特許第5978215号(P5978215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5978215検出器の支持部材に弾性的に接続された共振器を有する共振圧電抵抗検出器、および、前記検出器を製造するためのプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978215
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】検出器の支持部材に弾性的に接続された共振器を有する共振圧電抵抗検出器、および、前記検出器を製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/24 20060101AFI20160817BHJP
   H03H 3/007 20060101ALI20160817BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   H03H9/24 Z
   H03H3/007 Z
   B81B3/00
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-527641(P2013-527641)
(86)(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公表番号】特表2013-538017(P2013-538017A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】EP2011065809
(87)【国際公開番号】WO2012034990
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年8月21日
(31)【優先権主張番号】1057251
(32)【優先日】2010年9月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ヘンツ
【審査官】 ▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/066203(WO,A1)
【文献】 特開2009−002953(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/015963(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0314148(US,A1)
【文献】 特開2010−169684(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0186506(US,A1)
【文献】 特表2006−516836(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0114541(US,A1)
【文献】 特表2005−524093(JP,A)
【文献】 特開平08−075784(JP,A)
【文献】 MILE E,IN-PLANE NANOELECTROMECHANICAL RESONATORS BASED ON SILICON NANOWIRE PIEZORESISTIVE DETECTION,NANOTECHNOLOGY,英国,2010年 4月23日,V21 N16,P165504
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/24
B81B 3/00
H03H 3/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ平坦な表面を有する支持部と、
前記支持部から吊り下げられ、前記支持部の表面の平面と平行に動くことができる共振器と、
前記共振器を作動させる手段と、
前記支持部から吊り下げられた少なくとも1つの圧電抵抗ひずみゲージを含む、前記共振器の変位を検出する手段と、
前記少なくとも1つの圧電抵抗ひずみゲージとは別の少なくとも1つの弾性要素とを含み、
前記共振器は前記少なくとも1つの弾性要素を介して前記支持部に固定され、前記少なくとも1つの弾性要素は、前記共振器の変位の非線形状態が現れるしきい値を高くすることができるように、たわみ弾性であり、前記共振器は電流を伝導することができる材料からなる、ことを特徴とする、圧電抵抗検出を伴う共振装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの弾性要素はほぼ直線的であり、その長さのその幅との比は5より大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記比は10より大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記圧電抵抗ひずみゲージは、少なくとも1つの圧電抵抗材料を含むスタックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ひずみゲージおよび前記少なくとも1つの弾性要素は、ほぼ直線的であり、互いの延長部ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記共振器はビーム状であり、前記ひずみゲージおよび前記少なくとも1つの弾性要素はそれぞれ前記ビームの2つの対向する側面に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
2つのほぼ直線的なひずみゲージをさらに含み、
