当接させるとともに、第2の可撓アーム部62を第2の端子部30と当接させる。この状態で押圧力を作用させると、第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62が互いに離間する方向へ弾性撓み変形しつつ、第1の端子部20及び第2の端子部30に沿って摺動する。そして、ホルダ部64の外壁部66がコネクタ嵌合部27の台座部27g,27hと当接するまで、押圧力を作用させて接触保障プラグ6を間口部35へ押し込む。押し込み後、作用させていた押圧力を解放すると、第1の可撓アーム部61及び第2の可撓アーム部62が互いに近接する方向へ弾性撓み復帰変形し、その弾性力によって第1の端子部20及び第2の端子部30を挟み込んだ状態となる。この状態においては、第1の可撓アーム部61を第1の端子部20と接触させるとともに、第2の可撓アーム部62を第2の端子部30と接触させることができる。この結果、端子接触部60を介して第1の端子部20と第2の端子部30との間を通電させることが可能となる。つまり、電動モータと電源装置を第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を介して接続し、電動モータと電源装置との間を通電させることが可能となる。
【0045】
なお、接触保障プラグ6に対して上側(上下方向の上方)へ所定の力(引張力)を作用させることで、該接触保障プラグ6を間口部35から引き抜くことができ、第1の端子部20と接触させていた第1の可撓アーム部61、及び第2の端子部30と接触させていた第2の可撓アーム部62を取り去ることができる。これにより、第1の端子部20と第2の端子部30との間の通電を遮断させることが可能となる。
【0046】
このように、接触保障プラグ6は、間口部35へ取り付けて端子接触部60を第1の端子部20及び第2の端子部30と接触させることで、これら第1の端子部20と第2の端子部30との間を通電させることができる。その一方で、接触保障プラグ6は、間口部35から引き抜く(取り外す)ことで、端子接触部60を介して相互に接触させていた第1の端子部20と第2の端子部30との間の通電を遮断させることができる。すなわち、接触保障プラグ6は、電動モータと電源装置との間の電気回路の通電状態と遮断状態を任意に切り換えるいわゆるサービスプラグ(回路開閉装置)として機能させることができる。
【0047】
以上、本実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1のコネクタ2と第2のコネクタ3を嵌合させ、間口部35に接触保障プラグ6を取り付けることで、電動モータと電源装置との間を容易に通電させることができる。これにより、フロアパネル1の開口11を通した電動モータと電源装置の電気的な接続作業の作業性の向上を図ることができる。
【0048】
また、接触保障プラグ6を間口部35から引き抜く(取り外す)ことで、第1の端子部20と第2の端子部30との間の通電を遮断させることができる。このため、車両の点検整備や救援作業を行う際、容易に電動モータと電源装置との間の電気回路を遮断させることができ、作業者の安全を確保することができる。このように、接触保障プラグ6をいわゆるサービスプラグ(回路開閉装置)として機能させることができるため、電気接続箱や電源装置にサービスプラグを別途設ける必要がない。したがって、部品点数の削減を図ることが可能となる。