特許第5978195号(P5978195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978195
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】定着装置、分離部材及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20160817BHJP
【FI】
   G03G15/20 530
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-239462(P2013-239462)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-99288(P2015-99288A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100161953
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 敬直
(72)【発明者】
【氏名】幸田 庄司
(72)【発明者】
【氏名】高木 勝
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−083059(JP,A)
【文献】 特開2006−317492(JP,A)
【文献】 特開2009−109574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転する定着部材と、
前記定着部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、
前記定着ニップを通過した用紙を前記定着部材から分離させる分離部材と、を備え、
前記定着部材は、
用紙が通過する通紙領域と、
前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、
前記通紙領域は、
第1通紙部と、
前記第1通紙部よりも帯電量が多い第2通紙部と、を備え、
前記分離部材は、前記通紙領域に先端部を対向させる分離板を備え、
前記分離板は、
用紙の搬送路と対向する表面部と、
前記表面部の裏側に設けられる裏面部と、を備え、
前記裏面部は、絶縁性のコーティングが施されたコーティング領域を備え、
前記コーティング領域は、
前記第1通紙部と前記回転軸方向の位置が重なる第1コーティング部と、
前記第2通紙部と前記回転軸方向の位置が重なり、前記第1コーティング部よりも幅が狭い第2コーティング部と、を備えていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第1コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向中央部に設けられ、
前記第2コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向両端部に設けられ、
前記コーティング領域の前記先端部側の縁部は、前記回転軸方向に沿って直線状に延び、
前記コーティング領域の前記先端部から離間する側の縁部は、前記先端部から離間する側に向かって湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第1コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向一端部に設けられ、
前記第2コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向他端部に設けられ、
前記コーティング領域の前記先端部側の縁部は、前記回転軸方向に沿って直線状に延び、
前記コーティング領域の前記先端部から離間する側の縁部は、前記回転軸方向に対して傾斜するように直線状に延びていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記表面部は、絶縁性のコーティングが施された他のコーティング領域を備え、
前記他のコーティング領域の幅は、前記コーティング領域の幅よりも広いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記分離部材は、
前記分離板を支持する支持板と、
前記支持板に固定され、前記非通紙領域に当接する当接片と、を更に備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
回転軸を中心に回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、を備えた定着装置に設けられ、前記定着ニップを通過した用紙を前記定着部材から分離させる分離部材であって、
前記定着部材は、
用紙が通過する通紙領域と、
前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、
前記通紙領域は、
所定の極性に帯電する第1通紙部と、
前記所定の極性に帯電し、前記第1通紙部よりも帯電量が多い第2通紙部と、を備え、
前記分離部材は、前記通紙領域に先端部を対向させる分離板を備え、
