(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相互に直交するX方向とY方向に関して、所定間隔をあけてX方向に延びる枠フレーム(3)を複数の連結フレーム(5)でY方向に連結することにより枠体(7)を形成し、該枠体の上面に床板(8)を敷設すると共に、該床板の下側でX方向に延びる支持フレーム(6)を前記枠体(7)に固設して成る足場パネルにおいて、足場パネルの下方空間と上方空間を連通する開閉自在な窓装置(12)を設けており、
前記窓装置(12)は、床板(8)に形成された開口部(13)と、該開口部を開閉する蓋手段(14)とから成り、
前記開口部(13)は、X方向及びY方向に広がりを有する広口部(13a)と、該広口部から前記支持フレーム(6)を超える位置まで延長された拡張口部(13b)を形成し、
前記蓋手段(14)は、前記開口部(13)を開閉する開閉板(15)と、該開閉板の基端部(15a)を前記支持フレーム(6)に回動自在に枢結する枢結手段(16)を設けており、
前記開閉板(15)を前記支持フレーム(6)に対して回動することにより前記開口部(13)を開閉するように構成して成ることを特徴とする足場パネルにおける窓装置。
前記窓装置(12)は、前記蓋手段(14)により開口部(13)を閉鎖したとき、該蓋手段(14)の両側縁(15b,15b)を下方から支承する框部材(17,17)を設けており、
前記框部材(17)は、前記支持フレーム(6)と枠フレーム(3a)に架設されて成ることを特徴とする請求項1に記載の足場パネルにおける窓装置。
前記開口部(13)の反対側に位置して前記支持フレーム(6)に臨むビーム(18)を枠体(7)に固設しており、前記拡張口部(13b)に臨む床板(8)の縁部(8a)を前記ビーム(18)に固着して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の足場パネルにおける窓装置。
前記枢結手段(16)は、前記開閉板(15)の基端部(15a)と、該基端部に対向する保持板(20)と、前記基端部と保持板を所定間隔で連結する連結手段(21)により構成され、前記基端部(15a)と保持板(20)と連結手段(21)により支持フレーム(6)の外周を回動自在に抱持するように構成して成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の足場パネルにおける窓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような吊り足場は、多数の足場パネルにより高架構造物の下側に沿って長距離に及ぶ作業床が形成され、これにより工事作業を容易にすると共に、隣り合う足場パネルを密に並設することにより、作業床から種々の物体が落下することを防止し、下方空間の安全を確保している。
【0005】
しかしながら、その反面、作業床に滞留するコンクリート片等の要廃棄物やその他の不要物を搬出するためには、集めた不要物を長距離に及ぶ作業床の端部の開放部まで移送する必要があり、極めて煩雑で作業効率が良くないという問題がある。
【0006】
上記問題を解決するためには、作業床の適宜個所に位置する足場パネルに開閉自在な窓装置を設け、地上からダクトを作業床に導き、ダクトを介して不要物を搬出可能とするように構成することが望ましい。
【0007】
しかしながら、足場パネルは、高速道路のような地上から極めて高い危険な位置に設けられているから、窓装置を設ける際には、開閉構造が堅牢であり作業者に不安を与えないこと、開閉に際して蓋等の構成部材が誤って落下する危険がないこと、開閉が容易であり作業性が良いこと、確実な閉鎖を確保できること、その他の種々の課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決した足場パネルにおける窓装置を提供するものであり、その手段として構成したところは、相互に直交するX方向とY方向に関して、所定間隔をあけてX方向に延びる枠フレームを複数の連結