特許第5978225号(P5978225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5978225治療に有用なイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5978225
(24)【登録日】2016年7月29日
(45)【発行日】2016年8月24日
(54)【発明の名称】治療に有用なイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20160817BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20160817BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20160817BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20160817BHJP
【FI】
   C07D471/04 105C
   C07D471/04CSP
   A61K31/437
   A61K39/39
   A61P11/06
   A61P11/02
   A61P17/00
   A61P27/14
   A61P37/08
   A61P35/00
   A61P31/20
   A61P1/16
   A61P31/14
   A61P31/18
   A61P31/04
   A61P17/16
   A61P37/04
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-543880(P2013-543880)
(86)(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公表番号】特表2013-545796(P2013-545796A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】GB2011052474
(87)【国際公開番号】WO2012080728
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/423,644
(32)【優先日】2010年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100067035
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 光隆
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マッキナリー
(72)【発明者】
【氏名】オーステン・ピム
【審査官】 瀬下 浩一
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に定義した式(I)を有する、化合物。
【請求項3】
請求項1に定義した式(I)を有する化合物の薬学的に許容される塩である、化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項5】
求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する医薬組成物
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染症、光線性角化症または前癌皮膚病変の処置に使用するための医薬
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する、COPDの処置に使用するための医薬
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する、喘息の処置に使用するための医薬
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を含有する、ワクチンアジュバント。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の製造方法であって、
方法(a)
式(II)
【化2】
〔式中、Lgは、クロロ、ブロモ、ヨード、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシおよびトルエンスルホニルオキシから選択される脱離基である。〕
の化合物またはその塩とジエチルアミンとの反応、または
方法(b)
式(III)
【化3】
の化合物またはその塩と2−(ジエチルアミノ)酢酸またはその塩とのカップリング反応
およびその後、場合により式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の形成
を含む、方法。
【請求項11】
式(II)
【化4】
〔式中、Lgは、クロロ、ブロモ、ヨード、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシおよびトルエンスルホニルオキシから選択される脱離基である。〕
の化合物またはその塩。
【請求項12】
式(III)
【化5】
の化合物またはその塩。
【請求項13】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および他の治療剤を含む、組み合わせ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物メチル(3−{[{4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}(N,N−ジエチルグリシル)アミノ]メチル}フェニル)アセテートおよびその薬学的に許容される塩類、それらを含む医薬組成物ならびに治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は自然免疫および後天性免疫から成り、その両方が協調的に働いて、宿主を微生物感染から守る。自然免疫は、免疫細胞の細胞表面に発現されるトール様受容体(TLR)を介して、保存された病原体関連分子パターンを認識できることが示されている。病原体侵襲の認識が、次いでサイトカイン産生(インターフェロンアルファ(IFNα))および貪食細胞上の共刺激分子の上方制御を作動させ、T細胞機能の調節に至る。それ故に、自然免疫は後天性免疫と密接に関係し、後天性応答の発現および制御に影響し得る。
【0003】
TLRは、NH末端細胞外ロイシン・リッチ反復ドメイン(LRR)およびToll/IL−1受容体(TIR)相同性ドメインと呼ばれる保存された領域を含むCOOH末端細胞内テイルにより特徴付けられるI型膜貫通受容体のファミリーである。細胞外ドメインは種々の数のLRRを含み、それらがリガンド結合に関係すると考えられる。今日まで11種のTLRがヒトおよびマウスで報告されている。それらは互いにリガンド特異性、発現パターンおよびそれらが誘導できる標的遺伝子において異なる。
【0004】
TLRを介して作用するリガンド(免疫応答修飾因子(IRMS)としても知られる)は製品化されており、例えば、性器疣贅の処置用の製品イミキモドを含む、米国特許4689338に記載されたイミダゾキノリン誘導体およびWO98/01448およびWO99/28321に記載されたアデニン誘導体がある。
【0005】
TLR7アゴニストはTh2細胞依存的免疫応答をTh1応答の増強を介して抑制する。このようなアゴニストは、Th1/Th2免疫応答を調節することにより多くの疾患の処置に有用であることが期待される。しかしながら、TLR7アゴニストへの全身性暴露は、IL−6、IL−12およびI型IFNを含むサイトカイン類の誘導により引き起こされるインフルエンザ様症状のような望ましくない副作用を生じ得る。
【0006】
WO2008/135791は、免疫調節活性を有し、例えば、ウイルス性またはアレルギー性疾患および癌の処置に有用な一群のイミダゾキノリン化合物を記載しており、これらはTLR7を介して作用する。
【0007】
WO2008/135791に記載されている化合物のエステル基は血漿中で急速に低活性の酸へと代謝される。該化合物は、それ故に局所投与に有用であり、投与部位で所望の効果を発揮するが、全身循環系に入ると速やかに低活性の酸代謝物に変換され、それにより、TLR7アゴニストへの全身性暴露に関係する望ましくない副作用を軽減することが期待される。
【0008】
WO2008/135791は、81種の化合物、塩類および結晶形態の具体例を記載する。WO2008/135791の実施例7は化合物メチル2−(3−((N−(3−(4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)プロピル)−2−(ジメチルアミノ)アセトアミド)メチル)フェニル)アセテートであり、次の式を有する。
【化1】
【0009】
化合物メチル(3−{[{4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}(N,N−ジエチルグリシル)アミノ]メチル}フェニル)アセテートが強力なTLR7アゴニストであることが新たに判明した。該化合物は多くの好ましい特性を有し、それ自体、下に記載する多くの状態の処置に特に適することが期待される。
【0010】
メチル(3−{[{4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}(N,N−ジエチルグリシル)アミノ]メチル}フェニル)アセテート(以後“化合物(I)”と呼ぶ)を次に示す。
【化2】
【0011】
それ故、本発明により、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
本発明の他の面において、化合物(I)が提供される。
【0012】
本発明の他の面において、化合物(I)の薬学的に許容される塩が提供される。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、例えば、水和された形態のような溶媒和されたならびに溶媒和されていない形態で存在し得ることが理解されるべきである。本発明は全てのこのような溶媒和された形態を包含することが理解されるべきである。
【0013】
化合物(I)は多形性を示し得て、本発明は全てのこのような形態を包含することもまた理解されるべきである。
【0014】
適当な化合物(I)の薬学的に許容される塩は、例えば、化合物(I)の酸付加塩、例えば適当な無機または有機酸との酸付加塩である。無機酸付加塩類の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩およびリン酸塩を含む。有機酸塩類の例は、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、サッカリン、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ピルビン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩を含む。塩は非化学量論または化学量論塩、例えば一または二塩、例えば一サッカリンまたは二サッカリン塩であり得る。
【0015】
本発明の状況で、用語“塩”は、化合物(I)および酸がイオン化し、あるいは両成分が顕著な分子間相互作用、例えば水素結合を利用して組み合わさり、均一のな結晶性物質(共結晶)を形成する、結晶性物質を定義する。本発明の塩が、一部イオン性であり、一部共結晶であり得ることが理解されよう。
【0016】