前記分離板は、
用紙の搬送路と対向する表面部と、
前記表面部の裏側に設けられる裏面部と、を備え、
前記裏面部は、絶縁性のコーティングが施されたコーティング領域を備え、
前記コーティング領域は、
前記第1通紙部と前記回転軸方向の位置が重なる第1コーティング部と、
前記第2通紙部と前記回転軸方向の位置が重なり、前記第1コーティング部よりも幅が狭い第2コーティング部と、を備えていることを特徴とする分離部材。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置又は請求項6に記載の分離部材を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置と、この定着装置に設けられる分離部材と、上記の定着装置や分離部材を備えた画像形成装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、用紙にトナー像を定着させる定着装置を備えている。この定着装置は、定着部材(例えば、定着ローラーや定着ベルト)と、この定着部材に圧接する加圧部材(例えば、加圧ローラーや加圧ベルト)と、を備えている。そして、定着部材と加圧部材の間に形成される定着ニップにおいて用紙とトナー像が加熱及び加圧されることで、用紙にトナー像が定着されるようになっている。
【0003】
このような構成の定着装置は、通常、定着ニップを通過した用紙を定着部材から分離させる分離部材(例えば、分離板や分離爪)を備えている。例えば特許文献1には、分離板(特許文献1の「分離部材30」参照)が開示されている。この従来技術では、分離板の表面及び裏面にそれぞれフッ素樹脂のコーティング領域(特許文献1の「フッ素樹脂層32」参照)が設けられている。このように分離板の表面だけでなく裏面にもコーティング領域を設けることで、分離板の裏面にトナーが付着しにくくなり、分離板の裏面に堆積したトナーが定着部材を傷付けるのを回避し、画像不良(例えば、光沢筋)が発生するのを防止することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成の定着装置では、定着部材及び加圧部材を回転させた際に、定着部材の回転軸方向の帯電分布が不均一になる場合がある。このような場合に用紙が定着ニップを通過すると、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着部材の表面に電気的に吸着して定着部材の周回後に用紙に再付着したりして、画像不良につながる恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、定着部材の回転軸方向の帯電分布を均一化し、画像不良の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の定着装置は、回転軸を中心に回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着ニップを通過した記録媒体を前記定着部材から分離させる分離部材と、を備え、前記定着部材は、記録媒体が通過する通紙領域と、前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、前記通紙領域は、第1通紙部と、前記第1通紙部よりも帯電量が多い第2通紙部と、を備え、前記分離部材は、前記通紙領域に先端部を対向させる分離板を備え、前記分離板は、記録媒体の搬送路と対向する表面部と、前記表面部の裏側に設けられる裏面部と、を備え、前記裏面部は、絶縁性のコーティングが施されたコーティング領域を備え、前記コーティング領域は、前記第1通紙部と前記回転軸方向の位置が重なる第1コーティング部と、前記第2通紙部と前記回転軸方向の位置が重なり、前記第1コーティング部よりも幅が狭い第2コーティング部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このように第1コーティング部の幅よりも第2コーティング部の幅を狭くすることで、第2コーティング部と回転軸方向の位置が重なる第2通紙部からの放電を促すことができる。これに伴って、第2通紙部の帯電量を少なくして第1通紙部と第2通紙部の帯電量の差を低減させることができ、定着部材の回転軸方向の帯電分布を均一化することが可能となる。そのため、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着部材の表面に電気的に吸着して定着部材の周回後に用紙に再付着したりするのを抑制することができ、画像不良の発生を防止することが可能となる。
【0009】
前記第1コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向中央部に設けられ、前記第2コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向両端部に設けられ、前記コーティング領域の前記先端部側の縁部は、前記回転軸方向に沿って直線状に延び、前記コーティング領域の前記先端部から離間する側の縁部は、前記先端部から離間する側に向かって湾曲していても良い。
【0010】
