(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978214
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】冷却モジュールおよび冷却モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/613 20140101AFI20160817BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20160817BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20160817BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20160817BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20160817BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20160817BHJP
【FI】
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/6556
H01M10/6568
【請求項の数】41
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-526354(P2013-526354)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2013-537999(P2013-537999A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】EP2011004361
(87)【国際公開番号】WO2012028298
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年3月19日
(31)【優先権主張番号】102010036151.8
(32)【優先日】2010年9月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513049756
【氏名又は名称】アカソル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェリクス・フォン・ボルク
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・エーベルレ
【審査官】
早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−103248(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/135008(WO,A1)
【文献】
特開2005−268004(JP,A)
【文献】
特開2009−277471(JP,A)
【文献】
特開2009−277561(JP,A)
【文献】
特開2001−015090(JP,A)
【文献】
特開2010−092860(JP,A)
【文献】
特開2009−193832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/60−10/667
H01M2/10
B60L11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセル(22)を受けるための内部空間(24)を有する本体の形態を成す冷却モジュール(10)の製造方法であって、
前記本体は、入口領域と出口領域との間で互いに平行に延びる1つ以上の冷却通路(20)を有するとともに、所定長の1つあるいは複数の中空部分(30)から少なくとも一部が形成され、
前記中空部分(30)は押出成形により作製され且つ冷却通路(20)を有しており、
前記冷却モジュール(10)の前記本体は、ほぼ平行六面体の形状であり、少なくとも3つの連続する側に液体冷却部を有し、所定長の1つあるいは複数の前記各中空部分は、少なくとも2つの位置(42)で屈曲され、あるいは、前記中空部分(30)は、それらの当接端部が、流体を連通するように互いに接着され、蝋付けされ、あるいは、溶接され、あるいは、連続的な前記中空部分(30)が、少なくとも2つの一般に少なくとも略長方形の角を形成するように円弧要素によって、流体を連通するように互いに接続される、冷却モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記各中空部分は、U形状へと屈曲される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの中空部分(30)が使用され、当該中空部分は、それらの長手方向側面で互いに接続されるように構成される請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中空部分(30)は、接着によっておよび/または蝋付けによっておよび/または溶接によっておよび/または押圧によっておよび/または螺着/締結によっておよび/または把持によっておよび/またはクリンチによっておよび/または舌部‐溝接続(34,36)によって互いに接続される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
所定長の複数の中空部分(30)の使用時には、当該中空部分がそれらの接続前または接続後に屈曲される請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
3つの側を有する冷却モジュール(10)にはその後にシートメタル接続プレート(26)が設けられ、これらのシートメタル接続プレートは、前記冷却モジュール(10)の少なくとも2つの対向して配置される側において熱伝導し得るように取り付けられ、前記冷却モジュール(10)の3つの側に取り付けられるとともに、前記バッテリーセル(22)を受けるように寸法付けられる区画室(24)を互いの間に形成し、前記シートメタル接続プレート(26)が平行な平面内にあり、前記冷却通路(20)が前記平行な平面と平行に延びる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シートメタル接続プレート(26)は、所定長の前記中空部分(30)の長手方向に延びるガイド溝(28)内へ挿入され、および/または、前記シートメタル接続プレートは、蝋付け、溶接、接着、または摩擦力によって、前記ガイド溝(28)に取り付けられる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