フレームでY方向に連結することにより枠体を形成し、該枠体の上面に床板を敷設すると共に、該床板の下側でX方向に延びる支持フレームを前記枠体に固設して成る足場パネルにおいて、足場パネルの下方空間と上方空間を連通する開閉自在な窓装置を設けており、前記窓装置は、床板に形成された開口部と、該開口部を開閉する蓋手段とから成り、前記開口部は、X方向及びY方向に広がりを有する広口部と、該広口部から前記支持フレームを超える位置まで延長された拡張口部を形成し、前記蓋手段は、前記開口部を開閉する開閉板と、該開閉板の基端部を前記支持フレームに回動自在に枢結する枢結手段を設けており、前記開閉板を前記支持フレームに対して回動することにより前記開口部を開閉するように構成して成る点にある。
【0009】
前記窓装置は、前記蓋手段により開口部を閉鎖したとき、該蓋手段の両側縁を下方から支承する框部材を設け、前記框部材を前記支持フレームと枠フレームに架設することが好ましい。
【0010】
また、前記開口部の反対側に位置して前記支持フレームに臨むビームを設け、該ビームを枠体に固設すると共に、前記拡張口部に臨む床板の縁部を前記ビームに固着することが好ましい。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、前記蓋手段により開口部を閉鎖したとき、該蓋手段を開放不能にロックする閉止ロック機構を設けており、前記閉止ロック機構は、開口部を閉鎖した蓋手段の両側縁を支承する一対の框部材に設けた第1被係止手段及び第2被係止手段から成る被係止手段と、前記第1被係止手段と第2被係止手段に対応して蓋手段の内側面に設けた係止ロッドから成る第1係止手段及び第2係止手段から成る係止手段により構成され、前記係止ロッドは、蓋手段の内側面に設けた枠部材の挿通孔を介してX方向に移動自在に支持され、先端に前記被係止手段に係脱自在な係止端部を設けると共に、基端に操作部を設け、常時はスプリングにより係止端部を突出する方向に弾発付勢され、第1係止手段及び第2係止手段の一対の操作部を握ることにより相互に引き寄せたとき一対の係止ロッドの係止端部を第1被係止手段及び第2被係止手段から離脱させるように構成されている。この際、前記挿通孔は、蓋手段の内側面に対する遠近方向に延長された長孔を含んでおり、第1係止手段及び第2係止手段を構成する一方の係止ロッドを他方の係止ロッドに向けて引き抜くとき、前記長孔を介して一方の係止ロッドの軸線を偏位させることにより、他方の係止ロッドに衝突しない状態で引き抜かれるように構成している。
【0012】
前記枢結手段は、前記開閉板の基端部と、該基端部に対向する保持板と、前記基端部と保持板を所定間隔で連結する連結手段により構成され、前記基端部と保持板と連結手段により支持フレームの外周を回動自在に抱持するように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によれば、ハッチ式の窓装置を設けた足場パネル1Aが提供されるので、例えば、該足場パネル1Aを吊り足場の適宜個所に組込むことにより、蓋手段14を閉鎖ロックした状態において安全な作業床を提供する一方において、蓋手段14を開放することにより、地上から吊上げた搬出用のダクトを開口部13を通じて作業床に導くことができるので、従来のように搬出物を長距離に及ぶ作業床の端部の開放部まで移送する煩雑がなく作業効率が向上する。
【0014】
そして、蓋手段14は、足場パネル1Aに枢結されているので、離脱することにより開閉に際して誤って落下することはなく、安全を担保し、しかも、蓋手段14の開閉構造は、支持フレーム6の軸部6aにより枢軸を構成するため、別個に枢軸を設ける必要がなく構造が簡単であると共に、枠体7に剛体化された支持フレーム6を枢軸とするため、堅牢であり、高所作業中の作業者に不安を与えることがない。
【0015】
請求項2に記載の本発明によれば、框部材17、17を設けているので、閉鎖された蓋手段14を好適に支承することができ、この際、框部材17、17により支持フレーム6と枠フレーム3aを橋架しているので、開口部13の下側の空間部Sに剛性のある枠組構造を提供すると共に、足場パネル1Aの枠体7を強化する。