このような構成を採用することにより、通紙領域の回転軸方向中央部に第1通紙部が設けられ、通紙領域の回転軸方向両端部に第2通紙部が設けられる場合に、定着部材の帯電分布を均一化することが可能となる。
【0011】
前記第1コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向一端部に設けられ、前記第2コーティング部は、前記コーティング領域の前記回転軸方向他端部に設けられ、前記コーティング領域の前記先端部側の縁部は、前記回転軸方向に沿って直線状に延び、前記コーティング領域の前記先端部から離間する側の縁部は、前記回転軸方向に対して傾斜するように直線状に延びていても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、通紙領域の回転軸方向一端部に第1通紙部が設けられ、通紙領域の回転軸方向他端部に第2通紙部が設けられるような場合に、定着部材の帯電分布を均一化することが可能となる。
【0013】
前記表面部は、絶縁性のコーティングが施された他のコーティング領域を備え、前記他のコーティング領域の幅は、前記コーティング領域の幅よりも広くても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、表面部へのトナーの付着を確実に防止することができる。
【0015】
前記分離部材は、前記分離板を支持する支持板と、前記支持板に固定され、前記非通紙領域に当接する当接片と、を更に備えていても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、通紙領域を傷付けることなく、通紙領域と分離板の先端部の間隔を一定に保持することが可能となる。
【0017】
本発明の分離部材は、回転軸を中心に回転する定着部材と、前記定着部材に圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、を備えた定着装置に設けられ、前記定着ニップを通過した用紙を前記定着部材から分離させる分離部材であって、前記定着部材は、用紙が通過する通紙領域と、前記通紙領域外に設けられる非通紙領域と、を備え、前記通紙領域は、第1通紙部と、前記第1通紙部よりも帯電量が多い第2通紙部と、を備え、前記分離部材は、前記通紙領域に先端部を対向させる分離板を備え、前記分離板は、用紙の搬送路と対向する表面部と、前記表面部の裏側に設けられる裏面部と、を備え、前記裏面部は、絶縁性のコーティングが施されたコーティング領域を備え、前記コーティング領域は、前記第1通紙部と前記回転軸方向の位置が重なる第1コーティング部と、前記第2通紙部と前記回転軸方向の位置が重なり、前記第1コーティング部よりも幅が狭い第2コーティング部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
このように第1コーティング部の幅よりも第2コーティング部の幅を狭くすることで、第2コーティング部と回転軸方向の位置が重なる第2通紙部からの放電を促すことができる。これに伴って、第2通紙部の帯電量を少なくして第1通紙部と第2通紙部の帯電量の差を低減させることができ、定着部材の回転軸方向の帯電分布を均一化することが可能となる。そのため、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着部材の表面に電気的に吸着して定着部材の周回後に用紙に再付着したりするのを抑制することができ、画像不良の発生を防止することが可能となる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置又は分離部材を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、定着部材の回転軸方向の帯電分布を均一化し、画像不良の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの概略を示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置を示す断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、筐体の内部の構成を示す斜視図である。
図4】(a)は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、定着ニップ及びその周辺部を示す平面図である。(b)は、(a)のA−A断面図である。(c)は、(a)のB−B断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、定着ベルト及び分離部材を示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、分離部材及びその周辺部を示す断面図である。
図7】(a)は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、当接片を除いた分離部材を示す表面側からの斜視図である。(b)は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、当接片を除いた分離部材を示す裏面側からの斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターの定着装置において、当接片を除いた分離部材を示す裏面側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0023】