前記少なくとも1つの弾性要素はほぼ直線的であり、前記ひずみゲージおよび前記弾性要素は互いの延長部ではなく、前記共振器はビーム状のビームであり、前記2つのほぼ直線的なひずみゲージは、それぞれ前記ビームの2つの対向する側面に互いの延長部として配置され、前記少なくとも1つの弾性要素は前記側面の一方に配置される、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記共振器はビーム状のビームであり、前記少なくとも1つの弾性要素は前記ビームの一方の端部に配置され、前記ビームとゼロ以上90°未満の角度を形成する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
2つのほぼ直線的なひずみゲージをさらに含み、
前記少なくとも1つの弾性要素はほぼ直線的であり、前記2つのほぼ直線的なひずみゲージおよび前記弾性要素は互いの延長部ではなく、前記共振器は、2つのほぼ平行なビームおよび前記2つのビーム間の弾性接続部を有する音叉の形状を有し、前記弾性要素は前記弾性接続部に配置され、前記2つのほぼ直線的なひずみゲージは、それぞれ前記音叉の両方のビームに互いの延長部として配置される、請求項に記載の装置。
【請求項10】
ほぼ直線的な2つのたわみ弾性要素をさらに含み、
前記ひずみゲージはほぼ直線的であり、前記弾性要素および前記ひずみゲージは互いの延長部ではなく、前記共振器はビーム状のビームであり、前記ビームの両方の端部は、前記支持部の表面の平面と平行に変位することができ、前記2つのたわみ弾性要素は、それぞれ前記ビームの端部の一方で前記ビームの2つの対向する側面に配置される、請求項に記載の装置。
【請求項11】
ほぼ直線的であり、それぞれ前記ビームの他方の端部で前記ビームの2つの対向する側面に配置された2つの他のたわみ弾性要素をさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも2つのほぼ直線的なひずみゲージをさらに含み、
前記少なくとも2つのほぼ直線的なひずみゲージおよび前記弾性要素は互いの延長部ではなく、前記少なくとも2つのほぼ直線的なひずみゲージの少なくとも1つはたわみ弾性であり、前記たわみ弾性要素は、たわみ弾性である前記ひずみゲージによって構成される、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電抵抗検出を伴う共振装置、および、装置を製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、時間基準のための発振器の分野、および、MEMS型(微小電気機械システム)またはNEMS型(ナノ電気機械システム)センサの分野に使用される。
【0003】
例えば、共振センサおよび、具体的には質量センサに適用される。
【背景技術】
【0004】
すべてこれらの用途について、性能(例えば、質量分解能)は、装置に含まれる共振器の周波数の安定度に依存し、SNRと示される信号対雑音比に比例する。
【0005】
共振器の変位量を考慮すると、SNRを比Po/Sxとして表すことができる。この比では、Sxはスペクトル雑音密度であり、Poは、共振器の振動振幅Aの2乗の2分の1に等しい搬送波の出力である。
【0006】
共振器の性能を向上させるためには、したがって、(1)最大限の振動振幅を得ること、および、(2)装置の出力雑音を低減すること、が求められる。
【0007】
(1)第1に、大きい振動振幅をどのように得ることができるかを考える。
【0008】
当業者は、この振幅を、Acと示される、「臨界」振幅として知られる振幅未満の値に常に制限し、それより上では振動状態が非線形になる。
【0009】
この非線形状態の出現が、図1によって示される。この図では、いくつかの曲線、C1、C2、C3およびC4がプロットされており、これらの曲線は、振幅A(任意単位)を、共振周波数の周波数fの関数、または、共振周波数に対する周波数fの差の関数として表す。
【0010】
曲線C1およびC2は線形状態を示すことがわかる。逆に、曲線C3およびC4の場合、振幅が増加すると非線形現象が現れる。
【0011】
この非線形性は、周波数f1のような特定の周波数に対するいくつかの可能な振幅によって表される。例えば、周波数f1を通過する縦軸と平行の軸は、曲線C4といくつかの点a、b、cで交差する。
【0012】
すなわち、この非線形状態では、共振器はもはや安定しない。この状態のある特定の領域では、所定の周波数f1に対して3つの可能な振幅が存在する。共振器は、したがって、特定の周波数で、開ループで動作させると、ある振幅から他の振幅に突然「ジャンプ」する可能性がある。
【0013】
共振器によって採用される振幅は、初期条件および外乱にも依存する。共振器はその後、制御が困難になる。
【0014】
その結果、周波数の範囲が上方または下方のいずれかに広がると、振幅の突然のジャンプが観察される可能性がある。
【0015】
加えて、辿る経路は、ある方向と他の方向とで異なり、図2の図表で具体的に見られるヒステリシスが観察され、周波数が変化する方向に応じて、振幅が変化する経路は異なる。
【0016】
非線形状態の出現は、雑音の劣化にも関連する。実際に、雑音(低または高周波数での)は、共振器の非線形成分により混合し、対象の周波数に雑音をもたらす。この問題について、以下の文献、
[1] V. Kaajakari他、20 IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control、52、2322〜2331頁 (2005)
が参照されるであろう。
【0017】
このように、振幅は増大し、したがって搬送波の出力は増大するが、雑音は同時に劣化し、振幅の増大の利点を完全に打ち消す。
【0018】
結果としてシステムが開ループで安定しないだけでなく、加えて、信号対雑音比が劣化する。
【0019】
この非線形性の原因は、「幾何学的」と呼ばれ、すべての機械的構造に関係する。例えば、端部E1およびE2の両方で固定されたビームPの場合(図3参照)、支配的な非線形効果は、中央平面の伸張である。
【0020】
