(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記待機動作時に、前記カセットが前記装置本体から引き出され始めると、前記リフト板と前記駆動部との前記連結が解除され、前記リフト板が自重によって前記第3の位置から前記第1の位置に移動することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
前記カセットが前記装置本体から引き出される引出動作に連動して、前記リタードローラーを前記給紙ローラーから離間させることで前記給紙ニップ部を開放し、かつ、前記カセットの前記装着動作に連動して、前記リタードローラーを前記給紙ローラーに当接させることで前記給紙ニップ部を形成する接離機構を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の給紙装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0023】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10(装置本体)と、この本体ハウジング10内に収容される画像形成部30と、定着部40と、トナーコンテナ36と、給紙部20と、を含む。
【0024】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11と、後カバー12と、排紙部13とによって画定される内部空間10Sに、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
【0025】
画像形成部30は、給紙部20から送り出されるシートSにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図2には表れていない)、現像装置33、転写ローラー34及びクリーニング装置35とを含む。
【0026】
感光体ドラム31は、回転シャフトと、回転シャフト回りに回転する円筒面と、を備える(不図示)。円筒面には、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面に担持される。帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。クリーニング装置35は、不図示のクリーニングブレードを有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。
【0027】
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面に当接し、転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
【0028】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シートS上に定着される。
【0029】
トナーコンテナ36は、現像装置33に補給する補給トナーを貯留する。トナーコンテナ36内に貯留された補給トナーは、回転部材361が回転駆動されることによって、筒状部362の先端下面に設けられたトナー排出口363から現像装置33内に供給される。
【0030】
給紙部20は、画像形成処理が施されるシートSを収容するカセット110を含む。カセット110には、前記シートSの束が収容されるシート収容部110S、前記シートSの束を給紙のためにリフトアップするリフト板111等が備えられている。シートSは、カセット110から本体ハウジング10の内部に延設された後記の主搬送路22Fに搬入される。なお、カセット110については後記で詳述する。
【0031】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路22F(シート搬送路)及び反転搬送路22Bが備えられている。主搬送路22Fは、給紙部20のシート収容部110Sから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路22Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路22Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0032】