【0016】
請求項3に記載の本発明によれば、床板8の縁部8aをビーム18に固着しているので、開放した蓋手段14が縁部8aに押圧力を与える場合でも、該押圧力を強固に支持することにより、該縁部8aと共に床板8に歪み変形が発生することを阻止できる。
【0017】
請求項4に記載の本発明によれば、蓋手段14と框部材17の間に閉止ロック機構を設けているので、蓋手段14が枠体7に剛体化された框部材17に対して堅固に係止され、足場パネル1Aの上で高所作業を行う際に、蓋手段14が閉鎖状態から不慮に開放されることはなく、開口部13を閉鎖した安全な状態を確保する。この際、閉止ロック機構は、一対の第1係止手段25a及び第2係止手段25bと一対の第1被係止手段27a及び第2被係止手段27bにより構成されており、万一、一方の閉止ロック機構(25a、27a)が解除されても、他方の閉止ロック機構(25b、27b)がロック状態を保持しているので、蓋手段14の確実強固で安全な閉止ロックが可能となる。そして、閉止ロックを意図的に解除して蓋手段14を開放する場合は、一対の操作部30、30を同時に握ることによりロックを解除することが可能であるから、ロック解除操作が簡単容易であり、しかも、操作部30、30を蓋手段14の引き上げのためのハンドルとして利用できる便利がある。
【0018】
特に、それぞれ係止ロッド26から成る第1係止手段25a及び第2係止手段25bを挿通孔35に挿通することによりX方向に移動自在に支持した構成において、前記挿通孔35は、蓋手段14の内側面に対する遠近方向に延長された長孔36を含むように構成されているので、修理その他の保守管理等のために、第1係止手段25a及び第2係止手段25bを構成する一方の係止ロッド26を他方の係止ロッド26に向けて引き抜くとき、前記長孔36を介して一方の係止ロッド26の軸線を偏位させることにより、他方の係止ロッド26に衝突しない状態で引き抜くことが可能である。
【0019】
従って、反対に、係止ロッド26を挿通孔35に挿通させる場合も、同様に長孔26を介して他方の係止ロッド26に干渉しない姿勢とした状態で該係止ロッド26を挿通させることが可能であるから、枠部材19を備えた蓋手段14に対して一対の係止ロッド26、26を後付けによりアセンブリすることが容易である。
【0020】
請求項5に記載の本発明によれば、枢結手段16が開閉板15の基端部15aと、該基端部15aに対向する保持板20と、前記基端部15aと保持板20を所定間隔で連結する連結手段21により構成され、これにより支持フレーム6の外周を回動自在に抱持する構成であるから、床板8を敷設した足場パネル1Aにおいて、開口部13の拡張口部13bにより上方空間を開放された支持フレーム6の軸部6aに対して、蓋手段14の枢結手段16を枢結することにより、蓋手段14の後付け可能であり、アセンブリが容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0023】
図1は、高架構造物の下側に構築された吊り足場の1例を示している。吊り足場は、高架構造物の躯体に固設されたH型鋼等から成る支持レールに対して、多数の足場パネル1をチェーン等の吊持手段2により吊下げると共に水平方向に並設することにより構築され、これにより工事作業のための作業床を形成する。しかしながら、本発明の足場パネルは、吊り足場の他、枠組足場やその他の足場にも利用可能であることを諒解されたい。
【0024】
作業床は、水平方向で相互に直交するX方向とY方向に関して、複数の足場パネル1をX方向に並設すると共に、多数の足場パネル1をY方向に並設することにより、X方向に所定幅とされた作業床をY方向に向けて延長する。そこで、作業床を構成する多数の足場パネル1のうち、適宜個所に位置する足場パネルとして、本発明の開閉自在なハッチ式の窓装置を設けた窓付き足場パネル1Aが組込まれる。
【0025】