本発明のさらなる面は、化合物(I)の結晶形態(以後“化合物(I)形態A”)を提供する。化合物(I)形態Aは結晶性であり、1.5418Åの波長で測定したとき、実質的に図1に示すとおりのX線粉末回折パターンを与える。化合物(I)形態AのXRPDパターンの最も顕著なピーク(2θ値)を表1に示す。表1の2θ値は±0.1°の精度で測定されている。
【0017】
【表1】
【0018】
化合物(I)形態Aは、下の実施例1に記載したようして製造され得る。
従って、本発明の一つの態様において、1.5418Åの波長で測定したとき、2θ値で表1±0.1°から選択される少なくとも1個の特定のピークを有するX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aを提供が提供される。
【0019】
本発明の他の態様において、1.5418Åの波長で測定したとき、2θ値で表1±0.1°から選択される少なくとも2個の特異的ピーク(例えば少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個のピーク)を有するX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0020】
本発明の他の態様において、実質的に図1に示すとおりのX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、化合物(I)形態Aが提供される。
【0021】
化合物(I)形態Aは結晶性である。好適には、化合物(I)形態Aは、化合物(I)の他の結晶形態および非結晶形態を実質的に含まない。例えば、化合物(I)形態Aは、好適には20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満または特に、1重量%未満の化合物(I)の他の結晶形態および非結晶形態を含む。
【0022】
化合物(I)形態Aが結晶性であることをここで述べるとき、好適にはX線粉末回折データにより決定した結晶化度は、例えば約60%を越え、例えば約80%を越え、特に約90%を越え、より具体的には約95%を越える。本発明の態様において、X線粉末回折データにより決定した結晶化度は約98%を越え、ここで、%結晶化度は、総サンプル重量中の結晶重量%を意味する。
【0023】
X線粉末回折パターンは、測定条件(例えば装置、サンプル調製または使用機器)によって1個以上の測定誤差を有して得られ得ることは当分野で知られている。特に、X線粉末回折パターンの強度は測定条件およびサンプル調製法により変動し得ることが一般的に知られている。例えば、X線粉末回折分野の当業者は、ピークの相対的強度が、試験下のサンプルの方向性ならびに使用する装置の種類および設定により変わり得ることを理解している。当業者はまた反射の位置が、サンプルが回折計中で固定されている厳密な高さおよび回折計の零校正により影響を受け得ることも理解している。サンプルの表面平面性もわずかに影響し得る。故に、ここに示す回折パターンデータは絶対と解釈してはならず、ここに開示するものと実質的に同一の粉末(power)回折パターンを提供するあらゆる結晶性形態は本開示の範囲内に入ることが当業者には理解される(さらなる情報については、Jenkins, R & Snyder, R.L. ‘Introduction to X-Ray Powder Diffractometry’ John Wiley & Sons, 1996参照)。
【0024】
化合物(I)は、WO2008/135791に記載の方法に準じる方法を使用しておよび本明細書の実施例に説明するとおり製造し得る。
【0025】
本発明のさらなる面は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の製造方法を提供し、それは次のものを含む。
方法(a)
式(II)
【化3】
〔式中、Lgは脱離基である。〕
の化合物またはその塩とジエチルアミンの反応、または
【0026】
方法(b)
式(III)
【化4】


の化合物またはその塩と2−(ジエチルアミノ)酢酸またはその塩のカップリング反応、
ならびに、方法(a)または方法(b)の実施後、場合により化合物(I)の薬学的に許容される塩の形成。
【0027】
方法(a)条件
式(II)の化合物のLgで表される脱離基の例は、ハロ(例えばクロロ、ブロモまたはヨード)、メシレート(メチルスルホニルオキシ)、トリフラート(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)、ベシレート(ベンゼンスルホニルオキシ)またはトシレート(トルエンスルホニルオキシ)を含む。
【0028】
本反応は、好適には溶媒、例えば極性非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドまたは非極性有機溶媒、例えばトルエンの存在下に行う。反応は、好適には室温〜反応混合物の還流温度の範囲の温度で、特に室温で行う。
【0029】
式(II)の化合物は、例えば、方法(a)において定義した式(III)の化合物またはその塩と、式(IV)
【化5】
〔式中、LgおよびLgは脱離基である。〕
との反応により製造し得る。
【0030】
脱離基LgおよびLgは、LgがLgよりも不安定である限り、同一でも異なってもよい。可能な脱離基は、方法(a)において上に定義したとおりである。好適にはLgはハロ、例えばクロロである。一つの態様において、LgおよびLgは両者ともクロロである。
【0031】
好都合には、式(I)の化合物を、直接式(III)の化合物から、式(III)化合物を単離することなく、式(III)および(IV)の化合物を反応させ、続いてジエチルアミンと反応させることにより製造する。
【0032】
方法(b)条件
カップリング反応は、好適には適当なカップリング剤の存在下および場合により適当な塩基の存在下に行う。適当なカップリング剤の例は、例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。塩基は、例えば、有機アミン塩基、例えばトリエチルアミンであり得る。2−(ジエチルアミノ)酢酸を、好適には塩、例えば塩酸塩の形態で使用する。カップリング反応は、好適には適当な溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジンの存在下、例えば0〜60℃の温度で、好都合には、室温で行う。
【0033】
式(III)の化合物またはその塩は、式(V):
【化6】
またはその塩と、2−(3−ホルミルフェニル)酢酸メチルを、適当な還元剤の存在下に反応させることにより製造し得る。
【0034】
還元剤の例は、ハイドライド還元剤、例えばアルカリ金属アルミニウムハイドライド、例えばリチウムアルミニウムハイドライドまたは好適には、アルカリ金属ボロハイドライド、例えば水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド、ナトリウムトリエチルボロハイドライド、ナトリウムトリメトキシボロハイドライドおよびナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを含む。本反応は、好都合には、適当な不活性溶媒または希釈剤、例えば、より強力な還元剤、例えばリチウムアルミニウムハイドライドについてはテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中および例えば、あまり強力ではない還元剤、例えばナトリウムトリアセトキシボロハイドライドおよびナトリウムシアノボロハイドライドについては塩化メチレンまたはプロトン性溶媒、例えばメタノールおよびエタノール中で行う。特定の還元剤はナトリウムシアノボロハイドライドである。本反応は、例えば、0〜100℃、例えば0〜40℃の温度範囲でまたは好都合には、環境温度もしくはその近辺で行う。本反応は、場合により酸、例えば有機酸、例えば酢酸の存在下で行い得る。
【0035】
好適には式(V)の化合物を塩の形態で、例えば塩酸塩として使用する。
式(V)の化合物は周知の方法を使用して、例えばここの実施例に記載の方法を使用して製造し得る。
【0036】
当業者は理解するところであるが、本発明の方法において、反応材中のある種の官能基、例えばヒドロキシル基またはアミノ基を保護基で保護する必要があるかもしれない。故に、化合物(I)の製造は、適当な段階で、1個以上の保護基の除去を含み得る。
【0037】
官能基の保護および脱保護は‘Protective Groups in Organic Chemistry’, edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973)および‘Protective Groups in Organic Synthesis’、3rd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1999)に記載されている。
【0038】
あらゆる保護基の除去および化合物(I)の薬学的に許容される塩の形成は、標準技術を使用する、通常の有機化学者の技術範囲である。例えば化合物(I)の塩類は、化合物(I)と適当な酸の反応により製造し得る。あるいは、周知のカウンターイオン交換法を使用して、一つの塩を他の塩に変換し得る。
【0039】
式(II)および(III)の化合物を含む、化合物(I)の製造に使用するある種の中間体は新規である。このような中間体は本発明のさらなる面を形成する。
【0040】
本発明の他の面によって、上に定義した式(II)の化合物またはその塩が提供される。例えばメチル(3−{[{4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}(クロロアセチル)アミノ]メチル}フェニル)アセテートまたはその塩。
【0041】
本発明の他の面によって、上に定義した式(III)の化合物またはその塩が提供される。例えば、メチル{3−[({4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}アミノ)メチル]フェニル}アセテート。
【0042】
ここに記載する中間体は、塩の形態で使用し得る。塩は薬学的に許容される塩、例えば化合物(I)に関連して上に記載した塩類の一つであり得る。あるいは、必要であれば、中間体を、薬学的に許容される塩ではない塩の形態で使用し得る。このような塩類は、例えば有利な物理的および/または化学的特性、例えば結晶化度の結果として、有利に本発明の化合物の合成に使用できる。
【0043】
化合物(I)およびその薬学的に許容される塩類は、アンテドラッグ特性を有する。アンテドラッグは、全身循環に入ると、容易に排泄可能な低活性形態への生体内変換に付され、それ故に、全身性副作用が最小化されるように設計されている活性合成誘導体と定義される。故に、投与により、本発明の化合物は、急速に酵素分解されて、実質的に低下した医学的効果を有する分解産物を生じる。ここで定義する医学的効果は、特にインターフェロン誘導活性および/またはIL−4/IL−5産生活性の抑制を含む、本発明の化合物の薬理学的活性を意味する。
【0044】
分解産物の医学的効果は、本発明の化合物(すなわち親化合物)より好ましくは10倍、より好ましくは100倍低い。
【0045】
薬理学的活性は当分野で知られる方法を使用して、好ましくはインビトロ評価方法、例えば市販のELISAキットまたはここに記載の生物学的アッセイを使用して測定できる。
【0046】
疾患および医学的状態
