(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動機構は、前記定着ニップを通過する用紙の坪量に応じて、前記加熱部材からの前記ガイド部材の距離を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、クリーニングローラーやバイアス印加手段などの新たな部材を追加する必要があるため、コストの上昇を招くことになる。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、コストの上昇を招くことなく、静電オフセットの発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、静電潜像が形成される像担持体と、一成分現像剤を収容する容器本体と、前記容器本体から一成分現像剤を排出する排出部材と、を備えた現像剤容器と、前記容器本体から排出される一成分現像剤を用いて前記像担持体上の静電潜像を現像する現像器と、熱源と、前記熱源によって加熱される加熱部材と、前記加熱部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着ニップへと用紙を導くガイド部材と、前記加熱部材及び前記加圧部材と所定の間隔を介して対向する除電位置と、前記除電位置よりも前記加熱部材に接近すると共に前記加圧部材から離間するガイド位置と、の間で前記ガイド部材を移動させる移動機構と、を備えた定着装置と、前記排出部材、前記加熱部材及び前記加圧部材を回転させる単一の駆動源と、を備え、初期設定時には、前記ガイド部材を前記除電位置に保持した状態で前記現像剤容器から前記現像器に一成分現像剤を充填し、印字動作時には、前記ガイド部材を前記ガイド位置に保持した状態で前記現像剤容器から前記現像器に一成分現像剤を補給すると共に前記定着ニップにおいて用紙にトナー像を定着させることを特徴とする。
【0010】
上記のように排出部材、加熱部材及び加圧部材を単一の駆動源によって回転させることで、排出部材と加熱部材及び加圧部材とを別々の駆動源によって回転させる場合と比較して、駆動源の数を少なくすることができ、コストを削減することが可能となる。一方で、このような構成を採用すると、初期設定時に現像剤容器から現像器に一成分現像剤を充填するために排出部材を回転させると、加熱部材と加圧部材が回転して加熱部材と加圧部材の摩擦帯電に伴う静電オフセットが発生する恐れがある。特に、本発明では一成分現像剤を現像剤として利用しており、二成分現像剤を現像剤として利用する場合と比較して、現像剤の構成が簡易になる反面、現像剤の帯電が不安定になりやすく、静電オフセットが発生しやすい。
【0011】
しかしながら、上記のように初期設定時にガイド部材を除電位置に保持することで、初期設定時に加圧部材の表面に電荷が蓄積しても、除電位置に保持されたガイド部材によって加圧部材の表面から電荷を除去することが可能となる。そのため、加圧部材の表面に多くの電荷が蓄積した状態で用紙が定着ニップを通過するのを回避することが可能となり、これに伴って、静電オフセットの発生を防止することができる。一方で、印字動作時には、ガイド位置に保持されたガイド部材によって、用紙を定着ニップへと確実に導くことが可能となる。
【0012】
また、定着ニップへと用紙を導くガイド部材を利用して加圧部材の表面から電荷を除去する構成であるため、加圧部材の表面から電荷を除去するための専用の部品を新たに追加する必要が無い。従って、コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0013】
前記ガイド部材は、用紙の搬送経路と対向する対向面と、前記対向面の反対側に設けられる取付面と、を備え、前記取付面には、前記加圧部材の表面から電荷を除去するための除電部材が取り付けられていても良い。
【0014】
このようにガイド部材の取付面に除電部材を取り付けることで、加圧部材の表面から電荷を効率的に除去することが可能となる。また、除電部材を保持するための部材(ホルダー)を別途追加することなく除電部材を保持することができるため、定着装置の構成を簡易なものとすることができ、コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0015】
前記除電部材は、用紙の搬送方向における前記取付面の下流端部に取り付けられていても良い。
【0016】
このような構成を採用することで、除電部材を加圧部材に極力接近させることが可能となり、加圧部材の表面から電荷をより効率的に除去することが可能となる。
【0017】
前記移動機構は、前記定着ニップを通過する用紙の坪量に応じて、前記加熱部材からの前記ガイド部材の距離を変化させても良い。
【0018】
このような構成を採用することで、坪量の異なる複数種類の用紙を定着ニップへと確実に導くことが可能となる。
【0019】
前記現像器は、前記像担持体上の静電潜像を一成分現像剤によって現像する現像部材と、前記現像部材側に向かって一成分現像剤を搬送する搬送部材と、を備え、前記駆動源は、前記現像部材及び前記搬送部材を回転させても良い。
【0020】
このような構成を採用することで、駆動源の数を更に少なくすることができ、コストを更に削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コストの上昇を招くことなく、静電オフセットの発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
【0024】