主搬送路22Fは、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部を、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路22Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対23が配置されている。シートは、レジストローラー対23にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路22F及び反転搬送路22Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対24が配置されている。
【0033】
反転搬送路22Bは、反転ユニット25の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット25の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対23の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット25は、それらの下端に設けられたカバー支点部12Sの軸回りに各々回動可能である。反転搬送路22Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路22Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置33が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット25も開放される。
【0034】
<給紙部について>
次に、
図1に加え、
図2乃至
図4を参照して、本実施形態に係る給紙部20(給紙装置)について詳述する。給紙部20は、前述のカセット110と、ピックアップローラー112と、給紙ローラー113と、リタードローラー117と、案内壁部100とを備える。
図2および
図3は、カセット110および案内壁部100の斜視図である。案内壁部100は、本体ハウジング10の一部である。
図4(A)は、本体ハウジング10に装着されたカセット110の断面図であって、リフト板111が下端位置(第1の位置)に配置された状態の断面図である。
図4(B)は、カセット110の断面図であって、リフト板111が給紙位置(第2の位置)に配置された状態の断面図である。
図4(C)は、カセット110の断面図であって、リフト板111が待機位置(第3の位置)に配置された状態の断面図である。なお、
図4では、リフト板111の上に載置されたシートSの図示を省略している。
【0035】
カセット110は、本体ハウジング10(装置本体)に対して着脱自在とされる。本実施形態では、カセット110は、本体ハウジング10に対して
図1の矢印DC方向(装着方向)に向かって装着される。カセット110は、カセット底壁110A(底部)と、シート収容部110Sとを備える。シート収容部110SにはシートSが収容される。また、シート収容部110Sに収容されたシートSは、前述の主搬送路22F(シート搬送路)を搬送される。主搬送路22Fは、シート収容部110Sから延設され、シートSが前記装着方向に沿ったシート搬送方向(
図4(B)の矢印DP方向)に向かって搬送される搬送路である。カセット110は、カセット底壁110Aの前後左右から壁部が上方に立設される箱型形状からなる。換言すれば、カセット110は、更に、カセット前壁110Bと、カセット先壁110C(壁部)と、カセット左壁110Dと、カセット右壁110Eとを備える。
【0036】
カセット前壁110Bは、カセット110の前側を画定し、本体ハウジング10の前カバー11と面一に配置される。カセット先壁110Cは、カセット110の後側を画定する。換言すれば、カセット先壁110Cは、カセット110が本体ハウジング10に装着される装着方向の先端側に立設される壁部である。また、カセット左壁110Dは、カセット110の左方において、カセット先壁110Cと交差して、前記装着方向に沿って配置される側壁である。カセット右壁110Eは、カセット110の右方において、カセット左壁110Dと平行に配置される側壁である。
【0037】
カセット110は、更に、リフト板111を備える。リフト板111は、カセット110のシート収容部110Sの底部側に配置される。リフト板111の上面にシートSが載置される。リフト板111は、上方に移動されることで、シート収容部110Sに収容されるシートSのシート搬送方向下流側の端部をピックアップローラー112に向かって移動させる。より詳しくは、リフト板111は、カセット110のカセット底壁110Aに沿った第1の位置(