大きい変位量の領域では、ビームの中立軸Nの長さは、もはや一定であると考えることはできず、ビームは、ますます大きい振幅で曲げられるにつれて伸張する。
【0021】
このように、ビームがより大きい振幅で曲げられるにつれ、その剛性はより大きくなる。これは、共振ピークが高い周波数の方に「傾く」理由を説明する。
【0022】
非線形性のこの原因を減らすために、したがって、振動の振幅を同じ程度に制限しないために、他の境界条件を有するビームのような他の共振器を用いることができる。
【0023】
例えば、1つの自由端部を有し、他方の端部が固定されたビームを使用することができる。このようなビームでは、中央平面の伸張の影響はないが、より大きい振幅で幾何学的非線形性の他の原因が存在する。
【0024】
他の解決法は、例えば、ひずみ除去装置の使用を提案している。この問題について、以下の文献、
[2]仏国特許第2808264号に対応するE. Orsier他の発明、米国特許出願公開第2002/0011117号
が参照されるであろう。
【0025】
(2)現時点では、装置の出力雑音の低減を考える。
【0026】
ここでの目的は、装置の伝達利得を増加させることであり、すなわち、共振器の振動振幅に対する装置の電気的出力信号の振幅の比を増加させることである。
【0027】
ナノメートルスケールで、伝達(特に、容量性伝達、圧電性伝達および圧電抵抗性伝達)の選択の問題は、未解決である。しかしながら、圧電抵抗性伝達で金属材料を使用するか、それとも半導体材料を使用するかにかかわらず、すぐれた利得が得られている。
【0028】
後者の材料に関連して、以下の文献、
[3] E. Mile他、Nanotechnology、Vol. 21 Issue 16、165504頁(2010)
を参照することができる。
【0029】
例えば、てこを使用する力の機械的増幅と組み合わせて、各々の吊り下げ式ひずみゲージに対して1つの圧電抵抗性伝達を使用することができる。この問題について、以下の文献、
[4]欧州特許第2008965号に対応するP. Robertの発明、米国特許出願公開第2008/0314148号
が参照されるであろう。
【0030】
図4は、この文献に記載の、圧電抵抗検出を伴う共振装置の一例の概略上面図である。これは基板上に形成され、
少なくとも1つの固定部4(実際には、示された例では、見ることができるように第2の固定部5が存在する)によって基板に接続されたビーム状共振器2と、
共振器を動作させるための固定電極6と、
共振器に関連する交流電圧を電極に印加する交流電圧源8であって、共振器はその後基板の表面の平面と平行に振動し、この振動は図4の両矢印9によって記号的に示されている、交流電圧源8と、
圧電抵抗性材料製の吊り下げ式ひずみゲージ10と、
ゲージ10すなわち圧電抵抗ゲージが受けるひずみを測定する手段12とを含む。
【0031】
手段12は、固定部4の外側に位置する点で共振器2に接続される。このように、ゲージが受けるひずみを増加させることができるてこが存在する。
【0032】
このような解決法は、特に共振器が自由固定されたビームである場合、共振器がひずみゲージの近傍の少なくとも1つの固定部によって基板に接続される多くの装置に適用可能である。
【0033】
文献[3]は、このような構造を作動手段と共に記載しており、共振器の動きを検出するために使用される組立品の図を記載している。
【0034】
文献[4]に記載されている装置では、共振器を形成するビームは、ちょうど見てきたように、ビームを基板に接続する少なくとも1つの固定部を含む。これは問題を引き起こす。
【0035】
実際には、圧電抵抗ゲージが受ける、または、装置が2つ以上のこのような圧電ゲージを含む場合はこれらの圧電抵抗ゲージが受けるひずみを最大化することが明らかに望まれるのに対して、(固定部と、ひずみゲージがビームに接続される点との間の距離から結果として生じる)てこによって増幅されるひずみの一部は、固定部で失われる。
【0036】
加えて、ビームの動きの減衰の原因の1つは、固定部でのひずみのこの損失から結果として生じる。文献[4]での問題の共振装置の性質係数は、これによって低下する。
【0037】
加えて、特定の用途では、境界条件が両方の端部で異なっている共振器、例えば、一方の端部が固定され、他方の端部が固定されていない共振器と対照的に、対称的な境界条件を有する共振器、特に両方の端部が固定された共振器を使用する必要がある可能性がある。
【0038】
しかし、非線形動作(上記参照)の出現によって決定される振動振幅の制限は、所望の性能が達成されるのを妨げる。これは、例えば、NEMSベースの質量分析による場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0011117号(仏国特許第2808264号)
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0314148号(欧州特許第2008965号)
【特許文献3】国際公開第2010/015963号
【非特許文献】
【0040】
【非特許文献1】V. Kaajakari他、20 IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control、52、2322〜2331頁 (2005)
【非特許文献2】E. Mile他、Nanotechnology、Vol. 21 Issue 16、165504頁(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本発明の目的は、共振器と、共振器の変位量の検出手段とを含む共振装置であり、これらの検出手段は、少なくとも1つの圧電抵抗ゲージを含む。
【0042】
この装置では、対称的な境界条件、すなわち、共振器の両方の端部で同じ条件を可能にし、固定部でのひずみの損失を最小限にしながら、共振器は高い振動振幅を有することができ、すなわち、非常に広い振幅の領域にわたって線形のままである振動状態を有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0043】