所定長の中空部分(30)が少なくとも1つの冷却ウイング(40)を有し、当該冷却ウイング(40)は、所定長の中空部分(30)が屈曲される位置(42)で切り欠かれる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記入口領域に分配器(12)が設けられ、当該分配器(12)は、個々の前記冷却通路(20)に対して略垂直に配置されて、動作中に冷却剤を個々の前記冷却通路(20)内へと分配し、および/または、前記出口領域に収集器(14)が設けられ、前記収集器は、前記冷却通路(20)に対して略垂直に配置されるとともに、動作中に個々の前記冷却通路(20)から冷却剤を受けて出口(18)へと案内する請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、溶接、蝋付け、または接着によって、1つの前記中空部分(30)および/または複数の中空部分(30)に取り付けられる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、圧着接続によって、1つの前記中空部分(30)および/または複数の中空部分(30)に取り付けられる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、更に、1つの前記中空部分(30)および/または複数の中空部分(30)に対して螺着される請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中空部分(30)は、陽極酸化処理法および/または粉体塗装法によって後処理され、それにより、電気的に絶縁されて保護される請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
バッテリーセル(22)を受けるための内部空間(24)を有する本体の形態を成す冷却モジュール(10)であって、
前記本体は、入口領域と出口領域との間で互いに平行に延びる1つ以上の冷却通路(20)を有するとともに、所定長の1つあるいは複数の中空部分(30)から少なくとも一部が形成され、
前記中空部分(30)は押出成形により作製され且つ冷却通路(20)を有しており、
前記冷却モジュール(10)の前記本体は、ほぼ平行六面体の形状であり、少なくとも3つの連続する側に液体冷却部を有し、所定長の1つあるいは複数の前記各中空部分(30)は、少なくとも2つの位置(42)で屈曲され、あるいは、前記中空部分(30)は、それらの当接端部が、流体を連通するように互いに接着され、蝋付けされ、あるいは、溶接され、あるいは、連続的な前記中空部分(30)が、少なくとも2つの一般に少なくとも略長方形の角を形成するように円弧要素によって流体を連通するように互いに接続される、冷却モジュール(10)。
【請求項15】
前記各中空部分は、U形状へと屈曲される請求項14に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項16】
少なくとも2つの中空部分(30)が設けられ、これらの中空部分は、それらの長手方向側面で互いに接続される請求項14または請求項15に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項17】
前記中空部分(30)は、接着によっておよび/または蝋付けによっておよび/または溶接によっておよび/または押圧によっておよび/または螺着/締結によっておよび/または把持によっておよび/またはクリンチによっておよび/または舌部‐溝接続(34,36)によって互いに接続される請求項16に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項18】
3つの側を有する冷却モジュール(10)にはシートメタル接続プレート(26)が設けられ、これらのシートメタル接続プレートは、前記冷却モジュール(10)の少なくとも2つの対向して配置される側に熱伝導し得るように取り付けられるとともに、前記バッテリーセル(22)を受けるように寸法付けられる区画室(24)を互いの間に形成し、前記シートメタル接続プレート(26)が平行な平面内にあり、前記冷却通路(20)が前記平行な平面と平行に延びる請求項14ないし請求項17のいずれか1項に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項19】
前記シートメタル接続プレート(26)は、所定長の前記中空部分(30)の長手方向に延びるガイド溝(28)内へ挿入され、および/または、前記シートメタル接続プレートは、蝋付け、溶接、接着、または摩擦力によって、前記ガイド溝(28)に取り付けられる請求項18に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項20】
所定長の前記中空部分(30)が少なくとも1つの冷却ウイング(40)を有し、当該冷却ウイング(40)は、所定長の前記中空部分(30)が屈曲される位置(42)で切り欠かれる請求項14ないし請求項17のいずれか1項に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項21】
前記入口領域に分配器(12)が設けられ、当該分配器(12)は、個々の前記冷却通路(20)に対して略垂直に配置されて、動作中に冷却剤を個々の前記冷却通路(20)内へと分配し、および/または、前記出口領域に収集器(14)が設けられ、前記収集器は、前記冷却通路(20)に対して略垂直に配置されるとともに、動作中に個々の前記冷却通路(20)から冷却剤を受けて出口(18)へと案内する請求項14ないし請求項20のいずれか1項に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項22】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、溶接、蝋付け、または接着によって、1つの前記中空部分(30)または複数の中空部分(30)に取り付けられる請求項21に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項23】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、圧着接続によって、1つの前記中空部分(30)および/または複数の中空部分(30)に取り付けられる請求項22に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項24】
前記分配器(12)および/または前記収集器(14)は、更に、1つの前記中空部分(30)および/または複数の中空部分(30)に対して螺着される請求項22または請求項23に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項25】
前記冷却モジュールが陽極酸化されおよび/または粉体塗装される請求項14ないし請求項24のいずれか1項に記載の冷却モジュール(10)。
【請求項26】
少なくとも1つの冷却ウイング(40)を有し、前記冷却ウイングと前記バッテリーセル(22)との間に形成される空間が挿入体(64)によって満たされ、前記挿入体は、熱伝導機能、耐火機能、および、機械的支持機能のうちの1つを有し、前記挿入体は、前記バッテリーセル(22)および/または前記中空部分(30)に対して横たえられ、接着され、溶接され、または蝋付けされる請求項20ないし請求項25のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項27】
屈曲される前記中空部分(30)は、前記冷却モジュール(10)の前端で、支持部(66)によって安定化される請求項14ないし請求項26のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項28】
前記支持部(66)は繊維強化プラスチックチューブ(60)からなる請求項27に記載の冷却モジュール。