まず、図1を用いてカラープリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0024】
プリンター本体2の中央部には、中間転写ベルト6が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置7が配置されている。中間転写ベルト6の下側には、4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応するトナーコンテナ15が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0025】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送路16が上下方向に設けられている。つまり、本実施形態のカラープリンター1は、所謂縦搬送である。搬送路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写ローラー18が設けられ、搬送路16の下流部には定着装置19が設けられ、搬送路16の下流端には排紙口20が設けられている。
【0026】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置19の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0027】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光装置7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ15から供給されるトナーによって現像器11が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0028】
一方、給紙部17によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて搬送路16の下流側へと搬送され、二次転写ローラー18によって中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送路16を下流側へと搬送されて定着装置19に進入し、この定着装置19において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口20から排紙トレイ4上に排出される。
【0029】
次に、定着装置19について説明する。以下、説明の便宜上、図2における紙面手前側を定着装置19の正面側(前側)とする。各図に適宜付される矢印Frは、定着装置19の正面側(前側)を示している。
【0030】
図2に示されるように、定着装置19は、定着ユニット21と、定着ユニット21の左側に設けられるIHユニット22と、を備えている。
【0031】
まず、定着装置19の定着ユニット21について説明する。定着ユニット21は、プリンター本体2に対して着脱可能となっている。図2に示されるように、定着ユニット21は、筐体23と、筐体23の左側部に収容される定着ローラー24と、定着ローラー24に周設される定着ベルト25(定着部材)と、筐体23の右側部に収容される加圧ローラー26(加圧部材)と、定着ベルト25の左下側に設けられるサーミスター27と、定着ベルト25の右上側に設けられる分離部材28と、を備えている。
【0032】
図3に示されるように、筐体23は、第1支持部30と、第1支持部30の右側に設けられる第2支持部31と、を備えている。第1支持部30の前後両端壁32の内面には、支点部33が前後方向内側に向かって突設されている。第1支持部30は、下端側を中心に揺動可能となるように第2支持部31を支持している。第2支持部31は、筐体23の前端側と後端側に設けられたニップ圧切り替え機構34に接続されており、ニップ圧切り替え機構34によって第2支持部31を揺動させることができるようになっている。
【0033】
定着ローラー24(図2等参照)は、前後方向に長い円筒状を成している。定着ローラー24は、前後方向に延びる回転軸Xを中心に回転可能となるように、第1支持部30に支持されている。
【0034】
定着ローラー24は、例えば、円筒状の基材層と、この基材層に周設される円筒状の弾性層と、によって構成されている。定着ローラー24の基材層は、例えば、ステンレスやアルミニウム等の金属によって構成されている。定着ローラー24の弾性層は、例えば、シリコンゴムやシリコンスポンジによって構成されている。図4(a)に示されるように、定着ローラー24は、前後方向両端部から前後方向中央部に向かって外径が次第に小さくなる形状(所謂「クラウン形状」)を成している。
【0035】