図示実施形態の場合、足場パネル1と窓付き足場パネル1Aは、以下に説明するような共通の基本的構成を有しており、足場パネル1に部分的な加工を施すことにより窓付き足場パネル1Aが提供される。
【0026】
[足場パネル]
図2は、窓付き足場パネル1Aを示しているが、足場パネル1と共通する構成として、所定間隔をあけてX方向に延びる一対の枠フレーム3a、3bが配置され、該枠フレーム3a、3bの両端部を一対の支持パイプ4により連結すると共に、中間部を複数の連結フレーム5によりY方向に連結し、更に、一対の枠フレーム3a、3bの間の中央に配置されたX方向に延びる支持フレーム6を前記連結フレーム5に貫通させると共に、該支持フレーム6の両端を前記支持パイプ4に固着し、これにより枠体7を形成しており、該枠体7の上面に床板8が敷設される。この際、支持フレーム6は、断面円形のパイプ材により形成することが好ましい。尚、床板8は、図例の場合、金属板により形成しているが、金網等により形成しても良く、シート材のものであれば良い。
【0027】
前記枠フレーム3a、3bは、X方向に延びる上面のうち幅方向内側を低くした段状の支持面9を形成し、該支持面9を前記連結フレーム5の上面と面一になるように構成しており、前記床板8は、
図3に示すように、前記支持面9及び連結フレーム5に載置すると共にリベット等のファスナで固着することにより敷設される。
【0028】
前記床板8は、枠体7に敷設された状態で、X方向の両端縁を支持パイプ4よりも内側に位置するように形成され、これにより上方空間を開放された支持フレーム6の両端部に吊持部10を形成し、該吊持部10を前記吊持手段2により吊持するように構成している。尚、前記吊持部10に加えて、床板8の上方に突出する吊環(図示せず)を支持フレーム6の適所に設け、該吊環を吊持手段2により吊持するように構成しても良い。
【0029】
図例の場合、前記支持パイプ4、4は、一対の枠フレーム3a、3bを貫通し、一端部に一方の枠フレーム3aから突出するプラグ部材11を固着すると共に、他端部にソケット部(図示せず)を形成している。従って、吊り足場の構築に際し、
図1に示すように、Y方向に隣り合う一対の足場パネル1(1A)は、相互に、一方のプラグ部材11を他方のソケット部に挿入し、ピンで抜止め状態に固定することにより、密に並設される。尚、X方向に隣り合う一対の足場パネル1(1A)は、相互に対向する支持パイプ4、4をクランプ金具等の連結手段(図示せず)により連結固定することにより、密に並設される。
【0030】
上述した構成は、足場パネル1と窓付き足場パネル1Aに共通の基本的構成であり、これに対して、窓付き足場パネル1Aは、下方空間と上方空間を連通する開閉自在なハッチ式の窓装置12を設けている。
【0031】
[窓装置]
窓装置12は、
図2及び
図3に示すように、枠体7の隣り合う一対の連結フレーム5、5の間の空間部Sに臨んで床板8に形成された開口部13と、該開口部13を開閉する蓋手段14により構成されている。従って、蓋手段14を開放すると、足場パネル1Aの下方空間と上方空間が開口部13を介して連通される。
【0032】
前記開口部13は、
図2に示すように、床板8の側縁部から切欠き状に形成され、X方向及びY方向に広がりを有する広口部13aと、該広口部13aからY方向に向けて前記支持フレーム6を超える位置まで延長された拡張口部13bを形成している。これに対し、前記蓋手段14は、
図3ないし
図5に示すように、前記開口部13を開閉する開閉板15と、該開閉板15の基端部15aを前記支持フレーム6に回動自在に枢結する枢結手段16を設けており、開閉板15を支持フレーム6に対して回動することにより前記開口部13を開閉するように構成されている。
【0033】