【請求項29】
前記バッテリーセル(22)は、前記中空部分(30)の支持領域で、前記中空部分(30)に対して電気的に絶縁される請求項14ないし請求項28のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項30】
前記バッテリーセル(22)は、粘着箔またはコーティングによって電気的に絶縁される請求項29に記載の冷却モジュール。
【請求項31】
前記バッテリーセル(22)は、電気絶縁ストリップの挿入によって、前記中空部分(30)の縁部において、前記冷却モジュール(10)に対して絶縁され、あるいは、前記収集器(14)および/または前記分配器(12)に対して絶縁される請求項21ないし請求項24のいずれか1項に記載の冷却モジュール。
【請求項32】
所定長の前記中空部分(30)が少なくとも1つの冷却ウイング(40)を有し、前記バッテリーセル(22)は、前記冷却ウイング(40)の凹部で絶縁される請求項14に記載の冷却モジュール。
【請求項33】
前記電気絶縁ストリップはプラスチックで作製されている請求項31に記載の冷却モジュール。
【請求項34】
請求項1ないし請求項13に記載の冷却モジュール(10)の製造方法で用いる、あるいは、請求項14ないし請求項33に記載の冷却モジュール(10)で用いる中空部分(30)であって、少なくとも1つの冷却剤案内通路(20)と、当該通路(20)の壁の外面に配置される溝(34)と、反対側の外面に配置される舌部(36)とを有し、前記溝(34)および前記舌部(36)が共通の平面内に位置する、中空部分(30)。
【請求項35】
前記中空部分(30)は、前記平面に関して側方に配置されるガイド溝(28)を有する請求項34に記載の中空部分(30)。
【請求項36】
前記中空部分(30)は、該中空部分(30)と当該中空部分に取り付け可能な構成要素(12,14)との間の接続を形成するように構成される第2の通路(32)を有する請求項34または請求項35に記載の中空部分(30)。
【請求項37】
前記中空部分(30)は、積み重ねることができるとともに押出材料から形成される請求項34ないし請求項36のいずれか1項に記載の中空部分(30)。
【請求項38】
前記押出材料がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる請求項37に記載の中空部分(30)。
【請求項39】
前記中空部分(30)は、中空の流体通路(20)を有する2つの側方部分(54)とそれらの間に形成される壁部分(26)とから構成される請求項34に記載の中空部分(30)。
【請求項40】
請求項14ないし請求項33に記載の冷却モジュールの少なくとも1つの構成要素の製造方法であって、前記構成要素が押出成形部分として製造される製造方法。
【請求項41】
分配器(12)、収集器(14)、支持部、または、中空部分(30)が押出部分として製造される請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電気駆動チェーンを有する車両のためのトラクションバッテリーおよび/またはトラクションバッテリーモジュールの形成のために使用される、蓄電池、特にリチウムイオンセルを有する、1つ以上のセルから構成されるバッテリーモジュールのための対応する冷却モジュール、およびその製造方法に関する。そのようなバッテリーモジュールは、例えば、電気自動車、内燃機関を有するハイブリッド車、または、燃料電池を有するハイブリッド車において使用することができる。本発明に係るバッテリーモジュールのモジュールアセンブリにより、これを異なる目的のために使用することもでき、例えば、固定用途または牽引力が小さい用途、例えば車椅子などにおいて使用することもできる。
【背景技術】
【0002】
公式の出願番号PCT/EP2010/002525を有するアカソル・エンジニアリング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(Akasol Engineering GmbH)の未公開の国際特許出願には、電気駆動チェーンを有する車両のためのトラクションバッテリーおよび/またはトラクションバッテリーモジュールの形成のために使用される、蓄電池、特にリチウムイオン電池を有する複数のセルから構成されるバッテリーモジュールのための冷却モジュールが記載されている。
【0003】
例えば、1kWh〜400kWh以上のエネルギ容量を有する電力範囲を網羅するために、複数の同様のバッテリーモジュールから組み立てられるバッテリーモジュールシステムを設計することができる。例えば、20kWの連続電力のためにバッテリーモジュールシステムが設計される場合、基本的に短期間の加速目的で、例えば100kWのピーク電力がバッテリーから必要とされ得る。これにより、優れた加速度値を得ることができる。このシステムは、充電作業中、例えば40kWの充電電力で機能し得る。
【0004】
前述した値は単なる典型例であるが、他方において、市販のリチウムイオンバッテリーを用いて一般に得ることができる値を表す。
【0005】
前述した国際特許出願に係る冷却モジュールは、コンパクトな構造で熱的に最適化されなければならず、特に、可能な場合には、個々のセルの局所的な過熱、1つ以上のセルの温度上昇、または、非常に低いセル温度での動作を避けるべく、バッテリーモジュールおよび/またはバッテリーモジュールシステムの動作温度を狭い境界内に維持できるように構成されなければならない。
【0006】
この目的を満たすため、少なくとも第1および第2の対向して配置される側に冷却プレートを有するとともに、これらの2つの側の間で延び且つセルをその間に受けるための区画室を形成する複数の熱伝導接続プレートを備え、好ましくは略平行六面体の形状を成すことを特徴とする、複数のセルから構成されるバッテリーモジュールのための冷却モジュールが、前述した国際特許出願で提供される。
【0007】
公式の出願番号DE 10 2009 018 787.1を有するアカソル・エンジニアリング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(Akasol Engineering GmbH)の同様に未公開の独国特許出願には、再充電可能なバッテリーのための冷却モジュールの製造方法が提供され、この場合、冷却モジュールは、略平行六面体の形状を成すとともに、少なくとも3つの連続する側に液体冷却を有し、また、略長方形のシートメタルプレートまたはシートメタルストリップの略長方形の領域が押圧され、それにより、長方形の2つの対向して配置される辺に溝状の入口領域および溝状の出口領域が形成され、また、入口領域と出口領域との間で少なくとも互いに略平行に延びる複数の溝が形成される。長方形状のプレートおよび/またはストリップの長方形状の領域は、その後、2つの略長方形の角部を形成するために少なくとも2つの位置で屈曲される。
【0008】