図4(A))と、前記第1の位置よりも上方であって、シート収容部110Sに収容されるシートSのうち最も上方に位置するシートのシート搬送方向下流側の端部を後記のピックアップローラー112に当接させる第2の位置(
図4(B))との間で位置変更が可能とされる。リフト板111は、カセット110が本体ハウジング10に装着された後、後記の昇降部114によって上下に移動される。
【0038】
ピックアップローラー112(
図1)は、主搬送路22Fの入口側で、シート収容部110Sに対向して配置される。ピックアップローラー112は、シート収容部110Sの後側端部(シート搬送方向下流側端部)の上方に配置される。ピックアップローラー112は、カセット110の装着方向(後方向)と交差するシート幅方向(左右方向)において、カセット110の中央部に配置される。前述のように、リフト板111が上昇されることによって、シートSのシート搬送方向下流側の端部がピックアップローラー112に当接される。そして、不図示の駆動機構によってピックアップローラー112が回転されると、ピックアップローラー112はシートSをシート搬送方向下流側に向かって搬送する。
【0039】
給紙ローラー113は、ピックアップローラー112よりもシート搬送方向下流側に配置される。給紙ローラー113は不図示の駆動機構によって回転駆動されることで、ピックアップローラー112によって送り出されたシートSをシート搬送方向下流側に向かって更に搬送する。
【0040】
リタードローラー117は、給紙ローラー113の下方において、給紙ローラー113に対向して配置される。リタードローラー117は、後記の案内壁部100に回転可能に支持されている。リタードローラー117は、給紙ローラー113との間でシートSが進入および通過する給紙ニップ部N(
図11)を形成する。前述の主搬送路22Fは、カセット110のシート収容部110Sから給紙ニップ部Nを通過するように延設されている。リタードローラー117は、給紙ローラー113に従動して回転可能とされる。給紙ニップ部Nに複数枚のシートSが進入された場合、最も上方に配置される1枚のシートSだけが、給紙ローラー113によってシート搬送方向下流側に搬送される。その他のシートSはリタードローラー117の周面に当接することで、給紙ニップ部Nにおいて停止される。
【0041】
案内壁部100は、本体ハウジング10の内部において、カセット110に対向して配置されるユニットである。案内壁部100は、ガイド面100Aを備える。ガイド面100Aは、案内壁部100の上面部に配置された湾曲面である。ガイド面100Aは、カセット110から送り出されたシートSをレジストローラー対23(
図1)に向かって案内する。
【0042】
更に、給紙部20は、駆動モーター63(駆動部)と、位置制御部64と、伝達部6と、昇降部114と、を備える。
【0043】
駆動モーター63(
図3)は、本体ハウジング10に配置される。駆動モーター63は、ステッピングモーターからなる。駆動モーター63は、後記の伝達部6および昇降部114を介して、リフト板111に連結されている。駆動モーター63は、不図示の減速ギアを備える。該減速ギアは、
図3の本体側入力軸60に回転可能に配置された不図示の本体側入力ギアに係合される。駆動モーター63の回転駆動力は、前記減速ギアから前記本体側入力ギアを介して、カセット110側に伝達される。駆動モーター63は、リフト板111を前記第1の位置と第2の位置との間で移動させる駆動力を発生する。なお、
図3では省略のために、駆動モーター63が本体側入力軸60に連結して示されているが、実際には上記のように、駆動モーター63に配置された不図示の減速ギアが、本体側入力軸60の回りに回転可能に支持された不図示の本体側入力ギアに連結可能とされている。カセット110が本体ハウジング10に装着されると前記減速ギアが前記本体側入力ギアに連結される。一方、カセット110が本体ハウジング10から引き出されると、前記減速ギアと前記本体側入力ギアとの連結が解除され、後記のとおりリフト板111が自重によって下降する。
【0044】
位置制御部64は、本体ハウジング10に配置され、駆動モーター63を制御することで、リフト板111の位置を制御する。カセット110が本体ハウジング10に装着されると、位置制御部64は、リフト板111を第1の位置(下端位置)から上方に移動させる。詳しくは、位置制御部64は、ピックアップローラー112がシートSを送り出す給紙動作時に、リフト板111を前記第2の位置(給紙位置)に配置させる。一方、カセット110が本体ハウジング10に装着された状態であって、ピックアップローラー112の前記給紙動作が行われていない待機動作時には、位置制御部64はリフト板111を前記第1の位置よりも上方かつ前記第2の位置よりも下方であって、シート収容部110Sに収容されるシートSのうち最も上方に位置するシートSがピックアップローラー112から下方に離間した第3の位置(