これを達成するために、共振器を支持部に固定し、共振器は支持部からたわみ弾性の少なくとも1つの要素を介して吊り下げられる。
【0044】
加えて、装置の好適な実施形態では、スペクトル雑音密度Sxおよび、したがって出力雑音は低く、すなわち、装置の伝達利得は高い。
【0045】
この結果を得るために、圧電抵抗ゲージが対象である力を増幅するためにてこが存在する。
【0046】
より正確には、本発明の目的は、圧電抵抗検出を伴う共振装置であって、装置は、
ほぼ平坦な表面を有する支持部と、
支持部から吊り下げられ、支持部の表面の平面と平行に動くことができる共振器と、
共振器を作動させる手段と、
支持部から吊り下げられた少なくとも1つの圧電抵抗ひずみゲージを含む、共振器の変位を検出するための手段とを含み、
装置は、少なくとも1つの弾性要素も含み、共振器は弾性要素を介して支持部に固定され、要素は、共振器の変位の非線形状態が現れるしきい値を高くすることができるように、たわみ弾性であることを特徴とする。
【0047】
それは確かに、国際公開第2010/015963号が、2つのひずみゲージを介して支持部から吊り下げられた共振器を形成するビームを含む電気機械変換器を記述する場合である。しかし、これらのゲージはそれらの個々の軸に沿ってのみ弾性である。
【0048】
本発明の目的を形成する装置では、逆に、1つまたは複数のひずみゲージに加えて、少なくとも1つのたわみ弾性要素が使用され、共振器は弾性要素を介して支持部に固定される。この要素は、非線形性が現れるしきい値を高くすることができる。このようなたわみ弾性要素は、共振器がより高い運動の自由度を有することを可能にし、例えば、共振器がビーム状である場合、要素は共振器にその軸に沿った運動(長手方向)の自由度と、(本願の図面の平面に対して垂直の軸の周囲の)回転運動自由度とを与える。
【0049】
支持部の平面内で低い曲げ剛性を有する直線要素が好適である。このとき必要とされるすべては、要素が、例えば10より大きい、大きい縦横比(要素の長さの幅との比)を有することである。
【0050】
本発明の具体的な実施形態によれば、圧電抵抗ひずみゲージは、少なくとも1つの圧電抵抗性材料を含むスタックを含む。
【0051】
本発明の目的を形成する装置の好適な実施形態によれば、ひずみゲージおよび弾性要素は、ほぼ直線的であり、互いの延長部ではない。
【0052】
圧電抵抗ゲージに加えられる力を増幅させることができる上述したてこが、このようにして得られる。
【0053】
本発明の目的を形成する装置の具体的な実施形態によれば、共振器はビーム状であり、ひずみゲージおよび弾性要素は、それぞれこのビームの2つの対向する側面に配置される。
【0054】
他の具体的な実施形態によれば、装置は2つのほぼ直線的なひずみゲージを含み、共振器はビーム状であり、2つのひずみゲージは、それぞれ互いの延長部としてビームの2つの対向する側面に配置され、弾性要素は、側面の一方に配置される。
【0055】
他の具体的な実施形態によれば、共振器はビーム状であり、弾性要素はビームの一方の端部に配置され、ビームとゼロ以上90度未満の角度を形成する。
【0056】
他の具体的な実施形態によれば、装置は2つのほぼ直線的なひずみゲージを含み、共振器は、2つのほぼ平行なビームおよび2つのビーム間の弾性接続部を有する音叉の形状を有し、弾性要素は弾性接続部に配置され、2つのひずみゲージは、それぞれ互いの延長部として音叉の両方のビームに配置される。
【0057】
他の具体的な実施形態によれば、装置は、ほぼ直線的な2つのたわみ弾性要素を含み、共振器はビーム状であり、ビームの両方の端部は、支持部の表面の平面と平行に変位することができ、2つの弾性要素は、それぞれビームの端部の一方で、ビームの2つの対向する側面に配置される。
【0058】
この場合、装置は、2つの他のたわみ弾性要素を含むことができ、2つの他のたわみ弾性要素は、ほぼ直線的で、それぞれビームの端部の一方で、ビームの2つの対向する側面に配置される。
【0059】
他の具体的な実施形態によれば、装置は少なくとも2つのひずみゲージを含み、これらのひずみゲージの少なくとも1つはたわみ弾性であり、たわみ弾性である要素は、たわみ弾性ひずみゲージによって構成される。
【0060】
本発明は、本発明の目的を形成する装置を製造するための方法にも関し、この方法では、共振器、各ひずみゲージおよび各弾性要素が表面技術によって形成される。
【0061】
本発明は、純粋に指示として制限的な意味ではなく添付図面を参照して以下に与えられる例示的な実施形態の説明を読むことで、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】既知の共振装置の共振器に関する周波数の関数としての振幅の変化を表す曲線を示し、以前に記載されている。
図2】このような装置に影響を与える可能性があるヒステリシス現象を概略的に示し、以前に記載されている。
図3】その2つの端部で固定されたビームの、このビームがますます大きい振幅で曲げられるにつれての伸張を概略的に示し、以前に記載されている。
図4】圧電抵抗検出を伴う既知の共振装置の概略上面図であり、以前に記載されている。
図5】本発明の1つの目的である装置の具体的な実施形態の概略上面図である。
図6】この装置の他の具体的な実施形態の概略上面図である。
図7】この装置の他の具体的な実施形態の概略上面図である。
図8】この装置の他の具体的な実施形態の概略上面図である。
図9】この装置の他の具体的な実施形態の概略上面図である。
図10】共振器が音叉の形状を有する本発明の概略上面図である。
図11】両方の端部が自由であるビーム形状を共振器が有する、本発明の他の例の概略上面図である。
図12】両方の端部が自由であるビーム形状を共振器が有する、本発明の他の例の概略上面図である。