そのような方法は、製造工場において、確かに非常に少ない材料損失で費用効率良く容易に再生することができ、それにより、冷却モジュールの一連の製造が経済的に大量に可能である。シートメタルおよび/またはアルミニウムまたはアルミニウム合金を出発材料として使用することによって、例えば約1mmの厚さを有する比較的薄いシートメタルにより比較的硬質の構造を形成することができる。これは、リブが冷却に役立つだけでなく補強にも役立つからである。また、薄壁構造が軽量な冷却モジュールをもたらす。アルミニウムシートメタルの使用は、重量の減少を促進させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、個々のバッテリーセルの動作温度は、例えば18℃〜25℃の使用温度を超えてはならない。さもなければ、バッテリーモジュールの個々のバッテリーセルの寿命が一部分において大幅に減少される可能性があるからである。従前の冷却モジュールでは、バッテリーセルの冷却を実現するために冷却シートメタル部分に一般に冷却剤回路がその後に設けられるという事実に起因して、冷却に関する問題が生じ得る。これは、冷却剤の熱伝達を常に十分に確保できるとは限らないからである。
【0010】
本出願の目的は、バッテリーセルと冷却剤との間で同様に優れた熱交換を可能にするモジュール式の冷却モジュールの別の製造方法および/またはモジュール式の冷却モジュールの別の構造を提供することである。また、別の構造に関しては、材料に関する要求が少なく、少ない経済コストで行うことができる極めて合理的な製造も確保されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を満たすために、独立請求項に係る冷却モジュールの製造方法および冷却モジュールが提供される。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項、明細書本文、および、図に記載される。
【0013】
本発明によれば、冷却モジュールの製造方法が提供され、この方法において、冷却モジュールには、バッテリーセルを受けるための内部空間を有する本体の形状が与えられ、本体は、入口領域と出口領域との間で互いに平行に延びる1つ以上の冷却通路を有するとともに、所定長の1つあるいは複数の中空部分から少なくとも一部が形成される。
【0014】
そのような方法は、製造工場において、確かに非常に少ない材料損失で、再現可能な態様で費用効率良く行うことができる。これは、冷却通路を有し且つ独立した先行する作業ステップで所望の長さに事前に製造され得るおよび/または冷却モジュールの大量生産中に所望の長さに形成され得る簡単な中空部分を使用でき、それにより、冷却モジュールの大量の一連の製造が可能だからである。
【0015】
例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金を出発材料として使用することによって、約0.5〜5mmの比較的薄い壁厚の中空部分を伴う硬質構造を形成することができる。これは、中空部分の壁が冷却剤の案内に役立つだけでなく冷却モジュールの補強にも役立つからである。また、薄壁構造が軽量な冷却モジュールをもたらす。アルミニウムシートメタルの使用は、重量の減少を促進させることができる。例えばアルミニウムまたはマグネシウムおよび/またはそれらの合金などの軽金属が中空部分のための出発材料として使用されるのが好ましい。高い熱伝導率を有する材料(例えば、アルミニウムは約200W/mK)が使用されるのが好ましい。
【0016】
中空部分を押出成形プロセスで簡単に製造することができる。約700℃(アルミニウムおよびその合金)から1400℃(スチール)までの温度における半連続的なプロセスで、金属ストランドおよび/または金属合金をそのような方法により所定の形状へと押し出すことができる。形状は、最大で400mmの直径を有することができ、また、中空の空間を備えることができる。形状は、必要に応じて数百メートルの長さまで引き出すことができる。しかしながら、仕上がり部分は、押し出された部分が十分に凝固されると直ぐに、例えばのこぎり(“フライングソー”)の使用によって所望の長さに分割することもできる。
【0017】
好ましい実施形態では、少なくとも2つの中空部分が使用される。これらの中空部分は、それらの長手方向側面で互いに接続されるように構成されるのが好ましい。中空部分をそれらの長手方向側面で接続できるという事実に起因して、冷却モジュールが更に補強され、それにより、更に一層頑丈なアセンブリがもたらされる。
【0018】
冷却モジュールが少なくとも2つの中空部分により形成されるという事実に起因して、冷却モジュールのモジュール構造を達成できる。これは、所定数の中空部分を選択するだけで所望の高さの冷却モジュールを得ることができるからである。このことは、個々のバッテリーモジュールのために同じ出発材料を常に使用できるため、1つの製造工場だけで異なるサイズの冷却モジュールを製造できることを意味する。出発材料は、必要に応じて所望の長さにカットされ、必要とされる数の中空部分だけによりその高さを変えることができる。
【0019】
中空部分は、接着によっておよび/または蝋付けによっておよび/または溶接によっておよび/または押圧によっておよび/または螺着/締結によっておよび/または把持によっておよび/またはクリンチによっておよび/または舌部‐溝接続によって互いに接続できることが好ましい。それにより、簡単で費用効率の高い態様で中空部分の互いに対する移動を回避できるとともに、中空部分の長手方向に対して垂直な方向での結束性を確保できる。
【0023】
3つの前述した代替案の全てにおいて、冷却モジュールは、それぞれが冷却通路を有する少なくとも3つの連続する側を有する。それにより、1つ以上のバッテリーセルを少なくとも3つの側から冷却することができる。その結果、バッテリーセルの極の接続が行われる冷却モジュールの側に、好ましくは冷却モジュールの同じ側に、入口領域および出口領域を簡単に設けることができる。
【0024】
中空部分の屈曲により、または、中空部分をそれらの縁部で接続することにより、少なくとも3つの側を有する平行六面体の形状の冷却モジュールが形成され、それにより、冷却モジュールの本体および/または冷却モジュールのカバーの一部の基本形状が経済的な態様で形成される。長方形形状は、デフォルトにより製造されるような長方形バッテリーセルを有する冷却モジュールの使用を可能にする。
【0025】
要求に応じて、また、使用される所定長の中空部分の数に応じて、使用される所定長の中空部分をそれらの接続の前にあるいは後に屈曲できることが好ましい。それにより、長さが長い複数の中空部分の使用において、これらの中空部分が正確に屈曲されるようにすることができる。これは、誤って屈曲された中空部分の排出を最小限に抑えるためには、これらの中空部分を特定サイズの中空部分(例えば、2mm以上の壁厚)から別々に屈曲させることが、より経済的だからである。
【0026】
しかしながら、中空部分の種類に応じて、個別に屈曲された中空部分を1つの冷却モジュールへと組み合わせることが更に簡単である可能性もある。
【0027】
特に好ましい実施形態において、3つの側を有する冷却モジュールにはその後にシートメタル接続プレートが設けられる。これらのシートメタル接続プレートは、冷却モジュールの少なくとも2つの対向して配置される側において熱伝導し得るように取り付けられ、好ましくは冷却モジュールの3つの側で取り付けられるとともに、バッテリーセルを受けるように寸法付けられる区画室を互いの間に形成し、シートメタル接続プレートが平行な平面内にあり、冷却通路が好ましくは平行な平面と平行に延びる。
【0028】