本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩は、TLR7活性モジュレーターとして有用であり、免疫モジュレーター効果を提供し、故に、異常免疫応答と関連する疾患(例えば自己免疫性疾患およびアレルギー性疾患)および免疫応答の活性化が必要である種々の感染症および癌の治療剤および予防剤として有用であることが期待される。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩はまたワクチンアジュバントとしても有用であり得る。例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、次の状態または疾患の処置のために、ヒトを含む哺乳動物に投与し得る。
1. 呼吸器:次のものを含む、気道の閉塞性疾患:気管支、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬剤誘発性(アスピリンおよびNSAID誘発性を含む)および粉塵誘発性喘息、間欠性および永続性の両者および全ての重症度のおよび気道過敏の他の原因のものを含む喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性および好酸球性気管支炎を含む気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;特発性間質性肺炎、特発性間質性肺炎、抗新生物治療および結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染症を含む慢性感染に合併する線維症を含む肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性および血栓性障害および肺高血圧;気道の炎症性および分泌状態と関連する慢性咳および医原性咳の処置を含む鎮咳活性;薬物性鼻炎および血管運動神経性鼻炎を含む急性および慢性鼻炎;神経性鼻炎(枯草熱)を含む通年性および季節性アレルギー性鼻炎;鼻のポリープ症;一般的な風邪および呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスによる感染を含む急性ウイルス性感染。
【0047】
2. 皮膚:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または他の湿疹性皮膚炎および遅延型過敏症反応;植物および光皮膚炎;脂漏性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、光線性角化症、扁平苔癬、硬化性萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状エリテマトーデス、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、毒性紅斑、皮膚好酸球増加症、円形脱毛症、男性型禿頭、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性および非感染性両方の蜂巣炎;脂肪織炎;血管腫;前癌皮膚病変;基底細胞癌腫、例えば表在型基底細胞癌腫、結節性基底細胞癌腫およびボーエン病;皮膚リンパ腫、非黒色腫皮膚癌および他の形成異常病巣;固定薬疹を含む薬剤誘発性障害;ケロイドを含む皮膚瘢痕;ウイルス性皮膚感染症を含む皮膚感染症;および光線性皮膚障害を含む美容効果。
【0048】
3. 眼:眼瞼炎;通年性および春季アレルギー性結膜炎を含む結膜炎;虹彩炎;前部および後部ブドウ膜炎;脈絡膜炎;網膜に影響する自己免疫性、変性または炎症性障害;交感神経性眼炎を含む眼炎;サルコイドーシス;ウイルス、真菌および細菌を含む感染。
【0049】
4. 泌尿生殖器:間質性および糸球体腎炎を含む腎炎;ネフローゼ症候群;急性および慢性(間質性)膀胱炎およびハンナー潰瘍を含む膀胱炎;急性および慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎および卵管炎;外陰部腟炎;ペイロニー病;勃起不全(男女いずれも)。
【0050】
5. 同種移植片拒絶反応:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚または角膜の移植後または輸血後の急性および慢性の拒絶反応;または慢性移植片対宿主病。
【0051】
6. リウマチ性関節炎、過敏性腸症候群、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群およびセザリー(Sazary)症候群を含む他の自己免疫およびアレルギー性障害。
【0052】
7. 腫瘍:前立腺、乳、肺、卵巣、膵臓、腸および結腸、胃、皮膚および脳腫瘍および骨髄(白血病を含む)およびリンパ増殖性系に影響する悪性腫瘍、例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含む、一般的な癌の処置;転移疾患および腫瘍再発および新生物随伴症候群の予防および処置を含む。
【0053】
8. 感染症:ウイルス疾患、例えば性器疣贅、尋常性疣贅、足底疣贅、B型C型肝炎型肝炎、単純ヘルペスウイルス、伝染性軟属腫、痘瘡、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ;細菌疾患、例えば結核およびマイコバクテリウム・アビウム、ハンセン病;他の感染症、例えば真菌疾患、クラミジア、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス髄膜炎、ニューモシスチス・カリニ、クリプトスポリジウム症、ヒストプラスマ症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染およびリーシュマニア症。
【0054】
故に、本発明は、治療に使用するための、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0055】
さらなる面において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0056】
本明細書の文脈において、用語“治療”はまた、特にこれに反する記載がない限り、“予防的”も含む。用語“治療”および“治療的”もこれに準じて解釈されるべきである。
【0057】
予防は、該疾患または状態の前歴があるかまたはそうではないがリスクが増加していると考えられるヒトの処置に特に適切であると期待される。特定の疾患または状態を発症するリスクのあるヒトは、一般に該疾患または状態の家族歴を有するヒトまたは遺伝子検査またはスクリーニングにより該疾患または状態に特に感受性であることが分かっているヒトを含む。
【0058】
特に、本発明の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、癌、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HPV、細菌感染症または上に挙げた皮膚状態(例えば、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、前癌皮膚病変または皮膚ウイルス感染症)の処置に使用し得る。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩はワクチンアジュバントとしても有用である。
【0059】
従って、本発明のさらなる面として、喘息、COPDまたはアレルギー性鼻炎の処置に使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0060】
本発明のさらなる面として、喘息の処置に使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0061】
本発明のさらなる面として、COPDの処置に使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0062】
本発明のさらなる面として、アレルギー性鼻炎の処置に使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0063】
本発明のさらなる面として、ワクチンアジュバントとして使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0064】
本発明のさらなる面として、上に挙げた皮膚状態(例えば、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、前癌皮膚病変または皮膚ウイルス感染症)の処置に使用するための化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0065】
本発明のさらなる面として、喘息、COPDまたはアレルギー性鼻炎の処置用医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0066】
本発明のさらなる面として、喘息の処置用医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0067】
本発明のさらなる面として、COPDの処置用医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0068】
本発明のさらなる面として、アレルギー性鼻炎の処置用医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0069】
本発明のさらなる面として、上に挙げた皮膚状態(例えば、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、前癌皮膚病変または皮膚ウイルス感染症)の処置用医薬の製造における、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0070】
本発明のさらなる面として、疾患または状態の処置用ワクチンの製造における、ワクチンアジュバントとしての、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0071】
本発明は、それ故に、炎症性疾患を、該疾患に罹患しているまたは該疾患のリスクのある患者において処置する方法であって、該患者に治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、気道疾患、例えば可逆性閉塞性気道疾患、例えば喘息を、該疾患に罹患しているまたは該疾患のリスクのある患者において処置する方法であって、該患者に治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0073】
本発明は、さらにまた、異常細胞増殖を含むまたはそれに起因する疾患または状態(例えば癌)を処置するまたはリスクを減らす方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0074】
本発明は、なおさらに、上に挙げた皮膚疾患または状態(例えばアトピー性皮膚炎、光線性角化症、前癌病変または皮膚ウイルス感染症)を処置するまたはリスクを減らす方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量の化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0075】