従って、蓋手段14は、床板8を敷設した窓付き足場パネル1Aに対して、前記拡張口部13bにより上方空間を開放された支持フレーム6の軸部6aに枢結手段16を取付けることにより後付け可能であり、アセンブリを容易とする。そして、蓋手段14は、足場パネル1Aに分離不能に枢結されるので、開閉に際して誤って落下することはなく、安全を担保する。特に、蓋手段14の開閉構造は、支持フレーム6の軸部6aが枢軸を構成しているので、別個に枢軸を設ける必要がなく構造が簡単であり、しかも、枠体7に剛体化された支持フレーム6を枢軸とするため、堅牢であり、高所作業中の作業者に不安を与えることがない。
【0034】
前記空間部Sの両側には、前記蓋手段14により開口部13を閉鎖したとき、該蓋手段14の両側縁を下方から支承する框部材17、17が設けられており、該框部材17、17は、両端を支持フレーム6と枠フレーム3aに固着することにより架設されている。
【0035】
前記框部材17、17は、閉鎖状態とされた蓋手段14を支承するだけでなく、支持フレーム6と枠フレーム3aを橋架することにより、開口部13の下側の空間部Sに剛性のある枠組構造を提供すると共に、足場パネル1Aの枠体7を強化する。
【0036】
図示実施形態の場合、前記支持フレーム6を挟んで空間部Sの反対側には、該支持フレーム6に近接して平行に延びるビーム18が設けられ、該ビーム18は、両端を連結フレーム5、5に固着することにより架設されており、
図7に示すように、拡張口部13bに臨む床板8の縁部8aを該ビーム18に対してリベット等のファスナ8bにより固着している。尚、支持フレーム6とビーム18の間には、開閉回動時における基端部15aの進入を許す空隙部Gが形成されている。
【0037】
図7に示すように、蓋手段14は、角度θ(θ>90度、図例の場合は約112度)まで開放すると、開閉板15の外側面が前記床板8の縁部8aに当接する。そこで、縁部8aに押圧力が与えられると、
図7に鎖線で示すように、該縁部8aと共に床板8のY方向に離れた部分が歪み変形するおそれがある。この点に関して、上述のように縁部8aを剛体構造のビーム18に一体的に固着結合した図示実施形態の構成によれば、縁部8aが蓋手段14の押圧力を強固に支持するので、図示鎖線のような歪み変形を生じることはない。
【0038】
[蓋手段]
前記蓋手段14は、
図4ないし
図6に示すように、開閉板15の内側面に枠部材19を設けている。枠部材19は、開閉板15の両側縁に沿う閉止縁15bを残して内側に配置された縦枠19b、19bと、開閉板15の基端部15aを残して内側に配置された基端側横枠19aと、開閉板15の基端部15aの反対側に位置する自由端側の閉止縁15cを残して内側に配置された自由端側横枠19cにより矩形の枠組を構成し、更に、開閉板15の中央から左右に間隔をあけて前記縦枠19bとほぼ平行な一対の縦桟19d、19dを設けている。
【0039】
これにより、蓋手段14は、前記枠部材19により剛体化され、開口部13を閉鎖したとき、
図8に示すように、前記縦枠19bから張り出す閉止縁15bが框部材17に載置され、前記自由端側横枠19cから張り出す閉止縁15cが枠フレーム3aの支持面9に載置される。
【0040】
[枢結手段]
前記枢結手段16は、
図4ないし
図6に示すように、前記開閉板15の基端部15aと、該基端部15aの内側面に対向する保持板20と、前記基端部15aと保持板20を所定間隔で連結する連結手段21により構成され、前記基端部15aと保持板20により支持フレーム6の軸部6aを外周から回動自在に抱持するように構成している。
【0041】
図示実施形態の場合、一対の保持板20、20は、前記枠部材19の基端側横枠19aの両端部に臨むコーナ部分に配置され、該横枠19aと縦枠19bにボルトナット等の固着手段22により固着されており、該保持板20の舌片部20aと開閉板15の基端部15aの間に抱持空間23を形成し、該抱持空間23の開口部分に位置して基端部15aと舌片部20aを前記連結手段21により連結するように構成している。
【0042】
従って、蓋手段14を支持フレーム6の軸部6aに枢結する場合、開口部13の拡張口部13bに枢結手段16を挿入し、前記抱持空間23に軸部6aを抱持させた状態で、前記連結手段21により前記基端部15aと舌片部20aを連結することにより、抜止めされた抱持状態とすれば良い。