図13】両方の端部が自由であるビーム形状を共振器が有する、本発明の他の例の概略上面図である。
図14A】本発明による装置の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図14B】本発明による装置の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図14C】本発明による装置の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図15A】本発明による装置の他の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図15B】本発明による装置の他の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図15C】本発明による装置の他の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
図15D】本発明による装置の他の製造方法の異なったステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図5は、本発明の1つの目的である共振装置の具体的な実施形態の概略上面図である。
【0064】
この図に示す装置は、
表面がほぼ平坦な支持部14または基板と、
支持部14から吊り下げられ(支持部から開放されているともいえる)、支持部の表面の平面と平行に動くことができる共振器16と、
共振器16を作動させる手段17と、
共振器16の変位を検出する手段18とを含む。
【0065】
図5に示す例では、これらの検出手段18は、単一の圧電抵抗ひずみゲージ20を含む。このゲージは、ビーム状であり、したがってほぼ直線的である。加えて、このゲージは、支持部14から吊り下げられており、支持部14から解放されている。このゲージは、圧電抵抗性材料製であってもよく、または、少なくとも1つの圧電抵抗性材料を含むスタックを含んでもよい。
【0066】
本発明によれば、共振器は支持部14に直接固定されず、図5に示す装置は弾性要素22も含み、弾性要素22を介して共振器は支持部14に固定される。これは、共振器の変位の非線形状態が現れるしきい値を高くすることができる。
【0067】
図5に示す例では、共振器16はビーム状である。弾性要素22もビーム状であり、したがって、ひずみゲージ20または圧電抵抗ゲージのようにほぼ直線的である。
【0068】
しかし、このゲージ20および弾性要素22は、互いの延長部ではなく、見て分かるように、これらの個々の軸X1およびX2は別々に設定される。加えて、ゲージ20および要素22は、それぞれ、共振器を形成するビーム23の2つの対向する側面に配置される。
【0069】
検出手段は固定部24および26を含み、固定部24および26を介してゲージ20および要素22はそれぞれ支持部14に取り付けられる。
【0070】
図5に示す例では、ゲージ20および要素22の両方は、ビーム23と垂直に(かつ、支持部14の表面と平行に)配置され、要素22の一方の端部はビーム23の一方の端部28に近接し、要素22の他方の端部は固定部26に取り付けられ、ゲージ20の一方の端部は、ビーム23の端部28から離れて設定されたビーム23の点30に配置され、ゲージ20の他方の端部は固定部24に取り付けられる。
【0071】
この例では、作動手段17は、静電型のものであり、支持部14に取り付けられた電極32を含む。交流電圧源34が、ビーム23に関する交流電圧を電極32に印加するために含まれる。ビーム23がこのようにして励起されると、ビーム23は、支持部14の表面の平面と平行に振動し、これは図5中で両矢印36によって記号的に表されている。
【0072】
ビーム23の共振を励起するために、静電的手段以外の手段、例えば、圧電的、熱的または電磁的手段を用いることができる。
【0073】
要素22または吊り下げビームは開放され、加えて、要素22の縦横比、すなわち、その長さのその幅との比は、大きくすべきであり、例えば、5より大きくすべきだが好適には10より大きくすべきであることが好ましい。そうすれば要素22は、ビーム23の動きにきわめて小さい抵抗のみを生じ、圧電抵抗ゲージ20が対象となるひずみを最大化する。
【0074】
実際に、要素22の縦横比を考慮すると、
一方では、この要素22のその軸X2での引張り-圧縮剛性はきわめて大きく、したがって、てこ効果、および、ゲージに働く力の増幅の利点が得られ(ゲージ20の軸X1および吊り下げビーム22の軸X2間の(ゼロではない)距離は小さくすべきであり、例えば、ビーム23の長さの3分の1未満にするべきであることが好ましい)、
しかし、他方では、要素22の曲げ剛性は低く、この要素はしたがって、ビーム23の横への曲げ運動にきわめて小さく「抵抗」する。
【0075】
圧電抵抗ゲージのこの寸法は、このゲージによって発生されるジョンソン雑音(この雑音はゲージの抵抗に比例する)と、ゲージが対象となるひずみとの間で最良の妥協を達成するように選択されなければならず、ひずみはゲージの横断面に反比例する。
【0076】
第1に、したがって、非常に短く、横断面ができるだけ小さいゲージが選択される。
【0077】
ゲージの相対位置も、ゲージが対象となるひずみを最大化するために選択される。したがってこの位置は、選択された適切な動作モードに依存する。
【0078】
例えば、図5の場合では、「モード1」と呼ばれる共振モードに関する限りでは、最適な位置は、ビーム23の端部28および点30間の距離L1がビーム23の長さLの10%程度になるような位置であると推定することができる。
【0079】
本発明の1つの目的である装置、例えば図5に示す装置と、文献[4]に記載された装置との間の設計の違いは、装置が読み取られる方法をどのようにも変えず、本発明では、ここでも、読み取られるのは、1つまたは複数の圧電抵抗ゲージの抵抗の変化である。