本発明は、なおさらに、疾患または状態を処置するまたはリスクを減らす方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量のワクチンおよびここに定義する化合物(I)の塩または塩の溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。
【0076】
本発明は、なおさらに、患者におけるワクチンに対する応答を高める方法であって、処置を必要とする患者に治療有効量のワクチンおよび化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0077】
上記治療的使用について、投与する投与量は、当然、投与方法、所望の処置および適応症によって変わる。例えば、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩の1日投与量は、吸入の場合、0.05マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)〜100マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)の範囲であり得る。例えば約0.1〜100μg/kgの投与量、例えば約0.1μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、1.5μg/kg、2μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、20μg/kg、50μg/kgまたは100μg/kgの投与量。あるいは、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を経口投与するならば、1日投与量は0.01マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)〜100ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)の範囲であり得る。例えば約0.1〜100μg/kgの投与量、例えば約1μg/kg、2μg/kg、5μg/kg、10μg/kg、20μg/kg、50μg/kgまたは100μg/kgの投与量の経口投与。
【0078】
ここに記載する投与量は、遊離塩基としての化合物(I)の投与量を言う。従って、特定の塩の当量の投与量は、遊離塩基と比較して塩で分子量が増加しているため、高用量である。
【0079】
本発明の化合物はそれ自体で使用してよいが、一般的に化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組み合わさっている医薬組成物の形態で投与し得る。適切な医薬製剤の選択および製造は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0080】
投与方法によって、医薬組成物は0.05〜99%w(重量パーセント)、より好ましくは0.05〜80%w、さらに好ましくは0.10〜70%wおよびなお好ましくは0.10〜50%wの化合物(I)を含み、全ての重量パーセントは全組成物に基づく。
【0081】
本発明はまた、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩が薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と組み合わさった医薬組成物を提供する。
【0082】
本発明は、さらに、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体を混合することを含む、本発明の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0083】
医薬組成物は、例えば、クリーム剤、溶液剤、懸濁液剤、ヘプタフルオロアルカン(HFA)エアロゾルおよび乾燥粉末製剤、例えば、Turbuhaler(登録商標)として知られる吸入器中の製剤の形で、局所的に(例えば皮膚または肺および/または気道(経口または経鼻吸入により)投与);または例えば錠剤、カプセル剤、シロップ剤、散剤または顆粒剤の形態での経口投与により、全身的に;または溶液剤または懸濁液剤の形態で非経腸投与により;または皮下投与により;または坐薬の形態で直腸投与により;または経皮的に投与し得る。
【0084】
経口投与のために、本発明の化合物をアジュバントまたは担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ポテトデンプン、コーンデンプンまたはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;および/または滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、蝋、パラフィンなどと混合し、次いで錠剤に圧縮し得る。被覆錠が必要であるならば、上記のとおり製造したコアを、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、タルクおよび二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液で被覆し得る。あるいは、錠剤を易揮発性有機溶媒に溶解した適当なポリマーで被覆し得る。
【0085】
軟ゼラチンカプセルの製造のために、本発明の化合物を、例えば、植物油またはポリエチレングリコールと混合し得る。硬ゼラチンカプセルは、上記の錠剤用添加物のいずれかを使用した、化合物の顆粒を含む。また、本発明の化合物の液体または半固体製剤を硬ゼラチンカプセルに充填し得る。
【0086】
経口適用用液剤の調製は、シロップまたは懸濁液、例えば、本発明の化合物を含み、残りが糖およびエタノール、水、グリセロールおよびプロピレングリコールの混合物である溶液の形態であり得る。場合により、このような液体製剤は着色剤、風味剤、濃化剤としてサッカリンおよび/またはカルボキシメチルセルロースまたは当業者に知られた他の添加物を含み得る。
【0087】
吸入投与用の医薬組成物
本発明の一つの態様において、医薬組成物を吸入(経口または経鼻)により投与する。
【0088】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、適当な送達デバイスを使用して、例えば乾燥粉末吸入器、定量噴霧吸入器、ネブライザーまたは経鼻送達デバイスにより投与し得る。このようなデバイスは周知である。
【0089】
さらなる態様において、医薬組成物を乾燥粉末吸入器(DPI)の手段により投与する。
【0090】
DPIは、“受動的”でも“呼吸駆動式”でもよくまたは粉末が患者の吸入以外の機構で、例えば、圧縮空気の内部供給により分散される“能動的”でもよい。現時点で、1回投与、多単位投与または多投与(リザーバー)吸入器の3タイプの受動的乾燥粉末吸入器が利用可能である。単回投与デバイスにおいて、個々の投与量は、通常ゼラチンカプセル内に提供され、使用前に吸入器に充填しなければならず、その例はSpinhaler(登録商標)(Aventis)、Rotahaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、AeroliserTM(Novartis)、Inhalator(登録商標)(Boehringer)およびEclipse(Aventis)デバイスを含む。多単位投与吸入器は、複数ゼラチンカプセルとしてまたはブリスターとして多数の個別包装された投与量を含み、その例はDiskhaler(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Diskus(登録商標)(GlaxoSmithKline)およびAerohaler(登録商標)(Boehringer)デバイスを含む。多投与デバイスにおいて、薬剤は、大量粉末リザーバー中に貯蔵され、そこから個々の投与量が定量され、その例はTurbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)、Easyhaler(登録商標)(Orion)、Novolizer(登録商標)(ASTA Medica)、Clickhaler(登録商標)(Innovata Biomed)およびPulvinal(登録商標)(Chiesi)デバイスを含む。
【0091】
DPIで使用するための吸入可能医薬組成物または乾燥粉末製剤は、微粉化活性成分(一般的に10μm以下、好ましくは5μm以下の質量中央径を有する)と担体物質、例えば、モノ−、ジ−またはポリサッカライド、糖アルコールまたは他のポリオールの混合により製造できる。好適な担体は糖類または糖アルコール類、例えば、ラクトース、グルコース、ラフィノース、メレジトース、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、スクロース、マンニトール;およびデンプンである。担体粒子は、20〜1000μm、より一般的には50〜500μmの質量中央径を有する。粉末混合物を、その後、必要に応じて、各々、所望投与量の活性成分を含む硬ゼラチンカプセルに分配充填してよい。
【0092】
あるいは、吸入可能医薬組成物を、微粉末(例えば微粉化活性成分および微粉化担体粒子を含む)を、吸入過程中に破壊する球体に加工することにより製造し得る。この球形化粉末を、例えば、Turbuhaler(登録商標)として知られる多投与吸入器の薬物リザーバーに充填し、そこで、投与単位が所望量を定量し、それが患者により吸入される。
【0093】
従って、本発明はまた、本発明の吸入可能医薬組成物を含む乾燥粉末吸入器、特に多単位投与乾燥粉末吸入器を提供する。
【0094】
さらなる態様において、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、定量噴霧吸入器(MDI)、特に加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)の手段により投与する。pMDIは、加圧容器中に適当な溶液または懸濁液として活性成分を含む。本活性成分は、pMDIデバイスのバルブの作動により送達される。作動は手動でも呼吸作動型でもよい。手動作動型pMDIにおいて、本デバイスは、使用者が、例えばpMDIデバイス上の適当な放出機構を押すことにより、吸入に際し作動する。呼吸作動型pMDIは、患者がpMDIのマウスピースを介して吸入したとき作動する。これは、デバイスの作動が患者の吸入とタイミングが合い、活性成分のより一貫した投与をもたらし得るために、有益であり得る。pMDIデバイスの例はRapihaler(登録商標)(AstraZeneca)を含む。
【0095】
pMDIで使用する吸入可能医薬組成物は、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を適当な噴射剤中に、溶媒(例えばエタノール)、界面活性剤、滑沢剤、防腐剤または安定化剤のようなさらなる添加物を伴いまたは伴わずに溶解または分散させることにより製造できる。好適な噴射剤は、炭化水素、クロロフルオロカーボンおよびヒドロフルオロアルカン(例えばヘプタフルオロアルカン)噴射剤または任意のこのような噴射剤の混合物を含む。好適な噴射剤はP134aおよびP227であり、その各々を単独で使用しても、他の噴射剤および/または界面活性剤および/または他の添加物と組み合わせて使用してもよい。化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を懸濁液として使用するとき、化合物は、好適には微粉化形態(一般的に10μm以下、好ましくは5μm以下の質量中央径を有する)で存在する。