定着ベルト25(図2等参照)は、定着ローラー24の外周に固定されており、前後方向に延びる回転軸Xを中心に定着ローラー24と共に回転するようになっている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ベルト25の回転軸方向である。
【0036】
定着ベルト25は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層(表面層)と、によって構成されている。定着ベルト25の基材層は、例えばニッケル等の金属によって構成されている。定着ベルト25の弾性層は、例えばシリコンゴムやシリコンスポンジによって構成されている。定着ベルト25の離型層は、例えばPFA、PTFE等のフッ素樹脂によって構成されている。
【0037】
図4(a)に示されるように、定着ベルト25は、前後方向両端部から前後方向中央部に向かって外径が次第に小さくなる形状(所謂「クラウン形状」)を成している。定着ベルト25の外周面には、用紙(例えば、A3サイズの用紙)が通過する通紙領域35と、通紙領域35の前後両側(通紙領域35外)に設けられ、用紙が通過しない非通紙領域36と、が設けられている。通紙領域35の前後方向中央部には第1通紙部37が設けられ、通紙領域35の前後方向両端部には第2通紙部38が設けられている。
【0038】
加圧ローラー26(図2等参照)は、前後方向に長い円筒状を成している。加圧ローラー26は、前後方向に延びる回転軸Yを中心に回転可能となるように、第2支持部31に支持されている。つまり、本実施形態では、前後方向が加圧ローラー26の回転軸方向である。加圧ローラー26は、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層(表面層)と、によって構成されている。加圧ローラー26の基材層は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属によって構成されている。加圧ローラー26の弾性層は、例えばシリコンゴムやシリコンスポンジによって構成されている。加圧ローラー26の離型層は、例えばPFAやPTFE等のフッ素樹脂によって構成されている。
【0039】
図4(a)等に示されるように、加圧ローラー26は、定着ベルト25に圧接しており、定着ベルト25と加圧ローラー26の間には定着ニップ40が形成されている。以下、定着ニップ40の圧力を「ニップ圧」と称し、定着ニップ40の幅を「ニップ幅」と称する。前述のように、定着ローラー24及び定着ベルト25は、前後方向両端部から前後方向中央部に向かって外径が次第に小さくなる形状(所謂「クラウン形状」)を成している。これに伴って、定着ベルト25の第1通紙部37と対応する部分のニップ幅W1(図7(b)参照)よりも定着ベルト25の第2通紙部38と対応する部分のニップ幅W2(図7(c)参照)が広くなっている。
【0040】
加圧ローラー26は、ニップ圧切り替え機構34(図3参照)が第2支持部31を揺動させるのに伴って定着ベルト25との近接離間方向(本実施形態では、略左右方向)に移動するようになっており、この加圧ローラー26の移動に伴ってニップ圧が切り替えられるように構成されている。
【0041】
サーミスター27(図2参照)は、例えば、非接触式の温度検知部である。サーミスター27は、定着ベルト25の温度を検知し、その検知結果を制御部(図示せず)に出力するように構成されている。
【0042】
図2に示されるように、分離部材28は、用紙の搬送方向(図2の矢印Z参照)において定着ベルト25の下流側に配置されており、定着ベルト25と近接して設けられている。
【0043】
図5に示されるように、分離部材28は、前後方向に長い形状を成している。分離部材28は、支持板41と、支持板41に支持される分離板42と、支持板41の前後両端に固定される当接片43と、を備えている。
【0044】
分離部材28の支持板41は、前後方向に長い形状を成している。支持板41は、例えば板金によって構成されている。支持板41は、本体部44と、本体部44の上端から左下側に向かって屈曲される屈曲部45と、本体部44の前後両端から左下側に向かって屈曲される取付部46と、を備えている。
【0045】
支持板41の本体部44の前下隅部と後下隅部には、矩形状の切り欠き部47がそれぞれ設けられている。支持板41の本体部44の前端部と後端部には、各切り欠き部47の上側に第1位置決め穴48が設けられている。支持板41の本体部44の前端部と後端部には、各切り欠き部47の上側且つ各第1位置決め穴48の前後方向内側に第1挿通穴49が設けられている。支持板41の屈曲部45の先縁部(左下縁部)には、複数個の溝部51が前後方向に間隔をおいて凹設されている。
【0046】
支持板41の各取付部46の上部には取付穴52が設けられており、取付穴52には第1支持部30(図3参照)の前後両端壁32の内面に突設された支点部33が挿入されている。これにより、支点部33を中心に回転可能な状態で、分離部材28が第1支持部30に支持されている。各取付部46の下端部には、右上方に向かって延びる延出部53が設けられ、延出部53の右上端部には、前後方向内側に向かって突出するL字状のフック部54が設けられている。フック部54には、コイルバネ80(付勢部材)が取り付けられている。
【0047】