シートメタル接続プレートの使用により、冷却区画室内へ配置され得るバッテリーセルをそれらの大面積の側面の少なくとも一方から冷却できる。これにより、これらのバッテリーセルがそれらの上側および/または下側から冷却されるため、個々のバッテリーセルの動作温度の更に一層正確な制御が可能となる。また、冷却プレートは、冷却モジュールの安定化をもたらすことができる。冷却構造に対するセルの接続は、押圧によって、あるいは、薄い電気的に絶縁された熱伝導層(例えば、接着剤、接着フィルム)を介して行われる。
【0029】
シートメタル接続プレートは、所定長の中空部分の長手方向に延びるガイド溝内へ挿入されるのが好ましい。中空部分とシートメタル接続プレートとの間の更に一層良好な熱伝達を確保するために、シートメタル接続プレートは、設置後に、蝋付け、溶接、接着、摩擦力によって、または、異なる態様で、ガイド溝に取り付けることができる。しかしながら、シートメタル接続プレートと中空部分との間の熱交換を向上させる熱伝達ペーストを溝内にあるいは溝に設けることもできる。
【0030】
好ましい実施形態では、所定長の中空部分が少なくとも1つの冷却ウイングを有し、冷却ウイングは、所定長の中空部分が屈曲される位置で切り欠かれる。
【0031】
この場合、冷却ウイングを中空部分の製造時に押出成形ステップで設けることができ、それにより、本発明に係る冷却モジュール内へ挿入され得るバッテリーセルの熱の、冷却通路を通じて案内される冷却剤への更に一層良好な熱伝達が確保される。
【0032】
特に好ましい実施形態では、入口領域に分配器が設けられ、分配器は、個々の冷却通路に対して略垂直に配置されて、動作中に冷却剤を個々の冷却通路内へと分配し、および/または、出口領域に収集器が設けられ、収集器は、冷却通路に対して略垂直に配置されるとともに、個々の冷却通路から冷却剤を受けて出口へと案内する。
【0033】
したがって、分配器は、個々の中空部分の冷却通路に冷却剤を簡単な態様で供給することができ、それにより、冷却モジュール内に設置され得るバッテリーセルが簡単な態様で冷却されるようにすることができる。収集器は、加熱された冷却剤を所定のポイントで収集し、この冷却剤を単に冷却通路から離れるように案内する。
【0034】
冷却剤が分配器へと(再び)案内される前に冷却剤を所望の動作温度になるように収集器から熱交換器へと案内することができる。自動車産業で使用される冷却剤が、冷却剤として、特に例えばアルミニウムモータなどのアルミニウム部品のための冷却剤として使用されるのが好ましい。
【0035】
好ましくは、分配器および/または収集器は、1つの中空部分および/または複数の中空部分に対して溶接され、蝋付けされ、接着され、あるいは、異なる態様、例えば圧着接続によって取り付けられ、特に、1つの中空部分および/または複数の中空部分に対して更に螺着される。これにより、分配器および/または収集器と1つの中空部分および/または複数の中空部分との間で液密な接続を確保できるとともに、中空部分の入口領域および/または出口領域で安定化効果をもたらすこともできる。分配器および/または収集器は、プラスチック射出成形部品として、アルミニウム圧力ダイカスト部品として、あるいは、アルミニウム精密鋳造部品として費用効率良く合理的に製造することができ、それにより、冷却モジュールの更なる重量の減少をもたらすこともできる。あるいは、収集器および/または分配器を押出成形部品として同様に製造することもできる。
【0036】
好ましい実施形態では、仕上がった冷却モジュールまたは中空部分が陽極酸化処理法および/または粉体塗装法によって後処理される。冷却モジュールには、これを塵埃、例えば道路の塵埃から保護するために、したがって冷却モジュールの寿命を高めるために、例えば着色層を設けることもできる。また、保護層は電気的絶縁機能を果たすことができる。
【0037】
本発明によれば、冷却モジュールも提供され、この場合、冷却モジュールは、バッテリーセルを受けるための内部空間を有する本体の形状を有し、本体は、入口領域と出口領域との間で互いに平行に延びる1つ以上の冷却通路を有するとともに、所定長の1つあるいは複数の中空部分から少なくとも一部が形成される。
【0038】
少なくとも1つの冷却ウイングを有する冷却モジュールにおいて、冷却ウイングとバッテリーセルとの間に形成される空間が挿入体で満たされ、挿入体は、以下の機能、すなわち、熱伝導機能、耐火機能、および、機械的支持機能のうちの1つを有することができる。この挿入体は、バッテリーセルおよび/または中空部分に対して異なる態様で横たえられ、接着され、溶接され、蝋付けされ、あるいは、接続され得る。
【0039】
屈曲される中空部分は、冷却モジュールの前端で、支持部、例えば繊維強化プラスチックチューブによって安定化されることが好ましい。
【0040】
冷却モジュールの一実施形態において、バッテリーセルは、中空部分の支持部で、例えば粘着フィルムまたはコーティングによって当該中空部分に対して電気的に絶縁される。
【0041】
特に、バッテリーセルは、例えばプラスチックである電気絶縁ストリップの挿入によって所定部位で、例えば、中空部分の角部において、冷却ウイングの切り欠きで、冷却モジュールに対して絶縁され、あるいは、収集器および/または分配器に対して絶縁される。
【0042】
本発明によれば、本発明に係る方法における用途に特に適する、および/または、本発明に係る冷却モジュールで使用され得る中空部分も提供される。中空部分は、冷却剤を案内するための少なくとも1つの通路と、通路の壁の外面に配置される溝と、反対側の外面に設けられる舌部とを有し、舌部および溝が共通の平面内に位置する。
【0043】
本発明によれば、本発明に係る冷却モジュールの少なくとも1つの構成要素の製造方法も提供され、この場合、構成要素は押出成形部分として製造される。これにより、冷却モジュールの特に費用効率が高い組み立てが可能である。押出成形部分として形成され得る冷却モジュールの典型的な構成要素は、分配器、収集器、支持部、または、中空部分である。
【0044】
本発明に係る方法の様々な実施形態に関連して説明された利点は、本発明に係る冷却モジュールの適合において、および、本発明に係る中空部分において同様に当てはまる。
【0045】
以下、図面を参照しつつ実施形態を用いて、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明に係る冷却モジュールの斜視図である。
【
図2B】本発明に係るU形状に屈曲された中空部分を示す図である。
【
図4】冷却プレートが挿入された状態の本発明に係るU形状に屈曲された中空部分の分解図である。
【
図5】関連するバッテリーセルを伴う、本発明に係る冷却モジュールのアセンブリの斜視図である。
【
図6】冷却ウイングを有する、本発明に係るU形状に屈曲された中空部分の分解図である。
【
図7A】
図2Cの断面に類似する、本発明に係る中空部分の断面を概略形態で示す図である。
【
図7B】
図2Cの断面に類似する、本発明に係る中空部分の断面を概略形態で示す図である。
【
図7C】
図2Cの断面に類似する、本発明に係る中空部分の断面を概略形態で示す図である。
【
図7D】
図2Cの断面に類似する、本発明に係る中空部分の断面を概略形態で示す図である。
【
図7E】
図2Cの断面に類似する、本発明に係る中空部分の断面を概略形態で示す図である。
【
図8A】本発明に係る冷却モジュールの斜視図である。
【