【0096】
さらなる態様において、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩をスペーサーと組み合わせた定量噴霧吸入器の手段により投与して良い。好適なスペーサー類は周知であり、Nebuchamber(登録商標)(AstraZeneca)またはVolumatic(登録商標)(GSK)を含む。
【0097】
さらなる態様において、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩をネブライザーの手段により投与する。好適なネブライザー類は周知である。
【0098】
ネブライザーにおいて使用する吸入可能医薬組成物は、適当な水性媒体に化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を分散させるかまたは好ましくは溶解させることにより製造できる。本組成物はまた例えば好適なpHおよび/または張性調節剤、界面活性剤および防腐剤も含んでよい。さらなる態様において、化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、適当な経鼻送達デバイス、例えばスプレーポンプまたは経鼻送達に適するMDIからのスプレーとして経鼻的に投与する。あるいは、本塩を、適当なDPIデバイス、例えばRhinocort(登録商標)Turbuhaler(登録商標)(AstraZeneca)を使用して、粉末として経鼻的に投与し得る。
【0099】
スプレーポンプまたはMDI経鼻送達デバイスにおいて使用するための経鼻吸入可能医薬組成物は、MDIデバイスを介する吸入について上に記載したものに準じる適当な水性媒体に化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を分散または溶解することにより製造できる。経鼻送達用の適切な乾燥粉末組成物はDPI送達と関連して上に記載したとおりである。しかしながら、化合物の肺への浸透を制限し、化合物を鼻腔に止めることが望ましいとき、例えば約10μmより大きい、例えば10μm〜50μmの平均粒子径を有する、大きな粒子径として化合物を使用することが必要であるかもしれない。
【0100】
従って、本発明はまた、本発明の吸入可能医薬組成物を含む経鼻投与に適する吸入器デバイス(例えば乾燥粉末吸入器、特に多単位投与量乾燥粉末吸入器またはpMDI吸入器)も提供する。
【0101】
外用局所投与用医薬組成物
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を外用局所医薬組成物として投与するとき、好適な組成物は、例えば、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、テープ剤、経皮パッチ剤、パップ剤または外投与用粉末剤を含む。
【0102】
軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤は、好適には化合物(I)を約0.01〜10w/w%量で含み、さらに、例えば、濃化剤、水性または油性基剤、ゲル化剤または溶媒を含む1種以上のさらなる添加物を含む。好適な水性/油性基剤は、水および/または油、例えば液体パラフィン、植物油、例えば落花生油またはヒマシ油を含む。好適な溶媒の例はポリエチレングリコールを含む。好適な濃化剤およびゲル化剤の例は軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリンアルコール、ポリエチレングリコール、ヒツジ脂肪、蜜蝋、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、モノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤を含む。
【0103】
ローションは、好適には化合物(I)を約0.01〜10w/w%量で含み、さらに、例えば、水性または油性基剤、乳化剤、安定化剤、分散剤、沈殿阻害剤または濃化剤を含む1種以上のさらなる添加物を含む。
【0104】
外用使用用粉末剤は、好適には化合物(I)を0.01〜−10w/w%で含み、それは適当な粉末基剤、例えばタルク、ラクトースおよびデンプンを使用して製剤し得る。
【0105】
外用局所投与用医薬組成物は、ここに記載する皮膚状態(例えば、アトピー性皮膚炎、光線性角化症、前癌病変または皮膚ウイルス感染症)の処置に特に好適であり得る。
【0106】
化合物(I)またはその薬学的に許容される塩はまた上記状態の処置に使用する他の化合物と組み合わせて投与してもよい。
【0107】
本発明は、それ故にさらに化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を、上記状態の1種以上の処置のための1種以上の他の治療剤と同時にまたは連続的にまたは組み合わせ製剤として投与する、組み合わせ治療にも関する。例えば化合物(I)またはその薬学的に許容される塩を次に挙げる薬剤の1種以上と組み合わせ得る:
【0108】
局所的に投与するものであれ、全身的に投与するものであれまたは非選択的シクロオキシゲナーゼCOX−1/COX−2阻害剤(例えば、ピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸類、例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン、フェナメート、例えば、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アザプロパゾン、ピラゾロン類、例えばフェニルブタゾン、サリチレート、例えば、アスピリン)を含む、非ステロイド性抗炎症剤(以後NSAID);選択的COX−2阻害剤(例えば、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ(lumarocoxib)、パレコキシブおよびエトリコキシブ);シクロオキシゲナーゼ阻害性一酸化窒素ドナー(CINOD);グルココルチコステロイド(局所、経口、筋肉内、静脈内または関節内経路のいずれで投与するものであれ);メトトレキサート;レフルノミド;ヒドロキシクロロキン;d−ペニシラミン;オーラノフィンまたは他の非経腸または経口金製剤;鎮痛剤;ジアセレイン;関節内治療剤、例えばヒアルロン酸誘導体;および栄養補助食品、例えばグルコサミン。
【0109】
本発明は、さらにまた、本発明の化合物と、アルファ−、ベータ−およびガンマ−インターフェロン類;インシュリン様増殖因子I型(IGF−1);インターロイキン(IL)1〜23を含むILおよびインターロイキンアンタゴニストまたは阻害剤、例えば、アナキンラ;腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体(例えばインフリキシマブ;アダリムマブおよびCDP−870)および免疫グロブリン分子(例えば、エタネルセプト)および低分子量剤、例えばペントキシフィリンを含むTNF受容体アンタゴニストを含むサイトカインまたはサイトカイン機能のアゴニストもしくはアンタゴニスト(サイトカインシグナル伝達経路上に作用する薬剤、例えばSOCSシステムのモジュレーターを含む)の組み合わせに関する。
【0110】
さらに、本発明は、本発明の化合物と、B−リンパ球(例えば、CD20(リツキシマブ)、MRA−aILl6RおよびT−リンパ球、CTLA4−Ig(アバタセプト)、HuMax Il−15)を標的とするモノクローナル抗体の組み合わせに関する。
【0111】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えばCCR1、CCR2、CCR2A、CCR2B、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10およびCCR11(C−Cファミリーについて);CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4およびCXCR5(C−X−Cファミリーについて)およびC−X−CファミリーについてCXCR1のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0112】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ドキシサイクリンのような薬剤を含む、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、すなわち、ストロメライシン類、コラゲナーゼ類およびゼラチナーゼ、ならびにアグリカナーゼ;特にコラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−2(MMP−8)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、ストロメライシン−1(MMP−3)、ストロメライシン−2(MMP−10)およびストロメライシン−3(MMP−11)およびMMP−9およびMMP−12の阻害剤の組み合わせに関する。
【0113】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、ロイコトリエン生合成阻害剤、5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤または5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、例えば;ジロートン;ABT−761;フェンレウトン;テポキサリン;Abbott−79175;Abbott−85761;N−(5−置換)−チオフェン−2−アルキルスルホンアミド;2,6−ジ−tert−ブチルフェノールヒドラゾン類;メトキシテトラヒドロピラン類、例えばZeneca ZD−2138;化合物SB−210661;ピリジニル−置換2−シアノナフタレン化合物、例えば、L−739,010;2−シアノキノリン化合物、例えば、L−746,530;またはインドールまたはキノリン化合物、例えば、MK−591、MK−886およびBAY x 1005の組み合わせに関する。
【0114】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、フェノチアジン−3−1s、例えばL−651,392;アミジノ化合物、例えば、CGS−25019c;ベンゾキサルアミン類、例えばオンタゾラスト;ベンゼンカルボキシミドアミド類、例えばBIIL 284/260;および化合物、例えば、ザフィルカスト、アブルカスト(ablukast)、モンテルカスト、プランルカスト、ベルルカスト(verlukast)(MK−679)、RG−12525、Ro−245913、イラルカスト(CGP 45715A)およびBAY x 7195から成る群から選択されるロイコトリエン類(LT)B4、LTC4、LTD4およびLTE4の受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0115】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、例えばテオフィリンおよびアミノフィリンを含むメチルキサンタニン;PDE4阻害剤、アイソフォームPDE4D阻害またはPDE5阻害剤を含む選択的PDEアイソザイム阻害剤の組み合わせに関する。