図4(C))に配置させる。
【0045】
伝達部6(
図3)は、カセット110に配置され、駆動モーター63の前記減速ギアに連結され、昇降部114を回動させる。
図3を参照して、伝達部6は、カセット110のカセット左壁110Dの前記装着方向の先端側(後側)に配置される。伝達部6は、入力ギア61と、セクタギア62と、を備える。
【0046】
入力ギア61は、本体側入力軸60に配置された前記本体側入力ギア(不図示)に連結される。入力ギア61は、駆動モーター63の回転駆動力をセクタギア62に伝達するギアである。
【0047】
セクタギア62は、扇形形状からなる部材である。セクタギア62は、セクタギア軸部62Aと、外周ギア部62Bとを備える。セクタギア62は、セクタギア軸部62A回りに回転可能とされる。外周ギア部62Bは、入力ギア61と係合される。また、セクタギア62のセクタギア軸部62Aは、カセット110のカセット左壁110Dに形成された軸穴62H(
図6)を貫通された後記の昇降軸部114A(
図4(A))に連結されている。
【0048】
昇降部114(
図4(A))は、カセット110のカセット底壁110Aとリフト板111との間に配置される。昇降部114は、昇降軸部114Aと、昇降部本体114Bと、昇降当接部114Cとを備える。昇降部114は、昇降軸部114A回りの回転によってリフト板111を上下移動させる。この際、昇降当接部114Cがリフト板111の下面に当接する。また、昇降軸部114Aは、カセット110のカセット先壁110Cの下端部から突設された収容部114S(
図4(A)、
図6)に回転可能に支持されている。なお、
図6には、昇降軸部114Aは現れていないが、昇降軸部114Aは、収容部114Sの左側に開口された挿入孔114Tと前述の軸穴62Hとの間に挿通されている。そして、昇降軸部114Aの左側端部には、前述のセクタギア62が連結されている。
【0049】
図3および
図4(A)を参照して、カセット110が本体ハウジング10に装着された際、リフト板111はカセット底壁110Aに沿った第1の位置に配置されている。一方、画像形成装置1において画像形成動作が開始されるに先立って、位置制御部64が駆動モーター63を回転駆動させる。そして、駆動モーター63の回転駆動力が、伝達部6に伝達され、昇降部114が回動する(
図4(A)の矢印D51、D52)。この結果、リフト板111が上昇し(
図4(A)の矢印D53)、リフト板111が
図4(B)に示される第2の位置に配置される。なお、リフト板111が上昇されると、リフト板111に載置されたシートSがピックアップローラー112を上方に押し上げる。この際、ピックアップローラー112および給紙ローラー113を回転可能に支持する給紙ホルダー115(
図4(B))を不図示のセンサーが検知することで、リフト板111が第2の位置(給紙位置)に配置されたことが位置制御部64によって検出され、駆動モーター63の駆動が停止される。リフト板111が第2の位置に配置された状態で、ピックアップローラー112および給紙ローラー113が回転されると(
図4(B)の矢印D61、D62)、シートSがシート搬送方向に搬送される(
図4(B)の矢印DP)。
【0050】
更に、本実施形態では、画像形成装置1において画像形成動作が実行されず、ピックアップローラー112の給紙動作が行われていない待機動作時には、位置制御部64は駆動モーター63を駆動させ、リフト板111を
図4(C)に示す第3の位置に配置させる。この際、リフト板111に載置されたシートSと、ピックアップローラー112との間には所定の隙間が形成されている。また、前記待機動作時に、カセット110が本体ハウジング10から引き出され始めると、リフト板111と駆動モーター63との連結が解除され、リフト板111が自重によって前記第3の位置から前記第1の位置に移動する。本実施形態では、リフト板111が第2の位置に配置された状態で、カセット110が本体ハウジング10から引き出されることが、不図示のロック機構によって規制されている。
【0051】
<規制部5について>
次に、
図5乃至
図7を参照して、本実施形態に係る規制部5について説明する。
図5は、本実施形態に係る案内壁部100(本体ハウジング10の一部)およびカセット110の断面斜視図であって、規制片51が後記の突出位置に配置された状態の図である。