分離部材28の分離板42は、前後方向に長い平板状を成している。分離板42は、溶接などの手段によって支持板41に固定されている。分離板42は、板金などの導電性材料によって構成されており、電気的に接地されている。分離板42の前端部と後端部には、支持板41の本体部44の第1位置決め穴48と対応する位置に第2位置決め穴55が設けられている。各第2位置決め穴55の前後方向内側には、支持板41の本体部44の第1挿通穴49と対応する位置に第2挿通穴56が設けられている。
【0048】
図6に示されるように、分離板42の先端部57(下端部)は、定着ベルト25の通紙領域35と間隔を介して対向している。分離板42は、用紙の搬送路16と対向する表面部58と、表面部58の裏側に設けられる裏面部59と、を備えている。
【0049】
図7(a)に斑点表示で示されるように、分離板42の表面部58には、表側コーティング領域61(他のコーティング領域)が形成されている。表側コーティング領域61には、フッ素樹脂のコーティング(絶縁性のコーティング)が施されている。表側コーティング領域61は、分離板42の表面部58にマスキングをせずにコーティングを行うことで形成されており、分離板42の表面部58の全域に形成されている。
【0050】
表側コーティング領域61は、定着ベルト25の通紙領域35と前後方向の位置が重なる主コーティング部62と、主コーティング部62の前後両側に設けられ、定着ベルト25の各非通紙領域36と前後方向の位置が重なる補助コーティング部63と、を備えている。なお、図7(a)の引き出し線Cは、主コーティング部62と補助コーティング部63の境界を示している。
【0051】
主コーティング部62及び各補助コーティング部63の下縁部(先端部57側の縁部)及び上縁部(先端部57から離間する側の縁部)は、前後方向に沿って直線状に延びている。そのため、主コーティング部62及び各補助コーティング部63の上下幅(前後方向と直交する方向の幅)は、均一である。各補助コーティング部63は、分離板42の本体部44の切り欠き部47の上側に設けられているため、各補助コーティング部63の上下幅は、主コーティング部62の上下幅よりも狭くなっている。
【0052】
図7(b)に斑点表示で示されるように、分離板42の裏面部59には、定着ベルト25の通紙領域35と前後方向の位置が重なる部分に、裏側コーティング領域70(コーティング領域)が設けられている。裏側コーティング領域70には、フッ素樹脂のコーティング(絶縁性のコーティング)が施されている。裏側コーティング領域70は、分離板42の裏面部59にマスキングをしてコーティングを行うことで形成されており、分離板42の裏面部59の下部(先端部57側の部分)に設けられている。そのため、裏側コーティング領域70の上下幅(前後方向と直交する方向の幅)は、表側コーティング領域61の主コーティング部62及び補助コーティング部63の上下幅よりも狭い(表側コーティング領域61の主コーティング部62及び補助コーティング部63の上下幅は、裏側コーティング領域70の上下幅よりも広い)。分離板42のコーティングは、表面部58から先端部57を通って裏面部59に回り込んでいる。そのため、裏側コーティング領域70は表側コーティング領域61と連続している。
【0053】
裏側コーティング領域70の前後方向中央部には、第1コーティング部71が設けられている。第1コーティング部71は、定着ベルト25の通紙領域35の第1通紙部37と前後方向の位置が重なっている。なお、図7(b)の引き出し線Dは、第1コーティング部71とその両側の部分の境界を示している。
【0054】
裏側コーティング領域70の前後方向両端部には、第2コーティング部72が設けられている。第2コーティング部72は、定着ベルト25の通紙領域35の第2通紙部38と前後方向の位置が重なっている。なお、図7(b)の引き出し線Eは、第2コーティング部72とその前後方向内側の部分の境界を示している。
【0055】
裏側コーティング領域70の下縁部(先端部57側の縁部)は、前後方向に沿って延び、裏側コーティング領域70の上縁部(先端部57から離間する側の縁部)は、上側(先端部57から離間する側)に向かって湾曲している。そのため、第2コーティング部72の上下幅(前後方向と直交する方向の幅)は第1コーティング部71の上下幅よりも狭くなっている。このように、裏側コーティング領域70の上下幅は不均一である。
【0056】
図6等に示されるように、分離部材28の当接片43は、固定部75と、固定部75の下端部から右下方に向かって延出する当接部76と、を備えている。固定部75には、第3挿通穴77が設けられている。そして、支持板41の本体部44の第1挿通穴49と分離板42の第2挿通穴56と固定部75の第3挿通穴77を貫通するビス78によって当接片43が支持板41に固定されている。図5に示されるように、当接部76は、定着ベルト25の非通紙領域36に当接している。当接部76は、支持板41のフック部54に取り付けられるコイルバネ80によって定着ベルト25の非通紙領域36に押し付けられている。これにより、分離板42の先端部57と定着ベルト25の通紙領域35の間隔が一定に保持されている。
【0057】