【0116】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、経口、局所または非経腸で適用するヒスタミン1型受容体アンタゴニスト、例えば、セチリジン、ロラタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、アクリバスチン、テルフェナジン、アステミゾール、アゼラスチン、レボカバスチン、クロルフェニラミン、プロメタジン、シクリジンまたはミゾラスチンの組み合わせに関する。
【0117】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、プロトンポンプ阻害剤(例えば、オメプラゾール)または胃保護性ヒスタミン2型受容体アンタゴニストの組み合わせに関する。
【0118】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ヒスタミン4型受容体のアンタゴニストの組み合わせに関する。
【0119】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、アルファ−1/アルファ−2アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経刺激剤、例えばプロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、シュードエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン、塩酸トラマゾリンまたは塩酸エチルノルエピネフリンの組み合わせに関する。
【0120】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、ムスカリン受容体(M1、M2およびM3)アンタゴニストを含む抗コリン作動剤、例えば、アトロピン、ヒヨスチン、グリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、ピレンゼピン、テレンゼピン、トルテロジンまたは臭化アクリジニウムの組み合わせに関する。
【0121】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、ベータ−アドレナリン受容体アゴニスト(ベータ受容体サブタイプ1〜4)、例えばイソプレナリン、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレートまたはピルブテロールまたはそのキラルエナンチオマー、インダカテロール、ミルベテロール、カルモテロール、例えば塩酸塩としてのオロダテロール(以前はBI 1744 CLとして知られた)、例えばトリフェナテート(トリフェニル酢酸)塩としてのビランテロール(以前はGW642444として知られた)の組み合わせに関する。
【0122】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、クロモン、例えばクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルナトリウムの組み合わせに関する。
【0123】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩と、グルココルチコイド、例えばフルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、シクレソニドまたはフロ酸モメタゾンの組み合わせに関する。
【0124】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、核ホルモン受容体を調節する薬剤、例えばPPARの組み合わせに関する。
【0125】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、免疫グロブリン(Ig)またはIg製剤またはアンタゴニストまたはIg機能を調節する抗体、例えば抗IgE(例えばオマリズマブ)の組み合わせに関する。
【0126】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、他の全身的または局所的に適用する抗炎症性剤、例えばサリドマイドまたはその誘導体、レチノイド、ジトラノールまたはカルシポトリオールの組み合わせに関する。
【0127】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、アミノサリチレートおよびスルファピリジン、例えば、スルファサラジン、メサラジン、バルサラジドおよびオルサラジン;および免疫調節剤、例えばチオプリン類およびコルチコステロイド、例えばブデソニドの組み合わせに関する。
【0128】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、抗細菌剤、例えばペニシリン誘導体、テトラサイクリン、マクロライド、ベータ−ラクタム、フルオロキノロン、メトロニダゾール、吸入アミノグリコシド;アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、アマンタジン、リマンタジン、リバビリン、ザナミビル(zanamavir)およびオセルタミビル(oseltamavir)を含む抗ウイルス性剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばインジナビル、ネルフィナビル、リトナビルおよびサキナビル;ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばジダノシン、ラミブジン、スタブジン、ザルシタビンまたはジドブジン;または非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、例えばネビラピンまたはエファビレンツの組み合わせに関する。
【0129】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、心血管剤、例えばカルシウムチャネルブロッカー、ベータ−アドレナリン受容体ブロッカー、アンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニスト;脂質低下剤、例えばスタチンまたはフィブラート;血液細胞形態学のモジュレーター、例えばペントキシフィリン;血栓溶解または抗凝固剤、例えば血小板凝集阻害剤の組み合わせに関する。
【0130】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、CNS剤、例えば抗鬱剤(例えば、セルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えば、デプレニル、L−ドーパ、ロピニロール、プラミペキソール、MAOB阻害剤、例えばセレギリン(selegine)およびラサギリン、comP阻害剤、例えばタスマール、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニストまたは神経型一酸化窒素合成酵素阻害剤)または抗アルツハイマー剤、例えばドネペジル、リバスチグミン、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリホナートの組み合わせに関する。
【0131】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と、急性または慢性疼痛の処置剤、例えば中枢性にまたは末梢性に作用する鎮痛剤(例えばオピオイドまたはその誘導体)、カルバマゼピン、フェニトイン、ナトリウムバロプロエート、アミトリプチリン(amitryptiline)または他の抗鬱剤、パラセタモールまたは非ステロイド性抗炎症剤の組み合わせに関する。
【0132】
本発明は、さらに、本発明の化合物と、非経腸的または局所的に適用する(吸入を含む)局所麻酔剤、例えばリグノカインまたはその誘導体の組み合わせに関する。
【0133】
本発明の化合物はまたホルモン剤、例えばラロキシフェンまたはビホスホネート、例えば、アレンドロネートを含む抗骨粗鬆症剤と組み合わせて使用できる。
【0134】
本発明は、なおさらに、本発明の化合物と:(i)トリプターゼ阻害剤;(ii)血小板活性化因子(PAF)アンタゴニスト;(iii)インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤;(iv)IMPDH阻害剤;(v)VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤;(vi)カテプシン;(vii)キナーゼ阻害剤、例えばチロシンキナーゼ(例えば、Btk、Itk、Jak3またはMAP、例えばゲフィチニブまたはメシル酸イマチニブ)、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、MAPキナーゼ阻害剤、例えばp38、JNK、タンパク質キナーゼA、BまたはCまたはIKK)または細胞サイクル制御に関与するキナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤;(viii)グルコース−6ホスフェートデヒドロゲナーゼ阻害剤;(ix)キニン−B.sub1.−またはB.sub2.−受容体アンタゴニスト;(x)抗痛風剤、例えばコルヒチン;(xi)キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアロプリノール;(xii)尿酸排泄促進剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾンまたはベンズブロマロン;(xiii)成長ホルモン分泌促進物質;(xiv)トランスフォーミング増殖因子(TGFβ);(xv)血小板由来増殖因子(PDGF);(xvi)線維芽細胞増殖因子例えば塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF);(xvii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF);(xviii)カプサイシンクリーム;(xix)タキキニンNK.sub1.またはNK.sub3.受容体アンタゴニスト、例えば、NKP−608C、SB−233412(タルネタント)またはD−4418;(xx)エラスターゼ阻害剤、例えばUT−77またはZD−0892;(xxi)TNF−アルファ変換酵素阻害剤(TACE);(xxii)誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤;(xxiii)TH2細胞上に発現される化学誘引物質受容体相同分子、(例えば、CRTH2アンタゴニスト);(xxiv)阻害剤ofP38;(xxv)トール様受容体(TLR)機能調節剤、(xxvi)プリン作動性受容体の活性調節剤、例えばP2X7;または(xxvii)転写因子活性化阻害剤、例えばNFkB、APIまたはSTATSの組み合わせに関する。
【0135】
本発明の化合物は、既存の含の処置のための治療剤と組み合わせも使用でき、例えば好適な薬剤は次のものを含む:
(i) 医学腫瘍学で使用される抗増殖性/抗新生物剤またはそれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンまたはニトロソウレア);代謝拮抗剤(例えば抗葉酸剤、例えば5−フルオロウラシルまたはテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、ゲムシタビンまたはパクリタキセル);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン、例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンまたはミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンまたはビノレルビンまたはタキソイド、例えばタキソールまたはタキソテール);またはトポイソメラーゼ阻害剤(例えばエピポドフィロトキシン、例えば、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカンまたはカンプトテシン);
【0136】
(ii) 細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンまたはヨードキシフェン)、エストロゲン受容体下方調節剤(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドまたはシプロテロンアセテート)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、ロイプロレリンまたはブセレリン)、プロゲストーゲン(例えばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールまたはエキセメスタン)または5α−レダクターゼ阻害剤、例えばフィナステリド;
【0137】
(iii) 癌細胞侵襲を阻害する薬剤(例えばマリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤またはウロキナーゼプラスミノーゲンアクティベーター受容体機能阻害剤);
【0138】
(iv) 増殖因子機能阻害剤、例えば:増殖因子抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツマブまたは抗erbb1抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリー阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)または6−アクリルアミド−−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033))、血小板由来増殖因子ファミリー阻害剤または肝細胞増殖因子ファミリー阻害剤;
【0139】
(v) 抗血管新生剤、例えば血管内皮細胞増殖因子の作用を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞増殖因子抗体ベバシズマブ、WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856またはWO98/13354に開示の化合物)または他の機構で作用する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能阻害剤またはアンジオスタチン);
【0140】
(vi) 血管傷害剤、例えばコンブレタスタチンA4またはWO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434またはWO02/08213に開示の化合物;
【0141】
(vii) アンチセンス治療、例えば上記の標的の一つに対するものに使用する薬剤、例えばISIS 2503、抗rasアンチセンス;
【0142】
(viii) 遺伝子治療法、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1またはBRCA2を置換する方法、GDEPT(遺伝子指向酵素プロドラッグ治療)法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を使用するものおよび化学療法または放射線療法に対する患者耐容性を高めるための薬剤、例えば他剤耐性遺伝子治療に使用する薬剤;または
【0143】
(ix) 免疫治療法、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのエキソビボおよびインビボ法、例えばサイトカイン類、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子でのトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させるための方法、形質転換免疫細胞、例えばサイトカイン−形質転換樹状細胞を使用する方法、サイトカイン形質転換腫瘍細胞株を使用する方法および抗イディオタイプ抗体を使用する方法に使用する薬剤。
【0144】
さらなる面において、本発明はここに定義した化合物(I)またはその薬学的に許容される塩および次のもの。
a)アイソフォームPDE4Dの阻害剤を含むPDE4阻害剤;
b)β−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、ピルブテロール、インダカテロールまたはカルモテロール;
c)ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えばM1、M2またはM3アンタゴニスト、例えば選択的M3アンタゴニスト)、例えばイプラトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、ピレンゼピン、テレンゼピンまたはトルテロジン;
d)ケモカイン受容体機能モジュレーター(例えば、CCR1またはCCR8受容体アンタゴニスト);
e)キナーゼ機能阻害剤;
f)非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
g)ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
h)プロテアーゼ阻害剤(例えば、MMP12またはMMP9阻害剤);および
i)抗増殖性剤
から独立して選択される1種以上の薬剤を含む組み合わせ製品(例えば上に上げた状態、例えばCOPD、喘息またはアレルギー性鼻炎を処置するための医薬として使用するためのもの)に関する。
【0145】
他の面において、本発明は、上に定義した化合物(I)またはその薬学的に許容される塩である第一成分の製剤および次のもの:
a)アイソフォームPDE4D阻害剤を含むPDE4阻害剤;
b)β−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、テルブタリン、オルシプレナリン、ビトルテロールメシレート、ピルブテロール、インダカテロールまたはカルモテロール;
c)ムスカリン受容体アンタゴニスト(例えばM1、M2またはM3アンタゴニスト、例えば選択的M3アンタゴニスト)、例えばイプラトロピウムブロマイド、チオトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、ピレンゼピン、テレンゼピンまたはトルテロジン;
d)ケモカイン受容体機能モジュレーター(例えば、CCR1またはCCR8受容体アンタゴニスト);
e)キナーゼ機能阻害剤;
f)非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
g)ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;
h)プロテアーゼ阻害剤(例えば、MMP12またはMMP9阻害剤);および
i)抗増殖性剤;
から選択される1種以上の第二活性成分の製剤
およびこれらの製剤の処置を必要とする患者への同時の、逐次のまたは別々の投与の指示書を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0146】
図1】1.5418Åの波長で測定した化合物(I)形態AのX線粉末回折パターンである。x軸は2−シータ値を示し、y軸は強度を示す。
図2】化合物(I)形態Aの示差走査熱量測定(DSC)トレースである。x軸は温度(℃)を示し、y軸は熱流量(ワット/g)を示す。
【実施例】
【0147】
本発明を、以下の説明的実施例を用いてさらに説明し、そこでは、特に断らない限り以下のことが適用される:
(i) 温度は摂氏(℃)で示す;操作は室温または環境温度、すなわち、18〜25℃の範囲の温度で行った。
(ii) 一般に、反応の進行をHPLCで追跡しており、反応時間は説明のみを目的として記載する。
(iii) 収率は説明のためにのみ記載し、必ずしも入念な工程開発を経て得ることができるものではない;より多くの物質が必要であるならば、製造を繰り返した。
(iv) 化学記号はその通常の意味を有する;SI単位および記号を使用する。
(v) 溶媒比を容積:容積(v/v)で記載する。
(vi) 特に断らない限り、出発物質は市販されていた。
(vii) 特に断らない限り、実施例の化合物名はACD Labs Version 10(Advanced Chemistry Development, Inc.)のIUPAC命名機能を使用して作成した。
【0148】
一般法
H NMRスペクトルを、298KでmBruker Avance-III 500分光計を500MHzで操作して記録した。
【0149】
“RPHPLC”は、Waters Symmetry C8, Xterra, XBridgeカラムまたはPhenomenex Geminiカラムを使用し、アセトニトリルおよび酢酸アンモニウム水溶液、アンモニア、ギ酸またはトリフルオロ酢酸のいずれかを適宜使用する逆相分取HPLCを意味する。カラムクロマトグラフィーをシリカゲルで行った。用語“SCXに通す”は、混合物をSCXに吸着させ、適当な溶媒、例えばメタノールまたはアセトニトリルで溶出させ、次いで遊離塩基生成物をアンモニア水溶液/メタノールで溶出させることを意味する。
【0150】
マススペクトルを、マルチモード・ソースを備えたAgilent 100 HPLCMSで行った。
【0151】
X線粉末回折(XRPD)パターンは、PANalytical X'Pert機で、θ−2θ配置で、2°〜40° 2θの範囲にわたり、0.02°増分あたり100秒暴露で集めた。X線を45kVおよび40mAで操作する銅の長−高精度焦点管で発生させた。銅X線の波長は1.5418Åであった。データを〜2mgの本化合物を載せたゼロ背景ホルダー上に回収した。ホルダーはシリコンの単結晶製であり、それは、非回折平面に沿って切断され、次いで光学的平面仕上げに磨いた。Xこの表面へのX線投射は、Bragg消光により打ち消された。
【0152】
示差走査熱量測定(DSC)を、アルミニウム・パンと共に、TA Q2000示差走査熱量計を使用して測定した。サンプル重量は0.5〜5mgの間で変化した。本工程は、窒素ガス流(50ml/分)下で、10℃/分で一定速度で温度を上昇させて、0〜300℃の試験温度で行った。
【0153】
熱重量蒸気収着(TGA)サーモグラムを、白金パンと共に、TA Q500熱重量分析器を使用して測定した。サンプル重量は1〜5mgの間で変化した。本工程は、窒素ガス流(60ml/分)下で、10℃/分で一定速度で温度を上昇させて、室温〜300℃の試験温度で行った。
【0154】
重量蒸気収着(GVS)プロファイルを、Dynamic Vapour Sorption DVS-1装置を使用して測定した。固体サンプル約1〜5mgをガラス容器に入れ、サンプル重量を、デュアル・サイクル・ステップ方法の間記録した(10%RHの段階で40から90から0から90から0%相対湿度(RH))。