図1に示されるように、プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納する給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上端には排紙トレイ4が設けられている。
【0025】
プリンター本体2の左上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が配置され、プリンター本体2の右側部には、画像形成部6が設けられている。画像形成部6には、感光体ドラム7(像担持体)が回転可能に設けられており、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、トナーコンテナ9(現像剤容器)に接続された現像器10と、転写ローラー11と、クリーニング装置12とが、感光体ドラム7の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
【0026】
プリンター本体2の右側部には、下方から上方に向かって用紙の搬送経路13が設けられている。搬送経路13の上流端には給紙部14が設けられ、搬送経路13の中流部には、感光体ドラム7と転写ローラー11によって構成される転写部15が設けられ、搬送経路13の下流部には定着装置16が設けられている。搬送経路13の右側には、両面印刷用の反転経路17が設けられている。
【0027】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0028】
プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0029】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光(
図1の矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、トナーコンテナ9から供給される磁性トナー(磁性一成分現像剤。以下、単に「トナー」と称する。)によって、現像器10が静電潜像をトナー像に現像する。
【0030】
一方、給紙部14によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部15へと搬送され、転写部15において感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路13を下流側へと搬送されて定着装置16に進入し、この定着装置16において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送経路13の下流端から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナーは、クリーニング装置12によって回収される。
【0031】
次に、トナーコンテナ9について説明する。
【0032】
図2に示されるように、トナーコンテナ9は、プリンター本体2に設けられたコンテナ装着部20に着脱可能に装着されている。トナーコンテナ9は、上面が開口された箱型形状の容器本体21と、容器本体21の略中央部に収容される攪拌パドル22と、容器本体21の右下部に収容される搬送スクリュー23(排出部材)と、容器本体21の上面を覆う蓋体24と、を備えている。
【0033】
容器本体21は、トナーを収容している。攪拌パドル22は、容器本体21に回転可能に支持されており、攪拌パドル22が回転することで、容器本体21の内部のトナーが攪拌されるようになっている。搬送スクリュー23は、容器本体21に回転可能に支持されており、搬送スクリュー23が回転することで、容器本体21からトナーが排出されるようになっている。
【0034】
次に、現像器10について説明する。現像器10は、トナーコンテナ9の容器本体21から排出されるトナーを用いて感光体ドラム7上の静電潜像を現像する一成分現像器である。
【0035】
図2に示されるように、現像器10は、箱型形状の現像器本体25と、現像器本体25の左端部に収容されるスクリュー26(搬送部材)と、現像器本体25の中央部に収容される左右一対のミキサー27(搬送部材)と、現像器本体25の右端部に収容される現像ローラー28(現像部材)と、を備えている。
【0036】
現像器本体25の左端部は、上下方向に延びるパイプ30を介してトナーコンテナ9の容器本体21と接続されている。そして、トナーコンテナ9の容器本体21から排出されたトナーが、パイプ30を介して現像器本体25の左端部に導入されるようになっている。
【0037】
スクリュー26及び左右一対のミキサー27は、現像器本体25に回転可能に支持されている。そして、スクリュー26及び左右一対のミキサー27が回転することで、現像器本体25の左端部に収容されたトナーが、攪拌されながら現像ローラー28側に向かって搬送されるように構成されている。
【0038】
現像ローラー28は、感光体ドラム7と僅かな隙間を介して対向している。現像ローラー28は、現像器本体25に回転可能に支持されている。そして、現像ローラー28にバイアスが印加された状態で現像ローラー28が回転することで、現像ローラー28から感光体ドラム7にトナーが供給され、感光体ドラム7上の静電潜像がトナーによって現像されるようになっている。
【0039】
次に、定着装置16について説明する。
【0040】
図3に示されるように、定着装置16は、定着フレーム31と、定着フレーム31の左側部に収容される加熱ローラー32(加熱部材)と、定着フレーム31の右側部に収容される加圧ローラー33(加圧部材)と、加熱ローラー32及び加圧ローラー33の下側(用紙の搬送方向における上流側)に設けられるガイド部材34と、ガイド部材34の右側に設けられる移動機構35と、を主体として構成されている。