図8B】本発明に係る冷却モジュールの斜視図である。
【
図9A】本発明に係る中空部分を上から見た図である。
【
図9B】本発明に係る中空部分を上から見た図である。
【
図10A】本発明に係る接続型中空部分の図である。
【
図11】挿入されるべき挿入体とバッテリーセルとを伴う、本発明に係る更なるU形状に屈曲された中空部分の分解図である。
【
図12】2つの挿入されたバッテリーセルを有する冷却モジュールを示す図である。
【
図13】4つの挿入されたバッテリーセルを有する冷却モジュールを示す図である。
【
図14】関連するバッテリーセルを有する、本発明に係る更なる冷却モジュールのアセンブリの斜視図である。
【
図16】本発明に係る更なる冷却モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、同一あるいは類似の機能を有する特徴には同じ参照符号が与えられる。また、勿論、一実施形態に関連する構成要素または構成要素機能に関して与えられる説明は、特に反対の言及がない限り、同じ参照符号が使用される他の実施形態においても当てはまることは言うまでもない。
【0048】
図1は、本発明に係る冷却モジュール10の斜視図を示している。冷却モジュール10は、平行六面体の形状を有しており、その入口領域に分配器12を有するとともに、その出口領域に収集器14を有する。分配器12および収集器14は、それぞれ接続部16,18を有し、該接続部によって冷却剤を供給および/または除去できる。互いに平行に延びる6つの冷却通路20が分配器12と収集器14との間で延在する。冷却モジュール10の区画室24内へ挿入され得る個々のバッテリーセル22(
図4参照)の冷却を確保するため、この例では、6つの冷却プレート26が個々の冷却通路20と略平行に延びる。冷却プレート26は、中空部分30に予め形成された溝28内へ導入される。冷却通路20は予め形成された中空部分30内に形成される。
【0049】
図2Aは中空部分30の側面図を示しており、この図において、溝28は、中空部分30の長手方向と平行に中空部分30の中心にほぼ沿って延びる。
【0050】
図2Bは、
図2Aの屈曲された中空部分の平面図を示している。
図2Cは、
図2Aの中空部分30の断面線A−Aに沿う断面を示している。
図2Cの中空部分30は、冷却通路20、ネジ孔32、および、当該ネジ孔32と冷却通路20との間に設けられる溝28を有する。中空部分30の長手方向の上端および下端には、複数の中空部分30をそれらの長手方向側面で互いに接続するように構成される溝および舌部34,36を見ることができる。中空部分30の舌部36が隣り合う中空部分30の溝34内へと案内されるという事実に起因して、舌部と溝との接続が起こる。
【0051】
図3Aは、
図2A−
図2Cの中空部分30の斜視図を示している。冷却通路20、溝28、舌部および溝34,36、ならびに、ネジ孔32を中空部分30のそれぞれの端部38で認識することができる。
【0052】
図3Bは、2つの中空流体通路20をその側方部分54に有する中空部分30の斜視図を示している。平坦な壁部分26が側方部分54間で延びる。
図3Bに示されるような中空部分30は、互いの上に簡単に積み重ねることができ、それにより、少なくとも2つの側に冷却通路20を有する1つの冷却モジュール10を形成することができる。これらの中空部分はそれぞれ、分配器12および/または収集器14に流体を連通させるように接続され得る。これに代わる手段として、冷却通路の少なくとも1つの端部を、それぞれが少なくとも1つの冷却通路20を有する円弧部分60(
図10B)または接続プレートにより、流体が連通するように第2の冷却通路20の端部に接続することもでき、その結果冷却モジュール10は少なくとも3つの側で液体冷却部を有することができる。
【0053】
図4は、U形状に屈曲される中空部分30の分解図を示している。U形状に屈曲された中空部分30は、中空部分30の屈曲後に溝28内へ挿入され得る、いわゆる冷却プレート26を備える。
【0054】
また、
図4は2つのバッテリーセル22を示しており、バッテリーセルは、それぞれがプラスおよびマイナスの接続部44,46を有するとともに、例えばトラクションバッテリー(いわゆる電気自動車バッテリー)のバッテリーモジュール50(
図5参照)用のバッテリーセル22となり得る。中空部分30のU形状の形は、冷却モジュール10に設けられるべきバッテリーセル22の形状に適合される。このことは、中空部分30が、バッテリーセル22の全長およびバッテリーセル22の幅を冷却モジュール10の個々の区画室24内へ問題なく挿入できるように屈曲されるが、バッテリーモジュール50に対して所望の電力を供給するべく組み付け作業者および/または機械工が個々のバッテリーセル22の接点44,46を互いに接続できるようにすべきであることを意味する。
【0055】
中空部分30がU形状へと屈曲されて、バッテリーセル22がそれらの与えられた区画室24内へ挿入された後、これらの複数の中空部分30を
図5に示されるように組み合わせることができ、また、要求に応じて、2つおよび/または4つおよび/または6つなどのバッテリーセル22を有する冷却モジュール10および/またはバッテリーモジュール50を提供することができる。所望の数のバッテリーセル22がU形状の中空部分を有する冷却モジュール10内に組み付けられたら、中空部分30の入口領域および/または出口領域と分配器12および/または収集器14との間に液密接続を形成するためにシール材料52が入口領域および/または出口領域に取り付けられる。分配器12および/または収集器14を更にまたネジ48によって螺着することができ、これにより、これらの接続ポイントで冷却剤が抜け出ることができないか、あるいは可能な限り少ない冷却剤しか抜け出ることができない、および/または、可能であれば、これらの接続ポイントで冷却剤が抜け出ることができない。
【0056】
図5からも分かるように、ホース(図示せず)用の接続スタブ16,18を分配器12および/または収集器14にそれぞれ取り付けることができる。これらのスタブは、
図5に示されるように、分配器または収集器の一体部品となることができ、あるいは、分配器または収集器に対して接着されおよび/または螺着されおよび/または溶接され得る。分配器12および収集器14は、冷却モジュール10に高い剛性を与えるために、また、上側および/または下側仕上げプレート56,58(
図8Aおよび
図8B参照)を接続できるように、ウェブおよび/またはヨーク(図示せず)を介して接続することができる。上側および/または下側仕上げプレート56,58は、最も下側および/または最も上側のバッテリーセル22を保護するために、接続モジュール10の最も上側および/または最も下側の中空部分30に、一般にそれぞれの舌部および溝34,36によって取り付けることができる。
【0057】
バッテリーセル22は、冷却モジュールの完成後に当該冷却モジュール10の冷却区画室24内へ挿入することもできる。それにより、分配器12または収集器14の蝋付けおよび/または溶接または接着で損傷されることが回避される。
【0058】
図6は、U形状に屈曲される別の中空部分30の分解図を示している。屈曲された中空部分30のU形状部分は、いわゆる冷却ウイング40を備えており、この冷却ウイングは、押出成形プロセスにおいて中空部分30の一部として形成することができ、あるいは、中空部分30の屈曲前にシートメタルプレート40として中空部分30の溝28内へ挿入できるとともに、成形が行われるべき位置42において、中空部分30のU形状への屈曲前に切り欠くことができる。