図6は、カセット110の斜視図であって、規制片51が突出位置に配置された状態の斜視図である。
図7は、案内壁部100の斜視図である。
【0052】
図6を参照して、カセット110は、更に、支持部110C1と、支点部110C2(回転軸)と、位置決めピン110Fと、規制部5と、付勢ばね53とを備える。
【0053】
支持部110C1は、カセット先壁110Cに配置される。支持部110C1は、カセット先壁110Cから後方に向かって突設される一対の支持部材である。一対の支持部110C1は、それぞれ一対の板状部材が平行に配置されることで構成される。支点部110C2は、支持部110C1の先端部に配置される。支点部110C2は、支持部110C1の一対の板状部材を接続するように、シート搬送方向と交差するシート幅方向(左右方向)に延設された軸部であり、規制部5を回動可能に支持する。
【0054】
位置決めピン110Fは、カセット先壁110Cの両端部から後方に向かって突設される一対のピン部材である。カセット110の本体ハウジング10に対する装着動作に伴って、位置決めピン110Fは、後記の位置決め穴100Cに挿入される。この結果、本体ハウジング10内におけるカセット110の位置が規制される。
【0055】
規制部5は、カセット110の支点部110C2に回動可能に支持される。規制部5は、不図示の軸受孔と、規制片51と、当接部52とを備える。軸受孔は、規制部5の長手方向の略中心に配置される。軸受孔は、支点部110C2が挿通される孔部である。規制片51は、軸受孔の周辺から主搬送路22Fに向かって延びている。特に、
図12に示す規制片51の離間位置では、規制片51は、支点部110C2から略上方に向かって延びている。規制片51の先端部は、略くの字状に屈曲されている。当接部52は、規制片51とは反対側に向かって軸受孔の周辺から略下方に延びている。当接部52は、規制片51と一体的に支点部110C2回りに回動する。
図5に示すように、当接部52は、略くの字状に2か所において屈曲されている。
【0056】
規制部5の規制片51は、カセット110が本体ハウジング10に装着された状態では、
図12に示す離間位置に配置されている。この場合、規制片51は主搬送路22Fから離間しているため、規制片51が主搬送路22F中のシートSに接触することはない。一方、規制片51は、カセット110が本体ハウジング10から引き出される引出動作に連動して、前記給紙ニップ部N(
図11)よりも前記シート搬送方向下流側から前記シート搬送方向上流側に向かって主搬送路22Fに進入する。この結果、規制片51は、主搬送路22Fに突出した突出位置に配置される(
図5)。規制片51の突出位置では、規制片51の先端部は、カセット110のカセット先壁110Cの上端部に対向するように配置される。規制片51が離間位置から突出位置に移動する移動動作によって、後記のとおり、給紙ニップ部Nの周辺に先端が配置されるシートSが、シート収容部110S側に押し戻される。
【0057】
付勢ばね53(
図6)は、カセット110の支持部110C1の内側において、支点部110C2に外嵌されたコイルばねである。なお、
図6では、付勢ばね53は現れていないため、支点部110C2にカッコ付けで付勢ばね53の符号を付している。付勢ばね53は、規制片51が主搬送路22Fに進入するように規制片51を付勢する。詳しくは、付勢ばね53は、規制片51が主搬送路22Fに進入するとともに、当接部52が後記の被当接部100Dに対向し、規制部5が突出位置に配置されるように規制部5を支点部110C2回りに付勢する。
【0058】
また、
図7を参照して、前述の案内壁部100は、底壁部100Bと、位置決め穴100Cと、被当接部100Dと、軸支部100Eと、を備える。
【0059】
底壁部100Bは、案内壁部100の底部である。位置決め穴100Cは、案内壁部100の左右方向の両端部に一対配置される円筒状の部材である。位置決め穴100Cには、前述の位置決めピン110Fが挿入される。被当接部100Dは、一対の位置決め穴100Cの内側において、底壁部100Bから立設される直方体形状の部材である。カセット110が本体ハウジング10に装着される装着動作に伴って、前述の規制部5の当接部52が被当接部100Dに当接する。
【0060】
なお、規制部5の当接部52と被当接部100Dとは、本実施形態の離間機構5S(
図5)として機能する。離間機構5Sは、カセット110が本体ハウジング10に装着される装着動作に連動して、規制部5の規制片51を付勢ばね53の付勢力に抗して主搬送路22Fから離間させる。
【0061】