【0080】
本発明では、機械的構造が変更されているが、それにもかかわらずこの読み取りは、ゲージ20および要素22の個々の固定部24および26間に読み取り手段38を接続することによって可能である。
【0081】
このときこれらの固定部24および26は、導電性材料で作られる。これはさらに、読み取り手段が間に接続される2つの固定部に関して、後に与えられるすべての例で同じである。
【0082】
そして当然、すべての例では、読み取りに使用される共振器および各弾性要素(図5の場合の要素22)も、電流を伝導することができる材料、例えば圧電抵抗材料で作られる。
【0083】
したがってゲージ20の抵抗の変化は、従来は、電気的接続部として使用される2つの固定部間で読み取られる。この読み取りは、
直接、
またはロックイン増幅器を使用して、
またはホイートストンブリッジ(文献[4]参照)を使用して、
または参照が行われる文献[3]で説明されているような、より洗練された技術によって行うことができる。
【0084】
逆に、この方法によって読み取られる抵抗の変化は、吊り下げビーム22も圧電抵抗材料で作られている場合、吊り下げビーム22の抵抗の変化を含む。
【0085】
したがって、吊り下げビーム22の抵抗の変化がゲージ22の抵抗の「有用な」変化と比較して無視できることを確実にすることが必要である。これを達成するために、例えば、
ゲージ22に与えられるより大きい横断面を吊り下げビーム22に与えることができ、
または、その抵抗およびそのゲージ率を低減するために、吊り下げビーム22に局所的にドープすることができ、
または再び、共振器を構成するビーム23の両側にゲージ20および吊り下げビーム22を配置し(これは図5に示す例の場合である)、これらの個々の抵抗変化をこれらが同じ符号になるように設計することができる。
【0086】
それぞれの軸が一致し、吊り下げビームに対してオフセットした2つのほぼ直線的な圧電抵抗ゲージを使用することもできる。これは、ゲージが共振器の両側に配置される場合、差動的な読み取りを可能にする。
【0087】
図6の例は、この可能性を概略的に示す。この図に示す装置は、その固定部が符号42を有するほぼ直線的な圧電抵抗ゲージ40を含むという事実によって、図5の装置と区別される。見て分かるように、ゲージ20および40は、ビーム23の2つの対向する側面に配置され、同じ軸X1を有する。
【0088】
図6の場合では、差動的読み取りが使用され、読み取り手段は、固定部26および42間に接続され、ゲージ40の抵抗の値R+ΔRを決定することができる第1の読み取り手段38と、固定部26および24間に接続され、ゲージ20の抵抗の値R-ΔRを決定することができる第2の読み取り手段38aとを含む。
【0089】
2つの吊り下げビームを使用することもできる。このとき、全体的な剛性は増加するが、2つの吊り下げビームが電気的に接続される場合、装置のアクセス抵抗は減少し、これらは並列に取り付けられた2つの抵抗を構成する。
【0090】
これを図7によって概略的に示す。この図に示す装置は、他の吊り下げビーム44を含む事実によって、図5に示す装置と区別される。見て分かるように、2つのたわみ弾性要素を構成する両方の吊り下げビーム22および44は、ビーム16の同じ側にあり、共通の固定部26を有する(後述する図11の他の例も参照)。
【0091】
2つの吊り下げビームは、共振器を形成するビームの2つの端部の一方に配置されても配置されなくてもよく、共振器の他方の端部で並列に接続された2つの他の吊り下げビームを有することさえ可能である(図11も参照)。
【0092】
圧電抵抗ゲージに関しては、図6の場合と異なり、これらを共振器16の端部28および吊り下げビーム22間に配置することができる(後述する図12参照)。
【0093】
ビーム状の(開放された)弾性要素を、(a)ビーム状共振器の軸に、または、(b)異なった軸に沿って配置することもできる。
【0094】
後者(b)の場合、共振器の軸に沿った配置は大いに好ましくなく、したがって振動振幅は、非線形状態の出現前に大幅には増加せず、逆に、弾性要素22に関係付けられた固定部26に受け継がれるひずみは最小化され、ゲージ20が受けるひずみは最大化される。
【0095】
(a)および(b)の両方の場合を、図8および9によって概略的に示す。
【0096】
図8の例は、図8の場合、ビーム状弾性要素22がビーム23の端部28に取り付けられ、ビーム23の軸X3に沿って延在する事実によって、図5の例と区別される。
【0097】
図9の例では、ビーム状弾性要素22はビーム23の端部28に取り付けられるが、この要素の軸X2は、0<α<90°(図8の場合ではαはゼロ)となるように、ビーム23の軸X3と角度αを形成する。
【0098】
図9は、ビームの形状を有する他のたわみ弾性要素46をビーム23の端部28に有する可能性も示す。これに関係付けられた固定部は符号48を有し、要素46の軸X4は軸X3に対して傾斜する。図9の例では、要素22および46は、軸X3に関して互いに対して対称である。
【0099】
上述した例のいくつかでのように、要素22および46は、同じ固定部を有することができ、その場合、並列の抵抗を構成することができる。
【0100】
図10によって概略的に示す本発明の他の例では、共振器16は音叉の形状を有する。見て分かるように、これは、2つの平行ビーム50および52と、ビームの2つの個々の端部間の弾性リンク54とを含む。
【0101】
ビーム状の弾性要素22が弾性リンク54の領域に配置され、これは好適にはビーム50および52の(平行)軸と平行に延在する。
【0102】
2つのほぼ直線的な圧電抵抗ゲージ56および58は、それぞれビーム50および52に互いの延長部として配置される(これらのそれぞれの軸は一致する)。ゲージ56および58の固定部は、それぞれの符号60および62を有する。
【0103】