次に、定着装置19のIHユニット22(図2参照)について説明する。IHユニット22は、プリンター本体2に固定されている。IHユニット22は、ケース部材81と、ケース部材81内に収納され、定着ベルト25の外周に沿って円弧状に設けられるIHコイル82(熱源)と、ケース部材81内に収納され、IHコイル82の外周に沿って設けられるアーチコア83と、を備えている。
【0058】
上記のように構成された定着装置19において、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動源(図示せず)によって加圧ローラー26を回転させる。このように加圧ローラー26を回転させると、加圧ローラー26に圧接する定着ベルト25が定着ローラー24と共に加圧ローラー26とは逆方向に回転する。また、用紙にトナー像を定着させる際には、IHコイル82によって定着ベルト25を誘導加熱する。この状態で、未定着のトナー像が転写された用紙が定着ニップ40を通過すると、用紙とトナー像が加熱及び加圧されて用紙にトナー像が定着される。定着ニップ40を通過した用紙は、分離部材28の分離板42によって定着ベルト25から分離される。
【0059】
ところで、本実施形態では上記のように、定着ベルト25と加圧ローラー26の離型層(表面層)がフッ素樹脂によって構成されている。このような場合に、定着ベルト25及び加圧ローラー26を圧接状態で回転させると、定着ベルト25及び加圧ローラー26がマイナスに摩擦帯電する。定着ベルト25及び加圧ローラー26の摩擦帯電量はニップ幅に比例するのが通常であり、本実施形態では定着ベルト25の第1通紙部37と対応する部分のニップ幅W1(図7(b)参照)よりも定着ベルト25の第2通紙部38と対応する部分のニップ幅W2(図7(c)参照)の方が広い。そのため、定着ベルト25の第1通紙部37よりも第2通紙部38の方が帯電量は多くなり、定着ベルト25の前後方向の帯電分布が不均一になる。このような状態で用紙が定着ニップ40を通過すると、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着ベルト25の表面に電気的に吸着して定着ベルト25の周回後に用紙に再付着したりする恐れがある。
【0060】
しかしながら、本実施形態では、分離板42の裏面部59に設けられた裏側コーティング領域70の第1コーティング部71の幅よりも第2コーティング部72の幅を狭くしている。このような構成を採用することにより、第2コーティング部72と前後方向の位置が重なる第2通紙部38からの放電を促すことができる。これに伴って、第2通紙部38の帯電量を少なくして第1通紙部37と第2通紙部38の帯電量の差を低減させることができ、定着ベルト25の前後方向の帯電分布を均一化することが可能となる。そのため、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着ベルト25の表面に電気的に吸着して定着ベルト25の周回後に用紙に再付着したりするのを抑制することができ、画像不良の発生を防止することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、裏側コーティング領域70の前後方向中央部に第1コーティング部71が設けられ、裏側コーティング領域70の前後方向両端部に第2コーティング部72が設けられている。そして、裏側コーティング領域70の下縁部(先端部57側の縁部)は前後方向に沿って直線状に延び、裏側コーティング領域70の上縁部(先端部57から離間する側の縁部)は、上側(先端部57から離間する側)に向かって湾曲している。このような構成を採用することにより、定着ベルト25の通紙領域35の前後方向中央部に第1通紙部37が設けられ、定着ベルト25の通紙領域35の前後方向両端部に第2通紙部38(第1通紙部37よりも帯電量が多い部分)が形成される場合に、定着ベルト25の帯電分布を均一化することが可能となる。
【0062】
また、分離板42の表面部58は、フッ素樹脂のコーティング(絶縁性のコーティング)が施された表側コーティング領域61を備え、表側コーティング領域61の上下幅は、裏側コーティング領域70の上下幅よりも広い。このような構成を採用することにより、分離板42の表面部58へのトナーの付着を確実に防止することができる。
【0063】
また、分離部材28は、分離板42と、分離板42を支持する支持板41と、支持板41に固定され、定着ベルト25の非通紙領域36に当接する当接片43と、を備えている。このような構成を採用することにより、定着ベルト25の通紙領域35を傷付けることなく、定着ベルト25の通紙領域35と分離板42の先端部57の間隔を一定に保持することが可能となる。
【0064】
また、裏側コーティング領域70の上下幅が広すぎると、定着ベルト25から分離板42への放電が過度に規制され、定着ベルト25に電荷が溜まりすぎてしまう。これに伴って、電磁ノイズが発生したり、定着ベルト25の放電時に電装部品(例えば、サーミスター27)が破損したりする恐れがある。一方で、裏側コーティング領域70の上下幅が狭すぎると、定着ベルト25から分離板42への放電が過度に助長され、定着ベルト25の表面が導電性を有しない場合に、定着ベルト25の表面電位が局所的に上昇又は低下してしまう。これに伴って、定着ベルト25の表面と用紙の電位差によって、用紙上の未定着トナーが散らされたり、用紙上の未定着トナーが定着ベルト25の表面に電気的に吸着して定着ベルト25の周回後に用紙に再付着したりする恐れがある。以上のように、裏側コーティング領域70の上下幅が広すぎたり狭すぎたりすると、これに伴って不具合が発生する恐れがある。