【0059】
図7Aは、
図2Cの断面に類似する断面で中空部分30を示している。この例では、中空部分30が4つの個々の冷却通路20を有し、この場合、冷却プレート26を設けるために、および/または、個々の冷却通路20間に冷却ウイング40を取り付けるために溝28が設けられる。要求に応じて、
図7の例では2つの隣接する溝28間に1つおよび/または2つのバッテリーセルを挿入することができる。
図7Aの上端および下端には、それぞれの舌部‐溝接続34,36を見ることができる。
【0060】
図7Bは、
図7Aの断面に類似する断面を示している。この例では、1つの冷却通路20を有する簡略化された中空部分30を見ることができる。中空部分30の上端および下端には、中空部分30を更なる中空部分30に接続するために使用できる溝および舌部34,36を見ることができる。この点において、接続された中空部分30の舌部および溝34,36は舌部‐溝接続を形成できる。これに関連して、接続された中空部分30間に形成される空間は、冷却プレート26および/または冷却ウイング40を設けるための溝28として使用することができる。これにより、隣接する部分30の溝34に接続される舌部36の長さによって溝28の幅を決定でき、および/または、溝28の幅が隣接する中空部分30の舌部36に接続される溝34の深さに対応できる。
【0061】
図7Cは、2つの冷却通路20を舌部‐溝接続34,36間で見ることができる更なる中空部分30を示している。2つの異なる断面の冷却通路20が中空部分30に存在するという事実に起因して、中空部分30の個々の冷却通路20間に冷却剤の異なる流速が存在する。異なる流速は、バッテリーセル22からの目標とする放熱のために使用できる。
【0062】
図7Dは、中空部分30の押出成形プロセスで直接に形成できる冷却ウイング40が設けられる更なる中空部分30を示している。
図7A〜
図7Dの中空部分30は、収集器14および/または分配器12との間で液密な接続を形成するために、U形状屈曲および所望のバッテリーモジュール50への組み付け後に、それぞれの収集器14および/または分配器12に対して接着および/または蝋付けされる。
【0063】
図7Eは、異なる断面を有する2つの冷却通路20が設けられる更なる中空部分30を示している。冷却通路20間にネジ孔32が設けられる。
図7Eの中空部分30にも冷却ウィング40が設けられる。
【0064】
これに関連して、本出願で使用され得る中空部分30が少なくとも1つの冷却通路を有さなければならないことに留意されるべきである。溝28および/または冷却ウイング40またはネジ孔32または更なる冷却通路が設けられるかどうかは、冷却モジュール10の意図された適用分野によって決まる。また、冷却通路20は、例えば円形、楕円形、長方形の断面を有することができ、あるいは、その他の任意の幾何学的形状を有することができる。ただし、この形状は、バッテリーセルから冷却通路内で案内される冷却剤への熱伝達が確保されるものに限る。
【0065】
溶接、蝋付け、および/または、接着によって接続される複数の対称な中空部分30から構成され、対応する溶接ビードおよび/または蝋付けポイントまたは接着ポイント62を有する1つの中空部分30(
図10A参照)、あるいは、冷却通路20内へ挿入される曲がったチューブ60(
図10B参照)によって蝋付けおよび/または溶接および/または接着により同様に接続される複数の対称な中空部分30から構成される1つの中空部分30を屈曲中空部分30の代わりに使用することができる。これに関連して、それぞれが別個の分配器12および/または収集器14を有する中空部分30の2つの列から構成される冷却モジュール10を設けることもできる。そのような冷却モジュール10のそれぞれの分配器12および/または収集器14は、当該冷却モジュール10に対して高い剛性を与えるためにウェブおよび/またはヨーク(図示せず)を介してそれぞれ接続することができる。
【0066】
図8Aおよび
図8Bはそれぞれ、本発明に係る冷却モジュール10の概略分解図を示している。中空部分30には、それらの上端および下端に、上側および/または下側仕上げプレート56,58が取り付けられる。そのような仕上げプレート56,58は各冷却モジュール10に設けることができる。
図8Aの例には、2つのU形状屈曲中空部分30から形成される冷却モジュール10が示されている。下側プレート58が囲繞舌部36を有し、上側プレート56が囲繞溝34を有する。
【0067】
これとは異なり、
図8Bは、中空部分30の2つの列を有する冷却モジュール10を示しており、この場合、個々の列の溝および舌部34,36は、中空部分30の左側の列がこの上端に溝34を有し且つ中空部分30の右側の列がその上端に舌部36を有するようにそれらの位置が交換されており、それにより、同じ仕上げプレート56,58が中空部分の2つの列の下端および/または上端で冷却モジュール10を完成させることができる。そのような仕上げプレート56,58は、一側面の一端に溝34を有するとともに、この側面の他端に舌部36を有する。
【0068】
図9Aおよび/または
図9Bはそれぞれ、三方冷却モジュール10を形成するために押出成形プロセスにおいて3つの側が直接に形成される中空部分30の断面を示している。前述した例では、冷却通路20が個々のバッテリーセル22の幅および長さと略平行に延びるように冷却通路20が説明されて示されたのに対し、
図9Aおよび
図9Bは、これが必ずしも当てはまらない実施形態を示している。
【0069】
そのような冷却モジュール10は、この場合、バッテリーセル22の幅および長さに対して垂直に延びる冷却通路20を有することができる。この場合では、それぞれの分配器12および/または収集器14が上からあるいは下から平行六面体の形状を有する冷却モジュール10に対して接続される。
【0070】
これに代わる手段として、
図9Aおよび
図9の中空部分には、その高さが拘束されるがその幅を変えることができ且つ冷却区画室24を有する冷却モジュール10を形成するために、冷却通路20の2つの外側の列と平行に延びるシートメタル接続プレート24,40を設けることもできる。この場合、分配器12および/または収集器14はそれぞれ冷却モジュール10の側面に取り付けられる。
【0071】
冷却モジュール10を製造するため、第1のステップでは、1つ以上の中空部分30が所望の長さにカットされる。これは、冷却モジュール10で使用され得るバッテリーセル22のサイズに応じて、長方形のバッテリーセル22の三辺が中空部分30によって当該中空部分の屈曲後に取り囲まれるように中空部分30がカットされることを意味する。中空部分30は、それらの長手方向側面で更なる中空部分30におよび/または仕上げプレート56,58に押し付け固定されるようになっており、仕上げプレートは、平行六面体の形状を有する仕上がった冷却モジュール10に上からあるいは下から押し付け固定することができる。第2のステップでは、1つの中空部分30が、または複数の中空部分30が互いに接続されてしまっている場合には当該複数の中空部分30が、所望のU形状へと屈曲される。しかしながら、全ての個々の中空部分30を、最初に、これらの中空部分がそれらの長手方向側面で互いに接続される前に所望のU形状へと屈曲させることもできる。中空部分30は、接着、蝋付け、溶接、押圧、螺着、締結、または、把持によって、および/または、舌部‐溝接続34,36によって接続することができる。