【0041】
定着フレーム31の下端部には導入開口部36が形成され、定着フレーム31の上端部には導出開口部37が形成されている。そして、導入開口部36を介して定着フレーム31の内部に導入された用紙が導出開口部37を介して定着フレーム31の外部に導出されるように構成されている。定着フレーム31の右下部には、バネ受部38が設けられている。
【0042】
加熱ローラー32は、前後方向に長い形状を成している。加熱ローラー32は、例えば、円筒状の芯材と、この芯材を被覆する離型層と、を備えている。加熱ローラー32の芯材は、アルミニウムや鉄等の金属によって構成されている。加熱ローラー32の離型層は、フッ素系材料(例えば、PTFE)のコーティングによって構成されており、その表面抵抗値は10
11[Ω/□]である。
【0043】
加熱ローラー32は、定着フレーム31に回転可能に支持されている。加熱ローラー32の内部空間には、2本のヒーター40(熱源)が収容されている。ヒーター40は、例えば、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等によって構成されている。加熱ローラー32の上側(用紙の搬送方向における下流側)には分離爪41が設けられており、この分離爪41によって加熱ローラー32の表面から用紙を分離できるようになっている。
【0044】
加圧ローラー33は、前後方向に長い形状を成している。加圧ローラー33は、例えば、円筒状の芯材と、この芯材に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、を備えている。加圧ローラー33の芯材は、アルミニウムや鉄等の金属によって構成されている。加圧ローラー33の弾性層は、シリコンゴム等によって構成されている。加圧ローラー33の離型層は、フッ素系材料(例えば、PFA)のチューブによって構成されており、その表面は非導電性である。
【0045】
加圧ローラー33は、加熱ローラー32に圧接して定着ニップ42を形成している。加圧ローラー33は、接離機構(図示せず)に接続されており、JAM処理等を行う場合には、接離機構によって加熱ローラー32から加圧ローラー33を離間させることができるようになっている。
【0046】
ガイド部材34は、上方に向かって左方に傾斜する本体部43と、本体部43の上部から右方に向かって突出する突出部44と、を備えている。
【0047】
本体部43の下端部には揺動軸45が設けられており、この揺動軸45を中心に揺動可能となるようにガイド部材34が定着フレーム31に支持されている。本体部43の左側面には対向面46が形成されている。対向面46は、用紙の搬送経路13と対向している。本体部46の右側面には、取付面47が設けられている。取付面47は、対向面46の反対側に設けられている。取付面47の上端部(用紙の搬送方向における下流端部)には、加圧ローラー33の表面から電荷を除去するための除電部材48が突出部44よりも上方に取り付けられている。除電部材48は、例えば、導電性の不織布によって構成されている。
【0048】
移動機構35は、駆動モーター50(駆動部材)と、駆動モーター50に接続されるカム51と、カム51の上方に設けられるコイルバネ52(付勢部材)と、を備えている。
【0049】
カム51は、カム軸53を中心に回転可能となるように定着フレーム31に支持されている。カム51の外周には、小径部54と中径部55と大径部56とが設けられている。カム軸53からの距離は、小径部54、中径部55、大径部56の順に大きくなっている。カム51は、ガイド部材34の本体部43の上部に当接しており、ガイド部材34の本体部43を左方に押圧している。
【0050】
コイルバネ52は、定着フレーム31のバネ受部38とガイド部材34の本体部43の上端部の間に介装されている。コイルバネ52は、ガイド部材34を右方に付勢している。
【0051】
次に、プリンター1の制御システムについて説明する。
【0052】
図4に示されるように、プリンター1には、制御部58(CPU)が設けられている。制御部58は、ROM、RAM等の記憶装置で構成される記憶部59と接続されており、記憶部59に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて、制御部58がプリンター1の各部の制御を行うように構成されている。
【0053】
制御部58は、単一のモーター等によって構成される単一の駆動源60に接続されている。駆動源60は、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23、現像器10のスクリュー26、ミキサー27及び現像ローラー28、定着装置16の加熱ローラー32に接続されている。
【0054】
制御部58は、定着装置16の移動機構35の駆動モーター50に接続されている。制御部58は、定着装置16のヒーター40に接続されている。そして、制御部58からの信号に基づいてヒーター40が通電して発熱することで、ヒーター40によって加熱ローラー32が加熱されるように構成されている。
【0055】
上記のように構成された本実施形態のプリンター1の出荷時には、現像器10にトナーが充填されていない。そのため、プリンター1の初期設定時に、トナーコンテナ9から現像器10にトナーが充填される。
【0056】