軸支部100Eは、左右方向において一対の被当接部100Dの内側かつ上方に配置される。軸支部100Eは、後記の押圧片90を回動可能に軸支する軸受部である。
【0062】
カセット110が本体ハウジング10から引き出された状態では、
図6に示すように、規制部5の規制片51はカセット先壁110Cの上端部に対向して配置される突出位置に配置されている。このため、カセット110が本体ハウジング10に装着される途中において、シート収容部110Sに収容されているシートSがシート搬送方向(カセット110の装着方向)先端側に飛び出すことが抑止される。
図5を参照して、カセット110が本体ハウジング10に装着される最終段階で、当接部52が被当接部100Dに当接する。この結果、規制部5が付勢ばね53の付勢力に抗して支点部110C2回りに回動する(
図6の矢印D101)ことで、規制部5の規制片51が主搬送路22Fから離間する(
図6の矢印D102)。したがって、カセット110が本体ハウジング10に装着された状態では、シートSが主搬送路22Fを搬送されることが、規制片51によって妨げられることがない。このように、本実施形態によれば、支点部110C2回りの規制片51および当接部52の回動によって、規制片51の主搬送路22Fに対する出没が実現される。
【0063】
<接離機構80Sについて>
次に、
図8乃至
図11を参照して、本実施形態に係る接離機構80Sについて説明する。
図8は、本実施形態に係る案内壁部100の断面斜視図である。
図9は、案内壁部100の一部を拡大して示した拡大斜視図である。
図10および
図11は、本実施形態に係るリタードローラー117の周辺の断面図である。なお、
図10は、リタードローラー117が給紙ローラー113から離間した状態であり、
図11は、リタードローラー117が給紙ローラー113に近接または当接した状態である。
【0064】
給紙部20は、接離機構80S(
図8)を備える。接離機構80Sは、カセット110が本体ハウジング10から引き出される引出動作に連動して、リタードローラー117を給紙ローラー113から離間させることで給紙ニップ部Nを開放する。また、接離機構80Sは、カセット110が本体ハウジング10に装着される装着動作に連動して、リタードローラー117を給紙ローラー113に当接させることで給紙ニップ部Nを形成する。なお、他の実施形態において、リタードローラー117は給紙ローラー113に近接(略当接)されてもよい。
【0065】
接離機構80Sは、リタードホルダー80と、押圧片90(
図9)と、コイルばね83(
図10)とを備える。また、案内壁部100は、ガイド面中央部100A1を備える。ガイド面中央部100A1は、ガイド面100Aの左右方向の中央部を形成する部材である。ガイド面中央部100A1は、案内壁部100に対して着脱自在とされる。
【0066】
図8を参照して、リタードホルダー80は、リタードローラー117を回転可能に支持する。リタードホルダー80は、前述のガイド面中央部100A1の前方かつ下方に配置される。リタードホルダー80は、左右方向に配置された一対の側壁部80Aと、前記一対の側壁部80Aを接続する外壁80Bと、孔部80Cとを備える。外壁80Bは、リタードローラー117の下方において、リタードローラー117の周面を覆うように湾曲した形状を備える。孔部80Cは、一対の側壁部80Aの中央部にそれぞれ開口される穴部である。孔部80Cに、リタードローラー117を回転可能に支持するローラー軸部117Aが挿入される。この結果、リタードローラー117がリタードホルダー80に回転可能に支持される。リタードホルダー80は、更に、ホルダー軸受部81と、ホルダー被押圧部82と、を備える。
【0067】
ガイド面中央部100A1の前側端部であって、左右方向の両端部には、一対のホルダー軸部100A2が配置される。ホルダー軸部100A2は、リタードホルダー80を回動可能に軸支するための軸部であり、それぞれ左右方向の外側に向かって突設されている。
【0068】
ホルダー軸受部81は、リタードホルダー80の一対の側壁部80Aに配置された軸受部である。ホルダー軸受部81は、案内壁部100に回動可能に軸支される。すなわち、ホルダー軸受部81がホルダー軸部100A2に外嵌されると、リタードホルダー80がホルダー軸部100A2を支点として回動可能とされる。
【0069】
ホルダー被押圧部82は、リタードホルダー80の外壁80Bの右側端部から下方に向かって突設される突片である。ホルダー被押圧部82は、前後方向においてカセット110のカセット先壁110Cに対向して配置されている。ホルダー被押圧部82は、後記の押圧片90の押圧部92に押圧可能とされている。