図7及び
図8に示す図示実施形態の場合、連結手段21は、基端部15aを貫通し、先端部を舌片部20aの雌ネジ孔に螺着されるボルトにより構成されており、該ボルトにカラー24を外挿している。このように基端部15aと舌片部20aの間にカラー24を介装することにより、連結手段21を締め過ぎても、基端部15aと舌片部20aにより軸部6aを強く挟着することはないので、微小なクリアランスを保持した抱持状態が確保され、スムースな枢支回動が可能となる。
【0043】
[閉止ロック機構]
窓装置12は、蓋手段14により開口部13を閉鎖したとき、該蓋手段14を開放不能にロックする閉止ロック機構を設けている。閉止ロック機構は、蓋手段14に設けられた係止手段25を構成する係止ロッド26と、前記框部材17に設けられた被係止手段27を構成する受部28から成り、係止手段25を被係止手段27に係脱自在に係止することにより蓋手段14を開放不能にロックするように構成している。
【0044】
従って、窓付き足場パネル1Aの上で高所作業を行う際、蓋手段14が閉鎖状態から不慮に開放されることはなく、開口部13を閉鎖した安全な状態を確保するので、作業者が足を踏み外したり、物体が落下したりするような危険はない。
【0045】
前記係止ロッド26は、蓋手段14の内側面にX方向に移動自在に設けられており、前記受部28は、框部材17に設けた孔、凹部、切欠き等から形成され、係止ロッド26を移動することにより係脱自在に係止するように構成されている。
【0046】
図5及び
図6に示すように、前記受部28から成る被係止手段27は、一対の框部材17、17にそれぞれ設けることにより、第1被係止手段27aと第2被係止手段27bを構成し、これに対応して、前記係止ロッド26から成る係止手段25は、蓋手段14の中央に位置して左右対称状に設けることにより、第1係止手段25aと第2係止手段25bを構成している。
【0047】
第1係止手段25a及び第2係止手段25bを構成する係止ロッド26は、開閉板15の左右方向の中央に開設された操作窓29を横断するように配置された操作部30と、該操作部30の一端部から折曲されることによりX方向に延びると共に縦桟19d及び縦枠19bに挿通孔35a、35bを介して摺動自在に挿通される作動ロッド部32と、作動ロッド部32の先端部で前記閉止縁15bに臨む係止端部31を備えており、前記係止端部31を縦枠19bから突出させる方向に弾発付勢するスプリング33を設けており、ストッパ33aを縦桟19dに当接することにより係止端部31を所定の突出状態となるように保持している。この際、図示実施形態のように、前記操作部30の他端部から延長ロッド部34を折曲形成し、該延長ロッド部34を縦桟19dに挿通孔35cを介して摺動自在に挿通させることにより、係止ロッド26を回動不能に保持することが好ましい。尚、図示実施形態の場合、前記スプリング33は、前記延長ロッド部34の挿出端部に設けているが、前記作動ロッド部32に設けても良い。
【0048】
この際、後述するように、係止ロッド26の挿脱を可能とするため、挿通孔35(35a、35b、35c)のうち所定の挿通孔(図例の場合、作動ロッド部32を挿通させる縦桟19dの挿通孔35b)は、
図5及び
図9に示すように、蓋手段14の内側面に対する遠近方向に延長された長孔36により構成されている。
【0049】
図6の部分拡大図及び
図8(B)に示すように、前記係止ロッド26の係止端部31は、傾斜面となるガイド斜面31aを形成しており、蓋手段14を開口部13に進入すると、前記ガイド斜面31aが框部材17に摺接することにより係止ロッド26をスプリング33に抗して後退させ、蓋手段14を開口部13に内嵌することにより係止端部31を受部27に対面させると、係止ロッド26をスプリング33により前進させ、係止端部31を受部27に挿入係止するように構成されており、これにより蓋手段14を開放不能にロックする。
【0050】