【0065】
これに対して、本実施形態では、分離板42の裏面部59にマスキングをしてコーティングを行うことで裏側コーティング領域70を形成しており、分離板42の裏面部59の下部(先端部57側の部分)に裏側コーティング領域70が設けられている。このような構成を採用することにより、裏側コーティング領域70の上下幅を適正な値に設定することが可能となり、定着ベルト25から分離板42へと適度に放電を行うことが可能となる。従って、上記のような不具合を防止することが可能となる。
【0066】
本実施形態では、定着ベルト25(定着部材)をクラウン形状とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、加圧ローラー26(加圧部材)をクラウン形状としても良い。なお、定着ベルト25(定着部材)や加圧ローラー26(加圧部材)のクラウン形状が描く曲線がカラープリンター1の機種や用途によって異なる場合には、裏側コーティング領域70の上縁部(先端部57から離間する側の縁部)が描く曲線もカラープリンター1の機種や用途によって変化させるのが好ましい。
【0067】
本実施形態では、IHコイル82を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等のヒーターを熱源として用いても良い。
【0068】
本実施形態では、定着ベルト25を定着部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、定着ローラーを定着部材としても良い。
【0069】
本実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。
【0070】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。
【0071】
第1の実施形態において説明したようなカラープリンター1では、二次転写ローラー18に二次転写のためのバイアスを印加した時に、二次転写ローラー18に流れる電流の方向の関係で、例えば、二次転写ローラー18の後端部(前後方向一端部)よりも前端部(前後方向他端部)の帯電量が多くなる場合がある。このような場合には、二次転写ローラー18によってトナー像を二次転写された用紙についても後端部よりも前端部の帯電量が多くなる。これに伴って、図8に示されるように、定着ベルト25の通紙領域35の後端部に第1通紙部37が形成され、定着ベルト25の通紙領域35の前端部に第2通紙部38(第1通紙部37よりも帯電量が多い部分)が形成される。
【0072】
そこで、本実施形態では、裏側コーティング領域70の後端部(前後方向一端部)に第1コーティング部71を設け、裏側コーティング領域70の前端部(前後方向他端部)に第2コーティング部72(第1コーティング部71よりも上下幅が狭い部分)を設けている。また、裏側コーティング領域70の下縁部(先端部57側の縁部)は、前後方向に沿って直線状に延び、裏側コーティング領域70の上縁部(先端部57から離間する側の縁部)は、前後方向に対して傾斜するように直線状に延びている。なお、図8の引き出し線Fは、第1コーティング部71とその前側の部分の境界を示し、図8の引き出し線Gは、第2コーティング部72とその後側の部分の境界を示している。
【0073】
このような構成を採用することで、定着ベルト25の通紙領域35の後端部に第1通紙部37が形成され、定着ベルト25の通紙領域35の前端部に第2通紙部38(第1通紙部37よりも帯電量が多い部分)が形成されるような場合に、定着ベルト25の帯電分布を均一化することが可能となる。
【0074】
本実施形態では、裏側コーティング領域70の後端部に第1コーティング部71を設け、裏側コーティング領域70の前端部に第2コーティング部72を設けた。一方で、他の異なる実施形態において定着ベルト25の帯電分布が本実施形態とは逆の場合には、裏側コーティング領域70の前端部に第1コーティング部71を設け、裏側コーティング領域70の後端部に第2コーティング部72を設けても良い。
【符号の説明】
【0075】
1 カラープリンター(画像形成装置)
16 搬送路
19 定着装置
25 定着ベルト(定着部材)
26 加圧ローラー(加圧部材)
28 分離部材
35 通紙領域
36 非通紙領域
37 第1通紙部
38 第2通紙部
40 定着ニップ
41 支持板
42 分離板
43 当接片
57 (分離板の)先端部
58 表面部
59 裏面部
61 表側コーティング領域(他のコーティング領域)
70 裏側コーティング領域(コーティング領域)
71 第1コーティング部
72 第2コーティング部
X (定着ベルトの)回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8