見て分かるように、音叉を作動させるように設計された2つの電極64および66は、それぞれビーム50および52と対面して配置される。
【0104】
図10に示す例では、読み取り手段38が固定部26および62間に接続され、電圧源34が電極64を励起する。しかしながら、電圧源34で両方の電極64および66を同時に励起することもできる。
【0105】
図11によって概略的に示す本発明の例では、共振器として使用されるビーム23は対称的な境界条件を有し、その端部の両方が支持部14の表面と平行に動くことができる。
【0106】
2つのほぼ直線的なたわみ弾性要素68および70は、ビーム23の2つの対向する側面に、ビーム23の端部の一方の近傍にそれぞれ配置され、これらの要素68および70は互いの延長部であり、これらの軸は一致する。
【0107】
圧電抵抗ゲージ72および74がビーム23の両方の対向する側面に配置され、これらのそれぞれの軸も一致する。ビーム72および74の固定部は、それぞれの符号76および78を有する。
【0108】
いくつかの励起電極が含まれてもよい。示した例では、それぞれ符号80、82、84および86を有する4つの励起電極が存在する。電極80および82は、ビーム23の側面の1つと対面し、電極84および86は、他方の側面と向かい合う。
【0109】
図11の例では、単に電極80は電圧源34によって励起され、読み取り手段は、圧電抵抗ゲージ72に関係付けられた固定部76と、弾性要素68および70と共通の固定部88との間に接続され、その場合、これらは並列に取り付けられた抵抗を形成する。
【0110】
変形例として、ビーム23の他方の端部の側に構成要素の同一の組立品が存在してもよく、等しい符号に文字aが割り当てられる。
【0111】
図11では、このように、たわみ弾性要素68aおよび70a、圧電抵抗ゲージ72aおよび74a、固定部76a、78a、共通固定部88a、電極82を励起する電圧源34a、並びに、固定部76aおよび固定部88a間に接続された読み取り手段38aを見ることができる。
【0112】
ビーム23の両方の端部が自由な図11に示す構成は、以下に示す種々の利点を有する。
【0113】
1.この構成は、ゲージの抵抗変化の読み取りを常に可能にする。
【0114】
2.対称的な境界条件を使用するが、同時に、大きい線形振動振幅を可能にする。
【0115】
実際に、弾性要素を形成する吊り下げビームは、好適には高い縦横比を有し、その場合これらは低い曲げ剛性を有し、したがって共振器はその軸にひずみを受けない。共振器は、振動振幅が増加する場合、伸張に対して自由である。
【0116】
その場合、中央平面の伸張の影響は完全に減少し、有用な振動振幅は、カンチレバー型共振器のそれに匹敵するようになる。
【0117】
3.ビーム23の各端部では、両方の吊り下げビームが共通の固定部を有し、したがって電気的に接続される。見てきたように、これらはこのように並列の2つの抵抗に相当し、その等価抵抗は、単一の吊り下げビームの抵抗の2分の1に等しい。
【0118】
加えて、2つの吊り下げビームの一方が圧縮応力を受ける場合、他方は引張り応力を受ける。これらの抵抗変化の合計は結果としてゼロである。したがって図11の構成は、ゲージの有用な抵抗変化のみを読み取ることができ、吊り下げビームの抵抗変化を無視することができる。
【0119】
4.見てきたように、同じ配置を、共振器の他方の端部のゲージおよび吊り下げビームに使用することができる(対称的な境界条件)。これは、2倍の値を有する信号を得るためか、構造を2つのモードで同時に共振させるために、検出ポートを構成する他の固定部を使用することを可能にする。
【0120】
5.他のすべての場合のように、1つまたは複数の静電作動電極を使用することができる。これは、構造の特定の特権的モードが支持されることを可能にし、または、異なった周波数の2つの作動高調波を分離することを可能にする。
【0121】
図12によって概略的に示す例では、圧電抵抗ゲージおよび吊り下げビームは、共振器の中央に配置される。
【0122】
見て分かるように、この例では、共振器を形成するビーム23は、ビーム23の中央でビーム23の両側に配置されたたわみ弾性である2つのほぼ直線的な要素90および92を有し、要素90および92のそれぞれの軸は一致する。
【0123】
これらの要素の一方の側で、2つの圧電抵抗ゲージ94および96が、ビーム23の両側に配置され、これらのそれぞれの軸は一致する。要素90および92の他方の側で、2つの他の圧電抵抗ゲージ98および100が、ビーム23の両側に配置され、一致するそれぞれの軸を有する。
【0124】
要素90および92の固定部並びにゲージ94、96、98および100の固定部は、それぞれ、符号102、104、106、108、110および112を有する。
【0125】
図12の例では、4つの作動電極が存在し、すなわち、ビーム23の一方の端部の両側に2つの電極114および116と、ビーム23の他方の端部の両側に2つの他の電極118および120とが存在する。
【0126】
加えて、例として、電極118は電圧源34を使用して励起され、読み取り手段38は固定部96および104間に接続される。
【0127】
1つまたは複数の吊り下げビームおよび1つまたは複数の圧電抵抗ゲージを使用する本発明の他の例を想像することができる。
【0128】
少なくとも2つの圧電抵抗ゲージを含み、これらのゲージの少なくとも1つが弾性で、弾性要素を構成し、弾性要素を介して共振器が支持部に固定される、本発明による装置を想像することもできる。
【0129】
このような装置の一例を図13に概略的に示す。
【0130】
図13では、共振器を形成し、4つのほぼ直線的な圧電抵抗ゲージ122、124、126および128を見ることができる。
【0131】