【0070】
コイルばね83(
図10)は、ホルダー被押圧部82と案内壁部100の後側の壁部との間に圧縮して配置されたコイル状のばねである。コイルばね83は、リタードローラー117が給紙ローラー113に当接する位置に配置されるようにリタードホルダー80をホルダー軸部100A2回りに付勢している。ホルダー被押圧部82に外力が付与されていない場合、コイルばね83の付勢力によって、リタードローラー117は給紙ローラー113に当接される。この結果、前記給紙ニップ部Nが形成される。
【0071】
図14を参照して、押圧片90は、前述の軸支部100Eに回動可能に支持されている。押圧片90は上下方向に延びた板状部材である。押圧片90の上下方向の中央部において、左右方向に突出された不図示の押圧片軸部が、軸支部100Eに挿入されている。押圧片90は、被押圧部91と、押圧部92と、不図示の押圧片用ばねとを備える。被押圧部91は、前記押圧片軸部から下方に向かって延びている。被押圧部91には、前述のカセット110の収容部114Sが当接可能とされる。押圧部92は、前記押圧片軸部から上方に向かって延びている。押圧部92は、前述のホルダー被押圧部82に当接可能とされる。不図示の押圧片用ばねは、前記押圧片軸部に外嵌されている。前記押圧片用ばねは、押圧部92がホルダー被押圧部82を後方に向かって押圧するように、押圧片90を前記押圧片軸部回りに付勢する。押圧片用ばねの付勢力は、前述のコイルばね83の付勢力よりも大きく設定されている。
【0072】
図10を参照して、カセット110が本体ハウジング10から引き出された状態では、被押圧部91に外力が付与されていない。このため、前記押圧片用ばねの付勢力によって、押圧片90が回動され、押圧部92がホルダー被押圧部82を後方に向かって押圧している。この結果、リタードホルダー80がコイルばね83の付勢力に抗してホルダー軸部100A2回りに回動し、リタードローラー117が給紙ローラー113から離間した位置に配置されている(
図10の矢印D15)。
【0073】
一方、
図11を参照して、カセット110が本体ハウジング10に装着されると、カセット110の収容部114S(
図6)が、被押圧部91を後方に向かって押圧する(
図11の矢印D161)。この結果、押圧片90が前記押圧片軸部回りに回動し、押圧部92がホルダー被押圧部82から前方に離間する(
図11の矢印D162)。そして、リタードホルダー80は、コイルばね83の付勢力によって、ホルダー軸部100A2回りに回動し、リタードローラー117が給紙ローラー113に当接する。この結果、給紙ニップ部Nが形成される。
【0074】
次に、
図12乃至
図15を参照して、カセット110が本体ハウジング10から引き出される際の規制片51、リフト板111およびリタードローラー117の動きについて、更に詳述する。
図12乃至
図15は、カセット110の引出動作における規制片51およびリタードローラー117の動きを示した断面図である。
【0075】
本実施形態に係る規制片51と比較される他の規制機構が本体ハウジング10側に配置されている場合、前記規制機構がシート搬送路に突出する動きが、カセット110の急激な引出に追いつけず、シートSをカセット110とともに引き出すことが困難となる。加えて、仮に、リフト板111が第2の位置(
図4(B))でピックアップローラー112との間でシートSを挟持した状態でカセット110の引出が開始されると、たとえ前記規制機構がシートSの先端部を前方に向かって押圧したとしても、シートSの移動がピックアップローラー112によって妨げられてしまう。
【0076】
更に、
図1を参照して、本実施形態のようにカセット110の装着方向(矢印DC)に沿って、シートSがシート収容部110Sから送りだされる場合、ピックアップローラー112、給紙ローラー113およびリタードローラー117を本体ハウジング10側に配置することが可能となる。しかしながら、この場合、給紙ニップ部Nが本体ハウジング10側に配置されるため、カセット110の引出動作に伴って、本体ハウジング10の内部にシートSが残留しやすい。なお、
図1において、仮にカセット110が本体ハウジング10に対して後側から前方に向かって装着される場合、カセット110がピックアップローラー112、給紙ローラー113およびリタードローラー117と干渉してしまう。このため、上記の各ローラーは本体ハウジング10側ではなくカセット110側に配置されることが多い。この場合には、給紙ニップ部N付近に配置されたシートSは、カセット110とともに本体ハウジング10から引き出されやすいため、上記のような課題は生じにくい。