プリンター1の初期設定時にトナーコンテナ9から現像器10にトナーを充填するには、まず、トナーコンテナ9をプリンター本体2のコンテナ装着部20に装着する。この状態で、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23、現像器10のスクリュー26、ミキサー27及び現像ローラー28、定着装置16の加熱ローラー32を駆動源60によって回転させる。
【0057】
上記のようにトナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23が回転すると、トナーコンテナ9の容器本体21に収容されたトナーが攪拌されながら排出され、パイプ30を介して現像器10の現像器本体25の左端部に導入される。このように現像器本体25の左端部に導入されたトナーは、スクリュー26及びミキサー27によって現像ローラー28側へと搬送され、現像ローラー28に供給される。これにより、現像器10へのトナーの充填が完了する。この現像器10へのトナーの充填には、通常、約10分程度の時間が必要となる。なお、プリンター1の初期設定時には、現像ローラー28にバイアスが印加されないため、現像ローラー28から感光体ドラム7にトナーは供給されない。
【0058】
上記したプリンター1の初期設定時には、
図3に示されるように、移動機構35のカム51の小径部54がガイド部材34の本体部43に当接している。この時のガイド部材34の位置を「除電位置」と称する。ガイド部材34が除電位置にある状態では、ガイド部材34が加熱ローラー32及び加圧ローラー33と所定の間隔を介して対向している。この時、ガイド部材34と加熱ローラー32の距離は、例えば3.0mmである。また、ガイド部材34と加圧ローラー33の距離は、好ましくは1.0mm未満であり、例えば0.8mmである。
【0059】
一方で、プリンター1の初期設定が完了した後に、坪量が比較的大きい用紙(例えば、厚紙)に印字動作を行う時には、移動機構35の駆動モーター50によってカム51を回転させ、
図5(a)に示されるように、カム51の中径部55をガイド部材34の本体部43に当接させる。これに伴って、コイルバネ52の付勢力に抗してカム51がガイド部材34の本体部43を左方に押圧し、揺動軸45を中心にガイド部材34が左方に揺動する。この時のガイド部材34の位置を「第1のガイド位置」と称する。ガイド部材34が第1のガイド位置にある状態では、ガイド部材34が除電位置にある状態と比較して、ガイド部材34が加熱ローラー32に接近すると共に加圧ローラー33から離間している。この時、ガイド部材34と加熱ローラー32の距離は、例えば2.6mmである。また、ガイド部材34と加圧ローラー33の距離は、例えば2.0mmである。
【0060】
また、上記のように坪量が比較的大きい用紙に印字動作を行う時には、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23、現像器10のスクリュー26、ミキサー27及び現像ローラー28、定着装置16の加熱ローラー32を駆動源60によって回転させる。上記のようにトナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23が回転すると、これに伴って、トナーコンテナ9から現像器10にトナーが補給される。
【0061】
また、上記のように定着装置16の加熱ローラー32が回転すると、これに伴って、加熱ローラー32に圧接する加圧ローラー33が加熱ローラー32とは逆方向に従動回転する。この状態で、トナー像が転写された用紙が搬送経路13の上流側から搬送されてくると、ガイド部材34によって用紙が定着ニップ42へと導かれ、用紙が定着ニップ42を通過する。これに伴って、用紙とトナー像が加熱及び加圧されて、用紙にトナー像が定着される。
【0062】
一方で、坪量が比較的小さい用紙(例えば、薄紙)に印字動作を行う時には、移動機構35の駆動モーター50によってカム51を回転させ、
図5(b)に示されるように、カム51の大径部56をガイド部材34の本体部43に当接させる。これに伴って、コイルバネ52の付勢力に抗してカム51がガイド部材34の本体部43を左方に押圧し、揺動軸45を中心にガイド部材34が左方に揺動する。この時のガイド部材34の位置を「第2のガイド位置」と称する。ガイド部材34が第2のガイド位置にある状態では、ガイド部材34が除電位置又は第1のガイド位置にある状態と比較して、ガイド部材34が加熱ローラー32に接近すると共に加圧ローラー33から離間している。この時、ガイド部材34と加熱ローラー32の距離は、例えば1.5mmである。また、ガイド部材34と加圧ローラー33の距離は、例えば4.0mmである。
【0063】
なお、上記のように坪量が比較的小さい用紙に印字動作を行う時も、坪量が比較的大きい用紙に印字動作を行う時と同様の作用により、用紙にトナー像が定着される。
【0064】
本実施形態では上記のように、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23、定着装置16の加熱ローラー32及び加圧ローラー33を単一の駆動源60によって回転させている。そのため、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23と、定着装置16の加熱ローラー32及び加圧ローラー33と、を別々の駆動源によって回転させる場合と比較して、駆動源60の数を少なくすることができ、コストを削減することができる。
【0065】