ゲージ122および124は、たわみ弾性であり、ビーム23の端部の一方の近傍でビーム23の両側に配置され、一致する軸を有する。たわみ弾性であってもよい他の2つのゲージ126および128は、ビーム23の他方の端部の近傍でビーム23の両側に配置され、やはり一致する軸を有する。
【0132】
ゲージ122、124、126および128の固定部は、個々の符号130、132、134および136を有する。
【0133】
図13の例では、4つの作動電極が存在し、すなわち、ビーム23の中央の近傍でビーム23の側面と対面して配置された2つの電極138および140と、他の側面と対面し、それぞれ電極138および140と対面して配置された2つの他の電極142および144とが存在する。
【0134】
加えて、例として、電極134は電圧源34を使用して励起され、読み取り手段38は固定部130および134間に接続される。
【0135】
本発明で使用される圧電抵抗ゲージを、ドープされたケイ素で作ることができる。これらは金属であってもよく、これを達成するために、ケイ素をアモルファス化されるまで非常に高濃度にドープすることができる。例えばNiSiまたはPtSiのような金属ケイ素化合物製のゲージを使用することもできる。
【0136】
ゲージを、ゲージの敏感な部分を構成するために、例えば金またはアルミニウム製の金属層を加えたシリコン要素から得ることもできる。
【0137】
本発明による装置を、表面技術を使用して製造することができる。
【0138】
製造方法の一例を、図14Aから14Cによって概略的かつ部分的に示す。
【0139】
第1の段階(図14A)は、Ti/Ni/Auの層を、ケイ素ベース基板146、厚さが例えば0.4μmに等しいSiO2犠牲層148、および、厚さが例えば4μmに等しいケイ素層150を含むSOI基板上に加えることから構成される。接点152のような装置の接点は、フォトリソグラフィおよびエッチングによって境界を定められる。
【0140】
この後(図14B)、装置の機械的構造154が、フォトリソグラフィおよび犠牲層148で停止するDRIE(深堀反応性イオンエッチング)によって境界を定められる。
【0141】
この後(図14C)、装置の構成要素は、決められた時間後に停止するフッ化水素酸(液体または気体の形態での)への曝露によって開放される。
【0142】
これによって、ゲージ156のような1つまたは複数の圧電抵抗ゲージ、共振器158、1つまたは複数の弾性要素(図示せず)、および、共振器の1つまたは複数の励起電極(図示せず)が得られる。
【0143】
この方法では、フォトリソグラフィを電子ビームによって達成することができる。
【0144】
図15Aから15Dによって概略的に示す他の製造方法例によって、共振器自体、しかしとりわけ圧電抵抗ゲージおよび弾性要素を、「トップダウン」型の表面技術によって形成されるナノワイヤとすることができる。
【0145】
第1の段階は、SiO2、SiGeまたはSiで作ることができる犠牲層160を形成することである(図15A)。次に活性層162が層160上に形成される。
【0146】
層162は、SiまたはSiGeで作られてもよい。これは、例えばビーム状であってもよい共振器、1つまたは複数の圧電抵抗ゲージ、および、1つまたは複数の弾性要素のような、装置の種々の要素またはパターンが形成される層である。
【0147】
次に、パターンを得るために必要な感光性樹脂マスク164が形成される。
【0148】
パターン166(図15B)のようなこれらのパターンは、次に、活性層のフォトリソグラフィおよびエッチングによって画定される。レジストトリミングが事前に行われてもよい。
【0149】
次に、パターン166のサイズを減少させ、これらを丸める(図15C)ために、酸化の後に続いて脱酸が行われる。
【0150】
次に、SiO2の場合は塩酸を使用して、または、SiGeの場合はメタン-酸素型のプラズマを使用して、パターン166(図15D)が開放される。
【符号の説明】
【0151】
2 ビーム状共振器
4 固定部
5 固定部
6 固定電極
8 交流電圧源
9 両矢印
10 吊り下げ式ひずみゲージ
12 ひずみを測定する手段
14 支持部
16 共振器
17 共振器16を作動させる手段
18 共振器16の変位を検出する手段
20 圧電抵抗ひずみゲージ
22 弾性要素
23 ビーム
24 固定部
26 固定部
28 端部
30 点
32 電極
34 交流電圧源
34a 電圧源
36 両矢印
38 読み取り手段
38a 読み取り手段
40 圧電抵抗ゲージ
42 固定部
44 吊り下げビーム
46 たわみ弾性要素
48 固定部
50 ビーム
52 ビーム
54 弾性リンク
56 圧電抵抗ゲージ
58 圧電抵抗ゲージ
60 固定部
62 固定部
64 電極
66 電極
68 たわみ弾性要素
68a たわみ弾性要素
70 たわみ弾性要素
70a たわみ弾性要素
72 圧電抵抗ゲージ
72a 圧電抵抗ゲージ
74 圧電抵抗ゲージ
74a 圧電抵抗ゲージ
76 固定部
76a 固定部
78 固定部
78a 固定部
80 励起電極
82 励起電極
84 励起電極
86 励起電極
88 固定部
88a 固定部
90 要素
92 要素
94 圧電抵抗ゲージ
96 圧電抵抗ゲージ
98 圧電抵抗ゲージ
100 圧電抵抗ゲージ
102 固定部
104 固定部
106 固定部
108 固定部
110 固定部
112 固定部
114 電極
116 電極
118 電極
120 電極
122 圧電抵抗ゲージ
124 圧電抵抗ゲージ
126 圧電抵抗ゲージ
128 圧電抵抗ゲージ
130 固定部
132 固定部
134 固定部
136 固定部
138 電極
140 電極
142 電極
144 電極
146 ケイ素ベース基板
148 犠牲層
150 ケイ素層
152 接点
154 機械的構造
156 ゲージ
158 共振器
160 犠牲層
162 活性層
164 感光性樹脂マスク
166 パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D