従って、開口部13を開口状態から閉蓋するときは、係止ロッド26を操作しなくても、単に蓋手段14を閉止方向に回動させるだけで、自動的にロック状態が得られ、閉止作業を容易とする。このため、蓋手段14を手指で握持して開口部13の近くまで閉止方向に回動させ、その後、手指から放すことにより蓋手段14を自重で開口部13に内嵌させれば、自動ロックされるので、作業者の指詰めの危険がない。
【0051】
閉鎖状態とされた蓋手段14を開放する場合は、開閉板15の外側から作業者の手指を操作窓29に挿入し、該操作窓29に臨んで配置された第1係止手段25aと第2係止手段25bの一対の操作部30、30を同時に握ることにより、それぞれの係止ロッド26、26をスプリング33に抗して相互に引き寄せれば、それぞれの係止端部31、31が受部27a、27bから同時に脱出して前記ロックを解除するので、操作部30、30を握持したまま、蓋手段14を引き上げれば良い。
【0052】
従って、閉止ロック機構は、蓋手段14を閉止した状態において、作業者が操作窓29に手指を挿入して操作部30を操作しない限り、ロックが解除されることはなく、安全性を担保する。
【0053】
特に、上記実施形態のように、一対の第1係止手段25a及び第2係止手段25bと一対の第1被係止手段27a及び第2被係止手段27bにより構成した閉止ロック機構によれば、万一、一方の閉止ロック機構(25a、27a)が解除されても、他方の閉止ロック機構(25b、27b)はロック状態を保持しているので、蓋手段14の確実強固で安全な閉止ロックが可能となり、その一方において、意図したロック解除を行う場合は、その操作が簡単容易であり、しかも、操作部30、30を蓋手段14の引き上げのためのハンドルとしても利用できる便利がある。
【0054】
上述のように、一対の係止ロッド26の操作部30を対向させた第1係止手段25aと第2係止手段25bを構成する図示実施形態の場合、一対の操作部30、30を握ることにより第1係止手段25aと第2係止手段25bのロックを同時に解除できる利点がある反面、修理その他の保守点検等に際して、係止ロッド26を引き抜く必要が生じたとき、同軸上に位置する一対の係止ロッド26、26が相互に衝突して干渉するので、引き抜き不能となる問題がある。
【0055】
この点に関して、本発明の実施形態は、
図9に示すように、挿通孔35(35a、35b、35c)のうち所定の挿通孔(図例の場合、作動ロッド部32を挿通させる縦桟19dの挿通孔35b)を蓋手段14の内側面に対する遠近方向に延長された長孔36により構成している。このため、例えば、第2係止手段25bの係止ロッド26を引き抜く場合、
図9(A)に示すようにスプリング33等を取外すことにより引き抜き可能な状態とした後、
図9(B)に示すように、引き抜き方向への移動と共に、長孔36を介して作動ロッド部32の軸線を偏位させることにより、第1係止手段25aの係止ロッド26に干渉することなく引き抜くことが可能である。
【0056】
従って、反対に、係止ロッド26を挿通孔35に挿通させる場合も、同様に長孔26を介して他方の係止ロッド26に干渉しない姿勢とした状態で該係止ロッド26を挿通させることが可能である。このため、枠部材19を備えた蓋手段14を形成した後、第1係止手段25aと第2係止手段25bを構成する一対の係止ロッド26、26をアセンブリすることにより、閉止ロック機構を後付けすることが簡単容易となる。
【0057】
尚、図示の構成では、第1係止手段25aと第2係止手段25bの両方の挿通孔35bに長孔36を形成しているが、少なくとも一方に設ければ良い。
【0058】
上記構成とされた窓付き足場パネル1Aは、構築された吊り足場の適宜個所に組込まれ、蓋手段14を閉鎖ロックした状態で安全な作業床を提供する。そして、作業床に滞留するコンクリート片等の要廃棄物や、不要物、その他の搬出物を地上に搬出する場合は、蓋手段14を開放し、地上からダクト等の搬出手段を作業床に導くことにより搬出可能であるから、従来のように搬出物を長距離に及ぶ作業床の端部の開放部まで移送する煩雑はなく、作業効率を向上する。