【0072】
中空部分30の再成形後、冷却プレート26は、少なくとも2つの対向して配置される側で、好ましくは冷却モジュール10の少なくとも3つの側で、中空部分30の溝28内へ挿入することができ、それにより、それらの側の間に、バッテリーセル22を受けるように寸法付けられる区画室24を形成できる。中空部分30が冷却ウイング40を伴って形成された場合には、これらの冷却ウイング40は、これらの中空部分が屈曲されるべき位置42で屈曲前に打ち抜かれおよび/または切り取られ、それにより、個々の冷却ウイング40の材料の変形をその位置42で回避できる。その結果、平行六面体の形状を有する冷却区画室24を確保できる。所望の長さの冷却モジュール10が得られ、バッテリーセル22が冷却モジュール10の区画室24内へ導入されたら、分配器12および/または収集器14が入口領域および/または出口領域に設けられる。これに代わる手段として、バッテリーセルを区画室24内へ導入する前に分配器および/または収集器を1つの中空部分または複数の中空部分30に接続することができる。これらの分配器および/または収集器は、個々の冷却通路20に対して略垂直に取り付けられる。動作中、冷却剤は、接続部16を介して分配器12へと案内され、当該分配器を介して個々の冷却通路20内へと分配された後、収集器14内に収集されて出口18へと案内される。収集器14および/または分配器12は、1つの中空部分30および/または複数の中空部分30に溶接し、蝋付けし、接着することができ、あるいは、異なる態様で、例えば圧着接続によって取り付けることができ、また、特に好ましくは更にネジ48によって螺着される。冷却モジュール10が製造されたら、この冷却モジュールを例えば陽極酸化プロセスおよび/または粉体塗装プロセスにおいて後処理することができ、あるいは、冷却モジュール10に対して単に着色層を設けることもできる。
【0073】
本発明の中空部分30を押出成形プロセスで製造することができる。例えばアルミニウム(200W/mK)、炭素鋼、マグネシウム、ニッケルなどの高い熱伝導率を有する金属が中空部分30のための材料として使用されることが好ましい。
【0074】
例えば上または下などの幾何学的な表現は、常に、本明細書中に示される実施形態およびそれぞれの図面中におけるその配置に関連して使用される。勿論、実施形態の幾何学的位置を変えることができるのは言うまでもない。
図11は、挿入される挿入体64と2つのバッテリーセル22とを伴うU形状に屈曲された本発明に係る更なる中空部分30の分解図を示している。バッテリーセル22の接続部44には、この例では貫通孔が設けられ、該貫通孔を通じて更なるバッテリーセル22への接続を行うことができる。挿入体64は、2つの隣り合うバッテリーセル22間の空間を満たす。特に、挿入体64は、以下の機能、すなわち、例えば挿入体64が冷却プレート26として構成されるときには熱伝導機能、耐火機能、および、機械的支持機能のうちの1つを満たす。一般に、挿入体は、バッテリーセル22および/または中空部分30に対して更なる方法により横たえられ、接着され、溶接され、蝋付けされ、あるいは、接続される。
【0075】
図12および
図13はそれぞれ、2つのバッテリーセル22または4つのバッテリーセル22が中空部分により形成される各区画室内に設けられる冷却モジュール10を示しており、バッテリーセル22には貫通孔によって形成される接続部44が設けられる。
【0076】
図14は、関連するバッテリーセル22を有する本発明に係る更なる冷却モジュール10のアセンブリの斜視図を示しており、一方、
図15Aは、
図14に係る収集器14の上面図を示している。
図15Bは、
図15Bの断面線A−Aに係る収集器14の断面を示している。冷却剤のための円筒形状の接続部18を明確に見ることができる。
【0077】
この例において、収集器14および/または分配器12は、押出材料から、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される。収集器14および/または分配器12を製造するため、押出成形ステップ後に、円筒形状の接続部16および/または18が例えばフィンガーミル(図示せず)によって切削される。原理上、適切な切削工具によってどのような任意の形状の接続部16および/または18をも収集器14および/または分配器12に形成することができる。また、
図14は、収集器14および/または分配器12の中空空間をシールするために必要とされる2つの異なるタイプの接続スタブ68,70を示している。
【0078】
組み付け状態では、ネジ48が、分配器の孔49およびシール52の対応する孔を通って、中空部分の円筒通路32に係合する。これらのネジは、分配器12およびシール52を冷却モジュールおよび/または中空部分30に対して締結するネジ切りネジ48となり得る。
図15Aおよび
図15Bにおいて見ることができる孔51が、軸方向に位置をずらして孔49に対して傾けられて設けられ、孔は、中空部分30と対向するそれらの端部が中空部分の冷却通路およびシール52の対応する開口とぴったり重なり合って位置するとともに、それらの他端が分配器12の入口通路へと通じ、これにより、接続部によって与えられる大径の通路へと通じる。この点において、孔51は、より幅狭い分配器通路(つまり、中空部30内での実際の分配をもたらす分配器の更に幅狭い長手方向通路)を貫通する。この構成は収集器14に関しても同じであり、収集器は単に鏡面対称で取り付けられるにすぎない。しかしながら、分配器12および収集器14における押出成形部分は同一であり、これはシール52に関しても当てはまる。これにより、極めて合理的な製造を達成できる。
【0079】
参照符号67は、同様に押出成形部分として製造され得るエッジ保護部を表す。
【0080】
断面図では、収集器14の下端に閉塞スタブ68,70を見ることができ、これらのスタブは収集器を底部においてシールすることができる。収集器14の上端に更なる接続スタブ68を見ることができ、このスタブは、この冷却通路を上端においてシールする。
【0081】
図16は、本発明に係る更なる冷却モジュール10の斜視図を示している。この冷却モジュール10では、冷却モジュール10を安定させる複数の支持部66が冷却モジュールの前端に設けられる。支持部は、例えば、繊維強化プラスチックチューブ60から形成することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 冷却モジュール
12 分配器
14 収集器
16 接続部
18 接続部
20 冷却通路
22 バッテリーセル
24 区画室
26 冷却プレート
28 溝
30 中空部分
32 ネジ孔
34 溝
36 舌部
38 端部
40 冷却ウイング
42 位置
44 接続部
46 接続部
48 ネジ
49 孔
50 バッテリーモジュール
51 孔
52 シール
54 部分
56 仕上げプレート
58 仕上げプレート
60 屈曲チューブ
62 溶接ビードおよび/または蝋付けまたは接着位置
64 挿入体
66 支持部
67 エッジ保護
68 閉塞スタブ
70 閉塞スタブ