一方で、このような構成を採用すると、プリンター1の初期設定時にトナーコンテナ9から現像器10にトナーを充填するためにトナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23を回転させると、定着装置16の加熱ローラー32及び加圧ローラー33が回転する。これに伴って、加熱ローラー32及び加圧ローラー33(特に、加圧ローラー33)の表面に多くのマイナス電荷が蓄積してしまい、プリンター1の初期設定直後に用紙が定着ニップ42を通過する際に、静電オフセットが発生する恐れがある。本実施形態では特に、磁性トナー(磁性一成分現像剤)を現像剤として利用しており、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を現像剤として利用する場合と比較して、現像剤の構成が簡易になる反面、トナーの帯電が不安定になりやすく、静電オフセットが発生しやすい。
【0066】
しかしながら、本実施形態では、プリンター1の初期設定時にガイド部材34が除電位置に保持されている。このような構成を採用することで、プリンター1の初期設定時に加圧ローラー33の表面に電荷が蓄積しても、除電位置に保持されたガイド部材34によって加圧ローラー33の表面から電荷を除去することが可能となる。そのため、加圧ローラー33の表面に多くの電荷が蓄積した状態で用紙が定着ニップ42を通過するのを回避することが可能となり、これに伴って、静電オフセットの発生を防止することができる。
【0067】
一方で、印字動作時には、第1のガイド位置又は第2のガイド位置に保持されたガイド部材34によって、用紙を定着ニップ42へと確実に導くことが可能となる。また、用紙が定着ニップ42を通過する際に、加圧ローラー33とガイド部材34の距離が短すぎると、除電部材48にトナーが堆積してしまい、この堆積したトナーが加圧ローラー33の表面を傷付ける恐れがある。この点、上記のように第1のガイド位置又は第2のガイド位置にガイド部材34が保持されることで、加圧ローラー33とガイド部材34の距離が短くなり過ぎるのを防止することができ、上記のような加圧ローラー33の表面の損傷を抑制することが可能となる。
【0068】
また、定着ニップ42へと用紙を導くガイド部材34を利用して加圧ローラー33の表面から電荷を除去している。そのため、加圧ローラー33の表面から電荷を除去するための専用の部品を新たに追加する必要が無い。従って、コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0069】
また、ガイド部材34の取付面47に除電部材48を取り付けているため、加圧ローラー33の表面から電荷を効率的に除去することが可能となる。また、除電部材48を保持するための部材(ホルダー)を別途追加することなく除電部材48を保持することができるため、定着装置16の構成を簡易なものとすることができ、コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0070】
また、除電部材48は、ガイド部材34の取付面47の上端部(用紙の搬送方向における下流端部)に取り付けられている。このような構成を採用することで、除電部材48を加圧ローラー33に極力接近させることが可能となり、加圧ローラー33の表面から電荷をより効率的に除去することが可能となる。
【0071】
また、定着ニップ42を通過する用紙の坪量に応じて、移動機構35が加熱ローラー32からのガイド部材34の距離を変化させている。このような構成を採用することで、坪量の異なる複数種類の用紙を定着ニップ42へと確実に導くことが可能となる。
【0072】
また、トナーコンテナ9の攪拌パドル22及び搬送スクリュー23、定着装置16の加熱ローラー32及び加圧ローラー33だけでなく、現像器10のスクリュー26、ミキサー27及び現像ローラー28も単一の駆動源60によって回転させている。そのため、駆動源の数を更に少なくすることができ、コストを更に削減することが可能となる。
【0073】
本実施形態では、磁性トナー(磁性一成分現像剤)を現像剤として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、非磁性トナー(非磁性一成分現像剤)を現像剤として用いても良い。
【0074】
本実施形態では、駆動モーター50とカム51とコイルバネ52を備えた移動機構35を用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、他の異なる構成の移動機構を用いても良い。
【0075】
本実施形態では、加熱ローラー32を加熱部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、定着ベルトを加熱部材としても良い。本実施形態では、加圧ローラー33を加圧部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、加圧ベルトを加圧部材としても良い。
【0076】
本実施形態では、加熱ローラー32が芯材と離型層とによって構成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、加熱ローラー32が芯材と離型層の間に弾性層を備えていても良い。加熱ローラー32の弾性層は、例えば、シリコンゴム等によって構成される。
【0077】
本実施形態では、ヒーター40を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、IHコイル等の他の熱源を用いても良い。
【0078】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。