【0077】
本実施形態では、上記のようなシートSの残留を解決するために、前述の規制片51、リフト板111およびリタードローラー117の配置および動作が好適に設定されている。
図4(B)および
図12を参照して、リフト板111が第2の位置(給紙位置)に配置され、リタードローラー117が給紙ローラー113に当接し、規制片51が主搬送路22Fから離間した状態において、ピックアップローラー112および給紙ローラー113によるシートSの給紙動作が実行される。一方、前述のように非給紙動作時には、リフト板111は、
図4(C)に示す第3の位置(待機位置)に配置される。リフト板111の第2の位置から第3の位置への移動時間は、位置制御部64が駆動モーター63のパルス数を検出することで制御される。ただし、リフト板111が第3の位置に配置された状態あっても、直前の給紙動作に伴って、複数のシートSの先端部が給紙ニップ部Nに進入している場合がある。
【0078】
この状態で、ユーザーによってカセット110の引き出しが開始されると(
図13の矢印D181、
図14の矢印D191)、規制片51が給紙ニップ部Nの下流側からシート搬送方向上流側に向かいながら主搬送路22Fに進入する(
図13の矢印D182、
図14の矢印D192)。この際、本実施形態では、前述のように、リタードローラー117が給紙ローラー113に対して下方に離間される。したがって、たとえシートSの先端部が給紙ニップ部Nに挟まれた状態でカセット110の引き出しが開始された場合であっても、給紙ニップ部Nが開放され、規制片51がスムーズにシートSの先端部を前方に押し戻すことができる。更に、本実施形態では、カセット110の引出動作が開始される際に、予めリフト板111が第3の位置(待機位置)に配置されている。したがって、シートSがリフト板111とピックアップローラー112との間で挟まれた状態で、規制片51がシートSの先端部を押圧することがない。このため、ピックアップローラー112によってシートSの移動が妨げられることが抑止され、規制片51がスムーズにシートSの先端部を前方に押し戻すことができる。
【0079】
そして、
図15に示すように、カセット110のカセット先壁110Cが案内壁部100から所定の距離だけ前方に離間すると、規制片51がカセット先壁110Cの上端部に対向する位置に至る。この結果、前記シートSがシート収容部110Sに収容された状態で、カセット110の引き出しが完了する。このように、本実施形態では、規制片51がカセット110側に配置されているため、たとえカセット110が急激に引き出された場合であっても、カセット110の引き出しと平行して、規制片51がシートSをシート収容部110Sに押し戻すことができる。
【0080】
また、本実施形態では、カセット110が本体ハウジング10から引き出される引出動作に伴って、リフト板111が自重によって第1の位置に移動する。このため、リフト板111を第3の位置から第1の位置に移動させる専用の駆動機構を備える必要がない。更に、自重によるリフト板111の下降速度が遅い場合であっても、予めリフト板111が第3の位置に配置されているため、規制片51によるシートSの移動が妨げられることが抑止される。
【0081】
以上、本発明の実施形態に係る給紙部20およびこれを備えた画像形成装置1について説明した。本実施形態に係る画像形成装置1によれば、本体ハウジング10からカセット110が引き出される際に、シートSが本体ハウジング10に残留することが抑止される。この結果、カセット110の着脱時に本体ハウジング10の内部においてシートSが破損することがなく、画像形成装置1においてシートSに安定して画像が形成される。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0082】
(1)上記の実施形態では、規制部5が支点部110C2回りに回動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。規制部5はカセット110にスライド移動可能に配置され、前記スライド移動によって、規制部5の規制片51が主搬送路22Fに出没する態様でもよい。
【0083】
(2)上記の実施形態では、リタードローラー117を支持するリタードホルダー80がホルダー軸部100A2回りに回動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。リタードローラー117が、給紙ローラー113に対して接離するように、リタードホルダー80がスライド移動される態様でもよい。