【0155】
略語
次の略語を使用している。
【表2】
【0156】
実施例1
メチル(3−{[{4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}(N,N−ジエチルグリシル)アミノ]メチル}フェニル)アセテート
【化7】
メチル{3−[({4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}アミノ)メチル]フェニル}アセテート(507mg)のMeCN(8mL)懸濁液をクロロアセチルクロライド(94μL)の滴下により処理し、混合物をrtで1時間撹拌した。DMF(3mL)を添加し、溶媒を減圧下に除去して、MeCNを除去した。混合物を氷浴で冷却し、ジエチルアミン(390mg)を添加し、18時間、rtで撹拌した。溶液をEtOAcおよび塩水に分配し、有機物を合わせ、乾燥させ、溶媒を除去した。粗製の生成物をRPHPLCで精製し、純水フラクションを一部蒸発させて(evaporate down)、MeCNを除去し、残った水混合物を冷却し、固形重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの添加により中和し、混合物をDCMで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下除去して、表題化合物を固体(350mg)として得た。MSマルチモード(+)589;1H NMR (500 MHz, DMSO, 91℃) δ 7.98 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.43 (t, 1H), 7.25 (d, 2H), 7.15 - 7.06 (m, 3H), 6.19 (s, 2H), 4.73 (s, 2H), 4.63 - 4.47 (m, 4H), 3.62 - 3.54 (m, 7H), 3.34 (s, 2H), 3.21 (s, 2H), 2.50 - 2.45 (m, 4H), 1.83 (s, 2H), 1.67 (s, 2H), 1.15 (t 3H), 0.87 (t, 6H)
【0157】
出発物質として使用したメチル{3−[({4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}アミノ)メチル]フェニル}アセテートを次のとおり製造した。
【0158】
(i) tert−ブチル{4−[(3−ニトロキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメート
3−ニトロキノリン−4−オール(60g)のDCM(600mL)およびDMF(18mL)中の懸濁液に、塩化チオニル(29.9mL)を10分間かけて滴下し、40℃で2時間加熱した。混合物を蒸発乾固し、固体残渣を撹拌中のtert−ブチル4−アミノブチルカルバメート(65.3g)およびトリエチルアミン(176mL)のDCM(1000mL)溶液に0℃で添加した。混合物をrtで2時間撹拌し、蒸発乾固し、残渣を水で摩砕した。オーブンで乾燥させて、副題化合物を固体(110g)として得た。MSマルチモード(+)361
【0159】
(ii) tert−ブチル{4−[(3−アミノキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメート
塩化ニッケル(II)六水和物(18.4g)をMeOH(360mL)に溶解し、5℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(2.9g)、続いて工程(i)の生成物(28g)を添加した。さらに水素化ホウ素ナトリウム(11.7g)を、温度を23℃未満に維持しながらゆっくり添加し、1時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾液を重炭酸ナトリウム溶液(300mL)に注いだ。溶媒を半量に減量し、クロロホルムで抽出し、合わせた有機物を乾燥させ、溶媒を除去して、副題化合物を固体(22g)として得た。MSマルチモード(+)331
【0160】
(iii) 2−エトキシアセチルクロライド
2−エトキシ酢酸(25g)のDCM(300mL)溶液に、ジシクロヘキシルアミン(47.4mL)を滴下し、1時間撹拌した。塩化チオニル(19.2mL)を滴下し、混合物を3時間撹拌した。反応物をエーテル(600mL)で希釈し、濾過し、濾液を蒸発乾固して、副題化合物を薄褐色油状物(30g)として得た。
【0161】
(iv) tert−ブチル{4−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}カルバメート
工程(iii)の生成物(10.38g)を、工程(ii)の生成物(28g)の溶液に0℃でDCM(400mL)およびトリエチルアミン(11.81mL)中、1時間かけて滴下し、還流下、一夜加熱した。反応物をrtに冷却し、溶液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、乾燥させ、溶媒を除去した。粗製の生成物をシリカで精製して、副題化合物を固体(26g)として得た。MSマルチモード(+)399
【0162】
(v) 1−(4−アミノブチル)−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
【化8】
工程(iv)の生成物(3g)のMeOH(100mL)溶液をHClのジオキサン溶液(14.51mL、4M)で処理し、反応混合物を20℃で3時間静置した。溶媒を減圧下蒸発させ、残渣をMeCNと共沸蒸留して、固体の塩酸塩を得た。これをMeOH(100mL)に溶解し、SCXカートリッジを通し、10%NH/MeOHで溶出した。溶媒を減圧下蒸発させ、残渣をMeCNと共沸蒸留して、副題化合物を固体(2.3g)として得た。MSマルチモード(+)314
【0163】
(vi) メチル{3−[({4−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]ブチル}アミノ)メチル]フェニル}アセテート
【化9】
工程(v)の生成物(1.1g)のMeOH(30mL)の溶液を酢酸(0.37mL)、続いて2−(3−ホルミルフェニル)酢酸メチル(0.61g)で処理し、rtで20分間撹拌し、氷浴で冷却した。ナトリウムシアノボロハイドライド(0.41g)を添加し、反応混合物をrtで3時間撹拌した。溶媒を減圧下蒸発させ、残渣をEtOAcおよび重炭酸ナトリウム溶液に分配した。有機層を減圧下蒸発させ、粗製の生成物をシリカクロマトグラフィーで精製して、副題化合物を固体(1.16g)として得た。MSマルチモード(+)476;1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 9.41 (s, 2H), 8.95 (s, 2H), 8.74 (dd, 1H), 8.17 (dd, 1H), 7.75 (dd, 1H), 7.46 - 7.28 (m, 4H), 4.94 - 4.74 (m, 4H), 4.14 (s, 2H), 3.68 (s, 2H), 3.65 - 3.35 (m, 5H), 3.00 (s, 2H), 2.04 - 1.87 (m, 2H), 1.81 - 1.67 (m, 2H), 1.18 (t, 3H)
【0164】
実施例1で製造した化合物は結晶性(化合物(I)形態A)であり、1.5418Åの波長で測定したとき、図1に示すXRPDパターンを提供する。化合物(I)形態AのXRPDパターンの最も顕著なピークは、本明細書の表1に示す。
【0165】
示差走査熱量計(DSC)(条件は実施例の章に記載のとおり)で加熱したとき、化合物(I)形態Aは、図2に示すとおり、約108℃の温度で開始する融解吸熱を示す。
【0166】
化合物(I)形態Aの熱重量蒸気収着(TGA)サーモグラムは、化合物融解前に質量損失がないことを示す。
【0167】
化合物(I)形態Aの重量蒸気収着(GVS)プロファイルは、80%相対湿度で、サイクル1で0.5%およびサイクル2で0.64%の質量増加を示す。
【0168】
比較例1
メチル2−(3−((N−(3−(4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)プロピル)−2−(ジメチルアミノ)アセトアミド)メチル)フェニル)アセテート
【化10】
本化合物を、WO2008/135791の実施例7に記載の方法を使用して製造し得る。
【0169】
生物学的活性
ヒトTLR7アッセイ
組み換えヒトTLR7を、pNiFty2−SEAPレポータープラスミドを既に安定に発現するHEK293細胞株で安定に発現させた;レポーター遺伝子を、抗生物質ゼオシンで選択することにより維持した。ヒトTLR7の最も一般的な変異配列(EMBL配列AF240467で表される)を、ベクターpUNOを発現する哺乳動物細胞にクローン化し、このレポーター細胞株に形質転換した。安定に発現する形質移入体を、抗生物質ブラストサイジンを使用して選択した。このレポーター細胞株において、分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)の発現は、近位ELAM−1プロモーターと組み合わさった5個のNFkB部位を含むNFkB/ELAM−1複合プロモーターにより制御される。TLRシグナル伝達はNFkBの転位およびプロモーターの活性化を導き、SEAP遺伝子の発現に至る。TLR7特異的活性化を、細胞を37℃で標準化合物と、0.1%(v/v)ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下に一夜インキュベーションした後に生じたSEAPのレベルの測定により評価する。化合物によるSEAP産生の濃度依存的誘導を、その化合物のSEAP誘導の最高レベルの半分を生じる化合物の濃度として表した(pEC50)。
化合物(I)(実施例1)は、7.4の平均pEC50であった(n=7)。
比較例1は、6.4の平均pEC50であった(n=4)。
【0170】
カニクイザル血漿安定性
カニクイザル血漿中の試験化合物の半減期を測定するために、37℃で、振盪させている水浴中でインキュベートした。試験化合物(MeCN中100μMの貯蔵液5μL)を0.495mL血漿に添加し、1μMの最終インキュベーション濃度とした。一定量(50μL)を種々の時点(典型的に0秒、20秒および40秒、1分、2分、3分、5分および10分)で採り、MeCN(300μL)で失活させて、親化合物をLC−MS−MS(MRMモード)で分析した。半減期を経時的な試験化合物ピーク面積の減少から計算した。
化合物(I)(実施例1)は、1.2分間の平均半減期であった(n=6)。
比較例1は11分間の半減期であった(n=1)。
【0171】
ヒト血漿安定性
ヒト血漿中の試験化合物の半減期を測定するために、37℃で、振盪させている水浴中でインキュベートした。化合物(MeCN中100μMの貯蔵液5μL)を0.495mL血漿に添加し、1μMの最終インキュベーション濃度とした。一定量(50μL)を種々の時点(典型的に0秒、20秒および40秒、1分、2分、3分、5分および10分)で採り、MeCN(300μL)で失活させて、親化合物をLC−MS−MS(MRMモード)で分析した。半減期を経時的な試験化合物ピーク面積の減少から計算した。
実施例1(化合物(I))は0.3分間の平均半減期であった(n=8)。
比較例1は0.7分間の半減期であった(n=1)。
図1
図2